「[상식] 《자주》와 《자꾸》」(2012年2月29日「朝鮮中央TV」)

    「常識」という言葉と「자주」につられてみてしまった。どうつられたのかというと、「자주」を勝手に「自主」と解釈したのだ。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8607

    思えば、「自主」と「자꾸」を並べる理由はないのであるが、どうも「北朝鮮といえば、自主」とインプットされてしまっているようである。「ステレオタイプ打破」のために書いているブログなのだが・・・

    で、この番組は純粋に子供向け番組で、二つの言葉の用法の違いについて説明している。自分では、この二つの言葉の用法の違いは分かっているつもりであったが、番組を見て確信した。

    番組では、「자주」と「자꾸」の共通点と相違点について説明している。

    共通点は、「ある行動を反復する」ということ。
    しかし、
    「자주」は、「時間的に間が開かないように何回も繰り返す」という意味、
    例:순희는 도서관에 자주 간다. (スンフィは、図書館によく行く。)

    「자꾸」は、「休まず何回も続く」という意味、
    例:사람들이 자꾸만 찾아온다. (「異なる」人が何回もやってくる。)

    日本語に訳してしまえば、前者が「しばしば」、後者が「続いて繰り返し」というところだろうか。

    朝鮮の子供は、二つの語の用法をよく間違えるらしい。

    우리 어머니는 나에게 공부를 열심히 해야 최우등생이 될 수 있다고 "자꾸" 알씀하시군 합니다.
    (私の母は、私に勉強を一生懸命やらないと最優等生になれないと「いつも」言います。)

    の"자꾸"は"자주"が正しいそうだが、子供の気持ちとしては"자꾸"(口うるさく)ではないかと思うのだが・・・・

    例文は、全て番組に出てきたものである。

    「Remarks to the Media With Asia Bureau Director General Shinsuke Sugiyama」(2012年2月26日「U.S. Department of State」

    デービス大使の東京での談話が米国務省HPに出ていたので読んだ。

    http://www.state.gov/p/eap/rls/rm/2012/02/184661.htm

    北朝鮮との協議の内容については、「朝鮮日報」の記事を引用しながら拙記事に書いたとおりであるが、「ボール」については「北朝鮮側コートと米国側コートとの間で蹴り合」って、結果として「ボールは双方のコートにある」ということのようだ。やはり、メディアのレポートではなくて、当人の話というのは分かりやすい。今回の協議では、結果として「双方のコートにある」というよりも北朝鮮と「ボールを蹴り合った」ということの方に意義がある。これは、決して「物別れ」に終わったわけでも、どちらかが席を蹴ったというわけでもない。

    日本のマスコミでは、拉致問題について「デービス大使は北朝鮮側に伝えたが、特段の反応はなかった」ということが伝えられている。それは、本人の話を読んでもそのとおりである。ただ、読み続けていくと、デービスさんの個人的考えなのか、それとも米国の考えなのか、ま、大使としての発言なので後者なのだろうが、「これは外交問題なので、拉致問題は『You(あなた方=日本)』が機会がある毎に北朝鮮に訴えていかねばならず、北朝鮮と外部世界の関係正常化の中で解決されるべき問題である」と言っている。これは、実に重要な発言で、日本に対して拉致問題を解決したいのであれば、米国に頼らずにもっと自ら動きなさいよというメッセージではないのか。そして、その動く方向の少なくとも一つの選択肢として、「関係改善」も考えなければならず、それがなければ拉致問題は解決しませんよという米国のメッセージではないだろうか。

    別の項目に使用可と思ったのだが、米国務省つながりなのでこちらに書いておく。2月27日の米国務省における定例ブリーフィングで、国務省のヌーランド報道官は「核問題と栄養援助はリンクさせない」と明言している。

    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/02/184768.htm

    しかし、「聯合ニュース」が配信した「北核開発中断が食糧支援の前提=米太平洋軍司令官」という記事では、「米太平洋軍のロバート・ウィラード司令官は28日、米上院軍事委員会の公聴会に出席し、北朝鮮が食糧支援交渉を進めるための前提条件として、核開発計画と弾道ミサイル試験の中断と、国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れが必要」であると報じている。この発言のソースはまだ確認していないが、そうであるとすると国務省と軍部の見解が異なるということになる。この問題は、「人道」を掲げる米国を常に悩ませてきたが、今回もそのようである。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120229-00000012-yonh-kr

    「栄養」にせよ「食料」にせよ、いったん北朝鮮の手に渡った後の流れを追跡するのは非常に困難である。ただ、WFPなど援助機関のレポートを読むと、北朝鮮側も「朝鮮語を解する援助要員」の参加を認めたり、調査ができる地域を拡大するなど、協力的な姿勢を見せているようである。ともかくも、必要なところに必要な食料(栄養)が迅速に届けられるよう、米朝だけではなく国際社会は迅速に取り組むべきである。

    「北朝鮮のサイバー機関と接触 PC不正輸出容疑の社長」(2012年2月22日「47NEWS」)

    昨日も「朝鮮総連系団体を家宅捜索 外為法違反容疑、警視庁」(http://www.47news.jp/CN/201202/CN2012022801001473.html)という記事が出ていたが、その数日前に出た記事である。

    http://www.47news.jp/CN/201202/CN2012022201001068.html

    なぜ、この記事に注目したのかというと、「不正輸出」されたPCが北朝鮮に持ち込まれてからの使い道である。記事では「大半は平壌市内のコンピューター関連会社を通じて闇市に流れたとみられる」としているが、平壌のコンピュータ関連会社は誰が経営しているのだろうか。労働党関係者、朝鮮人民軍、それとも金正日(当時)の秘密資金確保機関、いずれにしてもそこで儲けた金は北朝鮮指導部に流れる。

    また「一部がKCC(朝鮮コンピューターセンター)にも流れた疑いもあり」としているが、果たして輸出したPCはどのようなスペックのものであったのであろうか。KCCがサイバーテロを企てているのであれば、そのために使われるPCは「武器」なので、日本から不正輸出された低スペックのPCなどを使わず、中国から堂々と輸入した高スペックのPCを使うはずである。

    記事が指摘している上記の可能性を完全に否定することはできないが、輸出されたPCが比較的古い低スペックのものであれば、学校、図書館など、教育現場や「人民生活向上」のための経済活動を行う企業にも流れたのではないだろうか。もちろん、それは金正日さんの「恩情」だの「配慮」だのという形で支給されたはずだが、そうだとしても朝鮮の子供たちがコンピュータを学ぶ機会につながる。どうも、北朝鮮への「不正輸出」というと「軍事転用」だとか「金正日一族の贅沢品」というイメージがつきまとうが、北朝鮮とてそれだけではない。また、北朝鮮を「普通の国」「良き隣人」にしたいのであれば、「圧殺」以外の方法もあるはずである。少なくとも「圧殺」すべき部分とそうではない部分を分けた対応が必要ではないだろうか。

    「公安部が流通経路を調べている」そうだが、公安部はどこまで調べられるのか。

    <社説>「朝鮮労働党代表者会を高い政治的熱意と輝かしい労力的成果で迎えよう」(2012年2月29日「労働新聞」)

    「労働新聞」の社説である。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-02-29-0001

    4月中旬に招集されている党代表会についての記事なので、しっかり読んでみた。記事ではまず、「今回の代表者会を契機に思想と指導の唯一性が確固たるものとなり、先軍革命の強力な政治的参謀部として威厳のある我々の党の地位と役割がさらに高められるであろう」としている。「思想と指導の唯一性が確固たるものとなり」としているところから、やはり金正恩さんの総秘書推戴を計画しているのであろう。

    次に「代表者会は、党の指導に従い社会主義強盛国家建設偉業を勝利的に前進させることにおいて、画期的転換の契機となる」、「強盛国家建設において必ずや決定的転換を達成しようとする千万軍民の革命的熱意をいっそう培うことになるであろう」としている。「画期的転換」とは何を指しているのであろうか。金正恩「総秘書」が新たな政治指針を出すということなのか。そして「強盛国家建設」が一段落付いたということで、「革命的熱意をいっそう培う」次の何かを出すのであろうか。

    ともあれ、その「政治指針」あるいは「何か」は、「将軍様の思想と業績を1mmの偏差もなく・・・具現していかなければならない」としているので、「先軍政治」から大きく離脱することはないであろう。現実的に金正恩さんの実力では「できない」といった方が良いかもしれないが、できるとすれば理念的に「先軍政治」と言っておきながら、「実利」部分を強化していくことだろうか。「実利」であれば、金正日さんの考えと1mmの偏差もないはずである。

    そして、最後の方で「敬愛する金正恩同志を首班とする党中央委員会の周りに固く団結し」といっている。金正恩さんは、現在、「党中央委員会の首班」でないことは、過日の拙記事で「朝鮮労働党規則」を読んだ限りでも明らかである。「党中央軍事委員会副委員長」である。確認のためにもう一度書いておけば、「22.朝鮮労働党総秘書は、党の首班である」とあるように、総秘書(労働党書記局総書記)になって初めて首班となる。これも金正恩総秘書推戴を予告する記述である。

    さて、代表者会では「2012年に人民生活向上において決定的転換を引き起こす雄大な構想を展開し、生涯の最後の瞬間まで超強度強行軍の道を歩まれた」将軍様の「雄大な構想」をどのように評価し、「新たな100年」に向かっていくのであろうか。

    それにしても、「労働新聞」はこちらが欲しい情報の何十倍もの文字が入っている。朝鮮人民はこの文字の洪水の中から必要な情報を読み出す能力に長けている、いやそうなるように訓練されているのであろうか。あるいは、「必要な情報」は実は「必要な情報」ではなく、「偉大さ」などだけが必要なメッセージなのであろうか。

    「ソウル市立交響楽団音楽監督一行到着」(2012年2月28日「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」は、「ソウル市立交響楽団の音楽監督であり、フランスラジオフィルハーモニー管弦楽団の音楽監督である鄭ミョンフン一行が28日に平壌に到着した」と動画付きで報じた。

    インターネットで検索したところ、鄭明勳さんは韓国の著名な指揮者・ピアニストで、日本との関係では東京フィルの特別芸術顧問としても招請されたことがあるそうである。

    南北関係が険悪な中、韓国政府が鄭明勳さんの平壌訪問を許可し、またそれを北側が受け入れたのは良い話だ。「朝鮮中央通信」の報道を見る限りでは、3名での訪朝のようである。訪朝期間中の日程について「朝鮮中央通信」は触れていないが、コンサートの指揮でもするのであろうか。

    <朝鮮映画>「初めての道(旅)」<後編>(2012年2月26日「朝鮮中央TV」)

    今日は、「ウリミンジョクキリ」のサーバーが軽く、1時間そこそこで500MBのファイルがダウンロードできた。昨日見た「超行みち」の後編である。タイトルであるが、「超行みち」は考えすぎのようだった。最近、北朝鮮が金正日さんの現地視察を「超強度行軍」としばしば形容しているので、それと結びつけてしまったのだが、「初めての道(旅)」の方が適切かもしれない。後で、前編の方も修正しておく。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8581

    さて、「副委員長」は死ななかった。思えば、主人公がここで死んでしまったら、話が終わってしまう。副委員長は、「日帝」の銃弾を10発も受けたということで、それが体調不良の原因のようである。副委員長は、体調不良を押して激務続ける。前編に書かなかったが、元資本家の靴下工場の社長が出てくる。この社長は「人民に柄がある靴下をはかせよ」という副委員長の命を受け、資材・設備不足など困難な状況の中で良い靴下を生産した。副委員長は、それを見て大喜びし、すぐに将軍様(金日成さん)に見せに行くと将軍様の執務室に向かった。この社長の工場の名前は「テソン靴下工場」で、最近の「朝鮮中央TV」の経済ニュースにもしばしば出てくる。

    副委員長は、将軍様から「我が国の技術で機関銃を作れ」という新たな命令を受けていた。そして、前編の中である工場で見つけてきた技術も指導力もある労働者を「将軍様の信認」により、銃器工場の社長に任命する。この銃器工場の社長は苦労して試作品を作り上げるが、スプリングに使う金属に質的問題があり、失敗する。スプリングの質的問題、つまりここでまた鉄の問題に話が戻っていく。

    さて、ソウルに送った技術者であるが、実は日本人の下で働いたということで解放後にソウルに逃げた友人を連れ戻すためである。その友人は、ソウルで貧しい暮らしをしていた。ソウルの街や人々は一切登場しない。友人は、「将軍様が呼んでいる」という話を聞き、家族と共に北に戻ることを決意する。ちなみに、ソウルにいるこの技術者のフィアンセについては、「もう別の道を歩んでいた」という程度で会うこともなくさらっと流してしまう。

    映画には、兵器副局長なる人物が悪役として登場する。この人物は、「ソ連派」のようで、抗日戦線当時はソ連にいたような設定になっている。そして、何でもかんでも「先進国の技術を使え」という主張をして副委員長と衝突する。問題のスプリングについても、「先進国(ソ連?)から輸入する取り決めをした」と銃器工場で自慢げに副委員長に書類を見せる。副委員長は激怒し、その書類をその場で破く。そして「将軍様は、我が国の技術で機関銃を作れと命令しているのに、その心臓部に外国の部品を使うとは何事か」といい、「お前の机の上には解任状が置かれるだろう」と兵器副局長を追い出す。自力更生と金日成さんの権力闘争における「ソ連派」粛正を象徴しているかのようにである。

    さて、ソウルから連れ戻した技術者と一度は放棄しかけた製鉄工場の副局長の努力で鉄鋼生産問題が解決し、スプリングもできた。副委員長が試射を行うが、標的のど真ん中を射貫く。どこかで聞いたような話だが、これは少し前の拙記事に書いた金日成さんが北朝鮮で初めて作った機関銃を試射した「史跡」工場の話である。もちろん、映画には金日成さんは出てこない。電話の声だけである。

    映画は、金日成さんが温情で新聞広告を出してくれたおかげで、生き別れになっていた息子と副委員長が再会し、そのお礼をするために金日成さんの執務室への階段を上るところで終わる。

    で、「初めての道」というのは、自力更生で何でも独自の力でやってみようと「初めての道」を歩むというところから来ているのであろうか。

    映画としてはおもしろいと思う。

    「千万の心を打つ時代の名作-芸術映画《願い》制作関係者らと共に-」(2012年2月28日「朝鮮中央TV」)

    こんな「座談会」が掲載された。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8594

    最近制作・上映されている「願い」という映画についての座談会に、この映画の主人公、作家、脚本家などが参加している。どうやら、この映画は金正日さんが亡くなる直前に現地指導した映画のようで、座談会はまずその話から始まる。映画は、「平凡な軍人家族」を取り扱った内容ということで、「実話」に近いそうだ。「軍人家族」の夫は熙川発電所の建設に携わった軍人建設者で、その功績を認められて「良い生活」を「保障」してもらったとのことである。しかし、妻は「良い生活」に甘んじることなく、家事・子育て、歌手業の傍ら農作業にも献身する。曰く、「自分たちは将軍様に『願う』ことばかりしてきた。しかし、これからは将軍様の『願い』をかなえるように生きていかなければならない」ということだ。

    で、この座談会の中で語られる金正日さんの逸話はいくつかあるのだが、その一つが熙川発電所の建設現場を現地視察したときの逸話である(これは、映画の一場面にもなっているようだ)。なんでも、建設現場に向かう道はとても険しい道だそうで、車で坂を下るときも怖くて車から降りたくなるほどの道だそうだ。また、現場も落盤事故などと隣り合わせの場所だという。ま、そんな劣悪な環境で朝鮮人民を働かせるのはいかがなものかということはさておき、そのような場所まで金正日さんがヘルメットもかぶらずに現地指導に訪れたそうだ。どこまでがノン・フィクションかは分からないが、金正日さんの現地指導が実に精力的であったことは分かる。こうした現地指導は、国営メディアを通じてだけではなく、口コミでも朝鮮人民の間に広がっていったのであろう(良い意味でも悪い意味でも)。ちなみに、映画の一場面では視察にやってきた金正日さんのことを「将軍様」ではなく「最高司令官同志」と呼んでいる。制作された時期からして金正恩さん就任前だが、意図的になのだろうか。

    また、この映画では北朝鮮の電力事情が非常に悪いことを正直に認めている。金正日さんの指示で映画では「日常的に使う言葉」を使うようにしたとのことであるが、その一つに「電気が来た(より直訳的には、電灯がついた)」という言葉を使っている。また、クラスの作文コンテストで18番(1番ではないところが、ノン・フィクションとのこと)になった子供の作文に「家に熙川発電所の電気が来るようになったら、お母さんが新しいコンピュータを買ってくれると言った」と書いたとしている。「新しいコンピュータ」はさておき、やはり電気がいつも来ていないのが「通常」であるということが分かる。

    3.11直後、東京電力管内では計画停電を経験した。1日にわずか数時間の停電ではあったが、電気が来ることが「通常」の我々にとっては、とても大変なことであった。北朝鮮では、水力発電所を中心に発電所建設に取り組んでいるが、発電設備だけではなく、ロスの大きな送電設備も大きな問題である。これは、原子力発電所を建設したところで同じことである。

    北朝鮮には、「なんだ停電かよ」と不満を言う時代がいつ来るのであろうか。「ウリミンジョクキリ」にアップロードされたら見たい映画である。

    <追記:2012/03/05 9:48>
    数日前だが、この座談会の後編を見た。そしたら「所願」が何であるか分かったのであるが、それは金正日さんと写真を撮ることであった。どうやら、この軍人家族の夫は仕事熱心ああまり、金正日さんが熙川発電所にやってくる日に別の建設現場に行ってしまい金正日さんと写真を撮れなかったようである。それが原因で奥さんを悲しませたとのこと。で、次の金正日さんでは「所願」がかなって一緒に写真を撮ることができ、奥さんは大変喜んだと。北朝鮮報道では、金正日さんや金正恩さんがどこそこに視察や現地指導に行き、「愛の写真を撮った」とよく言っているが、その意味がやっと分かった。この映画には、その愛の写真を立派な額に入れて一人一人に表彰状のように渡す贈呈式のワンシーンがあるのだが、受け取る夫も夫人も涙している。写真自体のありがたみもあるのだろうが、副次的な利益があるのかも気になるところである。

    「<断想>遠回りする退勤路」(2012年2月28日「労働新聞」)

    万寿台地区住宅建設に動員される朝鮮人民の一端が現れた記事が出ていた。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-02-28-0031&chAction=L

    「遠回りする退勤路(家路)」と題されたこの記事は、労働新聞記者が偶然聞いた二人の青年の会話から始まる。

    「ウィソンさん、毎日夕方、こんなふうに退勤路を遠回りして疲れないの。」
    「いや、むしろ習慣になって、今となってはこの道を通るとむしろ気持ちが楽だよ。」

    この会話を聞いて、記者も「遠回りする退勤路?」と思ったそうだが、私も同じことを思った。さらに読み続けると、二人の青年がいたのは、「万寿台地区建設場へ向かう人波の中」であったそうだ。万寿台建設に「ボランティア」が動員されているということについては、非北朝鮮メディアを通じて伝えられていたが、この記事では「人波」ができるほど動員されているということが分かる。さらに、「彼らが退勤路を遠回りして、毎日夕方から翌日の明け方まで行った作業量は数字を見ても実に大変な量であった」としている。この記事は、当然のことながら、こうした「ボランティア」精神を称賛・鼓舞するためのものなので、「翌日の明け方」と誇張して書かれているのだろうが、そうではないとしても夜中まで作業をしているのであろう。こんなことをしていては体が持たないばかりではなく、翌日の本務に多大な支障が出ることは明白である。そして、万寿台住宅には誰が住むことになるのであろうか。自分の家になるのであれば、「ボランティア」にも精が出るであろう。しかし、他人の家の建設では、疲れて寒い中、早く家に帰って休みたいはずだ。北朝鮮に「一人はみんなのために、みんなは一人のために」というスローガンがある。ディズニーチャンネルに出てくるミッキーマウスも同じことを言っているのだが、ミッキーマウスの住むファンタジーの世界と現実は違う。

    記事は「それは、決して遠回りの道ではない。まさに偉大な先軍霊将(金正恩さん)の歩みに従い、いつもまっすぐに進む我らが時代の青年たちの生き様と闘争の直線走路ではないのか」と締めくくっているが、果たしてそうなのか。

    <朝鮮映画>「初めての道(旅)」<前編>(2012年2月26日「朝鮮中央TV」)

    こんな朝鮮映画が掲載された。なお、タイトルの日本語訳は間違っているかもしれないが、映画の内容からして恐らく正しいと思う(後編の記事参照)。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=8580

    この前編のみダウンロードして、鑑賞した。後編は今もダウンロードを試みているが、20KB/S以下の遅さで途中で中断されてしまうであろう。映画のファイルは500MB以上あるのでとてもこの速度では無理だ。私のインターネット環境だと「ウリミンジョクキリ」の動画ファイルは、調子が良ければ150~200KB/Sでダウンロードできる。しかし、今日はなぜかとてつもなく遅い。「キーリゾルブ」訓練の一環として、北朝鮮系サイトにサイバー攻撃を加えているとは思えないが、この遅さではどうにもならない。金正日さんが死去した際には、サーバーへのアクセス集中現象のためか一時的にダウンロードができなくなったり「ウリミンジョクキリ」が開けなくなったことがあったが、今はそういうこともないと思う。

    で、後編は未だに見られないのだが、前編を見た。ストーリーは解放直後の製鉄所を巡る話である。何年に制作された映画か分からないが、白黒なので60~70年代であろうか。前編を見た限りでは、「副委員長」なる人が工場労働者と幹部、そして金日成さんの間に入り奮闘する様子が描かれている。「野戦列車」ではないが、列車に乗って移動する場面がとても多く登場するので、金正日さんの「野戦列車」にかぶせて古い映画を今更持ち出したことは容易に想像できる。前編がそこで終わっているので死んだのかどうかは分からなが、「副委員長」は列車の中で倒れてしまう。登場人物には、元資本家やインテリ、そしてソウルの大地主の娘と婚約をした技術者なども出てきておもしろい。これも後編を見ないと分からないのであるが、「副委員長」は、この技術者にソウルに行くことを命じている。解放直後で、38度線を自由に行き来できた時が時代設定であろう。

    「日帝」が作った製鉄所をどうするかを巡り映画では議論になる。この製鉄所では、「日帝時代」に朝鮮人が酷使されていて、劣悪な労働環境(工場設備)の中で多くの朝鮮人が死んだ(感電死)ということになっている。解放直後、朝鮮の再建には鉄が必要であった。愛国的な工場労働者は、「決死隊」を組織して「日帝」の劣悪な工場設備をそのまま使いながら鉄鋼生産を続けていた。で、「副委員長」、工場長、技術者、決死隊労働者の間でこの工場をどうするかで議論が起こる。ただし、この時点で、将軍様(この当時は金日成さん)が「副委員長」に工場爆破をする考えを伝えていた。その理由は、労働者のために安全な工場を再建するということもあったが、「日帝」への怨念を晴らすということの方が重要であった。

    で、長々とストーリーを書いてきたのであるが、言いたいことは、「将軍様の命令(決定)」の威力である。議論の中では、朝鮮工業復興のためには鉄が必要であること、工場再建(電気炉導入)については技術的に問題があることなど、実に合理的な理由で議論がなされている。しかし、「副委員長」が「将軍様の決定には従わなければならない」というと、一同黙ってしまう。この映画は、「唯一指導体制」が確立された後に制作されたものであるから「将軍様の決定」が全てとなってしまうのであろうが、本当の解放直後はこのような議論は活発に行われいたのであろう。

    「人間は誰でも間違いを犯す」という発想がなくなると恐ろしいことになる。前に書いたかもしれないが、CSISの金正恩時代についてのシンポジウム動画の中でVictor Chaさんが「28歳は(アメリカ人だろうが朝鮮人だろうが、若造だから)間違いを犯す」と言っている。金正恩さんについていうのであれば、実に正しい。ただ、もっと一般化すれば、「28歳だろうが50歳だろうが、69歳だろうが間違いを犯す」と言うべきであろう。

    後編はまだ15%しかダウンロードできていない。諦めて明日にするか。

    <追記:2012/02/28 14:05>
    「後編」の記事に書いたが、映画のタイトルを修正した。

    「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話」(2012年2月27日「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が米韓合同演習を非難する記事を連続で掲載している。

    この記事では「せっかく朝米会談が開かれているときに、その雰囲気に全く合わない殺伐とした火薬の臭いをわざわざ漂わせようというところに、米国の強盗的な傲慢さと意図の不純性がある」と米国を強く非難している。そして、「今日のような情勢に対処し、ずっと前から先軍の道を歩んできて、今も変化なく歩んでいる我々を力で脅かしたり試そうとするのであれば、それほど大きな誤算はない」とし、「我々は対話にも戦争にも万端の準備ができている」としている。

    さらに、「米帝は南朝鮮軍<キーリゾルブ>合同訓練を開始」、「南朝鮮、予備軍軍事演習を行うことを公表」などの記事でも米国と韓国を非難している。

    一方、「米朝協議に参加した朝鮮代表団帰国」という記事で、動画と共に空港に到着した代表団の様子を掲載している。ただし、協議の内容については一切触れていない。

    「金正恩氏が中国の胡錦濤国家主席と握手する条件」(2012年2月26日「産経新聞」)

    金正恩さんの現在の肩書きは、この「産経新聞」の記事に書かれているとおり最高司令官と労働党中央軍事委員会副委員長だけである。4月に労働党代表者会議が招集され、金正恩さんの肩書き追加が云々されているが、肩書きと法制の関係がどうもややこしくてよく分からなかった。そこで、この記事を機に一度整理してみた。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120226-00000509-san-int

    まず、金正日さんが持っていた三大肩書きであるが、朝鮮労働党総書記、朝鮮国防委員会委員長、朝鮮労働党中央軍事委員会委員長である。

    まず、朝鮮労働党総書記について、関連法規(規則)を調べてみた。これは、金正恩さんが正式デビューした2010年9月28日に改訂された「朝鮮労働党規約」に書かれている。北朝鮮系メディアでの掲載を探してみたが、見つからなかったので、VOAが掲載しているものを参照した。

    http://www.voanews.com/MediaAssets2/english/2011_01/WPKCharter28SEP10.pdf#search=%27wpkcharter28sep10.pdf%27

    14. 각급 당조직의 최고지도기관은 다음과 같이 조직한다.
    1) 당의 최고지도기관은 당대회이며 당대회와 당대회사이에는 당대회가 선거한 당중앙위원회이다.
    (14.各級党組織の最高指導機関は、次のとおり組織する
    1)党の最高指導機関は、党大会であり党大会と党大会の間には、党大会が選挙した党中央委員会である。)

    21. 당대회는 당의 최고기관이다.
    당대회는 당중앙위원회가 소집하며 당대회 소집날자는 여섯달 전에 발표한다.
    (21.党大会は、党の最高機関である。
    党大会は、党中央委員会が招集し、党大会招集日時は6ヶ月前に発表する。)

    당대회의 사업은 다음과 같다.
    4) 조선로동당 총비서를 추대한다.
    (党大会の事業は次のとおりである。
    4)朝鮮労働党総秘書を推戴する。

    22. 조선로동당 총비서는 당의 수반이다.
    조선로동당 총비서는 당을 대표하며 전당을 령도한다.
    조선로동당 총비서는 당중앙군사위원회 위원장으로 된다.
    (22.朝鮮労働党総秘書は、党の首班である。
    朝鮮労働党総秘書は、党を代表し全党を指導する。
    朝鮮労働党総秘書は、党中央軍事委員会委員長になる。)

    今のところ「党大会」の予定はないので、4月に金正恩さんがこの党規約に則って総書記になることはない。また、党総書記と党中央軍事委員会委員長は「兼職」となっているので、こちらにも就任できない。(なお、本件については、過去の拙記事で間違ったことを書いたような記憶がある。)

    しかし、「規約」を読み進むと、

    30. 당중앙위원회는 당대회와 당대회사이에 당대표자회를 소집할수 있다.
    (30.党中央委員会は、党大会と党大会の間に党代表者会を招集することができる。
    당대표자회는 조선로동당 최고지도기관을 선거하거나 당규약을 수정보충할 수 있다.
    (党代表者会は、朝鮮労働党最高指導機関を選挙したり党規約を修正補充することができる。)

    とある。問題は、「朝鮮労働と最高指導機関を選挙」に総秘書の選挙も含まれるかどうかであるが、4月に、少なくとも党規約に則って、金正恩さんが総書記になるためにはこれしかないであろう。金正日さんは代表者会で「選挙」ではなく「推戴」で総秘書になっている。「労働党規約」でも明らかに「推戴」と「選挙」は使い分けているので、金正日さんの「推戴」は超法規(超規則)的措置であったといえよう。金正恩さんにも同様の措置が適用されるのか。それで総秘書になれば、党中央軍事委員会委員長にも自動就任することになるので、3大ポスト2つに就くことはできる。

    さて、次は国防委員会委員長である。国防委員会は、朝鮮民主主義人民共和国憲法に規定されている。これは、北朝鮮系ウェブ「ネナラ」に掲載されているので、そちらを参考にする。

    http://www.naenara.com.kp/ko/great/constitution.php

    第6章国家機構第2節に「朝鮮民主主義人民共和国国防委員長」の規定がある。

    제100조: 조선민주주의인민공화국 국방위원회 위원장은 조선민주주의인민공화국의 최고령도자이다.
    (第100条:朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長は、朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者である。)
    제103조: 조선민주주의인민공화국 국방위원회 위원장은 다음과 같은 임무와 권한을 가진다.
    (第103条:朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長は、次の任務と権限を持つ。)
    1.국가의 전반사업을 지도한다.
    (1.国家の全般事業を指導する。)

    こうように、国防委員会委員長こそが、総秘書以上の権限を持つ北朝鮮の最高権力者ということになる。さて、ではこの委員長はどのように選出されるのか。

    順序が前後するが、同6章第1節には「最高人民会議」についての諸規定がある。

    제91조: 최고인민회의는 다음과 같은 권한을 가진다.
    (第91条:最高人民会議は次の権限を持つ。)
    5.조선민주주의인민공화국 국방위원회 위원장을 선거 또는 소환한다.
    (5.朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長を選挙または召還する。)

    この規定は実に微妙なので、同サイトの日本語版で確認をしてみたところ「選出または召還」となっていた。なぜ、日本語訳を訳出するに際して「選出」としたのであろうか。「選出」は必ずしも「選挙」によらなくても可能である。つまり、金正日さんのように「推戴」により「選出」されてもよいのである。ちなみに英語版ではelectとなっている。また、「召還」とは何を指しているのであろうか。

    ということで、現状では4月に金正恩さんが憲法に則り国防委員長になることはない。ちなみに、最高人民会議の開催は、

    제92조:최고인민회의는 정기회의와 림시회의를 가진다.
    정기회의는 1년에 1~2차 최고인민회의 상임위원회가 소집한다.
    림시회의는 최고인민회의 상임위원회가 필요하다고 인정할 때 또는 대의원전원의 3분의 1이상의 요청이 있을 때에 소집한다.
    (第92条:最高人民会議は、定期会議と臨時会議を持つ。
    定期会議は、1年に1~2次最高人民会議常任委員会が招集する。
    臨時会議は、最高人民会議常任委員会が必要であると認めるとき、あるいは代議員全員の3分の1以上の要請があるときに招集する。)

    となっているので、4月以降の任意の時期に招集されて、金正恩さんを国防委員長に「選挙」か「推戴」で就任させるということになるのであろう。

    一度整理しておくと、今後考えるときに役立ちそうだ。

    「朝鮮選手ワールドカップ柔道女子大会で金メダル」(2012年2月27日「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮女子選手、安グムエさんがワルシャワで行われた世界柔道ワールドカップ女子52キロ級で金メダル。
    北朝鮮では柔道ではなく「柔術」と呼んでいる。韓国では「柔道」のハングル表記。

    対戦結果が出ている国際柔道連盟のHP:
    http://www.judo-world.net/eju/world_cup/2012_warsaw/tta_menue_eju.php?modus=

    「むやみに暴れてはならない-朝鮮中央通信社論評」(2012年2月27日「朝鮮中央通信」)

    「キーリゾルブ」訓練が始まって、初めての北朝鮮の反応である。

    事前にかなり強い語調で非難・警告をしていたのであるが、この論評では語調が少し弱まっている。過日の韓国軍による「西海5島」訓練の時には事後に何の論評も出されなかったが、今回も非難を繰り返しながら、訓練を傍観するにとどまるであろう。

    北朝鮮にとっては、4月15日を乗り切ることが最大課題で、米韓と軍事的な小競り合いをしている余裕はないからだ。対内向けには、金正恩さんがヨンピョン島を攻撃した部隊を「風が強く吹く中、おにぎりで昼食を済ませながら」視察し、「滅敵の砲弾を装填し命令を待つ軍人」を満足げに眺めただけで十分であろう。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-02-26-0001

    今朝の「労働新聞」を眺めていて思ったのだが、米韓の軍事演習などを非難する副次的効果として、その非難を海外のメディアが取り上げて報道することにもあるようだ。「労働新聞」でも「朝鮮中央TV」でも、トップでどこそこの新聞が金正恩さんのニュースを伝えたということを報道するが、これが朝鮮人民に世界が金正恩さんに注目しているのだという自負心を与える効果を狙っているようだ。ましてや、米国のメディアや日本のメディアが報道したとあればなおさらである。もちろん、「どう伝えたのか」について具体的に言及するのは、中国やロシアのメディアに出た北朝鮮にとって都合の良い内容だけである。

    話を「朝鮮中央通信の論評」に戻すが、北朝鮮は今回の訓練を「今回の戦争演習は、明白に我々の哀悼期間を狙った戦争策動で、我々の自主権と尊厳に対する許しがたい侵害行為である」としている。以前に書いた拙記事では「太陽節をもって哀悼期間は終わったのでは」としたが、こちらでは哀悼期間はまだ続いているようだ。もちろん、「哀悼期間」は「米帝と李明博一味の非礼」を強調するためであろうが、それにしても、哀悼期間はどこかで終えなければならないはずである。

    無前提的に「北朝鮮=悪」とされているので、米韓の軍事演習はあってしかるべしということになるが、視点を変えれば、大規模な軍事演習を行っていない北朝鮮にとっては、それが「防衛的性格」であるなどということは受け入れられず、大きな威嚇であることは間違いない。そもそも、軍事演習の重要な目的の一つが威嚇であるからだ。北朝鮮は、3月に予定されている浦項での米韓合同「上陸演習」にも反発しているが、「上陸」は「奪還」のための上陸であるなどというのは口実で、「奪取」のための上陸であると捉えているのであろう。

    金正恩さんの部隊視察の記事を読んでいて、また一つ北朝鮮の単語を覚えた。「おにぎり」である。韓国では「주먹밥」、直訳すれば「げんこつ飯」というが、北朝鮮では「줴기밥」と言っている。軽く語源を調べてみたが、よく分からなかった。韓国にいた頃、韓国人のお年寄りとおにぎりの話をしたことがある。そのおじいさん曰く、おにぎりは「日帝時代」に日本人が持ち込んだものだそうだ。その遺産を南と北で別々の言葉に訳したということだろうか。

    「おにぎり」を確認したのは、「週間韓国」の以下のHP:
    http://weekly.hankooki.com/lpage/coverstory/201112/wk20111221140327121180.htm

    しかし、何でもすぐ分かる便利な時代になったものだ。

    「朝鮮国防委員会スポークスマン 軍隊と人民の打撃強度と打撃境界線には限界がないと言明」(2012年2月25日「朝鮮中央通信」)

    金正日死去後、恐らく初めての「国防委員会」単独の声明が出された。委員長も第一副委員長もいないのにだ。米朝協議が終わった時点でのこの声明にどのような意味があるのだろうか。

    まず、主な内容であるが、「我らの軍隊と人民は、民族反逆者一味と内外の好戦狂たちの新たな戦争挑発策動を我々式の聖戦で叩きつぶす」としている。当然、ここでいう「戦争挑発策動」は「キーリゾルブ」と「トクスリ」米韓合同演習である。そして、この声明の最後の方で、「いつでも米帝侵略軍の本拠地(複数)と反共和国軍事巣窟を我々の打撃圏に入れており、その気になれば一撃で叩きつぶすことができる」とし、米国本土も含む米軍と同盟国(日本も含む)に対するミサイル攻撃をほのめかしている。その上で「核兵器は米国だけが持っている独占物ではない。我々には米国の核兵器よりももっと強力な戦争手段と誰も持たぬ最先端打撃装備がある」としている。また「大洋を越えて遠距離に米国本土があり、安全であると考えるのであれば、それほど大きな誤算はない」とし、「侵略者を叩きつぶすための我々の軍隊と人民の打撃強度と打撃境界線には限界がない」としている。

    これまで、北朝鮮はこれほど露骨に米国本土に対する核攻撃をほのめかしたことがあるのだろうか。米朝協議が終了した時点でこのような声明を出した理由は、①米朝協議の結果にきわめて不満であるとの意思表示、②米朝協議における譲歩を国内向けに隠すために虚勢を張る、③国防委員会と労働党、あるいはその他の組織、場合によっては金正恩さんとの核開発譲歩に対する意見の食い違いが露呈した、④「西海5島」海域における韓国軍単独軍事演習時の「警告」と同じレベルの脅しのいずれかであろう。米朝協議の結果がまだはっきりしないので、何ともいえないが、もし前の「朝鮮日報記事」で報じられていることが事実であるとすれば、②の可能性が高い。③であれば事態は深刻であるが、今のところこれに結びつくような兆候は見えていない。ただ、前の記事にも書いたように、軍事委員会から実権が「労働党」へ移動していくことについては、激しい葛藤が起きる可能性は十分にある。この調整ができる人がいるのか。いるのであれば、その人が金正恩さんを国防委員会の委員長に持ち上げるであろう。

    「米朝高官級会談、全ての核開発中断で合意」(2012年2月25日「朝鮮日報日本語版」)

    こんな記事が出た。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120225-00000406-chosun-kr

    記事の中で、「北朝鮮はウラン濃縮プログラム(UEP)を含む全ての核開発の中断と、国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れ、これに対し米国は、北朝鮮の乳幼児向けに24万トンの「栄養支援」を行うという点について、大枠で合意したことが分かった。」としているが、本当であれば、確実な進展であるのと同時に金正恩体制の方向性も見えてきた。

    特に、「IAEAの査察を受け入れた」ことと「栄養支援」を北朝鮮が主張してきた「30万トン」ではなく「24万トン」のまま受け入れたとすれば、これは北朝鮮にとって譲歩である。

    ただ、この情報のソースについては書かれていないので、よく分からない。デービスさんは、もう韓国にいるのだろうか。そうだとすれば、韓国政府への説明の中でこう伝えられたのであろうか。

    <追記:2012/02/26 22:14>
    米朝協議の結果についての詳細はなかなか伝わってこない。デービスさんは韓日で外交関係者に対して説明を行ったとされるが、記者会見では詳細は述べられていないようである。語るほどのことが決まらなかったのか、今公開せぬ方が得策と考えているのかは分からない。そんな中、注目される「読売新聞」の記事がで出た。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120226-00000521-yom-int

    米朝協議の「ボールは双方にある」と述べたとのことだが、今回の協議では双方からの提案がなされ、本国に持ち帰っての協議ということになったのであろう。ただ、双方が出した提案は「即時合意」には至らないにせよ、「絶対に受け入れられない」というレベルのものではなかったのかとこの発言からはうかがわれる。

    米国は北朝鮮に対して、再び韓国との関係改善を米国との関係改善の前提条件にしているが、前にも書いたように、早くても韓国総選挙の結果が出るまで、遅ければ大統領選挙の結果が出るまでは動きはないであろう。

    「朝鮮中央通信」は北朝鮮側代表が米朝協議に向かった事実は伝えているが、帰国に際しても何かコメントを出すのだろうか。今のところは帰国の報道も出ていない。

    <画面音楽>「愛の微笑」(2012年2月19日「朝鮮中央TV」)

    少し前になるが、この曲が掲載されていた。ダウンロードしようと思ったが、「ウリミンジョクキリ」のサーバーが重く、何回もダウンロードが中断されたので諦めていた。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8487

    それで、忘れていたのだが、今朝、「朝鮮人民軍最高司令官金正恩同志が銀河水光明星節音楽会『太陽に従う心』を観覧された」という「朝鮮中央TV」の動画が配信されたので、それを見て思いだした。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8554

    この音楽会には、李ヨンホさん、張成沢さんなど大物が同行している(金永南さんはいなかった)。そして、この音楽会の冒頭で演奏されたのが「愛の微笑」だったからだ。音楽会のニュースでは、題目だけで曲は流れなかったので、上の<画面音楽>を聞いてみた。実にソフトな曲で、「親愛なるその方の微笑」という歌詞が何回も出てくる。で、「その方」が誰なのかと考えてしまった。ストレートに金正恩さんと考えれば良いのだが、葬儀以降掲げられる金正日さんの肖像画も「微笑もの」が多く、金正日さんの「微笑ストーリー」みたいな話も「朝鮮中央TV」の動画としてしばしば配信されている。枕詞が「親愛なる」なのであるが、こちらも金正恩さんが最高司令官に就任した頃から「敬愛する」に変わった。その前は「尊敬する」であった。金正日さんもお父さんの「偉大な」を引き継ぐまでは「親愛なる」だった。それで迷っていたら、答えがあった。

    http://www.youtube.com/watch?v=YpcTR2mdKQ0

    YouTubeにメキシコの「誰か」が2月15日に投稿した「朝鮮中央TV」の動画があった。この動画では、歌手の金光淑さんが「愛の微笑」を歌い始める前に、「今日、親愛なる金正恩同志が・・・明るく微笑まれるとき」と言っている。やはり、ストレートにこの歌の「その方」は、金正恩さんだった。さて、この歌はいつ頃作られたのであろうか。「親愛なる」と言っているところからすると、「敬愛する」に変わった最高司令官就任前だったのかもしれないが、歌の内容からして「親愛」という言葉の方がぴたっと来るのかもしれないので、よく分からない。いずれにしても、軍部隊視察でもそうであるように、金正恩さんが「微笑」路線で朝鮮人民に売り込む作戦であることは間違いない。前にも書いたが、「あなたがいなければ祖国もない」とは180度逆の路線だ。

    ところで、YouTubeに動画を投稿したメキシコのrodrigorojo1さんとは何者なのだろうか。自己紹介では「学生・革命思想家」となっているが、よく分からない。職場のエジプト専門家との雑談の中で、中東のメディアのインターネット利用状況について質問した。その人によれば、公式メディア、非公式メディアを問わず、YouTubeを多かれ少なかれ利用しているとのことだ。北朝鮮は国外向けにインターネットメディアで発信しているわけであるが、rodrigorojo1さんのように「ウリミンジョクキリ」に掲載されていない動画を、しかも比較的新しい動画をどのように入手しているのであろうか。大きなサテライト・ディッシュがあれば、メキシコでも朝鮮中央TVの電波を拾えるのか。それとも、北朝鮮の宣伝部隊なのか。

    <追記:2012/02/25 11:01>
    過去の記事もそうであるが、金正日と金正恩が入れ替わった間違いがかなり多い。この記事でも間違えていた。要は、私が注意して書けばよいのであるが、名前が似ていてややこしい。朝鮮人男性親子の名前なので、親の名の漢字一文字を引き継ぐことは仕方がないが、ともかくよく間違える。IMEの変換パターンに何か仕掛けをしておいた方がよさそうだ。

    「朝鮮の歴史学者たち李明博一味を現代版『乙巳五賊』と烙印」(2012年2月24日「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が動画で配信している。

    何のことだかよく分からなかったのだが、話は2008年に遡る。要約すれば、当時の日本首相の福田さんが李明博さんに対して「教科書に竹島は日本の領土である」と通告した際に、李明博さんが「今は難しいので、待ってくれ」と応じたと「読売新聞」が報じたことに端を発している。

    その後、青瓦台はこの発言を否定したが、事実そのような発言があったということがWikileaksで暴露されたということだ。詳細は、「ハンギョレ・ニュース」

    http://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/519833.html

    これに北朝鮮がかみついて、第二次日韓協約に賛成した5人の官僚「乙巳五賊」に李明博さんをなぞらえている。

    ついでに書いておくが、韓国側が北朝鮮に提案した「離散家族」問題についての話し合いについても、第三国にいる北朝鮮人を誘惑・拉致することで、新たな「離散家族」を作っておきながら何事だと非難している。「第三国」との表現であるが、今、中国で拘束されている「脱北者」30人の扱いについて、韓国が中国に抗議し、さらには国際人権委員会にまで持ち出そうとしていることへの対抗措置であろう。

    北朝鮮は、短くて4月の総選挙まで、長ければ大統領選挙まで李明博政権と和解をするつもりはないようだ。

    <追記:2012/02/25 9:42>
    今日の「労働新聞」でも「祖国統一民主鬚髯線中央委員会書記局スポークスマン回答」として、「朝鮮中央通信」記者の質問に答える形で李明博さんを非難している。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-02-25-0033

    しかし、福田さんは洞爺湖サミットのホスト国の首相として、李明博さんに直接そのようなことを言ったとすれば、外交的センスに欠けている。盧武鉉さんと比べて日韓関係を重視する李明博さんだと思い、気が緩んだのであろうか。そのそも、この種の会話は外交官同士でやるべき話であって、サミットのような場で首脳同士がやるべき話ではない。それが、相手、この場合は李明博さんをどれだけ韓国で窮地に陥れるのか分からなかったのだろうか。竹島(独島)の領有権は主張していけばよい。ただ、TPOをわきまえてしないと、負の遺産を残すことになる。

    「朝鮮社会科学者協会スポークスマン談話」(2012年2月24日「朝鮮中央通信」)

    「光明星節」に北朝鮮を訪問した日本の主体思想研究所関係者が日本に持ち込もうとした北朝鮮の書籍や電子媒体を羽田と関空の税関が没収したことを非難する記事である。

    その中で、これまでに個人が収集した北朝鮮の「書籍や記念品まで没収した国はない」としているが、恐らくあったとしても韓国以外では日本が初めてであろう。

    その系では、朝鮮総連の代表団が「光明星節」に向けて出国する際に持ち出そうとして、北朝鮮でのお祭り用の醤油差しやしゃもじをやはり没収したというニュースを日本のテレビで見た(番組は失念)。没収された物品が、醤油差しやしゃもじだったかどうかは分からないが、テレビの画面には「そんなもの」が映し出されていた。もしかすると、「参考」画面だっただけかもしれない。

    日本政府としては、持ち出しに関しても持ち込みに関しても、「対北朝鮮輸入禁止等に伴う当面の緊急対策について」の「全面禁止」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/taikita/kekka/061013kekka.pdf)を粛々と実施したことにつきよう。

    しかし、こうした措置、「拉致、ミサイル、核で日本は怒っているんですよ」という意思表明にはなるが、問題解決につながっているとは考えられない。前にも書いたが、朝鮮半島有事の際に当事者である韓国についで民間人に大きな被害が及ぶと予想されるのは他ならぬ日本である。「怒っている」だけでは何の進展もないことは、もう既に自明となっている。

    韓国のEAIの所長チョ・ドンホさんがYouTubeの「2012年金正恩時代の開幕と韓国の選択」という動画で話をしている。その最後の部分で、韓国のみならず東アジアの関連国は北朝鮮と問題打開を目指して「共進」しなければならないと述べている。「共進」は理念的な言葉で、その具体的中身については動画では触れていないが、「何かを進めなければならない」というふうに捉えるのであれば、北朝鮮も含むそれぞれの国の事情の中で「進めなければならない」というのは事実である。

    http://www.youtube.com/watch?v=sqGXjeOU6Wk&context=C367e297ADOEgsToPDskI4HcjXWsJSt7gRRLn8hCzQ

    これについて、チョ・ドンホさんの次の話が聞いてみたい。

    「朝鮮人民軍最高司令官金正恩同志が競技用銃弾工場を現地指導された」(2012年2月23日「労働新聞」)

    「労働新聞」の他、「朝鮮中央TV」でもこれについて紹介している。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-02-23-0001

    特筆する事項もなかったのでこちらには書かなかったが、先ほどYahoo Newsを見ていたら銃を撃つ金正恩さんの写真が紹介されていた。

    http://dailynews.yahoo.co.jp/photograph/pickup/?1330081058

    写真の下には「競技用銃弾を撃って確かめる金正恩氏」と書かれているが、この写真を見た人は「競技用」を読み飛ばすであろう。タイトルに書いたとおり、金正恩さんが銃を撃っているのは競技用銃弾を作る工場に併設された娯楽用の射撃場であり、「そんなに」きな臭い施設ではない。日本のように銃規制が厳しい国では一般的ではないが、そうではない国では普通の娯楽施設の一つという扱いのようである。何よりも、銃射撃はオリンピック競技の一種目でもある。

    冒頭に「特筆すべきもない」と書いたが、実は、「朝鮮中央TV」の報道では、この金正恩さんが射撃をしている次のカットで標的が映し出され、ど真ん中が打ち抜かれている。アナウンスではそのことについての言及はない。実はこれ、金日成さんが建国当初にどこぞの銃製造工場を訪問し、やはり試射を行い、その時に使った銃とど真ん中が打ち抜かれた標的がこの工場の展示コーナーというか、金日成さんが撃ったその場所に保管されている。これも、少し前の「朝鮮中央TV」の紹介番組の中で放映されていた。

    競技用銃弾工場の訪問は、むしろ金正日さんがこの工場を何回も訪れ「改建」したということからされたもので、金日成さんと金正恩さんをかぶせ合わせようとしているとは思えないが、何か重なってしまう。

    北朝鮮には、銃の扱いを知っている人はさぞかし多いことであろう。しかし一方で、銃の管理については、日本以上に慎重であるのではないだろうか。金正恩さんの視察先の軍部隊でも、視察中に実弾が装填された銃を携行できるのは、ほんの数人の最も信頼されたSPのみであろう。

    「金正恩の妹ヨジョン、北朝鮮政権の実力者として浮上」(2012年2月23日「中央日報日本語版」)

    北朝鮮メディアでは、あまり特記したいことが見つからない。

    21日前の「労働新聞」1面トップ記事に「偉大な将軍様の遺訓貫徹に党事業の火力を総集中しよう」というのがあり読んでいた。そしてついでに、「2012年新年共同社説」を読み直してみた。注目したのは、「党」の復権である。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-02-21-0001&chAction=L

    金正日時代の記事をもう少し読み込んできちんと比較してみなければならないが、朝鮮労働党が金正恩さんと対等の関係になっているような気がする。金正日時代には、労働党は金正日さんの下であった。確かに、「金正恩同志の指導の下」という枕詞は使われているが、「遺訓」と「血統」を使いながらも党を求心力としているような気がしてならない。これは、金正恩さんが指名された時点で金正日さんが仕組んだことである。ともあれ、「党」を複数の人間であれ、誰がどう仕切っているのか。金正日時代に支配の頂点であった国防委員会との力関係と今後の展開、特に空席の国防委員長に4月の代表者会を契機に金正恩さんが就任するのかどうか。もし、総書記のみへの就任となると、国防委員会の地位は相対的に低下するのではないだろうか。

    金日成さんの遺訓としての「主体思想」、この中身は「社会主義」と「自主」と捉えられよう。そして、この遺訓を受けて作られた「先軍思想」。「先軍思想」が「軍事力強化」を優先している(あるいは「してきた」)ことは間違いないが、北朝鮮の「軍事力強化」は、「核保有国」となったことで一旦は完結したと北朝鮮自身が評価している。

    それでよくみると、「先軍思想」の枠組みの中で農業と軽工業の立て直しに力を入れている。食料問題を解決することが喫緊の課題であることは間違いない。WFPは北朝鮮の地理的条件から来る食料生産の限界が、生産技術や保存技術の問題もあるものの、根本的な要因であるとしている。

    http://www.47news.jp/korean/korean_peninsula/2012/02/035858.html

    さすれば、北朝鮮は何かを売って食料を買わなければならない。ところが、売るものがない。あっても十分ではない。

    北京での米朝協議は2日目に入ることになった。米国代表のデービスさん、北朝鮮代表の金さん共に1日目の交渉についてはその意義を認めている。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120223-00000125-jij-int

    北朝鮮にとっては、もしも今回の協議で米国が金正日さん在命中にまとまったこと以上の要求を出していないのであれば、「遺訓」を理由に受け入れるのは国内的にも問題ないであろう。米国はウラニウム濃縮を中止されることが当面の最大の目的であろうから、そこにプライオリティーを置くはずである。もちろん、「中止」したかの検証を国際機関にさせることは強く要求するであろう。一方、北朝鮮にとっては、「ウラニウム濃縮中止」は読み込み済み。あとは、米国からどのような形で食料援助を引き出せるかということであろう。今回、米国は「食料」ではなく「栄養」と言っているが、これは「高級食材としての米」ではなくて「カロリー」を朝鮮人民に提供するということである。北朝鮮は、その使い道も含めてそれを飲むのかどうか。

    さて、タイトルにしたことを全く書かなかったが、金正恩さんの妹が権力を行使しているという話である。確かに、金正恩さんの妹と思わしき人物は金正日さんの葬儀の動画に映し出されていた。で、報道によれば彼女は25歳。金正日さんの妹の金慶姫さんのような役割を演じていると記事には書かれているが、25歳に何ができるというのか。28歳の兄さんの「年齢的」実力するら疑問視されているのに、25歳の「小娘」に何ができるのか。「社会主義」朝鮮の女性の社会的地位、あるいは社会活動における機能レベルは、韓国よりも高いようにも見られる。しかし一方で、超儒教的社会における事実上の女性の地位も疑わしい。そして、25歳だ。

    北朝鮮メディアにあまりおもしろい動画が出てこなかったので、ここ数日は、CSISなど在米シンクタンクの北朝鮮問題を巡るシンポジウムの動画を眺めていた。こちらについてはいろいろあるが、その中でVictor Chaさんが言った「28歳は間違いを犯す」という言葉、これは真実である。金正恩さんに限らず、28歳は「青二才」なのである。

    とりとめのない話になったが、ともかくも明日の記者会見に注目しよう。

    「世界最大の核火薬庫の上で『核サミット』茶番劇を開催することは内外世論を愚弄することであり共和国に対する厳重な挑発である」(2012年2月22日「朝鮮中央通信」)

    朝鮮アジア太平洋平和委員会など3団体の連名で、同会議を非難し、このような会議を開催することを黙って傍観することはないとしている。

    「傀儡好戦狂たちが無謀な火付け強行するならば、恐ろしい懲罰を避けられないだろう」(2012年2月20日「朝鮮中央通信」)

    2012年2月19日付けの祖国平和統一委員会書記局報道 第990号が「朝鮮中央通信」で配信された。今朝は、この報道はなかったはずなので、ここ数時間の間に出されたのであろう。

    軍事演習は、10時半(現地時刻、日本と同じ)から行われると、19日韓国側が板門店で拡声器を使って北朝鮮側に通告したらしい。この時間通りだとすると、既に演習が始まってから1時間以上経過している。今のところ、日本のマスコミでは南北の衝突は報道されていない。

    この「書記局報道」では、前に書いた「公開通告状」よりも強い語調で韓国を非難しており、「これは、我が方に対する明白な宣戦布告として、北進戦争の導火線に火をつけようとするきわめて危険千万な火遊びである」とし「万一、傀儡好戦狂たちが我が方の警告にもかかわらず、無謀な火付けを敢えて強行するのであれば、前回のヨンピョン島砲撃の何千倍もの恐ろしい懲罰を免れえないであろう」としている。そして、朝鮮半島の運命は「米帝と傀儡一味次第」であり「我が方は局地戦にも全面戦にも対応できるよう準備している」と述べている。

    ただし、これだけ強い警告を出しつつ、北朝鮮は何もしないはずである。というのは、強い警告を出したことを、23日からの米朝接触で南北関係における北側の「忍耐」という主張に使うのではないかと考えられるからである。

    <追記:2012.2.20 1357>
    「AP」によると、韓国軍の演習に対し北朝鮮は警戒を強めたものの、特段の動きはなかったようだ。

    http://hosted.ap.org/dynamic/stories/A/AS_KOREAS_TENSION?SITE=NYWNE&SECTION=HOME&TEMPLATE=DEFAULT

    「His dear leader: Meet North Korea's secret weapon - an IT consultant from Spain」(2012年1月21日「THE INDEPENDENT」)

    『お笑い北朝鮮』のように北朝鮮を笑いのネタにするのは私の趣味ではない。しかし、どう見てもこの人は道化(clown)に見えて仕方がない。

    http://www.independent.co.uk/news/world/asia/his-dear-leader-meet-north-koreas-secret-weapon--an-it-consultant-from-spain-6291303.html#

    その人がスペイン人のBenosさんだ。この「THE INDEPENDENT」の記事は1月ほど前に読んで、おもしろい人がいるものだと思っていたのだが、なんとというか、思ったとおりというか、今日掲載された「20時報道」(2012年2月18日 「朝鮮中央TV」)の動画の中に登場している。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8481

    扱いは、「第16次金正日花祝典」にやってきた「進歩的人民」の一人として名前も紹介されずにワンカットに少し登場するだけである。ご本人は、金日成スーツというか金正日スーツというか「例のあれ」を着て、胸には金日成バッジか北朝鮮国旗バッジか確認できないものの、「それらしい」バッジを付けている。さぞ、張り切っているようであるが、この扱いではさぞかし残念であろう。まさにclownである。

    記事によるとこの人も朝鮮語はできないらしく、案内員ドンムとおぼしき通訳の女性が何か言っているが、それほど「主体思想」に傾倒するのであれば、なぜ朝鮮語を勉強しないのであろうか。似たような話は、日本の主体思想研究所のHPについての記事にも書いたが、実に奇妙である。このあたりが、clownと研究者の境目なのかもしれない。

    金正日さんの写真が消えた(2012年2月20日「ウリミンジョクキリ」)

    「ウリミンジョクキリ」のトップ画面に12月19日の金正日死去発表以来ずっと掲載されてきた金正日さんの写真が今朝消えていた。ちょうど2ヶ月を過ぎたタイミングである。「東京新聞」は、2月7日のソウル発の記事で

    「日朝外交筋は「死去後百日の服喪期間内なので祝賀よりは追悼色を強め、世襲正統化と新体制固めのための行事とする」とみる。」

    http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012020702000030.html

    としているが、雰囲気としては百日を待たずに服喪期間が「明けた」、あるいは「明け」に向けた助走に入ったようだ。

    また、「労働新聞」も一面2段目の記事で過日書いた金正恩さんがサリウォン市住民に魚を贈ったことに対するサリウォン市党委員会の責任秘書が感謝と忠誠を誓う文が掲載されている。同3段目には咸鏡南道人民委員会委員長の文、同横には満浦紡糸工場支配人の文が掲載されている。これら2つでは、依然として金正日さんに関する記述が多く、金正恩さんについては「指導に従おう」程度の扱いであるが、金正恩モードへの転換は確実に進んでいるようである。

    「労働新聞」2012年2月20日1面:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/SF01/TopPages/pdf/2012-02-20-01.pdf

    やはり、4月中旬の党代表者会が注目される。

    「朝鮮労働党代表者会招集について」(2012年2月20日「朝鮮中央通信」)

    2月18日決定として4月中旬に朝鮮労働党代表者会を招集するとしている。4月15日の「太陽節」前なのか後なのかは分からない。「太陽節」前に開催し、金正恩さんに「総書記」と「国防委員長」のいずれか、あるいは両方の職責を与えることになるのか。その場合、金正日さんの時のように「推戴」で行くのかも気になるところである。また、最高司令官によるさらなる昇格人事があるかもしれない。

    この頃までには、米朝と中朝関係で何らかの動きが見えているはずだ。

    「労働新聞」の同記事:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-02-20-0001

    「朝鮮チーム中国国際女子サッカー招請大会で優勝」(2012年2月19日「朝鮮中央通信」)

    国を問わずスポーツ音痴なのでコメントはできないが、こんな記事が出ていた。

    北朝鮮、韓国、中国、メキシコが参加する大会で北朝鮮が優勝したとのことだ。こんなところでも韓国とのスポーツ交流が行われていたのか。北朝鮮対韓国戦は1対0で北朝鮮が勝っている。

    「北朝鮮・金正恩氏 初の首脳会談相手は中国の胡錦濤国家主席」(2012年2月19日「NEWSポストセブン」)

    こんな記事がインターネットニュースに出ていた。

    http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120219-00000005-pseven-int

    「中国の胡錦濤国家主席が3月末から4月15日の間に北朝鮮を訪問」して、金正恩さんと会談するであろうというニュースである。

    時期としてはその「頃」であろうが、そのスペクトラムの中で中国の北朝鮮の扱いが決まってくる。まず、「中国国内の政治日程的にも、全国人民代表大会(全人代=国会に相当)が3月中旬に終了」するということなので、この時期は外遊などできるはずもない。次に「胡主席は3月26、27日に韓国で開催される核安全保障サミットに出席する予定」ということだが、一つは核サミットの前に北朝鮮を訪問しておき、事前に話をしておくかどうかだ。当然、それは今月23日に予定されている米朝接触の結果を踏まえてと言うことにもなろう。

    次に、核サミットは韓国で開かれることが決まっているが、胡錦濤さんは「ついでに」中韓国交樹立20周年記念関連の行事に出席する予定であるという。既に20年たったとはいえ、中韓国交樹立は金日成時代の末期に中朝関係に大いに悪化させた。今回は、北朝鮮の新体制発足直後ということもあり、中韓関係の「お祝い」をする前に平壌に出向いて金正恩さんに直接祝辞を伝えるのかどうか。もし、ソウル訪問の前に平壌に行かないとなると、平壌訪問は「太陽節」に合わせたものになると思われる。「中朝血盟関係を礎を築いた金日成主席の誕生百周年を祝賀に来た」というのは、大変良い言い訳になるからだ。

    この記事では「金正恩氏が金総書記の死を悼む弔電へのお礼の電報をロシアやキューバ、モンゴルなどには送ったと報じたが、最大の支援国である中国への返電については報じておらず、両国関係がぎくしゃくしている」としているが、そうではない。確かに、金正恩さんが中国に弔電の答礼を送ったという報道はない。ただ、1月30日に党中央委員会などが連名で返礼を出している。そもそも、中国は主席と総理が、北京の北朝鮮大使館を直接訪れて祭壇に頭を下げている。弔電を送っただけのロシアやキューバと扱いが違って当然だ。また、過日の金正日さんの誕生日にも、金正日さんの肖像画に花束を捧げて頭を下げに来た在北朝鮮中国大使のインタビューを「朝鮮中央TV」が長々と伝えており、中朝友好を強調している。

    百数十万円の「はした金」で金正男さんに恥をかかせたのも、彼の暴言に腹を立てた弟への配慮であろう。とはいえ、ホテルから追い出されても中国国内で金正男さんを暗殺するなどという愚行を北朝鮮は行うはずはない。そんなことをしたら中国は黙っていない。

    このように、とりあえず今のところは中朝関係は良好と考える方が妥当であるが、3月以降どうなるのか。

    <追記>
    「20時報道」(2012年2月18日)を見ていたら、「第16次金正日花祝典」に付いての報道の中で「中国大使館が単独展示台を設置してくれるよう要請してきて、自分たちが育てた30以上の金正日花を贈ってきた」としていることも、現時点での中朝関係が比較的良好であることの証である。

    「朝鮮人民軍前線西部地区司令部公開通告状発表」(2012年2月19日「朝鮮中央通信」)

    20日から始まる米韓合同演習を前に朝鮮人民軍が「公開通告状」を出した。

    通告状によると「いったん我らの神聖な海上境界線を越え、この水域に対する逆賊一味の無謀な軍事的挑発が始められれば、ただ一つの水柱が確認されたら即時、我が軍隊の無慈悲な対応打撃が開始されるであろう」。「これと関連して、西海5島とその周辺に住んでいたり仕事をしている住民は、傀儡軍部好戦狂の挑発的な海上射撃が始まる20日9時前に安全地帯に予め退避するべきである」としている。

    「ヨンピョン島砲撃の教訓を忘れるべからず」と北朝鮮は警告している。

    <追記>
    今回の軍事演習は「群山沖」と書いたが、こちらは今週予定されている「米韓合同」演習で間違いであった。「西海5島」周辺で行われる軍事演習は韓国単独。
    さらに、「AP」の記事がある。こちらは、「朝鮮中央通信」の引用ではなく、朝鮮人民軍将校とのインタビュー記事。

    http://hosted.ap.org/dynamic/stories/A/AS_KOREAS_TENSION?SITE=NYWNE&SECTION=HOME&TEMPLATE=DEFAULT

    もし北朝鮮がこの演習に対して軍事的な動きに出れば、23日に北京で予定されている米朝接触に取り消しなども含めて悪影響を与えることは必至である。したがって、今回もヨンピョン島攻撃に対する韓国による報復演習の時のように「相手にする価値もない」と笑止とする可能性が高い。

    「足音」(2012年2月2日「ウリミンジョクキリ」)

    今日は、金正恩さん関係の音楽を探してみた。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8267

    定番はこれであろう。さらに、YouTubeを検索すると、uriminzokkiriが1月にアップロードしたものもある。

    http://www.youtube.com/watch?v=Wc-ZAg-sFE8

    またurinore1なるIDでアップロードされた
    http://www.youtube.com/watch?v=zZSr4k45HMM&feature=related
    http://www.youtube.com/watch?v=VeLErVcRJYQ&feature=related

    がある。uriminzokkiriに関しては、北朝鮮インターネットメディアの「公式」IDとみて間違いないと思う。そもそも、「ウリミンジョクキリ」のHPよりもuriminzokkiriはYouTubeで配信したり、Facebookでの配信を2010年夏頃に先行して始めていたはずだ。いずれも米帝の資本をただで使って、宣伝をやっているわけである。北朝鮮系メディアのサーバーは時として大変重くなり、長い動画のダウンロードに失敗することもしばしばなので、サーバーに余裕のあるYouTubeにミラーとしてアップロードしてくれることは大変助かる。urinore1は、単なる北朝鮮歌謡のファンなのかurimizokkiriの別IDなのかは分からないが、かなり多くの北朝鮮歌謡をアップロードしている。

    uriminzokkiriがアップロードした動画はとても多いので、ざっと見ただけであるが、「足音(パルコルム)」がYouTubeアップロードされたのは、2012年1月1日が初めてのようだ(この点、さらに調べてみるが)。また、「ウリミンジョクキリ」HPには、直近で2月2日のアップロードされている。それ以前については、現段階で未調査である。

    金正恩さんが後継者指名を受けたのは、2010年9月であるが、北朝鮮メディアがこの歌を公開し始めたのはいつからなのか。もし、YouTubeの2012年1月1日が初めてだとすると、最高司令官就任後である。ただし、この動画では、まだ金大将は金将軍の後ろに立っている。

    北朝鮮の曲といえば、「愛国歌」、それに次いで「金日成将軍の歌」である。これは、過日の「命名式兼忠誠式」でもそうであった。次に来るのが「金正日将軍の歌」であろうか。日本では「金正日将軍の歌」以上によく知られているのが「あなた(金正日さん)がいなければ祖国もない」であるが、どちらが先にできたのであろうか。過日の「命名式兼忠誠式」では、「あなたがいなければ」は演奏されなかった。

    「金正恩将軍の歌」はまだできていない(少なくとも、公式メディアでは流れてこない)。金正恩さんを称える歌は「足音」と「金正恩将軍を体で死守しよう」である。後者は歌のタイトルは「将軍」であるが、歌詞は「最高司令官」である。「最高司令官」の歌なので、金正日さんの死去後に作った歌であろう。私は音楽のセンスや知識は皆無であるが、単純に「足音」の方がずっと良いメロディーである。

    「金正恩将軍を体で死守しよう」」:
    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8397

    「足音」は良い曲だと思う。そもそも「あなたがいなければ我々もいなしし祖国もない」など、きわめてマイナス思考の歌である。一方、「足音」は、「金大将」の「足音」は未来に向かっていく。さて、現実はどうなるのか。

    <追記>
    「20時報道」(2012年2月18日)を見ていたら、「光明星節記念学生少年芸術総合公演」についての報道があり、その中で「金正恩先生ありがとうございます」という歌が歌われたと報じていた。隠れた金正恩歌はまだまだあるかもしれない。

    「金正男氏 送金中断でホテル代にも困窮=露週刊誌」(2012年2月17日「聯合ニュース」)

    「聯合ニュース」の記事である。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120217-00000009-yonh-kr

    金正男さんの資金が底をついてマカオのホテルを追い出されたとロシアの雑誌が報道しているというニュースである。
    個人的には、金正男さんのキャラクターは好きだ。しかし、この結果を見るとだらしがないと言わざるを得ない。お父さんが亡くなったとたんに、弟に「遊ぶ金」を絶たれるとはみっともない。

    日本のマスコミに対して「金正恩体制は長続きしない」というような元気のいいことをいっているが、そんなことを発言しておいて自分の「金づる」が無事だと思っていたのであれば、「金正恩体制」の予測など出鱈目もよいとこだ。金正恩体制を全く読めていない。こんなもの、ちまたで言われる「金正男暗殺説」以下の醜態である。

    もちろん、これを機に金正恩体制と縁を切って「マカオ亡命政権」として発言を続けていくのであれば、それはそれで評価できる。

    金正哲さんについては、このところ一切伝えられていないが、どうしているのであろうか。異母兄弟を見て、何も言わずにエリッククラプトンを堪能しているのが最善と考えているのか。

    金正日さんも「横枝(キョッカジ)」払いを権力闘争の過程でしてきたが、金正恩さんにとってはこれがその第一弾か。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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