「全党、全国、全人民が総動員され、今年の戦闘を輝かしく続けよう」(2012年9月28日 「労働新聞」)

    昨夜の「20時報道」を見ていたら、「1970年代のように」という言葉が何回も使われた。明らかにスローガンとして使われているようであったので、昨日の「労働新聞」の記事を見たらやはり「社説」でこの言葉が繰り返し使われている。

    「労働新聞」記事:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-28-0001&chAction=D

    1970年代は、北朝鮮経済が依然として順調な時期であった。「労働新聞」の社説の主張は、要約すれば「70年代のような気概で年末までに経済建設を推進しよう」ということである。70年代は金日成時代ではあるが、金正日書記(当時)の提唱で「三大革命赤旗獲得運動」が始められた時期でもある。北朝鮮がここで「1970年代」を持ち出してきたのは、金正恩時代の(少なくとも1970年代の水準への)経済立て直しを、「先軍」に偏重した金正日さんの経済政策の総体的な失敗を否定することなく、という目的ではないだろうか。

    というのは、私は、この記事を読んだときにすぐさま「金日成時代」と「金正恩時代」を連結するための作業かと考えた。もちろん、そういう側面が強いのであろうが、「労働新聞」の記事では巧妙に金正日さんも取り込んでいる。例えば「1970年代は、主体革命偉業の継承完成のための闘争で特出した意義を持つ偉大な転換の年代、全国に創造と革新の風火が力強く吹き荒れた激動の年代として我が党の歴史として記録されている。偉大な将軍様を党と革命の陣頭に高く頂いた我が軍隊と人民の闘争気勢は、実に大きなものであった」とし、金日成時代であるにもかかわらず、70年代の経済発展の成果が将軍様、つまり金正日さんによるものであるという論を展開している。そして、上述の「三大革命赤旗獲得運動」という言葉は避けつつも、同様に北朝鮮経済を混乱させた「70日戦闘」については紹介している。「三大革命赤旗獲得運動」や「70日戦闘」は、思想や精神主義に陥った金正日後継体制の基盤固めのための大衆動員運動であった。そのため、北朝鮮経済にはネガティブな影響を与えたことこそあれ、ポジティブなことは何もなかったといえる。

    問題は、金正恩体制を固めるために「三大革命赤旗獲得運動」や「70日戦闘」を同じ手法で繰り返せば、どうなるのかについて北朝鮮がきちんと認識しているのかどうかである。私は、基本的には上述したとおり、比較的経済状態が良好であった70年代を金正日時代を否定することなく金正恩時代と結びつけて想起させるためのものであり、愚行を繰り返すためのものではないと考えているが、その判断を下すためにはしばし様子を見る必要がある。悪いシナリオとしては、今週の最高人民会議で経済改革案を打ち出せなかっただけではなく、「70日戦闘」への回帰・後退という可能性もあるが、それはあってほしくない。

    「三大革命赤旗獲得運動」を批判してきたが、その中心的役割を果たした「三大革命小組」の役割は、当時と比較して今日は変質したと考えている。「20時報道」などで報道される三大革命小組員の見ていると、どうやら北朝鮮経済の現実に適合しない実現不可能なことを企業所などの生産現場に押しつけているのではなく、できる範囲内での改善、特に技術的な改善に協力しているような印象がある。一流大学を卒業したエリートたちが、北朝鮮の経済的現実に照らして「できる範囲内で」生産技術や経営の改善に導いていけるのであれば、それは良いことであると思う。

    「“金正日の妹”金敬姫に重病説…正恩体制安定の最大変数に」(2012年9月28日 「中央日報日本語版」)

    韓国の「中央日報」や日本のメディアで「金敬姫重病説」が伝えられてた。彼女については、これまでも「重度のアルコール依存症説」が言われてきたが、今回は9月25日にされた第12期第6次最高人民会議に欠席したことがこの報道のきっかけになっている。別記事にも書いたように、私も同会議の模様を伝える動画は見たのだが、彼女がいないことは気がつかなかった。「労働新聞」の同会議について伝える記事に重要出席者として名前が出ていないので欠席したのだろう。動画でも確認したところ、彼女の顔は見えなかった。ただ、彼女が金正恩現地指導に同行した際に、必ずしも名前は紹介されず「労働党関係者」という一団として紹介されることもあるので、名前が出ないことが欠席とは必ずしもいえないようだ。

    「中央日報」記事:
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120928-00000018-cnippou-kr

    それで、彼女がいつまで動画に登場するのかとをこれまでの金正恩現地指導動画ファイルを見ながら調べてみた。報道された金正恩さんの最新の現地指導は「平壌野菜科学研究所」(9月22日報道)などの指導であるが、これには彼女は同行していない。少し遡り、9月16日には金正恩さんは「芸術公演アリラン」を鑑賞しているが、この時の動画にも彼女は登場していない。さらに遡ると、「共和国創建64周年朝鮮人民軍音楽公演」(9月10日報道)、「錦繍山太陽宮殿参拝」(9月9日報道)、「平壌民俗公園現地指導」(9月8日報道)、「人民住宅訪問」(9月5日報道)にも同行していないようである。

    金敬姫さんが登場した最新の公式報道は「大同江タイル工場の現地指導」(9月1日報道)である。ただし、新聞記事で紹介される随行者リストには彼女の名前はない。

    軍服のようなものを着て歩く金敬姫(右端)
    大同江タイル工場キムギョンヒ
    Source: 労働新聞、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-02-0001

    すると、上の写真の軍服のようなもを着た女性が彼女なのかということになるが、金正恩さんが「青年節祝賀行事」(8月31日報道)で参加者と記念写真を撮影した際にも同様の軍服らしきものを着た女性が写っている。

    金正恩さんの右2人目
    2012-09-21-11-yflv_000600033.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-21-11-y.flv

    この2名は同一人物だと思われるが、そうであるとすれば間違いなく金敬姫さんである。気になるのは、彼女が軍服のようなものを着用していることである。確かに、彼女は人民軍大将なので、身分的には軍服を着てもおかしくないのだが、それまでは黒っぽい洋服(民間人の服)を着て登場することが多かったと記憶している(動画等は未確認)。それが、この時期に続けて軍服で登場したというのは、何か意味があるのだろうか。もしかすると、李英鎬解任との絡みで、崔龍海さんと共に彼女にも朝鮮人民軍管理を委託したのかもしれない。

    その金敬姫さんが、ここ数週間、公式報道に登場しなくなったわけだが、どうしたのだろうか。それなりの年齢(66才)なので病気にもなろうが、重病かどうかは北朝鮮報道からは分からない。

    私は、彼女は金正恩さんの後見人という役割の他に、党内派閥の調整役を担っていたのではないかと考えている。というのは、金正恩集団補佐体制は、3つのグループ、つまり親族グループ、高齢重鎮グループ(金日成・金正日時代からの中央幹部)、金正恩時代に急浮上したグループ(例えば、崔龍海)から構成されていると考えている。金敬姫さんは親族グループに属するわけだが、金正日さんとの血のつながりという点からすれば、絶対的な発言力はあるはずである。その彼女が、重病で倒れこの役割が担えなくなると、少なからず金正恩さんの派閥対立調整という負担が増大することは間違いない。それだけではなく、若い金正恩さんに果たしてその能力があるのかどうかも疑問である。

    老人が病気になれば、重病ではなくても数週間入院することはあるので、しばらく様子を見なければ分からないが、彼女の健康問題は、今後の金正恩体制に少なからぬ影響を与えることは間違いない。

    <追記>
    同じく「中央日報日本語版」に今度は李雪主妊娠説が出た。金敬姫さんは、妊娠した李婦人の面倒を見ているという話のようだ。

    「中央日報」記事:「金正恩夫人に妊娠説…20日以上公開活動せず」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120929-00000006-cnippou-kr

    しかし、その逆も考えられるわけで病気の金さん(伯母さん)の面倒を李さんが見ていることもあり得る。

    同記事によると「梨花女子大のキム・ソクヒャン教授は『リ・ソルジュは単に太っていると見るには体がむくれ、腹部が出方が普通でない』」と述べたそうであるが、キム先生は同大学の健康科学学部の教授なのであろうか。そうであるとすれば、医学的な見地からの観察なのだと思うが、そうでなければ、本ブログの過去記事にも書いた私の李雪主妊娠説と大して変わりはない。

    ウリミンゾクキリ:言論自由化?(2012年9月28日 「uriminzokkiri」)

    凄いことが起こった。uriminzokkiriには同サイトが掲載した「朝鮮中央TV」のテレビ番組を推薦し、コメントを書く投稿欄があるのだが、そこに私の投稿が出た。これまでも「懲罰はとてもおもしろいドラマで、次回を見るのを楽しみにしています」など何回か投稿してきたのだが、一つも出なかった。出るのは、ほとんど全て中国からの投稿のようだったので、日本サーバーからの投稿は自動的に却下されるのだと思い、中国のホテルからも投稿してみたが、やはり駄目だった。しかも、掲載されていた投稿内容は「偉大な金正日将軍万歳!」とか「中朝友好万歳!」といった、中国語か朝鮮語の投稿ばかりであった。

    ところが、このところ台湾からの投稿や中国からの英語の投稿、中国・北京からのharrisonという外国人名の朝鮮語による投稿、日本からの金山という名前での日本語の投稿が掲載され始めた。金山投稿は、「キムジョンウン将軍が最高指導者に推戴された後の朝鮮民主主義人民共和国はすごく親しみが持てます。人民生活向上を第一に考え、地方都市も徐々に生活水準が向上していってるように感じます。一度機会が有れば現在の朝鮮に訪問してみたい気持ちになります。」、またharrison投稿は「영화 (이름없는 영웅들 12부)도 올려주실수 없으신지요? 부탁드립니다.감사합니다. (映画(名前がない英雄たち12部)もアップロードしてくださりますか?お願いします。ありがとうございます。」というものであった。いずれも「やらせ」かと思い、「20시 보도를 매일 보고 있습니다. 조선 소식을 알기 위해 아주 도움이 됩니다. (20時報道を毎日見ています。朝鮮のニュースを知るためにとても役に立ちます)」という投稿をしてみたら、翌日に掲載されていた。当然、管理者のチェックを経てのものであるが、明らかに掲載可否を決める方針が変わった。

    uriminzokkiriが北朝鮮のイントラネットで見られるかどうかは分からない(恐らく見られない)が、それでも「言論の自由」が少し進んだのには驚いた。もちろん、体制を非難するような投稿は出ようもないが、当たり障りのない「普通の」投稿が出るようになったのは、金正恩体制の「改革・開放」へ向けた動きの一つなのであろうか。

    《우리 민족끼리》川口投稿_ページ_1
    Source: uriminzokkiri, http://www.uriminzokkiri.com/index.php?ptype=movie2

    「20時報道」:北朝鮮版タブレットPC(2012年9月25日 「朝鮮中央TV」)

    「20時報道」の中で「第8次平壌秋期国際商品展覧会」が開幕したという報道があった。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11684

    展覧会場
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11684

    寝具の展示(ハローキティーのような猫)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11684

    医薬品の展示。背景の広告看板には、「長い間痛かった頭が3時間も経たずに治ります。信じられますか?信じられなければ、465-0614に・・・」と書かれている。頭痛は飲み過ぎの時だけなのだが、この番号に国際電話をかけたら、繋がるのだろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11684

    朝鮮コンピューターセンター部員
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11684

    朝鮮コンピューターセンターは、日本では北朝鮮のサイバー謀略組織のように紹介されることが多いが、そういう実態があるのかどうかは別とし、コンピューターの製造販売も行っているようである。

    北朝鮮版タブレット「三池淵」(三池淵は、白頭山周辺の名勝地)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11684

    OSはアンドロイドを使用しているようである。アンドロイドの場合、基本的にはオンライン使用が前提となっているのであるが、北朝鮮ではオフラインソフト中心の使用になるのであろうか。

    北朝鮮版アンドロイド・タブレット(スピーカーなど、見慣れたアイコンもある)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11684

    あるアイコンをクリックしたら出た画面。「朝鮮のために学ぼう!教育図書」と書いてある。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11684

    朝鮮コンピューターセンター部員の話では、タブレットPCは辞典などが入っており、小中学生の学習に役立つとのことである。新12年生義務教育制度で活用されるのであろうか。当面はオフラインソフトを使うのだろうが、北朝鮮でも徐々に学内イントラネットを構築してオンラインソフトを使えるようにしていくのかもしれない。

    「朝日関係改善は、日本の態度如何による-朝鮮中央通信論評」(2012年9月17日 「朝鮮中央通信」)

    中国滞在中に出された報道なので、記事を書くのが遅れてしまった。この報道は、「労働新聞」には掲載されなかったが、9月25日の「労働新聞」には関連記事として「過去清算を離れた朝日関係改善はあり得ない」という記事が掲載された。

    「労働新聞」記事:http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-25-0054&chAction=D

    「朝鮮中央通信」の記事では、「日本の反共和国敵対勢力は、既に全て解決した『拉致問題』を継続して執拗に持ち出し、それを不純な政治的目的に悪用している」非難している。

    この部分を読む限りでは、従来の「拉致問題は解決済み」という北朝鮮の姿勢に変化は見られないが、後半部分まで読んでいくと「朝日関係改善は、両国関係を近くて遠い国ではなく、近くて近い国にしようという偉大な金正日大元帥様の遺訓であ」り、「朝日平壌宣言を最期まで履行しようという共和国政府の立場には、今日も明日も変化がない」と日朝関係の改善に一定の意欲を見せている。

    「日朝平壌宣言全文」日本国外務省:
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/n_korea_02/sengen.html

    上で紹介した「労働新聞」の記事には、「拉致問題」という言葉は使われておらず、日本が朝日両国間の対話を進めるためには「『根本問題』が解決されなければならない」と主張していると非難している。日本側が、日朝交渉で、北朝鮮に配慮をして「拉致問題」という言葉の代わりに「根本(的)問題」という用語を使っているのかどうかは分からないが、もしそうだとすれば、実を得るための賢明な判断だと思う。

    興味深いのは、北朝鮮は「過去の清算こそが、関係改善のための出発点であり、根本問題である」と「根本問題」という言葉を使って主張していることである。確かに、「日朝平壌宣言」を読むと項目の2番目に「過去の清算」があり、項目の3番目に「懸案問題」がある。つまり、北朝鮮にとっては2が「根本問題」であり、日本にとっては3が「根本問題」となり得るわけで、この点については北朝鮮が出鱈目な主張をしているとまではいえない。

    日本政府としては、「日朝平壌宣言」が採択された9月17日までに結果を出そうとしたようであるが、それは出てこなかった。しかし、少なくとも両国が同宣言に立ち返り、その上に立って協議を続けているとすれば、それは大いに評価できる。また、数日前(ざっと調べたが、動画ファイルが見つからなかった)の「20時報道」では、「朝日平壌宣言」を記念する集会が日本で開かれ、「朝日関係」改善を日本政府に要求する文書が採択されたというニュースも伝えられた。

    「もう時間のない拉致問題解決」のために、水面下で実のある交渉が粘り強く続けられているということに期待したい。

    「<録画報道>朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第12期第6次会議開催」(2012年9月25日 

    第12期第6次最高人民会議の様子を伝える動画を「朝鮮中央TV」が放映した。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-25-12-y.flv

    既に書いたとおり、この会議では12年義務教育の実施についてと組織問題(党人事)が議題となった。気になったのは、4月に行われた第5次最高人民会議と比べ、出席者が少ないことであった。4月の会議では、代議員総数687名中616名が出席していたが、今回は597名であった。代議員は、最高人民会議には最優先で出席するはずなのであるが、これだけの欠席者があるということは、代議員の高齢化が進行し病気などの理由で出席ができないということなのであろう。第12期代議員選挙は2009年3月8日に行われているが、代議員の任期は5年なのでまだ2年任期は残っていることになる。

    会場の様子を見ると、軍人以外の代議員(男性)はネクタイを着用しスーツを着ており、女性は朝鮮服(チョゴリ)である。金正恩さんだけ人民服を着ているのだが、金正恩さんの写真が「労働新聞」に初めて大きく掲載されたとき、彼はネクタイをしてスーツを着ていた。その後、スーツ姿は見たことがないが、なぜだろうか。金日成さんはよくスーツを着ていたが、金正日さんのスーツ姿は見たことがない。もしかすると、金正恩さんは金日成さんを連想させるためにスーツでデビューしたものの、その後、多少なりとも金正日色を残すために人民服を着ているのかもしれない。北朝鮮ではスーツが依然として高価で、人民の手に届かないものであるとすれば、人民服の方が「人民に近い」感じを醸し出せるのかもしれないが、「朝鮮中央TV」の報道に登場する朝鮮人民は、そこそこスーツを着ているので、そんなこともないのかもしれない。それに、平壌の楽園百貨店で売っている人民服はとても高価だった(欲しかったが、とても非実用的な目的で購入できる値段ではなかった)。

    それにしても、教育制度改革だけのために、なぜわざわざ最高人民会議を開催したのであろうか。民主的制度装置である「会議」を形式的にせよ、年に2回程度は開催した方が良いという金正恩さんの考えなのだろうか。あるいは、本来は一部メディアが報道していたように、経済改革案を議論する予定であったが、最終的な調整が付かずに教育制度改革にすり替えたのであろうか。

    北朝鮮の教育制度改革は、金日成時代に2回行われ、金正日時代には一度も行われなかった。その意味では、金正恩さんが「金日成らしさ」を出すために教育改革を実施したとも考えられる。北朝鮮の報道では、先軍政治の結果、「核保有国となり、人工衛星を発射する国」となった北朝鮮は、「知識経済時代」に適合した教育を行わなければならないというようなことを言っている。北朝鮮が発表した文書を読むと、授業内容(カリキュラム)の再検討も求めている。これが何を意味するのかは分からないが、「主体革命偉業」を担うこれからの世代には「主体思想教育」以上に実用的(北朝鮮の言葉を使えば「実利的」)な教育をするような転換を考えているのかもしれない。

    もしかすると、突然の経済改革をするのではなく、教育の中で「体制維持をしながらの改革・開放」への道筋をつけようとしているのかもしれない。それは、新たな教育内容は、子供たちだけではなく、最高指導者が発議した事案であるとすれば、全人民が学習することになるからである。

    朝鮮最高人民会議で全般的12年制義務教育を実施することに関する法令を発表(速報)」(2012年9月25日 「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮の教育制度が改変されたようだ。北朝鮮の教育制度について、公式文献等で確認したことはないが、平壌訪問時の案内員ドンムの話では、幼稚園1年、小学校4年、中学校6年の11年間が義務教育ということであった。それを、今回の法令改定で12年にするということであるが、法令の中身が公開されていないので、どこをどう改定するのか分からない。いずれにせよ、義務教育(無償教育)期間を1年延長したわけであるが、朝鮮少年団創設記念日にも金正恩さんは、子供たちに「一生懸命勉強しなさい」と演説で述べていたので、そのための制度を具現しようとしたのかもしれない。

    <追記>
    速報が出された数時間後に、「全般的12年制義務教育」についての具体的内容が「朝鮮中央通信」で報道された。以下のその内容を訳出しておく。

    조선민주주의인민공화국 최고인민회의는 전반적12년제의무교육을 실시할데 대한 문제를 토의하고 다음과 같이 결정한다.
    (朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議は、全般的12年制義務教育を実施することに関する問題を討議し、次のように決定する。)

    1. 조선민주주의인민공화국의 모든 지역에서 전반적12년제의무교육을 실시한다.
    (朝鮮民主主義人民共和国の全ての地域で全般的12年制義務教育を実施する。)

    1) 전반적12년제의무교육은 무료로 실시한다.
    (全般的12年制義務教育は、無料で実施する。)

    2) 전반적12년제의무교육을 받는 대상은 5살부터 17살까지의 모든 어린이들과 청소년들이다.
    (全般的12年制義務教育を受ける対象は、5才から17才までの全ての子供と青少年である。)

    3) 전반적12년제의무교육은 1년제학교전교육과 5년제소학교,3년제초급중학교,3년제고급중학교 교육으로 한다.
    (全般的12年制義務教育は、1年制学校前教育と5年制小学校、3年制初級中学校、3年制高級中学校教育とする。

    4) 주체102(2013)-주체103(2014)학년도부터 6년제중학교를 3년제초급중학교와 3년제고급중학교로 갈라 운영한다.
    (主体102(2013)-主体103(2014)学年度から6年制中学校を3年制初級中学校と3年制高級中学校を分け、運営する。

    도(직할시),시(구역),군소재지를 비롯하여 교사조건이 갖추어진 지역들에서는 초급중학교와 고급중학교로 갈라 운영하며 교사조건이 갖추어지지 않았거나 학생수가 적은 지역 학교들에서는 초급중학반,고급중학반으로 병설하여 운영할수 있다.
    (道(直轄市)、市(区域)、郡所在地をはじめとし、校舎の条件が整えられた地域では、初等中学校と高級中学校を分けて運営し、校舎の条件が整えられていないか、学生数が少ない地域の学校では、初等中学班と、高級中学班として編制し、運営することができる。)

    5) 4년제소학교를 5년제소학교로 전환하는 사업은 필요한 준비단계를 거쳐 주체103(2014)-주체104(2015)학년도부터 시작하여 2~3년안에 끝낸다.
    (4年制小学校を5年制小学校に転換する事業は、必要な準備段階を経て、主体103(2014)-主体104(2015)学年度からはじめ、2~3年以内に終える。)

    6) 전반적12년제의무교육의 총적목표와 교종별 도달목표를 명백히 정하고 교수내용의 범위와 수준을 확정하며 그에 기초하여 주체102(2013)년 새 학년도전까지 교종별과정안과 교수요강을 작성하여 각급 학교들에 시달한다.
    (全般的12年制義務教育の総合的な目標と教育種目別の到達目標を明確に定め、教授内容の範囲と水準を確定し、それに基づき主体102(2013)年の新学年度前までに教育種目別課程案と教授要項を着生し、各級の学校に伝達する。)

    7) 특수한 교종의 학제와 교육문제는 따로 정한다.
    (特殊な教育種目の学制と教育問題は別途定める。)

    2. 전반적12년제의무교육의 실시와 관련하여 부족되는 교원들을 보충하며 교원들의 자질을 높이고 교육방법을 개선하기 위한 대책을 세운다.
    (全般的12年制義務教育の実施と関連し、不足する教員を補充し、教員の資質を高め、教育方法を改善するための対策を講じる。)

    1) 소학교학제를 4년제로부터 5년제로 전환하는데 맞게 교원로력기구와 교원양성부문 대학입학생계획을 늘인다.
    (小学校学制を4年から5年に転換するのに合わせ、教員労力機構と教員養成部門、大学入学生計画を増やす。

    2) 시(구역),군단위로 거주지에 관계없이 학과실력이 가장 우수하며 교원으로서의 품격을 갖출수 있는 중학교졸업생(제1중학교졸업생 포함)들을 엄선하여 사범대학,교원대학들에 추천,입학시키며 사범대학,교원대학졸업생들을 교원이 부족한 학교들에 무조건 배치하는 엄격한 규률을 세운다.
    (市(区域)、郡単位で居住地に関係なく学科実力が最も優秀で教員としての品格を備えている中学校卒業生(第1中学校卒業生を含む)を厳選し、師範大学、教員大学に推薦、入学させ、師範大学、教員大学卒業生を教員が不足する学校に無条件配置する厳格な規律を制定する。)

    3) 교원경력자,적격자들을 찾아내여 부족되는 교원대렬을 보충한다.
    (教員経験者、適格者を探し、不足する教員隊列に補充する。)

    4) 주체102(2013)년 새 학년도전으로 사범대학,교원대학과정안을 검토하고 교원양성목적에 맞게 바로 편성하며 교원강습,재교육을 강화하여 교원,교양원들의 자질을 높인다.
    (主体102(2013)年、新学年度前に師範大学、教員大学課程案を検討し、教員養成目的にかなうようにきちんと編成し、教員講習、再教育を強化し、教員、教養員の資質を高める。)

    5) 교수와 실험실습을 정보화하고 교육행정관리를 콤퓨터화하며 교육위원회와 전국의 교육기관들사이의 정보통신망을 형성하는 사업을 힘있게 추진한다.
    (教授と実験実習を情報化し、教育行政管理をコンピューター化し、教育委員会と全国の教育機関間の情報通信網を形成する事業を力強く推進する。)

    6) 교육방법에 대한 연구를 심화시켜 중등일반교육부문에서 깨우쳐주는 교수방법을 전면적으로 구현한다.
    (教育方法に関する研究を深め、中等一般教育部門で提起される教育方法を全面的に具現する。)

    3. 교육사업에 대한 국가적투자를 늘이며 전반적12년제의무교육을 실시하는데 필요한 조건과 환경을 마련한다.
    (教育事業に関する国家的投資を増やし、全般的12年制義務教育を実施するのに必要な条件と環境を造り出す。)

    1) 지식경제시대 교육발전의 요구에 맞게 교육사업에 대한 국가적투자를 결정적으로 늘인다.
    (四職経済時代の教育発展の要求に合致するように、教育事業対する国家的投資を決定的の増加する。)

    2) 전반적12년제의무교육의 실시와 관련하여 부족되는 교실들을 빠른 기간에 해결할수 있도록 학교들을 새로 건설하거나 증축하는 사업을 주체106(2017)년 새 학년도전으로 끝내며 살림집지구건설에서 학교건설을 앞세우는 원칙을 견지한다.
    (全般的12年制義務教育の実施と関連し、不足する教室問題をできるだけはやく解決できるよう、学校を新たに建設したり増築する事業を主体106(2017)年の新学年度前に終え、住宅地区建設において学校建設を優先する原則を堅持する。)

    3) 통학거리가 먼 농촌 및 산간지역들에 분교와 교원,학생들을 위한 합숙을 내오며 통학뻐스와 통학렬차,통학배운영을 정상화한다.
    (通学距離が遠い農村や山間地域に分校と教員、学制のための合宿を行い、通学バスや通学列車、通学船運営を正常化する。)

    4) 전반적12년제의무교육을 실시하는데 필요한 교구비품과 학용품,교육실습용설비와 실험기구,자재들을 제때에 생산공급한다.
    (全般的12年制義務教育を実施するのに必要な教具や備品、学習用品、教育実習用設備と実験器具、資材などを適宜生産供給する。)

    5) 교육도서를 인쇄하는 공장들의 능력을 결정적으로 늘이고 종이를 비롯한 자재를 충분히 보장하여 전반적12년제의무교육을 실시하는데 필요한 교종별교과서,참고서들을 원만히 보장한다.
    (教育図書を印刷する工場の能力を決定的に増加させ、紙をはじめとした資材を十分に供給し、全般的12年制の義務教育を実施することにおいて必要な教種別教科書、参考書などを円満に提供する。)


    6) 도(직할시)마다 주체102(2013)년 상반년까지 경상유치원과 같은 본보기를 1~2개씩 꾸리고 모든 유치원들에 일반화한다.
    (都(直轄市)毎、主体102(2013)年上半期までにキョンサン幼稚園のようなパイロットモデルを1~2カ所ずつ設け、全ての幼稚園に一般化させる。)

    7) 교원들과 교육과학연구부문 연구사들이 안착되여 일할수 있도록 생활조건을 책임적으로 보장한다.
    (教員と教育科学研究部門の研究者が安心して仕事ができるよう、生活条件を責任を持って保障する。)

    4. 전반적12년제의무교육을 성과적으로 실시하기 위한 행정적지도와 법적통제를 강화한다.
    (全般的12年制義務教育を成果的に実施するための行政的指導と法的統制を強化する。)

    1) 전반적12년제의무교육을 실시하는 사업을 전국가적,전인민적,전사회적인 사업으로 진행한다.
    (全般的12年制義務教育を実施する事業を全国家的、全人民的、全社会的な事業として推進する。)

    2) 시(구역),군인민위원회들은 전반적12년제의무교육을 실시하기 위한 사업을 모범교육군(시,구역)칭호쟁취운동과 밀접히 결부하여 진행한다.
    (市(区域)、郡人民委員会は、全般的12年制義務教育を実施するための事業を模範教育郡(市、区域)称号戦取運動と密接に結びつけて進行する。)

    3) 도(직할시),시(구역),군인민위원회들은 학교후원단체들을 바로 확정하고 그 역할을 높이도록 한다.
    (道(直轄市)、市(区域)、郡人民委員会は、学校後援団体を正しく確定し、その役割を高めるようにする。)

    4) 각급 인민보안,검찰기관들은 교원,학생들을 과정안에 반영된 국가적동원외의 다른 일에 무질서하게 동원시키는 현상을 없애기 위한 법적통제를 강화한다.
    (各級の人民保安、検察機関は、教員、学制を課程案に反映された国家的動員以外の仕事に無秩序に動員する現象をなくすため、法的統制を強化する。)

    5) 각급 인민보안,검찰기관들은 학교를 비롯한 교육기관,교육과학연구기관들에 사회적과제를 망탕 주어 교육사업과 과학연구사업에 지장을 주는 현상과 강한 법적투쟁을 벌린다.
    (各級人民保安、検察機関は、学校をはじめとした教育機関、教育科学研究機関に社会的課題を適切に与え、教育上と科学研究事業に支障を与える現象と強力な法的闘争を展開する。)

    5. 조선민주주의인민공화국 내각과 해당 기관들은 이 법령을 집행하기 위한 실무적대책을 세울것이다.
    (朝鮮民主主義人民共和国内閣と該当機関は、この法令を執行するための実務的対策を講じる。)

    조선민주주의인민공화국 최고인민회의
    (朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議)

    주체101(2012)년 9월 25일(主体101(2012)年9月25日)

    上記案を読む限りでは、現行の1-4-6制を改め、日本や韓国のような6-3-3制にするということのようである。小学校は5年で「入学前教育」として1年設定されているが、事実上、日本や韓国の小学校1年生に該当する部分であろう。世界の教育制度をきちんと調べてはいないが、日・米・韓で実施されているような6-3-3制がスタンダードであるとすれば、北朝鮮もそれに合わせようということであろう。特に、海外留学をする場合に、規定の修学年限を消化していないと不利になるということもあるので、そのような配慮もあるのかもしれない(北朝鮮が、海外留学に積極的かどうかはさておき)。

    また、北朝鮮による上記説明を読んでいると、「人民保安、検察機関は、教員、学生を課程案に反映された国家的動員以外の仕事に無秩序に動員する現象をなくすため」という記述もあり、保安機関や検察機関が主体となり学生を含む人民の動員に関与している事実が伺える。またそれが「無秩序な」という言葉にも表れているとおり、法令や中央からの指示に関係なく、地方レベルの担当者の独断で行われているという実態が見えてくる。

    ともあれ、6-3-3制への移行に向けた上記計画は概ねよくできていると思う。特に、「教員の再教育」など、日本でもつい最近それに向けた取り組みが始まったばかりなので、この案は北朝鮮が諸外国の事情をよく研究して作ったものであるということが分かる。

    さて、12期第6次会議では「経済改革」について話し合われるというのが大方の予想であった。メディアによっては、経済改革が10月1日に実施されとし、その正式名称まで伝えていたが、現時点で公開された限りでは、今回の会議では教育制度改革と若干の人事が行われたに過ぎなかった。金正恩さんが、どれほど教育改革を重視しているのかは分からないが、わざわざそのためだけに会議を招集したとすれば、何か変である。もしかすると、本来、決定されるべき「経済改革」に関する調整に難航したのか、そもそもその部分が話し合われたにもかかわらず、公表していないのかもしれない。過去記事にも書いたように、金正恩訪中があるとすれば、北朝鮮は何らかの「経済改革」のブループリントの提示を中国に求められるはずである。

    そのための準備がなされたのか、それとも先送りされたのか、それを判断するためには、もう少し北朝鮮から流れてくるニュースに注視する必要がある。

    「20時報道」:ぼかし・再び新たなスタイル(2012年9月23日 「朝鮮中央TV」)

    23日の「20時報道」では、金日成夫人である金正淑さんの命日である9月22日関連で、彼女の逸話を紹介する報道などがあった。金正淑さんに関しては、「私たちの母」(우리 어머니)という字句が入った番組が「朝鮮中央TV」で放映されたり、記事が「労働新聞」に掲載されていた。金正恩さんの母親である高英姫さんとの関連で、ざっと内容はチェックしていたのだが、特にそれと結びつけるような内容はなかった。9月22日の「私たちの母」については、淡々と年間行事をこなしているだけのようである。

    台風15号で被害受けたタンチョン-ベククムサン間の鉄道が復旧したという報道もあった。被災地への物資の輸送もしやすくなるので、それはそれでよいことである。インタビューに答える人々は、「金正恩元帥様の恩情に満ちた」措置というようなことを言っていたが、元帥様は一体何をしてくれたというのだろうか。金正恩さんは、台風被害の復旧に全力を尽くすようにというような指示を出したという記事はなかったと思う。内閣総理の崔永林さんがコムドク地区に現地視察のために出向いたという報道の中で「敬愛する最高司令官金正恩元帥様の命令を受け、水害復旧に励む軍隊と人民」という表現があるのだが、一体どういう命令を出したのだろうか。北朝鮮では、時々「最高司令官命令」という報道をするが、この「命令」に関しては特段の報道はなかった。金正恩さんは、平壌の「記念碑的建造物」や軍隊での現地指導だけではなく、是非ともこうした被害地域での現地指導に出向いて欲しいものである。大変なことは分かるが、そうしてこそ人民の元帥様になれる。

    この報道の中で、背景のボードのタイトルにぼかしが入っている。「朝鮮中央TV」の報道では、時々ぼかしが入ることがあるが、何が書いてあるのか非常に気になる。このボードには、棒グラフのようなものが書かれているので、被害の復旧状況でも表しているのであろうか。uriminzokkiri向けの編集なのか、国内向けでもそうなっているのかは分からない。

    左側のボードのタイトルにぼかし
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11653

    23日の「20時報道」には「社会文化」という新しいコーナーがあった。こちらでは、万寿台創作社で人工花崗岩を作った作品を作ったというニュース、また平壌都市経営専門学校でカラフルなサボテンを作ったというニュースを伝えている。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11653

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11653

    「社会」、「文化」という項目は、「労働新聞」にもあるのだが、それを「20時報道」にも反映させたのであろうか。もしかすると、放送版では元々あったのかもしれないがどうなのだろうか。

    また、現地で取材した記者に話を聞く「ような」スタイルも導入した。「20時報道」なのに記者は明るい空の下で話しているので、当然、生リポートではないが、新たなスタイルである。北朝鮮で、生リポートをやったら、これは画期的な話である。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11653

    「20時報道」を見ている限りでは「変化」が見られるが、人民生活の実態はどうなのであろうか。

    「<記録映画>敬愛する金正恩元帥様が諸部門の事業を現地で指導(2012.8.5-9.7)」(2012年9月21日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」が、8月5日から9月7日までの金正恩さんの現地指導の様子を伝える「記録映画」を放映した。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-21-11-y.flv

    この番組では、過去記事で取り上げた新たに建設された労働者住宅訪問の様子なども動画で紹介されている。李雪主さんがコップを洗っている様子などが動画で見られる。では、私がおもしろいと思った場面を紹介していくとする。

    まず、金正恩さんの靴である。下の写真を見て欲しい。

    牧畜施設の現地指導にて
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-21-11-y.flv

    金正日さんの厚底シューズの話はあちこちに書かれているが、どうやら金正恩さんもヒールの高い靴を履いているようである。ファッションの話は疎いので、ざっと検索したところ、男性が着用するヒールの高い靴としてはウェスタンブーツというのがあるそうだ。金正恩さんが着用しているのがウェスタンブーツなのか特製ハイヒール・シューズなのか分からないが、左足に注目するとかなりヒールが高いことが分かる。金正恩さんは、バスケットをやっていたとこともあり、身長はそれなりにあるはずだ(少なくとも、金正日さんのように極端に短身ではない)。それなのにハイヒールを履くのは、やはり上から見下ろす方が指導者らしいし、韓国・朝鮮では身長は人を判断する際の一つの基準となるので、少しでも長身に見せようとしているのであろうか(韓国については、80年代は。今は分からない)。日本でも長身の方がカッコイイということはあろうが、政治家の政治能力とは関係ない(ルックスも投票行動に大いに反映されることも事実ではあるが)。短身といえば、鄧小平さんなど相当に短身であるが、政治家としてはとても立派な人である。

    金正恩さんがヘマジ食堂を現地指導した動画もあった。

    ヘマジ食堂の食品販売コーナー
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-21-11-y.flv

    一番上の写真を見るまでは意識していなかったのだが、金正恩さんのズボンの裾はかなり長めである。これは、ハイヒールが見えないようにという配慮であろうか。また、過去記事に書いた「鉄板バーガービビンパ」なるものが大写しになった。確かに、ビビンパ的な要素もあるが、私だったら普通のトルソッビビンパを注文する。

    「鉄板バーガービビンパ」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-21-11-y.flv

    大同江タイル工場を夫人と共に視察した動画も紹介されている。金正恩さんの腕時計については、韓国メディアにあれこれ書いてあったのを読んだことがあるが、どこ製の何という時計かは分からないが、李雪主さんとおそろいであることは、下の写真から分かる。80年代の韓国では、腕時計が「礼物」(結婚に際しての贈り物)として一般的であった(今は分からない)。北朝鮮でもそうなのだろうか。

    大同江タイル工場にて
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-21-11-y.flv

    総合スポーツ施設では、金正恩さん自ら健康器具にまたがったり、ダンベルを持ち上げたりした。ダンベルは見た感じでは10Kgぐらいありそうだが、華奢な施設従業員の女性が軽々と持っているので、たいした重量ではないのかもしれない。

    総合スポーツ施設にて(タバコを吸いながら話をしているが、健康的ではない)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-21-11-y.flv

    ダンベルを持つ金正恩さん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-21-11-y.flv

    新しく建設された住宅に入居した労働者宅の訪問では、おもしろい場面があった。金正恩さんが、その家の次男を膝に抱く場面なのだが、直前に次男の母親が子供のおしりを払っている。元帥様にほこりが付いては大変だということなのだろうか。

    おしりを払う母親の手
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-21-11-y.flv

    青年節の祝賀会場も訪問し、写真撮影をした。下の写真は、朝鮮総連青年部の代表ということであるが、とても感激している様子である。これまで、朝鮮総連関係者が、金正恩さんと話をしたり握手をしたという公式報道を見た記憶がないが、もしそうであるとすると、総連関係者でこれほど近く金正恩さんと接したのは彼が初めてということになるのかもしれない。というよりも、料理人・藤本さんが本当に金正恩さんと抱擁をしたとして(そのくせに、ビザを発行してもらえないとは・・・)、この青年は日本在住者としては二番目ということになる。

    朝鮮総連青年部の若者(左側)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-21-11-y.flv

    私も、抱擁こそしなくてもよいが、金正恩さんとじっくりと話をしてみたい。

    北朝鮮:中国地名等の表記を変更

    長春に向かう機内で「朝鮮日報」を読んでいた。そしたら、「北、中国に怒ったのか、中現地音表記を廃棄」という記事があった。

    「朝鮮日報」記事:
    http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2012/09/13/2012091300173.html

    記事によると、9月1日から現地音表記(中国語の発音をそのまま朝鮮語で表記する)方法から漢字の朝鮮音表記に変更したという。これ、過去記事で北朝鮮は中国の地名や人名を中国語の発音のまま表記するので分かりにくいという記事を書いたことがあるが、それが変更されたという話である。私は全く気がつかなかったが、調べてみると確かにそうなっている。

    例えば、8月2日の「労働新聞」記事「中国外交部スポークスマン、日本首相の発言非難」という記事では尖閣の中国名「釣魚島」を「댜오위도」(テャオウィド)と中国語の発音のまま表記しているが、9月14日の「労働新聞」の記事「胡錦濤主席、釣魚島問題と関連した立場を表明」では、「釣魚島」をその朝鮮語読みの漢字音である「조어도」(チョオド)と表記しているだけではなく、「胡錦濤」も同様に「호금도」(ホグムド)と表記している。以前、北朝鮮は「胡錦濤」を「후진타오」(ホジンタオ)と中国語発音のまま表記していた。

    「労働新聞」8月2日記事:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-08-02-0035&chAction=D

    「労働新聞」9月14日記事:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-14-0047&chAction=D

    「朝鮮日報」が報じるように、北朝鮮が中国に対して「怒った」結果そうなったとは思えないが、無理に中国語発音表記にした結果、過去の資料などとの整合上、不都合が生じたのかもしれない。日本についていえば、韓国側からの要求もあり、韓国の地名や人名については韓国語音と漢字の並記となっている。しかし、その時に中国についてはどうするのかという話があり、中国はそもそも「漢字の国」なので漢字で表記し、それをそれぞれの国(日本、韓国・北朝鮮)の漢字発音で読めばよいということになったと記憶している。もしかすると、「朝鮮日報」に書かれているように、どこかの時点で中国政府が立場を変えたのかもしれないが、私はフォローできていない。

    変更の理由はともあれ、私にとって、北朝鮮報道に登場する中国人名や地名が分かりやすくなったことだけは事実である。

    9月17日の「朝鮮中央TV」の「20時報道」より。「釣魚島」は「チョオド」と表記されている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-17-16.flv

    中国・韓国雑感

    昨日、中国の長春での国際会議に参加し、帰りに釜山に寄って帰国した。その間に、北朝鮮が日朝関係について「朝鮮中央通信」を通じて論説を出したりしているが、これらについては別途、記事にしようと思う。本記事では、いろいろと雑感を書いておこうと思う。

    1.日中関係
    日本が尖閣を国有化したことについて、中国政府が強く反発、そして各地でデモが起こっている。長春でもデモが予定されたという話は聞いたのだが、実際にあったのかどうかは分からない。また、私が滞在期間中、特に不快なできごともなかった。タクシー運転手に「何人か」と聞かれたよう(中国語はよく分からない)なので、トラブルを避けるために「韓国人」と言っておいた。パスポートを見せろと言われない限りは、韓国人には化けられる(相手が朝鮮族であっても)。

    しかし、部屋でテレビを見ていると、一日中、尖閣関連のニュースをやっていた。とはいえ、中国各地のチャンネルをぐるぐる回していたので、そう思っただけなのかもしれないが、尖閣関連の報道が非常に多かったことは事実である。そしてもう一つは、「旧日本軍と中国人民の戦い」に関するドラマである。こちらは、尖閣と無関係にいつも放映しているのだが、この時期は特別に感じた。北朝鮮でも反日武装闘争を扱った番組は非常に多いが、やはり朝鮮労働党にとっても中国共産党にとっても、その正統性の証明としての反日武装闘争は非常に重要であるのだろう。その点、韓国の政権は反日武装闘争を正統性の証明と考えていない(反日色が強い李承晩時代ですらそうであったはずだ)。私が韓国にいた80年代も「悪い日本人」が登場するドラマはしばしば放映されていたが、武装闘争色はほとんどなかった。政治体制が異なるので当然といえばそれまでだが、興味深い点である。

    ホテルの近くに南湖公園があるので、散歩をした。中国語はよく分からないのであるが、気のせいか中国人民の会話の中にも「リーベン(日本)」という言葉が多かったようだ。しかし思ったのは、「日本製品不買」などやろうにも絶対に無理だということである。これは、中国だけではなく、日中双方にとってである。南湖公園では、中国人民がCANONのカメラで写真を撮っている風景をよく目にした。しかし、CANON製のカメラとはいえ、多くはMade in Chinaである。つまり、日本メーカーは独自の事情(賃金コスト削減と市場確保)で中国で生産し、中国では雇用が創出(中国の先生は、日系企業に雇用されている中国人民は1千万人と言っていた)されている。そして、そのカメラを中国人民が使って写真を撮って楽しむ。直感的に思ったのは、相互依存関係が多重化している、いわば「多重的相互依存関係」が存在しているのではないかということである。

    今回の事態で、中国人民を刺激したのは、「国有化」という文字だという気がしてならない。日本では、石原都政の「都有化」よりも国有化した方が、円満に解決できるという議論が多く、私も実はそう思っていた。しかし、中国人民にとっては、どうやら「都有化」の方がよかったようだ。つまり、多くの中国人民は、石原都知事がどんな人であるか知るよしもない上、国と都では全く意味が違う。中国は社会主義の国だということを日本政府も私も忘れていたのかもしれない。つまり、中国は土地は全て「国有」なので、日本人が意識する以上に「国有」の意味は大きい。日本人にとっては、「国有」といっても「国が管理する」程度にしか思われないが、中国人にとっては、それが「主権を強く主張する」という意味合いで伝わっているのであろう。今後、この問題がどのように展開するのか分からないが、最悪、国は「国有地」尖閣を沖縄県に譲渡し「県有地」とすることも可能であろう。日本人にとっては、県有地であろうが国有地であろうが「民有地」との違いであるという点からしてほぼ同じであるが、中国人民にとっては、違った響きになるのではないだろうか。

    しかして、人口10億の国で10万人がデモをしたとしても、実際にたいした数ではないような気もする。そもそも、反日デモで中国共産党が入った建物に侵入しようとしたり、米国の外交官が乗った車を取り囲んだり、ましてや同じ中国人民が経営する「日本食店」を破壊するなど「反日思想」とは全く関係ない。多くの論者が論じているとおり、中国人民は経済発展の歪みにフラストレーションを募らせており、それを払拭する「公的な理由」がみつかれば、何でもやるのかもしれない。中国共産党もそれを恐れており、日中関係でジレンマに陥っている可能性は十分にある。やはりここは「小日本人」は「大中国人民」に対して、「大」局的な観点から対応する必要がある。しかし、「政治主導の外交」などほとんど期待できないので、外務省に頑張って欲しい。

    2.釜山
    釜山は、10年以上ぶりに訪問した。日中関係が緊張した時期でもあったので、韓国に着いてからはホッとした。何よりも、言葉が通じるのは嬉しい。釜山行きの飛行機が台風の影響で欠航したので、仁川経由で韓国入りしたのだが、初めてKTXに乗った。快適だし速いので良いのであるが、私はかつて乗った「セマウル号」の方が何となく好きだ。

    ソウルもそうだが、釜山もだいぶ変わっていた。しかし、裏通りに入ると、かつてのソウルのような町並みがまだ残っており、懐かしかった。

    「<訪問記>労働者家庭に溢れる大きな栄光 - 中区域都市美化事業所 労働者 朴スンイル同志の家庭を訪ねて -」(2012年9月11日 「朝鮮中央TV」)

    金正恩さんが訪問した家庭を「朝鮮中央TV」の記者が訪ねて当時の状況を質問する番組の第2弾が出た。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11476

    今度は、金正恩さんが膝に乗せてかわいがった子供やサッカー部活で後から帰ってきた子供がいる家庭だ。

    左から次男、記者、夫人、長男、夫
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11476

    夫の朴さんが勤める「都市美化事業所」というのは、清掃局のようなところであろうか。奥さんは、「郵便通信員」というので、郵便配達員かと思ったら、どうやら労働党が出した文書(党報)を事業所などに配達する仕事のようだ。

    もちろん演出だが、金正恩訪問は予め伝えられておらず、夫は「学習に行って」いたし、夫人はおかずの買い物に行っており、「元帥様が来られると聞いて、慌てて帰ってきた」とのことである。この家族は、5部屋のこの新しい住宅に引っ越してくる前は、1部屋の家に住んでいたとのことである。4人家族が1部屋の部屋に住むというのが、「平凡な」平壌労働者世帯の実情なのであろうか。

    金正恩さんが次男を膝に乗せた話をしているが、李雪主さんも金正恩さんが酒をついでいる間は子供を抱いていたようだ。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11476

    酒をつがれた夫婦が、どうしたら良いのか分からずにいると、金正恩さんが「とにかく、僕がついだ酒なんだから、一口ぐらい飲んでくれなければ」と言ったそうだ。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11476

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11476

    金正恩さんは、次男が描いた画と上の見本を比べながら、「黄色い花も描かなければなりませんよ」(丁寧語かつ優しく)と話したそうである。この取材には、次男が通う小学校の先生も来ているが、先生によると次男は数学は得意だが、図画はあまり得意ではないそうである。

    過去記事に、李雪主さんの「手作り料理」を持参したという話を書いたが、今回のインタビューを聞いていると「手作り」は「準備する」という言葉の拡大解釈であったようだ。また、箱には内容物や数が表示されたシールが貼ってある。内容物については水餃子で正しかったようで、李雪主さんは「餃子を煮る方法まで説明してくださった」とのことである。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11476

    夫婦は、金正恩さんに感謝の言葉を述べ、「元帥様の家族」のように生きていく覚悟を述べている。北朝鮮の家庭には、下の写真に見られるように「将軍様の家族」というスローガンが貼られている。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11476

    ところで、この動画を見ていて思ったのだが、金正恩さんの敬称が北朝鮮ではまだ定まっていないようだ。元帥称号が授与されてまだ時間が経っていないからかもしれないが、この家の主人は「将軍様」、夫人と記者は「元帥様」と言っている。金日成・金正日は、最近制作された番組では「大元帥様」という敬称を使っている。もちろん、「首領様」は金日成専用である。「将軍様」は、少し古い番組では金日成さんにも使われ、当然、金正日さんにも使われている。北朝鮮憲法で「永遠の首領」は金日成と規定されているが、「永遠の将軍」はないので金家族三代誰にでも使って良いのかもしれない。もし、厳密な規定があるのであれば、取材中あるいは編集の段階でこの主人の言葉は「元帥様」と言い換えさせられているはずである。

    前に書いたかもしれないが、主体塔を見学した時に案内員のオバサンに「白頭山密営のことはご存じですよね」と言われて、自信満々「首領様がお生まれになったところ」と答えて「将軍様」と直された記憶があるので、こだわりたくなる。

    今回の金正恩訪問は、訪問の様子を見せる動画を公開することなく終わるのであろうか。もしかすると、それを単独の番組にするのではなく、一定期間の「現地指導」を紹介する動画番組の中に盛り込むのかもしれない。

    「<ドキュメンタリー>労働者家庭に溢れる大きな栄光- 金正淑紡績工場の労働者労役英雄文カンスン家庭を訪ねて-」(2012年9月10日 「朝鮮中央TV」)

    金正恩さんが訪問した家庭を「朝鮮中央TV」の記者が訪ねて、当時の様子を色々と質問するドキュメンタリー番組を同放送局が放映した。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-10-21.flv

    訪問時の放送でもいっていたのかもしれないが、どうやらこの家を与えられた当事者は夫人の文カンスンさんのようである。夫人と同じ工場で三大革命小組員として働く夫の金(名前が聞き取れないが、ヒョンオク?)さんではない。

    左から、記者、夫人の文さん、夫の金さん、金さんの妹
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-10-21.flv

    文さんと金さんは、今年の5月に結婚をしたそうである。新婚なのでそうなのかもしれないが、金さんは夫人のことを「カンスン・ドンム」と呼んでいる。「ドンム」は日本語に訳しにくい言葉であるが、英語では「pal」ぐらいか。北朝鮮では、日本語の「さん」のように使われている。北朝鮮では、夫婦間でも「○○ドンム」と通常呼んでいるのであろうか。

    金正恩さんは、まず、部屋に飾っている写真を見ながら、文さんがどこにいるのか質問したそうである。やはり、北朝鮮では、「写真」が非常に重要であるようだ。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-10-21.flv

    文さんは、やはり「平凡な労働者」ではないようだ。というのは、上の写真でも分かるように大きな集合写真の中央、北朝鮮の序列2位の金永南最高人民会議議長の直ぐ後ろに立っている。

    金正恩さんが、「テレビはよく映るのか」と夫の金さんと話している間に、夫人の文さんがキッチンに祝杯を挙げるためのコップをとりに行こうとしたとき、李雪主さんが「そこにいればいい」と言い、自分でコップを洗って持ってきてくれたとのことである。

    そのコップ。残っているのは「形式的に」で飲まなかった文さんの残りか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-10-21.flv

    さて、ここから話がおもしろくなる。

    祝杯は良いが、金正恩さんは飲まなかったのか、コップが置かれていない。李雪主さんの前には何かあるが、何なのかよく分からない。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-10-21.flv

    金正恩さんが乾杯のために文さんにも酒をつごうとしたところ、李雪主さんが「奥さんは妊娠しているそうですよ」と金正恩さんに言うと、金正恩さんは、「妊産婦が酒を飲んじゃ駄目だよな」と言って、「形式的に酒を飲んだことにしよう」と言ったそうである。そして、金正恩さんは「妊娠何ヶ月なのか」と質問し、「3ヶ月です」と答えると、指を折って数えながら「来年3月頃に生まれるな」と言ったとのことである。そして、金正恩さんは「大体普通の人は、息子を望むのだが、ドンムはどちらを望むのか」と質問したそうである。これに対して夫は「もう1人の紡績工場の英雄を望みます」と答えたそうだ。さすが、金策工業大学出身のエリートである。金正恩さんは、「子供が生まれた頃にまた来る」と言ったそうだ。

    なおこの家庭は、外国人も「見学」に来たそうである。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-10-21.flv

    そんな話をしていたらチャイムが鳴り、また近所の見学者がたくさんやってきた。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-10-21.flv

    このドキュメンタリー(紹介編集物)のなかで、妊娠について聞き、そして出産までの期間を数えたのが興味深い。妊娠・出産は、金正恩さんにとって過去なのか未来なのか。

    「コンドク地区台風被害状況」(2012年9月8日 「朝鮮中央通信」)

    鉱山地帯であるコンドク地区で8月28日に台風15号による被害が発生したというニュースを「朝鮮中央通信」が動画映像で伝えた。

    この映像、「住民が撮影したものを朝鮮中央通信が入手した」とのことであるが、鉱山地帯の北朝鮮住民がビデオカメラを持っているかどうか疑わしいばかりではなく、手ぶれが全くないなど、動画を見れば「プロの仕事」であることは直ぐに分かる。恐らくは、台風直後に「朝鮮中央通信」が取材に行って撮影したのであろう。

    被害の様子は、「労働新聞」も伝えている。

    「労働新聞」記事:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-07-0013&chAction=D

    被害状況は、「2000世帯の住宅が全壊、約170の公共施設が壊れたり流され、人的被害も出」て、「リョンヤン鉱山では、トンサン坑、青年坑が完全に浸水し、生産が中断」するなどの被害が出たという。また、「870カ所で132万平米の道路が流され」たり、「700町歩の農耕地で収穫が期待できなくなった」とのことである。

    「朝鮮中央通信」の取材チームがどのように被災地に入ったのかは分からないが、道路も鉄道も破壊されたようなので、支援が円滑に行われるのか心配だ。

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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=943779

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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=943779

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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=943779

    「20時報道」:模様刷新その2(2012年9月9日 「朝鮮中央TV」)

    「20時報道」の模様が刷新された。昨日の記事にも書いたが、今日は9月9日の建国記念日特番で、約25分間全国各地で行われた中・露指導者からの祝電紹介、キューバの指導者から贈られたプレゼント紹介、全国各地で行われた慶祝関連行事の紹介、昨年、金正日さんがこの日前後に行った現地指導についてのニュースが伝えられた。

    特番であったということもあろうが、この日のニュースには4人のアナウンサーが登場している。最初に登場したのは、レギュラーの2名だ。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11441

    これまでもこのように2人を登場させたことはあったが、このところ古いスタイルの1名体制が続いていた。祝電の内容であるが、中国は胡錦濤主席他発で中朝友好を強調したもの、ロシアのプーチン大統領からは朝露間の「双務的」発展を望むという内容のものであった。祝電の内容にも中国とロシアの北朝鮮に対する評価や思い入れの違いが表れている。

    このスタイルの報道にはまだ不慣れなようで、テレビカメラはアナウンサーを中心に据えることができずにいる。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11441

    しばらくして、カメラをゆっくりと動かして位置調整を行った。これまでの放送では、カメラ1台を固定位置で使っていたのであろう。

    調整後の画面。静止画では分かりにくいが右に寄りすぎていたセンターを左に少し寄せた。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11441

    また、瀋陽の七宝山ホテルで見た「ダイジェストニュース」に登場していた若い男性アナウンサーも登場している。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11441

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11441

    この人も「20時報道」のレギュラーになったのであろうか。

    「<録画報道>敬愛する金正恩元帥様が竣工を前にした統一通りスポーツセンターを現地指導された」(2012年9月8日 「朝鮮中央TV」)

    建国記念日を前に、また「朝鮮中央TV」の模様替えがあった。アナウンサーの背景にはLEDパネルと思われるパネルが設置されており、そこに絵が映し出されている。また、ニュースのテーマによって、その画も変更している。また、番組も初めはカメラを引いておいて、後にクローズアップするような手法も取り入れた。

    番組の初めはカメラが引かれている。左にあるLEDランプのようなものも点滅している
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    Source, KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-08-12-y.flv

    こちらは建国記念日の9月9日0時0分に錦繍山太陽宮殿を金正恩さんが訪れたニュース
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    Source, KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-09-11-y.flv

    金正恩さんが平壌民俗公園を現地指導したニュース
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-08-11-y.flv

    「20時報道」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-07-15.flv

    上の写真のようにだいぶ様子が変わっている。

    さて、タイトルにある統一通りスポーツセンターであるが、フィットネス・ジム、サウナ、スイミングプール、マッサージ施設などを備えた総合スポーツ施設のようである。番組を見る限りでは、設備は良くできているようである。もちろん、管理・運営がどのようになされるのかという問題はあるのだが。

    ところで、敢えてこの番組を取り上げたのは、上の話が重要だからではない。アナウンスを聞いていてはっと思い「労働新聞」の同記事を読んでみた。

    「労働新聞」記事:http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-08-0004

    そちらにも書かれているのだが、このスポーツセンターは「去る5月、人民軍軍部隊に対する視察を終え、平壌に戻ってこられる途中で、敬愛する金正恩元帥様が、統一通りに位置するとある建設対象を見つけられた。敬愛する元帥様は、その日、人民軍隊が別の目的のために建設していたこの場所を勤労者がトレーニングやリハビリができる大衆スポーツセンターにし、人民の健康増進と生活向上に役立てなければならないと仰った」とのことである。

    つまり、人民軍が5月の時点で「別の目的のために建設していた」建物の用途を金正恩さんが変更させたということになる。人民軍が平壌市の中心部に大きな建物を建設するとなれば、これは金正日さんの決済を受けなければできることではない。また場所からして、もしかすると金正日さんが自ら人民軍に指示を出して何かを建設させていたのかもしれない。もしそうであったとすると、金正日さんの出した命令を4月に権力継承が完了したばかりの金正恩さんが変更させたということなのかもしれない。そうだとすると、スポーツセンター云々の話ではなく、なかなかの一大事である。

    上の写真にもあるように、金正恩さんは民俗公園も現地指導している。こちらは、明らかに金正日さんの指示で建設が始められた施設であり、番組の中では金正恩さんの言葉として「金正日大元帥がここに来られたら、どんなにお喜びになるだろうか」というようなことを2回言っている。

    しかし、こちらのスポーツセンターについては、こうした発言はなく、また金正日という言葉自体出てこない。金正日命令を変更したのかどうかは別として、金正恩さんの発想で建設が決まったからであろうか。

    「朝鮮労働党中央委員会秘書が日本・猪木ゲノム連合株式会社会長一行と会見」(2012年9月7日 「朝鮮中央通信」)

    アントニオ猪木さんが再び訪朝したようだ。今回の訪朝は、9月9日の第64回建国記念日に合わせてのものであろう。猪木さんが滞在中に金正恩さんと会見をする機会を持つかどうかは分からないが、金正恩さんの遊び相手だった藤本さんと会うのであれば、元参議院議員の猪木さんと会った方が重みもあるし、日本政府としてもメッセージを託しやすいのではないかと思う。

    その藤本さんも昨日平壌に向けて出国したようだ。出国に際し、段ボール箱10箱に調理用具、ノートPCなど色々と詰めて持ち出そうとし、税関職員の検査を受けたということである。これ、無事通過させてもらったのかどうかは不明であるが、総連関係者が持ち出しとの関係で法的な公平性が維持された形で処理されたのであろうか。それとも、搬出可否の判断に政治が介入したのであろうか。

    「産経ニュース」:「出発ロビーで、藤本健二さん(奥左)の荷物を調べる税関職員=7日午前、成田空港」
    http://sankei.jp.msn.com/world/photos/120907/kor12090711120002-p2.htm

    <追記>
    「労働新聞」にも関連記事があった。
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-08-0039

    いのき
    Source: Rodongsinmun, http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-08-0039

    「青年たちに対する思想文化浸透に覚醒を高めなければならない」(2012年9月7日 「労働新聞」)

    金正恩さんの「青年節祝賀文」を受けた記事が「労働新聞」に掲載された。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-07-0049

    「青年節祝賀文」に関する記事の中でも指摘した金正恩さんの言葉「反動的な思想文化浸透と心理謀略戦は、今日、侵略策動で用いられている基本手段であり、その主たる対象は青年たちである」でこの記事は始まっている。

    敢えて、金正恩さんがこのようなことを言うのは、一つは「反動的な思想文化浸透」が北朝鮮で深刻な問題になっている、もう一つは「反動的な思想文化」には、自分(金正恩)が許容する範囲内でのみ接して良いということを伝えたいのであろうか。また、この記事ではエジプトやリビアにおける民主化の例を挙げて、それが「帝国主義者が若者に反動的思想文化」を植え付けた結果でもあると述べている。

    興味深い記述を見ていくと、次のとおりだ。

    まず、「彼らは、自らの支配主義野望を実現することにおいて、反動的な思想文化が軍事力に劣らない威力を発揮している」とソフトパワーの存在に対する認識を表明し、その手法として「帝国主義者たちは、他国に輸出する設備や商品に資本主義を宣伝する字句や淫乱な画をつけ、人々の目を引こうとしている」としている。これは、主として中国から密輸される、中国製も含む「帝国主義者」の物品のことを述べているのではないだろうか。「帝国主義者」の製品を日々使用している日本でも「資本主義を宣伝する字句や淫乱な画」がつけられた製品を目にすることはほとんどない。それは、ソフトパワーの本質はそんなことではなく、これらの製品自体が持つ相対的優位性にあるからなのだが、しかしそうとも書けないのでこう書いているのであろう。記事には、そうしたことを通じて「資本主義に対する幻想」を持つようになると書いているが、「幻想」かどうかは別とし、ソフトパワーの威力はそこにある。

    そして、「帝国主義者」は「新しいことに対する好奇心が非常に強い」青年に対しピンポイント的にソフトパワーによる謀略戦を展開しているとし、「少なからぬ青年が政治よりも流行や娯楽により多くの興味を持っていることを巧妙に利用し、彼らを対象とする放送で娯楽番組を大幅に増やし、その中に資本主義制度の『優位性』を宣伝する報道資料などを挟み込んでいることなども決して偶然ではない」とその実例を挙げている。これは、やはり中国経由で密輸される韓国ドラマなどについて述べているのではないだろうか。

    続いて、思想教育の重要性について述べ、「思想教育事業をきちんと行わないことは、青年たちを失うことと同じだ」とまでその重要性を強調している。北朝鮮では、「思想教育事業」は十分に行われていると思うのだが、そのほころびが青年層を中心に出てきているということなのだろうか。

    そして終わりで「反動的な思想文化浸透と心理謀略戦の空間がとても広く、その形式と方法が多様なので、それを粉砕するための対策を立て、敵対勢力との闘争を果敢に展開しなければならない」としている。北朝鮮も思想文化浸透の「空間が広」がり、その「形式と方法が多様」化したので、その対策に悩んでいるということなのであろうか。

    もしかすると金正恩さんは、「反動的な思想文化」をシャットアウトしていてもどうせ入ってくるので、少しずつ取り入れながらも、それをうまくコントロールし、北朝鮮をエジプトやリビアにしないようにと考えているのかもしれない。しかしそれは容易ではない。記事では「民族固有の風習と生活様式を守る」べきだとユニバーサルな表現を使っているが、「民族固有の風習」と「自由」をどこで切り分けようとしているのであろうか。

    「<記録映画>敬愛する金正恩元帥様がチャンジョン通り住宅に入居した勤労者の家庭を訪問された 2012.9.4」(2012年9月6日 「朝鮮中央TV」)

    すぐ前の記事に書いたのは「静止画」の報道番組、今度は内容は同じであるが「動画」の報道番組である。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11392

    それにしても、金正恩さんの動画放映は早い。リニア編集技術の向上やネットでの配信を考慮してのことかもしれないが、4日の訪問を6日に動画で流すなど、金正日時代では考えられない。

    さて、この動画だが、待っていただけの甲斐がある内容だ。このところ、金正恩さんの動向を報道する動画(「記録映画」)では、毎回冒頭で同じ曲が使われている。曲名は分からないが、歌詞は「우리의 아버지 김일성 원수님」、つまり「私たちのお父さん、金日成元帥様」であったはずである。金正恩さんは、やはり人民と金正日さんより親密に接したお爺さんを意識しているのであろう。

    「朝鮮中央通信」で配信された写真や、「朝鮮中央TV」の静止画報道でも見られたのだが、この動画を見て改めて思ったのは、人民の住宅を訪問する際に李雪主さんがビニール袋(レジ袋)を持参していることである。北朝鮮は、指導者を称賛する際に「どこの国の指導者が、XXXをするであろうか」という表現を使うが、まさにどこの国のファーストレディーがレジ袋をぶら下げて人民宅を訪問するであろうか、という感じである。もちろん、低開発国では、レジ袋=高級品ということもあり得る。北朝鮮がそのカテゴリーに属するのかどうかは別として、少なくとも金正恩さんは「レジ袋」の意味を分かっているはずだから、それを夫人にぶら下げさせるというのは、演出にしても「よくやった」といわざるを得ない。

    李雪主さんが持ってきたレジ袋
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11392

    その、李雪主さんであるが、大活躍だ。金正恩さんが床に座ると、何かを言われて慌ただしく立ち上がって走っていった。どうやら、キッチンに行って手伝いをしろと言われたようである。

    慌ただしく立ち上がる李雪主さん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11392

    そして、キッチンで洗い物を手伝う李雪主さん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11392

    どこの国のファーストレディーが、キッチンで洗い物を手伝うだろうか(私は良いことだと思うのだが・・)。

    さらに、静止画報道では明らかにされなかった、李さん手作りの食べ物は、

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11392

    水餃子のような食べ物であった。李さんは作り方をこの家族に伝授したそうだ。

    また、金正恩さんは、新居訪問に際して「マッチ」を持参したそうだ。これ、静止画でも言っていたのだが、何のことだかよく分からなかった。しかし、動画報道のアナウンスをよく聞いていたら「我が国では、新居を訪問する際にはマッチを持って行く」と言っていた。韓国にもそういう習慣があるのか分からないが、私が韓国にいた80年代後半にも、友人の新居を訪れたことがあったが、「マッチ」という話は記憶がない。単に、知らなかっただけなのかもしれないが。

    マッチを贈呈する金正恩さん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11392

    そして、金正恩特製マッチ?
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11392

    また、子供たち(新婚家庭でこれから生まれる子供も含めて)のために、世界名作童話集もプレゼントしたそうだ。ところが、なんと朝鮮語と英語が併記された絵本だ。わざわざこんな物をプレゼントして、それを「朝鮮中央TV」で大写しにして報道させるというのも、金正恩さんの国際感覚の表れか。

    世界名作童話集
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11392

    以上が全て演出・宣伝と言ってしまえばそれまでであるが、私は金正恩スタイルとしてポジティブにとらえたい。そうであるがゆえに、チャンジョン通りから遠く離れた農村に住む朝鮮人民にも同様の配慮をしてくれることを期待する。もちろん、そのためには国富を増加させなければならない(北朝鮮の場合、当面はフローよりもストックではないだろうか)。

    この動画を見る限り、金正恩元帥はよくやっている。是非、全朝鮮人民がそれを肌で感じられるような政治をやって欲しい。

    「<録画報道>敬愛する金正恩元帥様がチャンジョン通り住宅に入居した勤労者たちの家庭を訪問された」(2012年9月5日 「朝鮮中央TV」)

    過去記事でも話題にした、金正恩さんの家庭訪問にのニュースを「朝鮮中央TV」が静止画を使って報道した。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11380

    この報道では、「朝鮮中央通信」で使われていない写真も紹介されているので、そのいくつかをここに掲載する。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11380

    金正恩さんは、家庭訪問に際して色々とお土産を持ってきた。この家庭には大型LCDテレビを持ってきたようだ。金正恩さんは、テレビをプレゼントするに際して「大型テレビは、近くで見ると目を悪くする」と注意をしたとのことである。で、驚いたのはなんとこの大型テレビは、箱を見る限りは北朝鮮製のようだからである。アリランと書かれているのがブランド名のようだ。過去記事には、「北朝鮮ではブラウン管テレビしか生産していない」などと書いたが、これは訂正しなければならない。もちろん、中身は中国製ということもあり得るが、LCDがこれだけ普及し、しかも低価格化しているので北朝鮮でもLCDテレビの生産を始めているのかもしれない。電力不足の北朝鮮では、低消費電力のLCDテレビの方が良いはずである。もしかすると、電力不足の北朝鮮の方が、電力が豊富にあったが原発事故で電力供給が厳しくなっている日本よりも、省エネ習慣や技術が早く定着していくのかもしれない。元々物がないのだから、省エネの物を導入していけば良いという話だ。しかも省エネ技術は急速に進歩しており、部品も標準化してきている。だから、シャープが苦しくなったという話もあるのだが・・・

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11380

    金正恩さんがプレゼントしたテレビが早速設置されたということであろうか。過去記事に書いた高英姫さんの話と関連して気になることは、壁に掲げられている2枚の肖像画の横(一番右側)にある写真である。金日成・金正日の肖像画の横に掲げるのだから、この一家の家族写真ではないことは明らかだ。2人の人物が写り込んでいるが、それが誰かは分からない。実はこの写真、北朝鮮の家庭に掲げられているのをしばしば「朝鮮中央TV」の報道の中で目撃している。金日成・金正日両名が現地指導をしている写真か金正淑と金日成あるいは金正日が一緒にいる写真の可能性が高いが、高英姫さんの偶像化が行われているとすれば、この写真なのかもしれない。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11380

    この家族には男の子が2人いるとのことで、下の子供を金正恩さんが膝に乗せている。演出といえばそれまでだが、普通にかわいがっているようにも見える。また、上の子供は「小組活動でサッカーをやっていた」らしく遅く帰ってきた。最高司令官が家に来るというのに「小組活動でサッカー」をやっている場合ではないことは明らかだが、こちらは明らかに演出で遅く帰ってきた長男を金正恩さんが「こんなに遅くまで何をやっていたのか」と迎えるという設定である。

    2012-09-05-11-yflv_000544033.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11380

    また、李雪主さんの手料理も持ってきたと言っている。これはキッチンの写真だが、黒い箱に入れて持ってきたのであろうか。そもそも、ファーストレディーが料理をするのかどうかも分からないが、何を作って持ってきたのであろうか。上の写真の手前にいるのが遅く帰ってきたサッカー少年。FIFAのロゴが入ったジャンパーを着ている。

    この話、いずれ動画版がリリースされるであろうが、楽しみだ。

    <追記:2012年9月7日>
    テレビ朝日の昼の番組を見ていたら、同社の記者を北朝鮮がこのアパートに招いたようだ。その映像を見ていたら、金日成・金正日の肖像画の写真もクリアに映し出された。これ、やはり金日成・金正日が一緒に現地指導をしている様子であった。

    「朝鮮外務省スポークスマン共和国の軽水炉建設を不当に非難する米国と国際原子力機構を糾弾」(2012年9月6日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」を通じて、北朝鮮がIAEA理事総会に提出された事務局長報告書「北朝鮮における保障措置適用」に反発した。

    IAEA,
    Application of Safeguards in the
    Democratic People’s Republic of Korea:
    http://www.iaea.org/About/Policy/GC/GC56/GC56Documents/English/gc56-11_en.pdf

    조선외무성 대변인 공화국의 경수로건설을 부당하게 걸고든 미국과 국제원자력기구를 규탄

    報告書には、2012年に入ってからの北朝鮮の核開発活動について書かれており、2.29合意受け、北朝鮮の原子力開発総局局長から3月16日に「ヨンビョンの核施設におけるウラン濃縮活動中断のモニタリングに関する技術的問題について」話し合うために北朝鮮に来るよう招待を受けたとのことである。これに対しIAEA事務局長は、IAEAが3月30日に北朝鮮の招待を受け入れる旨文書で回答したとのことである。

    しかし、2.29合意が北朝鮮によるロケット発射の影響で中断されたので、ウィーンの北朝鮮駐在事務所の係官が6月1日にIAEA側に「北朝鮮による招待は無効になった」旨を通達してきた。IAEAは、2.29合意の中断がとければ、査察をする準備はできているという。

    北朝鮮の核活動について、IAEAは衛星写真を見ながら監視しているが、衛星写真だけではそれがどの程度進展しているのかという判断が困難であるとしている。

    北朝鮮が発表したヨンビョンの100MW(th)軽水炉と濃縮施設については、軽水炉を覆うドーム型の屋根の設置、施設への装置の搬入、炉心冷却水くみ上げポンプの設置などが見られるが、IAEAはその建設がどの程度進展しているのかは確認できない。また、ウラン濃縮施設についてもその構造や稼働状態については確認できていないとしている。

    また、2006年と2009年に北朝鮮が核実験を行ったサイトでの動きも衛星写真で確認できるが、衛星写真からだけでは、それらの活動の目的や核物質が使われたのかなどについての技術的なアセスメントはできないとしている。

    そして、IAEAは北朝鮮によるウラン濃縮活動と軽水炉建設についての発表に対し深い憂慮を表明し、北朝鮮に対して安保理決議とNPT規則を遵守することを求めている。

    これに対し北朝鮮は、「米国の対朝鮮敵視政策に追従し、朝鮮半島の核問題をさらに激化させるような、我々の核活動に介入する資格を喪失した国際原子力機関が、未だに自分の立場をわきまえていない」とし、さらに「我々の核計画に対してだけ差別的に憂慮を表明するのは、公正さに欠ける不当な行為である」と非難している。

    その上で「国際原子力機関と米国は、我々の核活動が平和的目的にだけ局限されていた頃の古い基準で今日の現実を測ってはなら」ず、「堂々たる核保有国として浮上した我々には非核国を中心に対応する国際原子力機関の職能ではどうすることもできない我々式の基準が別にある」と主張している。

    北朝鮮が、この談話で何を言いたいのか今一つ読めないが、「米国の敵対視政策で核保有国になった」としていることから、米国が北朝鮮と交渉をすることだけが北朝鮮に核放棄をさせる、つまり「我々式の基準」ということであろうか。

    同「労働新聞」記事:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-06-0025

    「朝鮮外務省スポークスマン朝日政府間予備会談が開催されたことと関連する共和国の立場を表明」(2012年9月6日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が8月末に北京で行われた、日朝政府当局者予備会談について北朝鮮側の立場表明をした。

    조선외무성 대변인 조일정부간 예비회담이 진행된것과 관련한 공화국의 립장 표명

    それによると、予備会談は「日本人遺骨問題を円満に解決するためには、政府レベルの関与が必要であるという判断」に基づき開催され、会談では「朝日政府間の本会議と関連した双方の立場が通告され、本会談の議題、出席者のレベル、場所、時期などに関する実務的な問題が話し合われ、今後、外交経路を通じて継続的に調整することにした」としている。

    しかし、「日本政府と政界、報道機関が、本会談の議題に『拉致問題』を含ませることを我々が受け入れたとか、我々が日本人遺骨問題を通して経済的代価を望んでいるとかいっているが、全く事実ではない」とし、「事実を歪曲して我々の善意を愚弄するこのような言論欺瞞行為は、日本側が日本人遺骨問題を不純な政治目的に悪用しているのではないかという疑いを生じさせる」ので、「日朝政府間対話を続けるのに否定的な影響を与え」ないようにそうした行為は慎むべきであると主張している。

    北朝鮮のこの主張は、「遺骨返還」と「拉致」は別々に扱うべき問題であるので、敢えてそれを組み合わせようとするならば「遺骨返還」についても話し合わないという強気の姿勢表明であろう。過去記事にも書いたように、日本政府としても「拉致を含めないならば、遺骨なんかいりませんよ」とは言えないという痛いところをついてきている。しかし、この談話で使われている語調は弱く、決して対話を中断するといってはいない。また、「拉致」についても、それ自体を強く否定する「ありもしない」という北朝鮮がよく使う表現も避けている。

    北朝鮮は日本側の「遺骨も話し合いたいけども拉致も」という立場を知りながらこのような主張をしているはずだが、その裏には北朝鮮の経済を建て直すためにも、日本との関係を改善したいという強い希望が見え隠れしている。

    日本政府には、この期をうまく利用し、焦らず「拉致問題解決」を目指して欲しい。その際、「拉致を扱わなければ何もしませんよ」という正面突破を目指さず、段階的に「拉致問題解決」に向けて進めていくことを考慮すべきである。繰り返すが、「時間がない」から焦るのではなく、慎重に前進させて欲しい。今回の話し合いが決裂すれば、また時間が空虚に流れることになるからである。

    「『生母』カレンダーが住宅内に 高氏の偶像化推進を象徴か 北朝鮮」(2012年9月5日 「産経新聞」)

    こんな記事が「産経新聞」記事としてYahooニュースで配信された。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120905-00000585-san-int

    一言で、驚いた。何に驚いたのかというと、「産経新聞」の記事のずさんさにである。ただし、以下に書いていくことは、「産経新聞」が私がインターネットの北朝鮮系のサイトで見ている以上の情報、例えば「朝鮮中央通信」がインターネットサイトには掲載せず、新聞社などだけに配信している写真等がないという前提であることは、予め断っておく。

    実は、金正恩さんがチャンジョン通りの労働者住宅を夫人の李雪主さんと共に訪問したという記事は、詳細こそ読んでいないが、今日の「労働新聞」で目にした。本ブログの記事にしようとも思ったが、中朝合弁企業の記事の確認などに時間を要したことと、いずれ動画が公開されたら書こうと思ったので、記事にしないでいた。

    「産経新聞」の記事は、冒頭で「北朝鮮の国営朝鮮中央通信は5日、金正恩(キムジョンウン)第1書記が李雪主(リソルジュ)夫人と平壌の再開発地区の新築住宅を訪問したと報じた。日時は不明」と書いているので、恐らく上に書いた「チャンジョン通りの労働者住宅」訪問のことを伝えているのであろう。「産経新聞」が参照していると思われる「朝鮮中央通信」もインターネットサイト上で複数の写真と共に9月4日付けでこの記事を配信している。

    「産経新聞」の記事で問題となるのは「配信された画像には、金総書記と、金第1書記の母、高英姫(コヨンヒ)氏とみられる肖像画をあしらったカレンダーも写っており、高氏の偶像化が進められている実態をうかがわせた。」という部分である。「金第1書記の母、高英姫(コヨンヒ)氏とみられる肖像画をあしらったカレンダー」と書かれているが、一体どのカレンダーのことを言っているのであろうか。「産経新聞」が報道機関として別途配信された写真を持っているのであれば話は別だが、「朝鮮中央通信」のインターネットサイトで公開されている写真だけを見て「高英姫(コヨンヒ)氏とみられる肖像画」(下の写真にあるカレンダー)と書いているのであれば、事実確認の努力を怠っているとしかいわざるをえない。

    キムジョンスクカレンダー
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/goHome.do?lang=kor

    「労働新聞」には同じ写真の大判が掲載されているので参照されたい。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-05-0001

    右側のカレンダーの女性が「高英姫(コヨンヒ)氏とみられる」とは一体何を根拠に書いているのであろうか。単に金正日さんの横に掲げられているという理由であるとすれば、新聞記者の仕事とは到底考えられない。

    少し調べれば分かることだが、この女性はどう見ても金正日さんの母、金正淑さんである。uriminzokkiriに掲載されている下記の肖像画と比較して欲しい。

    キムジョンスク
    Source: uriminzokkiri, http://www.uriminzokkiri.com/image/great/skin/img/back3.jpg

    私には、絵画を善し悪しを判断する芸術的なセンスは全くないが、どう見てもカレンダーの中の女性と同一人物、つまり金正淑さんである。特に、白頭三大将軍(金正恩さんの肖像画はまだないと思われるので、「三大将軍」である)の肖像画はマンスデ創作社で描かれた公式肖像画以外使われないので、どれを見ても同じ顔をしている。これを見て、どこが高英姫さんなのだろうか。女性の肖像画を見て「高氏の偶像化が進められている実態をうかがわせた」と飛びつくのは良いが、もう少し写真をよく見て欲しい。

    北朝鮮のやりようとして、李雪主さんがそうであったように何となく登場させておいて、後で説明をすることはあり得る。しかし、故人となるとそうもいかないであろう。また、高英姫さんを出すとすれば、李雪主さんとは重みが違う。金正恩さんの血統に関わる問題なので、白頭四大将軍と同列の扱いを受けるはずだ。そして、白頭四大将軍級の人物の肖像画は、マンスデ創作社で描かれる。もし、カレンダーになるような高英姫さんの肖像画が「朝鮮中央通信」で配信され、それを「産経新聞」が報じたのであれば大スクープである。

    天下の大新聞社にこんな所で吠えても相手にされないであろうが、もう少し慎重に記事を書いて欲しいものである。

    <追記:2012年9月6日>
    「朝鮮中央通信」が上の記事に関する写真を追加掲載した。

    3大将軍
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/goHome.do?lang=kor

    3種のカレンダーであるが、「白頭山3大将軍」、つまり金日成・金正日・金正淑であることは間違いない。

    <追記:9月7日>
    今朝見たら、「産経ニュース」(http://sankei.jp.msn.com/world/newslist/korea-kor-n1.htm)サイトから上で述べた稚拙な記事は削除されていた。紙バージョンでの扱いはどうなのか、後で図書館で調べてみよう。

    「朝鮮民主主義人民共和国合営投資委員会スポークスマン談話」(2012年9月5日 「労働新聞」)

    中朝(中国側:西洋集団、朝鮮側:嶺峰連合会社)で設立した合弁企業(嶺峰合営会社)で紛争が発生したようである。この紛争については、8月上旬に西洋集団がインターネット上(Twitter)で北朝鮮を非難し、それを海外メディアが8月中旬の張成沢訪中を機に大きく取り上げた。これについて、北朝鮮はこれまで静観してきたが、反論する記事を「労働新聞」に「投資委員会スポークスマン談話」として掲載した。

    中朝企業間の紛争を伝えるメディアは、例えば下記。

    Asia Times: Chinese company vents venom on North Korea
    http://www.atimes.com/atimes/Korea/NH15Dg01.html
    Radio Free Asia: 중 시양그룹 대북 투자실패 일파만파
    http://www.rfa.org/korean/in_focus/invest-08242012102337.html
    연합뉴스: <中매체, 장성택 투자유치에 `찬물끼얹기' 보도>
    http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2012/08/17/0511000000AKR20120817081200083.HTML
    Want China Times:Ambitions of China's Xiyang Group in North Korea thwarted
    http://www.wantchinatimes.com/news-subclass-cnt.aspx?id=20120820000057&cid=1102

    そして、中国語メディアは下記。
    博讯北京时间:撕毁合同 辽宁海城民企在北朝鲜投资数亿血本无归
    http://news.boxun.com/news/gb/china/2012/08/201208042145.shtml

    blogのようだが、契約書の写真などを掲載している。
    西洋集团在朝鲜投资的噩梦:http://blog.sina.com.cn/s/blog_916fb56901017b75.html

    これらのメディアでは西洋集団側の主張を紹介している。韓国語や英語のものは、要約であったり解釈が加えられているので、オリジナルな博讯北京时间を読みたいのだが、悲しいかな、私は中国語が分からない。仕方がないので、機械翻訳サイト(excite.翻訳: http://www.excite.co.jp/world/chinese/)を使って読むことにしたが、機械翻訳なので大いに不正確な部分があるはずである。

    西洋の1つめの主張は、契約段階で投資配分について騙されたということである。どうやら、両企業の合弁は、その契約段階からおかしなことがあったようだ。北朝鮮の嶺峰連合会社からの交渉役として登場するのが、李成奎なる人物である(下の写真、握手をする右側の人物。左は西洋集団社長)。

    李の写真
    Source: http://blog.sina.com.cn/s/blog_916fb56901017b75.html

    おかしなことというのは、北朝鮮の投資法では北朝鮮企業と外国企業の投資比率が30%:70%と規定されているにもかかわらず、2006年の交渉段階では、25%:75%でも大丈夫なごとく「李成奎が北朝鮮政府の証明書を偽造し」て西洋を騙したとのことである。中国商務部が2007年7月に発行した「投資許可証」を見ると、確かに投資配分は北朝鮮側25%、中国側75%となっている(下記写真)。

    契約書(中国語)
    Source: http://blog.sina.com.cn/s/blog_916fb56901017b75.html

    西洋の主張によると、2007年2月に北朝鮮の「経済協力指導局」が発行した書類には25:75となっているが、同年11月に北朝鮮外務省が発行した書類では30:70となっているということである(この写真はない)。すると、李は「経済指導局」の書類を偽造して西洋を騙し、後に正式書類である外務省書類を見せたということであろうか。その証拠として挙げられているのが、下記の写真である。ただし、発行しているのは北朝鮮「外務省」ではなく「貿易省」である。

    契約書(朝鮮語)
    Source: http://blog.sina.com.cn/s/blog_916fb56901017b75.html

    中国商務部は、北朝鮮の投資関連法を確認もせず、(李が偽造した)「経済指導局」の書類だけを見て西洋に投資を許可したのであろうか。北朝鮮貿易省の書類を見せながら、李は「5%の差額は配当金で補う」ということを話したそうだ。機会中国語翻訳ではその意味がよく分からないのだが、嶺峰合営会社の配当金を北朝鮮側に5%多く支払うことで、投資比率を調整していけば良いという意味であろうか。

    また、中国側と北朝鮮側の書類をよく見ると、経営期間も中国側は50年、北朝鮮側は30年と食い違っている。これも李が「経済指導局」の偽造書類上で騙したのだろうか。

    西洋の2つめの主張は、西洋が生産した5000トン(5000トンという根拠は、海州港に着岸できる貨物船の最大規模は、5000トン積載クラスだから)の鉄粉が海州港から中国に向けて輸出されていなかったということだ。これも李に騙されたためという。西洋はその事実を知り、鉄粉生産を中断したとのことである。

    西洋の3つめの主張は、選鉱で発生した残滓の処理についてのようである。どうやら、平壌の関連部署とのやりとりは全て李が行い、西洋が直接行うことができないため、例えば残滓処理についても後から、取り決めを巡る問題が発生するということのようだ。

    西洋の4つめの主張は、北朝鮮が一方的に資源税を25%に引き上げたということで、これほど高い税率では利益が発生しないとしている。4つめの主張の中では、中国人社員の行動が厳しく制限されるなど、投資環境の悪さが記されている。こうしたことを背景に、「元社長の追悼式」を理由に中国人社員を引き上げさせ、既に投資した約8000万元を捨ててでも、北朝鮮から引き揚げることを2009年6月に文書で北朝鮮側に通達したという。

    それを知った李は驚き、西洋を何回も訪問して投資の継続を懇願したとのことである。李は、「朝鮮投資委員会」の西洋に対する「保証書」を持参したが、西洋側はその法的拘束力を疑いより高級部署が発行した「保証書」を求めたところ、李は「最高人民会議常任委員会」の文書を持参したという。(下記写真)

    53号文献
    Source: http://blog.sina.com.cn/s/blog_916fb56901017b75.html

    「批准第53号」とされるこの文書は、2009年10月12日付けで、西洋と嶺峰間で締結された「嶺峰合営会社契約書(2006年10月26日)を批准する」と記されている。これを受けて、西洋は北朝鮮への「第2の投資」を決意したという。

    しかし、北朝鮮はその後も電気代や海水使用料など様々な名目の追加費用を要求した。西洋は、3万トンの鉄粉を生産するも、結局、李に騙し取られて販売することができなかったという。西洋の告発には、このほかにも李と北朝鮮当局がいかにこすっからく西洋に物・金・接待を要求したかについて詳細に書かれている。そして、最終的には、工場の電気などが止められ、中国人社員はバスに乗せられて強制的に中国に送還されたという。

    こうした事態を受け、駐北朝鮮中国大使館も仲裁に入ったが、解決には至らなかった。最終的には、北朝鮮側が西洋に3000万ドルあまりの保証金を支払い、北朝鮮から撤収することになったが、北朝鮮からの支払いはまだ行われていないという(これ、上記、「聯合ニュース」より)。

    西洋は、保証金の支払いと選鉱施設の運転停止を求めている。

    これに対して「労働新聞」の記事では、次のように述べている。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-05-0051

    まず、西洋の告発を敵対勢力のメディアが大々的に報じることを次のように非難している。曰く、「一般的に経済取引関係で発生する紛争解決は、契約の該当仲裁条項にしたがって処理するのが国際的慣例であり商業倫理であ」るが、それを大々的に報じるのは、「中朝友好関係にくさびを打ち込もうと」しているからである、と。
    そして、西洋との関係については「朝鮮嶺峰連合会社と西洋集団鋼鉄有限集団公司間で結んだ契約締結及び履行過程と紛争過程を概観すれば、西洋集団に契約破棄の責任がないということでもなく、むしろ契約上の義務履行状況を見ると、西洋集団により致命的な責任があるものと法律上解釈される」と西洋側に責任があることを強調している。

    そして、西洋集団側の責任として「西洋集団は、契約が発行されたときから4年間、出資義務を現物で50%程度しか履行していない」、「そのため、双方で1段階投資完了スケジュールと操業問題を巡る協議をしたが、合意に至らなかった」、「西洋集団が紛争責任の重要な論拠として提示している16種の条項問題についても、法律的見地から解釈すれば、双方の契約書で『朝鮮民主主義人民共和国合営法に基づき締結する』とすることに合意しているので、それに合うように契約を履行していくことは当然の契約上の義務となる」と主張している。

    ここで言う「16種の条項」とは、北朝鮮側が契約締結後に求めてきた各種使用料などについてである。西洋側は、契約にないことを事後的に請求してきたと非難している一方で、北朝鮮側は「合営法」の規定が変わればそれに従うべきだとかわしている。契約書が公開されていないので分からないが、契約事項の中で「合営法」で定める事項と契約で定める事項は区別されていないのであろうか。北朝鮮の場合、合営法=契約内容となるのであろうから、確かにいくら契約条項にあるとはいえ、合営法が変わったからそれに従えと一方的に要求されるのでは、合弁相手も不満をいうであろう。

    このほかにも労働新聞では「西洋集団は、試作品販売代金処理と関連し、当該財政管理規定による代金処理手続きを無視し、中国国内で自社の債務解決のために独断的な処理方法を主張した」とも述べている。これは、西洋集団が、北朝鮮側が試作品の中国搬出を許可しなかったと主張していることへの反論であろう。

    そして最後に、北朝鮮は「時代発展の要求と国際投資関係発展の合法則的要求に合うように、国際投資関係をさらに拡大発展させるための投資環境を改善・完成させ、互恵尊重と平等、互恵、法遵守の原則で国際投資関係を発展させるため、全ての投資家の合法的権利と利益を保障する」としている。

    中朝合弁のトラブルがこれほど大きく報じられ、それに北朝鮮が応じたのは初めてであろう。未確認であるが、西洋集団は中国の500大企業の1社であり、しかも海外から原料を調達して鉄鋼生産をしていることからすれば、国有企業であることは間違いない。国有企業が、このように北朝鮮批判を公然としたのは、中国政府のお墨付きがあったからとみて良いであろう。中国政府は、西洋集団の北朝鮮非難という形で、北朝鮮に対し汚職の防止、投資担当部署の一元化、投資関係法令や規則の透明性確保、契約の遵守などを求めているのであろう。

    実はこれ、中国も歩んできた道なのであるが。

    「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会決定 第104号 2012年9月3日 最高人民会議招集について」(2012年9月5日 「労働新聞」)

    最高人民会議が招集された。

    「労働新聞」の記事によると、9月25日に最高人民会議第12期第6次会議を9月25日に招集するとのことだ。この会議では、北朝鮮の「経済改革」が発表されるのであろうか。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-05-0007

    「<録画報道>敬愛する金正恩元帥様が開業を前にしたヘマジ食堂を視察された」(2012年9月1日 「朝鮮中央TV」)

    戦線視察から平壌に戻った金正恩さんは、休むことなく積極的に現地指導を続けている。朝鮮人民軍武装装備館にあらたに付設された「電子図書館」の視察に続き、平壌の「ヘマジ食堂」を視察した。「ヘマジ」とは「太陽に当たる」という意味であるが、どうやらオープンカフェではなく、指導者を示す「太陽」との関連でのネーミングのようである。命名者は、金正恩さんとのことである。

    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-01-12-y.flv

    食堂とはいうものの、内部には、スーパーや喫茶店、パン・ケーキ屋などが併設された総合食料品販売施設のようである。まず、果物販売コーナーを視察したようだが、北朝鮮では収穫できるはずのないバナナ、パイナッツプル、ドラゴンフルーツまで置かれている。中国南方からの輸入なのかもしれないが、外貨不足の朝鮮人民の口には実際に入らない果物であろう。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-01-12-y.flv

    また、インスタントコーヒーなどを販売するコーナーも視察している。NESCAFEの袋が見えるが、こちらも中国から輸入したものであろう。なので、本物という保証はない。平壌から開城に向かう高速道路の休憩所で、NESCAFEコーヒーを飲んだが、やたらと甘いだけで、あまりコーヒーという感じはしなかった(私は、ブラック派)。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-01-12-y.flv

    「ヘマジ食堂」で特徴的なのは、朝鮮語表記と並んで、英語表記がされていることである。外国人が、日常的にこのスーパーに買い物に来るとは思えないので、英語表記を付け加えたのは、デザイン的な発想か、それとも国際化か。金正恩さんは、5月にもこの食堂の視察をしているが、その時に英語表記をするよう指示を出したのかもしれない。

    수산물(水産物)という朝鮮語表記の横にSEAFOODと書かれている
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-01-12-y.flv

    こちらはCOFFEEとしか書かれていないように見える(コーヒーの絵の下に朝鮮語表記があるのか?)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-01-12-y.flv

    金正恩さんは、食品販売コーナーを見ながら関係者に「商品は問題なく調達できるのか」と質問したとのことである。これに対して、関係者がどう答えたのかは報じられていない。北朝鮮では、小売りシステムの整備よりも、むしろ供給システムの整備・強化が必要であるということを考えての発言であれば立派だ。

    また、ポップコーンのいい臭いがすると、ポップコーンも試食した。

    ポップコーンの袋を持つ李雪主さん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-01-12-y.flv

    主体の国北朝鮮に「米国の植民地南朝鮮」にもないような食べ物があった。「朝鮮中央TV」のアナウンスを聞いて信じられなかったので、「朝鮮中央通信」の記事でも確認したのだが、なんと「鉄板バーガーピビンパ」がそれである。このバーガーたるもの、恐らくは高麗航空機内で出された「サンドイッチ」に挟まれていた不思議な味のバーガーなのだろうが、それにしてもである。そもそも、こんな薄っぺらい鉄板上で「비비다」(混ぜる)ことができるのであろうか。朝鮮人民が喜べばそれで良いのであるが、実に奇妙だ。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-01-12-y.flv

    また、このレストランでは各国の料理を出すらしく、その料理に合った部屋が準備されているとのことだ。

    日本料理を出す部屋か?
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-09-01-12-y.flv

    ともかく、せっかく「軍人建設者」が建てた立派な建物なので、空転しないように十分な食品供給体制を構築して欲しいものである。

    「米国の対朝鮮敵対視政策は朝鮮半島核問題解決の基本障害 朝鮮民主主義人民共和国外務省忘備録」(「労働新聞」 2012年9月1日)

    「朝鮮中央通信」がこのような記事を配信し、「労働新聞」にも同様の記事が掲載された。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-01-0030&chAction=L

    記事の内容は、基本的には「米国が北朝鮮を敵対視しないといいながらも、実際には敵対視している」という非難である。記事には現状だけではなく、これまで米国が行ってきた、北朝鮮が主張する「対北朝鮮敵対視政策」が、解放前後から時系列的に書かれており、資料性は高い。それだけあって長文で、「労働新聞」のpdf版を見ると、5面の約4分の3を占めている。

    ここでは、いくつか興味深い記述について紹介しておくことにする。

    記事は、やはり2.29合意の話から始まり、4月13日のロケット発射に際しそれが「長距離ミサイルと同じ技術を利用した発射である」ことを理由に、米国が合意の履行を中断したことを非難している。そして、「衛星を発射する運搬ロケットでも弾頭を搭載するミサイルでも、その推進技術は類似したものであることは事実である」とその類似性を認めている。これまでの北朝鮮外務省スポークスマン談話などをざっと確認してみたが、「長距離ミサイルではない」という主張のみで、「推進技術が類似している」ことを認める内容はない。そもそも、2.29合意が破綻した最大の原因は、米朝間で「ミサイルかロケットか」という「目的」に関する主張が異なったからである。米国務省定例記者会見でも、2.29協議の過程でこの点がどのように双方で確認されたのかについては曖昧にされてきた。
    今回の「忘備録」でも、結局は、その「目的」の正統性を他国のロケット発射と比較しながら米国を非難しているが、「推進技術」について言及したことは興味深い。というのは、そもそも「弾道ミサイルの推進技術を利用したロケット発射も禁止」しているのは、国連安保理決議1874であるからである。北朝鮮は、これまで安保理決議は不当として無視してきたが、今後、「推進技術」についても米朝協議の中に盛り込んでいこうという考えの表れではないのだろうか。もちろん、この記事からすれば「推進技術が同じでもロケットとミサイルは区別しろ」という主張に使われると思われるが、発射の「目的」ではなく「推進技術」自体を問題にするとなれば一歩前進である。

    「忘備録」の終わりの方では、米国へのメッセージとして「米国には、まだ二つの道がある」、「一つは、冷戦の思考方式を大胆に根本的に変え、時代錯誤的な対朝鮮敵対視政策を放棄することで朝鮮半島の平和と安全にも寄与し、自国の安全も確保する道である」とした上で、「偉大な指導者金正日同志は、既に1997年8月4日、我々は米国を百年宿敵とみなそうとはしておらず、朝米関係が正常化されることを望んでいる」、「敬愛する金正恩元帥様は、我々に友好的に対する国家とは過去にとらわれずに関係発展の新たな道を開いていくことを望んでおられる」と金正日さんについては対米関係、金正恩さんについては諸外国との関係の正常化を望んでいることを紹介している。金正日さんの言葉は、少し古いので確認に手間取るが、金正恩さんの「過去にとらわれず関係発展」という言葉については、少なくとも彼の「労作」などでは確認できない。第16回非同盟諸国会議で8月30日に演説した金永南さんも奇しくも金正恩さんの言葉として同じ表現を使っている。もしかすると、これは北朝鮮からの対米関係のみならず、ゆっくりと動き出した対日関係改善へ向けてのメッセージではないだろうか。

    「労働新聞」:「第16非同盟諸国会議で最高人民会議常任委員会委員長金永南同志演説」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-01-0012&chAction=D

    もちろん、「もう一つの道は、今のように米国が敵対視施策を継続的に維持し、それに対処して我々の核兵器が継続的に拡大強化されるというものである」と米国を威嚇することも忘れていない。

    米国の大統領選挙を前に、少しずつ揺さぶりをかけようという戦略であろうか。
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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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