「<北朝鮮ミサイル>菅長官「EEZ外に落下、被害報告ない」:日本政府の対応は評価できそう、飛行距離は800キロ、米軍「ICBMではない」、中国11時過ぎるも沈黙 (2017年5月14日 「毎日新聞」)

    14日早5時27分、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したと『毎日新聞』が報じた。日本の官房長官の発表によると、ミサイルは日本海に落下したという。

    『毎日新聞』、「<北朝鮮ミサイル>菅長官『EEZ外に落下、被害報告ない』」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170514-00000005-mai-pol

    同じニュースを韓国の『聯合ニュース』でも見ているが、こちらには落下地点に関する情報は出ていない。通常、韓国メディアに詳細が出てから、日本政府が発表するという流れであるが、今回は、発射から結果に至るまでの発表が非常に早い。どこの情報を使っているのかは分からないが、日本独自の監視で判明したことであれば大変素晴らしいし、また、それを迅速に発表しているというのは、評価できる。今回、地下鉄を止めたり、Jアラートを鳴らしたりしたという報道は今のところ出ていないが、発射、分析、日本国内での対応という3つの流れが、迅速かつ正確に行われた結果であるのならば、日本国民にとっては安心のレベルが上がったといえる。もちろん、続報まで確認する必要はあるが。

    続けて、北朝鮮の意図について考えてみる。

    北朝鮮のミサイル発射の兆候については、既に昨日報じられていた。しかし、これは威嚇だけで、実際の発射には至らないと私は予測していた。それは、韓国に対北融和的な大統領が誕生し、昨日の記事にも書いたように、ノルウェーで米朝非公式接触が行われた直後に、北朝鮮自身が「トランプ政権が、我々に接近する姿勢を見せている」と評価し、さらに中国で開催されている2017一帯一路フォーラムに北朝鮮が代表団を派遣しているなど、「外交」が活発化している時期であったからである。

    米国は、一帯一路フォーラムに北朝鮮が参加したことについて、「北朝鮮を招待することは、世界が核・ミサイル問題で北朝鮮に圧力をかけている時期に、誤ったメッセージを送ることになる」と中国外交部に書面を送ったという報道があるので、この点については、北朝鮮を怒らせる一つの要因となり得る。

    『朝日デジタル』、「北朝鮮の「一帯一路」会議参加、米が懸念伝える」、https://news.goo.ne.jp/article/asahi/world/ASK5F6J9TK5FUHBI01P.html

    『聯合ニュース』を見ていたら、韓国合同参謀本部が、ミサイルの飛行距離は700キロと発表した。

    『聯合ニュース』、「합참 "北, 오전 5시27분 탄도미사일 발사…700여㎞ 비행"(속보)」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/14/0505000000AKR20170514008500014.HTML?template=2085

    Google Earthでこの範囲を見ると、韓国全土、日本は対馬、中国は北京市、ロシアはウラジオストックに到達している。日本海に落下としているので、もちろん北京や対馬は今回の発射では関係ないが、前回のように北東(ロシア方向)に向けたのか、真東に向けたのかは、現在のところ不明である。

    パンヒョン空港は、移動式発射台が確認された場所。赤い円はパンヒョン空港から約700キロの範囲。
    20170514 dprk missile from banghyon r700km
    Source: Google Earth

    『聯合ニュース』が、日本の分析を「速報」として伝えている。普段は逆であるが、それだけ日本政府の対応が迅速であったことを示している。

    『聯合ニュース』、「일본 "北미사일 30분 비행 …일본 EEZ 밖 동해상 낙하한 듯"(속보)」、http://www.yonhapnews.co.kr/international/2017/05/14/0602000000AKR20170514009800073.HTML?template=2085

    韓国大統領文ジェインは、NSCを招集したというが、まだ組閣が終わっておらず、朴槿恵時代の閣僚との会合になるという。そうしたことこからすると、NSCは総合参謀本部からの朝鮮人民軍の動向報告、韓国軍の警戒態勢報告などを受けるに留まるのではないかと思う。

    『聯合ニュース』、「文대통령, 北탄도미사일 발사에 NSC 첫주재…대북메시지 주목(종합2보)」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/14/0501000000AKR20170514008252001.HTML?template=2087

    日本首相は毎度おなじみの「断じて容認できない。ミサイル発射はわが国に対する重大な脅威であり、国連の安保理決議に明白に違反する」を繰り返しただけであるが、国際的にはそれが日本にできる全てであり、仕方がない。

    上で引用した、日本官房長官の発表報道を読んで不思議に思ったは、「約30分後に日本海に落下したとみられる」と言っている点である。このところ、北朝鮮から日本へのミサイル到達時間について記事にしようと色々と調べているのだが、きちんと計算するには、どうやら数学が苦手な私では到底解くことができない複数の数式が必要になるので、結局のところ分かっていない。加えて、その数式を適用したとしても、変数が多すぎて、なかなか正確には出せないということのようだ。ただ、北朝鮮が予告した上で発射したロケットが沖縄上空を通過したとされる時間を見ると、約10分かかっている。だとして、今回、西海ロケット発射場に比較的近い地点から発射したミサイルが、落下(着水)するまでに30分もかかっているというのであれば、以前もあったように非常に高角度で発射し、相当の高度まで上昇したのではないかと思われる。であるとすると、これは北朝鮮にとっては「大成功」の部類に入り、早ければ今日の「朝鮮中央TV」の中で「元帥様」の「革命活動」として紹介される可能性がある。「朝鮮中央通信」は、現時点ではこのミサイル発射を伝えていない。

    トランプは、この発射についてなにもツイートしていない。FBI長官解雇や「Fake News」との「闘い」で頭がいっぱいなのであろう。

    問題は中国である。一帯一路フォーラムに米日韓と北朝鮮代表まで招聘して開催されている最中のミサイル発射である。これは、中国の神経を逆なでしても余りある。しかも、上の地図で見られるように、ミサイルを北京に向けて発射していれば、一帯一路フォーラム会場を打撃できるかの如くの落下地点を選んでいる。一応、中朝間の舌戦は一段落付いたものとみていたが、もしかするとパイプラインによる石油供給で軋轢が残っているのかも知れない。

    また、カールビンソンが日本海に展開している中、今回は、日本海に落としている。非常に危険で挑発的な方向ではあるが、これもトランプ政権の態度変化を試すためなのかもしれない。同政権が「先制打撃」をさかんに口にしていたときは、北朝鮮もその危険度を認識して日本海に着水させるようなミサイルは発射しなかったが、今度は、同政権の態度が変わったということを見越して、日本海に落としている。そして、上に書いたように「大成功」という話になれば、トランプ政見はどう出てくるのか、依然として危ないが掛けといえる。もちろん、ノルウェーでの非公式接触で、「発射しても大丈夫」という確信を得ての発射なのかもしれないが、破れかぶれの挑発という可能性も完全にないとは言えない。現状、米側の反応は伝わってきていないが、中国の反応と共に注視しなければならない。

    <追記>
    もう一つの可能性としては、4月に実現できなかった「太陽節」の「祝砲」を1ヶ月後に打ち上げた可能性である。「太陽節」前後に発射したミサイルは、「自爆」させた事実上の「成功」であったとしても、国際的にも国内的にも目に見える結果としては「大成功」と誇れるものではなかった。しかし、今回の発射は、今のところ「成功」と見られるので、1月遅れはしたが、「太陽節」の「祝砲」と充分になり得る。「最高首脳部を狙ったテロ」への抗議という可能性もあるが、犯人まで特定して北朝鮮の「検察所」が引き渡し要求までしているのだから、ミサイルで殲滅させる話ではない。しかも、融和的な政権が誕生した「南朝鮮」を「前傀儡国情院一味」と共に吹き飛ばしてしまっては、話にならない。

    <追記2>
    「800km飛行」とのことなので、地図を修正した。

    20170514 800kmradius
    Source: Google Earth

    <追記3>
    文ジェインは、「国連安保理関連決議の明白な違反であるだけではなく、朝鮮半島はもちろん、国際平和と安全に対する深刻な挑発行為"유엔 안보리 관련 결의의 명백한 위반일 뿐 아니라 한반도는 물론 국제평화와 안전에 대한 심각한 도전행위"」と非難した。

    『聯合ニュース』、「文대통령 "北탄도미사일 발사, 안보리결의 위반…강력규탄"」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/14/0501000000AKR20170514017100001.HTML?template=2085

    <追記4>
    「朝鮮中央TV」、新しく出た「リョミョン通り」建設に「献身」した「元帥様」の活動を紹介する「朝鮮記録映画」を放送中。「リョミョン通り」で「太陽節」の「祝砲」は充分だと思ったのだが。米国との「決戦」を迎えた時期に、「元帥様」が「リョミョン通り」建設を決めたのは、「元帥様」の「度胸を世界を誇示した」と言っているのだから、それで充分なのに。

    <追記5>
    『聯合ニュース』によると、米太平洋司令部が、北朝鮮が発射したミサイルは「ICBMとは異なる」と発表したと報じた。

    『聯合ニュース』、「美태평양사령부 "北발사 미사일 비행, ICBM과는 달라"」、http://www.yonhapnews.co.kr/international/2017/05/14/0608000000AKR20170514013500009.HTML?template=2087

    そもそも、米国が言う「北朝鮮のICBM」の定義は曖昧であったのだが、今回発射したミサイルが「ICBMと異なる」としているのは、米本土に到達する文字通り「大陸間」ではなかったこともあるが、北朝鮮による中短距離のミサイル発射は、米国が「先制攻撃」の一つの条件として警告している「ICBMの発射とは異なる」という立場を明確にしたことになる。

    今後、一般的な声明として「明白な安保理決議違反」というような声明は国務省かホワイトハウスから形式的に出されるだろうが、その後、米国が何を言い出すかに注目する必要がある。

    <追記6>
    その系では、明日、ホワイトハウスの朝鮮半島担当官が訪韓し、韓国大統領らと会談することになっている点にも注目しておく必要がある。北朝鮮は、同担当官が訪韓する前にミサイルを発射しておけば、米韓当局者がそれをどのように評価・判断するのか、特に文ジェインが韓国の立場、米国との関係でどのようなスタンスを取るのかを見極めることができる。文ジェインは、「北朝鮮との対話の可能性は開かれているが、北朝鮮が誤った判断をしないよう挑発に対しては断固たる対応をしなければならない ( "북한과의 대화 가능성을 열어두고 있지만, 북한이 오판하지 않도록 도발에 대해서는 단호히 대응해야 한다")」と述べている。文ジェインのこの発言は、「断固たる対応」とは言っているものの、依然として「対話の可能性は開かれている」とも言っている。前者は米国も含む国際社会、そして韓国民へのメッセージであり、後者は北朝鮮に対するメッセージといえる。

    『聯合ニュース』、「美 백악관 한반도 담당자들 내일 방한…한미정상회담 조율」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/13/0503000000AKR20170513046200014.HTML?template=2087
    『聯合ニュース』、「文대통령 "대화 가능성 열어두되 北 오판 않도록 단호대응"(종합)」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/14/0501000000AKR20170514019300001.HTML?template=2085

    <追記7>訂正
    Global Timesをよく見たら、北京時間9時31分のスタンプがついた『新華社』報道が下の方にあった。

    Global Times, DPRK launches projectile believed to be ballistic missile: report, http://www.globaltimes.cn/content/1046801.shtml

    Global Timesは、北朝鮮のミサイル発射を日本時間の11時が過ぎるも報じていない。4月29日5時30分(日本時間)に北朝鮮がミサイルを発射したときは、Global Timesは『新華社』を引用しながら、8時23分(北京時間、日本時間9時23分)のタイムスタンプで報じている。

    Global Times, DPRK test-launches ballistic missile but fails, http://www.globaltimes.cn/content/1044623.shtml
    Global Times, Chinese president inaugurates Belt and Road forum, http://www.globaltimes.cn/content/1046802.shtml

    ところが今日は、『新華社』を引用しながらの第1報は、習近平による一帯一路フォーラムの開会宣言と基調演説である。中国にとっては、北朝鮮のミサイル発射どころではないというところが実状なのだろうが、習近平の同フォーラム開会宣言への「祝砲」が如く打ち上げたミサイルを中国はどう受け取るのか、今のところGlobal Timesに報道はない。

    <追記8>
    『聯合ニュース』がAPが専門家から聞いた話を引用しながら、今回発射したミサイルは4500キロ飛行可能と。到達高度は2000キロとしている。

    『聯合ニュース』、「美전문가 "北미사일, 정상발사하면 사거리 4천500㎞ "」、http://www.yonhapnews.co.kr/international/2017/05/14/0619000000AKR20170514030700009.HTML?template=2087

    もう少しでICBMになりそうな距離だ。
    20170514 dprk missile 4500km radius
    Source: Google Earth

    「全ての幹部と勤労者は、敬愛する金正恩同志の周りに固く団結した一心団結の威力で社会主義制度の政治的安全をしっかりと保衛していこう(群衆政治事業講義資料)」:北朝鮮の麻薬、淫乱ビデオ、性犯罪を記した内部資料 (2017年2月28日)

    脱北者から入手したという「全ての幹部と勤労者は、敬愛する金正恩同志の周りに固く団結した一心団結の威力で社会主義制度の政治的安全をしっかりと保衛していこう(群衆政治事業講義資料)」という北朝鮮内部資料を見ることができた。

    これまでも「内部資料」と言われるものの一部は見たことがあるが、今回はフルバージョンである。入手経路の詳細は不明であるが、北朝鮮から電子ファイルで流出し、それを北朝鮮外でプリントあうとしたもののようである。使われている語彙や分かち書きは北朝鮮の「文化語文法」によるものであるが、例えばㅌのように北朝鮮と韓国で使われるフォントが異なる語彙では、韓国フォントが使われている。

    この資料は、2016年5月の第7回党大会終了後から200日戦闘終了までの期間に発行されたものであることは文章から分かるが、具体的な日付は付されていない。

    この内部文書が発行された背景として、次のようなことが記されている。

    **************
    今、敵共は、「北の政治制度を崩壊されるためには、軍事的圧殺と経済的封鎖の外部適刺激と共に、内部瓦解のための心理戦が組み合わされなければならない。現代戦は、心理戦であり、まさに膨大な軍事兵力の代わりになる理想的な第4種の新たな戦争方式である」と騒ぎ立てながら、莫大な資金を使いながら、反共和国謀略団体、悪質な越南逃走車団体を扇ぎ、反共和国心理謀略策動に狂奔する一方、我々公民に対する「集団誘拐拉致事件」など、特大型人権蹂躙犯罪行為まで卑劣にここなっている。
    **************

    そして、北朝鮮の現実として、

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    特に重大なことは、思想的に変質した極少数の不純異色分子が、党と国家の繰り返される教養と寛大政策に面従腹背しながら、巧妙な方法で不純録画物をこっそりと見て、流布していることであり、性不良行為をはじめとした凶悪犯罪を起こしており、社会の政治的安全を危険にしていることである。
    ************

    としている。「極少数の不純異色分子」とあるが、「極少数」ではないので、「社会の政治的安全を危険にして」いるのであろう。こうした状況を踏まえて、北朝鮮は、

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    最近、社会で起こっている犯罪行為の深刻さのため、国家保衛省特別軍事裁判所では、社会の安定と人民の利益を侵害しながらのさばっていた人間の屑共を先軍の銃隊で無慈悲に掃討した。
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    としている。北朝鮮の一般警察機関を司る人民保安省ではなく、秘密警察を司る「国家保衛省」がこうした事件を担当し、しかも「特別軍事裁判所」で裁判を行ったとしていることからして、北朝鮮がこうした犯罪をどれだけ問題していているのかが分かる(後述するが、今回の資料に出てくる事例のほとんどは再犯者か尊属殺人者である)。また、「先軍の銃隊で無慈悲に掃討した」ということは、こうした「人間の屑」が銃殺になったことを示しているのであろう。

    この資料には、こうした「人間の屑」として、18の事例が挙げられている。

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    事例1:
    平安南道のある郡のとある工場で労働者として勤務していた安某野郎は、過去に軍事服務をしながら、不純録画物を視聴、流布した犯罪で不名誉除隊させられたが、改悛するために努力をするのではなく、共和国法に全面的に逆らい、2015年7月頃から露骨に性録画物と傀儡映画を購入、視聴し始めた。

    奴は、不純録画物の視聴、流布を防ぐための法機関の役割が強化されると、巧妙に20名余りの人々から隠密な方法で視聴するという一筆まで取り、10編余りの性録画物を流布させ、2016年1月からは、純粋な若い女性に一生を共にしようという甘い言葉を使いながら、よい映画を見せてやると誘惑し、連れ出しては性録画物から性関係場面だけを選んで視聴させながら、猥褻で変態的な方法で性不良行為を行った。
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    この資料に出てくる「人間の屑」は、このように再犯者が多く、18事例中9事例を占めており、再犯が「先軍の銃隊で掃討」される1つの原因となっている。内容からして、「性不良行為」は、強制猥褻罪であろう。

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    事例3:
    平安北道ある郡のある工場に勤務していたカン某野郎は、過去に賭博行為と麻薬密売行為で2回も犯罪処罰を受けたが、改悛するのではなく、共和国法に逆らい、「性関係は人間の本能だ」と露骨にほざきながら、2013年3月、共謀者である李某野郎と共に16歳の幼い娘を自分の家に連れ込み、麻薬を使用しながら交替で性暴行する犯罪を行った。

    以前から痴情関係にあった金某女性の家を訪ね、共謀者である李某野郎に性関係の方法を教えてやるといいながら、李某野郎が中学校を卒業したばかりのその女性の幼い娘を裸にし、猥褻な行為を行うよう強要する一方、彼らが見ている前で金某女性と麻薬を使用しながら、変態的な性関係を持ち、それでも不足し、金某女性の娘に野獣のように飛びかかり性暴行する醜悪な犯罪を行った。

    それだけではなく、奴は汚らわしく猥褻な方法で、何十回も金某女性の某娘だけではなく、若い娘と既婚女性をはじめとした数十人の女性を金と物で誘惑したり、無理矢理連れて行き、変態的な方法で輪姦することで、女性を精神道徳的、肉体的に完全に堕落させる絶対に許せない犯罪行為を行った。
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    この「人間の屑」は、再犯、強姦(=性暴行)、麻薬使用というフルセットの重犯罪を犯しているが、この資料に出てくる18の事例では、こうした犯罪の少なくとも2つ以上を同時に犯しているケースがほとんどである。特に、性犯罪と麻薬がセットになっていることが特徴的である。

    *****************
    事例8:
    新義州市ヨクチョン洞に住んでいる被扶養者・李某は、2013年7月から2016年4月まで、アプカン洞の被扶養者・金某をはじめとした数多くの対象に、65人民元を渡し、麻薬を売ってもらったり、不当な性関係を持ったりしながら、男性対象から受け取った麻薬3.65gを金某をはじめとした多くの人々と共謀し、27回にわたり使用する犯罪行為を行っただけではなく、この期間、13回にわたりドンハ洞の被扶養者・金某の家でヘバン洞の無職者チャン某他、多くの男を対象に売春行為をしたり、売春斡旋をする犯罪行為を行い摘発された。

    特に、新義州市ヨクチョン洞在住の被扶養者:李某は、2015年4月から2016年3月まで、金儲けを目的にピヒョン郡とヨムジュ郡の無職者達を自宅に連れて来て、無断宿泊させながら、彼らに軍部隊労働者である崔某など、10名の男性を紹介し、自分の家とミンポ洞の被扶養者・李某の家で12回にわたり、買収行為を行わせ、リョンサン2洞の被扶養者・金某から300人民元を受け取り、麻薬2gを譲り受け、多くの対象に密売し、吸煙器具まで提供するという犯罪行為を行い摘発処理された。
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    この資料の18時例の内、11事例が新義州で発生した事件である。新義州は中国・丹東対面の都市で、中朝間の往来が多いことから、中国から「淫乱録画物」や「傀儡映画」などが多く流入しているのであろう。

    また、事例8にあるように、事件に関わっているのが「扶養」あるいは「無職者」であるのも特徴的である。「扶養」というのは、事例の中で「被扶養者」と訳してあるが、専業主婦がそのほとんどであると思われる。北朝鮮では、仕事をしていない老人も「扶養」と呼ばれているが、この文書の事例を読む限りでは、「扶養」は「専業主婦」と考えてよいであろう。また、「無職者」という者も出てくるが、失業者か自分の意思で働かない人であろう。そうした人々が、麻薬密売や売春犯罪を犯しているということになる。

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    事例11:
    新義州の体育器具工場労働者金某は、2009年8月頃から2014年12月までポンブ洞の被扶養者・朴某をはじめとした多くの対象と50回にわたり麻薬を共謀使用し、朴暴の記憶機に入力されている敵対国性録画物1編を譲り受けて視聴し、軍事服務中であったベク某から傀儡TV劇2編と傀儡不純出版物50冊が入力されたTFカードを譲り受け、新義州鴨緑江総合食料工場労働者オ某、朴某と21回にわたり視聴、流布した犯罪で摘発処罰を受けたが、改悛できず、思想的に変質し、朴某と非法夫婦生活をしながら、既に視聴していた、敵対国性録画物を再現し、自分たちの変態的な性不良行為場面を携帯電話で撮影制作し、一人であるいは共謀視聴し、摘発処理された。
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    摘発された者が見ている「録画物」の出所は、「米国」、「傀儡(南朝鮮)」、「敵対国」とされている。「敵対国」がどこを示すのかははっきりしないが、中国で日本の「淫乱録画物」が大量に出回っていることからすれば、日本である可能性が極めて高い。

    また、この文書では、携帯電話で性行為を録画したという事例が2件ある。「共謀視聴」というのが、「不法的夫婦」が一緒に見たのか、あるいは第三者に見せたのかは分からないが、「記憶機」や「TFカード」があれば、北朝鮮製の「淫乱録画物」の独自作成も可能であろう。

    事例1でも軍事服務中に犯罪を犯しているが、「軍事服務中であったベク某」から不法録画物などを譲り受けたとしているが、人民軍も規律が乱れているのであろう。ただし、注意しなければならないのは、北朝鮮では人民軍人の数が大変多いので、その中に不心得者が出てくる可能性も当然高まる。

    この文書を読んでいて分かったのは、1回目の摘発では「処罰」されているが、今回は「処理」されているということである。「処理」というのは、「先軍の銃隊による掃討」(銃殺刑)を意味しているのではないだろうか。

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    事例13:
    新義州市マンポ洞の被扶養者・文某は、2012年8月から2015年10月まで、製薬資材供給所労働者朴某が
    企業所倉庫から不法に持ち出した麻薬製造物質を彼と共謀し1トンを譲り受け、10回にわたりホンナム製薬工場に勤務する朴某他3人に密売し、朴某、ハン某と共謀し、麻薬160gを密売したり、8回にわたり共謀使用する犯罪行為を行い摘発処理された。
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    北朝鮮で麻薬が蔓延しているとし、麻薬の材料となる物質をどのように入手しているのかと思い、覚醒剤製造法などをネットで検索してみた。化学の話なのでよく分からないが、検索して受けた印象としては、植物などを原料とし、一般的な道具で製造できるということのようだ。事例13では、製薬資材企業から原料を盗み出しており、その量も1トンと大量である。

    この他にも、通貨偽造と強盗、「家庭不和を引き起こした」父親を母親と共に殺害する尊属殺人などの事例が挙げられている。

    文書には、こうした事件が起こる社会的背景についても記されている。

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    原因は、次に、一部の機関、事業所の責任幹部の中で、企業所運営と社会的課題遂行を口実に、従業員と住民に「外貨稼ぎ」、「さらに多く稼ぎ」などの課題を与えながら、労働行政規律を著しく乱させることで、犯罪者達が犯罪をおかせる空間を作っているところにもある。

    今、一部の機関では、従業員と住民を「支援資金造成」の名目の下、組織思想生活から遊離させ、掌握統制を全く行っていないことから、彼らの中では仲間同士で酒を飲んだり、飯を食べたりし、グループ間での喧嘩をはじめとした暴力犯罪を行っている。
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    こうしたことことからすると、企業や機関本来の業務を行うよりも、「外貨稼ぎ」や「さらに多く稼ぎ」を従業員にやらせた方が、「実利」を得られるようになっているという実態が見えてくる。特に、中国元を中心とした外貨が多く流通している新義州などの辺境都市では、そのようなことがより多く発生しているのであろう。そして、自由に金稼ぎをやらせた結果、小規模の不良グループが形成され、グループ間の勢力争をする中、暴力事件も発生しているということなのであろう。

    また、文書では次のような女性の証言も紹介されている。

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    今回、自分の犯罪を骨に浸みるほど悔い、寛大に許された咸鏡南道のある女性は、「2013年に行われた公開闘争集会に参加し、逆賊野郎共の末路を直接目撃しながら、奴らの罪行に対する憤怒を吹き出させた私が・・・(中略)・・・私は、隣の家に住んでいる逆賊野郎が麻薬を使って、密売する悪い奴である解くことを知りつつ、彼が金を湯水の如く使うという噂を聞き、それを羨み夫に隣の家の主人のように金を稼いでこいと悪口を言った。そして、食料を買い、子供の学用品を入手するためには、金がなければならないという考えばかり先だち、麻薬密売の道に入った。国家的な統制品であるので、逮捕されれば自分だけではなく、全ての家族が無事ではないことを知っていたので、一度限りにしようと思った。しかし、日が経つにつれ、金に対する欲望が高まり、一度だけ、一度だけと密売しているうちに、麻薬使用者にまでなってしまい、逆賊野郎をはじめとした不健全な者達の籠絡物へと引きずり落とされ、精神道徳的異常者に転落してしまった。
    ***************************

    この主婦の場合、麻薬密売をしたが許されたことになっている。この文書には「公開闘争集会」という言葉が数回使われているが、「逆賊野郎共の末路を直接目撃しながら」と言っているので、「公開闘争集会」というのは人民裁判のようなもので、有罪が確定すると、その場で処刑されるようなものではないかと思う。

    また、この主婦の場合、食料と子供の学習用品入手のために麻薬密売に手を出し、最終的には自分も麻薬使用者になってしまったと告白している。

    そして、自分が麻薬密売で逮捕されれば「全ての家族が無事ではない」とも発言しており、しばしば言われる北朝鮮における連帯責任制度の一端が確認できる。

    こうした事例の後で、この文書では「元帥様」の「恩徳政治」を強調しながら、

    *******************
    いつも千万軍民の1人1人全てを自分の体の一部のように考えられ、骨病担った人、胸を病んだ人がいるのではないかと温かく見守って下さる敬愛する元帥様は、今回再び、重い犯罪の沼にはまっていた人々に彼らの1%の良い点、良心を大切に考えられ、犯罪を白紙化してくださり、再生の道を歩むよう千金をもっても買うことができない熱い政治的信頼と愛を抱かせて下りました。

    未だに我々全ては、今から3年前の2013年10月、社会の政治的安全を侵害した重い犯罪により極刑を受けて処刑されなければならなかった数百名の人々が敬愛する元帥様の大海のような恩寵の中で過去と決別し、人生の新たな出発をしたエピソードを昨日のことのように熱く思い出しています。
    *****************

    と、反省すれば救われると言わんばかりに、自主を呼びかけている。「元帥様」の「恩寵」を受けずとも、上記の18事例でも再犯者が多いことから分かるように、北朝鮮でも刑法が条文通りに適用されており、よく言われるように、「逮捕されれば処刑」ということはないようだ。

    しかし一方では、刑法が拡大解釈されているような記述もある。

    **********************
    我が共和国刑法第60条には、性録画物を搬入、制作、複写、保管、流布、視聴したり、そうした行為を再現しながら性不良行為をした場合、我々の制度を瓦解転覆しようという敵共の策動に加担する反国家犯罪行為として規定しており、第207条と第208条には、不法な麻薬使用、麻薬密輸、取引行為を反動的、反国家的、非社会主義的犯罪と規定しています。
    **********************

    と記されている。刑法第60条違反は、張成沢の罪状とされ、彼の麻薬使用もその罪状として挙げられていた。しかし、刑法第60条の条文を読んでも、「性録画物」に関する規定など書かれていない。

    **************
    朝鮮民主主義人民共和国刑法第60条(国家転覆陰謀罪)
    反国家目的で政変、暴動、示威、襲撃に参加したり、陰謀に加担した者は、5年以上の労働教化刑に処す。罪状が特に重い場合は、無期労働教化刑あるいは死刑及び財産没収刑に処す。
    ***************

    と記されている。「性録画物」の「視聴」などをすると、「敵共の策動に加担する」ことになるので、結果として「国家転覆陰謀罪」が適用されるということのようだが、恐ろしい拡大解釈のように思えてならない。しかし、「陰謀」なるものはどうにでも解釈できるわけで、安倍政権が制定しようとしている「共謀罪」でもそうした解釈が可能になりそうで空恐ろしくなった。

    北朝鮮刑法に「性録画物」に関する規定はないのかというと、きちんとある。

    *******************
    朝鮮民主主義人民共和国刑法第183条(退廃的な文化搬入、流布罪)
    退廃的で色情的であり、猥褻な内容を反映した絵、写真、図書、録画物と電子媒体のようなものを許可なく外国から持ち込んだり、制作したり、流布したり、不法に保管している者は、1年以下の労働鍛錬刑に処す。こうした行為の罪状が重い場合は、5年以下の労働教化刑に処す。
    ********************

    と書かれている。軽ければ1年の「労働鍛錬刑」、重ければ5年の「労働教化刑」となっており、無期懲役や死刑はない。恐らく、初犯の場合は、こうした刑罰が適用されるのであろう。「労働鍛錬」と「労働教化」の違いは今後調べてみる必要があるが、印象としては、「労働鍛錬」が炭鉱などで重労働をさせる刑、「労働教化」が「教化所(刑務所)」に収容され、重労働をさせられる刑ではないかと思われる。

    また、「性不良行為」に関する刑法条文もある。

    *************
    朝鮮民主主義人民共和国刑法第184条(退廃的な行為を行った罪)
    退廃的で色情的であり猥褻な内容を反映した絵、写真、図書、録画物と電子媒体のようなものを保管したり持ち込んだり、そうした行為をした者は、1年以下の労働鍛錬刑に処す。こうした行為の罪状が重い場合は、2年以下の労働教化刑に処す。
    ************

    第183条との違いは、「そうした行為をした者」という部分であるが、「そうした行為」が「退廃的で色情的であり猥褻」な行為ということなのであろう。印象としては、「わいせつ物」の範囲こそ異なれど、日本の「わいせつ物頒布等の罪」と「公然猥褻罪」を組み合わせ、さらにそれが「公然」でなくとも罰せられるというもののようである。ともあれ、罪状が重くても「2年以下の労働教化刑」であり、無期懲役や死刑にはならない。

    続いて、麻薬に関する条文を確認すると、

    *****************
    朝鮮民主主義人民共和国刑法第207条(不法麻薬使用罪)
    不法に麻薬を使用した者は、1年以下の労働鍛錬刑に処す。前の行為の罪状が重い場合は、5年以下の労働教化刑に処す。

    同208条(麻薬密輸、密売罪)
    麻薬を密輸、密売した者は、1年以下の労働鍛錬刑に処す。大量の麻薬を密輸、密売した場合は、5年以下の労働教化刑に処す。情状が重い場合は、5年以上10年以下の労働教化刑に処す。特に、大量の麻薬を密輸、密売した場合は、10年以上の労働教化刑に処す。第3項の行為の罪状が特に重い場合は、無期労働教化刑あるいは死刑に処す。
    ****************

    となっている。麻薬の使用については、比較的軽い刑(日本の場合は、単純使用・所持等で10年以下の懲役)となっているが、「密輸、密売」については、最高刑が死刑となっている(日本の場合は、営利目的の輸入・製造等は、無期または3年以上の懲役)。

    しかしながら、いずれも「反国家的、非社会主義的犯罪」とは書かれていない。拡大解釈すれば、犯罪全ては「反国家的、非社会主義的」ということになるのだろうが。

    こうした北朝鮮の「内部文書」と言われるものをしっかりと読んだのは初めてだが、北朝鮮の内情が少し見えたような気がする。ともあれ、「社会主義楽園」でも「堕落した資本主義社会」同様、苦労しているのだなと思った。

    「 転禍為福の奇跡」:uriminzokkiri-TV、咸鏡北道被害地域の新住宅紹介、日本語版 (2016年12月16日 「uriminzokkiri-TV」)

    16日、uriminzokkiri-TVにアップロードされた咸鏡北道被害地域の新住宅を紹介する動画。オリジナル日本語版。


    Source: uriminzokkiri-TV, 2016/12/16

    『太陽の下(Under the Sun)』:これを「最悪」と言うべきではない、資本主義国でも同じ演出、度合いの問題 (2016年10月3日)

    注文しておいた『太陽の下』が今朝、届いた。米国からの送料込みで4000円そこそこのDVDであるが、ドブに金を捨てたような気持ちにさせた(しかもやたらと高い)、どこぞの「モランボン楽団」DVDとは比べものにならない内容である。

    まず、この映画で使われている映像は、「朝鮮中央TV」の画面を間接的に撮影した場面以外は、全て独自の映像を使っている。一方で、『The Interview』のように「最高尊厳」を直接的に「冒涜」するような映像も一切ない。もちろん、この映画は、北朝鮮の人民抑圧や偽善性を告発する内容であるが、とにかく「最高尊厳」の直接的な「冒涜」はない。もしかすると、だからよけいに北朝鮮を怒らせて「最悪」という名誉の評価を得ることができたのかもしれない。

    この映画はロシアの取材班による北朝鮮の「ドキュメンタリー」映画である。「ドキュメンタリー」に括弧を付けてあるところがポイントで、北朝鮮側の非ドキュメンタリー化の試みを、ロシア側が「こっそりと」ドキュメンタリー化してしまっている。「エクストラ」として収録されている監督のインタビューで監督は、「北朝鮮側は技術に関する知識が希薄なので、赤いランプが点灯していなければ、撮影していないと思っていたようだ」と述べている。つまり、録画中を表示する赤ランプを何らかの方法で点灯しないようにし、撮影のために設置したカメラを回し続けたようである。したがって、映像は三脚に設置されたカメラで撮影されたように安定しており、いわゆる「隠し撮り」映像のような画面はほとんどない。同監督によると、北朝鮮側は毎日撮影後に映像をチェックしていたが、ロシア側はその前に見つからないよう、映像をコピーしたりして北朝鮮から持ち出したと言っている。

    しかし、興味深いことは、この映画を作る際に使われた多くのシーンが「やらせ」であることを北朝鮮側が、ロシア側に全て見せていることである。さらに言えば、北朝鮮側の監督とロシア側の監督が一緒に「やらせ」をしている点である。もちろん、北朝鮮側からは、「やらせ」と分からないような映画を作ることをロシア側に要求していたはずだし、そのために余計な映像は削除させようと努力していたのだろうが、映像は消えても、映画を撮影しているロシア側には、北朝鮮のこの種の映像が「やらせ」であるということは、伝わってしまう。「やらせ」場面を見ている感じでは、ドキュメンタリーではなく、ドラマを撮影しているように北朝鮮監督が出演者に演技指導をしている。

    北朝鮮側の「やらせ」は明白であるが、一方でロシア側もこの映画で「悲惨な北朝鮮」を見せようとする「演出」もしている。まず、この映画の中で使われるBGMは、撮影の際に収録された北朝鮮の楽曲以外は、全て短調の悲しく暗い感じの曲ばかりである。明らかに意図的な選曲である。また、効果音も使われているようで、LEDライトが故障で消灯する場面で、大きな電球か蛍光灯が切れるような効果音を入れている。また、主人公の少女が涙を流す場面をあたかも「少年団員としての誓い」を無理矢理言わされて泣いているかのような演出をしているが、その前に出てくる踊りの練習で涙を流す場面同様、「演技」がうまくできないから泣いているだけである。拙宅の「芸術家」も、ピアノがうまく弾けないと泣くことは時々ある。

    また、子供たちは思いどおりにコントロールできないことを示すように、授業中にニヤニヤしている子供や老兵の「つまらない」話しを繰り返し聞かせられながら、居眠りをしてしまう子供も出てくる。残念なのは、映画の中でどこを隠し撮りして、どこを北朝鮮にチェックされたのか明らかにしてあれば、北朝鮮の美化の意図がもっとはっきりと分かったであろうということである。特に、こうした子供の自然な姿を北朝鮮がどう考えるのかというところには関心がある。

    この映画を見ていて、一番吹き出した場面は、少女の父親が「責任秘書(この父親の役柄も北朝鮮側にコロコロと変えられたと,映画の中の字幕に出てくる)」の工場で、1度目の撮影では「目標を150%超過達成しました」と言っていたのを2度目の撮影では「200%超過達成しました」と言い換えている場面である。北朝鮮の「超過達成」はそもそもこの程度適当なものなのか、この「ドラマ」を撮影するために台本を書き換えただけなのかは分からないが、吹き出してしまった。

    この父親が働く工場の入り口を撮影する場面で、知らない人がフラッと歩いてきて、北朝鮮監督に押し戻されている。まあ「やらせ」ではあるが、この場面を見ながら思ったのは、資本主義国のテレビと同じだということである。某キー局の周辺で「お天気情報」か何かの野外撮影をしていた。お天気オジサン(オネーサンだったかもしれない)の後ろには、「通行人」らしき人々が集まってカメラの方を見ているが、実は、この「通行人」も選ばれた人で、他の「通行人」が混入しないよう、カメラの画角から外れたところに警備員が立って、人の流れを整理していた。所詮、テレビ番組というのは「演出」の賜であり、基本的には北朝鮮とやっていることは同じで、その度合いの違いだけなのだと思った。上に書いたロシアが使ったBGMも、もちろん北朝鮮の意図とは真逆の状況を作り出すための「演出」である。

    この他にも見ながらメモしたことはたくさんあるが、ネタばらしはこのぐらいにしておく。

    日本語字幕がついたDVDが発売されるのかは分からないが、英語字幕だけでよければ、今すぐにAMAZONに4000円払っても見る価値がある映画だと思う。字幕を読まなくても、HD画質で朝鮮人民の「肌のきめ細かさ」を見たり、老兵の「勲章」のデザインをチェックするだけでも見る価値はある。

    最後に、一つだけネタばらししておくと、銅像に供えられた花を回収する場面があり、リアカーに花束を投げ込んで回収する前に金属探知機で不審物をチェックしている(もちろん、ロシアの「演出」による金属探知機の音入り)。これを見ながら、やはり国情院のスパイが銅像爆破を狙っているのかなと思った。

    「喜びの中に運ばれてくる北部戦線の知らせ」:水害の様子を見せる写真、建設された新たな住宅の写真 (2016年10月23日 「uriminzokkiri-TV」)

    23日、uriminzokkiri-TVに掲載された「詩」。北朝鮮メディアがこれまで公開してこなかった水に流される家、被災地の様子、そして新たに建設された住宅などの写真を見ることができる。

    日本語字幕付き。

    Source: uriminzokkiri-TV, 2016/10/23
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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