「戦勝節慶祝 モランボン楽団公演 開催」:軍事色もあるがミニスカートも(2012年7月28日 「朝鮮中央通信」)

    モランボン楽団が2回目の公演を行ったと「朝鮮中央通信」が伝えている。

    公演は28日に平壌市内の大学生や国際機関代表、武官団などを招いて行われた。いずれ動画が紹介されるであろうが、観客席の様子を写した静止画は配信されていないので、老兵も招待されたのかは分からない。老兵には衝撃が大きすぎるので、大学生だけに見せたのかもしれない。公演は2部に分けて行われたとのこと。紹介されている曲目を見ると、1部では「我らの7.27(戦勝節)」、「将軍星」、「決戦の道へ」など朝鮮戦争にちなんだ曲目が演奏されたのであろう。こちらは、背景に軍隊の写真などが映し出されており、「ミッキーマウス公演」ではミニスカートをはいていた女性たちもカーキ色の軍服的な衣装をまとっている。

    軍服モランボン
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    モランボン軍人が写る
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    「祖国解放戦争勝利59周年慶祝中央報告大会」で崔龍海さんが行った演説もそうであったが、朝鮮戦争を「戦勝」へと導いた中国への配慮も忘れていない。モランボン公演では、「中国人民支援軍戦歌」、「抗米援朝保家衛国」などの曲目も演奏され、「我が軍隊と人民と行った戦闘的友好の中で共同の敵に反対し、戦った中国人民の崇高な国際主義精神を歌った」としている。

    一方、2部では様子が一転し、「ミッキーマウス公演」の時の衣装で、ミッキーマウスこそ登場しないが、「シバの女王」や「ジプシーの歌」など西洋の軽音楽を演奏している。

    モランボンミニスカ
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    ミニ2
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    「朝鮮中央通信」は、「時代の流れが脈打ち、内容と形式が新しい境地に至った公演を見て、観覧者たちは金日成・金正日朝鮮を世界有数の国に持ち上げようとされる、敬愛する金正恩元帥様の崇高な意図と鉄の意志を熱く胸に抱いた」としている。金正恩さんには、是非とも「鉄の意志」を貫徹もらいたい。ただし、手段と方法を間違わぬように。

    「20時報道」:李明博逆賊と米帝を撃つ人民軍戦車隊(2012年7月28日 「朝鮮中央TV」)

    「20時報道」では、各地で開催させる「戦勝節」関連音楽会の紹介に続き、人民軍戦車部隊員の李明博「逆賊一味」と「米帝」に対する怒りを紹介している。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-28-21.flv

    この手のニュースは、しばらくなかったので久しぶりだ。「銅像爆破テロ」があり「戦勝節」なのでタイミングとしては出てきてもおかしくない。戦車部隊員は、「このまま青瓦台までこのタンクで乗りつけ、青瓦台を粉々にしたい」などと述べた後、「万古逆賊李明博」と書かれたボードと「米帝」と書かれたボードを戦車で踏みつぶし、山に設置されている「青瓦台」と書かれたボードを1枚ずつ砲撃して爆破していく。李明博さんの絵を踏みつぶすパフォーマンスは以前にもあったが、青瓦台という文字を一枚ずつ砲撃するパフォーマンスは初めてだと思う。本当に砲撃しているのか、予め仕掛けた爆薬を爆破しているのか分からないが、よく命中している。

    耳がネズミの「ネズミ明博万古逆賊」
    2012-07-28-21flv_000802040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-28-21.flv

    「米帝」、以前はオバマ風黒人もあったが、これは白人
    2012-07-28-21flv_000811040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-28-21.flv

    突進する戦車部隊
    2012-07-28-21flv_000783040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-28-21.flv

    山肌に書かれた「青瓦台」という文字
    2012-07-28-21flv_000822040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-28-21.flv

    このように一文字ずつ撃破していく
    2012-07-28-21flv_000831040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-28-21.flv

    「20時報道」:金正恩元帥称号授与を世界が報道、戦勝節行事、老兵・慶祝大会(2012年7月27日 「朝鮮中央TV」)

    27日の「20時報道」が戦勝節(朝鮮戦争戦勝記念日)関連の報道をした。昨日(26日)の「20時報道」については記事にしなかったが、平壌で開催される慶祝大会に参加するために地元を送り出される老人たちの様子を異例の長さで報道した。

    「20時報道」7月26日:
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-26-20.flv
    「20時報道」7月27日:
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-27-26.flv

    「20時報道」は毎日ダウンロードしているが、ファイルの大きさは平均50MBぐらいである。ところが、昨日は180MBにもなった。老人たちは、各地の交通事情に合わせて、バス、鉄道、航空便で平壌入りをした。金正恩さんが特別手配したという航空便が使えたのは、少年団行事をの時と同様に、三池淵空港と羅先空港に隣接する地域の老人だけであったようである。インタビューには82才という高齢者も登場し、しっかりとした口調で話をしているが、一方で車椅子に乗ったり、歩くのも辛そうな老人も映っている。平壌空港には、看護師や救急車も待機するなど、「少年団大会」の際に配備されていたものの、それ以上の体制を整えているようであった。慶祝行事中に老人が倒れたなどという不名誉な事態が発生しないよう万全の体制を整えているのであろう。

    いずれ日本や韓国メディアには「体の弱い老人を猛暑の中、無理矢理動員した」と悪口が書かれるのであろうが、そういう側面が全くないとはいえないものの、前記事にも書いたように一生に何度平壌に行けるかどうかという人々である。それに加えて、最高司令官に招かれるという一族郎党にまで影響を及ぼすような「栄誉」を与えられたのだから、多少無理をしてでも行きたいというのが彼らの心情ではないのだろうか。

    三池淵空港を発つ老兵夫婦(夫婦とは紹介されていないが、そう見える)
    2012-07-26-20flv_001424480.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-26-20.flv

    平壌革命学院を卒業して騎馬部隊で活躍したという老兵の女性。「馬にはたくさん乗ったけど、飛行機に乗るのは初めてだ」と話している。
    2012-07-26-20flv_001803040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-26-20.flv

    ともかく、この老人たちが健康を害することなく、平壌で良い時を過ごし、良い思い出を故郷と家族に持ち帰ることを願っている。

    27日の「20時報道」では、各地で繰り広げられる金日成銅像参拝や音楽会の様子が伝えられている。それ自体は新しい話ではないが、米帝を非難し金日成将軍を称賛しつつ繰り返し使われる「戦勝」という言葉を聞きながら、北朝鮮がいう「戦勝」とは何なのだろうかということを考えた。北朝鮮、特に平壌は朝鮮戦争中、米軍の爆撃で更地に近い状態まで破壊された。その平壌を今の形までともかくも復興させたのは、「戦勝」といえるだろう。また、社会主義圏崩壊(冷戦終結)後、中国の手を借りながらも北朝鮮という国を何とか維持してきたのもこれも「戦勝」であろう。北朝鮮は「最後の勝利を目指して」という言葉をよく使うが、その課題が金正恩さんの肩にのしかかっているはずである。私は、金正恩さんがその意味を正確に理解していると期待しているが、その呼び方は「主体偉業の達成」でも何でもよいので、経済を立て直し人民生活を向上させて欲しい。

    27日の「20時報道」では、その金正恩さんに元帥称号が授与されたことに「全世界が煮えたぎ」り、「重大報道が伝えられたときから世界中のメディアが先軍朝鮮に集中した」とし、「朝鮮の特大ニュースが全宇宙に発せられると直ぐに、10分もしないうちに世界の報道機関が一斉に報道した」と伝えている。確かに、「重大報道」が出されれば、世界中のメディアだけではなく、政府や情報機関は聞き耳を立てるはずである。今回は、「重大報道予告」が「元帥称号授与」だったので、ネガティブな期待外れというべきか、胸をなで下ろしたというべきか。「重大報道」に注目するのは、核実験や指導者の異変に警戒するためである。北朝鮮は、それを承知の上で「重大報道」を予告したのかもしれないが、世界を注目させ、注目する理由はさておき、その(注目したという)「事実」を朝鮮人民に伝えるというのは実にうまいやり方である。

    2012年2月27日の「TIME」誌の表紙に金正恩さんの顔が「LIL' KIM(little Kim)」として大きく紹介されたが、この状態は今も持続されているのであろう。2.29米朝合意、ロケット発射、夫人公開など、実にタイミング良く注目度を維持する「行事」をしてきたわけだが、さて次は何を出すのか。

    <追記>
    「中央日報」日本語版を見ていたら、よいコラムがあった。「中央日報」は、北朝鮮からは「保守言論」として攻撃の対象とされているが、このコラムはなかなか良いことが書かれている。「保守言論」たる中央日報にこうしたコラムが載るということは、韓国が金正恩さんを見る目も変わってきたのであろうか。

    「中央日報」日本語版:「【コラム】金正恩のイメージ政治(1)」、「【コラム】金正恩のイメージ政治(2)」
    http://japanese.joins.com/article/390/156390.html?servcode=100§code=120
    http://japanese.joins.com/article/391/156391.html?servcode=100§code=120

    韓国語版を見たら、カン・ヨンジン論説委員が書いたコラムであった。
    「中央日報」韓国語版:「[서소문 포럼] 김정은의 이미지 정치」
    http://joongang.joinsmsn.com/article/701/8882701.html?ctg=

    「金正恩元帥様をお迎えしルンラ人民遊園地竣工式盛大に開催」:遊具に乗る金正恩元帥、李雪主夫人と腕組み(2012年7月25日 「朝鮮中央通信」)

    記事の中身については斜め読みしたところ、これまでに配信されている記事と大きく変わらないようである(追って、きちんと読んでみる)。

    しかし、この記事に添付された写真が凄い。これまで、金正日さんの遊園地視察では部下を遊具に乗らせて後から感想を聞くという手法であったが、この視察では金正恩さん自身が乗っている。「危険も顧みず」とまではいわないが、若いということもあり勇気がある。側近には止めようとした人もいたのだろうが、金正恩さんが押し切ったのであろう。

    遊具に自ら乗る金正恩さん
    遊具に乗る金正恩
    Source: KCNA,http://www.kcna.kp/userAction.do?action=photoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=757356

    また、夫人の李雪主さんと腕を組んで歩く姿も映っている。形としては、遊園地視察ということになっているが、事実上、夫人のお披露目行事とみた方が良い。

    夫人と腕を組んで歩く金正恩さん
    腕を組む金正恩
    Source: KCNA,http://www.kcna.kp/userAction.do?action=photoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=757356

    腕を組む2
    Source: KCNA,http://www.kcna.kp/userAction.do?action=photoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=757356

    金正恩さんは、お父さんやお爺さんの神様路線から、人間路線へシフトしたいのではないだろうか。無条件尊敬される、あるいは尊敬を強要するのではなく、人民から人間として慕われるような指導者を目指しているのかもしれない。

    金正恩さんの幸せそうな姿を見て、楽観的に考えすぎているのかもしれないが、そう期待したい。

    <追記>
    「朝鮮中央通信」が遊具に乗る金正恩さんの写真を差し替えた。
    遊具金正恩2
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=photoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=757149

    「米国務省定例記者会見」:金正恩の結婚について(2012年7月25日 「US Department of State」)

    米国務省の定例記者会見で、金正恩さんの結婚についての質疑応答があった。

    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/07/195490.htm

    詳細は調べていないのだが、北朝鮮問題についてしばしば、しかも執拗に質問をするMattとい記者が、今回もこの問題を取り上げた。答えるのは、Nuland報道官である。定例記者会見には、NulandさんとVentrellさんが国務省を代表して出てくるが、答弁の明確さやとぼけ方はNulandさんの方が上手のようで、読んで(聞いて)いても彼女の話の方がおもしろい。

    Matt記者の「誰か金正日さんに結婚おめでとうと伝えたのか」という質問に対して、Nulandさんは「我々は、常にいかなる新婚夫婦にも行く末がうまくいくように願っている(We would always wish any kind of newlyweds well as they embark.)」と、一般化し、かつ「おめでとう(congratulations)」という言葉を避けながらも、金正恩夫婦の結婚に対する祝辞を述べた。

    もちろん、ここは米国務省のスポークスパーソンなので金正恩さんへの要求も忘れず次のように続けている。「しかし、我々の第一、そして最大の関心は北朝鮮の人々であり、我々は、彼らの状態(訳注:複数の状態、人権、食料、健康などを指すと思われる)が改善され、朝鮮民主主義人民共和国(ママ、DPRK)のリーダーが国を開き、人々により多くを与えることを願っている」と。

    米国も、金正恩スタイルに冷静を装いつつも戸惑っているのではないだろうか。金正恩政権の「改革・開放」に向けた動きの見極めをどの時点で行い、何らかの形で2.29合意に立ち返るための接触をどこから開始すべきなのか、検討しているところであろう。米国の国内政治からすれば、大統領選挙前に動かない方が得策であろうが、金正恩スタイルは、それを見越してか見越していないかは別とし、どんどんと動き出している。

    今日の「20時報道」でも、集中豪雨の洪水により北朝鮮各地で水害が発生しているという報道が流れていたが、干ばつと水害で北朝鮮の穀物収穫量は相当に落ち込むことは確実である。過去記事にも書いたように、FAO/WFPは収穫量の低下を予測しているが、あの時点では、ここまで酷い水害は変数に入れられていなかったはずなので、さらに数値が悪化することは間違いない。北朝鮮にとっても、米国からの食料・栄養援助の必要性が高まっていることは間違いない。

    Nulandさんは、Matt記者が冗談半分で「誰も(結婚式に)招待されなかったのか?」と質問をしたのに対して「我々は招待されなかったし、それ以上の情報もない」とした上で、「Mattさん、あなたは招待されなかったのですか」と切り返している。

    夫人として紹介されたので、結婚式を事後に執り行うということは考えられないが、英語も流暢に話せそうな顔つきの「洗練された」李ソルジュさんとの「夫人外交」でもやれないものなのだろうか。

    ところで、「ソルジュ」に当てはまる漢字は「雪珠」であろうか。中国報道では、どう表記しているのか調べてみる必要がある。

    <追記>
    中国報道を調べるまでもなく、「朝鮮中央通信」の中国語版を見たら出ていた。

    李雪主

    であるが「主」という字が推測とは違っていた。「主体」「自主」の「主」なので北朝鮮ではこちらの方が良いのかもしれないが、個人的には「珠」の方がきれいだと思う。人の名前にケチをつけるつもりはないが・・・

    「金正恩元帥様をお迎えしルンラ人民遊園地竣工式が盛大に執り行われる」:金正恩夫人、李ソルジュさん明らかに(2012年7月25日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が金正恩さんがルンラ人民遊園地の竣工式に出席したことを伝える記事の中で、初めて夫人の名前を公開した。その部分を訳出しておく。

    「金正恩元帥様と夫人・李ソルジュ同志は、駐朝外交および国際機構代表、臨時代理代表、夫人たちとともにイルカが上手に音楽に合わせていろいろな芸をする姿をご覧になり、我が人民と青年学生が抱くロマンと笑いに満ちた生活を想像され、満面に明るい微笑を抱かれた」

    また、「朝鮮中央TV」も視察の様子を静止画で伝えている。
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-25-15-y.flv

    ミニゴルフ場を見る金正恩さんと夫人の李ソルジュさん
    2012-07-25-11-yflv_000101042.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-25-15-y.flv

    「多情」に金正恩さんに寄り添う李ソルジュ夫人、プールを視察中
    2012-07-25-11-yflv_000163458.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-25-15-y.flv

    <追記>
    過去記事で予想したように、夫人が公開された。残念ながら、「懲罰」のヒロイン説は外れてしまったが、途中からは違うと思っていたのでよしとしよう。李ソルジュさんに関する周辺情報が出ていないかと「朝鮮中央通信」の記事をいくつか拾い読みしてみたが、今のところ何もない。金正恩さんがモランボン地区に新設された保育園を訪問したことに関する記事の中で、金正恩さんが子供に接する姿から、彼には保育園に通うぐらいの子供がいるはずと書いたが、こちらは当たっているのであろうか。夫人を案外さらっと公開してしまったopenessが売り物の金正恩さんなので、いるのであればどこかで静止画か動画に何気なく登場させ、デビューという形を取りそうである。上の2枚目の写真を見ると、李ソルジュ夫人が妊娠しているようにも見える。ここでは妊娠説を出しておくことにしよう。

    ともかくも、北朝鮮の若きリーダーに夫人がおり「男として一人前」であることが、朝鮮人民に示されたわけである。ここは、金日成さんのイメージ云々を言わずに、素直に「おめでとう」と言ってあげたい。

    <追記:2012/07/26 9:02>
    7月25日付けの「労働新聞」でも金正恩さんがルンラ遊園地を視察したと報道しているが、こちらでは夫人については一切触れられていない。

    「労働新聞」:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-07-25-0001

    「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話」:朝鮮戦争休戦協定締結59周年に際して(2012年7月25日 「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮外務省スポークスマンが朝鮮戦争休戦協定59周年に際して発表した談話の内容を「朝鮮中央通信」が配信した。

    「談話」は、「朝鮮停戦協定が締結されたてから59年が過ぎたが、戦争は未だに法的に終結されていない」という一文から始まる。実に重たい一文である。

    以下では、米国が朝鮮半島から米軍を撤退させないばかりか、「核兵器をはじめとした現代的な武装装備を南朝鮮に大々的に搬入し」ているとした上で、「米国が朝鮮半島で平和協定締結を断固として避け、交戦状態を持続させていること自体が、対北朝鮮敵対視政策の最も代表的な現れである」と米国を非難している。

    そして、「世界的に最も敏感な軍事的対峙状態が造り出されている朝鮮半島で、第二の朝鮮戦争が起こらないのは、我々の先軍政治、自衛的な核戦力の戦争抑止効果と分けては考えることができ」ず、「核抑止力を持たない国は、制度転覆を謀る敵対勢力の軍事的干渉策動に例外なく潰されているのが、現世紀の厳然とした現実である」と、北朝鮮の制度が維持されている源泉を核兵器とし、国名こそ明らかにしていないが米国により政権が潰されたイラクやリビアの例を挙げている。

    よって、「世界最大の核保有国である米国が我々を敵対視する限り、我々は絶対に核抑止力をまず手放すことはできないであろう」と、米国に「敵対視」をやめることを強く求めている。しかし、北朝鮮が「敵対視」をどのように規定しているのかは明確にされていない。それは、2.29合意にも明らかなように、それに栄養援助が付随するとしても、米国が「敵対視」しないと宣言することこそが重要なように思われる。

    一方で、「我々は依然として対話と交渉を通じた問題解決を主張するが、米国が敵対視政策を放棄しない限り、そのいかなる対話も『対話のための対話』にしかなり得ないということが、ここ60年を停戦史の総和である」としている。そうした色合いが強いのは事実であるが、「対話のための対話」を続けることもやめてしまえば何も起きないし、「対話のための対話」をする中で関係改善に向けてのいくつかの合意はなされてきたことも事実である。ただ、その合意が国際状況やそれぞれの国の国内政治に翻弄されながら、実行されなかったり、中断されてしまったのが不幸である。

    「談話」は最後で、「我々には米国と平和協定を締結し、問題を解決する方法も、朝鮮半島から戦争の火種を取り除くことで恒久的な平和を実現する方法もある」とし、「戦争の火種を取り除く」という表現を使いながら、韓国政権打倒をにおわせ、その「選択は、米国がしなければならない」としている。

    「我が党と祖国の歴史に特記すべき大慶事 敬愛する金正恩元帥様の直接的な発議により 戦勝節慶祝行事が盛大に開かれることになった」(2012年7月24日 「労働新聞」)

    「労働新聞」のこの記事のタイトルは読んでいたのだが、内容までは読まなかった。しかし、昨夜放送の「20時報道」を見ていたら、軍服を着た「老兵」数名がこの行事が行われることについて「喜び」を表明していた。「戦勝」という行事の名称からして、人民軍の士気を高める行事だと思っていたのだが、どうやらそうではなく、「老兵」たちの功績を評価する行事のようだ。それで、「労働新聞」の記事をきちんと読んでみた。

    「労働新聞」:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-07-24-0001

    「20時報道」:
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-24-17.flv

    記事によると「敬愛する金正恩元帥様は、前世代が達成した業績と闘争精神を後代が代を継いで輝かしく継承しなければならないと言われ、意味深い今年、戦勝節を盛大に記念するよう発議され、全国の戦争老兵代表を平壌に招請し慶祝行事に参加させるという恩情深い措置を執られた」としている。どうやらこの行事は、全国の少年団員を平壌に集めた「少年団66周年行事」の「老兵」版ということのようだ。

    「20時報道」に登場した「老兵」たちは皆、平壌在住者であったが、平壌に来る機会がない地方の「老兵」にとっては、嬉しいことであろう。「少年団行事」に参加した地方の子供たちが列車や飛行機で地元に帰る姿を「20時報道」は伝えていたが、皆たくさんのお土産を抱えていた。子供たちが抱えていたお土産は、自分の金で買った物なのか金正恩さんの「恩情」によるものなのかはわからないが、いずれにせよ平壌見物をさせてもらい、なにがしのお土産はもらえたのであろうから、彼らにとっては良い経験になったはずである。

    今度は、それを「老兵」にということのようだが、これも、子供を愛し、「老兵」を大切にするという金正恩スタイルの演出であろう。行事の様子は「朝鮮中央TV」で伝えられるだろうが、若い金正恩さんがどれだけ「老兵」を敬うのかというのが見物である。

    こうした行事を実施すれば、少なからず北朝鮮政府の財政は圧迫されるであろうが、軍事や記念碑ではなく朝鮮人民に還元されるという点ではよいことであろう。

    李英浩解任は、金正恩さんの「改革・開放路線」を批判したためだという記事が「東亜日報」に出ていたが、こうした行事につぎ込む資金を確保するためにも、経済の立て直しは喫緊の課題である。もちろん、李英浩さんが言うように、体制維持をしながら改革・開放を進めるのは非常に困難であることは間違いない。そのためにも、金正恩さんは朝鮮人民からの支持を確固たるものにする必要があるわけで、それが今回の行事などに繋がっているのであろう。

    北朝鮮は「一心団結」を強調するが、今、それを金正恩さんに向けて新しい形で再構築する作業を行っているのではないだろうか。

    「東亜日報」:
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120725-00000041-jij-int

    「<テレビ連続劇>懲罰- 第15・16部」(最終回)(2012年7月23日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」の「懲罰」が完結した。最終回に至る2回は、若干時間が短かった。日本のテレビドラマなどは、1時間なら1時間、2時間なら2時間という時間枠に入るように作られているが、過去記事のコメントで情報を頂いたように、放送時間も時間帯もかなりバラバラのようである。

    かつて、大同江ビールのCMをテレビで流し、金正日さんが「資本主義的だ」と激怒して、CMが中止になったという話をどこかで読んだことがあるが、今でもCMは流れていないのであろうか。2010年夏に平壌のホテルで見ていたいくつかのチャンネルでは、CMはなかった。しかし、金正恩さんの「企業所間で競争させ、質を向上させる」という発想から行けば、CMを復活させるのも悪くないのではないだろうか。金正恩さんが視察したのは、「百貨店」だったので、各企業所からの商品が並べられていたようだが、一般商店ではどうなのであろうか。いずれにせよ、CMで企業所の自慢の製品を朝鮮人民に紹介することは悪いことではないと思う。

    商店ではどうなっているのか分からないが、社会主義経済体制下なので、飲食店で出されるビールは系列企業所から入ってくるビールしか飲めず、選択はできないのではないかというのが私の観察である。というのは、平壌空港で飛行機待ちの時間があったので、案内員ドンムと空港内の食堂でビールを飲んだ。その時、平壌ビール(だったはず)が出てきたので、大同江を帰国前にもう一度飲みたいと頼んだのだが、系列の企業所があるのでここにはないと言われた。これは、かつての中国でもそうだったようで、延吉には地元企業の「氷川ビール」しかなかった。社会主義体制ではないが、かつての韓国でも焼酎がそうであった記憶がある。

    実に意外であったのは、案内員ドンムが空港で飲んだビール代を払ってくれたことである。慣例で、案内員ドンムと運転手ドンムにはチップは渡したのだが、それでも「最後ぐらい」と遙かに金持ちの日本人民にビールをご馳走してくれたのは、朝鮮民族の美徳なのであろう。とても嬉しかった。怖い顔をした北朝鮮入管係官の前を無事通過できるか、ガラスドアの外から心配そうな顔で見ていた案内員ドンムたちの顔は今でも忘れない。

    話を「懲罰」にもどす。ストーリーは、勧善懲悪の形で終わっている。資本主義的だった写真店主と南の女スパイに一時抱き込まれた保安部長は、最後には改心するのであるが敵の銃弾で英雄的に死んでしまう。主人公はスパイ組織のボスを逮捕。一方、ヒロインはやはり敵の銃弾を受ける。このヒロインが死んだのか助かったのかは明確にされていないが、テーマ曲が流れる背景で主人公と共に海岸を歩いている姿が映し出されるので、助かったのかもしれない。

    南の組織の裏ボスがいて、最後に登場する。私はずっと目つきが怪しい鉄道保安隊の女性保安員だと思っていたのだが、そうではなくて主人公の食事の世話などをしていた食堂のオバサンであった。何でも、日本陸軍中野学校で教育を受け、解放後は南に包摂されたという設定である(なので、格闘技の技も凄い)。この人も結局、なんと私が怪しいと思っていた鉄道保安隊の女性保安員に「動くな」と頭に銃を突きつけられて逮捕される。

    心がぶれた人々は改心しつつも死に、悪者は全員死ぬか逮捕された。もちろん、ソウルにいて指令を出した米国人たちは生き残るのだが。

    そして、犯人逮捕の翌日、金日成特別列車は、現地指導に向かう金日成さんを乗せて出発する。

    観察総集編みたいになってしまうが、番組の中で「うどん」という言葉が出てきていた。時代設定が解放直後なので、「うどん」という言葉が出てきても不思議ではないが、今でも通じるのであろうか。80年代の韓国では「うどん」は普通に使われていた。

    日本人強盗に母親を殺され、それを契機にチンピラになった若者が南の女スパイ殺害容疑で逮捕されるのだが、取り調べを受けた後、担当官室に連れて行かれタバコを勧められる。その若者は、「俺は銃殺になるから、最後のタバコを勧めるのか」と言っていた。解放直後だったという事情があるにせよ、今でも「逮捕→取り調べ→銃殺」という流れがあるのだろうか。この若者は、実は無罪が証明され釈放されるのだが。その後、改心して祖国のために機関車工場で仲間のチンピラと共に働きで出す。

    ともかく、おもしろいドラマであった。金正恩さんの発議で、北朝鮮では「祖国解放戦争戦勝節記念行事」が行われることになったと、「労働新聞」などが伝えている。この時期は毎年そうなのかもしれないが、「祖国解放戦争」という記録映画が何部にも分かれてアップロードされているので、今度はこちらでも見ることにする。

    「懲罰」15・16部:
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-23-19.flv

    「労働新聞」記事:「我が党と祖国の歴史に特記すべき大慶事、敬愛する金正恩元帥様の直接的な発議により戦勝節慶祝行事が盛大に行われることになった」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-07-24-0001

    「朝鮮中央TV」:「祖国解放戦争 第6部」
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-24-14-y.flv

    <追記>
    uriminzokkiriに「懲罰」がおもしろかったというコメントを書いておいた。コメント一覧を見ると、ほとんどが中国からのものである。日本人からのコメントも公正に処理できるのであろうか。いたずら対策でもあろうが、投稿後、管理者の確認後に掲載するという文言が出た(このブログの設定と同じだ)。投稿は朝鮮語で行ったが、書いたことは以下のとおり。

    「連続劇「懲罰」は日本人が見ても、とてもおもしろかったです。時間が経つのを忘れて、最後まで見てしまいました」

    「江原道と黄海南道で台風により人的及び物的被害発生」(2012年7月20日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が台風被害の詳細を伝えていたようだが、見落としていた。

    「朝鮮中央通信」の報道によると、江原道で7名の死者が発生し、農耕地が水に浸かったり民家、公共の建物、交通機関、インフラ施設などに少なからぬ被害が発生したという。特に、元山とムンチョン市では上水道が破壊されたとのことで、上水道の供給がストップしてしまったとのことである。

    「労働新聞」はよく見ていないが、「20時報道」などでは人民軍が給水車を出したという報道はない。

    「国家政治テロ親分の醜悪な正体は決して隠せない-朝鮮中央通信社論評」(2012年7月21日 「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮が「朝鮮中央通信論評」という形で、韓国の統一部スポークスマンの発言に反発している。論評によると「傀儡統一部のスポークスマンという者がTVに堂々と登場し、『北が騒ぐ事件は嘘であり、事実無根である』とか、『政府が表だって対応する価値がない』などという妄言を吐いた」とのことである。

    この韓国・統一部スポークスマンの談話は確認していないが、北朝鮮がいうストーリーが稚拙であることは同感する。

    今日、テレビドラマ「懲罰」の11・12部がアップロードされたので見ていた。そしたら、なんと「コサ」という言葉が出てくるではないか。ドラマの中では、米国の指示を受けて金日成特別列車爆破計画を遂行しようとする「反動一味」が、爆破計画を「コサ」と呼んでいる。「コサ」とは漢字で書くとやはり「巨事」と書くようで、訳語としては「偉業」が出てくる。で、Yahoo Koreaで「거사(コサ)」を検索したところ、出てくるのは「居士」ばかりであった。この検索結果からは、韓国で日常的に「거사(コサ)」という音を「巨事}、つまり「偉業」としては使っていないのではないだろうか。

    一方、「懲罰」の中で、実に自然に「거사(コサ)」という言葉を使っていることからすると、北朝鮮では一般的に使われている用語なのかもしれない。そのようなことからしても、金日成銅像爆破作戦を「거사(コサ)」と呼ぶのも、実に不自然である。もちろん、設定は北朝鮮の反政府組織の犯行とするためなので、作戦名も北朝鮮式にしておくという説はあり得る。

    ドラマ「懲罰」の中では、ソウルからの司令はモールスコードで送られてくる。何回かモールスコードは流れているのだが、いつもは画面に映し出される朝鮮語を読むのに忙しくて、モールスコードはよく聞いていなかった。今日は、何気なくモールスコードを聞いていたのだが、数字の組み合わせであった。日本にも「和文」という独特のモールスコードがあるように、朝鮮にも朝鮮語コード(韓国語コードはある)があるはずだが、やはり特務司令は乱数で送られるということであろうか。

    殺されてしまうのだが、南のスパイとつるんでいる飲み屋の女主人が「タミエ」という日本人であるなど、奇想天外な展開が続いている。第10回であっただろうか、植民地時代に日本人が自転車を修理した朝鮮人に修理代を払わず、「チョウセンジン」(ママ)と言いながら、殴る蹴るの暴行を加える場面がある。朝鮮人民は「チョウセンジン」という日本語が朝鮮人を卑下する言葉だと知っているのであろうか。私がいた時代の韓国ではよく知られていたが、2012年の韓国ではどうなのかわからない。

    終わりそうでなかなか終わらないドラマである。どこまで続くのだろうか。

    「20時報道」:台風7号の影響で江原道で洪水被害(2012年7月20日 「朝鮮中央TV」)

    台風7号の影響で江原道の一部で洪水が発生したと報じた。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-20-17.flv

    元山市では、19日9時から12時の間に80mmの降雨量があり、元山市の駅前通や道人民委員会前の道が水に浸かった。

    元山市の様子
    2012-07-20-17flv_000962880.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-20-17.flv

    また、秒速11メートルの強風で、路面がはがれたり樹木が倒れたりした。

    倒れた木
    2012-07-20-17flv_000984640.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-20-17.flv

    ムンチョン市でも18日3時から20日0時までの間の降雨量が227mmに達し、道路が流された。

    流された道路
    2012-07-20-17flv_000996240.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-20-17.flv

    復旧作業にあたる人民軍など
    2012-07-20-17flv_001005800.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-20-17.flv

    「20時報道」では、集中豪雨で農業地帯の川が氾濫しないように事前に土嚢を積み上げたり、川底を掘る作業をしている姿も伝えれているが、元山やムンチョンの大雨により田畑にどのような被害が発生したのかについては伝えていない。風雨により大きな被害が出ていなければよいのだが。

    「<紹介編集物>新たに作られた自動車安全技術検査場」(2012年7月21日 「朝鮮中央TV」)

    以前、「20時報道」の中で紹介された地方都市の「自動車安全技術検査場」を紹介したが、今回は「自動車安全技術検査場」だけを扱う番組があった。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    基本的には、「20時報道」で紹介された設備と同じであるが、今回はそれぞれの設備や使用法について、細かく紹介されている。番組ではまず、「最先端社会に向けて発展する中・・・・自動車運行に対する要求はいっそう高まっている」とし、全ての自動車の安全技術状態を正確に検査することの重要性を述べている。

    下の写真に見られるように、日本と比較すれば、自動車がいないに等しいが、北朝鮮ではこれでも自動車が増えているのであろう。断片的な映像だけなので分からないが、私が2010年に訪朝したときよりも、いろいろな動画の道の様子を見ていると、自動車は増えているようである。また、2010年に訪朝したときは、信号機が設置された直後であったようで、案内員ドンムと運転手ドンムは、信号で止められることに「こんな所に信号なんていらないのに」いらいらしていた。北朝鮮の自動車台数ぐらいでは、臨機応変に交通の流れをコントロールする女性警察官の手信号の方が有効なのかもしれない。ちなみに、新たに導入された信号機のライトには、LEDが使用されており、50年前の技術を多くの部分でそのまま使っている北朝鮮という国とLED信号という実に不釣り合いな組み合わせを感じた。中国もそうであるが、経済学でいう「後発性の利益」とは、まさにこれだと思った。

    2012-07-21-16flv_000038417.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    検査を実施しているのは、「中央機関車両監督署」のようである。この部署は、「中央機関が所有する車両を監督するところ」なのか、「中央機関が人民が所有する車両を監督するところ」なのかは分からないが、北朝鮮では、恐らく、個人が乗っている車も一旦は中央機関の車両として登録され、それを公務用に使用することを前提に貸与する形を取っているのであろうから、前者ではないだろうか。

    「中央機関車両監督署」
    2012-07-21-16flv_000049417.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    この「検査場」の処理能力は、1時間当たり8台、1日当たり74台というので、1日9時間ぐらい稼働しているということであろうか。番組では、「これからもこのような検査場を増やしていく」といっているので、「ハンマーで叩いたり、目視検査を行っている検査場」が他にもあるにせよ、平壌市内の車の検査はほぼこの処理能力で足りているということなのだろうか。

    検査場に入る車
    2012-07-21-16flv_000057833.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    では、この検査場ではどのような項目の検査を行っているのだろうか。

    排気ガス放出量検査装置
    2012-07-21-16flv_000081750.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    まず、排ガス検査を行っている。「20時報道」では分からなかったが、ディーゼル車用とガソリン車用の検査装置をそれぞれ備えている。左がガソリン車用、右がディーゼル車用である。

    速度計器検査(左)、前照灯検査(右)
    2012-07-21-16flv_000086667.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    「20時報道」を見たときは、速度が40km/hに達したときに押す「遠隔鍵」がなんだか分からず、日本のようにパッシングをするのかと思ったが、今回は「遠隔鍵」なるものが映っている。なんと小型のリモコンであった。

    スピードメーター検査用の「遠隔鍵」
    2012-07-21-16flv_000230792.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    クラクション検査
    2012-07-21-16flv_000094250.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    日本の検査場では、クラクションをどのように検査していたのか記憶が定かではないが(また、来年ユーザー車検を受けるというのに・・・)、鳴るか鳴らないのかだけを調べていたような記憶がある。北朝鮮では、マイクで音を拾い、その音量を何デシベルという形で検査しているので、こちらの方が「ハイテク」である。

    クラクションの音量表示、検査結果の○は合格
    2012-07-21-16flv_000279417.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    しかし、「水曜日」を「수요일」とせずに「Wed」としたままなのは、「主体」的でも「自主」的でもない。ソフトの僅かな手直しでどうにでもなるはずなので、手直しをした方が良いと思うのだが・・・globalization、国際化か?

    前照灯検査の結果。左側ライトは合格、右側ライトは「合格に近い」(要調整?)
    2012-07-21-16flv_000308333.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    予備車検場などありようもないので、その場で調整再検査ということか。こちらは、「Wed」が表示されておらず「自主」的になっている。表示されている日付からして、半年以上経っているのでその間に修正されたのかもしれない。

    サイドスリップ検査とブレーキ検査
    2012-07-21-16flv_000098875.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    こうして検査された結果はプリントアウトして渡される。
    2012-07-21-16flv_000399833.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    検査官が使うキーボードに注目して欲しい。このキーボード、韓国で使われているようなハングルキーボードではなく、英文キーボードだ。北朝鮮国内でキーボードを生産しているはずもなく、また一時は輸入していたかもしれないが、今はストップしているはずだから韓国からの輸入もないので、中国からの輸入であろうが、中国のキーボードはピンイン入力なのでこのように英文表示だけなのだろうか。中国の大学でPCを借りたことがあるが、忘れてしまった。

    「英文」キーボードで入力する検査官
    2012-07-21-16flv_000396833.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-21-16.flv

    番組の終わりでは、検査を受けた人が「科学的な安全技術検査を受けることができて安心した」というようなことを言っているので、これは、日本の車検のように自動車の運行を続けるための義務的な検査ではなく、任意的な検査なのであろうか。この検査を義務化すれば、北朝鮮で走っている車、特にトラックは不合格となる可能性が高い。というのは、それこそ50年前の技術で作られたようなトラックが平壌市内を未だに走っているからである。乗用車に関しては、この番組に登場するような「平和自動車」製や日本から持ち込んだ中古車、党や軍の幹部が乗っていると思われるベンツやBMWが走っている(中国製については、そもそもmade in Chinaの自動車についての知見がないので分からない)ので、それなりの整備をすれば検査には合格するであろう。

    こうした検査場も実用というよりは、「強盛朝鮮」へ向けての一つの取り組みといえるであろう。

    「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン声明」(2012年7月21日 「労働新聞」)

    前の記事にも書いた、金日成銅像爆破計画を巡り、北朝鮮外務省が「スポークスマン声明」という形で韓国と米国を非難した。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-07-21-0032&chAction=L

    記事では、「白頭山の絶世の偉人たちの銅像を敢えてどうこうしようとする敵対行為は、我々の最高尊厳と我々人民の心の柱に対する最も露骨な冒涜であり、物理的な攻撃行為なので、武力侵攻にも劣らない戦争行為に当たる」と強く非難している。

    ここまで書いていることからすると、実際に銅像爆破計画はあったのかもしれない。ただし、米国や韓国が直接的に関与するものではなく、脱北者団体のような民間団体が企てたものではないだろうか。だからこそ、遂行計画が稚拙で、北朝鮮に阻止されたのかもしれない。北朝鮮からすれば、彼らのいう「人間のゴミ」の集まりである民間の脱北者団体など非難しても意味がないので、矛先を米国に向けておく方が得策である。また、金正恩体制が「改革的」な色彩を出しながら社会の締め付けを緩めている一方で、そうであっても一線を越えてはならぬという人民に対する警告なのかもしれない。

    声明では、「米国が我々に対して敵対意思がないと宣言した2000年10月12日の朝米共同コミュニケと我が共和国を攻撃したり侵攻する意思がないということを確言し、朝米がお互いの自主権を尊重し、平和的に共存するとした9.19共同声明の基本条項を根幹からひっくりかいしている」とも述べている。そして、「米国の旧態依然たる対朝鮮敵視政策により朝鮮半島では、対決と緊張激化の悪循環が繰り返され、朝鮮半島非核化も遠離っている」とした上で、「諸般の状況は、我々が核問題を全面的に再検討せざる終えない状況にしている」と核問題に連関させている。

    北朝鮮のいう「核問題の再検討」とは何であろうか。少し前に北朝鮮は「核実験をする予定もない」ということを言ったが、それを受けているのであれば「こうした状況では、核実験も辞さない」という威嚇になる。ただし、米韓の大統領選挙を年末を控えるこのタイミングで、北朝鮮が敢えて核実験をする意味はあまりない。やるのであれば、その結果、さらにはその後の交渉を踏まえてからの方が効果的である。したがって、「核問題の再検討」とは「とりあえずは凍結しているのだから」、朝米共同コミュニケや9.19声明に立ち返って欲しいという訴えかもしれない。2.29については触れていないが、当然、これらのコミュニケや声明を受けた、直近の2.29に立ち返って欲しいという訴えではないだろうか。

    「料理人藤本氏、21日訪朝=金第1書記と面会の予定」(2012年7月20日 「時事通信」)

    「犬肉料理」記事の「追記」にしようと思ったが、別記事にしておく。

    <追記:2012年7月21日>
    「藤本さんは(ポシンタン料理が)できないだろう」と書いたら、期せずして同氏が平壌を訪問し、金正恩さんと面会するというニュースが流れてきた。北朝鮮が藤本さんを招待するというのは、とてもおもしろい。そもそも、藤本さんが日本で偽名を使い、変装をしているのは「北朝鮮の工作員に狙われている」という理由であったはずである。その藤本さんが平壌に自ら足を運ぶというのは、青天の霹靂だ。また、北朝鮮にしても彼を受け入れるということは、間接的に彼の言質を認めるということになる。藤本さんは、北朝鮮に妻子を残して日本に戻ってきた(というか、脱出した)とのことなので、今回の訪朝では妻子にも会うことになるのであろう。いずれにせよ、続報が楽しみだ。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120720-00000176-jij-int

    「敬愛する金正恩同志が総連支部活動家大会に祝電を送られた」(2012年7月21日 「労働新聞」)

    「20時報道」のトップで金正恩さんが「総連支部大会に祝電を送った」というニュースを伝えていたので、「労働新聞」を見たら、そちらにも同じ記事が出ていた。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-07-21-0001

    これまで、金日成さんや金正日さんは「総連支部大会」に祝電を送ったかは未確認であるが、このニュースを聞いていていて気になったのは「祝電」で総連活動や在日朝鮮人を「高く評価」していることである。日本メディアには「<北朝鮮>正恩氏母の墓、6月下旬に設置 「高英姫」実名も」という記事が出ていたが、金正恩さんが総連を「高く評価」するのは母親紹介への準備作業であろうか。

    「毎日新聞」:「<北朝鮮>正恩氏母の墓、6月下旬に設置 「高英姫」実名も」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120720-00000008-mai-int

    「総連支部大会」なるものが何か分からないので、朝鮮総連HPをざっと見たが、日本語ページにも朝鮮語ページにもそれらしきことは書かれていない。「支部」というと例えば「東京支部」とか「大阪支部」とかいう日本国内での「支部」を意味するのかもしれないが、「支部」大会ごとしに金正恩さんがわざわざ祝電を送るだろうか。ちなみに同ページによると「支部執行委員会または3分の1以上の分会の要求があった場合、支部臨時大会を開催することができる」されている。

    朝鮮総連HP:
    http://www.chongryon.com/j/cr/index4.html

    こうしたことから、金正恩さんが祝電を送ったのは「全体大会」ではないかと思われる。同ページによると、全体大会は「全体大会は、朝鮮総聯の最高決議機関であり、3年に1回、定期的に中央委員会が召集する。ただし中央委員会または地方執行委員会の3分の1以上の要求がある場合、臨時大会を召集することができる」となっており、全体大会は「1955年5月の結成大会から2007年5月の第21回全体大会まで21回、開かれている」とのことなので、2007年5月以降3年以上経過した2012年7月に北朝鮮の新体制発足との関連で開催されても不思議ではない。

    「米国と傀儡一味の無分別な反共和国破壊秘密策動は破滅を免れない 特大型テロ行為加担者 国内外記者会見で犯罪の真相を暴露」(2012年7月20日 「労働新聞」)

    脱北して韓国に行き、そこで「特殊任務」を与えられて北朝鮮に戻り逮捕されたという男性の記者会見についての記事が「労働新聞」に掲載された。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-07-20-0027

    また、記者会見の模様は「朝鮮中央TV」が放送したようだ。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-19-18.flv

    記者会見場には、北朝鮮、朝鮮総連、中国、ロシア、米国、日本の記者が出席したとのことである。顔ぶれは、前回の女性脱北者の記者会見に出席した外国記者と変わらないようである。しかし、殆どが東洋人なので、一部の特徴的な人、例えば、花柄のスマホで動画を撮影する女性(中国人記者か?)、ロシア人と思わしき男性記者しか確認はできない。また、出席者の中にはバッジを付けているにもかかわらず、イヤホンを使用しながら通訳の言葉を聞いている人もいる。北朝鮮に滞在中の在外同胞も出席したとのことなので、彼らであろう。

    記者会見は約53分と長い。その若干のダイジェスト版が「労働新聞」に、そしてかなりのダイジェスト版が「朝鮮中央通信」で配信されている。では、私なりにおもしろいと思うところを切り出したダイジェスト版を書いておくことにする。

    この男性は、清津市に住む51歳の男性で、北朝鮮で「一時的な生活苦に耐えられず」に商売や仲買人をしたあげく、ある女性の脱北を手助けし、その女性が北朝鮮に戻ってきたときに逮捕されたので、自分も逮捕されるのではと身の危険を感じ、2010年4月24日に脱北したという。

    中国に滞在している間に朴という韓国人が接触してき、彼と共に韓国に入った。その後、「ハナ院」での学習などを経て、春川で生活するも、脱北者への待遇は悪く生活は厳しかった。そんなとき、「ハナ院」で知り合った李スボクという人から電話がかかり、「ソウルに来い」と言われた。

    ソウルでは「北民戦」(北韓人民解放戦線)という組織の金ソンミンという人と会わされ、「ドンカモ」という組織への加入を勧められた。「ドンカモ」とは、「(金日成の)銅像をたたき壊す集まり」という意味で、銅像破壊には「巨事(コサの音訳)」という作戦名が付けられていた。これまで、その実行を試みているがなかなか成功しないとのことであった。

    この脱北男性は、「一生食うに困らない」金を払うことを約束されたので、「銅像破壊」作戦に荷担することにした。銅像破壊の目的は、金日成の銅像を金日成の誕生日である「太陽節」など、北朝鮮の重要な日に爆破し、それを北朝鮮国内の反対勢力の仕業であるがごとく宣伝するためであるという。さらに、爆破される様子をスパイ衛星で撮影し、公開するという周到ぶりである。

    この作戦は米国の許可を得なければ実行できないとのことで、この男性と話をした南の情報員と思わしき男性は、米国までわざわざ足を運び作戦実行の許可をもらったようだとしている。それにしても、米国までわざわざ行かなくてもいくらでも連絡は取れるし、いざとなれば米国大使館に行けば十分であろう。北朝鮮が外国で何かの作戦を「実行」する際には、わざわざ本国まで戻って決済を受けなければならないということの裏返しであろうか。

    作戦の概要は次のとおりである。まず、出所が割れないような部品をかき集めて銅像を破壊するための武器を作る。武器は、魔法瓶のような形状の「最先端設備」で、150~300mの距離にある目標物を破壊できるものであるという。小型のロケット弾のようなものであろうか。銅像を壊すごとき、特に「最先端設備」など必要もないと思うのだが、どうなのだろうか。恐らく、「最先端設備」たる所以は、次のところによるのであろう。つまり、この発射装置は、目標(金日成の銅像)に向けて設置されれば、12時間スタンバイ状態なるという。そして、その間に無線による遠隔操作で発射できるようになっているという。

    具体的作戦につては次のとおりである。目標とする金日成銅像は、国境地帯に近いものとする(その理由は後述)。まず、銅像の近く(100m未満)のアパートの屋上に発射装置を設置する。そして、指定された時間になったらロケット弾を発射し銅像を破壊する。発射の方法は二通り準備されており、一つ目の方法は、中国に越境した脱北者男性がロケット弾発射リモコンのボタンを押しロケット弾を発射する。ただし、そのバックアップ・プランもあり、銅像から500m以内に居住するこの脱北男性のお母さんが、脱北男性が手渡した「携帯電話」でロケット弾発射するというやり方だ。もちろん、お母さんは、そんなに恐ろしいことをできるはずもないので、男性はお母さんに「7時までに俺が電話をしなかったら、俺に電話をしてくれ」と電話の操作法を教えておく。この操作法こそが、ロケット弾を発射する操作法ということだ。ロケット弾発射リモコンの電波の到達距離は、4~6Kmなので、金日成銅像は国境地帯になければならないということになる。

    ちなみに、発射装置などは発射と同時にバラバラになり、誰が作ったのかという痕跡が残らないような仕組みだという。アフガニスタンかイラクか忘れたが、反政府勢力の密着取材をして、政府軍が通る道に彼らが爆弾を仕掛けるドキュメンタリーを見たことがある。その中に出てくる彼らが作る爆弾のリモコンなど実に単純で、携帯電話を2台使っただけのものである。詳細な作動原理まではさすがに紹介されなかったが、1台目の携帯で電話をかけると、爆弾に取り付けられたもう1台の携帯の呼び出し音かバイブレーターに起爆装置が反応して爆発する、そうでなくても爆弾に取り付けられたもう1台の電話機が自動的に応答した後に、予め設定しておいたコードをトーンを使ってキーパッドから入力するという程度であろう。

    何が言いたいのかというと、金日成像を破壊するくらいなら、何も「最先端設備」など使う必要はなく、中国で容易に手に入るであろう爆発物と中国製携帯電話があれば十分なはずである。中国製を使えば、韓国の仕業とはばれないし、中朝を行き来する反体制活動家の仕業とすることができる。この爆弾を金日成像の目立たないところに置いておいて、爆破すればよい。目的からすれば、別に金日成像が吹っ飛んで跡形もなくなる必要はなく、ある程度派手な爆発があり、それをスパイ衛星で撮影すれば良いだけの話である。

    で、落ちは、結局この脱北男性は、北朝鮮に潜入し、事前に金日成像やアパートの様子を探り、中国に戻ろうとしたところで逮捕されてしまう。6月19日午前2時のことである。脱北男性曰く「共和国保安機関では、既に私のような犯罪者の一挙一動を鋭利に注視していた」そうだ。

    この脱北男性は、終始一貫、原稿を見ながら話をしている。また、記者の一部にも原稿が配布されたようで、それを見ながら聞いている人もいた。質問の時間には、「朝鮮中央通信」、「総連朝鮮新報」、「民主朝鮮」の記者が質問をするが、いずれも原稿を棒読み(特に「朝鮮新報」記者)。そして、脱北男性も原稿を読みながら応えている。記者会見に同席した政府関係者と思わしき男性は「他に質問はありませんか」と数回いうが、質問など出ようもない。出たところで、原稿に書かれていないことを脱北男性も話せるはずがないからだ。

    前回の脱北女性の話は、それなりに真実味があったし、おもしろかった。今回は、証拠品として韓国のパスポートや朝鮮日報記者を名乗るスパイの名刺、連絡先の電話番号なども公開しているが、ストーリーからして実にお粗末きわまりない。

    テレビドラマ「懲罰」の金日成特別列車爆破計画の方が、よほど真実味がある。で、今日は、第10部のアップロードはなかった。

    工作員とされる「朝鮮日報」記者の名刺
    2012-07-19-18flv_001840040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-19-18.flv

    「<紹介編集物>地方特産の食べ物 - 咸鏡北道地方の犬肉スープ」(2012年7月18日 「朝鮮中央TV」)

    「懲罰」第9部がなかなかアップロードされない。もしかすると、昨日は金正恩さんが元帥称号を得たことと関連する特別番組か何かがあり、放送されなかったのであろうか。urimizokkiriには「朝鮮中央通信」の記事と同じ字句を男性アナウンサーが読み上げるだけの短い番組は掲載されている。ざっと眺めただけであるが、今日の「労働新聞」には、元帥称号授与を喜ぶ将兵たちの写真が多く掲載されているので、テレビでもそういう番組が放送されたのであろうか。

    それで何かおもしろい番組がないかといくつかのファイルをダウンロードしてみたら、「犬肉スープ」の作り方を紹介する番組があった。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-18-13.flv

    88年のソウルオリンピック前までの韓国では「保身湯(ポシンタン)」という名前で犬肉スープを出す食堂はあちこちにあった。食堂の看板には大きく「犬肉」と書かれていて、市場では食肉用の犬が売られていた。ところが、主に愛犬家が多い英国から「オリンピックの開催国で、犬肉を食べるのは野蛮」という批判を受け、韓国政府は急遽、とりあえずソウルでの「ポシンタン」提供を禁止した(この禁止令が出されたのは87年だったかもしれない)。88年と言えば、民主化宣言後とはいえ、まだ政府の権威主義的体質は残っており、国民も長い独裁体制下での習い性があったため、「ポシンタン」や「犬肉」の看板は表向きは街から消えていった。「韓国の伝統的な食べ物に外国から文句を言われる筋合いはない」という批判もあったが、韓国国民は「犬肉」以上にオリンピック成功への期待が大きかったのであろう。

    もちろん、「伝統的な食べ物」はそう簡単に消え去るわけがない。「栄養湯」とか「湯」など、名前を変えて提供され続けていた。私も大学院の友人に連れて行ってもらったが、確かに中身は「ポシンタン」であった。

    で、2012年現在の韓国はどうなのか。厳密に言えば、私が食べたのは2010年であるが、「ポシンタン」は「湯」などの名前で存在し続けている。しかも、ソウルのど真ん中(ロッテ百貨店の近く)の食堂で堂々と提供されている。この食堂は私の「タンゴルチプ(馴染みの店)」で、ソウルに行くとほぼ必ず行く。店の主人は、日本人が韓国に来るたびに食べに来るなどということは知らないだろうが、ともかくほぼ必ず行く。今現在、韓国で「ポシンタン」についての規制がどのようにされているのか分からないが、「湯」として出しているし「犬肉」の看板もないので、何らかの規制はかけられているのであろう。

    昔話のついでに書けば、韓国で「ポシンタン」を初めて食べたのは、全州である。全北大学の夏期日本語講座のお手伝いをするために行ったのだが、全北大の先生がリクエストもしないのに連れて行って下さった。川沿いの食堂で川を見ながら食事をするのであるが、焼酎(ソウルの真露ではないのがこれまた良かった、ブランドは失念)と「ポシンタン」の組み合わせは絶妙であった。それ以来、「ポシンタン」ファンである。

    90年代半ばであったか、中国朝鮮族自治州の延吉市に企業調査に行ったとき、毎朝、白山ホテルの近くの朝鮮族が経営する食堂で「ポシンタン」を食べた。店のオバサンに、コリアンダー(香菜)を入れるかと聞かれ、「入れる」と答えたら「あんたは韓国人じゃないねぇ。どこから来たんだい」と聞かれたのを今でも覚えている。オバサンによると、韓国人はコリアンダーの独特の香りを嫌い、入れたがらなかったそうだ。2010年に久しぶりに延吉に行ったが、その変貌ぶりには驚いた。探す時間もなかったが、あのオバサンの店はもうなくなってしまったのであろう。

    昔話ばかりになってしまい、肝心の番組の話には入れないが、番組では作り方を紹介しているだけなので、あまりコメントはない。韓国に犬肉料理の作り方を紹介する番組や料理本があるのか分からないが、作り方を知りたい人にとっては貴重な番組である。番組の最後で「このように、見た目もおいしそうだし、民族的な香りが溢れる犬肉スープを家庭でも作り食卓にのせて下さい」と言っている。さすがに「自主」の国だ。

    犬肉スープの調理例
    2012-07-18-13flv_000317960.jpg
    Source: KCTV,http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-18-13.flv

    いつの日か、金正恩さんと共にミセス金正恩が作った「犬肉スープ」を食べてみたいものだ(藤本さんはできないだろうから)。

    <追記>
    この記事を投稿し終えたら、「懲罰」第9部がアップロードされていた。

    「20時報道」:日本のロボットを紹介(2012年7月18日 「朝鮮中央TV」)

    以前、中国自動車道で起きたフェラーリなど高級車が多く巻き込まれた交通事故を北朝鮮が「20時報道」で報じたという記事を書いた。その時にも書いたのだが、人民に「高級車」の観念自体がない北朝鮮において、このニュースは「複数の車が巻き込まれた交通事故」という認識しか持たれないであろう。この事故は、「高級車」に意味があるのだが。

    今回は、日本のロボットを紹介するニュースが登場した。「20時報道」では、終わりの方(uriminzokkiriにアップロードされるファイルの構成)で「情勢報道」というコーナーがあり、韓国での反政府運動や外国の事件、事故、洪水・山火事などの自然災害を紹介している。このコーナーで、「ある国で」という表現を使いながら、東芝製お掃除ロボット「スマーボ」やホンダのASIMOが紹介されている。「スマーボ」はメーカーなどが分からないように映っているが、ASIMOの方はボディーに書かれているHONDAというメーカー名がはっきりと読める。東南アジアでは有名なHONDAだが、北朝鮮での知名度はさほど高くないので、朝鮮人民は日本製だと認識しないのであろうか。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-18-17.flv

    「総合訓練に入った<アリラン>」(2012年7月18日 「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮の夏の風物詩「アリラン」マスゲームの練習が、最終段階に入ったと「朝鮮中央通信」が伝えた。

    どこかで「アリラン」は今年が最後という話を読んだが、出所を失念してしまった。今年が最後かどうかということはさておき、今年の「アリラン」は見たい。というのは、アリランの出し物や構成にどれほど金正恩スタイルが反映されるか確認したいからだ。アリラン全編をuriminzokkiriが動画でアップロードしてくれれば見に行く必要もないが、そうでなければ見に行くしかない。

    最近、北朝鮮ツアーを扱うpioneer tourから夏の北朝鮮ツアーに関するメールが届いた。アリラン鑑賞ツアーもいくつか含まれているが、ともかく高い。対ユーロの円高基調は続いているので、安くはなっているのだが、それでもだ。どうせ行くのならば前回のように個人で行き、毎晩、案内員ドンムとカラオケでも歌いながら話をしたい。北朝鮮旅行の何が楽しいかといえば、やはり案内員ドンムと話をすることだ。

    一時期のように名古屋からチャーター便が飛んでいれば楽なのだが、今は中国かロシア経由、最近はクアラルンプール(マレイシア)経由の便もできたようだが、それでも大変だ。前回使った丹東から列車で入るコースは、同じく北朝鮮観光に行く外国人や同じコンパートメントの朝鮮人民と話ができて、それはそれでおもしろい。ただ、中国語ができない私は、丹東まで行くのがなかなか苦である。

    金正恩時代の北朝鮮を肌で感じてみたい。

    「金正恩同志に朝鮮民主主義人民共和国元帥称号を授与することについての決定を発表」(2012年7月18日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」は、朝鮮労働党中央委員会、朝鮮労働党中央軍事委員会、朝鮮民主主義人民共和国国防委員会、朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会の連名で、7月17日付けで金正恩さんに元帥称号を与えると決定したと報じた。

    大元帥は死亡後に与えられる名誉称号なので、これで金正恩さんは人民軍における最高の称号も得たということになる(金日成さんは、金正日さんが元帥に昇格するに伴い生前に大元帥に昇格)。李英浩解任直後のことなので、もしかすると李英浩さんがこれに反対していたのかもしれない。反対理由は「若すぎる」からであったのだろうか。

    これに先だち、12時に「重大報道」があると「朝鮮中央通信」は伝えていたが、日本国の総理官邸はきちんと対応したのであろうか。それとも、民主党の派閥抗争で汲汲としていたのか。

    「<テレビ連続劇>懲罰 -第7・8部-」(2012年7月17日 「朝鮮中央TV」)

    だんだんとドラマのクライマックスに近づいてきた。このドラマであるが、やはりuriminzokkiriに掲載される前日に放映されているようである。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-17-21.flv

    というのは、別記事に書いた7月18日以降の台風に伴う大雨注意報が字幕で流されているからである。字幕では「明日」つまり、7月18日からとなっているので、昨夜放送された番組であることが分かる。第7部と第8部がuriminzokkiriにアップロードされたファイルのように連続放送されているのか、分けて放送されたものをまとめてuriminzokkiriにアップロードしているのかは分からない。

    前にも書いたが、このドラマは本当によくできている。これまでに見た北朝鮮のテレビドラマのサンプル数が少ないので断定はできないが、もしかするとこれも金正恩スタイルなのかもしれない。

    見れば見るほど80年代に韓国で見たテレビドラマの作りを思い出す。87年の民主化宣言後の作品だったはずだが、光州事件を扱った「モレシゲ(砂時計)」というテレビドラマがあったが、テーマこそ違えど、雰囲気は実に似ている。

    また、南(米国)のスパイ一味に荷担する飲み屋(女性がいると過去記事に書いたが間違いで、女性の歌をレコードでかけているだけだった)の女主人が肩を露わにしたチャイナドレスを着て、色仕掛け(といっても、言葉だけであるが)で、写真店主や保安部長を抱き込もうとするシーンなど、敵のスパイとはいえよくぞここまで見せたという感じである(その系では、モランボン楽団のシンガーと同じである)。

    また、主人公とヒロインの複雑な関係も実にうまく描き出している。

    おもしろかったのは、主人公が復讐心に燃えてトレーニングルームでサンドバッグを殴ったり、腹筋トレーニングをする場面があるのだが、背景で流れた音楽は、「必殺仕事人」の仕事を依頼されて仕事の準備をする場面で流れる音楽に実に似ていた。

    前記事にも書いたが、思想的な説教は所々に含まれているものの、そんなに多くない。今回も金正淑さんが銃を手に金日成さんを護衛する逸話があったが、さして長い時間ではなかった。

    私のような日本人民も楽しめる構成なので、朝鮮人民はさぞかし続きを楽しみにしていることであろう。

    「20時報道」:朝鮮で集中豪雨に注意(2012年7月17日 「朝鮮中央TV」)

    昨日、北朝鮮で放映された「20時報道」を見ていたら、北朝鮮での「異常気象」についての解説があった。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=10618

    解説によると7月18日以降、台風7号の影響も受け、西海岸と江原道の一部の地域で集中豪雨が予測されるとのことである。日本でも九州での豪雨が大きな被害をもたらしたが、治水のレベルが日本とは比較にならない北朝鮮で同じような雨が降ればどのようなことになるのかは容易に想像される。「人民経済に大きな影響を与えるので、注意して欲しい」と気象解説でいつも登場する気象水門局中央気象予報センター副所長のシム・ミョンスクさんはいうが、「注意」だけではどうにもならないであろう。

    中期的には食料生産への影響が憂慮されるが、短期的には住民非難など人民軍を動員して対策を講ずるべきである。さて、金正恩さんは何を考えているのか。

    「<テレビ連続劇>懲罰 -第5・6部-」(2012年7月16日 「朝鮮中央TV」)

    今も第7部と8部をダウンロードしている。これまで、テレビドラマシリーズをこれほどタイムリーにuriminzokkiriがアップロードしたのか、調べてみないと分からないが、私としてはとても嬉しい。

    これまで、あまり「白頭3大将軍」の話は出てこなかったが、第5話の中では、逮捕した「日帝のスパイ」が逃亡したときに、金正淑さんが嵐の中、陣頭に立って捜索に行った話や、金日成さんが自分の誕生日に、金正淑さんが準備した誕生日の食べ物に箸もつけずに人民の心配をしたという逸話が紹介されている。「日帝のスパイ」事件については、それなりに自然にストーリーの中に埋め込まれているが、「誕生日逸話」はかなり無理がある。ま、ここが北朝鮮のテレビドラマである。

    今回は、金日成特別列車の編成を探らせるために鉄道総局に潜入させていたスパイが保安隊に顔を見られ、山小屋に隠されていたのだが、そのスパイから南の組織の情報が漏洩するのを恐れ、組織がこのスパイの暗殺を謀る。そこで、金銭万能主義の「資本主義的」写真店主に金をつかませて暗殺を依頼する。暗殺の方法は、スパイに毒入りウィスキーを飲ませるという手法なのだが、なんとそのウィスキーボトルが「サントリーオールド」だった。「サントリーオールド」について調べてみたところ、1950年の発売で、このテレビドラマの時代背景である1946~1947年頃には存在しなかった。「日帝」のウィスキーボトルだから使ったのか、それしか小道具がなかったのかは分からないが、時代考証が甘い(朝鮮人民がそれを知るよしもないし、どうでもよいのであろうが)。

    誤認逮捕をしたという理由で保安隊員の資格を一時停止された主人公は、この暗殺事件を阻止しようとする場面で活躍をし、保安隊員として復活する。暗殺を指示された写真店主は、保安隊に連行され取り調べを受ける。米国映画に登場する北朝鮮であれば、写真店主を逆さ吊りにして殴る蹴るの暴行を加えられ、鼻の穴から水を入れられた上、電気拷問にかけられ、自白を迫るという設定になろう。しかし、このドラマの中では整然とした取調室で取調官と向かい合い座り、書記もいる環境で淡々と取り調べられる。取調官は、おおむね丁寧な言葉で写真店主に自白を迫る。現実は、米国映画とこのドラマの中間ぐらいなのであろうが、おもしろい(いすを蹴る、机を叩く、髪の毛をつかむなど、日本の刑事ドラマぐらいであろうか)。

    さて、ダウンロードも完了したので、続きを見よう。

    「朝鮮人民軍次帥称号を授与することについての決定」(2012年7月17日 「労働新聞」)

    2010年9月に金正恩さんが大将に昇格したのと同時に、大将に昇格した3名の中の1人である玄永哲大将を次帥に昇格させる決定をしたと「労働新聞」が伝えた。決定は「朝鮮労働党中央軍事委員会、朝鮮民主主義人民共和国国防委員会」の連名で発表されている。解任された李英浩さんの後任人事であろう。

    「労働新聞」記事:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-07-17-0002

    「朝鮮中央通信」、「労働新聞」、「ネナラ」サーバー停止(2012年7月17日)

    uriminzokkiriを除く北朝鮮系サイトのサーバーが一斉に停止している。先週の「労働新聞」サーバー停止のように、恐らくメンテナンスのために、個別に停止することは時々あったが、3つが同時にと言う事態は珍しい。とりわけ、「朝鮮中央通信」のサーバーは、ほぼ停止することなく動いてきた。

    すべて、そのうちに再稼働されるであろうが、これらのサーバーが置かれている地域が停電にでもなったのであろうか。非常用自家発電機はあると思うのだが。

    まさか、李英浩解任で軍部が動き、メディアを制圧したなどということはないと思うが・・・・

    <追記:2012/07/17 6:40>
    「労働新聞」復活。
    <追記:2012/07/17 12:41>
    今現在、全てのメディアが復活している。単なるメンテナンスであったようだ。

    「<録画報道>敬愛する金正恩同志がキョンサン幼稚園を視察された-2012.7.14-」(2012年7月15日 「朝鮮中央TV」)

    金正恩さんがキョンサン幼稚園を視察した動画が「朝鮮中央TV」で放映されたようである。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=10570

    この動画は、形式的には金正恩さんが「また来る」と5月にした約束を守り、この幼稚園を再び訪問したというストーリーであるが、事実上、ミセス金正恩のお披露目動画であるといえる。

    モランボン公演以来、小出しにしてきたミセス金正恩であるが、この動画では「多情」ぶりがいかんなく映し出されている。日本語の「多情」はある意味「浮気者」のような意味が含まれるが、朝鮮(韓国)語の「多情」は、純粋に「情が深い」あるいは「愛情が深い」という意味である。朝鮮人民は、ミセス金正恩に対する金正恩さんの다정한 모습、つまり「愛情深い姿を」この動画から見て取れるように作られている。以下の画像を参照されたい。

    2012-07-15-11-y(1)flv_000753720.jpg
    Source: KCTV,http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=10570

    2012-07-15-11-y(1)flv_000833120.jpg
    Source: KCTV,http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=10570

    こうした画像を公開していることからして、遅からず、この女性について何らかの公式情報が公開されるであろう。過去記事にも書いたが、夫人、そうではなくとも最低限婚約者がいなければ、ただでさえ若い金正恩さんは北朝鮮社会で「一人前の男」としてみなされない。父親の死の悲しみから脱却し、お爺さん生誕100周年のお祭りを無事こなしたこの時期、ミセス金正恩をお披露目するのはタイミングとして悪くない。

    今日、「懲罰」第4部を見たが、ヒロインの金ヒョクシンがこの女性だという確信は揺らいできた。というのも、職場の同僚に写真を見せて判断を仰いだところ、「同じだと言われれば・・・」という評であったからだ。上に書いたように、これもいずれ明らかになるだろうから、これからはあまりそのことを気にしないで「懲罰」を楽しむことにする。

    一言だけ書いておけば、金ヒョクシンが演ずる鄭シンエは、北朝鮮当局が放った女スパイであることが分かった。幼なじみ兼恋人の鉄道保安隊員には、結局その事実は伝えられなかった。と、これだけでは分からないであろうが、実によくできたドラマである。

    字幕をつけてYou Tubeにアップロードしたいが、各編40分のドラマなので、無理だ。

    ともあれ、早く続きを見たい。

    「感謝文 金正恩」(2012年7月15日 「朝鮮中央通信」)

    金正恩さんが、朝鮮人民内務軍第3154部隊の隊員に「感謝文」を送ったと「朝鮮中央通信」が報じた。第3154部隊は、ヒチョン水力発電所、平壌地下鉄、金日成総合大学の電子図書館などの建設工事に従事した部隊、いわゆる工兵隊である。

    特に、金日成生誕100周年に合わせるために、除隊期限を延長するなどして働いた兵士、そうした兵士を見守った家族を高く評価し、除隊後、兵士が希望する進路(大学、専門学校など)につけるような措置を講じるとしている。

    「感謝文」自体の意味は分かるが、これが朝鮮人民軍トップの李英浩さんを解任したと同日に発表されるというのは、何か意味があるのであろう。本来の軍務ではなく、建設工事に動員される軍人の不満が高まり、その問題を巡り李英浩さんと金正恩さん、あるいは李龍海さんとの何らかの対立関係が生じて解任。そして、その不満を収めるための「感謝文」ということなのであろうか。

    「朝鮮 李英浩を全ての職務から解任することを決定」(2012年7月16日 「朝鮮中央通信」)

    李英浩さんが失脚した。7月15日、「組織問題を取り扱った」労働党中央委員会政治局会議での決定である。理由は「病気」とされているが、権力闘争の結果であろう。参考書を参照したり周辺情報を整理することなく直感的に書けば、崔龍海さんとの衝突があったのではないだろうか。李英浩さんは生粋の人民軍人、一方、崔龍海さんは生粋の軍人ではないにもかかわらず、朝鮮人民軍に影響力を行使し始めている。ただこれ、個人的な権力闘争ではなく、政治路線、とりわけ「改革・開放」に向けた路線について朝鮮人民軍と労働党、あるいは人民軍内で意見衝突が起こっているのかもしれない。

    崔龍海さんが、人民軍を完全に掌握することになれば、朝鮮人民軍はますます朝鮮労働党のコントロール下に入ることになる。

    李英浩さんほどの人を解任するとは、金正恩さんもよほど自信を付けたのであろうが、大丈夫だろうか。人民軍の動きなどに注意を払う必要がある。

    「<テレビ連続劇>懲罰-第2、3部-」(2012年7月14日 「朝鮮中央TV」)

    今日の午後、「懲罰」の2部と3部がまとめられてuriminzokkiriにアップロードされた。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-14-21.flv

    北朝鮮の映画やテレビドラマはこれまでもuriminzokkiriやYou Tube見てきたが、この「懲罰」はなかなかおもしろく、眠たくならない。しかも、次回を見たいという気持ちにさせる。雰囲気的には、80年代の韓国ドラマに近いと思う。もちろん、敵と味方は入れ替わっているが、作り方はとても近いような感じがする。

    第3部まででは、北朝鮮は完全に劣勢である。サンプル数が少ないので断言はできないのだが、これほどまでに北朝鮮が劣勢に立つストーリー展開はあまり多くなかったと思う。

    このドラマのストーリーに関していえば、私は北朝鮮に同情している。そもそも、この手のドラマは善と悪あるいは見方と敵が設定されており、このドラマの中では北朝鮮は善であり見方である。北朝鮮の映画やドラマでは、善と見方がはっきりしすぎているだけではなく、何かと首領様に結びつけられるので素直に同情できないことが多い。しかし、このドラマではそのような側面はあるにせよ、人間関係中心の展開となっている。

    数日前、ロシアが制作した「金日成-半島が割れた時-」というDVDが届き見ていた。金日成が北朝鮮に戻る経緯について、当時のソ連将校が証言をしており、とてもおおもしろい。この中に、金日成殺害という李承晩の指示で北に潜入した南の工作員が金日成が1946年3月1日に演説をしているときに手榴弾を投げ、結局その手榴弾を手で受け止めたソ連兵が自分の命を犠牲にして金日成を守るという逸話が出てくる。実に、「懲罰」のストーリーはこの事件が契機となっている。ただ、金日成殺害を命じたのは李承晩ではなく、米帝ということになっている。

    「殺人鬼米帝の蛮行を告発する-スサン里階級教養館を訪ねて-(6)」という番組も見たのだが、朝鮮人民に蛮行を働いた主犯は「米帝」で、韓国は「階級敵」という従犯扱いになっている。この辺り、南朝鮮人民を敵に回すのではなく、地主・資本家といった階級で区別することで、いざというときに和合しやすくしているのであろう。また、主犯の「米帝」と和解できれば、従犯とも自動的に和解できるという構図でもあろう。

    「殺人鬼米帝の蛮行を告発する-スサン里階級教養館を訪ねて-(6)」:
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-07-14-15.flv

    ということで、第3部まででは金日成暗殺に失敗した「米帝」が、金日成暗殺のために新たに彼が乗った列車爆破計画を立案し、平壌にいる南のスパイがソウルに向かう途中で鉄道保安員に摘発され、保安員が目を離した隙に別の南のスパイに殺されてしまうというところで終わっている(その際、主人公の保安員の友人も殺されてしまう)。

    「謎の女性」らしき女性は、南のスパイ女に利用されて金日成暗殺用の武器を北朝鮮に持ち込むのに一役買ってしまう。しかし、この女性はあくまでも「いいもの」である。ただし、日本人から故あって譲り受けたトラックを所有しているなど、微妙な存在である。

    2部と3部が同時にuriminzokkiriにアップロードされたということは、このドラマは北朝鮮では既に全編放映済みなのであろうか。私は依然として、このドラマのヒロインである金ヒョクシン=金正恩さんに同行する謎の女性ではないかと思っている。そう思い込むほど顔が同じに見えるというのも問題ではあるのだが。

    そういえば、「米帝」の軍人が話す英語は平壌外大生が吹き込んでいるようである。俳優は、外国人のように見えるが、英米系ではないので英語は話せないのかもしれない。

    ともかく、いろいろとおもしろいので、早く続きを見たい。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

          dprknow

    最新記事
    最新コメント
    最新トラックバック
    月別アーカイブ
    カテゴリ
    Visitors
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    QRコード
    QR