「<記録映画>敬愛する金正恩元帥様をお迎えし金日成軍事総合大学創立60周年を盛大に記念」(2012年10月30日 「朝鮮中央TV」)

    金日成軍事総合創立60周年記念関連行事を集めた「記録映画」が昨夜「朝鮮中央TV」で放映された。

    金日成・金正日銅像の除幕式に際し金正恩さんが長い演説を行っている。

    演説をする金正恩
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-17-y.flv

    金正恩さんの演説もだんだん上手になってきているようである。初回の演説で見られた体を振る落ち着かない動きも少なくなっている。演説内容については、聞いた限りでは特記すべき内容はないようである。ただ、この演説はこれまでになく長かったようで、演説の中間部分をカットして李春姫アナウンサーが要約しているようである。金正恩演説の全文は本日(10月31日)の「労働新聞」には掲載されていないが、後日掲載される際にこの要約部分がどのような扱いになるのかに注意して見なければならない。労働党幹部の演説が要約されることはしばしばあるが、金正恩演説が要約されたことはこれまでなかったはずだ。そもそも、北朝鮮において指導者の言葉というのは、一字一句にまで意味があるのであり、それを要約することなどあってはならないと思っていたのだがどうなのだろうか。

    続いて写真撮影などいくつかの関連行事が紹介され、モランボン楽団の公演の様子も紹介される。注目すべきは、李雪主夫人がどれだけ映し出されるのかということであるが、公演紹介の前半部分では金正恩さんを中心に据え、李夫人を意図的にカットするよな編集が見られた。これは李夫人を隠すための編集なのかと一瞬思ったのだが、公演終了の場面では李夫人の下半身が太くなっている様子が分かるようなカットがいくつも映し出された。

    意図的にカットしたように見えるカット。左が李夫人。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-17-y.flv

    ところが、公演終了部分では大写しに。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-17-y.flv

    踊り場で
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-17-y.flv

    背後から
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-17-y.flv

    相変わらず金日成・金正日バッジを着用していない李夫人であるが、これらの写真からもほぼ妊娠説は確実のように思われる。

    「20時報道」:万寿橋清涼飲料店竣工、平壌テギョン海苔加工工場操業、大学生情報科学技術展示会開催、平壌産院乳腺腫瘍研究所(2012年10月31日 「朝鮮中央TV」)

    昨夜の「20時報道」には、なかなかおもしろい報道があった。

    まず、万寿橋清涼飲料店竣工の報道である。「清涼飲料」というので、ジュースのたぐいを出す店だと思ったのだが、酒類も提供する。しかも、過去記事でも話題にした生ビールをピルスナーとおぼしきビールから黒ビールまで多種の提供を始めたようである。

    万寿橋清涼飲料店
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    多種の生ビール
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    上の写真にもあるように、ビールは1から7まで7種準備されている。初めは目を疑い、グラスのサイズが違うだけかと思ったのだが、そうではなく「中身」が違うようだ。

    黒ビールを大ジョッキに注いでいる。後ろの棚には焼酎なども置かれているようだ。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    パンをつまみに生ビールはいただけない。フライドポテトも並んでいるので、そちらの方が良い。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    パン類。ハンバーガーも数種準備されている。サンドイッチの左横にある食べ物はなんだかよく分からない。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    清涼飲料店を建設した人民軍軍人にも黒ビールなどが振る舞われたようだ。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    過去記事にも書いたが、「先軍政治」は人民軍軍人を実にうまく使っていると思う。「先軍政治」という語感からは、日々戦争を引き起こすために戦闘訓練を行っている軍人が想像されるが、実は、そういう軍人もいるにせよ、相当数が訓練もそこそこに建設作業に充当されているような気がしてならない。上で「うまく使っている」と書いたのは、人民を軍人にしておけば自ずと政権(党や指導者)に対する忠誠心は高くなるし、統制もしやすい。さらに、平時には建設工事(北朝鮮では、工事もというか何でも「戦闘」というのだが)をしている彼らも、有事には軍人として本当の「戦闘」で戦える。軍というのは、技術的なスピルオーバーはあるにせよ、民生部門に対しては総じて負の経済的効果しかない。しかし、北朝鮮ではトータルで負であったとしても、正負の分岐点にかなり近い位置にあるような気がする。

    もしかすると、核やミサイルの開発などコストが大きな事業を除外すれば、正なのかもしれない。そう考えると、憲法に「核保有国」と明記し、その実はさておき「軍事大国」になったと謳っておき、軍を経済建設に動員するのはうまいやり方なのかもしれない。社会主義経済の配給システムが機能している(といわれている)北朝鮮では、軍人を食わせるのも民間人を食わせるのもどのみち国家なのだから、制服を着せようが平服を着せようが食わせるコストには大差がないはずである。

    金正日時代の「核・ミサイル開発」という「先軍政治」の本質を、金正恩時代には「先軍」を標榜しつつ「経済」にシフトさせようとしているのかもしれない。

    「20時報道」では、平壌テギョン海苔加工工場の操業についても伝えられた。

    平壌テギョン海苔加工工場
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    平壌訪問時に海苔を食べたかどうか記憶が定かではないが、日本でも人気のある「韓国海苔」を加工生産する工場のようだ。

    海苔の加工生産ライン
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    海苔製品
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    日本が強力な経済制裁を北朝鮮に課す前には、北朝鮮からは海苔も含む海産物が相当量日本に輸出されていた。もし、北朝鮮から「朝鮮海苔」が輸入されるようになれば、「韓国海苔」の数分の一の価格で販売することができるはずである。もちろん、紙のような海苔ではなく、パリッとした海苔が供給できればであるが。

    続いて「20時報道」では、「第4次全国大学生情報科学技術成果展示会」が開催されたというニュースを伝えている。

    金日成総合大学の展示コーナー。黄色いポスターには「熱風」と書かれている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    ノートPCを操作する大学生。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    この展示会は、コンピューターのソフトウェアやハードウェアの展示会かと思ったのだが、そうではなくノートPCを使って自分たちが開発した技術を紹介する展示会のようだ。

    鉱物採掘現場での発破技術を紹介。画面には「逆起爆を適応した発破穴の効果的利用方法」と書かれている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    遺伝工学の研究か。「遺伝と変異」と書かれている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-30-19.flv

    上に「ソフトウェアの展示会か」と書いたが、実は10月18日から数日間、平壌で「第23次全国プログラム競演及び展示会」というものが開催された。こちらはまさにソフトウェアを展示し、評価表彰する催しであった。この催しの報道で興味深かったのは、「競演」と呼んでいるコンテスト部門に「コンピューターウィルスワクチン競演」部門があったことである。これを聞いて直ぐに思ったのは、コンピューターウィルスをばらまく邪悪な人間がいる「資本主義」世界や「社会主義市場経済体制」の国から遮断されている純粋な北朝鮮で「コンピュータウィルス」なんて存在するのということである。自らがそれを製造して敵国にサイバー攻撃を加えることこそあれ、朝鮮人民が我々のようにコンピューターウィルスに悩まされる事態は現状では発生していないはずである。あるとすれば、中国から不正に持ち込まれたソフトウェアにウィルスが紛れ込んでいるということであろうか。それとも、敵が北朝鮮に対してウィルスによるサイバー攻撃を仕掛けたとき、それを駆除するためのプログラムということであろうか。

    「労働新聞」:「第23次全国プログラム競演及び展示会閉幕」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-26-0040&chAction=D

    過去記事に「平壌産院ユソン中央研究所」の「ユソン」の意味が分からないと書いたことがあるが、昨夜の「20時報道」では文字が出たので「乳腺腫瘍研究所」ということが分かった。そもそも「腫瘍」を「中央」と聞き違えていたわけで、お恥ずかしい限りである。結局のところ、その時にも書いたように乳癌について研究をするところのようである。

    さて、李雪主さんも出産の際には平壌産院に入院するのであろうか。それとも、平壌産院の医師を邸宅に呼んでの出産となるのであろうか。

    「<録画報道>敬愛する最高司令官金正恩元帥様をお迎えし金日成軍事総合大学創立60周年記念モランボン楽団講演開催」(2012年10月30日 「朝鮮中央TV」)

    既に日本のメディアでも伝えられているが、李雪主さんが久々に公の場に姿を現した。李さんの妊娠説については、過去記事にも書いたが、「朝鮮中央TV」の「録画報道」に出た写真を見ると、その可能性も高い。

    入場する金正恩夫妻。李夫人は階段の手すりに手をかけている。転ばないように気をつけているのであろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12126

    会場での拍手に答える金正恩夫妻。李夫人の下半身全体が太ったようにも見える。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12126

    いずれこのモランボン公演の様子も「記録映画」か「実況録画」が公開されるであろう。李夫人の体型をさらに詳しくチェックするのも楽しみだが、モランボン公演を見るのも楽しみだ。静止画からも今回もまた派手な公演であることが分かる。ただし、演奏された曲目は、「録画報道」によると北朝鮮歌謡のみのようである。ただ、演奏曲目の中に「父母の青春時代」と「母の声」が含まれており、李夫人と関連がある可能性がある。いずれの曲も歌詞を聞くと例によって「母=朝鮮労働党」という構図の中の歌なのかもしれないが、特に前者は何か意味があるのかもしれない。

    妊娠が明らかに分かる李夫人を公の場に連れ出したとすると、金正恩さんは子供についてもオープンにしようという考えがあるのかもしれない。李さんが妊娠していると分かれば、出産へ向けての国家的なカウントダウンが始まり、出産日後には国家的な祝賀行事があってもおかしくない。

    金正恩夫妻には既に子供がいるという説があるが、そうだとすると、今回のみ子供を大々的に公表し、既存の子供は公開しないというのは不自然な気がする。金正恩さんが新しい保育園を訪問した際に、子供をかわいがっていた場面を紹介しながら、金さんには子供がいるのではないか過去記事に書いたが、もしかすると今回の子が第一子になるのかもしれない。

    記事にしようと思ってしなかったが、10月27日付けで「朝鮮中央通信」が「母の日制定記念切手発行」という記事を配信している。これについても韓国や日本のメディアで既報であるが、記事によると「母の日制定」は既に5月に「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常務委員会政令」で「金日成同志が第1次全国母親大会で『子女教養での母親の任務』という歴史的演説をなさった11月16日を母の日と制定すると発表した」ことに基づいているとしている。

    母の日記念切手
    mothersday stamp
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    したがって、「母の日制定」と李夫人の妊娠は直接的な関係はないのかもしれない。ただし、「労働新聞」の過去記事を調べてみても、この「政令」なるものは出てこない。全ての「政令」を公開しているわけではないのだろうが、公開しても当たり障りのない「政令」を公開しないのもおかしな話である。

    切手を見ると母親が抱いているのは女の子である。金正恩夫妻は既に生まれてくる子供の性別が分かっていて、女の子を描いたというのは深読みしすぎであろう。

    将来、第4代の「独裁者」になるのかは別とし、本当に李夫人が妊娠しているのであれば、元気な子供を産んで欲しいものである。

    「羅先-元汀道路開通式開催」(2012年10月26日 「朝鮮中央通信」)

    羅先経済貿易地帯と朝中国境の町である元汀をつなぐ道路が完成したと「朝鮮中央通信」が伝えた。「朝鮮中央通信」は、この他にも「羅先経済貿易地帯管理委員会事務庁舎着工式開催」、「羅先経済貿易地帯管理委員会看板除幕式開催」についても報道した。

    羅先-元汀道路
    rasonwonjong road
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/goHome.do?lang=kor

    そもそも、羅先-元汀道路の元汀なる場所がよく分からなかったので、いろいろ調べていたら日本の国交省のHPに出ていた。

    国交省 「アジアハイウェイ路線とその現状」
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    Source: 国交省HP、http://www.mlit.go.jp/kokusai/kokusai_tk3_000103.html

    国交省HPによると、羅先-元汀道路は、上の地図右上のAH32区間で、総延長は60kmとのことである。写真にも見られるように、しっかりとしたガードレールも設置された、きれいな道である。元汀は北朝鮮領内なので、中国の 圏河へは図們江を渡らなければならない。現在も元汀と圏河間には橋があるが、古い橋なので重量の重いトラックが大量に通過させるには不安があるとのことである。そこで、2013年の着工を目指して新しい橋の測量作業が進められているようだ。

    「毎日中国新聞」:「中国と北朝鮮の国境を繋ぐ2本目の橋、13年に着工へ」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121021-00000002-xinhua-cn

    この橋が完成すれば、今回の道路の開通と合わせ中国東北部と羅先間の物流ルートは格段に改善されることになる。中国は「北朝鮮・羅津(ナジン)港の4-6号埠頭を開発し、50年間使用する」契約を北朝鮮と締結しているので、これらの埠頭を利用しながら中国南部や海外との物流コストや輸送時間を減らすことができるであろう。
    「中央日報(日本語版)」:「中国、北朝鮮羅津港4-6号埠頭50年使用協約を締結」
    http://japanese.joins.com/article/113/136113.html?servcode=500§code=500

    ところで、「朝鮮中央通信」の報道で興味深いのは、今回の報道では「朝中共同開発、共同管理羅先経済貿易地帯」と冒頭で紹介した同通信の3つの報道全てで書いているのだが、今年7月2日付の同通信報道「羅先経済貿易地帯開発事業活発」という報道では、「朝中共同開発、共同管理」という語句は見当たらない。よく分からないのは、羅先経済貿易地帯を区切って「朝中共同開発、共同管理」区域を設けているのか、それともプロジェクト毎に「共同開発、共同管理」が行われているのか、可能性は低いと思うが羅先全体を「共同開発、共同管理」区域としてしまったのかということである。

    「朝鮮中央通信」の記事には「道路工事全過程は、両国間の親善関係を進展させ、羅先経済貿易地帯朝中共同開発、共同管理事業の正当性と活力を誇る契機となった」と羅先市人民委員会副委員長が祝辞の中で述べたと伝えている。詳細は伝えられていないが、この道路工事は資金と資材を中国側が提供し、北朝鮮側は労働力のみを提供したのであろう。中朝間の羅先については利益が一致する部分が大きいので、共同開発も比較的順調に進んでいるが、黄金坪や威化島の開発はなかなか北朝鮮の思惑どおりに進まない現状にある。

    開通式の様子
    rasonwonjong open
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/goHome.do?lang=kor

    しかし、「アジアハイウェイ」などというプロジェクトがあったことを忘れていた。釜山から圏河まで朝鮮半島を縦断する道路が完成した折には、是非、自分の車で走ってみたいものである。

    国交省HP、「アジアハイウェイ」トップページ:
    http://www.mlit.go.jp/kokusai/kokusai_tk3_000071.html

    「20時報道」:新型田植機(2012年10月24日 「朝鮮中央TV」)

    「<記録映画>偉大な転換の1970年代」という過去記事で、下の写真のような北朝鮮の田植機について紹介した。

    1970年代の田植え風景
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-02-15-y.flv

    ところが、「20時報道」で運転手のみで田植え作業ができる田植機が開発されたという報道があった。

    海州連結農機械工場の支配人 オ・チャンシクさん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-24-19.flv

    オ・チャンシクさんによると、この田植機はそれまで使っていたものと比べ軽く、使用部品点数が少ないばかりか、運転手が一人で田植えをすることができるとのことである。北朝鮮の田植え報道に登場する田植機は、上の70年代式の田植機ばかりであったが、今後はこのタイプが普及していくのであろうか。

    田植機全景
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-24-19.flv

    自動田植え装置
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-24-19.flv

    この自動田植え装置の構造がどれほど複雑であるのかは分からないが、ロケットを打ち上げられるぐらいの技術力を持つ国で今までできなかったということはないであろう。もちろん、軍需と民需は全く別のトラックで技術開発が進み、軍需から民需へのスピルオーバーもないのかもしれないが、それでも何とかなりそうなものである。

    恐らく、このような田植機がこれまで開発されなかったのは、農村における労働力が豊富にあり、このような田植機で省力化する必要性に迫られなかったからであろう。基本的に労働力の状況は今も同じであるはずだが、今後は省力化できるところは省力化して、農業生産力を強化していこうという試みであろうか。

    来年の田植えシーズンの報道にこの新型田植機が登場するのかが楽しみだ。

    小倉紀藏編『新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮 市民経済と大衆文化が明らかにする真実の姿』(角川書店、2012年8月)

    頂いたコメントに対するお返事として書いていたのだが、記事にしておいた方が良いと思うので、こちらに書くことにする。

    少し前であるが、小倉紀藏編『新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮 市民経済と大衆文化が明らかにする真実の姿』(角川書店、2012年8月)という本が出版された。最近届いたので、昨日「はじめに」の部分だけ読んだのだが、世の中には「同志」がいるものだと思った。

    何が「同志」かというと、マスコミ報道のあり方に対する小倉さんの考えもさることながら、下記の記述である。

    ++++++++
    北朝鮮を訪問する日本人は年間にのべ数百人しかいない。このような状態のとき、「おれだけが北朝鮮の本当の姿を知っている」という「特権層」が出現し、その人たちが提供するかたよった像が権力を持って流通するようになる。(前掲、小倉、p.10)
    ++++++++

    小倉さんは、自ら北朝鮮を訪問し、自分の目で確認することで、このような状況を打破しようと考えているようであるが、私が北朝鮮がインターネットで発する情報を基に拙ブログを書き出したのも、まさに「特権層」にチャレンジしてみようという考えがあったからである。つまり、「朝鮮中央TV」視聴し、「労働新聞」や「朝鮮中央通信」の記事を読むなどということが経済的にも時間的にも大変困難であったときは、こうしたソースに接することができる「特権層」がそこからえら得る情報を、善意か悪意かという意図にかかわらず選別し、分析・報道していた。しかし、北朝鮮がネット配信を開始したことにより、ソースに直接接し、自ら選別したものを分析できるようになったことは、北朝鮮流に言えば「一大事変」といえる。

    誤解を招かぬように書いておくが、「特権層」による研究の中には、尊敬に値する素晴らしい研究も多くあり、それが日本ばかりか世界における北朝鮮研究に大きく貢献してきたことは間違いない。しかして、状況が変わった今、私のような新参者が「お手軽情報、しかしてオリジナル・ソース」を利用しながら、「特権層」ならずも大幅に遅れてでもレースに参加できるようになったとのはやはり「一大事変」である。

    実をいえば、私も2010年に北朝鮮を訪問するまでの北朝鮮を見る目は、小倉さんが批判する日本のマスコミのそれと大差はなかった。さらにいえば、そもそも情報を得ることもできない国なので、研究対象にもならないと勝手に決めつけて諦めていた。ところが、2010年の訪朝で案内員ドンムたちと大同江ビールを飲みながら夜ごとカラオケで話をし、私の中にあった無機的な北朝鮮観が有機的な北朝鮮観へと一転した。この国にも人々が生活しているのだと。「千万軍民」ではなく、普通の人々がである。

    奇しくも、その翌年ぐらいからであろうか、北朝鮮がネットでの配信を拡充し始めた。そして、2011年12月に金正日さんが死去し、金正恩体制が発足した。若いリーダーは何を考え、北朝鮮をどうしようと思っているのか。そんなことを追ってみようと、日々の報道をチェックして見落とされがちな出来事も記録しておこうと拙ブログを書き始めた。

    ブログを書いていておもしろいのは、世の中の人々が北朝鮮のどのような出来事について関心を持っているのか何となく分かることである。拙ブログを掲載しているFC2には「アクセス情報解析」という付加機能があり、どういう記事が読まれているのかということが分かるようになっている(個人情報など全く分からないのでご心配なきよう)。最近では、金ハンソルさんに関する記事が比較的読まれているようであるが、マイナーな話題である「ジャンボタニシ」の記事なども時々読んで頂いているようである。また、北朝鮮で洪水や台風による被害があったときには、それに関する記事もかなり読まれていた。もしかすると、小倉さんが心配するほど日本における北朝鮮認識も悲観的ではないのかもしれない。

    以上、小倉さんの著書に絡めて色々書いてきたが、上にも書いたとおり、同書は「はじめに」しか読んでいない。最後まで読むと同書にはもっと他のことが書かれているのかもしれないが、「はじめに」に強く同感したので、どうしてもこの記事が書きたかった。いずれ最後まで読むが、間違いがあれば「追記」で訂正することにする。

    「20時報道」:アンビョン郡ファサン里で柿が豊作(2012年10月23日 「朝鮮中央TV」)

    「20時報道」の中でアンビョン郡ファサン里で柿が豊作という報道があった。

    報道によると、同地は北朝鮮の柿の名産地ということで、今年も「家が見えないほど」柿がなったという。

    たわわに実を付けた柿の木
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12045

    また、農民同盟委員長の金チャンスさんは、「台風や雨の影響で柿の収穫量が減るのではないかと思っているかもしれないが、見てのとおり村全体が柿で埋もれて家がよく見えないほどである」と嬉しそうに語っている。

    金チャンス農民同盟委員長
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12045

    レポーターは、柿の木を一番多く植えていると農場から紹介された農家を訪ねてインタビューをしている。インタビューに答える張オクスンさんは、柿の木を20本ほど「育てて(植えて)」おり1本当たり平均200kg、合計4トンの収穫量を見込んでいると話している。

    柿を収穫する張オクスンさん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12045

    渋柿なのか甘柿なのかは分からないが、農民たちは干し柿を作っている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12045

    柿が豊作なのはよいことであるが、この報道を記事にしたのは、それが理由ではない。9月末の最高人民会議では経済改革案は出されなかったと過去記事に書いたが、実は、特に農業部門で改革の部分的導入を行っているのではないかという情報がある。

    例えば:
    Los Angeles Times: North Korea farmers to test regime appetite for reform
    http://latimesblogs.latimes.com/world_now/2012/09/north-korea-farmers-market-economy.html

    それとこの記事との関係はというと、農民の張さんが「私の家では、柿を全部採って、日々の生活を補ったり、人民軍の軍人にも送ってやろうと思っています」と話している点である。張さんは、豊作なので、国家への供出分を超過する部分について、「日々の生活を補ったり、人民軍」への寄贈を述べているのか、それともこれらの柿の木は全て「自留地(庭)」で育てたものなので、張さん一家がその収穫物の処分権を有するということなのであろうか。「日々の生活を補う」ということは、柿を食べて飢えをしのぐということではなく、柿を売って生計を補填するという意味であろう。

    さて、この報道には豊作以上のメッセージが込められているのであろうか。

    「<録画実況>朝鮮労働党創建67周年慶祝国立交響楽団音楽会」:最近の出来事色々まとめて(2012年10月21日 「朝鮮中央TV」)

    記事にすべき出来事は色々あるのだが、雑用が多くなかなか記事にできない。そんな時、「国立交響楽団音楽会」の「録画実況」がアップロードされたので、聞いていた。

    「<実況録画>国立交響楽団音楽会」:
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-21-16.flv

    モランボン楽団も良いのだが、こちらも高尚でなかなかよい。私は音楽を評する能力など持ち合わせていないが、「国立交響楽団」の水準は高いのではないだろうかと勝手に思っている。

    やはり、フィナーレは「パルコルム」であったが、これ、なかなか私にとっては元気が出る曲である。「金大将」の歩みには期待を寄せているが、まだ腕を組んで、肩を組んで歩みを共にする判断には至っていない。

    韓国の「中央日報(日本語版)」に「改革・開放の動き見せた金正恩が「従来路線」を強調 なぜ?(1)(2)」という記事が出ていた。これは、10月16日の「労働新聞」社説で「金正日(キム・ジョンイル)時代の連続性を強調した」として、北朝鮮で改革・開放に向けた動きが後退しているのではないかという内容の記事である。

    「中央日報」記事:「改革・開放の動き見せた金正恩が「従来路線」を強調 なぜ?(1)」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121022-00000017-cnippou-kr
    同記事:「改革・開放の動き見せた金正恩が「従来路線」を強調 なぜ?(2)」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121022-00000018-cnippou-kr

    「労働新聞」記事:「생눈길을 헤치는 정신으로 창조하며 승리해나가자」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-16-0001&chAction=L

    「中央日報」の記事では、「労働新聞」の社説が金正恩さんの言葉を引用しながら、「従来路線」への回帰を示唆していると評しているが、私はそう読まない。過去にも書いた「1970年代のように」もそうであるが、やはり「大元帥様たち」の過去の業績は切って捨てることができないということだ。「中央日報」が問題にした記事も「ㅌ.ㄷ」すなわち「打倒帝国主義同盟」を組織することを金日成さんが提起したことと結びつけた記事であり、その系では「従来路線」を強調するのは当然である。そもそも、金正恩さんは従来路線の放棄などと、一度も言っていない。

    それは、主体で先軍であれ、はたまた名前を変えた金日成-金正日主義であれ、金正日愛国主義であれ、従来路線を継承してこそ、白頭の血統が受け継がれ、金正恩さんの正統性が保障されるのである。なので、それを否定することなどできようもない。これまで書きためたことを一気に書いているような気もするが、万景台革命学院と康磐石革命学院に送った、その後「労作」となる手紙の中でも、金正日さんの言葉を引用しながら、「血だけで遺伝はするが、思想は遺伝しない」と述べている。この言葉を、金正日さんがどこでどのように使ったのかはきちんと確認していないが、実にややもすれば「白頭の血統」の否定に繋がる言葉でもある。それを敢えて出して、思想も盤石にすることを金正恩さんの手紙の中で伝えたのは、「大元帥様たちの思想を学習すべし」というメッセージを伝えたかったのであろう。

    そして、それが今回の「従来路線」と同じ脈絡であり、すぐさま「改革・開放の放棄」とするのはやや短絡的である。また、「中央日報」の記事では「新しい雪道」(未踏の雪道)という言葉が、「従来路線」を継承完成するための「新しい雪道」と解釈しているが、「新しい雪道」とは必ずしも「従来路線」の継承完成ではなく、文字通り「是まで誰も歩んだことのない雪道」と解釈すれば、社会主義の枠組みの中で進める中国式とはことなる「改革・開放」という読み方もできる。北朝鮮の「改革・開放」は中国式でもベトナム式でもない、「新しい雪道」の「改革・開放」であると私は考えているし、この点については、奇しくも過日の中国におけるシンポジウムで発表した中国人学者の認識と共通している。

    それが、実態としてどのような「改革・開放」となるのかについては、未だに見えない。しかし、上記の「労働新聞」社説では、「時代的要求に合った革新」というような言葉は繰り返し使っているので、「革新」という言葉を使いながら、何かをしようとしていることは十分に考えられる。

    これがまさに「従来路線を堅持しながら」を標榜しつつ、進める「革新」の最も難しいところではないのかと思う。

    韓国の「脱北者団体」が北朝鮮に向けて風船ビラを散布することを計画したが、韓国警察に阻止されて霧散した。背景には、北朝鮮の「ビラ散布の場合には即時報復」という「通告状」への対応策と言うことであろう。にもかかわらず、この団体は別の場所からビラを散布したということであるが、北朝鮮がピンポイントで指定した「坡州市の臨津閣」からのビラ散布ではなかったので、北朝鮮による攻撃はなかった。「坡州市の臨津閣」から散布しても、いつものように北朝鮮が「笑止」する可能性は十分にあるが、別の場所からの散布であれば、後の非難こそあれ、インスタントな攻撃に結びつかなくとも、北朝鮮は恥をかくことにならない。

    「労働新聞」記事、「通告状」:「반공화국삐라살포행위를 물리적으로 진압해버릴것이다 조선인민군 서부전선사령부 공개통고장」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-20-0024&chAction=L

    「時事通信」:「非難ビラ、別の場所から散布=北朝鮮の反発必至―韓国団体」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121022-00000131-jij-int

    色々と書いたが、話を戻すと「国立交響楽団」の「パルコルム」が一気に溜まっていたことを書く契機を作ってくれたわけで、やはり「パルコルム」は私にとって元気の出る曲ということであろうか。あとで、ウリミンゾクキリにコメントでも書いておくことにする。

    そういえば、過去記事でも話題となった、モランボン楽団のリーダーの名前であるが、間違ったままでウリミンゾクキリのコメント欄に掲載されている。チェックが入らなかったのか、それとも「尊厳」に関わらない間違いについては、そのまま見逃しているのであろうか。

    金ハンソル(金正男の息子)がフィンランドでテレビ出演(2012年10月19日)

    金正南さんの息子である金ハンソルさんが、フィンランドのテレビに出演し、フィンランドの元防衛大臣エリザベス・レーンさんのインタビューに応じた。この様子は、下記のYouTubeで見ることができる。

    Kim Han-sol interviewed by Elisabeth Rehn (1/2) :
    http://www.youtube.com/watch?v=T_uSuCkKa3k

    Kim Han-sol interviewed by Elisabeth Rehn (2/2):
    http://www.youtube.com/watch?v=XSfVOf4OACs

    金ハンソルさんは、現在、ボスニア・ヘルツェゴビナのモスタルにある国際学校「ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)」に留学中であり、そこでの生活、マカオでの生活、そして幼少時代を過ごした北朝鮮での生活、将来の夢などについて語っている。YouTubeの番組自体はフィンランド語であるが、レーンさんとのインタビューは全て英語で行われているので、理解することができる。

    金ハンソルさんの英語は、完璧である。逆に、朝鮮語が話せるのかと疑いたくなるほどであるが、彼が朝鮮語を使う機会があったとすれば、幼少期を過ごした北朝鮮での生活とマカオ移住後の家庭内だけであろうから、もしかすると家庭内で使うような言葉以外は朝鮮語で話せないのかもしれない。一方、英語は大変クリアで、聞き取りやすいものである。

    彼は、朝鮮人民というよりもインターナショナル・シチズンという感じを受けた。北朝鮮とは一定の距離を置いているが、だかといって嫌ったり批判することもしない。祖父の金正日さんとは会ったことはないと語り、「いつか祖父が訪ねてきてくれることを望んでいた」とも語っている。レーンさんが「あなたが生まれたときに、お祖父さんはかわいい孫だと抱いてくれなかったの?」と尋ねているが、金ハンソルさんにはそういう記憶がないのは当然とし、生まれた孫をお祖父さんは見に来てくれなかったのであろうか。金ハンソルさんは17歳なので、北朝鮮は苦難の行軍のまっただ中、孫どころではなかったのか、それとも金日成さんに対する喪に服していたのであろうか。

    金ハンソルさんのお母さんは「一般市民」という。「一般市民」というのが、彼の中でどのようなクラスを指しているのかは不明であるが、少なくとも平壌市民であり、成分のよい人なのであろう。金ハンソルさんは、主として母方で育てられたという。

    インタビューを見て驚いたことは、金ハンソルさんが金正恩さんを「独裁者」と呼んだことである。インタビューの流れからして、レーンさんに促されて、あるいは彼女の言葉を受けて「独裁者」と言っているのではなく、彼自身がその言葉を選んで使っている。インターナショナル・シチズンの金ハンソルさんとしては、客観的に「独裁者」と言ったのであろうが、そうであるとやはり一般の朝鮮人民とは異質の感覚の持ち主ということになる。また、北朝鮮事情についてもあまり知らないようである。彼は、将来、南北朝鮮間をバスに乗って行き来できるような時代が来れば良いと述べ、それに対しレーンさんが「南北の離散家族が相互訪問したこともあったのではないですか?」と質問したのに対し、「過去には行われたが、今も続いているのかは分からない」と答えている。マカオには韓国人の友人もおり、来年はUWCに韓国人の友人が来るのを楽しみにしている金ハンソルさんであるが、やはり17歳の青年(少年)、政治のあまりややこしい話よりももっと楽しい話がたくさんあるのであろう。

    とはいえ、金ハンソルさんは、17歳にしては非常にしっかりとした考えや意見を持っている。私の周りにも彼よりも少し年上のオニイサンやオネエサンがたくさんいるが、彼らよりもよほどしっかりとしているというのが正直な感想である。

    将来、人道関係の仕事をし、北朝鮮に戻って祖国のために役立ちたいと語る金ハンソルさんであるが、果たして金正恩さんは彼を受け入れてくれるのであろうか。その前に、お父さんの金正男さんをどうするのかということが、問題となってくるのであろう。金正男さんは、食事の前に「おまえが食べているようなものを食べられない人がたくさんいるということを2回思いだし、感謝して食べなさい」と金ハンソルさんに教えたそうだ。その意味を彼がどこまで、そしてどのように理解したのかは分からないが、これからもっと勉強をして立派な人になってほしいと思う。

    「<時事解説>特等親日走狗としての朴正煕逆徒の醜悪な正体」(2012年10月17日 「朝鮮中央TV」)

    朴正煕元韓国大統領が、「日本陸軍軍官学校」への入学を嘆願する「血書」を書いたということから始まり、彼の学歴や日本軍での役割、その後、軍事クーデターを経て大統領に就任、日韓基本条約締結に至る過程、そして朴正煕記念館建設に反対する韓国人を北朝鮮式の解釈で紹介する「時事解説」番組があった。

    番組では、「満州新聞」に掲載された「血書」が日本の国会図書館で新たに発見されたといっているが、この記事はwikipediaにも既に掲載されているような記事である(ただし、wikipediaへの掲載写真は途中で切れている)。

    Wikipedia関連部分:
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%B4%E6%AD%A3%E7%85%95

    ところで番組では、朴正煕さんが書いた嘆願書の内容を紹介しながら、「왜놈 쪽발이들도 묵색게 할 정도의(日本人(日本人の蔑称を2つ並べてある)どもも赤面するような」親日売国行為を行ったとしている。それにしても、日本人に対する2つの蔑称を並べて使う言い方は強力だ。「일본놈、왜놈(2つとも日本人野郎)」という蔑称は連続ドラマの中でも使われていたが、「왜놈 쪽발이들」という「特等」蔑称は初めてのような気がする。脈絡からすれば、日本人はどうでも良く、いかに朴正煕さんが「特等売国奴」であるかを強調するために使っているのであろう。

    朴正煕記念館は2012年2月21日に完工しているので、今更という話ではない。

    「朴正煕大統領記念館記念事業会」HP:
    http://parkch.com/

    番組の最期の方で「南朝鮮の各界の人民がセヌリ党に反対する闘争を果敢に行っている」といっているので、同党候補の朴槿恵さんを間接的に攻撃するための番組であることが分かる。しかしそうであるならば、過去記事でも紹介したように同候補に対して「년(ニョン)」という女性に対する蔑称を既に使ったのであるから、「親日売国奴の娘、朴槿恵ニョン」と彼女の名前を出して攻撃しても良さそうなものである。敢えてそれをしないのは、彼女が当選した場合を考えてのことであろうか。

    コメントを下さる方々に感謝

    研究メモのようなつもりで、書き始めたブログですが、このところ定期的に見に来て下さるだけではなく、コメントを下さる方が数名おられます。私の間違いを正して下さったり、知らない情報を提供して下さったりと、とてもありがたい限りです。その上、皆さん非常に朝鮮半島事情についてお詳しいようで、それなりに朝鮮半島事情を知っているつもりの私も脱帽してしまうほどです。

    コメントにはできるだけ迅速にお返事を書くようにしていますが、場合によっては反映や返事が大幅に遅れることもあり得るということを予めお知らせしておきます。

    どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

    『<実況録画>敬愛する金正恩元帥をお迎えし開催された朝鮮労働党創建67周年慶祝モランボン楽団公演『嚮導の党を高く歌う』」(2012年10月12日 「朝鮮中央TV」)

    過去記事に書いたモランボン公演の「実況録画」を見た。今回もなかなか新しい趣向が入っていた。

    金正恩さんの入退場の音楽は、人民軍軍楽隊の演奏であるが、「愛国歌」も含めて残りは全てモランボン楽団の演奏である。今回の「愛国歌」は、バイオリンの独奏から入ったが、なかなか良い感じであった。

    「愛国歌」の演奏
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-12-14-y.flv

    興味深いのは、モランボン楽団員が敬礼をしていることである(下写真)。

    敬礼をするモランボン楽団員
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-12-14-y.flv

    何も敬礼で大騒ぎする必要もないと思うかもしれないが、北朝鮮の映像を見ていると敬礼をするのは「軍人」であり、民間人は敬礼はしない。これは、金日成・金正日銅像を参拝する場面などで明らかである(別記事にしようと思うが、そういえば、江界市に金日成・金正日セット銅像が建立された。花束を持って参拝する市民の姿は「20時報道」で紹介されたが、除幕式などは紹介されなかったようだ。金日成・金正日銅像の建立自体が、もう「一大事変」ではなくなったという意味であろうか。)

    話を戻して、次の写真を見て欲しい。

    敬礼をする最高司令官金正恩と敬礼をしない民間人張成沢
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-12-14-y.flv

    過去記事にも書いたが、張成沢は軍服を着て登場したり平服で登場したりしている(写真左)。軍人であり民間人という二重の身分を使い分けているのであろう。また、金敬姫さんも今回は平服らしきものを着て登場している(右端の女性)。金正恩さんは、人民軍の最高司令官(軍人)として敬礼をしているはずである。

    であるとすれば、モランボン楽団員は軍人なのであろうか。それとも単なるパフォーマンスなのであろうか。

    前後するが、今回の公演では出演者の名前が紹介された。興味深いのは、モランボン楽団のリーダーとおぼしきバイオリン奏者の名前である。

    楽団のリーダーらしき女性「シンウヒャンヒ」さん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-12-14-y.flv

    この女性の名前は4文字である。私が知る限り、朝鮮・韓国の姓は通常1文字(南宮など例外はあるが)、名は1文字ないし2文字である。これまで、4文字の韓国・朝鮮人名は見た記憶がない。ところが、この女性は4文字の名前なのだが、シンウが姓で、ヒャンヒ(香姫?)が名なのであろうか。それとも、シンが姓で、ウヒャンヒが名なのであろうか。あるいは、そもそもここに書かれているのは、彼女の名前ではないのだろうか。これ、例によってウリミンゾクキリに他のコメントに続けて「特にシンウヒャンヒドンムの演奏は最高です」と出しておいたので、どう掲載されるのかが楽しみだ。ユウンギョン(ユウンジョン?)さんのチェロの独奏もなかなか良かったのであるが、名前を確かめるために、シンウヒャンヒドンムを褒めておいた。

    公演で演奏された曲目は、概ね労働党に関する曲である。「党=母」という構図なので「母」というタイトルが付いた曲目が多く、金正恩さんの母、高英姫さんとの関係を疑い歌詞があるものは注意深く聞いていたが、特につながりのありそうな曲はなかったようだ。「母の声」などという曲は、もしやと思ったのだが、曲の最期の方で「党の声」と歌っていた。

    また、この演奏会で金正日さんの映像はクライマックスで金正恩さんと共に現地指導する様子が一度映し出されただけである。金正恩さんは、「私たちの願いは元帥様がご無事であること」と歌う曲の背景で執務風景が映し出されただけである。そういう意味では、労働党の創建記念日の演奏会であるということを差し引いても、相当に労働党に特化した内容であった。

    歌手の踊りはかなり派手であった。円陣を組んで、「元帥様」に尻を向けて歌う場面も見られた。

    派手なパフォーマンス
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-12-14-y.flv

    もう一つ注目すべきことは、金正恩さんの前に灰皿が置かれていないことである。金正恩さんが喫煙をする場面はしばしば放映されているが、確か、前回のモランボン楽団の公演ではタバコを吸いながら観覧していた。この公演、1時間半以上なのでヘビースモーカーとしては耐えられる時間ではない。もしかすると、画角外に灰皿が置かれていたのかもしれないが、そうでなければ、金正恩さんは禁煙かタバコを減らしたということであろうか。李雪主さんが妊娠したのを契機に禁煙をしたということも考えられないではない。もっとも、金正恩さんが住んでいるような御殿であれば、喫煙室などいくらでも造れるはずではあるが。

    灰皿はなさそう
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-12-14-y.flv

    「<録画報道>朝鮮労働党創建67周年慶祝モランボン楽団公演『嚮導の党を高く歌う』盛大に開催 敬愛する金正恩元帥が平壌市民と共に公演を観覧された」(2012年10月11日 「朝鮮中央TV})

    10.10労働党創建記念日と関連し銀河水楽団のコンサートは開かれたが、モランボンがないのでどうしたのかと思っていた。そしたら、モランボン楽団のコンサートも開催され、金正恩さんが観覧した。しかし、李雪主さんの姿が今回もない。その代わりに、叔母さんの金敬姫さんは2番目に名前が読み上げられている。李雪主さんについては「洗練された女性」と書いていた韓国メディアが「お嬢様で世間知らず」とこのところ評価を変えているが、韓国での評価はさておき、どうしてしまったのであろうか。李雪主さんは「金正恩さんよりも洗練されている」と過去記事に書いたたが、「世間知らずのお嬢さん」という評価には抵抗を感じる。というのは、韓国情報で言われるように、彼女が産婦人科医の娘であるとすれば、「世間知らずのお嬢さん」にはなれないはずである。逆に「たかが」産婦人科医に娘が「世間知らず」になれるとすれば、朝鮮人民は相当に良い暮らしをしているということになる。現代中国は分からないが、社会主義国の医師は決して金持ちではなかった。これは現在の北朝鮮についても同じことが言えるのではないだろうか。

    しかも、過去記事にも書いたとおり、スーパーのレジ袋をぶら下げて庶民宅を訪問するところなど、「世間知らず」のすることではない(詳細は省くが、2つの意味で)。

    しかしながら、彼女が出てこなくなったのは、心配は心配である。

    さて、モランボン楽団の公演は、相変わらず「派手」にやったようである。しかし、今回は「第2部」はなく、朝鮮歌謡のみで公演は終了したようだ。

    公演の様子
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-11-12-y.flv

    派手な演出
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-11-12-y.flv

    金正恩さんと金敬姫さん(右)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-11-12-y.flv

    なお、公演の様子の記録映画を今ダウンロード中である。前述のように銀河水公演が行われるも「記録映画」を放映しないのに、モランボンは直ぐに放映している。やはりモランボン楽団は別格の扱いを受けているのであろう。金正恩さんの指導の下にできたという所以もあろうが、やはり人民は「派手」なモランボン公演を期待しているのであろう。

    「朝鮮チーム国際サッカー連盟2102年7才未満女子ワールドカップ競技大会で第2位」(2012年10月13日 「朝鮮中央通信」)

    札幌で開かれた朝鮮半島関連シンポジウムを見て、福井で開かれた学会に出席して帰宅した。その間、金正恩さんが新たな(第4作?)労作を出したので、これについては記事を書こうと思うが、お手軽な方から書いておく。

    過去記事にも書いたワールドカップサッカー女子17才未満であるが、残念ながら北朝鮮チームは2位に終わってしまった。しかし、かなりの接戦であったようで前後半戦で1対1の同点、そしてPK戦の結果7対8でフランスに敗れたとこことである。

    北朝鮮チームが優勝するかと思っていたので、残念だ。

    「20時報道」:カメラ目線、咸鏡北道建設ラッシュ?、国防力3兄弟、10.10慶祝舞踏会、朝鮮女子サッカーチーム決勝へ(2012年10月10日 「朝鮮中央TV」)

    朝鮮労働党創建67周年を記念する10月10日の「20時報道」は、29分と長かった。トップニュースは、やはり金正恩さんに各国首脳が送った祝賀文であった。続いて、各地の人民が金日成・金正日銅像に参拝する様子などが伝えられた。参拝の様子はいつもと変わらなかったのだが、咸鏡北道の参拝風景の背景が気になった。というのは、ビル建設をしていると見られるクレーンが複数見られたからだ。番組では、建設地が咸鏡北道のどこなのかは触れなかったが、羅先市での参拝風景を別途紹介しなかったので羅先市なのかもしれない。

    背景に複数見られるクレーン。平壌以外でこういう光景が映るのは珍しい。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-10-25.flv

    「20時報道」では、途中からアナウンサー2名をLCDパネルを中心に左右に配置した構成になった。この番組の中では、カメラを引いて2人を映し出すなど、これまでは見られなかった手法も取り入れられていた。また、複数のカメラを使用していたようで、カメラを切り替えた際にアナウンサーが切り替えられたカメラの方に目線を移してていない。日本の報道番組では通常そうしていると思うのだが、「20時報道」でそうしなかったのは意図的なのか単なる不慣れなのかは分からない。

    カメラを見ずに話すアナウンサー
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-10-25.flv

    続いて、「改建(改良工事)」された万景台遊技場と大成山(テソンサン)遊技場からの中継録画が紹介された。この日は休日なので、かなり多くの平壌市民が遊びに来ている様子であった。おもしろかったのは、射的ゲームで遊んでいる3人兄弟を紹介する場面である。

    3兄弟(ウチョル国、ウチョル防、ウチョル力 君)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-10-25.flv

    インタビューアーは、「3人の名前を合わせると国防力ですね」と言っている。彼らの親も当然それを意識して付けたのだろうが、国と力はしばしば男の名前に使われる文字ではあるが、防という字が入った名前は私は見たことがない。

    射的ゲームを楽しむ ウチョル防 君
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-10-25.flv

    以前の報道でもこの射的ゲームは紹介されていたのだが、一体何を狙って打っているのか気になっていた。想像していたのは「米帝軍人」だったのだが、子供らしく動物であった。

    射的の的
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-10-25.flv

    北朝鮮を意識しすぎのように思われるかもしれないが、これには根拠があって、80年代の韓国のモグラたたきは「滅共ゲーム」と呼ばれ、モグラは赤い星の付いたヘルメットをかぶった共産軍兵士であったからだ。写真もあるはずだが、当時はデジカメなど存在しなかったので、どこかにいってしまった。

    北朝鮮では慶祝行事があると舞踏会が開かれる。研究室で院生と一緒にこの「20時報道」ではないが別の「20時報道」で紹介された舞踏会を見ながら、「皆、動員されているから嫌なのだろうか」と私が言ったら、院生が「合コンのような意味があるんじゃないですか」と言っていた。「合コン」という言葉はさすがに思いつかなかったのだが、男女が手を繋いで踊る機会などほとんどないであろう北朝鮮では、もしかすると「合コン」的な意味も多少はあるのかもしれないと思った。それにしても、この踊りは小学校でみんなに教えられるのであろうか。私が子供の頃は、小学校で体育の時間にフォークダンスを習ったが、今はどうなのか分からない。

    咸興市での舞踏会
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-10-25.flv

    17才以下女子ワールドカップサッカーで北朝鮮チームが快進撃している。対ドイツ戦では2対0で完勝した。決勝戦は13日にフランスとやるということであるが、頑張って欲しい。

    対ドイツ戦でゴールを喜ぶ北朝鮮選手
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-10-25.flv

    「労働新聞」印刷画面が保存できなくなった(2012年10月11日)

    「労働新聞」のpdf版のフォントが変わったという情報を頂き、早速見に行った。確かにフォントは変わっているようであるのだが、ファイルとして保存できなくなってしまったばかりか、pdf本体からの文字や写真のコピーもできない仕様になっている。印刷版の「労働新聞」は日々更新されサーバーには残さないので、私にとっては残念な仕様変更となってしまった。print screenを使って保存することはできるのだが、その後の画像処理などが必要なので手間がかかる。「労働新聞」など、どんどんコピーしてばらまいてもらった方が北朝鮮にとっては良いと思うのだが、なぜだろうか。

    全てにプロテクトがかかっている
    changed pdf

    <追記>
    「労働新聞」には連絡メルアドがないので、ウリミンゾクキリのメルアドにメールを出してみた。しばらくしても、メール不達のメッセージが返ってこないので、silibank.com サーバーを通じてメールは相手に届いたようだ。

    スペースの入れ方や用語など頑張って北朝鮮式に書いたつもりだが、返信はあるのだろうか。

    送ったメール:
    안녕하십니까?

    우리 민족끼리를 매일 보고있습니다. 조선에 관한 새소식들을 읽을수 있어서 아주 도움이 됩니다.

    이 홈페지하고는 직접적인 관계가 없습니다만 요즘 로동신문 인쇄판을 내려받을수 없게 되고 말았습니다. 이전에는 조선에서 중대 사변이 있을때에는 기록하기 위해 인쇄판을 내려받았는데 이제는 그것을 할수 없어서 아주 유감입니다.

    아떻게 이러한 문제가 있다는 것을 담당 일군에게 전해주셨으면 대단히 감사하겠습니다.

    한 로동신문 애독자

    <追記2>
    「保存ができないというコメント」と「保存はできるというコメント」、両方頂きました。結論から書けば、私もpdfで保存ができました。新聞画面でポインターを移動させると画面下に保存や印刷をするためのボタンが表示されます。こちらから保存をしてみましたが、問題なくできました。pdfのバージョン変更によるものでしょうか、ボタンの表示のされ方が以前と変わっただけのようです。

    <追記3>
    やはり、firefoxでの労働新聞がpdf保存は不安定なようだ。というのは、今朝、保存を試みたのだが、保存ボタンが表れない。Google Chromeであれば出るので、労働新聞用のブラウザはこちらにした方が良いのかもしれない。

    「朝鮮人民軍最高司令官金正恩同志が党中央軍事委員会と国防委員会、最高司令部作戦指揮メンバーと共に錦繍山太陽宮殿を訪れた」(2012年10月10日 「朝鮮中央TV」)

    金正恩さんが、朝鮮労働党創建67周年に際し錦繍山太陽宮殿を党・軍関係者と共に訪れたというニュースである。重病説がささやかれた、金敬姫さんも同行している。金敬姫さんは、この訪問に際しては黒い服を着ており、最近着用が増えていた軍服調の服は着ていない。また、軍服を着た人々が敬礼をしている中、「民間人」の金敬姫さんは敬礼をしていない。錦繍山太陽宮殿には、金正日の妹として訪れたということであろうか。軍服調の着衣で彼女が敬礼をしている場面は見たことないが、もしかすると、自己の立場を巧みに使い分けているのかもしれない。夫の張成沢さんも最近は平服が多いが、軍服で公の場に登場することもあった(記事には張成沢さんも同行していると書かれており、写真には金正恩さんと金敬姫さんを除いて残りは軍服を着ているので、張さんも軍服組に含まれているはずである。金正恩さんの右2人目か?)。

    「労働新聞」:「조선인민군 최고사령관 김 정 은동지께서 당중앙군사위원회와 국방위원회,최고사령부 작전지휘성원들과 함께 금수산태양궁전을 찾으시였다」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-10-0001

    錦繍山太陽宮殿にて
    宮殿金ケイヒ
    Source: 労働新聞、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-10-0001

    「朝鮮中央TV」の「録画報道」を扱っておきながら、なぜ「労働新聞」の記事の写真を掲載したのかというと、「録画報道」には金正恩さん一行の写真が一切出てこなかったからである。この「録画報道」は、アナウンサーの李春姫さんが「労働新聞」の記事と同じ内容を読み上げた。

    記事を読み上げる李春姫さん
    2012-10-10-13flv_000162240.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-10-13.flv

    李さんは、新しいスタジオになじまないのだろうか、ピンマイクを使わずに使い慣れたスタンドマイクを使ってアナウンスをしている。しかも、これまでの李さんのアナウンスのような抑揚が感じられず、淡々と記事を読み上げる最近の若いアナウンサーのスタイルのような読み方である。「李さん、どうしたの?」と言いたくなるのだが、何となく元気がない。李さんも時代の移り変わりを感じているのであろうか。金正恩時代に入って、彼女が登場する回数は減ったが、今回のように重要なニュースは相変わらず彼女が読み上げている。きちんと確認はしていないが、彼女は金日成・金正日両名の訃報を読み上げているはずである。日本では、涙ながらに訃報を読み上げる場面が繰り返し報道番組で流されてきたが、朗報を伝えるときには実に明るく笑みを浮かべながら原稿を読み上げていた。「朝鮮中央TV」のスタイルが変わりつつある今、李さんもいよいよ本格的な引退の時期となったのかもしれない。

    北朝鮮は、国防委員会声明に続き、祖国平和統一委員会スポークスマン談話、朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話を発表した。それぞれ、「朝鮮中央通信」で流されており、基本的には国防委員会声明を受け、表現を変えながら米国と韓国を威嚇している。

    ウリミンゾクキリには、祖国平和統一委員会スポークスマン談話までしか出ていないが、それを読み上げるアナウンサーの画像が下である。

    2012-10-10-21flv_000017320.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=11874

    こちらの若いアナウンサーはピンマイクを使用している。このアナウンサーも李さんほどではないにせよ、中堅所のアナウンサーだと思う。さすがに怒った内容の報道であるので、このアナウンサーも怒って読み上げている。しかし、やはり李さんの方が怒り方も上手のようで、迫力がある。もしかすると、最近の放送では「怒りながらも冷静に」という指示がでているのかもしれない。

    「20時報道」:労力英雄26号旋盤の写真、100才の抗日革命闘士に誕生日賞、元山市海岸遊技場、朝鮮トラの子誕生(2012年10月9日 「朝鮮中央TV」)

    過去記事を補充するような報道が「20時報道」であった。

    まず、「労力英雄」の称号を受けた26号旋盤である。
    2012-10-09-17flv_000156040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-09-17.flv

    見た感じでは、金正日さんが実習に使ったのは緑色の部分で、CNC化をするために灰色の部分が付け加えられたようである。背景にCNC旋盤のコントロールパネルらしきものが見えるが、これは別の旋盤ではないだろうか。プラスチックカバーで覆われている部分があるが、ここが金正日さんが手で触れて実習を行った部分なのかもしれない。

    100才の抗日革命闘士、全ムンジンさん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-09-17.flv

    100才の抗日革命闘士に金正恩さんが誕生日賞を贈ったそうだ。報道の中で全さんは、ゆっくりとではあるが、しっかりとした言葉で金正恩さんに謝辞を述べている。日本植民地時代を経験し、金日成、金正日、金正恩時代を生きる全さんは、今の北朝鮮をどう思っているのであろうか。

    元山市海岸公園のバイク電子ゲーム
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-09-17.flv

    これは、過去記事にした「特集」を再編しての報道であるが、本ブログのコメントでも話題になった右側のスローガンが何か読めたような気がする。コメントを下さった方は、「防堤をよけて世界を見よう!」と読めそうだとのことであったが、いくら国際化を進めようとする金正恩カラーとはいえ、どうもそれでは北朝鮮の実情に合わないような気がするので、もう一度、実情に合うようにという色眼鏡を通して読んでみた。それで、どう読めたのかというと、「자기 땅에 발을 놓고 옳은 세계를 보자!」と読んだ。訳すと「自分(自国)地に足を置いて、正しい世界を見よう!」である。「놓고 옳은」の部分が読みづらいのだが、「자기 땅에」はこれで正しいと思う。このスローガンであれば、外国製(恐らく日本のSEGA製、バイクには朝鮮製バイクの製品名らしきものが書かれているが)のゲーム機で遊んでも、朝鮮式の正しい世界観は忘れないようにという意味になる。子供は楽しければ良いので、スローガンなど見ないとは思うが。

    平壌の中央動物園で生まれた朝鮮トラの子
    2012-10-09-17flv_000690960.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-09-17.flv

    2009年5月に金正日さんが平壌の中央動物園に贈った朝鮮トラが子を産んだ。子は元気で食欲も旺盛だそうだ。鶏肉を丸ごと食べているようであるが、米報道官のヌーランドさも、さすがに「そんなことよりもまず人民に食べさせること」とは言わないであろう。

    「米国務省定例記者会見」:北朝鮮国防委員会声明に関して(2012年10月9日 「U.S. Department of State」)

    やはり10月9日の米国務省定例記者会見で北朝鮮国防委員会声明に関する質疑応答があった。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefing Oct 9, 2012;
    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/10/198745.htm#NORTHKOREA

    ヌーランド報道官は、北朝鮮は米本土も射程に収めたと主張しているが、北朝鮮のミサイル能力をどう評価するのかという質問に対して、「ミサイル能力を自慢するのではなく、北朝鮮は人民を食べさせるべきだというのが国務省の第一のコメントだ」とした上で、「北朝鮮は、威嚇と挑発では何も得られないことを理解しなければならない」とし、ミサイル能力については「ここでは軍事情報については触れるつもりはないので、想像に任せる」とかわしている。

    また、韓国のミサイル射程距離延長問題については、「これらの変更は防衛的性格のものであ」り、「ミサイル射程距離については2001年以来変更しておらず、その間に北朝鮮は(ミサイル)能力を拡充してきたことは明らかである」から、「これらは、それに対応するための我々の防衛措置である」と答えている。

    この質問をした記者が誰だか分からないが、質問が悪い。大体、北朝鮮のミサイル能力など4月のロケット打ち上げ失敗を見ても明らかだし、その後、打ち上げ実験はしていない。したがって、北朝鮮が主張するように米本土に到達するようなミサイルなど持っているはずもない。北朝鮮の主張に真実があるとすれば、「日本とグアム島」に到達するミサイルを持っているというところまでである。なので、ヌーランドさんのレスポンスは、順当である。

    私の関心としては、前記事にも書いたように、北朝鮮が主張する「最近の米朝公式・非公式接触」についてと「韓国のミサイル射程距離延長をするについて、周辺国、特に日本との調整を行ったのか」という点であるのだが、そのことについては全く質問が出なかった。定例記者会見にいるMattという記者は、鋭くかつ執拗な質問をするので私は好きなのだが、この日の定例記者会見には彼はいなかったのであろうか。ビデオ版を見ていれば、誰がMattか分かるのであるが、時間を省くためにスクリプトを読んでいるだけなので分からない。

    ウリミンゾクキリ:修正されたコメント(2012年9月9日 「ウリミンゾクキリ」)

    ウリミンゾクキリに投稿したコメントが掲載されていることについては、過去にも書いたが、金正日-盧武鉉会談の「記録映画」に対するコメントも出た。ところが、今回は投稿した字句が修正されている。

    私が言いたかったことは、「私は外国人ですが、近いうちに北南首脳会談が再び行われることを願っています」ということである。これを

    「저는 외국인이지만 가까운 시일 안에 북남 상봉이 다시 일어질 것을 기원합니다.」と投稿したら、

    「저는 외국인이지만 가까운 시일 안에 북남 상봉이 다시 있어질 것을 기원합니다. 」

    と修正された。韓国ではよく使われる表現なので、間違ってはいないと思ったのだが、念のために同僚の韓国人の先生に尋ねてみた。その先生は、修正された方よりも、私が書いた方が韓国語としても自然との答えであった。韓国の先生なので、北朝鮮の言い回しについては分からないとのことだったが、どうなのであろうか。

    私が書いたものは「일어지다」、「成される」「達成される」という意味の単語なのであるが、修正された方は「있어지다」、「あるようになる」という意味の単語である。朝鮮語として間違っていなかったとすれば、何か政治的な理由から修正を加えたのであろうか。元帥様を扱う言葉であるから、何か規定があるのかもしれない。

    <追記>
    本件に関して、いろいろな方からコメントを頂戴した。頂いたコメントへの返信にも書いたのだが、私の表記が不適切であったことが判明した。

    何が不適切であったかというと、이루어지다 という辞書形を連体形(未来)にして 이루어질と表記すべきところを 일어질 と表記したのが不適切であった部分である。『朝鮮語大辞典』には일다は되다や이루어지다の「古語」と書かれているので、일어지다は지다を重複使用していることになり、もしかすると不適切どころか間違いなのかもしれない。

    なので、uriminzokkiriの担当者が 있어지다 に修正したのかもしれない。しかし、返信にも書いたとおり、投稿文のコピーがないので、そもそも있어지다と私が書いたのかもしれない。

    いずれにせよ、コメントを下さった方々に感謝したい。

    「朝鮮民主主義人民共和国国防委員会スポークスマン声明」(2012年10月9日 「朝鮮中央通信」)

    韓国軍のミサイルの射程距離延長に関して、北朝鮮国防委員会が声明を出した。

    KCNA「조선민주주의인민공화국 국방위원회 대변인성명」
    javascript:onTopNews('specialnews','2012','1053412')

    それによると、米国が繰り返し述べてきた北朝鮮を敵対視していないという言葉が嘘であるということが、今回の韓国に対する射程距離延長許可で確認されたとしている。

    それと関連して興味深いのは、声明の中で「最近、我々と公式・非公式の席上で会談した米国家安全保障会議と中央情報局の重鎮政策作成者たちも米国の対朝鮮敵対視政策はないと語った」と述べていることである。米国務省は、北朝鮮とはTrack2、つまり非公式な接触があり得ることは認めていたが、公式な接触、しかもNSA(国家安全保障会議)やCIA(中央情報局)の担当者との接触については「ない」と言っていた。国務省では、これらの接触をTrack2に分類していたのかもしれないが、そうでなければ、北朝鮮が秘密接触を暴露した形になる。

    そして、こうした状況に対応するために「我が軍隊と人民は、それに対応する軍事的準備を万全の体制に強化するであろう」とし、「戦略ロケット軍をはじめとした我が白頭山革命強軍が傀儡の本拠地だけではなく、神聖な我が祖国の地を強制占領している米帝侵略軍の基地はもちろん、日本とグアム島、さらには米国本土にまで命中打撃圏を広げているということを我々は隠さない。我々には、米国と傀儡どもを初めとした、全ての追随勢力の核には核で、ミサイルにはミサイルで対応する全ての準備が整っている。残るのは、我々の断固たる行動のみだ」と警告、威嚇している。

    米国務省のHPを見たが、韓国軍のミサイル射程距離延長や北朝鮮の反応についての言及はない。日本時間の今夜行われる定例記者会見で質疑応答がなされると思うが、特に、北朝鮮との接触についてどのようなコメントを出すかが注目される。

    「<特集>幸福の笑いの花咲く風景-江原道元山市海岸遊技場-(2012年10月8日 「朝鮮中央TV」)

    元山市に完成した海岸遊技場を特集した番組を「朝鮮中央TV」が放映した。この遊技場が新たに作られたのか、既存のものを改築したのかについては分からない。しかし、この「特集」で印象的だったのは、元山市民が実に自然にこの遊技場の楽しさについて、そして元山市の発展状況についてインタビューに答えていることである。「20時報道」でもインタビュー報道を放送するが、その問答やシチュエーションは初めから設定されているのがよく分かる。しかし、この番組では、突撃ではないにしても元山市民はこの遊技場に対する自分の気持ちを正直に語っているような気がする。もちろん、「金正恩元帥様が・・」という発言はあるが、その他はとても自然な感じがする。

    海から見た元山市
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-08-17.flv

    海岸遊技場
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-08-17.flv

    記者の質問に答える中3の少女たち。勉強で疲れた頭が、この遊園地で遊ぶとスカッとする言っている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-08-17.flv

    平壌のルンラ遊園地と比較しながら、海岸遊技場があるので、平壌まで行く必要はないといっている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-08-17.flv

    特にこの場面では、後ろに集まってくる人を規制していないようで、日本のマスコミが渋谷でインタビューをした時に背景に集まってくる人々の様相と似ている。

    3日連続で訪れたという人。初めは翌日の仕事に影響があると心配したが、気分が爽快になるのでそういうことは全くないと語っている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-08-17.flv

    それにしても元山の「海岸遊技場」、そして前記事の「恩情総合奉仕所」はいつ建設したり改良工事を行ったのであろうか。平壌の万景台遊技場に大々的に改良工事の宣伝をすることなく、地方でも静かにこうした工事が行われているということを伝えたいのであろうか。

    もしかすると、このところ多く伝えられる遊技場建設や改良工時報道の中に埋もれて見落としただけなのかもしれないが、とても気になる。

    バイクの電子ゲームに乗る少年。左の緑色の看板には「我が国最も良い」という古典的なスローガンが書かれているのだが、右側は「世界を見よう!」と書いてあるようなのだが、その前が読み取れない。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-08-17.flv

    「<画面日話>先利便性、後美学性」(2012年10月8日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」が「恩情総合奉仕所(恩情総合サービスセンター)」を紹介する番組を放映した。「恩情総合奉仕所」という施設については聞き覚えがない。しかし、金正恩さんが現地指導をしているので、この施設については過去に報道されているはずである。そうだとすると、名称変更をしている可能性もあるのだが、過去の動画や静止画とのすり合わせをまだしていないので、元の名称については確認できていない。

    恩情総合奉仕所外観
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-08-16-y.flv

    この施設は既に完成しているようであるが、完成前に金正恩さんが現地指導に訪れ、あれこれと指導をしたという逸話の紹介である。この番組のキーワードは「先便利性、後美学性」であるが、その実例をいくつか紹介している。

    まず、金正日さんは食堂の椅子に座り、同行した党幹部にも椅子に座ってみるように促したとのことである。党幹部が椅子に座ると、座り心地について金正恩さんが尋ね、こんなに背もたれが直角の椅子では「座り心地も悪いし、まるで食べたら直ぐに出て行けと言っているようなものだ。しかも、消化にも悪いだろう」と笑いながら話したそうである。そして、「快適さがまず先にあり、その次が美学だ」と語ったとのことである。

    「快適さがまず先にあり、その次が美学だ」と語る金正恩さん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-08-16-y.flv

    その話を聞いた、党幹部たちは椅子を改良し、このような椅子にした。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-08-16-y.flv

    確かにこの椅子の方が座り心地は良さそうである。

    金正恩さんは、同奉仕所に設置されている「喫茶店兼生ビール」の店も訪問した。ここでは、椅子は満点ではないがそんなに悪くはないと評し、改良までは指示しなかったようだ。それよりも、私が驚いたのは「生ビール」の存在である。羊角島ホテルのカラオケには、毎晩案内員ドンムと行ったという話は過去に書いたが、ここには生ビールはなかった。このホテルに、カラオケ以外にラウンジがあったのかどうかは、残念ながら忘れてしまったが、あったとしても生ビールは存在しなかったのではないだろうか。その生ビールが人民奉仕所で販売されるとすれば、これはなかなかの「革新」である。しかして、生ビールはどこが提供するのであろうか。生ビールもビールも基本的な製造方法は同じであろうが、その流通方法は相当に異なる。それに対応した生産施設も作ったということなのであろうか。

    「喫茶・生ビール」と書かれた部屋
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-08-16-y.flv

    番組では、金正恩さんが、複数の「奉仕所」のサービス競争をさせようという提案をしていることも紹介している。金正恩さんは、過去にも子供用長靴の製造工場どうしの競争をさせようという話をしたことがあるが、「先利便性、後美学性」という「時代語」(番組ではそう紹介している)は、言い換えれば「実用第一主義」ということであろうか。人民に対するサービスをするのであれば、適当に「やりました」ということではなく、サービスらしいサービスをしなさいということを言いたいのかもしれない。この番組だけでは、それが指導者の言葉に盲目的に従う「忠誠」をもとめているのか、上に書いたような「実用第一」を求めているのか分からないが、前者はずっとやられてきたことであるので、もし金正恩カラーを出したいのであれば、後者ということになろう。また、この考え方を拡大すれば、北朝鮮の経済改革にも当然繋がっていくことになる。

    直接的な比較はできないが、軍事独裁政権末期の韓国には、無意味なスローガンや形式的に設けられた無意味な施設があった。年を取った今であれば「まあまあ」という気持ちで見られるが、まだ若くてカリカリしていた当時はそれらについて何か反感を覚えたものである。

    若い金正恩さんも「意味のないこと」を何とかしようと思っているのであろうか。しかし、独裁政権下では「意味のないこと」を意味があるかのごとく人民に振る舞わさせるのも重要な統治手段であろう。このバランスをどうするのか。

    板門店脱走事件、韓国のミサイル射程範囲拡大(2012年10月8日)

    板門店での人民軍兵脱走事件、韓国のミサイル射程範囲の拡大などについては、北朝鮮は未だに見解は表明していないようである。

    板門店での脱出事件は、韓国では「帰順」という扱いであるが、北朝鮮にとっては「敵前逃亡」しかも同僚(小隊長)を殺害しているので「殺人事件」でもある。北朝鮮は、これに対して「人間の屑」と通常の脱北者のように切り捨てるのか、軍法はさておき、刑法上の「殺人罪」の「容疑者」なので送還を要求してくるのか、まだ分からない。韓国報道を読む限り、「警戒勤務中に小隊長と分隊長を射殺した」というのは脱走兵の供述であり、韓国軍は銃声しか確認していないようである。韓国側も慎重に調査しているであろうが、この脱走事件自体が韓国側に何か言いがかりを付けるための謀略の可能性も排除できない(銃声などいくらでも出せる)。国際法上、休戦状態の2国間で殺人を犯して脱出した軍人の扱いはどうなっているのであろうか。今後何らかの展開があろう。

    「聯合ニュース」:「北朝鮮兵士の亡命 緊張感に包まれる韓国軍」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121007-00000000-yonh-kr

    韓国のミサイル射程拡大については、韓国大統領は「北の脅威を防ぐ」とコメントしている。しかし、韓国が先制攻撃をかけない限り、例え北朝鮮全域をカバーするミサイルを配備したとしても「脅威を防ぐ」ことにはあまり貢献しないと思う。北朝鮮が韓国に対するミサイル攻撃を決定するとき、そうでなければ混乱の中で偶発的にミサイルが発射されるとき、韓国にミサイルがあるかないかなど関係ない。それは、ミサイル攻撃の決定であれば自滅覚悟であるし、偶発的発射であるならば合理的判断が入り込む余地などないからである。韓国がこれに対してミサイル攻撃を加えたとし、韓国側が受けるダメージをどれだけ軽減できるのかについても疑問である。

    これまで、米国が射程拡大を許可しなかったのは、上記のように実質的に抑止力が低い上、周辺諸国、特に中国に対して脅威となることを憂慮したからである。日本についても大阪を含む西日本はその射程に収まっている。日韓関係が良好で、軍事協力関係強化(例えば、軍事情報包括保護協定(GSOMIA))が話し合われている時期ならまだしも、この時期にというのはタイミングが悪すぎる(海上自衛隊のヘリコプターが事前通告をした上で韓国の防空識別圏に侵入したことを騒ぎ立てているこの時期にである)。日本の防衛当局は、韓国軍のミサイルを「友軍のミサイル」とみるのか「潜在的敵軍のミサイル」とみるのか。日本がミサイル防衛システムを構築する上で、この判断はとても重要である。米国は、この決定について周辺諸国、とりわけ日本との調整をきちんとしたのであろうか。

    「聯合ニュース」:「韓国軍弾道ミサイル破壊力 最大4倍へ=指針改定で」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121007-00000010-yonh-kr

    日韓関係がこのまま最悪の方向に転がっていくとは決して思わない。竹島問題も尖閣問題も、日中韓の政権交代の時期が奇しくも重なり、それぞれの国の政府が外交を軽視しながら国内向けのパフォーマンスに奔走した結果である。日韓に関しては、麻生元首相が訪韓をして調整をするとのことである。首相としての麻生さんは余り評価しないが、麻生さんが持つパイプを使って日韓関係を前向きに転換させることができるのであれば、素晴らしいと思う。

    「朝日新聞」:「日韓協力委7日から訪韓 麻生元首相ら大統領訪問へ調整」
    http://www.asahi.com/politics/update/1006/TKY201210060232.html

    ウリミンジョクキリの「朝鮮中央TV」関連投稿(2012年10月6日)

    過去記事に書いた投稿後、「ソンピョンの作り方」、「偉大な転換の1970年代」、「朝鮮半島鳥類図鑑;キタタキ」という3つの番組への投稿をし、それらがウリミンジョクキリに掲載された。昨日、「<記録映画>金正日-盧武鉉会談」への投稿もしたが、まだ掲載はされていない。

    「ソンピョン」と「キタタキ」は政治性ほぼゼロ。「1970年代」も内容ではなく「日本では普通見られない動画が見られた」というコメントで政治性ゼロ。「金正日-盧武鉉会談」には、「近い将来、北南会談がまた開かれることを願っています」と若干政治性を帯びたコメントを出した。

    先ほど見たら、「朝鮮」からの投稿が掲載されていた。過去に「ソウル」からの投稿もあったので(私が韓国のホテルや空港から試した限りでは、ウリミンジョクキリはブロックされており韓国では見ることができない)、「朝鮮」も「やらせ」であろう。

    それはそうと、「ケウォルヒャン」というテレビ連続ドラマが人気がある。「懲罰」並におもしろいようなコメントがあるので見ようと思ったのだが、現状「第11部」以降のアップロードしかない。1部から見なければ意味がないと思い、見ていないのだが、欠如しているファイルを投稿して欲しいという要望が多い。

    「20時報道」:ハプチョン江工事、オスプレイ、SONY BRAVIA(2012年10月6日 「朝鮮中央TV」)

    昨夜の「20時報道」を先ほど見た。

    「20時報道」:
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-06-17.flv

    数日前から、ハプチョン江改建工事に朝鮮人民や人民軍が動員されているニュースが繰り返し伝えられているが、何のためにこれほどの人を動員して工事をしているのか分からない。北朝鮮報道で人民軍が工事に従事している映像はしばしば伝えられるが、民間人と軍人がこれほど多く動員されている映像はこのところ見なかった。しかも、どうも映像を見ると人が集まってはいるが、効率的に使われていないようである。これが「1970年代のように」という精神主義的な動員であるとすれば、私が期待している金正恩スタイルからは大きなセットバックである。

    効率的に使われていない人民と精神主義を語る女性
    2012-10-06-17flv_000626040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-06-17.flv

    良いのだがHYUNDAI(韓国・現代)製のパワーシャベル
    2012-10-06-17flv_000599840.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-06-17.flv

    また、この日の「20時報道」の海外ニュースでは、沖縄で行われたオスプレイ配備反対デモの様子も伝えられた。

    普天間飛行場のオスプレイ
    2012-10-06-17flv_000839760.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-06-17.flv

    オスプレイ普天間配備に反対する人々
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-06-17.flv

    また、「ある国で開催された」展示会で大画面・高精度テレビが展示されたことも伝えている。見れば、SONYのBRAVIAで、「20時報道」ではこれからこういうテレビが使われるようになるとしている。

    SONYのBRAVIA
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-06-17.flv

    「朝鮮人民軍最高司令官金正恩同志が国家安全保衛部に高く頂いた偉大な領導者金正日大元帥様の銅像を視察された」(2012年10月7日 「労働新聞」)

    こんな記事が出たので、「いつの間にこんな所に金正日銅像ができたの?」と思ったのだが、「国家安全保衛部」は、金正恩さんが出席することなく銅像除幕式が行われた、朝鮮人民軍第10215部隊のことであった。「労働新聞」の記事には、それが同一部隊であるとの記述はないが、添付された写真を見ると同一であることが分かる。

    「労働新聞」:「조선인민군 최고사령관 김정은동지께서 국가안전보위부에 높이 모신위대한 령도자 김정일대원수님의 동상을 돌아보시였다」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-07-0001

    「労働新聞」の記事は長いので読むのが面倒だと思っていたら、「朝鮮中央TV」に「録画報道」があった。この報道では、労働新聞記事を読み上げるだけで、静止画を見せることはなかった。報道によると、やはりこの金正日単独像は初めて建立されたものであり、他からも建立の請願があるものの、同保衛部にまず建立したのは「祖国と人民を保衛する闘士」に対する「党の信頼と信任のあらわれ」だ、「国家安全保衛部は、敵に対する小さな幻想や譲歩も、必ずや死であり自滅の道であるということを人民の胸に深く刻み込むための事業をしっかりとしていかなければならない」と金正恩さんは語ったそうである。

    同保衛部はそういう機能を有していることは分かっていたが、それを敢えて金正恩さんが言っているということは、思想的な締め付けの強化であろうか。「1970年代のように」というスローガンとの関連で気になるところである。

    金正日銅像を視察する金正恩さん
    金正日単独銅像と金正恩
    Source: 労働新聞、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-07-0001

    「朝鮮中央TV」:「[록화보도] 조선인민군 최고사령관 김정은동지께서 국가안전보위부에 높이 모신 위대한 령도자 김정일대원수님의 동상을 돌아보시였다」
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-07-14.flv

    <追記:2012年10月8日 14:17>

    「毎日新聞」に「<北朝鮮>金正日総書記の初の単独銅像 忠誠心強化狙う」という記事が出た。記事には「国家安全保衛部に故金正日(キム・ジョンイル)総書記の単独の銅像が初めて建てられ」、「昨年12月の死去後も、これまでは故金日成(キム・イルソン)国家主席と並んだ銅像を設けただけだった」と記されている。

    完全に誤報とはいえないが、本ブログにも書いているように、国家安全保衛部前に建立された単独銅像と朝鮮人民軍第10215部隊が同じであるとすれば、「初の単独銅像」ということになる。しかし、この記事では「朝鮮人民軍第10215部隊」についての記述はない。10月3日に「労働新聞」で報じられた「主体の先軍太陽を千万年頂く熱火のような忠誠の情を噴出-偉大な領導者金正日大元帥様の銅像を朝鮮人民軍第10215軍部隊に高く頂いた」は、未確認なのであろうか。安全保衛部と10215部隊が異なるのであれば、「初の」ではないし、同一であれば報道のタイミングを逸している。

    記事の内容も「初の」ということと「国家安全保衛部」を関連させるものなので、この辺りはもう少し踏み込んで記事にしてほしいところである。

    「毎日新聞」:「<北朝鮮>金正日総書記の初の単独銅像 忠誠心強化狙う」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121008-00000009-mai-int

    10月3日「労働新聞」に掲載された写真
    金正日単独像
    Source: 労働新聞、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-03-0001

    「エジプト、オラスコム電気通信手段および技術株式会社 理事長一行平壌子供食料品工場参観」(2012年10月6日 「労働新聞」)

    今年2月に平壌を訪れたエジプト、オラスコムの理事長が再び訪朝した。この「労働新聞」の記事では食料品工場やルンライルカ館を訪れたことしか書いていないが、そのためにわざわざ訪朝するはずなどない。北朝鮮の携帯電話ネットワークや、もしかすると無線インターネット(イントラネット)網の構築についての協議に来たのかもしれない。

    「労働新聞」:「에짚트 오라스콤전기통신수단 및 기술주식회사 리사장일행 평양어린이식료품공장 참관」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-06-0027

    平壌子供食品工場を参観するオラスコム理事長一行
    オラスコム理事長
    Source: 労働新聞、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-06-0027

    「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会政令 第2713号」:旋盤が労力英雄(2012年10月5日 「労働新聞」)

    この記事の正確なタイトルは、「조선민주주의인민공화국 최고인민회의 상임위원회 정령 제2713호 주체101(2012)년 10월 4일 평양방직기계공장 26호선반에 조선민주주의인민공화국 로력영웅칭호를 수여함에 대하여(朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会政令 第2713号 主体101(2012)年10月4日 平壌紡績機械工場26号旋盤に朝鮮民主主義人民共和国労働英雄称号を授与することについて)」である。称号授与については、対象が党や軍の幹部でなければ読み飛ばしてしまう。今回も功績のある工場労働者にでも授与するのだと思いよく読まなかったのだが、昨夜の「20時報道」を見ていたらこのニュースが報じられ、なんと旋盤を「英雄」という話で耳を疑った。旋盤工、つまり人ではなく、機械である。

    「労働新聞」記事:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-05-0003&chAction=L

    もちろん、この旋盤はそんじょそこらの旋盤ではなく、「史跡機械」だそうである。「史跡機械」である所以は、金正日さんが金日成総合大学で革命活動をしているときに平壌紡績機械工場に生産実習に来て、自ら設備管理、設備管理の崇高な模範を見せた模範機械創造運動を始めた時に使った機械だからだそうだ。

    それはよいとして、この26号旋盤は、なんと50年間も機械の「満稼働、満負荷」(最高の負荷をかけた状態で、トラブルなく稼働)したそうで、その後CNC化の改造が行われ、多くの部品を加工してきたそうだ。そもそも、50年前の機械を改造してCNC化できるのかどうか疑問であるが、できたとしても相当に手間がかかる(ほとんど作り直しに近い)であろうから、普通ならば廃棄して、新しいCNC旋盤と入れ替えるところであろう。

    北朝鮮では、金日成さんや金正日さんが「触れた」ものは、「史跡」としてガラスケースに入れられて丁重に保管されているが、この機械は実動してきたということであるとすれば、それはそれで凄いと思う。どんな機械なのか写真を見たいのだが、残念ながら北朝鮮メディアにはまだ掲載されていない。

    それにしても、過去記事の「1970年代のように」という記事と関連してか、このところ金正日称賛キャンペーンが静かに展開されているような雰囲気である。というのは、「人民保安大学を金正日人民保安大学と命名」などという記事も出ているからである。

    「労働新聞」:「인민보안대학을 김 정 일인민보안대학으로 명명 대학교직원,학생들의 결의모임 진행」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-06-0004

    それとの関連か、金正恩さんの動向も「親筆の手紙を送った」などというニュースばかりで、現地視察のニュースは止まっている。金敬姫さんはシンガポールから帰国したそうだが、9月25日の最高人民会議以降、何か起こっているのであろうか。

    「時事通信」:「金慶喜氏、治療後に帰国=北京から空路で―韓国紙」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121005-00000031-jij-int

    「<録画報道>偉大な領導者金正日同志が盧武鉉大統領と会談」(2012年10月4日 「朝鮮中央TV」)

    2007年10月2日~4日に盧武鉉大統領が平壌を訪問し、金正日さんと会談をした時の様子を伝える「記録映画」を「朝鮮中央TV」が放映した。

    以前、金大中大統領が訪朝したときの「記録映画」についても記事を書いたが、金大中さんは空路平壌入りしたが、盧武鉉さんは陸路平壌したのだったか。記憶が定かではないが、板門店経由で陸路で平壌に向かったような気もしている(少し調べれば分かることなので、そのうちに確認しておく)。というのは、この記録映画には、平壌空港の様子は全く出てこないし、しかも盧武鉉さんを最初に出迎えたのは金永南最高人民会議常任委員会委員長である。

    盧武鉉さんを出迎える金永南さん(平壌空港のようには見えないので、開城か?)
    2012-10-04-20-yflv_000048760.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    金正日さんは人民文化宮殿前で盧武鉉さんを出迎えた。
    2012-10-04-20-yflv_000261040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    この記録映画を見て思ったのは、金正日さんの盧武鉉さんに対する対応は、金大中さんの対するそれよりも冷たいということだ。やはり、反独裁闘争の過程で玄界灘に包帯にまかれて投げ込まれそうになった金大中さんと学生活動家の盧武鉉さんでは、金正日さんからの評価も違うということであろうか。

    北朝鮮の要人と握手をする盧武鉉さん。金正日さんは、後方でボーッしている。
    2012-10-04-20-yflv_000315000.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    盧武鉉夫妻への花束贈呈の場面でも、ボーッとしている金正日さん。
    2012-10-04-20-yflv_000318960.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    この動画を見てもう一つ感じたことは、2000年6月の南北首脳会談時と比べ金正日さんの覇気がなくなり、反応が鈍そうに見えるということである。金正日さんは、盧武鉉さんと会談した10ヶ月後の2008年8月には脳梗塞で倒れるのだが、やはりこの頃から体調は余り良くなかったのかもしれない。

    盧武鉉さんの宿所を訪ねた金正日さん
    2012-10-04-20-yflv_000606640.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    会談場にて
    2012-10-04-20-yflv_000834120.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    ところで、盧武鉉さんは万寿台議事堂や西海閘門で鑑賞録に署名をしている。

    万寿台議事堂での署名。「人民の幸福がいずる人民主権の殿堂」と書かれている。
    2012-10-04-20-yflv_000542640.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    西海閘門での署名。「人民は偉大だ」と書かれている。
    2012-10-04-20-yflv_000931280.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    「人民は偉大だ」はまだしも、万寿台議事堂を「人民主権の殿堂」とは韓国大統領らしからぬ(というか、としてはあらざる)文言というか、アマチュア大統領の盧武鉉さんだから書けたのだろう。

    盧武鉉さんは、平和自動車工場も訪問している。平和自動車工場の静止画や動画は初めて見た。

    平和自動車総合工場
    2012-10-04-20-yflv_000934520.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    車体組み立ての様子。車種はフィッパラムか?
    2012-10-04-20-ylv_000947480.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    エンジン
    2012-10-04-20-yflv_000953800.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    金正恩さんは、統一教会の文鮮明さんの死去に際して花輪を贈っているが、平和自動車以外にも北朝鮮に対して相当の資金提供をしたのであろう。よく分からないのは、明らかに統一教会の信者を獲得できない北朝鮮で文鮮明さんがこうした活動を行ったのは、対韓国の宣伝のためなのか、あるいは宗教とは関係なく北朝鮮への支援と考えたためなのかである。

    「労働新聞」:「경애하는 김 정 은원수님께서 고 문선명선생의 령전에 화환을 보내시였다」(花輪を贈った記事)
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-08-0007&chAction=D

    盧武鉉さんは、マスゲーム・アリランも観覧した(朝鮮半島右にある一番右の島は竹島(独島)か?)
    2012-10-04-20-yflv_001441320.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    「10.4北南共同宣言」に署名する金正日と盧武鉉
    2012-10-04-20-yflv_001519680.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    KBS WORLD Radio「南北共同宣言」全文(日本語訳):
    http://world.kbs.co.kr/japanese/event/summit_2007/sub_02c.htm

    ところで、韓国の野党、統一民主党の文在寅大統領候補が、「10.4南北共同宣言」に際して開催された討論会で、「韓半島(朝鮮半島)平和構想」なるものを発表した。基本的には、金大中・盧武鉉時代の太陽政策を踏襲する内容であるが、盧武鉉政権と異なる点は、韓国が単独で太陽政策を実施するのではなく、米中と調整をした上でということである。ただし、6者会談の枠組みの中で日朝関係改善も考えているようであるが、日本との調整については述べていない。それどころか、基本的に北朝鮮問題と関連のない竹島問題についても言及しており、大統領選挙に向けた国民向けパフォーマンスの側面も強い。ともあれ、北朝鮮を米中韓の経済関係に巻き込みつつ、核問題を徐々に解決しようという考えて方は正しいと思う。米大統領選の結果を見なければ分からないが、2.29米朝合意にもその精神は盛り込まれていたはずなので、米次期政権がそれを踏襲するのであれば、米国との調整はそんなに難しくないと思う。

    文在寅候補のHP:「[ 동행취재 24시 / 25] 다시 살아난 10.4」(竹島問題に触れた部分がある)
    http://www.moonjaein.com/with/299277

    野党系のウェブニュース「民衆の声」:「문재인, ‘한반도 평화구상’ 통한 북핵 해법 제시
    비핵화-평화체제 포괄적 접근 강조...2014년 ‘6개국 정상선언’ 로드맵」(日朝国交回復について触れている)
    http://www.vop.co.kr/A00000546730.html

    一方、与党セヌリ党候補の朴槿惠候補が北朝鮮問題についてどのような見解を持っているのかきちんと調べていないが、北朝鮮は彼女の西海上のNLL(北方限界線)発言に強く反発している。彼女が父・朴正煕が実行した5.16軍事クーデターについて謝罪した際にも北朝鮮は、彼女の名前を挙げて非難したが、NLL発言ではそのトーンを強めている。それが端的に分かるのは、5.16関連の反発報道の中では彼女を呼び捨てにしているだけであるが、NLL関連反発報道では、「박근혜년(朴槿惠ニョン)」と「ニョン」という女性に対する蔑称をつけている。男性に対する蔑称「놈(ノム)」はしばしば北朝鮮報道の中で見られるが、女性に対する蔑称「ニョン」は、私は初めて見たような気がする。もし彼女が大統領に当選し、南北関係に何らの改善が見られなければ、この「ニョン」という言葉を相当頻繁に見聞きすることになるのであろう。当面、北朝鮮にとっては文在寅候補の方が望ましいと思われるので、「ニョン」を付けるかどうかは別として、朴槿惠攻撃は強まるかもしれない。

    「労働新聞」:「조국평화통일위원회 대변인대답」(5.16関連の非難)
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-28-0029&chAction=D

    「労働新聞」:「불법무법의 《북방한계선》고수에 매달릴수록 차례질것은 시체와 죽음뿐이다
    조선민주주의인민공화국 국방위원회 정책국 대변인 기자의 질문에 대답」(NLL関連の非難)
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-30-0022&chAction=D

    話が随分それてしまったが、盧武鉉政権下で秘書室長だった文在寅さんは、盧武鉉さんと共に北朝鮮の記録映画にも登場しているようだ。「ようだ」というのは、本人かどうか100%確信を持てないからであるが、まず間違えないと思う。

    文在寅さんらしき人(左端)
    2012-10-04-20-yflv_000875360.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    金正日さんと握手する文在寅さんらしき人(セヌリ党からは「金正日に深々と頭を下げていると」反文在寅キャンペーンに利用されそうな場面)。
    2012-10-04-20-yflv_001755480.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-04-20-y.flv

    韓国政治はあまり真面目に勉強していないので多くは語れないが、今度の選挙、何か1987年の韓国大統領選挙と何となく様相が似ているような気がしてならない。というのは、87年の選挙では軍事政権継続か文民政権誕生かということが大きな争点となり、軍人出身の盧泰愚候補と文民出身の金大中、金泳三、金鍾泌候補が争った。結局、文民系の三候補は統一候補を擁立することができず、三候補の得票を加算すれば盧泰愚候補に勝てたのにという結果を招いた。まさにこの選挙が行われたのは私が韓国にいた時期であるが、選挙結果が発表された夜は、大学街を中心に統一候補を擁立できなかったことを悔やみ罵る声があちこちで聞かれたのを今でも覚えている。そういう私も明け方まで院生の友人と酒を飲みながらこの選挙について語り合っていた。これは昔話であるが、今回も野党の文在寅候補と安哲秀候補のいずれかが統一候補になれば朴槿惠候補に勝てるのではないかと考えているが、かなり高い確率で統一候補を擁立することができず、敗れるのではないだろうか、と予測している。前述したように、韓国政治は真面目に勉強していないので、たいした根拠もないのだが。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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