中国、対北朝鮮政策変更か、「“双轨并行”」が「dual-track approach」から「parallel-track approach」へ (2017年6月8日 「中国外交部」)

    8日の中国外交部定例記者会見で、報道官が韓国・文ジェイン政権のカン・ギュンファ外相候補者が北朝鮮との対話に言及したことに関する質問に対して、「制裁は手段であり、目標ではない」とした上で、中国の従来の立場として、米韓軍事演習と核・ミサイル実験を中断する「"suspension for suspension"」と「“双轨并行”」に言及した。

    中文では「「“双轨并行”」」とこれまで通りなのだが、英訳では訳語が違っており、これまでは「dual-track approach」と翻訳されていたものが、「parallel-track approach」と訳されている。単なる翻訳者(通訳者)の語彙選択の違いなのか、意図的な変更なのかは不明であるが、中文では変更がないので後者の可能性は高い。

    しかし、「dual-track」が「非核化に向けた交渉と平和協定締結に向けた交渉」のdual-trackであったことからすると、「parallel-track」が「圧力と対話」をparalle-trackでと言っているような気がしないでもない。特に、前段で「制裁は手段であり」と言っていることからして、「制裁を加えながら、対話にも応じる」という並行(parallel)ではないかと、中文を確認をするまでは思ってしまった。

    今後、どのような英訳が出てくるのかに注意する必要がありそうだ。

    「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話」:安保理決議をでっち上げた米中を名指しで非難 (2017年6月4日 「朝鮮中央TV」)

    4日、「朝鮮中央TV」で北朝鮮「外務省スポークスマン談話」が放送された。「談話」では、「米国と中国が話し合ってでっち上げた」新安保理決議を非難し、「米国とその追従勢力」の「追従勢力」に中国が含まれるような表現を使っている。

    「朝鮮中央通信」に全文が公開されたら、詳細を追記する。

    <追記>
    朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話
    조선민주주의인민공화국 외무성 대변인담화

    我々の自衛的国防工業が段階的に、連発的に打ち上げた勝利の砲声に当惑した敵対勢力が、卑劣な班共和国制裁圧迫策動に発悪的にしがみついている。
    우리의 자위적국방공업이 다계단으로, 련발적으로 터쳐올린 승리의 포성에 당황망조한 적대세력들이 비렬한 반공화국제재압박책동에 발악적으로 매여달리고있다.

    3日、国連安全保障理事会は、核兵力強化のための我々の弾道ロケット発射を云々する「制裁決議」というものを再びでっちあげた。
    3일 유엔안전보장리사회는 핵무력강화를 위한 우리의 탄도로케트발사를 걸고드는 《제재결의》라는것을 또다시 조작해냈다.

    米国が中国と長い間「協議」し作り出したという今回の「決議」は、我々の核及びロケット計画と関連した団体と個人を「追加制裁」対象と規定した。
    미국이 중국과 오래동안 《협의》하여 만들어냈다는 이번 《결의》는 우리의 핵 및 로케트계획과 관련된 단체와 개인들을 《추가제재》대상으로 규정하였다.

    これに先だち米国は、独自の我が国に対する「単独制裁」を発表しながら、我々と関連しているというロシアなど第三国の企業と個人に対する「2時制裁」も発表した。
    이에 앞서 미국은 자기들대로 우리 나라에 대한 《단독제재》를 발표하면서 우리와 련관이 있다고 하는 로씨야 등 제3국의 기업들과 개인들에 대한 《2차제재》도 포함시켰다.

    朝鮮民主主義人民共和国外務省は、米国と国連安全保障理事会が、再び行った反共和国「制裁」策動を我々の核兵力強化を遮り、我々を武装解除させながら、経済的に完全窒息させることを狙った悪辣な敵対行為として激烈に断罪糾弾し、全面排撃する。
    조선민주주의인민공화국 외무성은 미국과 유엔안전보장리사회가 또다시 벌려놓은 반공화국《제재》책동을 우리의 핵무력강화를 가로막고 우리를 무장해제시키며 경제적으로 완전질식시킬것을 노린 악랄한 적대행위로 준렬히 단죄규탄하며 전면배격한다.

    奴らは、世界で最も完成した武器システムを永遠に独占し、核兵器現代化をはじめとした軍備増強に没頭しながら、他国は「核」や「弾道」という言葉が付いたいかなる実験も発射もできないということこそ、厚顔無恥な傲慢と独善、ダブルスタンダードの極致である。
    저들은 세계에서 가장 완성된 무기체계들을 영원히 독점해보겠다고 핵무기현대화를 비롯한 군비증강에 몰두하면서 다른 나라는 《핵》이나 《탄도》라는 말이 붙은 그 어떤 시험도, 발사도 하지 못한다는것이야말로 후안무치한 오만과 독선, 이중기준의 극치이다.

    2国が裏で勝手にでっち上げた「制裁決議案」を国連安全保障理事会で強圧的に通過させ、それを「国際社会の総意」で包装し、振りかざしているのは、国際的正義を踏みにじりながら自分たちの利益だけを追求する強権と専横の赤裸々な表現となる。
    두개 나라가 뒤골방에서 제멋대로 꾸며낸 《제재결의안》을 유엔안전보장리사회에서 강압적으로 통과시키고 그것을 《국제사회의 총의》로 포장하여 내리먹이고있는것은 국제적정의를 짓밟으면서 저들의 리익만을 추구하는 강권과 전횡의 적라라한 표현으로 된다.

    我々の核兵力強化は、米国がもたらしている前代未聞の核戦争の脅威と制裁圧迫策動を粉砕し、朝鮮半島と地域の平和と安全を守るだけではなく、真の国際的正義を実現するための正々堂々たる自主権の行使である。
    우리의 핵무력강화는 미국이 가해오고있는 전대미문의 핵전쟁위협과 제재압박책동을 짓부시고 조선반도와 지역의 평화와 안전을 수호할뿐아니라 진정한 국제적정의를 실현하기 위한 정정당당한 자주권의 행사이다.

    我が共和国に反対する「制裁決議」をでっち上げた国々が、、それを通して我々の核兵力の目映い発展を少しでも阻止ししたり、遮れると考えているのであれば、それは完全に誤算である。
    우리 공화국을 반대하는 《제재결의》를 조작해낸 나라들이 그를 통하여 우리 핵무력의 눈부신 발전을 조금이라도 지체시키거나 막아볼수 있다고 생각한다면 그것은 완전한 오산이다.

    奴らは、自分の卑劣で無分別な行為が、望むこととは正反対の結果をもたらすことをはっきりと見ることになるであろう。
    그들은 저들의 비렬하고 무분별한 행위가 바라는것과는 정반대의 결과를 가져오는것을 똑똑히 보게 될것이다.

    奴らが、今回、いわゆる対話太鼓も叩いたが、不当な前提条件を前提に「最大の圧迫」を加えながら、対話を云々するのは話にもならない。
    그들이 이번에 그 무슨 대화타령도 늘어놓았지만 부당한 전제조건을 내세우고 《최대의 압박》을 가하면서 대화를 운운하는것은 말도 되지 않는다.

    我々は、誰が何と言おうが、いかなる制裁圧迫を加えようが、国の自主権と民族の生存権を守り、本当の国際的正義を実現するために選択した核兵力強化の道から1センチも引き下がらず、最後の勝利に向かい、さらに力強く前進していく。
    우리는 그 누가 무엇이라고 하든 그 어떤 제재압박을 가해오든 나라의 자주권과 민족의 생존권을 수호하고 진정한 국제적정의를 실현하기 위하여 선택한 핵무력강화의 길에서 단 한치도 물러서지 않을것이며 최후승리를 향하여 더욱 억세게 전진해나갈것이다.

    米国とその追従勢力共が、朝鮮半島核問題の根源とその解決法とを認識し、正しい選択をするときまで、高度に精密化され、多種化された「主体弾」の壮快な雷鳴は、世界を震撼させながら、多発的、連発的に弛まなく打ち上げられるであろう。
    미국과 그 추종세력들이 조선반도핵문제의 근원과 그 해결방도를 깨닫고 옳바른 선택을 할 때까지 고도로 정밀화되고 다종화된 《주체탄》의 장쾌한 뢰성은 세계를 진감시키며 다발적으로, 련속적으로 끊임없이 터져오를것이다.

    2017年6月4日
    주체106(2017)년 6월 4일

    平壌
    평 양

    (ボールド、筆者)
    ***********************

    「米国と中国がでっち上げた」と怒っているが、中国は米国が並べたリストに反対して制裁項目を減らす役割をしたはずである。ロシアを比較に使っているので、米国が出してきたリストに中国企業が入っていたのを、交換条件を付けて中国が削除させたので「自分たちの利益だけを追求」と怒っているのかも知れない。中国が、この北朝鮮外務省にどのように反応するか見極める必要はあるが、さらっと流してしまうのであれば、こうした北朝鮮の反発が、「中国の制裁が効いている」と米国に思わせるための、それこそ裏ででっち上げた中国と北朝鮮の「茶番」である可能性もある。まさに、「自分たち(中国と北朝鮮)の利益の追求」には、その方がかなっていると思うのだが。

    煙台市福山区の石炭・鉄鋼埠頭に北朝鮮船舶、2万トン級も、中国は石炭輸入再開か (2017年5月21日)

    黄海での北朝鮮船舶の動きも活発になっている。南浦から出入港する船舶がたくさん確認できるだけではなく、昨日記事にした、竜口港に停泊している17000トンの貨物船や石炭・鉄鋼埠頭に着岸しているバルク貨物船がいるだけではなく、煙台市福山区の石炭・鉄鋼埠頭に北朝鮮船舶2隻が着岸し、沿岸には多くの北朝鮮船舶が停泊、さらにはもう1隻の17000トンの貨物船KATHERINA(CATHERINA)も石炭・鉄鋼港埠頭に着岸後、南浦に向けて航行している。

    やはり、中国が石炭輸入中断を発表した2月から4月までの状況とは、違っている。こうした多くの船の動き、しかも大型船を投入していることからすると、中国が北朝鮮からの石炭輸入を再開し、北朝鮮は、中断期間に蓄積された石炭を一気に輸出するために大型船を運航させている可能性がある。

    山東半島。煙台市という文字の左上の緑の丸が福山区の石炭埠頭。そこから真っ直ぐ左に向かった半島にある赤丸が竜口港の石炭・鉄鋼埠頭。
    20170521 yantai ryukou map
    Source: Google Earth

    煙台市福山区の石炭・鉄鋼埠頭付近の北朝鮮船舶(黄色でマーク)と17000トンの貨物船KATHERINA。KATHERINAの航跡の左端が上のGoogle Earth上に緑でマークした煙台市福山区の石炭・鉄鋼埠頭になる。北朝鮮のバルク貨物船UN BONG1(3600トン)とKWANG MYONG(6600トン)が埠頭に接岸している(埠頭にある2つの黄色マーク)。
    20170521 0940jst yantai kp ships
    Source: Marine Traffic, 2017/05/21 10:00JST

    煙台市福山港の石炭・鉄鋼埠頭。黄色いマークがある船が停泊していた位置にKATHERINAは接岸していた。石炭の山と鉄鋼の山の中間付近なのでどちらを降ろしていたのかは不明であるが、この写真に写っている船(KATHERINAではない)は、石炭を降ろしている。
    20170521 yantaifutou
    Source: Google Earth

    KATHERINAは、2015年12月時点ではマルタ船籍となっていた。北朝鮮以外の船会社が所有していたものを北朝鮮が2015年に新たに購入したのか、元々北朝鮮が所有している船で、安保理制裁決議などの影響を受け、船籍を北朝鮮に移さざるを得なかったのかは不明。
    20170521 katherine kp
    Source: Marine Traffic

    2月の石炭輸入中断後、入港拒否された北朝鮮船舶が1ヶ月以上港外に停泊しており、その後、「人道的支援」を受けるために接岸、北朝鮮に戻った。その後、4月は、北朝鮮船舶が1隻もいない期間が長く続いたが、5月になってからぼちぼちと現れ始め、21日現在は1隻が石炭・鉄鋼埠頭に接岸中、4隻が港外で停泊している。港外にいる船も、順次接岸しているので、2月の状況とは異なっている。
    20170521 1030jst ryokou kp ships
    Source: Marine Traffic, 2017/05/21 1030JST

    竜口港に2万トン級北朝鮮貨物船接近中:これまで見た中では最大級の北朝鮮の貨物船、他の貨物船も埠頭に次々と接岸 (2017年5月20日) 

    今朝の記事にも竜口港での北朝鮮船舶の動きについて少し書いたが、再び日本時間の18時頃確認したところ、総トン数17000トンのWISE HONESTが航行している。

    20170520 1803jst big kp cargo ship
    Source: Marine Traffic, 2017/05/20 1800JST

    17000トンという総トン数が、日本の海運ではどのような位置にあるのかと調べてみたが、なかなかよいデータが見当たらない。内航船なので、平均的なトン数が少ない可能性はあるが、平均トン数が499トン以下が67%、1000トン以上が16%で、6500トン以上に至っては、僅か1.7%というデータがあった。

    日本内航海運組合総連合会HP、船型別状況、http://www.naiko-kaiun.or.jp/about/about_naikou.html

    内航船と外航船の違いはあるが、17000トンは、やはり大きな船といえそうだ。Marine Trafficでは、船のサイズを丸や船形で表している。今(20日18時)東京港・横浜港に入港している貨物船を見ても、WISE HONESTクラスの船は、やはり相対的に少ない。

    この船は、2015年3月に報告されたときはENYという船名の韓国船籍であったが、同年8月にはSONG 1と船名が変更されている。いつから北朝鮮船籍船になったのかは不明であるが、ここ数年のことである。

    竜口港には、この他にも北朝鮮船籍船が2隻いて、1隻は石炭・鉄鋼埠頭に着岸している。港外で1ヶ月以上待機させられていた、2月中旬から4月にかけての状況とは変わってきている。

    今後のWISE HONESTの動きに注目したい。

    中国浙江省寧波市から南浦に帰港する北朝鮮タンカー (2017年5月19日)

    19日、中国浙江省寧波市から南浦に帰港する北朝鮮タンカー(KUMUNSAN3)がMarine Trafficで確認された。ウラジオストック港の北朝鮮タンカーは、停泊を続けている。万景峰号は、桟橋を離れ、港内に停泊している。

    20170519 0625jst
    Source: Marine Traffic, 2017/05/19 0625JST

    Google EarthでKUMUNSAN3がいた付近を見ると、多くの石油貯蔵タンクが確認できる。
    20170519ninpo port oil tanks
    Source: Google Earth

    浙江省寧波市には、国家石油備蓄基地があるという。
    Record China, 「国家石油備蓄基地を内外メディアに初公開―浙江省寧波市」、http://www.recordchina.co.jp/b32067-s0-c30.html
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

          dprknow

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