「朝鮮宇宙空空間技術委員会 関係者 記者と会見」(2012年3月28日「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」に朝鮮宇宙空間技術委員会の関係者が朝鮮中央通信記者の質問に答える形式の記事が掲載された。この記事では、光明星3号の仕様や機能について書かれている。以下がその問答である。

    1.北朝鮮初の実用衛星「光明星3号」の使命は何か?
    光明星3号は、地球観測衛星で北朝鮮の山林資源分布状況と自然災害の程度、穀物予定収穫高などを判定する気象予報と自然探査などに必要な資料を収集する。

    2.光明星3号の性能とは何か?
    光明星3号は、撮影機が設置されており、写真をはじめとする観測資料を衛星管制総合指揮所に送る。
    衛星の質量は100Kgで、高度500Kmの太陽同期軌道を周回し、寿命は2年である。

    3.光明星3号発射に他国の専門家、記者を招請したが、彼らに何を見せるのか?
    まず、西海衛星発射場に行き、発射台に設置された運搬ロケット銀河3と人工地球衛星光明星3号を直接見せる。
    そして、発射総合指揮所で運搬ロケットと衛星の発射準備実況を見ることができる。
    お客さんたちは、平壌にある衛星管制総合指揮所も参観し、該当する場所で光明星3号の発射実況を見る。

    我々は、光明星3号の平和的で科学技術的な性格を透明性を持ってみせるために、国際的慣例を超えた特例的な参観を組織する予定である。

    としている。

    さて、光明星3号は「写真をはじめとする観測資料を衛星管制総合指揮所に送る」としているが、これは光明星2号の時のように「金日成将軍の歌」のような音ではないので、ねつ造することは困難である。米国などの商業衛星が撮影した写真を使えば直ぐにばれてしまう。逆に写真がなければ、衛星の機能が少なくとも部分的に機能していないということになってしまう。対外的には、衛星発射直後から米軍NORADに追尾されて、衛星が軌道に乗ったかどうか確認されてしまうが、もし、この記事を「労働新聞」などで国内向けに配信するとなると、写真を見せないわけにはいかないであろう。もちろん、それがgoogle earthの写真であっても朝鮮人民がそうだと知るすべはないが、国際的にはかなり体裁が悪い。

    ともかくも、この記事が明日の「労働新聞」に掲載されるかが注目される。実は、昨日出された「朝鮮外務省スポークスマン談話」は、今日の「労働新聞」には掲載されていない。昨日の「スポークスマン談話」は、特に米朝合意との関係で衛星発射について反論する内容であったが、朝鮮人民には公開しなかったようである。

    このように、衛星発射について部分的に対内報道をしないのは、一つは失敗したときの言い訳の余地を残す目的と、何らかの事情で発射を見送ることになった場合への対処であろう。

    <追記:2012年3月29日 05:50>
    本日の「労働新聞」にこの記事が掲載されていた。発射後の「写真」はどうなるのか。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-29-0022

    「全ての人民軍将兵の鉄石のような信念と熱い忠誠の情を込め、朝鮮人民軍最高司令官金正恩同志を朝鮮労働党代表者会代表として高く推戴 朝鮮労働党代表者会代表者選挙のための朝鮮労働党朝鮮人民軍代表者会進行」(2012年3月27日「労働新聞」)

    「朝鮮中央通信」でも流れたが、「労働新聞」にも記事が出ていた。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-27-0002

    朝鮮労働党の下部組織である朝鮮人民軍代表者会が開催され、そこで朝鮮労働党代表者会の代表として金正恩さんを推戴したということであるが、「代表」の意味が今一つよく分からない。つまり、金正恩さんは朝鮮人民軍の最高司令官であるのだから、朝鮮労働党朝鮮人民軍代表者会のメンバーであり、党中央で開かれる朝鮮労働党の代表者会に人民軍の「代表」として出席することが推戴されて決まったのか、金正恩さんは党中央軍事委員会の副委員長なのだから、党代表者会に「代表」の一人として出席することは既に決まっており、朝鮮労働党代表者会に出席する代表たちの「代表」、つまり「最高代表(=総秘書)」に推戴するということなのだろうか。

    過去記事にも書いた、「朝鮮労働党規約」なるものの第30条を読むと、「代表者会の代表者選出比率と代表者選挙手続きは、党中央委員会が規定する」、「党代表者会は、朝鮮労働党の最高指導機関を選挙し」となっているが、この規定にある「代表者」なるものが何を指しているのかよく分からない。

    「労働新聞」の記事を読むと、「代表者会では、朝鮮労働党代表者会に送る代表者が選挙された」としているので、どうやら人民軍の代表として代表者会に送るメンバーを選出する作業は明らかに行っているようである。それと同時に、「敬愛する最高司令官同志は、朝鮮労働党の最高代表者であられ、我が祖国の尊厳と栄光の象徴であられ」としているので、やはり代表者の「最高代表」、すなわち「総秘書」に推戴するという意味なのであろう。

    ということは、市レベルの党組織の「代表者会」でも同じ作業が行われ、金正恩さんを「推戴」しているのであろうか。そして、この「推戴」が中央の代表者会に集結し、「最高代表者」として推戴される仕組みなのであろう。

    金正日さんも「推戴」により「労働党総秘書」に就任したことは知っていたが、どうせでき勝負であるという先入観もあり、その仕組みについて深く考えてみなかった。

    ただ、よく分からないのは、下級レベルの党代表者会で中央の代表者会に出席する代表者として選出されることなく、自動的に代表者になるメンバーはどこでどのように規定されているのであろうか。再確認する必要はあるが、前出の「党規約」には記されていないようだ。

    <追記:2012年3月28日 10:50>
    今朝、「朝鮮中央通信」に「党代表者会代表者選挙のための朝鮮労働党平安南道代表会進行」という記事が掲載された。ここでも、代表者会へに出席する代表選出と共に、「敬愛する金正恩同志を朝鮮労働党代表者会代表に推戴」することにしたということなので、やはり各地、各機関の代表者会の「推戴」を党代表者会に持ち寄って金正恩さんを「推戴」するということのようだ。金正日さんも同様の形式で「推戴」されたのであろうが、その根拠となる規定はどこにあるのだろうか。

    「朝鮮外務省スポークスマン 米国は平和的衛星発射に対するダブルスタンダードを適用してはならないと主張」(2012年3月27日「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮外務省スポークスマンが、「朝鮮中央通信社」の記者の質問に答える形で談話を出した。

    そのほとんどは、これまでに出された「談話」の内容を繰り返しているだけでであるが、「我々が苦労して米朝合意に至り、情勢が良い方向に向かっているときに、長距離ミサイルを発射する何の理由も必要もない」として、核査察を含む米朝合意の有効性については、否定していない。

    そして、「偉大な首領の生誕100年に合わせて実用衛星を打ち上げるということは、敬愛する金正日将軍の遺訓であり、ずっと前から計画され推進されてきた正常な事業である」とし、米朝合意と衛星発射との関連性を否定している。その上で米朝合意の文言を改めて確認しながら「(これまで行われてきた複数の)米朝高位級会談で平和的衛星発射が長距離ミサイル発射臨時中止に含まれないということは、終始一貫主張した。その結果、2.29米朝合意には『衛星発射を含む長距離ミサイル発射』とか『弾道ミサイル技術を利用した発射』ではなく、『長距離ミサイル発射の臨時中止』と明記されたのである」とし、米朝合意の欠陥をついている。そもそも、北朝鮮は安保理決議1874に従うつもりなどないので、安保理決議と米朝合意は別個のものであるというスタンスである。しかし、一方で「弾道ミサイル技術を利用した発射」という安保理決議に含まれる表現をそのまま使ってもいるので、それを十分に「意識」しているということも伝わってくる。

    最後に「我々は、主権国家の合法的で経済発展に必要な平和的衛星発射を絶対に放棄しないであろう」という主張を繰り返し、衛星発射を実行すると明言している。

    北朝鮮の衛星発射を思いとどまらせることは、ますます難しい状況になっている。

    「感謝文」(2012年3月26日「朝鮮中央通信」)

    金正恩さんの朝鮮人民に対する「感謝文」を「朝鮮中央通信」が報じている。恐らく、「感謝文」はトップニュースとして「労働新聞」にも掲載されることになろうが、現時点ではまだ3月27日付けの「労働新聞」がインターネット配信されていないので確認はできていない。金日成さんの死去に際して、金正日さんがこうした「感謝文」を発表したのかどうかは、きちんと確認しなければならないが、私の記憶にはない。

    「感謝文」では、「我々人民ほど自らの指導者に心から従う人民はこの世の中にどこにもおらず、将軍様がいつも言われたように、我らの人民は本当に良い人民であるということをこれまで以上に強く感じました」と金正日さんの死去に際して忠誠を誓った人民を持ち上げている。そしてさらに「私は、偉大な将軍様を日がたつにつれ想い出し、我が党と革命の永遠の指導者として高く頂こうとする千万軍民の白い球のような忠誠の情に大きな感動を受け、そこから強い力と勇気を得ました」とした上で、「全ての党員と人民軍将兵と人民たち、海外同胞に心より感謝いたします」と、謙譲表現(「감사를 드립니다」)を使いながら感謝の意を示している。金日成さんや金正日さんは、このような表現を朝鮮人民に対して使ったことはあるのだろうか。使わなかったとすると、若い金正恩さんはこうした表現を使いながら、「若く謙虚な指導者」というイメージを作りだそうとしているのであろうか。

    そして今後、北朝鮮が進むべき道として「首領様が開拓し、将軍様が指導された主体の道、先軍の道、社会主義の道を変わりなく引き継いでいくことは、我が党の確固不動の意思である」とし、「主体・先軍」路線を当面は引き継ぐことを表明している。現時点では、「主体・先軍」に繋がる新たな路線を、アイディアはあるとしても具体的な形として金正恩さんは持ち合わせていないのであろう。

    そして「強盛国家建設」については、「偉大な将軍様が強盛国家建設のために一生の労苦と心血を注ぎながらまかれた貴重な種をうまく育てて、輝かしい現実として花咲かせなければならない重要な課題が残されている」としながら、過日の記事にも書いたように、金正日時代に「強盛国家」実現ができなかったことを認めつつ、金正日さんがやったことを「種をまいた」という言葉を使いながら、その基礎を作ったと評価している。

    そして「経済建設」については、「年代と年代を飛び越える飛躍的な闘争を展開することで、人民生活向上において多階段で変化させ、経済強国宣言の誇らしい祝砲が一日も早く響き渡るようにしなければなりません」としている。ここでも、金正日時代に完成しいなかった経済建設を「年代と年代を超えて」と金正恩時代に引き継いだことを認め、「多階段で変化させ」というよく分からない表現(私の誤訳の可能性もあり)を使い、漸進的に進めながら「経済強国宣言」に向けて努力するとしている。

    そしてそのためには、「全党員と人民軍将兵と人民たちが、党中央委員会の周りに心を一つにして固く団結」しなければならないとし、「党中央委員会」を前面に出しているが、これは4月の党代表者会で金正恩さんを「総秘書」に「推戴」し、朝鮮労働党が実態としてリードする形で、北朝鮮の進路を決めていくという考えの表出なのかもしれない。

    <追記:2012年3月27日 07:57>
    本記事投稿直後に「労働新聞」を確認したところ、「感謝文」はやはり一面トップに掲載されていた。

    「社説 偉大な金正日同志の遺訓を掲げ主体革命の新たな勝利を達成しよう」(2012年3月25日「労働新聞」

    「労働新聞」に社説が出た。金正日さんの哀悼期間100日というタイミングであるが、社説の内容は金正日体制の決算と金正恩さんの正統性と偉大さ、そして金正恩体制完成への道筋提示である。その意味で、1月に出された「新年共同社説」と同じぐらい意味のある「社説」といえる。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-25-0001

    1.金正日体制の決算
     まず、「強盛富強」が金正日時代に達成されたのかという点であるが、「社説」ではまだ「これから」という扱いになっている。例えば、「敬愛する将軍様の強盛富強の理想が輝かしく実現される偉大な主体の強国を必ず見ることになるであろう」とし、「強盛富強」は実現するであろうものの、これからであるし、それが「いつ」であるのかということも明確にしていない。しかし、「意味深い今年を強盛富強の旗がたなびく誇らしい勝利の年に輝かせるための総進軍に拍車をかけなければならない」とし、「強盛富強」を年末まで持ち越したとみられる表現もしている。
     そして、金正日さんの「強盛富強」のための業績を次のように総括している。「敬愛する将軍様は、生涯の最後の時期まで大高潮進軍を精力的に導かれ、父なる首領誕生100年となる2012年の偉大な勝利のために、できることは全てなさった」とし、「我々は大高潮進軍速度を最大に高め、党の強盛国家建設構想を年代と年代を飛躍しながら実現しなければならない」としている。つまり、金正日さんは強盛富強に向けて最大の努力をしたものの、その実現には至らず、朝鮮人民は党の指導の下に強盛富強に向けた努力を続けなければならないということである。ただし、ボールド部分の「年代と年代を飛躍しながら」という表現は意味深長である。というのは、「年代と年代」を「金正日時代と金正恩時代」とも理解できるし、「2012年とそれ以後の年」とも理解できる。いずれにしても、2012年の強盛富強は不可能と言うことを暗に認めているのであろうか。なお、「できることはすべてなさった」と「年代と年代を飛躍しながら」という表現は、「社説」の最後の部分で繰り返されている。
     では、金正日さんは何を達成したのだろうか。「偉大な将軍様の代に強国の地位を堂々と得た」としており、「強盛富強」あるいは「強盛大国」と使い分けている。ここでいう「強国」とは、かつてより北朝鮮が主張している軍事強国、特に「核保有国」になったことにより「強国」の地位を得たということであろう。そして「敬愛する金正恩同志が導かれる時代に、さらに隆盛繁栄する主体の社会主義強盛大国として輝かせること、これが我々の世代に課された神聖な使命である」とし、「強盛大国」建設を金正恩時代の課題としている。この表現からすると、上記の「年代と年代を飛躍しながら」というのは、金正日時代から金正恩時代にと考えた方が良いのかもしれない。なお、上の括弧内「敬愛する・・・使命である」もやはり「社説」の最終部分で繰り返し強調されている。
     北朝鮮が直面する問題としては、2012年の新年共同社説がそうであったように「人民生活の向上」を挙げている。「社説」では、「人生活の向上を最も重要な課題とし、全党的、全国家的な力を集中させなければならない」とし「人民生活に直結する問題に大きな力を入れ、人民のための良い仕事をさらに多く」すべきであるとしているが、「良い仕事」が労働党の下級職員や朝鮮人民を動員した「仕事」であるのか、軽工業部門へ向ける資金増大など国家的な事業を意味しているのかは分からない。しかし、「社説」では「偉大な将軍様の愛国遺産である国防工業を強化発展させることに続けて大きな力を入れなければならない」ともしているので、そのバランスという問題となって来るであろう。この「人民生活の向上」についても、「社説」の最後で繰り返し強調されている。

    2.金正恩継承問題
     金正恩継承問題については、その安定的な推移と党代表者会での「総秘書推戴」を予測させる内容が書かれている。まず、「歴史では、指導の代が代わる時期に政治的混乱と社会的不安定がもたらせる例が少なくはなかった。我々、軍隊と人民は、民族の大きな国喪に直面したが、敬愛する金正恩同志の周りにさらに堅く団結し、主体革命偉業一路に力強く前進している」とし、世代交代の不安定説を強く否定している。
     「社説」には金正恩さんは金正日さんと「全く同じ」という表現が相変わらず何回か登場するが、特徴的なことは、「全く同じ」だけではなく金正恩さんの指導力を強調している点である。例えば、「過去100日は、敬愛する金正恩同志の思想と指導が全面的に具現され、我々の革命の継承が力強く誇示された日々であった。(中略)金正恩同志の卓越した偉人的風貌は、我々人民の心臓の奥深くに刻み込まれ、世界を驚嘆させた」とこれまでにないレベルの表現を使いながら金正恩さんを称賛している。そして、「革命偉業継承問題を完全に解決された偉大な将軍様の不滅の業績を切に感じている」とし、金正日さんが生前に金正恩継承体制の準備をし、それが問題なく完結されつつあることを強調している。
     そして、「我々は、遠からず党の歴史に特記される朝鮮労働党代表者会を迎える。我々は、党代表者会を契機に全党と全社会に敬愛する金正恩同志の唯一的指導体系をさらに徹底して打ち立て」るとしている。これは、ほぼ確実に金正恩さんを4月中旬の党代表者会で「総秘書」に「推戴」することを予告するものであろう。ただ、最高人民会議についての言及がないばかりか、「全軍」という言葉は慎重に避けているので、「国防委員長」への就任は見送られるのかもしれない。この代表者会についての部分も「社説」の終わりで繰り返されている。

    3.北朝鮮が進む道
     社説は「我々の革命の前途は依然として遠く険しい。我々が勝利する道は、偉大な首領様が開拓した道、敬愛する将軍様が生涯を通じて戦いながら歩んできた道以外にない」とし「革命と建設において提起される全ての事業を先軍の要求通りに行いながら、全ての社会に銃隊重視、軍事重視の気風を確固として打ち立てなければならない」として、「先軍路線」を継続すると述べている。しかし、「社説」全体を通じて言えることは、「先軍」路線を強調する言質が減っているような印象を受けることも事実である。

    「敬愛する最高司令官金正恩同志が人民軍隊事業を現地指導(2012年2月)」(2012年3月24日「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」の約55分の番組がuriminzokkiriに掲載された。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8950

    今日は、サーバーの調子が良く、約350MBのこのファイルが平均80KB/Sぐらいでダウンロードできた。李明博「逆徒」攻撃が一段落したので、サーバー攻撃も弱まったのであろうか。

    この動画は、2月に金正恩さんが行った軍隊指導の総集編である(企業指導も1つ含まれている)。2月の指導については、その映像のほとんど(全てだったかもしれない)が静止画だったはずなので、動画での配信は初めてである。この動画で紹介されているシーンでは、金正恩さんのほほえみはあまり見られない。むしろ怖い顔をしながら、盛んに手を振り上げ何かを指示している様子が映し出されている。

    以前、金正恩さんの板門店視察の記事を書いたときに警護員について触れたが、その時に「板門店だから警護員が同行している」と書いたのは間違いで、軍隊の視察でも警護員がぴったりとついている。ただし、板門店の時のように平服ではなく、軍服を着ている。

    特に、金正恩さんが多くの軍人の前に出てくる場面では、複数の警護員が軍人たちの様子を鋭い目つきで観察している。このような警護員の挙動が他国と共通のものなのかどうかは分からないが、一番信頼しているはずの軍隊での「不審な動き」に細心の注意をはらっているのであろうか。将校のコートの下までは分からないが、あからさまに拳銃を携行しているのは、警護員だけである。

    海軍の黒っぽい軍服ではなく、緑色の軍服を着て上が平らな帽子をかぶっているのが警護員
    2012-03-23-11-yflv_000951160.jpg
    Source:http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8950

    魚雷艇に乗船中、梯子を下りる金正恩さんを補助する警護員
    2012-03-23-11-yflv_000416200.jpg
    Source:http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8950

    また、警護員は警護だけではなく、金正恩さんの「お世話」のような任務も担っているようである。というのは、金正恩さんが部隊のカラオケルームでカラオケを鑑賞する際にいすの準備をしたり、軍用医療器具を視察する際、バッグを下ろすのを手伝ったりしている。

    部隊のカラオケルームで長いすを準備する警護員(後方)
    2012-03-23-11-yflv_001656880.jpg
    Source:http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8950

    救急医療用バッグを受け取る警護員
    2012-03-23-11-yflv_002081040.jpg
    Source:http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8950

    静止画像はうまく処理されていて、警護要員はほとんど映り込まないが、動画では処理しきれないようで、何度となく背景に映り込んでいる。それほど金正恩さんにピタリと付いて警護をしているのであろう。金正日さんの動画でも確認をしたいところなのだが、uriminzokkiriが動画を配信するようになって以降の金正日さんは静止画像ばかりで、警護員が映り込んでいるものはざっと見た限り見つけることができなかった。

    金正恩さんの警護については、下記の「msnニュース」の記事が参考になろう。
    「金正恩氏、最精鋭の親衛部隊1号を継承 叔母にも2号 北朝鮮 2012.2.5 00:58 [北朝鮮]」
    http://sankei.jp.msn.com/world/news/120205/kor12020501000000-n1.htm

    <追記:2012年3月27日 10:33>
    3月25日、uriminzokkiriに「偉大な革命生涯の2011年」という動画が掲載された。金正日さんが亡くなった年に行った現地指導を集めた貴重な映画である。過去記事にも書いたように、この年の金正日さんの動画は、少なくともウェブ上ではほとんど確認できていない。

    長い動画だし、ここ数日かなり多くの動画が配信されているので、始めから終わりまできちんと見てはいないが、金正恩さんの視察に同行しているのと同じ服装の警護員が背景に映り込んでいる。もう少しよく見て、軍隊視察などでの警護の状況などを確認したいと思う。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8982

    「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会決定 第87号 最高人民会議を招集することについて」(2012年3月24日「労働新聞」)

    「労働新聞」にこのような記事が出た。また、同会議の「公示」もでている。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-24-0002

    これまでは、「朝鮮労働党代表者会」だけが招集されていたが、金正日死去後100日を期して最高人民会議が招集された。最高人民会議で金正恩さんが、金正日さんが持っていた国防委員長、党総秘書、党軍事委員会委員長のうちどの肩書きを得るかが注目されている。

    過去記事(http://dprknow.blog.fc2.com/blog-entry-90.html)でも検討したとおり、「労働党規約」によれば、金正恩さんは労働党大会で「推戴」されることで総秘書になれる。労働党大会は、開催6ヶ月前にその日時を発表しなければならないので、この時点では開催される予定はない。ただし、4月には代表者会開催が宣言されているので、金正日さんがそうであったように、「党代表者会は、朝鮮労働党最高指導機関を選挙したり党規約を修正補充することができる。」という「労働党規約」第30条を援用して、代表者会で総秘書に推戴される可能性も十分にある。労働党総秘書と党軍事委員会委員長は兼職である(同22条)ので、こちらで同時に2つの肩書きは得られる。

    国防委員長は、朝鮮民主主義人民共和国憲法第91条「最高人民会議は次の権限を持つ。」とその第5項「朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長を選挙または召還する。」により、最高人民会議で「選挙または召還」されることになる。金正日さんはこちらでも「推戴」されているので、金正恩さんも同じ形式を取る可能性がある。

    党代表者会や最高人民会が開催されるからといって、必ずしも金正恩さんがすべての肩書きを得ることになるかどうかは依然として不透明である。金日成死去に際して「主席」を永遠の主席として空席にするような措置が、「国防委員長」か「総書記」に対しても行われる可能性はある。金日成さんのケースでは、「主席」と「主体思想」を結びつけることで遺訓統治の理念的規範としたが、今回も「国防委員長」と「先軍政治」を結びつけて、第二の遺訓統治の理念とする可能性もある。「国防委員長」を「永遠の空席」とするためには、憲法改正も必要になる。ただ、国防委員長を「永遠の空席」とする措置は、表面的には「遺訓」を装いつつ、事実上の「先軍」との決別の宣言と理解することもできる。実際に、金正日さんも「主体思想」を標榜しつつ、「先軍」を主体思想と並立させた。そうだとして、金正恩さんは何を打ち出すのか。

    今日の「労働新聞」トップに「朝鮮中央通信社報道 党の指導に従い山のように高まった千万軍民の荘厳な歴史的大進軍 首領永世偉業実現と偉大な遺訓貫徹に満ちた崇厳な追慕の100日」という記事が出ている。

    この記事は、追悼期間からの総集編のような記事で、これまで報じられてきた金正日死去を悲しむ朝鮮人民の様子(例えば、「延べ2億6000万人が将軍様に弔意を表した」)、金正恩さんの軍隊視察(例えば、ソウル柳京洙第105タンク師団視察)、そして金日成・金正日騎馬像建設などの記念碑的建造物建立の話、科学技術が発達したという話とともに、軽工業部門を中心に達成された実績を企業別に具体的に伝えている。この記事が結局達成できなかった「強盛富強」国家建設を誤魔化すためのものであるという判断もあり得るが、「先軽工業政治」(Light Industry First Policy)へのシフトの可能性を予告するものであるという判断もできる。

    すると、この状況での衛星発射はどう判断した良いのであろうか。過去記事にも書いたように、北朝鮮は衛星発射に対する諸外国の反応を朝鮮人民には伝えてこなかった。しかし、とうとう今日の「労働新聞」(と、昨夜の朝鮮中央TV報道など)で「外務省スポークスマン談話」として、朝鮮人民に2.29米朝合意の「ウラニウム濃縮臨時中止やIAEA招致」など具体的内容と「米国が衛星発射を問題している」という米国の反対を明確に伝えている。これまでは、気象条件等、やむを得ぬ理由を付けて衛星発射を見送ることは対朝鮮人民的にはまだ可能であったが、こうした事実を公開してしまった現時点では相当に難しくなったといわざるを得ない。

    光明星3号発射が「3段式弾道ミサイルの発射実験」であるという側面があることは否定できないが、対内的には朝鮮人民に軍事力ではなく「朝鮮の科学技術の進歩」を金日成生誕100周年と金正恩「総書記」就任のタイミングで誇示したいのではないだろうか。北朝鮮は繰り返し、「核保有国になることで、軍事的には強盛大国になった」と主張してきた。

    米国は中国に北朝鮮の衛星発射を思いとどまらせるよう説得するよう圧力をかけている。ただ、中国は「経済援助の停止」まで掲げて北朝鮮に迫るとは考えられない。中国は、北朝鮮の次の核実験を思いとどまらせるために「援助停止」カードは温存しておく必要がある。中国による「援助停止」カードこそが、北朝鮮に対する最強のカードであるとすれば、これは「衛星発射」ぐらいで出すべきではない。やはりここは、騙されることを覚悟で、衛星発射と核活動停止を切り分けて進めるしかないのではないだろうか。

    「朝鮮中央通信」は北部の2つの「経済地帯法」と関連し「朝鮮の合営投資関係者、国家の投資環境について説明」という動画付きの記事を配信している。その中で「自立的民族経済の土台をたゆまず強化する基礎の上で、他国との経済協力関係を拡大発展していくということは、我が政府の終始一貫した政策である」と合営投資委員会副局長の言葉として伝えている。2つの「経済地帯」における法制の整備を公表しているのは、ある意味、中国の改革・開放の初期段階への経路に北朝鮮が突入する意欲を示していると理解はできるのではないだろうか。

    今回の衛星発射は、国際社会にとっても金正恩体制にとっても、今後の東北アジアの安定と平和の方向性を左右する試金石となっていると言わざるを得ない。

    「朝鮮民主主義人民共和国 外務省 スポークスマン談話」(2012年3月23日「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」に光明星発射に関する次のような外務相談話が出た。これまでは、宇宙空間技術委員会や朝鮮中央通信の声明や論評であったが、一段階レベルアップしている。

    内容は、まず「衛星発射は、2.29米朝合意とは別個の問題である」とし、「既に3回の朝米高位級会談で終始一貫して衛星発射は長距離ミサイル発射に含まれないことを明らかにした」としている。これは、2月29日以前の会談からこの問題が取り上げられていたことを米朝双方が認めたことになる。米国は、ヌーランド国務省報道官が昨日の定例記者会見で、衛星と弾道ミサイルの扱いに関する話を北朝鮮としたことを認めている。

    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/03/186654.htm#DPRK

    これは、前国務省職員であるEvans RevereのBrookings Institutionへの投稿で明らかになったものである。

    http://www.brookings.edu/opinions/2012/0320_north_korea_revere.aspx

    ただ、米国の主張との大きなくいちがいは、米国側が「北朝鮮が衛星発射も米朝合意違反であることを、我々(米国)の警告を受け認識していたようだ」としているのに対し、北朝鮮側は「別個の問題」としている点である。

    北朝鮮はこの外務省談話で「朝米合意を誠実に履行しようとする我々の立場には変化がない」とし、「ウラニウム濃縮活動の臨時中止を確認する手続きを話し合うために、IAEAの代表団を招請し、米国側との合意履行のための意思疎通も誠意を持って行っている」としている。現時点では、北朝鮮はIAEAによる査察の受け入れという立場を崩していないようである。

    しかし、米国が北朝鮮の衛星発射を問題視することは、「朝米合意の自主権尊重と平等の精神に反するものなので、合意履行に障害をもたらす」と主張し、「我々の自主的で合法的な権利を剥奪し、不当なダブル・スタンダードを適用しようとする不純な意図がはっきりすれば、不可避的に対応措置をとらざるをえない」とし、衛星発射に反対しないよう求めるのと同時に、衛星発射許容と核活動の中断をリンクさせている。

    北朝鮮の言うところの「不純な意図」が具体的に何を指しているのか分からない。仮に、4月中旬に北朝鮮が衛星を発射し、その結果、米国の栄養援助が取り消され、さらに国連での非難決議などがなされることになれば、間違いなく「不純な意図」と北朝鮮はとらえるであろう。そうなれば、ウラニウム濃縮臨時中止どころか、次の核実験へと事態は悪化する可能性が極めて高い。

    現時点で北朝鮮の内部状況を読むのは非常に難しい。過去記事にも書いたように、衛星発射まで読み込み済みで米朝合意をしたのであれば、金正恩体制は比較的安定しているし、内部の大きな勢力対立はないと判断できるであろう。上記のEvans Revere投稿記事の通りであれば、衛星発射は金正日さんの遺訓であり、金正恩さんはそれをひっくり返すことは「したくても」できないはずである。ただ、その遺訓の「発射時期」を調整することぐらいは可能であろう。米朝関係が好転し、北朝鮮が核に関する合意を履行していけば、いずれかの段階で正々堂々と「衛星発射」をすることができるはずである。それはまさに、北朝鮮が主張するとおり、「国際社会の総意が反映された宇宙条約をはじめとした、宇宙の平和利用に関する普遍的国際法」が適用されるからである。

    北朝鮮は、宇宙条約などの国際法は「安保理決議より上位」としているが、この点について、私は今判断できない。「安保理決議」という政治的判断による拘束力と国際法の拘束力の上下・優劣関係について、職場の国際法専門家に聞いてみる必要がありそうだ。

    <追記:2012年3月27日 10:27>
    「国際法の拘束力の上下・優劣関係について」職場の専門家に質問をしておいたところ、下記のような回答をいただけた。

    「まず、一般論として、安保理決議によって国際条約のルール等を部分的に覆すことは、十分に可能です。国連安保理は、国連憲章に定められた手続きにしたがって、まず特定の事態が「平和に対する脅威」を構成すると認定し、次いで拘束力のある決議を採択することで、その事態に関する限り、国際法のルールに優位する個別的な義務を関係国に課すことができるのです。そのためには、5大国がいずれも拒否権を行使しないこと(最悪でも棄権すること)と、非常任理事国10国を含めて15分の9以上の国が賛成を確保することが、必要になります。

    宇宙条約は、宇宙利用の自由や天体の軍事利用の禁止などを定めています。宇宙条約の大部分は、条約当事国以外にも通用する「一般国際法」のルールを法典化したもの、と考えられております。ちなみに、北朝鮮はこの条約の当事国になっていないようです。日米韓中ロは加盟しています。

    なお、理論的には、安保理といえども覆すことのできない国際法の上位のルール(例えば集団殺害の禁止や非人道的兵器の使用禁止など)が存在すると考えられていますが、今回のケースでは問題にならないようです。(宇宙利用自由はそれに当たらない。)」

    どうやら、人権などに関わる一部のルールを除いては、安保理決議は絶対であるようだ。それにしても、改めて「常任理事国」の国際関係に与える強大なパワーを感る。70年前の戦争の結果を未だに引きずっているということは、ある意味大変なことである。

    「朝鮮中央通信報道 我々に対するいかなる挑発も宣戦布告とみなすであろう」(2012年3月22日「労働新聞」)

    「朝鮮中央通信」は、このように題する記事を昨日配信していたが、それが今朝の「労働新聞」に掲載された。この記事も基本的に李明博政権を攻撃する形式を取っている。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-22-0005&chAction=L

    この記事では「今回の会議の主要議題が核物質の使用最少化と安全管理および不法取引防止」にあり、「我々は既に原則的立場を鮮明にし、核物質保有および管理において国際的規範が徹底的に遵守されていることを明白にしている」と主張している。
    そして、「朝鮮半島の非核化は、朝鮮半島での非核化を実現するための問題」であるから、「『北核問題』など事実上存在せず、会議の議題とされる何の名分もない」としている。

    光明星3号発射との関連では、衛星発射発表後に「さらにうるさく騒ぎ立てる(李明博)逆賊一味の醜態がそれを実証している」とし、今回の会議を契機に「(北朝鮮の)平和的宇宙利用の権利さえ否定し、自主権を侵害」しようと企てていると非難している。

    そして、李明博「逆賊一味」が朝鮮半島情勢を「統制不能な極限状態に至らせ」、「今後、事態がどのように展開(悪化)するのかについては、誰も予測できない」としている。そして、「ソウル会議で『北核問題』と関連した『声明発表』のようなことがあれば、それは朝鮮半島の非核化を遺訓とされた白頭山絶世の偉人たちの念願に対する極悪無礼な冒涜であ」ると主張している。

    最後に、「李明博傀儡一味を少しでもかばおうとするならば、反逆一味を埋葬するための、我々の無差別的打撃圏に共に置かれることになるであろう」とし、「いかなる挑発も我々に対する宣戦布告となり、その結果、朝鮮半島非核化論議大きな障害となるであろう」と結んでいる。

    上に書いたとおり、この記事は李明博政権を攻撃しつつ、米、中、露、日、EU諸国など、各国の首脳が参加する国際会議がソウルで開催されることへのいらだち、特に北朝鮮がいない場所で北朝鮮問題について、個別国間での協議であれ、行われることへの苛立ちを表しているのであろう。

    最後の「その結果、朝鮮半島非核化論議大きな障害となるであろう」というのは、何を表しているのであろうか。この会議を受けて、2月29日の米朝協議合意事項であるIAEAの査察受け入れも蹴ることを予告しているのであろうか。過去記事にも書いたとおり、米国は依然として北朝鮮に対して明確な態度を表明し切れていない。それは、「弾道ミサイル」と「核」を切り離すのかリンクされるのかで悩んでいるからであろう。北朝鮮は、当面、中国などからの説得に応じることなく、「弾道ミサイル」と「核」の切り離しを米国に迫るであろう。ただし、一方的に迫るのであれば、初めから米朝合意などする必要はなかった。そうであるとすれば、どこかで引くオプションも持ち合わせているはずである。国際社会は、この「引き」オプションをうまく北朝鮮に選択させるよう誘導していく必要がある。それが、北朝鮮も含む国際社会にとって、少なくとも「当面」の最良の結果をもたらすことは間違いないからである。

    ところで、「朝鮮中央通信」は光明星打ち上げ関連の記事をこの他にも昨日2つ配信した。

    「選択の権利は誰にでもある」
    「中国新聞:朝鮮が発射するものが衛星ではないという根拠はない」

    上の記事では、科学者の言を引用しながら「全地球的な大気と海洋、陸地の気候変化過程を研究、予測する実用衛星は、気象水門部門に必ずや必要である」などとしながら、北朝鮮による衛星発射と宇宙空間の「科学的」利用の正当性を主張している。

    下の記事は、中国の3月20日の「環球時報」の記事を引用「した」としながら、北朝鮮の主張を展開している。「環球時報」の英語サイト、「Global Times」(http://www.globaltimes.cn/OPED/tabid/64/lapg-448/3/Default.aspx)で、この記事を検索してみたが、出てこなかった。「労働新聞」もそうだが、朝鮮語の記事を全て英語に翻訳して配信しているわけではないので、「環球時報」でも同じことが言えるのかもしれないが、私は中国語を解さないのでこれ以上の確認はできない。ただし、3月19日に「Why China can't persuade N.Korea alone 」(http://www.globaltimes.cn/NEWS/tabid/99/ID/700891/Why-China-cant-persuade-NKorea-alone.aspx)という記事は配信されており、「朝鮮中央通信」の記事と一部の点で類似している。もしかすると、「朝鮮中央通信」は、この記事を拡大解釈しながら、独自の見解で脚色していったのかもしれない。

    「環球時報」の記事は、国際社会が北朝鮮を説得するという役割を中国に対して過度に期待してはならないという内容である。つまり、中国が北朝鮮を説得できないのは、中国がソウル、東京、ワシントンを説得できないのと同じであるからで、北朝鮮はソウル、東京、ワシントンに「反応している」だけであるとしている。

    「朝鮮中央通信」の記事との共通点は、北朝鮮が「核・ミサイル」を開発する理由として、「不安感」を言い回しは違えど上げている点である。「環球時報」では「insecure」という言葉を使い、「朝鮮中央通信」では「万が一、朝鮮が明らかに大陸間弾道ミサイルを発射しようとするのであれば、それは遠方からの威嚇を防ぎ、生存のためのものであり、それは、周辺国が朝鮮の安全を共同で高め、朝鮮が大陸間弾道ミサイルを発射しないようにすることが求められる」としている。

    これら2つの「朝鮮中央通信」の記事は、いずれも「労働新聞」には転載されていない。理由は、「引きオプション」を選択するに際して、それが「外圧による」ということを朝鮮人民に悟られ、最高司令官が弱腰であると思われないようにするためであろう。しかし、「弱腰」は悪いことなのであろうか。

    上記の「環球時報」の記事は、最後をこう締めくくっている。

    「China needs to tell North Korea the truth. Pyongyang and its people will suffer the most if the impasse persists.」
    (中国は、北朝鮮に事実を語る必要がある。この袋小路に固執するのであれば、北朝鮮政府と人民は最も苦しむことになる、と。)

    袋小路から抜け出すためには、時には「弱腰」になることも必要である。

    ところで、金正恩さんの動向に関する報道は、3月15日を最後にない。これまでも1週間程度、動向報道がなかったことはあったが、もうそろそろ何か出てこないと心配である。

    「20時報道」(2012年3月22日「朝鮮中央TV」)

    「労働新聞」社正面の金日成さんの肖像画の横に、金正日さんのモザイクで作られた肖像画が掲揚された。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=8916

    2012-03-21-19flv_000207040.jpg
    Source: Uriminzokkiri, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=8916

    これまでは、金日成さんの肖像画のみであったのだろう。どうも、金正日さんの葬儀や弔花の祭壇に掲げられていた金正日さんの肖像画になれてしまい過ぎたためか、この2人の肖像画が並んで掲げられててもあまり珍しさを感じないが、動画に登場する「労働新聞」の副主筆の言によると、「最高司令官が全国で初めてこのような措置を講じてくださった」とのことだ。今後、様々な公共機関に、金日成さんの肖像画と共に金正恩さんの肖像画も掲揚させることになるのであろう。

    「DPRK tourist site soon opens to Chinese visitors」(2012/03/21「People's Daily Online」)

    光明星3号発射関連の「朝鮮中央通信」の記事の裏を取るために「人民日報(英語版)」を見ていたら、こんな記事が出ていた。

    http://english.peopledaily.com.cn/90883/7764318.html

    金剛山観光は、そもそも韓国の現代のイニシアティブで、韓国と北朝鮮の民間レベル協力の象徴的な存在であったが、2008年7月に韓国人観光客の女性が許可されていない区域に侵入したことにより射殺された事件が発生して以来、韓国人観光はストップしてしまった。北朝鮮は昨年、韓国側に対して北朝鮮地域にある韓国が運営していた施設を没収するという声明を一方的に出していた。これに対し、韓国側は何ら有効な対抗手段に出ることができなかったので、事実上、北朝鮮に没収されざるをえなかったはずである。

    この「人民日報」のニュースによると、4月14日より中国人に対する金剛山観光が解禁になるとのことである。中国人観光客は、吉林省にある4社の民間旅行会社の手配で、延吉より出発し、揮春を経て北朝鮮の羅先に入り、そこから船で金剛山に向かうという。中国側の旅行社は吉林省にある旅行社4社に限られており、関係者によると、「行政機関はこの計画に関与していない」とのことである。しかし、北朝鮮側は、当然政府が絡んでいるはずであるし、中国側も「吉林省の旅行社」だけということになると、少なからず計画段階での吉林省政府の関与はあったはずである。

    金剛山観光については、中国人旅行者はノービザで行けるとのことである。ちなみに、それ以外の地域(少なくとも経験上、平壌は一昨年そうであった)に関しては、中国人とはいえビザを要し、団体旅行の際も中国側の旅行社より持ち物、行動、言動などについてかなり細かい注意を受けていた。ま、それでも、過去記事に書いたとおり、板門店で韓国の国歌を口笛で吹く人はいたのだが。

    なお、金剛山観光に中国人旅行者が持って行けないものは、「人民日報」の記事によると、携帯電話とプロ用のカメラだそうである。ちなみに、他の観光地ではこれらが許されているような記述がされている。中国人旅行者と日本人旅行者の扱いが同じかどうかは分からないが、経験上、携帯電話とGPS機能が付いた「もの」については、相当にうるさかった。これは、携帯電話、とりわけ中国のネットワークに接続可能な携帯電話が北朝鮮に持ち込まれ、朝鮮人民に譲渡されるのを警戒しているからであろう。ただし、カメラについてはプロ用とはいわずとも、それなりに性能の良い一眼レフを持ち込んだ。レンズについては、望遠は許されないという話があったので、18-55mm1本だけを携行したが、入国の際も入国後の撮影も一切制限を受けなかった。むしろ、こちらが気にして「写真を撮っても良いか」と尋ねていたほどである。金剛山は特別なのであろうか。

    この記事では、金剛山観光を「中国人に」と書いているが、北朝鮮観光を国交がない日本人もできる現状を考えると、恐らくは、中国経由で行けば、金剛山にも行けるのではないだろうか。ただ、私の平壌行きが中国人グループに混ざっていくことを許されなかったように、金剛山も個人(独立)の旅行パッケージとなる可能性は高い。

    「衛星発射、朝米合意に抵触しない-朝鮮中央通信社論評」(2012年3月20日「朝鮮中央通信」)

    「衛星発射」は「弾道ミサイル発射」ではないという、朝鮮中央通信の論評が出た。なお、同様の発言は、北朝鮮外務次官李ヨンホさんが、北京で6か国協議の議長を務める中国の武大偉特別代表との会談後、記者団に語っているようである。

    http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20120320-00000011-jnn-int

    「中央通信社」の論評は、基本的には李明博政権を批判する形式を取っている。つまり、米朝関係が好転するのを嫌い、それを妨害するために「弾道ミサイル発射」を騒ぎ立てているというのだ。なお、この論評で米国は一切非難していない。

    論評では、「我々は実のある会談が進む期間、核実験と長距離ミサイル発射、ヨンビョンのウラニウム濃縮活動を臨時に中止し、ウラニウム濃縮活動の臨時中止についての国際原子力機構の監視を許可することにした」と米朝合意を確認した上で、「宇宙空間の平和的利用に関する全ての国の合法的権利に基づき、発射計画を公開し、国際的規定と手続きに従い国際機関に必要な情報を通報した」と別の論評でした主張を繰り返し、「実用衛星発射と長距離ミサイル発射は、別の問題である」と結論づけている。

    そして、2002年10月に北朝鮮がウラニウム濃縮計画を認めた時を回顧しながら、「過去、敵対勢力がありもしない<ウラニウム濃縮疑惑>説を持ち出し、朝米対話を破綻させ、情勢を極度に悪化させ、結局、我々を核保有に走らせた歴史の教訓を繰り返さない方がよい」と述べている。これは、前記事でも指摘したように、北朝鮮が衛星発射とウラニウム濃縮停止をリンクさせ、衛星発射を許さなければ、ウラニウム濃縮を再開し、核爆弾への第二のパス(ウラニウム型核爆弾の製造)を推し進めるという威嚇であろう。

    米国に対する直接的な避難は慎重に避けている点で、米朝関係の破綻はもたらしたくないのであろう。そうだとすると、やはり今回の衛星発射予告は、国内問題、特に軍部との関係と外交の葛藤の表出なのであろうか。上の「TBS」記事にあるように、中国との会談後にも「衛星発射実施」を主張していることからして、中国が北朝鮮の衛星発射に理解を示したのでなければ、説得には失敗したのであろう。

    前後するが、3月18日にやはり「朝鮮中央通信」が衛星発射についての論評を出している。こちらでは、「米国、日本、南朝鮮をはじめとした敵対勢力が・・・暴言を」と米国も非難の対象にしている。そして、「人工地球衛星の製作と発射問題でのダブルスタンダードを絶対に認めることはできない」としている。

    過去記事にも書いたが、今回、北朝鮮が衛星発射に踏み切れば、「厳密な意味ではじめて」安保理決議の「弾道ミサイル技術を使った発射の中止要求」に反することになる。また、2月29日の米朝合意に関しても、会議の途中で北朝鮮側とどのようなやりとりがあったにせよ、米朝双方がそれぞれ発表した声明には「弾道ミサイル」としか記されていない。北朝鮮側はさておき、米国側は光明星2号発射の経験から安保理決議1874の記述を「弾道ミサイル技術を使った発射」と改めたのであれば、なぜこの合意でも注意深い表記をしなかったのであろうか。

    さらに、「弾道ミサイル技術を使った発射」の定義自体も曖昧である。というのは、日本の新聞報道によると、北朝鮮は2011年12月19日と2012年1月11日に「短距離弾道ミサイル」を日本海に向けて発射しているという。

    「産経新聞」:
    http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120113/plc12011301380000-n1.htm

    だとすれば、「短距離」だとはいえ「弾道ミサイル技術を使った発射」となる「はず」なので、こちらも安保理決議1874違反ということになるが、この時、国際社会は北朝鮮を非難しなかった。日本政府もまた、上の「産経新聞」の記事によれば、「今回のミサイル発射の意図を慎重に分析するとともに、防衛省・自衛隊がさらなる挑発行為に出てこないか警戒を強め」ただけのようである。

    北朝鮮の主張する「ダブルスタンダード」は、「韓国(やそのほかの国)の衛星発射を許しておきながら、なぜ我々には許さないのか」ということであるが、実はもう一つのダブルスタンダード「短距離はいいが、長距離は駄目」というものが存在するような気がしてならない。日本を含む東アジアの周辺諸国に到達するノドンミサイル(中距離?)は完成しているが、米国に到達する長距離の実験は阻止するという意味であろうか。

    「核」と「ミサイル」はセットで実戦力となる。同時に排除することがもちろん理想ではあるが、それができなければどちらか片方からでも着手することが重要である。北朝鮮の主張どおり、今回もまた米朝対話を破綻させてしまえば、「ウラニウム・パス」は間違いなく推進されてしまうであろう。衛星発射を自制させる国際的な説得は続けつつも、「発射後」の青写真をきちんと描いておく必要がある。

    別記事にしても良いのだが、ついでにこちらに書いておくと、「朝鮮中央通信」の国際社会の反応に対する論評は、「労働新聞」や「朝鮮中央TV」で一切紹介されていない。実は、この記事を書くのを「論評」についての記事を書くのを保留したのも、そこに理由がある。1日の猶予をおいて、今朝(3月20日版)の「労働新聞」を確認したが、「朝鮮中央通信」の「論評」も含め「衛星打ち上げ」に関する記事は一切出ていない(見落としはないと思う)。前の記事にも書いたが、国内に対する「宣伝」を控えているのかもしれない。特に、万が一、発射を中止するにしても、「国際社会に非難されて中止」などということは絶対にいえないので、国内的には「天候不良」か「技術的問題」を理由に中止(延期)することになるであろう。

    北朝鮮がこのタイミングで発射を発表した意図についてずっと考えているが、未だに明快な答えに至っていない。

    ちなみに、金正恩さんの動向がここ数日伝えられていないのも気になるところである。

    「銀河水管弦楽団パリで大成功裏に公演」(2012年3月16日「朝鮮中央TV」)

    銀河水管弦楽団のパリ公演についても記事を書こうと思っていたが、別の「銀河」の話が飛び出してきたので、後回しになってしまった。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8839
    alternative site
    http://www.youtube.com/watch?v=nMyraDs7-wI&context=C4c8223aADvjVQa1PpcFOj3d50nl-a_5GEU6Br-Jr7a6rtuXFR060=

    報道によると、公演は大成功で、チケット完売後も希望者がコンサート会場を取り巻き、階段に座って鑑賞する人が出て、アンコールにより公演時間は予定よりも1時間延長されたとのことである。

    音楽を評する能力を私は持ち合わせていないので、You Tubeでlollipopzamを検索していただきたい。パリ公演で演奏された曲目のうち3曲がこのユーザーによりアップロードされている。このユーザーは、Koryo Mediaというチャンネルを開設しており、北朝鮮関連の音楽が専門である。銀河水公演がフランスのテレビで放映されたのであれば、その番組のコピーのアップロードかもしれないが、uriminzokkiriのように北朝鮮政府系のユーザーであるとすると独自の映像を編集してのアップロードかもしれない。

    銀河水管弦楽団のパリ公演に関しては、16日の「労働新聞」でも大々的に報じられている。PC版では、トップ記事であった。通常この場所には、金正日さんの思い出や「お言葉」紹介、あるいは金正恩さんの現地指導に関する記事が掲載される場所である。印刷版を見ると、さすがに一面にはこの記事は出ていないが、文化面全面を使って演奏曲目毎に細かく様子を伝えている。また、関連記事もいくつか出ている。

    上に書いたlollipopzamがアップロードした曲の一つに「アリラン」がある。アンコールでの演奏であろうか。指揮をしているのは2012年2月28日に平壌を訪問した韓国人のチョン・ミョンフンさんである。当時、なぜ鄭さんが平壌を訪問したのか具体的な理由は明らかにされなかったのだが、パリ公演関連の打ち合わせであったのであろう。鄭さんは、今回、銀河水管弦楽団と共演をしているフランス放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者である。

    拙記事:http://dprknow.blog.fc2.com/blog-entry-96.html

    金正恩さんが観覧した銀河水管弦楽団の演奏会では、団員が軍服のようなカーキ色の服を着て演奏していたが、パリ公演では普通の管弦楽団員が着るような衣装である。また、北朝鮮音楽が曲目の多くを占めるが、(西洋)クラシック音楽も演奏しており、「朝鮮中央TV」の報道では、「朝鮮音楽のみならず、クラシック音楽も見事に演奏した」と称賛している。

    今回のパリ公演は、EU諸国で北朝鮮と国交のない2国のうち1国であるフランスで公演をすることで、フランスにおける北朝鮮のイメージを高めること、特に4月に控えたフランス大統領選挙で政権交代があった場合に、北朝鮮との国交正常化を働きかけやすくする状況を作り出す目的であろう。また、対内的には「文化の都パリ」で北朝鮮音楽が高く評価されたと宣伝することで、金日成さんの誕生日に向けて国民の自負心を高め、さらにそれを金正恩さんの指導と相関させる目的であろう。

    「朝鮮民主主義人民共和国黄金坪、威化島経済地帯法」(2012年3月17日「朝鮮中央通信」)

    この法律と「朝鮮民主主義人民共和国羅先経済貿易地帯法」の全文が「朝鮮中央通信」で公開された。

    いずれの法律も2011年12月3日の最高人民会議常任委員会で採択(「黄金坪、威化島経済地帯法」、修正補充(「羅先経済貿易地帯法」)されているので、金正日時代である。これらの法律をこのタイミングで公表したのは、党代表者会後に出される新たな経済政策の前触れではないだろうか。ここでは、新たに制定された「黄金坪、威化島経済地帯法」をみていくことにする。

    제5조(경제활동조건의 보장)

    투자가는 경제지대에서 회사, 지사, 사무소 같은것을 설립하고 기업활동을 자유롭게 할수 있다.

    국가는 토지리용, 로력채용, 세금납부, 시장진출 같은 분야에서 투자가에게 특혜적인 경제활동조건을 보장하도록 한다.

    第5条(経済活動条件の保障)
    投資家は、経済地帯で会社、支社、事務所などを設立し、企業活動を自由に行うことができる。政府は、土地利用、労働力採用、税金納付、市場進出などの分野で投資家に特恵的な経済活動条件を保障する。

    としている。特に「労働力採用」において投資家に「特恵的な経済活動条件を保障する」としているが、どこまでそれを保障するのであろうか。

    제6조(투자장려 및 금지, 제한부문)

    국가는 경제지대에서 하부구조건설부문과 첨단과학기술부문, 국제시장에서 경쟁력이 높은 상품을 생산하는 부문의 투자를 특별히 장려한다.

    第6条(投資奨励および禁止、制限部門)
    政府は、経済地帯でインフラ建設部門と先端科学技術部門、国際市場で競争力が高い商品を生産する部門の投資を特別に奨励する。

    としており、投資対象地域のインフラ開発から外国企業にやらせようとしている。ここでいう「インフラ建設」が一体どこまでのレベルを指しているのか分からないが、ある程度のインフラが構築されていなければ、外国企業が投資先として選択するのには障害となる。ただし、中国のゼネコンの資金と資材で朝鮮人労働力を使いながら、インフラ開発を進めるという可能性はある。

    제7조(경제지대관리운영의 담당자, 관리위원회사업에 대한 관여금지원칙)

    경제지대의 관리운영은 중앙특수경제지대지도기관과 평안북도인민위원회의 지도와 방조밑에 관리위원회가 맡아한다.

    이 법에서 규정한 경우를 제외하고 다른 기관은 관리위원회의 사업에 관여할수 없다.

    第7条(経済地帯管理運営の担当者、管理委員会事業に対する関与禁止原則)
    経済地帯の管理運営は中央特殊経済地帯指導機関と平安北道人民委員会の指導と協力の下に管理委員会が担当する。
    この法に規定した場合を除き、他の機関は管理委員会の事業に関与することはできない。

    この条文では、「他の機関は管理委員会の事業に関与することはできない」としているが、これはこれまでも問題になっていた北朝鮮の複数の機関が重層的に投資企業の経営に干渉しようとするという問題を排除することを目的とするのであろうか。「管理委員会」に実際にどれだけの権限が与えられるのかは分からないが、この部分の交通整理がきちんとできるとすれば、投資企業にとっては相対的に随分「楽な」投資環境となるといえよう。

    제22조(경제지대의 관리원칙)
    경제지대의 관리원칙은 다음과 같다.
    법규의 엄격한 준수와 집행
    관리위원회와 기업의 독자성보장
    무역과 투자활동에 대한 특혜제공
    경제발전의 객관적법칙과 시장원리의 준수

    第22条(経済地帯の管理原則)
    経済地帯の管理原則は次のとおりである。
    法規の厳格な遵守と執行
    管理委員会と企業の独自性保障
    貿易と投資活動に対する特恵提供
    経済発展の客観的法則と市場原理の遵守

    上の事項とも関連し、法治主義と「管理委員会」の独立性を強調している。「経済発展の客観的法則」とは具体的に何を示しているのか分からないが、後に続く「市場原理の遵守」という文言から判断すると、少なくとも「経済地帯」内では、「経済発展は、市場原理に基づいてなされるということが、客観的法則」であることを認めているようにも読める。

    제34조(기업의 권리)
    경제지대에서 기업은 규약에 따라 경영 및 관리질서와 생산계획, 판매계획, 재정계획을 세울 권리, 로력채용, 로임기준과 지불형식, 생산물의 가격, 리윤의 분배방안을 독자적으로 결정할 권리를 가진다.
    기업의 경영활동에 대한 비법적인 간섭은 할수 없으며 법규에 정해지지 않은 비용을 징수하거나 의무를 지울수 없다.

    第34条(企業の権利)
    経済地帯で企業は、規約により経営および管理秩序と生産計画、販売計画、財政計画を立てる権利、労働力採用、労働賃金基準と支払い形式、生産物の価格、利潤の分配方法を独自的に決定する権利を持つ。企業の経営活動に対する不法な干渉を行うことはできず、法規に定められていない費用を徴収したり義務を課すことはできない。

    「労働賃金の支払い形式」を企業が決定する権利を持つというのは、注目すべき点である。はたして、「経済地帯」内の企業は直接朝鮮人民に対して賃金を支払うことが認められるのであろうか。また、「企業の経営活動に対する不法な干渉」を禁じているのは、これまで北朝鮮の個人や諸機関が機会がある毎に投資企業に「賄賂」を要求してきたことを暗に認め、それを排除するための規定であろう。

    제39조(상품, 봉사의 가격)
    경제지대에서 기업들사이에 거래되는 상품과 봉사가격, 경제지대안의 기업과 지대밖의 우리 나라 기관, 기업소, 단체사이에 거래되는 상품의 가격은 국제시장가격에 준하여 당사자들이 협의하여 정한다.

    第39条(商品、サービスの価格)
    経済地帯において企業間で取引される商品とサービスの価格、経済地帯内の企業と地帯外の我が国機関、企業所、団体との間で取引される商品の価格は、国際市場価格に準じ当事者の合意により決定される。

    上の「市場原理」とも関連し、価格は経済地帯内のみならず北朝鮮国内の企業との取引についても「市場価格」とするとしている。そうなると、北朝鮮国内の企業に対しても徐々に「市場価格」が浸透していくことになるはずである。

    제42조(기업의 회계)
    경제지대에서는 기업의 회계계산과 결산을 국제적으로 통용되는 회계기준을 적용하여 하도록 한다.

    第42条(企業の会計)
    経済地帯では、企業の会計計算と決算に国際的に通用する会計基準を適用する。

    読んで字のごとく、「国際会計基準」を「経済地帯」に適用するということであろう。

    제46조(류통화페와 결제화페)
    경제지대에서는 정해진 화페를 류통시킨다.
    류통화페와 결제화페는 조선원 또는 정해진 화페로 한다
    경제지대에서 외화교환, 환률과 관련한 절차는 규정으로 정한다.

    第46条(流通通貨と決済通貨)
    経済地帯では、定められた通貨を流通させる。
    流通通貨と決済通貨は、朝鮮ウォンまたは定められた通貨とする。
    経済地帯で外貨交換、為替レートと関連した手続きは規定により定める。

    「経済地帯」では、朝鮮ウォンが流通するとしている。したがって、朝鮮人民に投資企業により支払われる賃金も朝鮮ウォンになるのであろうか。開城工業団地では、韓国企業は北朝鮮側に「ドル」で賃金を支払い、それを北朝鮮当局が朝鮮人民に対して朝鮮ウォンで賃金として支払うという方式をとっている(もちろん、全額ではない)。経済地帯で原則、朝鮮ウォンを流通させるという方式にしておけば、元であれドルであれ「定められた為替レート」で朝鮮ウォンに交換されることになるので、北朝鮮の外貨獲得には当面障害とはならないであろう。ただ、「定められた為替レート」なるものが適正でないと、投資企業にとって経済地帯で朝鮮人労働者を雇用するメリットが激減することはいうまでもない。

    제57조(통신수단의 리용)
    경제지대에서는 우편, 전화, 팍스 같은 통신수단을 자유롭게 리용할수 있다.

    第57条(通信手段の利用)
    経済地帯では、郵便、電話、ファックスなど、通信手段を銃に利用することができる。

    とあるが、インターネットについては規定されていない。郵便は言うに及ばず、電話・ファックスなどというのは一世代以上前の通信手段であり、インターネットの利用を認めないというのは「経済地帯」内の企業にとってはマイナスである。

    제67조(경제지대의 출입)
    경제지대로 출입하는 외국인과 운수수단은 려권 또는 그를 대신하는 출입증명서를 가지고 지정된 통로로 사증없이 출입할수 있다.

    第67条(経済地帯の出入り)
    経済地帯に出入りする外国人と運送手段は、旅券またはそれに代わる出入証明書を持ち、指定された通路で査証なく出入りすることができる。

    とし、ノービザでの入国を認めている。条文には「外国人」と書かれているが、これが国交のない、例えば日本人にまで適用されるのかは分からない。

    부 칙
    제2조(법의 해석권)
    이 법의 해석은 최고인민회의 상임위원회가 한다.

    付則
    第2条(法の解釈権)
    この法の解釈は、最高人民会議常任委員会が行う。

    としている。法解釈は裁判所が行うべきだと思うが、この法律については「最高人民会議常任委員会」としている。これは、この法律による運用面での問題が出てきた場合や国際情勢の変化により「法律の解釈」を変えなければならない状況に対応できるようにという猶予措置であろう。北朝鮮にとっては都合の良い措置ではあるが、投資企業にとっては大きな不安材料となることは間違いない。

    「朝鮮中央通信社<光明星3号>の発射準備事業について報道」(2012年3月17日「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」は、北朝鮮の関係部門が「国際的規定と手続きにしたがい、国際民間航空機関、国際海事機関、国際電気通信連盟などに資料を通報した」と報じた。また、「外国の権威ある宇宙科学技術部門の専門家と記者を招請し、西海衛星発射場と衛星管制総合指揮所などを参観させ、地球観測衛星<光明星3号>の発射実況を見せるであろう」としている。

    前記事に「透明性」について書いたが、北朝鮮は、発射状況を公開することで「透明性」を確保しようとしているようだ。しかし、誰に公開するのか、どの段階をどれだけ公開するのかについての具体的な言及はない。北朝鮮にとっては、弾道ミサイルであれ衛星運搬ロケットであれ、その飛行実験と主に国内向けの宣伝ができれば良い訳なので、海外の専門家や記者が見ている前で打ち上げた方が都合良いはずである。対外的には「透明性確保」、対内的には「世界が注目した我が国の技術」という両面での宣伝に利用できるからである。

    過去の「衛星運搬ロケット」発射では、これほど早い時期の予告もなかったし、さらに海外の専門家やメディアを招待するということもなかった。ここまでして「運搬ロケット打ち上げ」をしようとしているのは、やはり金日成さんの誕生日と労働党代表者大会を契機に金正恩体制を盤石にするために、ロケット打ち上げが軍部との関係も含みどうしても必要と考えている一方、進展しかけている米朝関係も後転させたくないという状況におかれているからではないだろうか。

    <追記: 2012年3月19日 12:22>
    上記の「過去の「衛星運搬ロケット」発射では、これほど早い時期の予告もなかった」というのは誤りである。「朝鮮中央通信」の過去記事を調べていたら、2009年4月5日に光明星2号を発射するに際し、3月12日にはKCNAが国際民間航空機関などに銀河2号衛星運搬ロケットの発射について通達したと伝えている。

    http://www.kcna.co.jp/item/2009/200903/news12/20090312-11ee.html

    おさらいのために前後の記事を読んでいたら、
    3月9日に金正日最高人民会議代議員選挙で再選
    http://www.kcna.co.jp/item/2009/200903/news09/20090309-14ee.html
    4月5日に金正日さん、光明星2号打ち上げ視察などのニュースがあった。
    http://www.kcna.co.jp/item/2009/200904/news05/20090405-12ee.html

    「North Korean Announcement of Missile Launch」(2012年3月17日 「US Department of State」)

    北朝鮮の衛星発射報道を受け、米国時間の午前4時に米国務省のノーランド報道官はこの声明を出した。

    http://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2012/03/185910.htm

    米国時間の早朝ということもあり、同じ声明が国務長官と報道官の名前で出されるなど、若干混乱もあったようである。ノーランド報道官は、この混乱についてウェブサーバーの技術的問題としている。ともあれ、北朝鮮のこのような決定が「想定外」であったので、相当に慌てた様子がうかがわれる。

    声明では、北朝鮮の「ミサイル」発射が「国際的な履行義務に対する直接的な違反であり、挑発的である」と非難し、その理由として、国連安保理制裁決議1718と1874が禁じている「弾道ミサイル技術を使った発射」であるとしている。そして、「ミサイル」発射は、「最近の長距離ミサイル発射の自制という合意に反する」とし、北朝鮮に対し「国連安保理決議を含む国際的履行義務を遵守」することを求めている。その上で米国は、「関連国と次のステップについて緊密に協議する」としている。

    まず、ノーランド声明では「ミサイル」という用語を使っている。この点については、後述するのでここでは確認だけにとどめておく。念のために、国連安保理決議1718と1874の「ミサイル」に関する部分の記述を確認しておく。

    国連安保理決議1718(2006.10.14)

    http://www.mofa.go.jp/policy/un/resolution1718.pdf

    2. Demands that the DPRK not conduct any further nuclear test or launch of
    a ballistic missile
    ;

    (朝鮮民主主義人民共和国に対し、今後、核実験や弾道ミサイルの発射を行わないことを要求する)

    国連安保理決議1874(2009.6.12)

    http://www.un.org/News/Press/docs/2009/sc9679.doc.htm

    2.Demands that the DPRK not conduct any further nuclear test or any launch using ballistic missile technology;

    (朝鮮民主主義人民共和国に対し、今後、核実験や弾道ミサイル技術を使った発射を行わないことを要求する)

    となっており、2度目の「飛翔体」発射も北朝鮮が「人工衛星の発射」と主張したことに対し、今後そのような主張ができないように釘を刺している。つまり、一度目の発射について、厳密には、北朝鮮は違反していたと確定できないことを暗に安保理決議の中で認めているのである。それは、安保理決議1718で禁じたのは「弾道ミサイルの発射」であり、人工衛星打ち上げロケットは禁止されていなかったからである。そこで、弾道ミサイルにも衛星打ち上げロケットにも用いられる「弾道ミサイルに使われる技術」という表現に切り替えている。したがって、4月に光明星3号が打ち上げられることになれば、一応、「弾道ミサイルに使われる技術」を使った発射になるわけで、安保理決議1874には違反することになろう。ともあれ、この点については、まだ曖昧な点がある。

    ノーランド報道官は、国務省定例記者会見で多くの時間を北朝鮮の問題にさいている。

    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/03/185935.htm

    記者会見の中での「ミサイル」と「人工衛星打ち上げロケット」を巡る米国の立場を見ていくことにする。

    ノーランドさんは、記者に国務省報道官声明の中では「ミサイル」と言っておきながら、記者会見では「衛星打ち上げ」と言っている点について質問され、北朝鮮の主張するように衛星打ち上げであったとしても「ミサイル技術を使うので、国連安保理決議1874に対する明確な違反」であるとしている。ただ、上で指摘したとおり、安保理決議1718に対する違反であるとは、意図的にであるかどうかは分からないが、言っていない。

    では、2月29日の米朝合意に対する見解はどうか。ノーランドさんは「北朝鮮側に衛星発射の扱いについて米朝協議で伝えられていたのか」という記者の質問に答え、「米国は北朝鮮側に衛星発射もこの合意に反するものであると明確に伝え、その場にいた北朝鮮側の代表は理解していた」としている。このとおりだとすると、前の記事にも書いたように、北朝鮮側で、特に軍と外務省の調整がうまくできていなかった可能性が出てくる。

    ただ、ノーランドさんの栄養援助やIAEAによる核査察についてのコメントを見ると、北朝鮮は「衛星発射」を読み込み済みで米朝合意に至った可能性も大いにある。

    栄養援助についてノーランドさんは、「米国は人道援助とその他の政策をリンクさせないことを原則としている」としながらも、合意を破るような政権が、モニタリングなど栄養援助を必要としている人々への配給を保障できるかどうかについて疑問を呈し、さらに衛星発射がもたらす緊張状態がそれをさらに難しくするであろうと述べている。しかしながら、衛星が発射されれば栄養援助は「非常に困難になる」としつつも、「行わない」とは、注意深く明言していない。

    さらに、ノーランドさんは、「衛星発射」よりも「ウラン濃縮停止」の方に力点を置いているようにも思われる。ノーランドさんは記者に「IAEAが北朝鮮の地で査察を行うことが米国政府にとって重要なのではないのか」という質問を受け、「よい指摘だ。我々はこれからこの問題への対応としてどのようなオプションがあるかを再検討しなければならないと思う」と答えている。

    もし、「衛星発射」で今回の合意全てを水に流してしまうのであれば、振り出しに戻るだけである。米国が「衛星発射」か「核開発」という選択を迫られれば、「核開発」により重点を置くはずである。確かに米国に到達する長距離ミサイルを北朝鮮が保有することは米国にとっては脅威である。北朝鮮が既に保有しているといわれる生物化学兵器まで念頭に入れれば、核爆弾以上に深刻であるのは間違いない。しかし、現在のテポドン2号の「失敗」からして、北朝鮮の長距離ミサイル技術は直接的かつ短期的な脅威になるとは米国は考えていないはずである。一方、北朝鮮の核開発はミサイル以上に進んでおり、特に第二のパスであるウラン型核爆弾の製造はなんとしても中断させたいであろう。そのためには、IAEAの査察を受け入れさせ、NPTに復帰させることは非常に重要である。

    先に北朝鮮は「読み込み済み」と書いたが、米国が栄養援助中止などという誤った判断をしなければ、北朝鮮はIAEAの査察に関する約束は履行するのではないだろうか。もちろん、前記事にも書いたように、米朝がそれぞれ出したステートメントの内容には若干の相違があるので、そこで摩擦が起こる可能性も十分にある。ともあれ、金日成さんの誕生日にロケットを打ち上げ、しかも米国から栄養援助を取り付けることに成功すれば、金正恩さんにとっては外交的にも、そして対内的、特に軍部に対しても大きな功績となることは間違いない。

    ノーランドさんの会見からも分かるように、米国はまだ席を蹴っていない。オバマ政権が、この時期に席を蹴るのが難しい状況であるということも北朝鮮は見抜いているに違いない。米国は栄養援助を段階的に進めていくといっているので、モニタリングの保障、IAEAの査察受け入れなどを巡り、これからも交渉は続けられるであろう。その動きを注視したい。

    「朝鮮宇宙空間技術委員会スポークスマン談話」(2012年3月16日「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮が人工衛星「光明星3号」の打ち上げ計画を発表した。「朝鮮中央通信」によると「今回、打ち上げられる光明星3号は、極軌道を飛行する地球観測衛星で運搬ロケット銀河3で平安北道チョルサン郡の西海衛星発射上から南方に向け4月12日から16日の間に発射される」としている。そして、「衛星発射過程で発生する運搬ロケットの残骸が周辺国家に影響を与えないように飛行軌道を安全に設定した」とし、「我々は、平和的な科学技術衛星発射と関連する国際的規定と慣例を円満に守り、透明性を最大限保障し、宇宙科学研究と衛星発射分野において国際的信頼を増進し、協力を強化することに役立てる」としている。

    これと関連し「先軍朝鮮の国力を誇る衛星発射」という記事も配信し、朝鮮人民の「我が国を核保有国、衛星製作および発射国として世界の中心に持ち上げたそのお方(金正日)の賢明な指導があったので、我々の宇宙科学技術は、より高い水準に達した」などという話を伝えている。

    2月末の米朝協議の合意には「長距離ミサイルの発射中止」が盛り込まれている。ただ、今回発射するロケットは衛星打ち上げようであるので、この合意に反するものではないというのが北朝鮮の立場であろう。これを米朝間でどのように処理するのか。以前、航空宇宙技術者のHPで宇宙ロケットとミサイルの違いについて読んだことがあるが、明確に区別をするのは難しいと書かれていた。北朝鮮がいう「透明性を最大限に保障」するということは、何を示しているのか。打ち上げに外部の人間を立ち会わせるということであろうか。北朝鮮の宇宙開発を認める国際的な枠組みも必要ではないのか。

    <追記: 2012年3月17日 09:37>
    昨日書こうかと思ったのだが、もう少し確認をしてからと思い、今朝、昨日夜北朝鮮で放映された「20時報道」と今日の「労働新聞」を見るまで保留しておいたことがある。

    それはなにかというと、今回の人工衛星発射計画に金正恩さんの直接的にコミットしているというような記述がほとんどないという点である。現時点で確認した限りでは、

    「朝鮮中央通信」で、
    「朝鮮宇宙空間技術委員会談話」
    「人工地球衛星製作国、発射国の威厳を再び誇るであろう」
    「朝鮮の教授たち光明星3号の成果的発射を確信」
    「光明星3号の発射は、金日成民族、金正日朝鮮の大慶事」
    「朝鮮の科学者たち強盛国家建設が決して絵空事ではないと強調」
    「朝鮮宇宙空間技術委員会スポークスマン談話を聞いた金日成総合大学教職員、学生たち」

    http://www.kcna.kp/

    「労働新聞」で、
    「朝鮮宇宙空間技術委員会談話」
    「我々はこうして宇宙を征服する」
    「光明星3号を発射するというニュースを聞いた鉄道省幹部の顔に民族的誇りと自負心が溢れている」
    「世界を見下ろす強盛復興へ」
    「最先端突破の歓声宇宙へ震撼させる」

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-17-0002&chAction=L
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-17-0004&chAction=L
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-17-0006&chAction=L
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-17-0005&chAction=L
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-17-0007&chAction=L

    「朝鮮中央TV」で、
    「朝鮮宇宙空間技術委員会談話」
    「20時報道」

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=8825
    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=8841

    がある。しかし、いずれの報道でもこれが金正恩さんの実績であるかのような説明がないばかりか、彼の名前もほとんど出てこない。「労働新聞」のいくつかの記事で出てくるものの、最後の数行の枕詞として「党と金正恩同志の下に堅く団結し」という程度である。そして、今回の衛星発射に直接的に貢献したのは、金正日さんであるというような発言や記述が多くされていることも特徴的である。

    また、報道では、朝鮮の科学技術の発展を強調している点も特徴的である。今回発射する「飛翔体」が弾道ミサイルではなく、人工衛星運搬ロケットであるということを強調するためかもしれないが、「労働新聞」の光明星3号関連の記事も全て「文化」のカテゴリーに分類されている。

    さて、これをどのように解釈すべきであろうか。第一の解釈としては、今回の「飛翔体」は「宇宙科学ロケット」であるので、朝鮮人民軍最高司令官であり朝鮮労働党軍事委員会副委員長の金正恩さんは、直接的に関係していないということを強調しようとしているという解釈である。4月中旬の党代表者会で「総秘書」に「推戴」された後で、金正恩同志の指導で朝鮮の「科学技術」が発展したと称賛するパターンである。

    第2の解釈は、米国との「2月29日合意」への影響に一定の猶予を持たせているという解釈である。つまり、今回の衛星発射について金正恩さんは「直接的にコミット」していないので、場合によっては、対米関係を考慮し「延期」するという決断を下せるようにしているのではないのか。最高司令官が下した「衛星発射決断」を米国に言われて引き下げるというのは、国内的、特に軍に対しては弱腰と思われてしまう。

    第3の解釈は、北朝鮮国内で何らかの路線対立が発生しているという解釈である。つまり、米国との協調路線に反対する勢力が、敢えてこのタイミングで「衛星発射」を金正恩さんに迫ったという解釈である。外面的には、金正恩政権は現在のところ安定しているように見えるので、この可能性はあまり高いとはいえないが、完全に排除することもできない。

    第4の解釈は、米国との「取引材料」として出したというものであるが、これについては米国務省ノーランド報道官の記者会見の発言を引用しながら別記事に書こうと思う。

    <追記2: 2012年3月18日 07:18>
    第5の解釈を考えついた。それは、万が一、衛星発射が失敗したときに、金正恩さんが責任回避をできるよう、彼を前面に出していないんではという解釈である。運搬ロケットは、リフトオフして空の彼方に消えていけば、朝鮮人民「大衆」にとっては大成功である。それが、途中で爆発しようがどこかに落っこちようが「目で見えない」ところであれば関係ない。その後は、米国NORADに追跡され、そこが発表したデータを基に海外メディアが「事実」を伝えるであろうが、朝鮮人民「大衆」にはそれが伝わりようもない。ただ、リフトオフの段階で爆発したり落っこちたりしたりしたら、朝鮮人民の目にも「失敗」は明らかである。この失敗が金正恩さんに直結してしまうのは、いかにもまずい。過去2回の衛星打ち上げでリフトオフは成功しているので、この部分での失敗の可能性は低いと思われるが、米国のスペースシャトルでも失敗することがあるのだから、可能性は排除できない。

    3月18日付けの「労働新聞」にさらに光明星3号関連の記事が出ていたので確認してみた。

    記事「宇宙強国の尊厳を高く持ち上げるであろう」内の金正恩さん関連記述:
    「実に、今回発表された朝鮮宇宙空間技術委員会スポークスマン談話は、千万軍民の心臓にまた一人の天が生んだ名将である敬愛する金正恩同志を革命の陣頭に高く掲げ、太陽民族の尊厳を再び心に深く刻ませてくれる激動的なニュースである」

    記事「最先端突破の朗報」同、
    なし

    前者には、金正恩さんの名前が出てくるものの、衛星ロケット打ち上げが金正恩さんの業績であると言うことは書かれていないだけではなく、昨日紹介した記事同様、金正日さんの業績としている。後者に至っては、「科学技術の発展と人民生活の向上」を強調する記事で、誰それという話は出てこない。

    あと一つ、写真記事がある。これらの記事は、全て「社会面」の記事であった。

    「20時報道」(2012年3月15日「朝鮮中央TV」)

    今朝、「ウリミンジョクキリ」にアップロードされていた昨日の「20時報道」では、李明博政権非難のニュースは1件だけであった。そのほかの関連番組や明日にアップロードされる「20時報道」を確認する必要はあるが、昨日でピークに達した李明博「逆徒」非難は一段落したのであろうか。

    今朝見た「20時報道」では、経済に関するニュースがほとんどで、4月の朝鮮労働党代表者会に向けて労働者が軽工業部門(登場した事例は衣服工場)で、計画値を上回る生産をしているという話などである。また、過去記事にも書いたクァンチャンウォン式大衆浴場の建設も進展しているとし、李明博「逆徒」に対する怒りを労働に向け同施設の建設に従事しているという労働者の話を紹介している。

    大衆動員をした李明博「逆徒」糾弾集会は、一段落したのであろうか。そして、4月15日の「太陽節」に向けての増産、建造物の建設によりいっそう力を入れていくというフェーズに入ったのであろうか。

    スポーツのニュースも伝えている。2012年のアジアサッカー連盟チャレンジ・カップで北朝鮮がインドを4対0で破り、グループ1位になったと伝えている。

    AFCのページ:
    http://www.the-afc.com/en/tournaments/men-a-youth/afc-challenge-cup/38324-dpr-korea-v-india

    北朝鮮サッカーチームの活躍は、金正恩さんにとっても朝鮮人民にとっても嬉しいニュースであろう。サッカーは、韓国同様、北朝鮮にとってもある意味「国技」である。

    「朝中親善に杭を刺そうとする醜悪で拙劣な考案品-朝鮮中央通信社論評」(2012年3月13日「朝鮮中央通信」)

    過去のオラスコムの携帯電話に関して書いた記事の中で、中国の携帯ネットワークへの接続について書いたが、中国から密輸した何の対策も施されていないGSM携帯端末で中国の携帯ネットワークへの接続を試みる朝鮮人民がいるとすれば、北朝鮮も対策として妨害電波を当然出すであろうと思っていた。ただ、実際に妨害電波を発射すれば川を隔てた中国地域でも携帯通話に当然影響を及ぼすはずで、中国側からこれに対するクレームが出たとしても当然である。

    こんな話を韓国の「反共和国心理謀略放送である『人民の声放送』」が伝えたと北朝鮮が反発している。

    記事では、「我々が北部国境地帯で住民の違法携帯電話使用を遮断するために、電波障害を作り出しており、その中断を提起した中国の吉林省政府に、いわゆる『資金』を求めた等の根拠のない世論を作り出した」と非難している。そして、「謀略資料に『信憑性』を持たせるために、吉林省地域での携帯電話障害問題を類推させるように悪用した」としながら、こうした謀略により「李明博逆賊一味が我々の対外的イメージを傷つけ、朝中親善にダメージを与えようと」していると非難している。

    北朝鮮と隣接した中国地域で、実際に携帯電話通信に障害が発生しているのかどうかは分からないが、中国側に影響を与えないような妨害電波の発射は、技術的にとても難しいと思う。これは、日本でも病院での医療器機器への影響防止や入試のカンニング防止のために妨害電波装置をなかなか導入できないという理由にも通じている(日本の場合は、法的な問題もある)。

    それならば、むしろ電波探知をして発信元を特定した方が楽だと思うのであるが。もしそれをやらないとすると、電波探知では対応できないほどの電波が、朝鮮側から発信されているのであろうか。

    「20時報道」(2012年3月14日「朝鮮中央TV」)

    「ウリミンジョクキリ」に掲載された「朝鮮中央TV」のスタイルがまた少し変わった。今朝見た「20時報道」では、途中で男性と女性のアナウンサーというより、むしろニュースアンカーと呼んだ方が良さそうな2名が中央の液晶画面を挟んで座り、各地で行われている反李明博決起集会などの動画を紹介している。「ウリミンジョクキリ」などに掲載される「20時報道」は、音声が途切れるなど、そもそも全編ではないはずなので、北朝鮮で放映されている番組では元々このようなシーンが入っていたのかもしれない。ただし、「ウリミンジョクキリ」にこれまで紹介された動画では、このようなスタイルは、別途「対談」というタイトルがついており、アナウンサーが大学教授や研究者などの専門家と話すものであった。

    「20時報道」のスタイル変化は、実に早い速度で進んでいるが、これは金正日時代から準備されていたものなのか、それとも金正恩時代に入ってから準備されたものなのかどちらであろうか。「ウリミンジョクキリ」に掲載された対外向けの動画にはこのようなスタイルのものも以前からあったので、ある程度の準備はできていたはずであるが、それを国内向けにまで拡大したのであれば、明らかに金正恩色を出そうとするなど、何らかの意図があるのであろう。金正日さんも海外のテレビは視聴していたはずだが、それ以上にスイス滞在経験があるといわれている金正恩さんは、北朝鮮のテレビの「現代化」をしたいのかもしれない。

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    Source:「朝鮮中央TV」 http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=8790

    しかし、報道内容は相変わらず李明博「逆徒」非難がほとんどである。今日の報道では、人民保安局の警察犬に李明博「逆徒」らしき人形を襲わせたり、鉄道局の職員が決起集会後に線路上に置かれた「李明博ネズミ」の描かれた絵を列車で轢く映像を配信している。

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    Source: 「朝鮮中央TV」 http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=8790

    2012-03-13-17flv_000479040.jpg
    Source: 「朝鮮中央TV」 http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=8790

    ところで、今日の「毎日新聞」に北朝鮮の内部資料リーク記事が出た。金正恩さんの「お言葉」とのことだ。

    http://mainichi.jp/select/world/northkorea/news/20120314ddm001030031000c.html

    「毎日新聞」には、2月にも内部文書のリーク記事が掲載され、朝中関係や朝日関係について報じている。

    http://mainichi.jp/select/world/northkorea/news/20120225dde007030068000c.html
    http://mainichi.jp/select/world/northkorea/news/20120225dde001030007000c.html

    3つの記事は、同様のリークソースからの情報であろうが、どんなソースなのであろうか。金正恩さんの「お言葉」関連記事の最後の部分で、「正恩氏は韓国の李明博(イミョンバク)大統領に対して強い嫌悪感を示している。「李」が韓国語で「2」と同音であり、「明博」のイニシャルが「MB」となるのを皮肉って「李明博逆徒は、知能指数が2MB(メガバイト)しかなく、政治的に無知だ」などと切り捨てた。」と解説しているが、2MBは別に金正恩さんが作った言葉ではなく、かねてから韓国内で使われている言葉である(「毎日新聞」の記事では、この点で若干の誤解を与える余地がある)。

    その例:「中央日報日本語版」 「【噴水台】大統領の別名」
    http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=101716&servcode=100§code=120

    「朝鮮中央通信」も韓国の新聞などに掲載された李明博さんを揶揄する絵を動画に編集して「2MBネズミ博」などと紹介はしているが。

    314596flv_000007358.jpg
    Source: http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=314596

    「見えない撮影台、見えるものは何なのか」(2012年3月12日「労働新聞」)

    3月10日の「労働新聞」に金正恩さんが朝鮮人民軍海軍第123軍部隊を視察したという記事が写真付きで掲載された。そのうち1枚の写真を見て金正恩さん立ち位置や兵士の表情といった写真の構成がいつもと異なるので「はっ」と思ったのだが、ブログの記事にするまでもないと思い放置しておいたら、やはり意味のある写真であったようである。

    2012-03-10-02-01.jpg
    Source: 2012年3月10日、「労働新聞」、 http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-10-0004

    というのも、本日の「労働新聞」2面に「見えない撮影台、見えるものは何なのか」という記事が出ており、この写真について書かれているからである。同記事ではまず「比較することもできないほどの階級の違いがある最高司令官と兵士が、これほどまで親しく接することが古今東西あるであろうか」とし、「タンクの操縦桿を握り、君たちは僕と一組の戦車乗務員だと熱く語った最高司令官同志は、今日もまた平凡な海兵と一組の乗組員になったのである」としている。そして最高司令官の「腕を組んで肩を組めというお言葉は」、「彼(金正恩)の意思であり座右の銘で」あり、「(最高司令官と)腕を組んで手を握りながら記念写真を撮るのは、我々の兵士にとって一つの慣例となっている」ように「(最高司令官と兵士は)渾然一致」であるとしている。

    艦船上での撮影という特殊な事情があったからかもしれないが、このようなスタイルの写真は珍しい。

    そして、「この世で最も優秀な将軍、お若い最高司令官、限りなく慈悲深い父を陣頭にいただく軍人たち」というように、「若い」という言葉を敢えて使っている。何回も書いてきているように、金正恩さんの若さこそが、北朝鮮の将来の命運を左右する一つの重要な要因である。このことは、金正恩さん自身も、そして彼のアドバイザーたちもよく分かっており、かつ頭を痛めている問題であろう。上の写真を見ても、金正恩さんと周囲の兵士の年齢はさほど変わらない。金正恩さんから「白頭の血統」を取り除いてしまえば、この若い兵士と年齢も経験変わらないのである。だからこそ、若い兵士とはできるだけ親しく接し、「生意気だ」というイメージが生まれないように注意深く行動しているのであろう。そして、金正恩さんも年寄りとどのように接してよいのか悩んでいるのであろう。

    록화보도 조선인민군 최고사령관 김정은동지께서 오중흡7련대칭호를 수여받은 조선인민군 해군 제123군부대를 시찰.flv_000224040
    Source: 「朝鮮中央TV」、http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8745
    alternative site http://www.youtube.com/watch?v=pw6wfRK8vS4&feature=BFa&list=UUknqqNd3-joIjWzf1Jn4oVQ&lf=endscreen

    この写真を見ても分かるように、金正恩さんは高齢の軍人の横で嬉しそうな顔をしているものの、彼らと距離を置いて座っている。軍人が遠慮をしたのか金正恩さんが遠慮をしたのか分からないが、明らかに「腕を組んで」という雰囲気ではない。高齢の軍人は、年齢はもちろん、経験も金正恩さんよりはるかに積んでいることは明らかである。ただ、「最高司令官」ということだけで彼らより上に立っているわけで、こんなに「偉い」人たちに「若い」金正恩さんが気軽に「腕を組め」などと言えるはずがない。そういえば、若い兵士に対してとは逆の意味で「生意気な奴」と思われるに違いない。

    록화보도 조선인민군 최고사령관 김정은동지께서 서해안전방초소를 지키고있는 초도방어대를 시찰하시였다.flv_000196640
    Source:「朝鮮中央TV」 http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8744
    alternative site http://www.youtube.com/watch?v=Ms9B8946uHA&feature=BFa&list=UUknqqNd3-joIjWzf1Jn4oVQ&lf=endscreen

    金正恩さんは、対内的には、李明博「逆徒」への復讐心を煽ることで忠誠心を高め、その復讐心を労働意欲高揚に結びつけつつ、この写真のようにイメージ的にはスマイルを売り物にして行く作戦であるようにみえる。

    「20時報道」(3月11日「朝鮮中央TV」)

    先週末辺りから、「ウリミンジョクキリ」のサーバーがとても重くなっている。日曜日に配信されたこのニュースも、平均10kb/sで転送されているうちに切断されてしまう状態である。単に、「ウリミンジョクキリ」のサーバーの不調ともアクセス集中とも考えられるが、タイミング的には、政府によるものか民間人によるものかは別とし、韓国からのサイバー攻撃に遭っている可能性も排除できない。

    そこで、迂回路としてYou Tubeにアップロードされている「20時報道」を見た。You Tubeへのアップロードは、大体1日ほど「ウリミンジョクキリ」よりも遅れるが、ダウンロード状況はきわめてよい。もし誰かが「ウリミンジョクキリ」を攻撃しているのであれば、こちらも攻撃したいのであろうが、さすがに世界最大の米国動画サイトを攻撃することはできないのであろう。したとしても、攻撃防御システムやサーバーの性能の面で「ウリミンジョクキリ」を遙かに上回るYou Tubeなので、痛くもかゆくもないのかもしれない。

    ともかく、こうしたby passが準備されているのは、北朝鮮ワッチャーにとってはとても助かる。

    昨日、「中央日報」の記事を引用しながら、アナウンサーについての記事を書いたが、今朝、You Tubeの「20時報道」を見て驚いた。というのも、背景なども含め、画像の使い方も刷新されたからである。刷新前の背景は、大同江が流れる平壌市であった。しかし、新しい背景はブルーのグラデーション、そしてそこに銀河のような星がちりばめられている。これは、「銀河水」をイメージしたものであろう。

    록화보도 20시 보도2012.3.11.flv_000013720
    Source: 「朝鮮中央TV」 http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8747
    alternative site http://www.youtube.com/watch?v=DQuMrfjmTFk&feature=BFa&list=UUknqqNd3-joIjWzf1Jn4oVQ&lf=plcp

    昨日の「中央日報」の記事に対しては、「そうでもない」というようなことを書いたが、この動画を見ると、このアナウンサーの原稿の読み方は明らかに変わっている。一番大きな特徴は、原稿を読み上げながら「그」という、日本語で言えば「えー」のような原稿には書かれていない言葉が何回も入っている。

    写真で見るように、背景の青い部分には映像がはめ込まれているが、これまでは単に画面をアナウンサーから資料映像にスイッチしていたものを、この日からは埋め込み画面が飛び出すというトランジションを使うようになった。

    このタイミングで、このような変更を加えたのは、どのような理由からであろうか。時代の転換点と若さを国民にアピールする目的であろうか。

    まだ資料が少なすぎるが、これまでの赤から薄い青に北朝鮮のナショナルカラーを変えていこうとしているのではないかという感じもある。いずれも、北朝鮮の国旗の色ではあるが、同時にオリンピックの南北合同入場行進などで使われた旗にも、薄いブルーで朝鮮半島が描かれていたはずである。

    この日のニュースの中でも、党代表者会のポスターが紹介されているが、こちらもこの薄いブルーを基調としたポスターである。

    록화보도 20시 보도2012.3.11.flv_000522920
    Source: 「朝鮮中央TV」 http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8747
    alternative site http://www.youtube.com/watch?v=DQuMrfjmTFk&feature=BFa&list=UUknqqNd3-joIjWzf1Jn4oVQ&lf=plcp

    しかし、依然として李明博「逆徒」を激しく非難する報道は続いている。この報道の中でも万景台地区で訓練をする「労農赤衛隊」の演習の様子を紹介している。(2011年初め頃、「労農赤衛隊」を「労農赤衛軍」と解明させたという情報が流れたが、この日の報道で出た字幕ではそのような変更はなされていなかった。)そして、指揮官が「目標、李明博、金寛鎮、鄭スンジョの頭に向けて銃を撃て!」と叫び、「犬明博」と書かれた標的(顔の絵はない)に向かって射撃をしている。

    록화보도 20시 보도2012.3.11.flv_000399400
    Source: 「朝鮮中央TV」 http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8747
    alternative site http://www.youtube.com/watch?v=DQuMrfjmTFk&feature=BFa&list=UUknqqNd3-joIjWzf1Jn4oVQ&lf=plcp

    「キーリゾルブ」米韓合同演習は、無事終わったが、李明博政権攻撃はまだしばらく続くであろう。

    「リ・チュンヒと正反対、北朝鮮の新“看板”アナウンサー」(2012年3月11日「中央日報日本語版」)

    金正恩体制発足以降、「朝鮮中央TV」の「看板アナウンサー」の話題がしばしば出る。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120311-00000004-cnippou-kr

    「パーマをかけた長い髪を後で半分だけ束ねた端正なヘアースタイルに赤いスーツを着て登場した。濃くなくてナチュラルなメークで顔には微笑を浮かべた。」この記事で紹介されているアナウンサーは、確かにしばしば登場する。一方、リ・チュンヒさんは金正日死去に際しては、ニュースや詩の朗読にたびたび登場したが、その後、またお休みに入っている。

    で、この話題の「パーマをかけた長い髪」の女性だが、明らかにリ・チュンヒさんよりはソフトに原稿を読み上げている。ただ、過去記事にも書いたように、それは原稿の内容によりかなり違っている。「中央日報」の記事では「金正日(キム・ジョンイル)総書記生誕70年記念朝鮮少年団全国連合団体大会がテコンドー殿堂で開かれた」ニュースを読み上げたときの彼女の様子を伝えているが、この手の明るいニュースを読むときは朗らかである。国際競技会などで北朝鮮選手が活躍した様子を伝えるときなども、本当に嬉しそうな様子で話している。

    一方、この「パーマをかけた長い髪」のアナウンサーも「けしからんニュース」、最近では米韓合同訓練とか李明博「逆徒」のニュースを伝えるときは、突然声のトーンが変わりリ・チュンヒさんに近いアナウンスをしている。リ・チュンヒさんは高齢問いこともあり、抑揚の強い読み方をするのかもしれない。

    思えば、過去に聞いていた「平壌放送」のアナウンサーはいつも怖かった。リ・チュンヒさんの世代であれば、海外向けラジオ放送のアナウンサーも経験しているのではないだろうか。

    「朝鮮人民具最高司令官金正恩同志が3.8国際婦女節記念銀河水音楽会【女性は花だね】を観覧された」(2012年3月9日「労働新聞」)

    金正恩さんが音楽会を鑑賞したというニュースだ。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-09-0001&chAction=L

    このニュースにはあまり注目しなかったが、このニュースを報じた「中央日報日本語版」の記事「28歳の金正恩の前で歌を歌う81歳の北朝鮮軍幹部」で引っかかった。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120310-00000010-cnippou-kr

    この記事によると、「81歳の呉克烈(オ・グクリョル)国防委員会副委員長も家族と一緒に金正恩(28歳)の前に立った。」とのことであるが、労働新聞の記事や「朝鮮中央TV」での報道を見ても、呉克烈さんが「歌った」とは必ずしも解釈できない。

    というのは、呉克烈さんの前に李リョンハさんという党中央委員会第一副部長が「夫婦二重唱」を歌ったとされているが、第一副部長というのは相対的に高い地位であるとはいえ、どの委員会の第一副部長かも分からないばかりか、金正日葬儀委員会の名簿にも名前が挙がっていない。ただ、昨年10月に金正日さんが銀河水演奏会に行ったときは同行して多様で、同行者として名前を報じられている。この状況からして、李リョンハさんというのは、音楽系の幹部ではないのであろうか。また、金ウォンフン人民軍総政治局組織担当副局長も「夫婦二重唱」を歌ったとされている。

    一方、呉克烈さんについては、きちんと読むと、「呉克烈国防委員会副委員長の家族が歌う重唱」となっているし、「労働新聞」の記事冒頭の主要同行者紹介に呉克烈さんの名前は出ていない。同序列24位の金正角さんを紹介しておきながら、序列29位の呉克烈さんを同行者として紹介もせず、歌だけ歌わせるということはあるまい。ちなみに、夫婦で歌を歌った2名は、葬儀委員会の名簿に名前が見当たらない人々である。(ただし、金ウォンフンさんに対しては、最近昇格人事があった)

    「労働新聞」を読んでの私の判断は、呉克烈さんの家族が重唱をしたということで、高齢のご本人は歌っていないということである。韓国の新聞としては、「高齢者にまで歌わせた」という方が衝撃的なのかもしれないが、少し冷静になって欲しい。

    「夫婦二重唱」を歌った2名も、恐らく年齢的には金正恩さんより上であろう。ただ、彼らが銀河水公演の終わりの部分でステージに上がり歌ったのは「中央日報」が言うように、「忠誠競争」の一環なのだろうか。単に、党中央に近い人々で、歌が好きな夫婦や家族がいたと考えた方が普通ではないのか。歌好きの朝鮮民族であれば、金正恩さんの前で歌うという光栄以前に、ステージで歌うという喜びが大きいであろう。また、過去記事にも書いたが、軍部隊訪問時に兵士にカラオケを歌わせてとても嬉しそうな顔をしている金正恩さんを見ると、純粋な、カラオケ好きなのであろう。

    本当は、自分がステージに上がって歌いたいところなのだろうが、さすがに最高司令官がオープンな場所でそこまではできないということであろう。

    <追記: 2012年3月13日 23:14>
    You Tubeを見ていたら、この音楽会の動画があった。

    http://www.youtube.com/watch?v=DRgc9HOOEAM&list=UUknqqNd3-joIjWzf1Jn4oVQ&index=7&feature=plcp

    「労働新聞」記事による私の判断は間違っていた。呉克烈さんは、子供や孫と共にステージの上に上がり確かに歌っている。ただ、歌を歌わせるためにひきずりだしたというよりも、人民軍の英雄として、幸せな家庭を築いて暮らすおじいさんとして、ステージに上がらせたといった方が良いのではないだろうか。

    また、別記事で話題にした李春姫アナウンサーがステージで踊る場面もある。この動画、金正恩さんが嬉しそうな顔をしながら聞いている場面もたびたび映し出されるので、始めから終わりまで見る必要があるが、ともかく2時間近い長編である。

    <追記2: 2012年3月14日 06:47>
    動画から上に書いた内容との関連場面をいくつか切り出した。まず、李リョンハさん。

    록화실황 경애하는 김정은동지를 모시고 진행한 2012년 3 8국제부녀절기념 은하수음악회 《녀성은 꽃이라네》.flv_003050120
    Source: uriminzokkiri, You Tube, http://www.youtube.com/watch?v=DRgc9HOOEAM&context=C4db4f3eADvjVQa1PpcFOj3d50nl-a_9mUrIuunrLOJwsAhL00Sfk=

    動画の中では、歌手が会場を回りながら、李リョンハ夫妻をステージに連れてきている。李リョンハさんは、以外とすんなりとステージに上がったものの、歌はあまりうまくなかった。

    次は、金ウォンフンさん。

    록화실황 경애하는 김정은동지를 모시고 진행한 2012년 3 8국제부녀절기념 은하수음악회 《녀성은 꽃이라네》.flv_005366000
    Source: uriminzokkiri, You Tube, http://www.youtube.com/watch?v=DRgc9HOOEAM&context=C4db4f3eADvjVQa1PpcFOj3d50nl-a_9mUrIuunrLOJwsAhL00Sfk=

    この人は、上に書いたように昨年10月にも金正日さんと演奏会に同行しているが、どうやら、この人というよりも奥さんと音楽との関係が強いのかもしれない。というのは、金ウォンフンさんの奥さんは、歌がとてもうまい。もしかすると、元プロ歌手だったのかもしれない。若くはないが、非常にいい声をしている。

    そして、次は問題の呉克烈さん。

    록화실황 경애하는 김정은동지를 모시고 진행한 2012년 3 8국제부녀절기념 은하수음악회 《녀성은 꽃이라네》.flv_005732840
    Source: uriminzokkiri, You Tube, http://www.youtube.com/watch?v=DRgc9HOOEAM&context=C4db4f3eADvjVQa1PpcFOj3d50nl-a_9mUrIuunrLOJwsAhL00Sfk=

    呉さん自身は、歌も歌っているが、曲の途中、一人で詩の朗読をしている。呉克烈さんは、1988年2月に呉振宇人民武力部長(当時)と対立し、総参議長を突然解任されたが、金正日さんの後押しにより同年9月には党民間防衛副委員会部長に返り咲いている(詳細は、平井久志、『北朝鮮の指導体制と後継』、岩波書店、2011。pp.246-247)。こんなこともあったので、家族共々ステージに上がったと考えられないこともないのだが。

    そして、踊る金春姫アナウンサー。

    록화실황 경애하는 김정은동지를 모시고 진행한 2012년 3 8국제부녀절기념 은하수음악회 《녀성은 꽃이라네》.flv_001411640
    Source: uriminzokkiri, You Tube, http://www.youtube.com/watch?v=DRgc9HOOEAM&context=C4db4f3eADvjVQa1PpcFOj3d50nl-a_9mUrIuunrLOJwsAhL00Sfk=

    この場面では、多くの夫婦が会場のあちこちで踊っている。金春姫さんも夫と思わしき男性と共に踊っている。そして、踊っている人々を見回しながら、金正恩さんはとても嬉しそうな顔をしている。

    록화실황 경애하는 김정은동지를 모시고 진행한 2012년 3 8국제부녀절기념 은하수음악회 《녀성은 꽃이라네》.flv_001382240
    Source: uriminzokkiri, You Tube, http://www.youtube.com/watch?v=DRgc9HOOEAM&context=C4db4f3eADvjVQa1PpcFOj3d50nl-a_9mUrIuunrLOJwsAhL00Sfk=

    依然として、この動画を通しで見たわけではないが、忠誠大会というよりも和気藹々とした感じである。時々、涙している朝鮮人民も映し出されるが、別に金正日さんの話で泣いているわけではなく、政治的メッセージは含まれていない「母」という詩を聞いて泣いている。亡くなった自分の母親を想い出しているのであろうか。

    「ウリミンジョクキリ」さいとにも
    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8748
    としてこの動画が掲載されているようであるが、最近のサーバー状態では、700MB以上のこの動画をとてもダウンロードできる状態ではない。

    通しで動画を見た後にでも、ここで演奏されている曲目などについて、もう少し記事を書いてみたい。

    「韓国国防・統一部長官が北朝鮮に強硬発言、なぜ?」(2012年3月8日「中央日報日本語版」)

    韓国の国防長官金寛鎮さんや統一部長官の柳佑益さんが、対北強硬発言をしている。特に、これまで北朝鮮に対して融和的に臨んできた柳佑益さんも脱北者について、その責任は北朝鮮の体制にあると厳しく批判している。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120309-00000014-cnippou-kr

    北朝鮮が、国防長官の金寛鎮さんを李明博さんらと共に厳しく非難しているのは何回も書いた。さらに柳佑益さんについても1月13日の「労働新聞」の記事「茶番をするな」(http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-01-13-0030&chAction=S&strSearch=%EB%A5%98%EC%9A%B0%EC%9D%B5)を契機に8つの記事で攻撃している。金寛鎮さんは、ヨンピョン島海兵部隊を訪問して、「北朝鮮が挑発した場合は10倍の報復をしろ」と指示したとのことであるが、言っていることは北朝鮮がよく使う「千百倍の復讐」によく似ている。

    韓国の閣僚が北朝鮮に厳しく対応するようになった背景には「6日の外交安保関係長官会議で調整」にようるもとののことであるが、韓国軍の将兵を激励するという目的以外では意味を持たない。北朝鮮が韓国を威嚇するからといって同じレベルで威嚇するのは、国内向けに強い李明博政権をアピールし、総選挙を乗り切ろうとしているのであろうか。それならばそれでもよい。

    ただ、国内政治を抜きにして対北関係を考えた場合、北朝鮮の挑発に乗るのは実に幼稚である。韓国は、北朝鮮のある程度の挑発に対しては、耐えなければならないという宿命にある。その系で、米国家安全保障会議(NSC)のジェフリー・ベーダー元アジア上級部長が、北朝鮮による2010年のヨンピョン島砲撃に対する韓国側の報復を一定レベルに抑制させたというニュースが「朝鮮日報日本語版」に掲載されたが、これは米国として正しい選択であった。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120309-00000522-chosun-kr

    朝鮮半島で偶発的であれ深刻な武力紛争が発生した場合、失うものが多いのは韓国であるということを常に忘れてはならない。北朝鮮に「犬」と言われようが「虫」と言われようが、ひたすら耐えるのが韓国の置かれた立場である。国防部長官などが北朝鮮の威嚇に対して強硬姿勢に出ることは、全く意味がない。それは、他ならぬ北朝鮮が武力紛争が発生した結果について一番よく知っているからである。韓国もそれを知っているはずだ。

    韓国画の強硬姿勢に対する北朝鮮の反応はまだ報じられていないが、いずれ何か言うであろう。北朝鮮が今、不安定フェーズにあることは事実である。韓国は、いちいち反応することなく、静かに突発事態に十分に対応できる準備を整えておくことが肝要であろう。

    「詩-白頭霊将よ、命令をして下さい」(2012年3月9日「朝鮮中央通信」)

    李明博「逆徒」の冒涜に怒る新しい詩が「朝鮮中央通信」で紹介された。部分的に翻訳しながらその内容を紹介しておく。

    푸른 새싹이 움트는 땅에 섬멸의 용암이 끓는다 (緑の新芽がふく土地に殲滅の溶岩がわき出す)
    《명박이를 찢어죽이라》 (明博を八つ裂きにして殺せ)
    《군부호전광들을 때려잡자》 (軍部好戦狂どもをとっ捕まえろ)

    「緑の新芽」という表現が気になる。北朝鮮では、この時期まだ草木の「新芽」は出ていないが、その時期、つまり4月末以降に何かをするという予告であろうか。ただ、直ぐ上の部分で「植樹節」に触れながら、

    김일성조국의 봄향기 짙은 산과 들에 (金日成朝鮮の春の香りに満ちた山野に木を植える愛国・忠誠な姿を)
    나무를 심는 애국충정의 모습들

    と言っているので、これが「緑の新芽」の受け係となっているだけかもしれない。

    李明博さんと「軍部好戦狂ども」に対する怒りの言葉は、韓国の軍部隊に掲示された「とっ捕まえろ金正日】と「打ち殺せ金正恩」にほぼ対応している。明らかに意識的に使っている。

    전쟁은 광고를 내고 하지 않는다 (戦争は、広告を出してはしない)
    선택의 권리는 우리에게 있다 (選択の権利は我々にある)

    これは、朝鮮戦争の奇襲を彷彿させる相当に強力な威嚇であるのと同時に、自ら(北朝鮮)が強い自制をしたという猶予をきちんと残してある。

    이제 핵전쟁광신자들은 보게 되리라 (今、核戦争狂信者どもは目の当たりにするであろう)

    と、「核使用」も辞さないという威嚇もしている。

    そして、以下の部分では、「白頭山の天から来たような(天出)名将金正恩将軍」による「金日成祖国の統一、金正日先軍革命の最後の勝利」のための命令を「我々は心臓で聞き」ながら待っているというような内容である。

    この詩の目的は、一方で韓国を威嚇しながら、金正恩さんの「決戦命令」に全人民、全軍が従う準備ができているということを強調することであろう。

    「改築された楽浪ジャガイモ加工工場竣工」(2012年3月8日「朝鮮中央通信」)

    ジャガイモ加工工場ライン
    Source:KCNA, http://www.kcna.kp/

    ジャガイモ加工工場の改築工事が竣工したとのニュースであるが、よいことだ。

    北朝鮮の「ジャガイモ革命は、金正日さんの承認こそあれ、何も彼の革命思想によるものでも何でもない。この点について、New AgriculturistのHPに実に良い記事がある。

    http://www.new-ag.info/en/focus/focusItem.php?a=557

    記事によれば、北朝鮮のジャガイモ農業の改良は、FAO, CFC (Common Fund for Commodities) and CIP (International Potato Center)の共同作業で、多くの困難や農業外の事情で解決できない問題を抱えながらも、前進しているということである。農業外問題としては、倉庫、輸送、そして肥料の問題がある。

    北朝鮮で、ジャガイモを食べる機会は何回かあった。ホテルの夕食か朝食のおかずに丸ごと(いかなる調理法であったかは失念した)出てきたが、何とも小さなジャガイモであった。初めは新ジャガかとも思ったのだが、そうではなく肥料不足のために大きく育たなかったのであろう。上の写真に見られるジャガイモも決して大きなジャガイモには見えない。

    ポテトチップスパッケージ
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    小さくても大きくても、朝鮮人民のジャガイモが増産され、それが加工されて出回ることになるのは良いことである。この写真はポテトチップであろう。朝鮮語を直訳すると「ジャガイモ片揚げ」となるが、エビも入っているのだろうか。形状こそ違うが、カルビーの「かっぱえびせん」を想像してしまう。そういえば、ライセンス関係がどうなっているのか分からないものの、韓国にも「セウカン」という「かっぱえびせん」とほぼ同じお菓子がある。

    楽園デパートの棚に置かれていたのは、ほとんど中国のお菓子であった。このポテトチップのパッケージを見つければ、大同江ビールのつまみにして部屋で食べられたのに残念だ。

    「北朝鮮を揺るがした写真・・・我が軍では何が?」(2012年3月6日「ヘラルド経済新聞」)

    「大隊の対敵観 スローガン
               とっ捕まえよう! 金正日
                        打(撃)て!打(撃)ち殺せ!金正恩」

    韓国軍の部隊内の一室に張り出された上のようなスローガン付きの写真に北朝鮮は大いに怒っているのであるが、思えば、その写真がどのメディアに公開されたのかという確認を忘れていた。多少苦労したが、Yahoo Koreaなどを検索していたら、この記事は「ヘラルド経済新聞」に2月28日に掲載されたことが分かった。

    オリジナル記事のURLは発見できたものの、記事は既に削除されていた。意図的な削除か「賞味期限切れ」の削除かは分からない。しかし、この記事のフォローアップに同記事に掲載された写真が再び出ているので削除理由は後者であろう。

    http://biz.heraldm.com/common/Detail.jsp?newsMLId=20120305000430

    この記事を読むと、写真を掲載した「ヘラルド経済新聞社」と韓国軍にとって北朝鮮の強い反発は想定外であったということが分かる。実は、私はこの写真の掲載が計算され尽くされた謀略ではないかという疑念を抱いていたのだが、少なくとも表面上はそうではないようだ。記事によると、この写真は「(ヘラルド経済新聞の記者が)軍が主催したある行事で、制止されることもなく撮影したもの」とのことである。軍は、この写真報道後も「知らん顔」をしていたが、北朝鮮が非難を始めたので、慌てて経緯の調査に乗り出し、「仁川の部隊の掲示物は、指揮官が将兵の対敵観確立のために貼ったものにすぎない」と釈明した、とのことである。

    上に「計算され尽くされた謀略ではないか」と書いたのは、北朝鮮の反応が実に早かったことと、それに抗議する集会などへの人民の動員が実に組織的かつ迅速に行われたからである。国内向けに表明された北朝鮮の非難は3月3日付けの「労働新聞」に「3月2日付けの朝鮮人民軍最高司令部スポークスマン宣言」として掲載されている。

    過去の記事にも書いたが、北朝鮮は、この時期どちらにしても李明博政権を攻撃する予定だったので、この写真のリークは、好都合であったのであろう。もしかすると、大衆動員は米韓合同訓練反対などの名目でそもそも予定されており、韓国が良いネタを提供してくれたので矛先をそちらに転換しただけなのかもしれない。特に、金正恩さんを侮辱したということで全軍と全朝鮮人民が激怒しているという設定は、金正恩さんの権威高揚にも大いに役立つ。

    北朝鮮は、米朝交渉の進展と韓国の総選挙・大統領選挙の結果を踏まえ、いずれ対南融和に出ることは間違いない。その時に、韓国との間に残る懸案、「天安号」と「ヨンピョン島」の落としどころを探さなければならない。前者については、北朝鮮は認めておらず、また韓国内でも調査結果について疑念が出されていることから、落としどころを見つけるのはそんなに難しくないであろうが、後者についてはなかなか難しい。その時に、ヨンピョン島に対する砲撃の相殺条件として今回の「尊厳冒涜事件」を使うかもしれない。

    いずれにせよ、今回の写真流出は、「ヘラルド経済新聞」のフォローアップ記事にも書かれているように、韓国軍の失態であるといえるであろう。

    「ソウルのど真ん中に張り出された【ネズミ博】の絵」(2012年3月7日「朝鮮中央通信」)

    朝鮮中央通信が報じた【ネズミ博の絵
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    こんな絵が「朝鮮中央通信」で配信された。同通信によると、「韓国日報」がソウル・チョン路のバス停に貼られていた「李明博逆徒を断罪する」絵だと伝えているということである。「韓国日報」にこの絵が掲載されたのかどうか、また掲載されたとしてどのような記事で掲載されたのかはまだ未確認である。

    「朝鮮中央通信」の解説では、「逆徒がナチス式の制服を着て、拳を振り上げ、帽子にはナチスマークがある」、「餌を見つけた野獣のような貪欲のよだれであろうか」、「ネクタイにはスコップが描かれており、左腕の腕章には英文字でG(逆徒をネズミと揶揄している)が書かれている」としている。英語のG音は、朝鮮語のネズミを表す[쥐]に近い音である。

    このところの北朝鮮報道を見ていると、李明博さんはいろいろな動物にされている。蔑称として一般的に南北で使われる「犬」からはじまり、「ネズミ」、そして今朝見た「朝鮮中央TV」の「20時報道」の中では「虫」と言われていた。

    この絵は「朝鮮中央通信」のウェブサイトに掲載されたものであるが、「朝鮮中央TV」や「労働新聞」など国内向けのメディアには、これほど当人に似た絵は出てこないようである。スローガンの背景となる絵は、誰とも分からぬ人々が、朝鮮人民の銃で撃たれている様子などであるし、人民軍の訓練の標的も絵ではなく「李明博」などの文字である。

    北朝鮮は、李明博「逆徒」の顔を朝鮮人民にさらしたくないのであろうか。

    <追記:2012年3月8日 13:07>
    「韓国日報」にこの絵についての記事が出ていた。
    http://news.hankooki.com/ArticleView/ArticleView.php?url=society/201112/h2011120920580621950.htm&ver=v002

    記事によると、在米韓国人作家が8日の夜1~3時の間にチョン路一帯にこの絵を500枚貼ったそうである。これに対し、警察は、「軽犯罪法違反(広告物無断貼附など)に該当し、風刺内容が冒涜罪と名誉毀損罪に該当するかも検討する」としているとのことである。

    この在米韓国人作家は、ある大学のギャラリーでオバマ大統領や胡錦濤主席の風刺画も展示したそうで、張り出したことに対しては「芸術家としての作業活動であり、国連人権憲章19条にある表現の自由を正当に享受するもの」であると主張しているとのことである。

    以前にも、YouTubeで公開された韓国人彫刻家の李明博さんの銅像を破壊する動画を北朝鮮メディアが取り上げたという記事を書いたが、今回もまた北朝鮮にうまく使われた形だ。

    上に書いたように、この絵は「朝鮮中央通信」で海外向けに紹介されているだけであるが、こんな絵を500枚もソウルのど真ん中に貼り付けても南朝鮮人民が「微罪」だけで「公開処刑」にならないという事実を知れば、金正恩さんの写真冒涜で激怒している朝鮮人民はさぞかし驚くか不思議に思うことであろう。

    <追記2:2012年3月9日 08:54>
    「最高司令部スポークスマン宣言を受けての各界の反応」というシリーズで、軍人、会社員、市民、学生などの激怒の様子が連日伝えられている。今朝は、その(8)があった。そこで紹介される一つのシーンの中で、都市部に野戦病院のテントを立て、そこで今回の事態を受け人民軍に「復帰」した看護師や医師が怒っている。動画では、人を助けるべき彼らですら、李明博「逆徒」を殺すと怒っている。外科医という女性は、メスを手に持ちながら「このメスで逆徒一味を切り裂いてやりたい心情」と言っている。そして、その直後に医療用のハサミなど刃物が映し出される。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=8724

    実は、この演出、工場などでも使われている。例えば、製鉄所では労働者が「逆徒を電気炉の中にたたき入れてやりたい」と発言した後に燃えたぎる電気炉が映し出される、石材加工工場では労働者が「李明博を切り裂いてやりたい」と発言した後に、石材を切断する回転のこぎりが大写しになる。

    軍医のメスも同系の演出であろうが、さすがに医療従事者がメスで人殺しというのはいただけない。

    この記事の中で、標的は「李明博」という文字だけであると書いたが、この動画では李明博という文字の下に顔が描かれている標的が登場した。ただ、この標的、顔の部分は打ち抜かれており、顔の様子は分からない。ただ、服装はいかにもヤンキー(ちなみに、「ヤンキー」はアメリカ人の意)っぽい。

    「20時報道」(2012年3月7日「朝鮮中央TV」)

    北朝鮮メディアは、連日、李明博政権非難をエスカレートさせている。今日、「ウリミンジョクキリ」に掲載された動画もほとんどが李明博「逆徒」に対する非難である。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8707

    この報道の中では、朝鮮人民軍第2軍団と第4軍団が登場する。第2軍団は戦車部隊、第4軍団はヨンピョン島を砲撃した部隊である。

    第2軍団では戦車部隊の戦車やロケット砲、そして李明博などと書かれた標的を射撃する兵士の姿などが映し出されている。そして、インタビューに答える軍人が「我々は無慈悲な核爆弾にな」る、「ソウルを火の海」にする等と発言している。「ソウルを火の海」は久々に聞いた。韓国軍による「西海5島地域」での砲撃訓練や「キーリゾルブ」米韓合同演習に対する非難では、「敵の牙城(青瓦台)を叩きつぶす」という表現を使っていたが、今回は「牙城」だけではなくソウル全体に火の海が拡大された。また、以前は兵士が「銃・爆弾になる」という表現が多用されたが、今回は「核爆弾」と威力が格上げされている。

    第4軍団では、特殊部隊要員であろうか、テクォンドのような武闘訓練を行っている映像、また李明博標的に向かい斧を投げたり、手裏剣を投げたりする映像が流されている。考えすぎかもしれないが、1976年に板門店で発生した「ポプラの木事件」で米兵を殺害したときに使われたのは斧であった。手裏剣は、時代劇ではよく見かけるが、現代兵器としても使われるのであろうか。特殊部隊員の訓練の様子は、1968年に発生した「青瓦台襲撃事件」を連想させる。

    そして、岩肌の格納庫から大砲を引き出し、「あそこに見えるのが白翎島、大青島、小青島だ」などと言いながら、そちらに大砲を向けて砲撃訓練をしている様子が出ている(ただし、実際に大砲を撃っている場面は出ない)。そして、自分はヨンピョン島を砲撃したときの連隊長という金ギョンスさんが登場し、「あの時はヨンピョン島だけではなく、仁川、青瓦台までまとめて火の海にできなかったのが悔やまれます」と言っている。

    第4軍団の画像にヨンピョン島攻撃を指揮したといわれている、金格植さんが出てくるのか注目していたが、同軍団の司令官として登場したのは、辺仁善さんであった。これと関連して、「中央日報日本語版」に次のような記事が出ていた。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120307-00000005-cnippou-kr

    この記事では、辺仁善上将が「金正恩(キム・ジョンウン)時代の軍部の中心に浮上したのではないかという観測が出ている」としているが、一方で葬儀委員会の名簿にも名前が出なかった金格植さんはどうなってしまったのであろうか。軍部内での権力闘争の結果、失脚したのであろうか。

    過去記事にも書いたが、北朝鮮はこれを機に韓国に「北風」を吹かせ、金正恩さんの軍統率力を誇示するだけでなく、軍事訓練も行っているのではないだろうか。また、金正日さんの死去で沈滞し、誕生日で少し緩んだ国内のムードを引き締めるためにも使っているのであろう。「20時報道」では、朝鮮人民軍への入隊・復帰「嘆願者」が194万人に達したと伝えている。「嘆願者」なので即時入隊や復帰をするわけではないが、これも最高司令官への忠誠心を示させることで体制引き締めの一環として行っているのであろう。

    北朝鮮は、「祖国平和統一委員会書記局報道第993号」で再び李明博「逆徒」を強く非難しているが、その中で「(李明博逆徒が)北風を吹かせて選挙を有利に運ぼうとしている」としている。北朝鮮の(表面上の)論理では、「北風」は保守勢力(李明博政権)に有利であるということになるが、「北風」は必ずしもそのように作用するとは限らない。ともあれ、金正日死去、金正恩最高司令官就任という韓国国民が北朝鮮に注目しているタイミングで、政権末期の李明博政権を攻撃することは、北朝鮮にとって吉と出るか凶と出るかは別とし、韓国政局に影響を及ぼすことは間違いない。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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