「先軍革命偉業継承の輝かしい1年」:金正恩、2012年総集編 (2012年12月30日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が金正恩さんが2012年1年間に行った現地指導などの総集編動画を配信した。もちろん、北朝鮮なりの総集編ではあるが、整理の意味で順を追って紹介しておく(写真は動画に登場した順。ただし、取捨選択している)。

    番組の冒頭画像「先軍革命偉業継承の輝かしい1年」と書いてある。動画は金正恩さんのテーマソング「パルコルム」をバックに進行する。
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    2011年10月8日の金正日遺言にしたがい、2011年12月30日、金正恩が朝鮮人民軍最高司令官に就任したことを伝える李春姫アナウンサー
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    金正恩最高司令官
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    左から2012年に急浮上した崔龍海(序列4位)、玄永哲(序列6位)、そして金正恩、この人も順位が上がった張成沢(序列5位)。序列はいずれも12月30日に金正恩さんがロケット打ち上げに成功した科学者・技術者のために開催した2回目の晩餐会の「朝鮮労働通信」紹介記事のもの。乗馬写真は、11月中旬に第534軍部隊直属騎馬中隊訓練場を視察した時のもの。
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    「白頭山革命強軍へ」
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    2012年1月1日朝、朝鮮人民軍近衛ソウル・リュギョンス第105タンク師団現地指導
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    2月、西部前戦の現地指導
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    4月、「敵と対峙している」板門店他、最前線部隊を現地指導(写真は、板門閣のテラスにて)
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    軍用小型船に乗って離島の現地指導も行った。
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    戦闘機の操縦席を見る金正恩
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    「8月の早朝、朝食も召し上がらず27馬力の小さな木造船」でヨンピョン島が望めるチャンジェ島の防衛隊を現地指導した。「27馬力の小さな木造船」の話は私には初耳だ。今年12月に石川県に漂着した北朝鮮の漁船よりはましな「木造船」だとは思うが。
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    大連合部隊の合同打撃訓練を現地指導する。
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    「戦友たちと腕を組み肩を並べ」
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    「将校のために兵士がいるのではなく、兵士のために将校がいる」と語る金正恩を取り囲む兵士。
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    女性だけで編成された部隊も視察した。
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    空軍部隊の兵舎を視察する金正恩。自分たちの部屋を見に来たことに感動する空軍操縦士。
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    万景台革命学院を現地指導。
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    「人民のためならば、岩の上にも花を」
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    ヘルスセンター建設現場を現地指導
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    遊園地プールのスライダーを現地指導
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    平壌民俗公園を現地指導
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    李雪主夫人と人工芝を点検する金正恩
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    「兵士たちの心臓の中に金正日愛国主義も深く植え付けて下さいました」
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    「金正日愛国主義」を発揮する建設に動員された兵士たち
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    「タンスメ(一気に)精神で膨大なハプチャン江整理工事をたった7日間で完工」
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    「9日間で普通江整理工事完工」
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    カムドク地区の洪水被害が人民軍により復旧
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    ケチョン地区の洪水被害も復旧
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    ケチョン地区へ繋がる鉄道も復旧
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    万寿台地区の住宅
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/userAction.do?action=videoindex&lang=kor&newsyear=2012&newsno=1209866

    「時事通信」が「朝鮮通信(東京)」を引用しながら、2012年の金正恩さんの動静報道の回数をカウントして「行事参加や公演観覧などの国内部門が最多の96回、軍視察は27回、外交は中国代表団と会談した2回だった」と報じている。この「朝鮮中央通信」の総集編では、軍事視察がやはり中心であったが、国内部門の視察は本当に「96回」もあったのだろうか。「時事通信」が何をどうカウントしているのかは分からないが、96回は思い出せない。もしかすると、「朝鮮通信(東京)」だけのエクスクルーシブ報道があったのかもしれないが、それについてはわからない。

    『時事通信』「12年の動静報道146回=外交は中国代表団との2回だけ―正恩氏」:
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121231-00000032-jij-kr

    拙ブログでも、金正恩さんの動静についてはそれなりにフォローしてきており、上に掲載したそれぞれの写真についても、いずれかの記事で取り上げているはずである。過去記事を見直せば詳しいことが書いてあると思うが、この時点でそれをする気にはあまりなれない。

    結局、「パルコルム」で年を明かすことになりそうだが、ほぼ1年間、拙ブログとおつきあい下さった方々に感謝する。特に、コメントを下さった方々からは、本当に多くのことを学ばせていただいた。金正恩体制2年目もブログは続けるつもりなので、よろしければ、引き続きおつきあいいただければ幸いである。

    「20時報道」:ロケット科学者イルカ館を訪問 (2012年12月28日 「朝鮮中央TV」)

    このところ、ロケット打ち上げに貢献した科学者や技術者の平壌観光の様子を伝える特別コーナーが「20時報道」の中に設定されている。溜まってしまった動画を順不同で見ているので、昨夜書いた記事よりも古い動画ではあるが、なかなかおもしろい。

    壁に付いているタコのモデルは「本物のタコのようにブヨブヨしている」と科学者が語っている。セメントでできた造形だと思っていたが、工夫が凝らしてあるようだ。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-28-17.flv

    コンピュータの動画でいるかなどを紹介する部屋で科学者が「本当に色々なことが学べるが、全てを記憶することはできないのでメモしている。研究所に戻ったら仲間や家族に話をしてやりたい」と述べている。他の科学者は、「一生の思い出になる」とも語っているが、やはりイルカ館も朝鮮人民、しかも彼らのようなエリートにとってもなかなか来ることができない場所なのであろう。ともあれ、「白頭山の偉人」のお言葉以外もきちんとメモをしているところなど、さすがに科学者というか、真面目である。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-28-17.flv

    そして、このニュースを記事にさせたのがこの科学者の発言である。この人は、「他の国では金持ち以外はこのような場所には来られないが、我が国では平凡な人民が(イルカ館を)見られる」と言っている。この発言は意図的なのかもしれないが、そうでないとすれば、科学者ほどのインテリが(ある程度経済成長を遂げた)資本主義社会の実態を知らないのには驚かされる。新江ノ島水族館の入場料は大人2000円、小・中学生1000円である。年に数回なら、金持ちでなくても来られる。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-28-17.flv

    「<同乗記>喜びとロマンの中に過ごした意味深い一日-『光明星3-2』号機発射者たちと共に-」 (2012年12月29日 「朝鮮中央TV」)

    年末であれこれと雑用が多く、せっかく頂いたコメントにすら、お返事ができていない。また、北朝鮮系の報道を見たり読んだりすることができないので、記事を書くこともできない状況である。「光明星3-2」号が失敗に終わっていれば、金日成・金正日像や壁画の参拝程度でそれほど話題もなかったのであろうが、ロケット発射が成功してしまったので、それにまつわる行事が続き、関連の報道が非常に多い。ともかくも、この「歴史的大事変」を実現した関係者はスーパー英雄扱いであることが分かる。過去記事にも書いたが、過去に北朝鮮が「成功した」と主張したロケット発射時と今回まがりなりにも衛星を軌道に進入させた実質的成功時との祝賀や関係者の待遇の違いについて知りたいものである。

    で、やっと少し時間ができたので取りあえず見た「朝鮮中央TV」の動画が大当たりであったようだ。記事を書くつもりもなく、溜まった動画を見るつもりで適当にダウンロードした動画を開いてみたら、なかなかおもしろかった。

    この番組は、ロケット発射で貢献した科学者や技術者が平壌のアイススケート場、ローラースケート場、ヘルスセンターの招待された様子を伝えている。

    アイススケート場に招待され、スーツのまま尻餅をつく科学者
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-29-15.flv

    過去記事のコメントでスケート場の手袋着用について話題になったが、今回は手袋どころの話ではない。科学者・技術者は、スケート場に行くことを予告されていなかったのであろうか。皆、スーツを着用したままスケート靴を履いている。この人は尻餅をついているが、中には非常に上手に滑っている人もいる(スーツ姿ではあるが・・・)。

    70才の科学者。自分は学生時代にスケートをしたことがあるが、その後は、研究に没頭しスケートなどしたことがなかったと話している。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-29-15.flv

    ローラースケート場でインタビューを受ける科学者。実は、この場面がなければ、この報道を記事にしなかったかもしれない。静止画で伝えることができないのが残念であるが、この人のインタビューの背景で流れている曲は、北朝鮮の曲とは思えないビートの効いた曲である。モランボン楽団も、私の知る限り、こんな曲を演奏したことがないはずである。かといって、外国曲ではないと思うが、時よりコメントを下さる音楽に精通された方に是非とも教えていただきたい。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-29-15.flv

    スケート場の指導員からJボードの滑り方を習う科学者。この場面では、既に背景の音楽はいわゆる北朝鮮音楽に変わっている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-29-15.flv

    スーツ姿で健康器具に乗る科学者。ヘルスセンターにて。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-29-15.flv

    外国にも行ったことがあるが、こんなに素晴らしい施設はないと語る科学者。この人が行った国はどの国で、その国に行ったときにヘルスセンターになど行くことができたのであろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-29-15.flv

    北朝鮮ではあまり必要ないと思われる、腹部を引き締めるダイエットマシン。少なくとも、この科学者はこの機具を使う必要はないように見える。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-29-15.flv

    サウナでビール(?)を飲む科学者。あまり健康にはよろしくないと思うのだが・・・こういう色の瓶はビールと決めつけると間違いなのかもしれないが。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-29-15.flv

    こちらは、間違いなく生ビールで乾杯。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-29-15.flv

    それにしても、これほど国家に貢献した人々を「たかが」スケート場やローラースケート場、そしてヘルスセンターに連れてきてもてなすとは、なんとも「恩情」が薄い話である。こんなところ、普通の平壌市民が学校帰りや仕事帰りに立ち寄って遊ぶことができる場所である(と常々報道では伝えている)。しかし、科学者たちは「大きな恩情」を口にしているので、やはり「恩情」に値するような特別な場所なのであろう。「恩情」が無料に等しい「人民の楽園」的な入場料の話ではなく、入場整理券を特別配給してもらえたということであるならば、話は分かる。

    他にもロケット発射に関する動画はたくさんあるが、年内にどれほど記事にできることやら。

    「<実況録画>敬愛する金正恩元帥様をお招きして開催された『光明星3-2』号機の成功裏な祝賀するモランボン楽団公演」 (2012年12月22日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」がロケット発射に貢献した科学者・技術者を招いた宴会の総集編とモランボン楽団公演の様子を放映した。コメントにも書いたとおり、モランボン公演の方はまだ初めの部分しか見ていないのであるが、舞台の上には右側に今回発射された「銀河-3」運搬ロケットのモデル、左側には「銀河-9」運搬ロケットのモデルが置かれている。総集編でもこの数字が「9」のように見えて気になっていたのだが、モランボン公演の動画では9がはっきりと映し出されている。4は「死ぬ4」なので避けたのは分かるが、9にこだわったのは何であろうか。また、「銀河-9」モデルの方が、3号機よりも大きく作られており、宴会で金正恩さんが行った演説で言った「さらに威力のあるロケット開発」を象徴的に表しているのだと思う。

    宴会には李雪主夫人も参席しているが、妊娠した体型を見せないようにするための朝鮮服をまた着用している。さらに、相変わらずバッジも着用していない。過去記事に「バッジを着用していない」と書いたときは、後からコートの上なので着用していないのかとも思ったのだが、今回は「確信犯」である。かつてバッジを着用しなかったとき、韓国報道などでは「忘れた」と書かれていたが、その時は「忘れた」にせよ今回は違うようだ。もしかすると、その時に「忘れた」と言わせないように、ファーストレディーの特権として「非着用」を貫徹するつもりなのかもしれない。

    コメントにも書いたとおり、今、全編を見る時間はないが、以上に関する静止画だけは載せておく。

    「銀河-9」号ロケットモデル
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-22-12-y.flv

    バッチ非着用の李夫人
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-22-12-y.flv

    「朝鮮中央通信社報道」:米国公民が大犯罪で抑留 (2012年12月21日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が米国人が北朝鮮で抑留されていると伝えた。報道によると、この米国人は韓国系と思われるペ・ジュンホさんで、11月3日に羅先市に観光目的で入国し、「反共和国的大犯罪」を行ったとして抑留(逮捕)されている。ペさんは、取り調べで証拠物件を提示され、犯罪行為を認めているという。12月21日に北朝鮮で「米国の利権を代表する」スウェーデン大使館関係者とペさんと領事件を行使して面会した。北朝鮮は、刑事訴訟法に従い法的手続きを行っているという。

    12月21日の米国務省定例記者会見では、この問題が再び取り上げられたが、ベントレル報道官は個人情報を理由に詳細は明かさなかった。したがって、米国は公式的には米国市民が北朝鮮に拘留されていていること、スウェーデン大使館が仲介し北朝鮮側と何らかの交渉を行っていること以上を明らかにしていない。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefing,
    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/12/202360.htm#NORTHKOREA

    北朝鮮の言う「大犯罪」が一体何かは分からない。外国人が比較的容易に入ることができる羅先で拘束されたわけだが、これまでしばしばあったような「不法入国」ではなく、入国の時点では「観光目的」で合法的に入国したようだ。「反共和国的大犯罪」は、体制を批判するビラを所持または配付したという程度のことから銅像破壊を謀ったことまで色々考えられるが、後者であれば死刑も十分にあり得る。

    このタイミングで米国市民の逮捕を北朝鮮が公開したことは、過去記事にも書いたとおり、この件を契機に米国との交渉を始めたいという考えがあるからであろう。これまでのパターンであれば、北朝鮮とパイプのある米国の有力者、例えばリチャードソンさん(ニューメキシコ州知事、現かどうかは未確認)が米国人を連れ帰るために訪朝し、そのついでに「別件について」の米国からのメッセージを伝えたり話し合いをしてくるということが考えられる。北朝鮮は、今回もそれを狙っているのであろうが、米国は相当慎重にこの件に対応していることが定例記者会見のやりとりからも伺える。

    「<記録映画>敬愛する金正恩元帥様の領導の下に人工地球衛星『光明星3号」2号機を成功裏に発射」 (2012年12月20日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」が「光明星3-2号機」の発射に至るまでの「記録映画」を放映した。相当にパワフルな「記録映画」であるが、一言で、ロケット発射の成功が金正恩さんの指導の賜という内容の映画である。今回のロケット発射は、過去記事にも書いたとおり、内政的には大成功以上のものであると思う。過去のロケット発射後に放映された「記録映画」は見たことがないが、今回の「記録映画」の内容は、過去の発射とはかなり違うのではないかと思う。というのは、以下で静止画を紹介していくが、ロケット発射のみならず衛星の軌道進入が成功したという韓国も含む米国、日本、中国などのニュース画像をそのまま利用している。これまでは、少なくとも衛星については「失敗」であったので、こうした画像は使用でいなかったはずである。また、報道の中では、「12月12日に我々の念願が叶った」ということも言っている。「念願」が何を指しているのかは、もう一度聞き直してみないと分からないが、通しで聞いた限りでは、「衛星の事実上の軌道投入=念願」であるように聞こえる。また、北朝鮮が3年前に「成功した」としている光明星2号は、「試験衛星」といっており、今回の光明星3-2号は「実用衛星」といっている。

    金正恩さんは「数十回も現地指導をして」いると番組では述べている。光明星3-2号のモデルであろうか、それを前にして何か言っている。科学者や技術者は笑いながら聞いているが、冗談でも言っているのであろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-20-13-y.flv

    格納庫に置かれた分離された「銀河3号」ロケット。実際に発射されたロケットなのかモックなのかは分からないが、これまでの発射で、北朝鮮はこのような写真を公開したのであろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-20-13-y.flv

    一段目ロケットも大きく映し出している。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-20-13-y.flv

    発射場にある「西海衛星発射総合指揮所」。過去記事に書いたように、こちらは諸外国の管制センターのような雰囲気がある。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-20-13-y.flv

    同センターのデスクの様子。キーボードは机下に収納されている(私の職場のPC教室と同じ)。操作は主にマウスで行っているようだが、WindowsベースのUIであればそれもありかもしれないというか、むしろ自然なのかもしれない。種子島ではどうなのだろうか。
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    金正恩さんが「数十回教授をして下さった」という「親筆」。それぞれの用紙に書かれた文字を読む努力はしていないが、現場担当者が出した報告に「親筆」を送り返していたのは事実のようだ。
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    右側の紙には、「敬愛する金正恩元帥様が衛星管制総合指揮所を現地指導されながら与えて下さった命令を貫徹するための対策書」と書かれ、金正恩さんはそれに12月7日に署名している。発射延期を北朝鮮が発表した1日前のことである。
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    11月21日に西海発射場を訪れ、科学者と握手をする金正恩。12月1日に発射予告をする10日以上前である。金正恩政権は、中国共産党代表団を迎え入れたり、日本との協議を開始するのとほぼ並行してロケット発射の準備を進めていたことが分かる。これを政権内(セクション間)の分裂と読むのか、全て計算済みの行動であるのかは分からないが、今回のケースは内政と外交を計算した上での計算済みの行動の可能性が高い。
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    金正恩さんは「実用衛星を極軌道に乗せ、我々が世界の最先端科学技術を持つに至ったことを世界に示さなければならない」と語ったそうだ。ロケット本体を嬉しそうに触る金正恩さん。
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    「数回の試験衛星発射の経験に基づき」と言っている。ロケットの1段目をクレーンでつり下げて発射台に設置している様子。過去の発射では、こういう場面は公開されたのであろうか。
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    韓国当局の判断を誤らせた黒いカバーで覆われているロケット。これ見よがしにこの状態の映像も公開している。12月6日に金正恩さんが平壌の衛星管制総合指揮所を現地指導したときの状態。
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    ロケット発射命令を下す金正恩。発射当日の様子を紹介する場面から音楽が変わっている。モランボン楽団の音楽のように聞こえるがよく分からない。
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    そしてロケット発射。「先軍朝鮮初の実用衛星」と言っている。
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    1段目切り離しを示す画面。この部位は、韓国軍により全羅道沖(北朝鮮が予告した落下地点)で回収された。
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    ロケット発射の一報を聞き喜ぶ朝鮮人民。
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    「力の誇示」というキャプションが入る海外メディアを紹介。
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    日本の番組も使われている。
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    韓国のニュース速報「日本、北朝鮮のロケットが沖縄上空を通過確認」と報じている。
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    米国西海岸が射程距離に入ったことを報じる米国のニュース。
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    NORADが「衛星軌道進入を確認した」とアナウンサーは言っているが、この画面は「衛星発射を確認」である。日本のニュース番組。
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    海外メディアの引用も北朝鮮にとって都合の良い部分であることは確かであるが、衛星が軌道進入したというところまでは否定し得ない状況である。その後の衛星は、制御不可の状態で軌道を回っているだけという報道があるが、まだきちんと確認はされていない。北朝鮮にとっては、大元帥様の歌を受信できたとしておくだけで、大成功という判断であろう。

    衛星打ち上げの録画を見ながら満足げに笑う金正恩。
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    そして、昨夜の「20時報道」では、ロケット発射を成功させた科学者や技術者が「高麗ホテル」に招かれている。「高麗ホテル」といえば「羊角島ホテル」と並ぶ外国人用の特級ホテル。どれほど特級なのかというと、24時間お湯が出る。総連の幹部は分からないが、それ以外の人々はこれらのホテルに宿泊していないはずである。それは、金額が高いから総連人士が忌避するからなのか、北朝鮮が宿泊させないのかは分からないが、案内員ドンムも総連関係者が泊まるホテルは「ここだ」と教えてくれた。ただし、ホテル名は失念。だとすると、朝鮮人民をこのホテルに招くということは、やはり破格の待遇と言うことになる。

    ロケット発射に携わった科学者や技術者を歓迎するホテル関係者
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-20-17.flv

    「野戦列車」を背景に科学者たちを平壌に招くことを語る金正恩さん。これ、「野戦列車」の駅だと思われるが、発射場なのか平壌の秘密の駅なのかは分からない。しかし、発射場には車で移動した様子なので、もしかすると平壌の秘密の駅なのかもしれない。こんな場所を撮して良いのだろうか。
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    「20時報道」:人民が選んだPerson of the Year 2012、金正恩 (2012年12月19日 「朝鮮中央TV」)

    12月19日の「20時報道」では、トップで金正恩さんを米国Time誌が「2012年の名人」に選んだと伝えている。報道では、同誌が「1927年からその年の名人を発表してきた」とし、「オンライン投票」により560万票の得票を得た金正恩さんが「名人(TIME's Person of the Year 2012)」に選ばれたと伝えている。また、Time誌に掲載されたとしながら、金正恩さんが「この1年間、国(北朝鮮)を強力に指導してきた」などと伝えている。2位は米国のコメディアン、ジョン・ステュアートさんであるが、金正恩さんとの得票差は330万票あり、韓国の大統領選挙の僅差とは全く異なる様相である。金正恩さんに「組織票」が投じられたのかどうかは分からないが、報道でもいっているように「2月のTime誌の表紙に写真が掲載された」わけだから、当然の結果と言えるのかもしれない。ちなみに、Time誌はこの投票を「TIME’s completely unscientific Person of the Year reader poll(『タイム』の全く非科学的な年の人を選ぶ読者投票)」といっている。おもしろいことに、「20時報道」がこの報道をした同日、Time誌が選んだ(読者投票ではない)「名人」としてオバマ大統領が選ばれている。

    しかし、「非科学的」とはいえ、読者投票、いってみれば世界人民の民主的な投票で選ばれるという「栄誉」は、「最高人民会議」の投票では勝ち取れないであろう。

    Time, Person of the Year And the Winner of TIME’s Person of the Year Reader Poll Is …:
    http://newsfeed.time.com/2012/12/13/and-the-winner-of-times-person-of-the-year-reader-poll-is/

    また、「20時報道」は、米国のForbes誌が「世界で最も影響力のある人物たち」として金正恩さんを紹介したとも伝えている。Forbes誌のHPを見ると、確かに金正恩さんは44位にランクされている。順位こそ高くないが、ほとんどの「影響力のある人物たち」が50代以上であることからすると、29才の金正恩さんは健闘しているといえよう。

    Forbes, THE WORLD'S Most Powerful People,
    http://www.forbes.com/powerful-people/#page:5_sort:0_direction:asc_search:_filter:All%20countries_filter:All%20categories

    金正恩さんが「Timeの2012年の名人」に選ばれたことを伝えるアナウンサー
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12816

    「<記録映画>敬愛する金正恩元帥様が父なる将軍様の逝去1周忌に際し偉大な領導者金正日同志に崇高な敬意を表された 2012.12.17」 (2012年12月19日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」が錦繍山太陽宮殿に安置されている金正日さんの遺体を参拝する金正日夫妻や労働党幹部の様子、同宮殿内に展示されている金正日関連遺物を紹介する番組を放映した。

    金正日の遺体を参拝する金正恩夫妻
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12808

    金正恩夫妻に続いて、妹の金慶喜さんなど労働党幹部が参拝をしている。画面には金正日さんの遺体は映し出されない。

    涙する労働党幹部や軍人
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12808

    党幹部や高位軍人がこれほどに涙している場面はあまり見ないが、やはり彼らは生前の金正日さんの近くで仕えた人々なのであろう。久しぶりに金正日さんの顔を見て、思わず涙しているのであろう。

    ロケット打ち上げに貢献した科学者や技術者
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12808

    彼らは涙するでもなく黙々と参拝をしているが、実際のところ降って涌いたような「栄誉」でどう対処すべきか分かっていないという感じである。

    在外朝鮮人民も参拝を行っている。一番右の女性は、手を合わせて何回も祈っている。事実上、「金日成教」以外存在しない北朝鮮で、このような参拝風景を見るのは珍しい。在中国海外「同胞」か。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12808

    金正恩夫妻は、参拝後、金正日関連遺物の展示館を参観した。

    金正日が授与された勲章展示室
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12808

    金正日専用車のメルセデス・ベンツ
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    公園敷地内などを現地指導する際に使った電動自動車
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12808

    離島の軍部隊などを現地指導する際に使った船舶
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12808

    過去記事でも話題にした「野戦列車」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12808

    内部の様子が大きく映し出されているが、やはり某国のリゲイン「突撃隊員」が乗る「野戦列車」とは全く作りが異なっている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12808

    「野戦列車」内の豪華な執務席。「野戦服」と「野戦靴」も見られる。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12808

    静止画では分からないが、李雪主さんは、歩くのもきついようで、足下がふらついている。金正恩さんと腕組みをして遊園地をさっそうと歩いたときのような歩みではない。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=12808

    遺物展示館も含めると、相当のスペースを金正日セクションに割いているようである。元々大きな建物なので、内部を改造するだけで金正日セクションはできたのかもしれないが、両セクションの展示物をくまなく見るには相当時間がかかるであろう。過去記事にも書いた、式典開始までの待ち時間は、李雪主さんの歩みの遅さもあり、予想外に金正日遺物館の参観に時間を要したからなのかもしれない。

    「<実況録画>主体の最高聖地錦繍山太陽宮殿開館式開催(1)」 (2012年12月17日 「朝鮮中央TV」)

    錦繍山太陽宮殿の開館式の実況録画を「朝鮮中央TV」が伝えた。実は、「開館式」を本記事を書くまでは勝手に「改建式」と勘違いしていた。「改建」は「改築・増築」のことであるが、どうやら金正日さんの遺体の保存処置が完了し、それを展示した(安置というよりも展示だと思う)部屋が完成し、そこを「開館」したという意味合いであろう。番組ではこの部屋は全く見せていない。

    太陽宮殿の外に立つ金正恩夫妻
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-17-11-y.flv

    久しぶりに李雪主さんが姿を現したが、朝鮮服を着ている。彼女は、これまで洋装ばかりであったが、今回朝鮮服を着用しているのは、金正日1周忌というオケージョン以外の理由にも妊娠した腹部を目立たせないようにするためであろう。しかし、朝鮮服の上からも彼女の腹部が最後に姿を見せたときよりも膨らんでいることが確認できる。

    この後、一行は宮殿内に入るのであるが、番組を見ていてハッとする場面があった。

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    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-17-11-y.flv

    静止画では分からないかもしれないが、金正恩夫妻以外には警備員らしき人々が駆け寄って来て制止しているように見えたからである。なんと、金永南さんですら制止されているように見えたので何事かと思ったのだが、よく見たら彼らが着ているコートを素早く脱がせて運び去る係員が駆け寄っていることが分かったが。金正恩さんは、動画に映らない場所で丁重にコートを脱がされたのであろう。

    太陽宮殿内を歩く金正恩夫妻
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    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-17-11-y.flv

    番組は、続けて太陽宮殿の外で行われた「開館式」の様子を伝えている。uriminzokkiriでは「実況録画」という扱いであるが、「朝鮮中央TV」では、「実況中継」といっている。「実況」だったからわかるのだが、「開館式」が始まるまで随分時間がある。中継で見る限りでも、ひな壇に金正日一行が登場するまで約19分経過している。17日の平壌の気温は、最高でもマイナス5度、最低ではマイナス17度まで下がっている。さすがの朝鮮人民(特にこういう場に招待されるような特権階層だから特になのか)も寒さに耐えかねて、待っている時間は体をゆらゆらと揺り動かしている。もしかすると、寒さで李夫人が体調を崩し、その措置に時間がかかったのか、場合よってはこの行事への参加を取りやめるための段取りを組んでいたのかもしれない。全体行事には、李さんは出てきていない。

    静止画では分からないが、体を揺すりながら会の開始を待つ朝鮮人民
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    また、金正恩さんも寒さに耐えかねたのか、崔龍海さんが開幕辞を読んでいる間、片手をコートの中に入れている。手袋をすればよいものの、忘れたのか、父親に対する礼節なのかは分からない。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-17-12-y.flv

    「20時報道」:ロシア人と中国人の反応 (2012年12月16日 「朝鮮中央TV」)

    先週から溜まっていた記事を短く書いておく。まず、ロケット発射後に「20時報道」でロシア人と中国人にインタビューしている。ロシアと中国の体制の違いが、彼らの発言に反映させているところがおもしろい。

    インタビューに答えるロシア・トランス・イン・ウェスト有限会社副社長カリルロウィッチさん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-14-16.flv

    ロシア外務省は、ロケット発射について「深い憂慮」を表明しているが、カリルウィッチさんは、「ロケット発射は北朝鮮人民にとってのみならず、全世界にとって喜ばしい」ことであり「今回の衛星発射は、北朝鮮のみならず全世界の平和に貢献」したなどと、実に自由に北朝鮮のロケット発射を称賛している。私はロシア語を解さないので「朝鮮中央TV」が付した字幕を翻訳しただけであるが、北朝鮮とビジネス関係がある会社のビジネストークといったところだろうか。政府の見解を気にしていないところがロシア人らしい。

    ロシア外務省北朝鮮のロケット発射に「深い憂慮」表明:
    radio VOICE OF RUSSIA, Russia voices 'deep regret' over N.Korea rocket launch:
    http://english.ruvr.ru/2012_12_12/Russia-voices-deep-regret-over-N-Korea-rocket-launch/

    一方、同様にインタビューに答える中国人は若干応答が異なっている。

    中国の不動産開発有限公司副社長のチョウさん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-14-16.flv

    やはり中国語は分からないので字幕からであるが、ロケットを発射に成功した「北朝鮮の技術発展を心から祝福」などと、発射自体の是非に触れないよう注意深く話している。

    また、中国から北朝鮮に留学している学生にもインタビューを行っている。

    中国からの留学生
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-14-16.flv

    数人の留学生にインタビューを行っているが、留学生は「北朝鮮が発展している」、「科学技術が進歩している」などとコメントしている。このインタビューのために留学生たちは集められたのか、左後ろにいる女子学生は、携帯電話のようなもので遊んでいる。メールのやりとりでもしているのであろうか。北朝鮮には、どのような学生たちが中国から留学してきているのであろうか。北朝鮮を研究対象としていないのでなければ、学ぶべきことはあまりないと思うのだがどうなのだろうか(自然科学についてはあるかもしれないが、社会科学も人文科学もあまりありそうではない)。私も過去に韓国に留学していたとき、韓国人から「発展している日本から韓国に来て学ぶことなどあるのか」と何度も質問された。私は研究対象が「韓国」であったので、そう話したのだが、なかなか理解してもらえなかったことを思い出した。

    話がそれたが、中国政府も北朝鮮のロケット発射に対して「遺憾の意」を表明している。私は、中国の公式的なだけでも2回の中止要請を無視してロケットを打ち上げた北朝鮮に対して、中国が「激怒」して安保理決議まで容易に至るであろうと予想していた。特に、中国新政権を侮辱した形となるロケット発射を強行した北朝鮮に対して、強く出てもおかしくないのではと考えていた。しかし、実際には、基本的に中国の新政権も旧政権の対北朝鮮政策を現段階では踏襲しているようである。

    中国がロケット発射に遺憾の意:
    CHINA DAILY.com.cn, Launch of rocket is regretful, Beijing says,
    http://www.chinadaily.com.cn/cndy/2012-12/13/content_16012295.htm

    こんな記事を書いていたら、おもしろいニュースが飛び込んできた。なんと、対北朝鮮制裁に関する米中間の協議の席で、中国側が北朝鮮制裁の交換条件として尖閣問題を持ち出してきたということである。この報道についての真偽は、日本時間今夜の米国務省定例記者会見での報道官の発言を待たなければならないが、もし実際に中国がこうした発言をしたのであれば、文脈的には次のようなところではないだろうか。つまり、中国が同盟関係にある北朝鮮に同国関連の金融資産凍結などの制裁を加えることは、米国が同盟関係にある日本の尖閣領有権(という主張を)取り下げさせるのと同じくらい難しい、ということではないのだろうか。いくら中国でも、米国がそのような取引に乗るなどとは考えないだろう。これが、北朝鮮のミサイルが米国に確実に到達することが確認され、さらにその核搭載能力と搭載可能な核の存在が確認された段階であれば、また別の話であろう(そうなれば、米国は中国になど依存せず、別の手段を選択するであろうが)。しかし、現段階では米国にとってあり得ない選択を迫るなどナンセンス極まりない。

    フジテレビ系「北朝鮮制裁協議 中国、米に対し「尖閣問題」を交換条件に」:
    http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20121219-00000329-fnn-int

    米国務省の定例記者会見でも、制裁強化と中国のためにその実効性が損なわれている現実についての質問が繰り返し出されている。国務省報道官は、これに対して中国との話し合いを続けていると答弁するに留まっているが、現段階では進展はみられていないようだ。その象徴的な発言が

    問:「(国務省は)中国に対して(北朝鮮への)影響力を行使するよう話したのか。例えば、対北朝鮮との貿易を制限するとか」
    答:「中国との二国間協議の内容を明らかにすることはできないが、我々は中国に対してあり得る全ての手段を使い影響力を行使するよう求めている」

    というものである。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefings,
    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/12/201930.htm

    このままいくと、金正恩政権は、外交的な損失を最低限に抑え、内政的に大きな成果を得たということになる。

    「20時報道」は、最後ニュースでロシアの新聞『ネザビ・シマヤ・ガゼッタ(新聞名音訳)』の記事「主体思想が宇宙に到達した」という記事を引用しながら、実に巧妙にロケット発射に対する諸外国の反応と自国の対応を伝えている。箇条書きにすると次のとおりである。

    1.北朝鮮は12日衛星ロケットを発射した。
    2.国連安保理の禁止措置とロシアをはじめとした多くの国の(発射中止を求める)強い要求は無視された。
    3.少なからぬ国が発射中止を求めたが、北朝鮮は計画を変更しなかった。
    4.ロシアのミサイル攻撃警戒システムもロケット発射を確認した。
    5.ミサイル防衛システムがロケット発射を探知し、NORADが衛星が軌道に侵入したことを確認した。
    6.NORADは、ロケットも衛星も米国に危険な影響をもたらさなかったと確認した。
    7.北朝鮮は、ロケット発射を弾道ミサイル発射と見る国際社会の圧力に驚いていない。
    8.朝鮮人民は、自らに力があることを示した。

    オリジナルソースは確認していないが、恐らく、北朝鮮が主張したいことをこの記事が書いてくれたということであろう。

    最近、私の予想はことごとく外れているが、韓国の大統領選も両候補の間で接戦になっているようである。文候補が当選すれば、北朝鮮のロケット発射を受け多少時期的な遅れが生じるにせよ、北朝鮮に対して融和的な政策に出ることは間違いない。文候補は、盧武鉉政権でもなく李明博政権でもないバランスの取れた対米・対北朝鮮外交を展開することができるのだろうか。

    短くまとめるつもりが、長文になってしまった。

    「<録画報道>敬愛する金正恩元帥様が西海衛星は車上を訪ねられ『光明星3-2』号機を成功裏な発射に大きく貢献した科学者と技術者を祝賀した」 (2012年12月15日 「朝鮮中央TV」)

    金正恩さんが発射場を訪問した様子の静止画を「朝鮮中央TV」が放映した。過去記事に書いた管制センターの話であるが、やはり発射場に付設された「西海衛星発射総合指揮所」なるものがあり、これが平壌の「衛星管制総合指揮所」の中央スクリーンの左右下に映し出されていたところのようだ。こちらの方が管制センターらしい雰囲気がある。しかし、報道の流れからすると、特段地下深く隠されている様子もなく、発射台の近くの地上に建てられている建物内にあるようだ。

    「西海衛星発射総合指揮所」で科学者・技術者と話をする金正恩
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-15-13-y.flv

    「西海衛星発射総合指揮所」の外か?だとすると地上に建てられた普通の建物である。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-15-13-y.flv

    「5千年民族史の特大事変 『光明星3-2』号機発射場面(1)」(2012年12月13日 「朝鮮中央TV」)

    北朝鮮からは、引き続きロケット発射関連の情報、金正恩さんの動向、発射を喜ぶ朝鮮人民の様子が各メディアで伝えてられている。

    12月13日の「20時報道」(http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-13-22.flv)では、ロシアの「イタルタス通信」の記事に掲載されたロシアの宇宙開発専門家の言葉を引用しながら「北朝鮮が衛星を発射した後、米軍部が地球軌道に新たな物体が現れたことを確認した」とし、「重量が数百キロに達する有効搭載量を軌道に進入させたということは、北朝鮮が地球上のどの地点にも核弾頭を運搬することができるレベルに完全に近づいたことを意味する」と述べている(この報道は「朝鮮中央通信」でも配信)。この「イタルタス通信」記事のソースは当たっていないが、恐らくオリジナルソースでは「憂慮」として扱っているのであろう。北朝鮮はそれを「成果」としてとらえ、核弾頭搭載能力と関連させながら「20時報道」で朝鮮人民に伝えたことは注意しておく必要がある。

    「朝鮮中央TV」は、管制センターの分割画面ではなく、ロケット発射台の横に設置されたカメラで直接撮影した発射場面を放映した。

    発射台に設置された「銀河-3」号 12月12日9時49分46秒
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-13-23.flv

    発射された瞬間
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-13-23.flv

    飛び上がった「銀河-3」ロケット
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-13-23.flv

    2段目ロケットに設置されたカメラから見た地上
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-13-23.flv

    空に消えていくロケット
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-13-23.flv

    こんな静止画を見るよりも、小さなファイルなので動画をダウンロードすれば、爆音と共に発射される「銀河-3」ロケット発射の様子が味わえる。未確認であるが、YouTubeにも既にuriminzokkiriによりこの動画はアップロードされているかもしれない。この番組は「(1)」となっているので、今夜にでも後半がuriminzokkiriにアップロードされるであろう。

    『労働新聞』は「敬愛する金正恩元帥様が衛星管制総合指揮所に訪れられ、人工地球衛星『光明星-3』号2号機の発射過程を観察された」という記事を配信した。この記事では、金正恩さんによる「発射命令書」と「指揮所」の様子の写真が掲載された。

    「人工地球衛星発射準備を終えた状況と「対」策的意見 朝鮮宇宙空間技術委員会 2012年12月12日」(「」内は一部文字が隠れているので推測している)
    「党中央は衛星発射を承認する。2012年12月12日 午前10時に発射せよ! 金正恩 2012年12月12日」
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    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-12-14-0001

    発射承認は、平和目的を強調するためか「人民軍最高司令官」ではなく「党中央」から出されている。もちろん、金正恩署名なので兼職であることは間違いないが、労働党の最高権威者としての立場である。4月の発射失敗時には、金正恩さんの権威を失墜させないためにこうした命令書や管制センターを訪れたことは報道されなかった。当然、最終的には彼の命令であったはずだが、今回も失敗していれば4月と同じ扱いになったであろう。

    ところで、北朝鮮メディアが伝えている「衛星総合指揮所」なるものが本物なのかダミーなのかが非常に気になっていた。諸外国の管制センターの写真と比べても非常にシンプルであるし、設置されているコンピューター類の数も少ない。しかし、金正恩さんは少なくとも公式的にはこの場所で発射の様子を見ている(オン・タイムという証拠は何もないが)。

    たばこを吸いながらロケットの軌道を見る金正恩
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/goHome.do?lang=kor

    「朝鮮中央通信」の記事によると、この「観察」には張成沢さんは同行しているが、崔龍海さんは同行していない。最近の金正日現地指導に彼が同行していたのかきちんと確認はしていないが、これほどの「事変」に彼が同行していないのはおかしい。突如の解任から体調不良まで、様々なことは考えられるが、もしかすると「総合指揮所」というのは、実はプレスセンター的な機能をしており、実際にロケットや衛星を管制している場所は他にあり、金正恩さんの命を受けて、事実上の人民軍内順位ナンバー2の崔龍海が本当の管制センターで指揮に当たった可能性がある。そもそも、最高軍事機密中の最高機密である人工衛星打ち上げロケット兼弾道ミサイルの管制センターをテレビに大写しにして海外に配信するようなことを北朝鮮がするとは考えにくい。上に「オンタイムという証拠はない」と書いたのは、金正恩さんが写っている公開されている画像は事後に撮影された画像であり、発射時には本当に管制センターに行っていた可能性も考えられるからである。

    国連安保理をはじめとし米国や中国の反応も日々公表されているが、なかなかそれらを整理して記事にする時間がない。

    「先軍朝鮮の威力を誇示した誇らしい勝利」1~4部(2012年12月12日 「朝鮮中央TV」)

    「先軍朝鮮の威力を誇示した誇らしい勝利」と題する「インタビュー」が報道された。「インタビュー」というカテゴリーは、今回初めてuriminzokkiriに登場した。どうやら、この番組は急いで制作したらしく、3分程度の短い番組の4部作である。1~3部は平壌市民をはじめとした各地市民のインタビュー、4部はロケット管制センターの技術者のインタビューである。

    1~3部の様子を見ると、朝鮮人民が純粋に喜んでいる様子が伝わってくる。彼らの言葉の端々には「科学技術」、「我が国の科学者」など「科学」という言葉が何回も登場し、番組のタイトルにある「先軍」は一度も出てこない。昨日の記事に「先軍朝鮮から科学朝鮮へ」と半分冗談のように書いたが、本当にそのような意識があるのかもしれない。もしかするとこれ、人民の意識ではなく金正恩政権のスローガンとして定着していくのかもしれない。過去記事でも紹介した『労働新聞』の「科学がなければ未来もない」という記事の中で金正日さんの遺訓として科学技術の重要性を強調し、それを金正恩さんが継承したということを強調していることからも、その可能性はうかがえる。

    また、ロケット発射は朝鮮人民にとって晴天の霹靂であったようで、やはり一般人民には一切公表されていなかったようである。失敗した場合の対策とサプライズという二つの側面があったのであろうが、ロケット発射前は金正日1周忌が近づくにつれ、北朝鮮は徐々に哀悼ムード、つまり暗く沈んだ雰囲気に向かっていた。金正日さんの1周忌を朝鮮人民が笑顔で迎えるわけにはいかないわけだが、ロケット発射の成功を契機に沈滞ムードを払拭し、遺訓貫徹を成就した報告を金正日さんに捧げるという雰囲気が作られた。来週初めには、1周忌の記念行事が行われるはずであるが、ロケット打ち上げ成功報告会の明るい様相を呈するであろう。

    ロケット打ち上げ成功を喜ぶ朴ミョンヒさん。自分の子供の科学者にしたいと語っている。インタビューの終わりの部分で朴さんは、嬉しそうに声を出して笑っている。番組では、その部分はカットされていない。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-12-16.flv

    踊る元山市民
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-12-20.flv

    第4部は実に興味深い。

    ロケット管制センター(所在地は発射場から離れた平壌か?4月の発射時は、管制センターは平壌に設置されたと記憶している)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-12-22.flv

    ロケット発射の瞬間。背景で秒読みをする声が聞こえる。これまでであれば、スクリーンを通してその様子を見せているので、フィクションであるとも言えたが、今回は実物であろう。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-12-22.flv

    ロケット発射について説明をする管制室長の金ヘジンさん。成功するとは思ってもいなかったのか、相当に興奮した様子で説明をしており、途中で涙声になっている。背景は高度を上げるロケット。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-12-22.flv

    複数のカメラで打ち上げの様子を撮影していたようだ。左上の画像は、航空機からの撮影であろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-12-22.flv

    中でも迫力があるのが右下の画像で、どんどん高度を稼ぐ様子が分かる。金さんの説明によるとロケット二段目に取り付けられたカメラが地上を撮影したものであるという。今回も韓国海軍がロケットの残骸を回収しに向かうのであろうが、このカメラも一緒に回収されるのであろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-12-22.flv

    飛行軌道を示しながら、予定した軌道と実際に移行した軌道がほぼ一致していたと説明している。これほどの軌道制御技術があるというには、驚かされた。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-12-22.flv

    三段目のロケットから衛星が分離される場面。金さんの説明によると、様々な軌道の中でも極軌道に衛星を乗せることは大変難しいそうだ。背景では「金日成将軍の歌」が流れており、金さんは衛星から「金日成将軍の歌」と「金正日将軍の歌」が全世界に向けて発信されているという。残念ながら、予想した「パルコルム」は流されていないようだ。金さんは、今回の発射「百点満点」と自分で評価している。通常、「百点満点」は指導者の褒め言葉であるのだが、今回はもう既に褒められたのか、それともよほど嬉しかったのかこのように自己評価している。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-12-22.flv

    金室長は、「4月の失敗を踏まえて、今回は必ず成功させる」という心情で発射をしたと語っている。特に、諸外国でも暖かい時期に発射しているにもかかわらず、技術的に困難な冬期の発射を敢行したことの意義を語っている。金さんは述べていないが、純粋なロケット発射であれば成功率が高い暖かい時期に行うにもかかわらず(その意味からは、金日成さんの誕生日である4月というのは、実に適切な時期であったといえよう)、金正日さんの1周忌に合わせた12月という厳しい時期の発射命令は相当に厳しいものであったようだ。

    「朝鮮中央TV」は「<座談会>『光明星-3』号2号機衛星発射成功と関連した座談会」という番組を放送した。この番組では、衛星発射の意義について金日成総合大学の教授が出演し話をしている。

    左が司会者、右の3人は金日成総合大学の教授
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-12-23.flv

    この番組では、衛星の軌道、軌道傾斜角、極軌道、周期などについて解説をしている。続いて、「光明星3-2」号機がどんな種類の衛星であるかについての話に移るが、この衛星が「徹頭徹尾、地球観測用衛星」であると強調し、「我が国の人民経済発展のために製作された衛星」であると語っている。その証拠として、北極と南極を結ぶ極軌道を回る衛星は地球観測衛星として利用されていることを挙げている。これは、今回のロケット発射が「宇宙の平和利用」を目的としたものであるということを強調するための発言であろう。しかして、今後、この「地球観測用衛星」は如何なるデータを送ってくるのであろうか。本当にこの衛星が撮影した地上(北朝鮮は、自国の森林や水門などを撮影するといっている)の写真を電送できたとすれば、北朝鮮の技術に対する評価を一段階上げることになる。もちろん、「地球観測衛星」は「南朝鮮」などの軍事施設の写真も撮影できるわけで、スパイ衛星としても活用可能である。繰り返すが、「光明星3-2」号機に指導者の歌を発信する以上の能力があればの話だが。

    続いて番組では、衛星やロケットに用いられた技術について語っている。この中で、今回の発射は搭載された衛星も運搬ロケットも「100%我々の技術で製作した」とし、「これぞ我々の科学技術の発展を示す大勝利」だと述べている。そして、「世界には衛星は製作できても、運搬ロケットは他国に発射してもらう国も多い」と述べ、国名こそ出さないが、韓国に対する宇宙開発の優位を強調している。

    また、北朝鮮のロケット発射についての正当性を強調しながら、「世界各国は衛星を発射することができる空間区域がある」とした上で、「我々がその空間区域にロケットを発射するのは、我々の権利の合法的な行使である」と述べている。

    今朝の『労働新聞』もロケット発射関連の記事で埋め尽くされている。こちらは、紙面を眺めただけであるが、恐らくは、そのほとんどの内容が上で紹介した2つの番組に凝縮されていると思われる。

    「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン回答」(2012年12月12日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が北朝鮮外務省スポークスマンが同通信記者の質問へ回答するという形で、次のような報道をした。

    **********
    我々が今回、進めた成功裏な衛星発射は、偉大な領導者金正日同志の遺訓であり、経済建設と人民生活向上のための科学技術発展計画による平和的な事業である。

    우리가 이번에 진행한 성공적인 위성발사는 위대한 령도자 김정일동지의 유훈이며 경제건설과 인민생활향상을 위한 과학기술발전계획에 따르는 평화적인 사업이다.

    今、全国の人民が限りない歓喜と激情にわいており、進歩的人類も心から祝賀を送ってきている。
    지금 온 나라 전체 인민이 무한한 환희와 격정으로 들끓고있으며 진보적인류도 진심어린 축하를 보내오고있다.

    ところが、敵対勢力は、我々の平和的な衛星発射を巡り、国連安保理事会「決議違反」云々しながら、不当に問題視しようとする不純な気配を見せている。
    그런데 적대세력들은 우리의 평화적인 위성발사를 두고 유엔안전보장리사회 《결의위반》이니 뭐니 하면서 부당하게 문제시해보려는 불순한 기미를 보이고있다.

    宇宙の平和的利用権というのは、国際社会の総意が反映された普遍的な国際法により公認されることなので、国連安保理がそれに反してこうしろああしろと言える問題ではない。
    우주의 평화적리용권리는 국제사회의 총의가 반영된 보편적인 국제법에 의하여 공인된것으로서 유엔안전보장리사회가 그에 어긋나게 이래라 저래라 할수 있는 문제가 아니다.

    我々の衛星発射だけを標的に軍事的目的の長距離ミサイル発射とか「挑発」であると、情勢を緊張させる要因とみることは、我々を敵対視するところから生じた観点である。
    우리의 위성발사만을 한사코 군사적목적의 장거리미싸일발사로,《도발》로,정세긴장요인으로 보려는것은 우리를 적대시하는데서 나오는 관점이다.

    米国は、去る4月の衛星発射の時にも敵対的な過剰反応を示し、我々が核問題を全面的に再検討せざるを得ない状況に追い込んだ。
    미국은 지난 4월 위성발사때에도 적대적인 과잉반응을 보여 우리로 하여금 핵문제를 전면적으로 재검토하지 않을수 없게 만든바 있다.

    敵対視観念は、誰の助けにもならず、対決では如何なる問題も解決することはできない。
    적대시관념은 누구에게도 도움이 되지 않으며 대결로써는 그 어떤 문제도 해결할수 없다.

    我々は、全ての関係国が理性と冷静さを堅持し、事態が不本意にも誰も望まない方向に発展しないことを望んでいる。
    우리는 모든 유관측들이 리성과 랭정을 견지하여 사태가 본의아니게 그 누구도 바라지 않는 방향으로 번져지지 않게 되기를 바란다.

    我々は、誰がなんといおうが、合法的な衛星発射の権利を継続して行使しながら、宇宙を征服し国家の経済建設と人民生活の向上のために積極的に努力するであろう。
    우리는 누가 뭐라고 하든 합법적인 위성발사권리를 계속 행사하면서 우주를 정복하여 나라의 경제건설과 인민생활향상에 적극 이바지하도록 할것이다.

    「中国、北朝鮮の衛星発射に遺憾の意表明」(2012年12月12日 「China Daily」)

    中国外務省報道官が北朝鮮の衛星発射について「遺憾の意」を表明した。報道官は「中国は、北朝鮮の衛星発射が国際社会の『普遍的』憂慮の中で行われたことに遺憾の意を表明する」と述べた。

    その一方で、「中国は、朝鮮半島における恒久的な平和と安定のために、(全ての関係国が)対話と協議を通じて最も最適な方法を見いだすべきであるという考えを堅持する」とした上で、「(我々)は、全ての関係国がこの問題に対して冷静に対応し、朝鮮半島の包括的な平和と安定を担保するための共同努力をすることに期待をする」と述べている。

    しかし、同報道官は「北朝鮮は宇宙空間の平和利用に関する権利を有するが、その権利は国連安保理の関連決議により制限されている」と繰り返し、北朝鮮は国連加盟国として安保理決議に拘束されると述べた。

    また、記者から出された「安保理はどのような対応をすべきか」という質問に対し、同報道官は「中国は、安保理の対応が『慎重かつ穏健なもの』であり、朝鮮半島の緊張を高めるのではなく、包括的な平和と安定をもたらすものであるべきであるという立場を堅持する」と答えている。

    China Daily.com.cn, China 'regrets' DPRK's satellite launch:
    http://www.chinadaily.com.cn/china/2012-12/12/content_16010882.htm

    中国外務省報道官のこのコメントは、北朝鮮を刺激したくないという立場と、面子を潰されたて怒る立場の間で揺れている様子が伝わってくる。「北朝鮮は安保理決議に拘束される」と今回も述べていることからすると、安保理における追加制裁決議には賛成するのではないだろうか。何回も書いてきたが、決議内容の実効性確保は中国の対応如何である。それを中国がどこまで実行するか、これに注目する必要がある。

    「<録画報道>朝鮮中央通信社報道 - 人工地球衛星<光明星3>号2号機を成功裏に発射」(2012年12月12日 「朝鮮中央TV」)

    ロケット発射の詳細を伝える「朝鮮中央通信」の報道を「朝鮮中央TV」が伝えている。以下は、「朝鮮中央通信」の全文の翻訳。

    *********
    我々の科学者、技術者は、偉大な領導者金正日同志の遺訓を高く掲げ、運搬ロケット「銀河-3」で人工地球衛星「光明星-3」号2号機を軌道に進入させるのに成功した。

    運搬ロケット「銀河-3」は、2012年12月12日9時49分46秒に平安北道チョルサン郡西海衛星発射場から発射され、27秒後の9時59分13秒に「光明星-3」号2号機を予定した軌道に正確に進入させた。

    「光明星-3」号2号機は、97.4度の軌道傾斜角で近地点高度499.7km、遠地点高度584.18kmである極軌道を周回しており、周期は95分26秒である。

    科学技術衛星である「光明星-3」号2号機には、地球観測に必要な測定機材と通信機材が設置されている。

    「光明星-3」号2号機発射の完全な成功は、我々の党の科学技術重視政策の誇るべき結実であり、自主的な平和的宇宙利用の権利を堂々と行使し、国家の科学技術と経済を発展させることにおいて画期的な事変となる。

    国中に偉大な金正日同志に対する限りない思いと、敬慕の情が溢れている時期に、我々の科学者、技術者たちは、父なる首領様の誕生100周年となる2012年に科学技術衛星を打ち上げることに対する偉大な将軍様の遺訓を輝かしく貫徹した。

    2012年12月12日
    ***************

    この報道をする「朝鮮中央TV」の男性トップアナウンサー
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-12-14.flv

    <追記>
    北アメリカ航空宇宙防衛司令部が、北朝鮮の衛星が軌道進入に成功したようだと発表した。

    North American Aerospace Defense Command, NORAD acknowledges missile launch:
    http://www.norad.mil/News/2012/121112b.html

    それにしても、今回のロケット発射は、これから予想される国際的な制裁強化、特に中国による懲罰的な対応があったとしても、北朝鮮にとっては非常に大きな成果となったことは間違いない。

    国内的には、金正日さんの遺訓を貫徹したということ以上に、4月の失敗を公開しておき、僅か半年の間に問題を克服して衛星を軌道に進入させたというこれまでにない成功を収めたということは、金正恩さんに対する北朝鮮国内における評価を大きく高めることは間違いない。特に「科学がなければ未来はない」と数日前に断言し、科学技術の粋を結集した衛星発射に成功したということは、朝鮮人民には「先軍朝鮮」が「科学朝鮮」に変貌しつつあるという希望かつ幻想を抱かせるに違いない。一般の朝鮮人民には、かつて打ち上げた衛星も「成功した」ということになっているが、今回はNORADの追尾でも「軌道進入に成功したようだ」という評価まで得ており、過去の衛星が失敗であったという事実を知っている高級幹部もさぞかし驚いていることであろう。北朝鮮が、自国の衛星をどこまで追尾できているのかは分からないが、NORADの発表はその成功を裏打ちするものなので、彼らを喜ばせていることであろう。特に、韓国がロシアの技術を借りてもできていないことを、表向きは(そしてかなりの部分を)独自の技術でやってのけたということは、韓国の発展ぶりを知る朝鮮人民にも自負心を与えたであろう。

    もちろん、今回の打ち上げが偶然の成功だったのか、それとも計算通りの成功だったのかどうかということは、北朝鮮の次のロケット発射まで見極めることはできない。今回の発射で北朝鮮が得たものと、失うもののバランスは、これから国連を中心とした国際舞台で決まっていくことになる。

    「<録画報道>光明星3号2号機衛星発射成功」(2012年12月12日 「朝鮮中央TV」)

    日本のメディアで繰り返し流されてきた、「朝鮮中央TV」の発射成功報道がuriminzokkiriにアップロードされた。通常、uriminzokkiriにはその日の夕方か翌日に番組がアップロードされるが、今日は他の番組も含めて早くアップロードされているようである。

    番組のアナウンスは、「朝鮮中央通信」と同様なので、過去記事を参照していただきたい。この女性アナウンサーは、李春姫さんを引き継ぐ女性のトップアナウンサーとみられる。非常に高揚した声で成功を伝えている。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-12-12.flv

    「<紹介編集物>一生お召しになった戦闘服」:金正日はなぜ戦闘服を着たのか?その謎が解けた(2012年12月11日 「朝鮮中央TV」)

    金正日さんの1周忌を前に、「朝鮮中央TV」では彼を称賛したり、回顧する番組が増えている。この番組では、金正日さんが愛着した戦闘服についての逸話を紹介している。実は、なぜ彼が「戦闘服」を好むのかその理由がよく分からなかったのだが、事実かどうかは別とし、北朝鮮での説明がこの番組見て分かった。

    「朝鮮革命博物館」に保管されている金正日さんの野戦服
    「偉大な領導者金正日同志が1980年代に着用されたジャンパー」と書いてある。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-11-13-y.flv

    番組では、「どこでも見られるような簡素で平凡なジャンバー」とこのジャンパーを紹介している。写真で見る限りは、そうなのかもしれないが、やはり高級な生地で作られた特性ジャンパーなのであろう。

    下の写真の鄭ソンチョルさんは、このジャンパーについておもしろい話をしている。鄭さんによると、金正日さんはこのジャンパーを「修理」しながら着ていたということである。なぜそんなことを知っているのかというと、鄭さんのご主人が金正日さんに仕えしていたときの話を聞いて知ったとのことである。幹部たちが金正日さんに新しい服を着るように進言したが、金正日さんは「少し縫い直せば着られるのに、なぜ新しい服が必要なのか」と言ったそうである。その後、金正日さんのズボンがほつれているのを見つけたテイサンのご主人が「将軍様、私は将軍様の服が欲しいです」と懇願したところ、金正日さんがその服を与えてくれ、鄭さん一家の家宝となったとのことである。鄭さんのご主人が誰だかは分からないが、金正日さんの近くで使えることができる人だったことからすれば、相当の地位にあった人であろう。

    金正日ジャンパーの由来を話す鄭さん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-11-13-y.flv

    おなじみの「野戦服」と番組では紹介している。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-11-13-y.flv

    下の写真の朝鮮革命博物館館長・貢献史跡講師の許ジョンスンさんは、「野戦服」の由来について次のように語っている。1984年、金日成さんが東欧訪問に出発する日、金日成さんを送るために出てきた金正日さんが「幹部は皆良い(この部分の朝鮮語不明)スーツを着てネクタイをしているのに、首領様だけが良くない(同意味分からず)スーツを着ておられる。首領様にもよいスーツを作って差し上げなくてはならない」と述べ、東欧訪問から帰国する金日成さんによいスーツを作ってあげたとのことである。そして金正日さんは「私は、これから首領様の代わりに一生涯『戦闘服』を着て過ごすので、首領様はスーツとネクタイを着用してお仕事をなさってください」と言ったそうである。

    「野戦服」の逸話を話す許館長
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-11-13-y.flv

    スーツ姿の金日成と野戦服姿の金正日
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-11-13-y.flv

    実に感動的な話ではあるが、なぜ金正日さんが「野戦服」を好んだのかは分からない。金正恩さんは、一度だけ『労働新聞』にスーツ姿の写真が出たが、その後は「野戦服」とはスタイルの異なる人民服を着ている。後に、そのファッションについての何らかの逸話が作られるのであろうが、『労働新聞』にスーツ姿の写真を出した時点では、金日成、金正日いずれのスタイルで行くのかまだ迷っていたのかもしれない。

    と、この記事を書いている途中でロケット発射が飛び込んできて、この記事掲載は後回しになった。

    北朝鮮、銀河3-2号を発射 (2012年12月12日 諸メディア)

    私の予測が大きく外れた。「22日まで少なくとも発射はない」と書いたが、何と当初の予告期間の3日目に発射をした。以下、直感的に色々と書いていくことにする。

    1.発射は成功か?
    米国も発射については確認し、詳細な分析を進めているという。韓国国防部の発表では、2段目までの落下物は北朝鮮が予告した地点に落下している。3段目がどうなったのかは、追々米国が発表するであろうが、少なくとも2段目までは北朝鮮が予告した地点に落ちていることからして、北朝鮮の「基準」からすれば対外的にも対内的にも「成功」といえよう。もちろん、北朝鮮にとって(そして米国にとっても)3段目の到達距離が最も重要な問題となろう。どれだけ、米国本土に近づけることができたのか、ここが焦点である。

    <追記>
    韓国国防部は、衛星が軌道に進入したことを確認した。

    現時点で、私が確認できる北朝鮮メディアは、ロケット発射について何も述べていない。しかし、まず「朝鮮中央通信」が対外向け報道をし、明日の『労働新聞』には「発射成功」という記事が載るのではないだろうか。もしかすると、今夜の「20時報道」では、銀河3-2号が送信したとする「パルコルム」を流すかもしれない。4月に失敗した銀河3-1号と今回の3-2号の仕様が同じであれば、地上観測用のカメラも搭載しているはずなので、その画像も公開するかもしれない(これは、google earth等が使っている、商用衛星が撮影した画像を加工して使うのではないだろうか)。

    <追記>北朝鮮が「成功」を発表

    《광명성-3》호 2호기 위성 발사성공
    「光明星-3」号2号機衛星、発射成功
    (평양 12월 12일발 조선중앙통신)
    (平壌 12月12日 朝鮮中央通信)
    12월 12일 평안북도 철산군 서해위성발사장에서 운반로케트 《은하-3》을 통한 《광명성-3》호 2호기 위성의 발사가 성공하였다.
    12月12日、平安北道チョルサン郡西海衛星発射場から運搬ロケット「銀河-3」による「光明星-3」号2号機衛星の発射が成功した
    위성은 예정된 궤도에 진입하였다.(끝)
    衛星は、予定された軌道に進入した。

    <追記>
    日本のメディアによると、「朝鮮中央TV」が「朝鮮中央通信」と同じ内容の成功報道をした。国内向けには、発射予告がされていなかったので、初めての報道である。この成功報道、追ってuriminzokkiriにアップロードされるであろう。

    2.発射の謎
    北朝鮮は、10日に発射予告期間延長を発表した。2日後に発射できる状態であるにもかかわらず、この時点でこうした発表をした理由が分からない。「技術的欠陥」という言葉を使ったことについては過去記事に書いたとおりであるが、なぜ2日後に発射できるのに国家的威信を損傷するような発表をしたのであろうか。

    考えられるのは、①深刻であると思われた「欠陥」が実は単純であった、②29日延長は国内で発射如何に関する衝突があったので、それを調整するための時間を稼いだ、③中国の説得が不調に終わった、ということであろうか。①については、その実態を知ることはできないが、韓国の報道には「解体作業が始まったと」いうものがあった。

    『聯合ニュース』、「北朝鮮 ミサイル解体の兆候=欠陥修理のためか」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121211-00000029-yonh-kr

    このニュースのソースがどれだけ信用できるのかは分からないが、もし衛星写真で解体が確認されていたとしたら、その数日後に発射ということは考えにくい。可能性は低いが、北朝鮮が複数のロケット、しかも衛星では確認できないような発射台を持っていた、また、軍事パレードに登場した移動式の弾道弾ミサイルが言われるように張りぼてではなく、本物であったということもあり得る。

    ②については、過去記事にも書いたとおり、可能性は低いと思われるが、もしそうだとすると状況は深刻である。最悪、最高司令官の命令に背いて、軍部が勝手にロケットを発射したということになる。(北朝鮮公式メディアの「発射成功」報道により、この可能性はほぼなくなった。)

    3.ロケット発射の背景にある国際関係
    3つのうちで最も可能性が高いのは、③ではないだろうか。中国が米国からの譲歩を引き出すために動いていたが、結局それがうまくいかず、北朝鮮が発射に踏み切ったという可能性だ。実は、中国共産党対外連絡部委員長の王家瑞さんが米国を訪問中で、米国時間の火曜日(日本時間の昨夜)に米国務省副長官のバーンズさんと会談をしたはずである。この会談の焦点は北朝鮮のロケット発射問題であったはずだが、そこで何らかの妥協点を見いだすことができなかった可能性はある。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefings: http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/12/201751.htm

    そうだとしても、発射に踏み切るまで早すぎる感はあるが、どうせ得られるものがないのであれば、国内向け宣伝のために、金正日1周忌の雰囲気が高調するこの時期に発射しておいた方が有効であるという判断が働いたのかもしれない。

    現時点では本件とは直接関係ないが、米国務省は米国市民1名が北朝鮮に拘束されており、スウェーデン大使館が仲介し交渉をしていることも認めている。もちろんこの拘束事件が、これがロケット発射を巡る米朝間の取引に今後影響を及ぼす可能性は十分にある。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefings: http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/12/201811.htm

    中国メディアは、日本の報道などを引用しながら発射の事実を確認しているが、中国政府はコメントは出していない。

    China Daily, DPRK launches rocket, first stage falls into Yellow Sea:
    http://www.chinadaily.com.cn/world/2012-12/12/content_16008625.htm

    本件について、中国政府は相当に怒っているはずである。国連安保理で近日中に本件について議論されるであろうが、全常任理事国が賛成する形で新たな制裁決議がなされることになろう。決議は現状がそうであるように「国際社会からの抗議の意」を示すための形式的な手段となろうが、今回、中国が北朝鮮に対してどれほどの怒りを表すのかが注目される。2006年に実施したように、中朝間の原油パイプライン閉鎖というような措置まで採るのだろうか。2006年は「点検のため」という名目であったが、今回は「制裁のため」とあからさまに閉鎖をする可能性もある。中国は、北朝鮮をあまり刺激したくないとも考えているはずだが、一方で、面子を潰されたことには激怒しているはずである。しかも、新指導部の面子をである。過去記事にも書いたが、このことについて金正恩政権がどのような判断をしているのか全く考えが及ばない。「このぐらいのことは」と高をくくっているのか、それとも中国からさえも自主独立路線を選択したのか。もちろん後者は、北朝鮮が自滅を選択したことと同じであるのだが。

    4.日本の対応
    ロケット発射を思いとどまらせること自体については、日本はほとんど無力であった。しかし、今回はミサイル防衛関連の安全システムがきちんと機能した。日本も4月のような大失敗は回避できたということで、それは良いことだ。日米韓の連携がどのような形で行われたのか、4月の失敗時には軍事関連の専門家がメディアで解説をしていたが、今回はうまくいったので今のところその話はない。うまくいったのなら、どうしてうまくいったのかという解説も聞きたいものである。

    政府も選挙期間中でありながら、かなり迅速な対応をしたと思う。これ、民主党にはある程度の追い風となるはずである。一方、安全保障問題を巡り、民主党の無能力さを攻撃してきた自民党にとっては、「そうでもない」という逆証になってしまった。北朝鮮が民主党にエールを送ったということではないにせよ、「北風」は少なからず吹いたはずである。

    「朝鮮宇宙空間技術委員会スポークスマン談話」:発射期限を12月29日まで延長 (2012年12月10日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が、「宇宙区間技術委員会」スポークスマン談話という形で、ロケット発射予告期間を12月29日まで延長したと発表した。延長の理由として、「運搬ロケットの1段目操縦発動機(エンジン)系統の技術的欠陥が発見された」ためとしている。

    理由として挙げている「1段目操縦発動機(エンジン)系統の欠陥」とは何だろうか。ロケット技術については全く知識がないのだが、想像でいえば、推進力を得るためのロケットエンジンの他に、ロケットの向きを調整するためのエンジンがあり、そこで欠陥が見つかったということであろうか。もしそうだとすると、そのまま発射されていたらロケットが飛行軌道を逸脱したり、最悪陸地に墜落する可能性があったわけなので、北朝鮮の技術者がその欠陥を発見したということは幸いといえよう。

    注意すべき点は、北朝鮮が「技術的問題」という言葉を使わずに、「欠陥」という用語を使っていることである。「問題」も「欠陥」も漢字語なので、日本語とほぼ同じ語感で使われていると考えて良い。そうだとすると、「欠陥」というのは、「問題」よりも明らかに深刻で、簡単な修理では済まない。大概の場合は、設計に立ち返って、再検討すべき事柄と捉えて良い。だとすれば、発射予定期間を1週間延長したところで、解決などできないのではないだろうか。

    それにもかかわらず、12月29日という日にちを持ち出してきたのは、1週間延長することで「瀬戸際戦術」によるより大きな成果を引き出そうとしているのかもしれない。単純に1週間延ばしたともみえるが、やはり発射するならば年内でなければ意味がないということの表れでもあろう。

    私は、過去記事でも今回の発射はないのではと書いてきたが、この発表を受けて、少なくとも22日までの発射可能性が相当に低くなった思っている。某国の官房長官が「どうせ発射しないのなら、16日までは発射しないと言えば良いのに」と言い出しそうだが。

    「朝鮮宇宙空間技術委員会スポークスマンの回答」:光明星3-2号打ち上げ延期か? (2012年12月8日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮宇宙空間技術委員会」が『朝鮮中央通信社』記者の質問に答える形で、ロケット打ち上げ延期の可能性について示唆した。

    「宇宙空間技術委員会」のスポークスマンは、「光明星3-2号機の発射のための準備作業の最終段階を推進している」としながらも、「その過程で、一連の事情がが提起され、我々の科学者、技術者は光明星3-2号機発射時期を調整する問題を検討している」としている。

    注目すべきは、この発表で「一連の事情が提起され」たとしている点である。事情というのは、天候、技術、政治、国際関係全て含むわけであるが、天候に関していえば、平壌の天気は13日まで快晴、その後は雪の予想が出されている。発射場は平壌ではないが、おおざっぱに考えれば発射を予告した前半の天候は概ね快晴ということである。ざっと調べただけなので、風についての情報はないが、風雪ということは少なくともなさそうだ。次に技術であるが、これは分からない。報道では「我々の科学者、技術者」が「発射時期を調整する問題を検討している」と述べているが、彼らが技術的な問題のために「発射時期を調整」しているのか、その他の問題のために「発射時期を調整」しているのかは明らかではない。政治的問題や国際関係上の問題が提起され発射が不可能になれば、技術者はこれまで行われた作業の中断、あるいは韓国のロケット同様、分解に関する技術的検討をしなければならない。

    政治や国際関係以外で、北朝鮮のロケット発射を妨げるのは天候であろう。しかし、12日間ものスパンで発射予告をしたので、その間に少なくとも1日ぐらいは発射に適した天候の日もあろう。技術に関しては、「発射する」と言った以上、相当に熟した段階に至っていたはずである。もちろん、4月の苦い経験があるので慎重になっているということはあり得るが、それでも北朝鮮という国家の体制・性質上、技術的な問題が発覚しても無理矢理発射し、失敗しても、過去記事に書いたとおり「成功」と発表することは可能である。

    すると、やはり今回の「発射延期検討」は国内政治か国際関係によるものと考えるのが妥当であろう。国内政治についていえば、これも過去記事に書いたとおり、失敗しようが成功しようがこの時期に発射をすることには大いに意義がある。また、遺訓を後ろ盾にした金正恩さんの決定を国内政治的な要因で覆すことができる勢力が存在する可能性も低い。また、発表では決して「中止」といっていないが、発射予告期間が過ぎて年を越してしまえば、「新たな主体の100年代が始まった」重要な年のフィナーレを飾り、金正日逝去1周忌を追悼する花火の意味がなくなってしまう。

    そう考えると、やはり国際関係、特に中国からの圧力が北朝鮮の「発射延期」の決定に繋がっている可能性が高い。非常に楽観的(ある人は悲観的というかもしれないが)な見方をすれば、「発射延期」のご褒美として、何らかの形の複数国間(マルチラテラル)の協議が始まるかもしれない。場合によっては、それが六者会談に繋がっていく可能性もある。もしかすると、こうした段取りは中国が調整役となり水面下で行われているのかもしれない。もちろん、協議の内容次第では、それが北朝鮮の「瀬戸際外交」の再勝利ということにもなり得るが、ともあれ北朝鮮が発射を断念し、話し合いの場に出てくるということは、少なくとも「地域の安定と平和」を多少ながらも向上させることになるということは間違いない。2.29米朝合意は、どちらかというと北朝鮮の体制がまだ固まっていない時期に、良い意味でも悪い意味でも、金正日さんの遺訓を引きついでの産物である。金正恩体制が固まった後の「核・ミサイル」を巡る国際協議がこれを契機に実現すれば、同体制の本質や思考を判断する良い機会となろう。「瀬戸際外交」の巧みさまでは金正日さんを引き継いだとして、その後の出方は未知数である。

    情けなくて書く気にもならないのが、日本の対応である。何でも、首相は北朝鮮の「ミサイル発射」に対処するために10日の遊説を取り消したそうである。各種の世論調査で勝算が低い選挙の最中、遊説をやめるというのはご立派であるが、10日だけというのは全く意味がない。「発射するならさっさと上げて欲しい」という藤村官房長官の雑言がまさにそれを示しているわけであるが、もし10日の遊説をやめるのあれば、北朝鮮が「ミサイル発射」をするまで、少なくとも予告された期間は、遊説などしないで非常対策本部に詰めているべきである。それをやらないのであれば、10日の遊説中止は薄っぺらいパフォーマンスに過ぎない。もっといえば、自民党の安倍さんも維新の会の石原さんも、国民の安全を守ることに大変ご熱心なので、遊説などしている場合ではないと思う。ここぞとばかり、シャドーキャビネットを組織して、有事への対応のシミュレーションを行い、国民にその実力を示すべきではないだろうか。その方が、街頭で声を張り上げて脅威を煽るよりも、説得力が高いはずである。

    『読売新聞』、「北ミサイル早期発射警戒…首相、10日遊説中止」:
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121208-OYT1T00029.htm?from=ylist

    日本の話はさておき、今後の展開を十分に注視する必要がある。今朝の『労働新聞』は未確認であるが、昨日までの段階では、北朝鮮は『労働新聞』上で、つまり朝鮮人民に対してはロケット発射予告をしていないようだ。

    「20時報道」:『追慕説話集 自然が泣いている』、金正日死去に際して起きた超常現象集出版(2012年12月7日 「朝鮮中央TV」)

    金正日さんの1周期がを迎えるにあたり、新たな図書が出版された。「20時報道」では、3冊の図書を紹介しているが、その中でもおもしろそうなのが『自然が泣いている』という本である。

    『追慕説話集 自然が泣いている』(金星青年出版社、2012)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-07-14.flv

    この本は、金正日さんが死去後に発生した超常現象、特に鳥や動物などの異常な行動を紹介しているようである。番組では、本に掲載された写真とその説明をいくつか大きく映し出しているので、それらを紹介しておく。

    「チョンソン青年炭鉱にある「(金日成)永生塔」横の柳の木に一晩中留まっていたカササギ」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-07-14.flv

    「Yahoo! オンライン野鳥図鑑」によると、カササギはつがいになるまでは群れをなす鳥だそうだ。ただ、(日本では)11月頃からつがいになるとのことなので、日本より寒い北朝鮮で12月末に巣をほっぽり出してこれほど群れるのは、やはり超常現象ということか。

    「Yahoo! オンライン野鳥図鑑」カササギ:http://www.yachoo.org/book/view/kasasagi

    「チャソン郡の革命史跡碑の脇で悲憤にもがいた後、そのまま動かなくなってしまったカササギ」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-07-14.flv

    鳥ではないが、拙宅の金魚も「悲憤に」かどうかは分からないが、死ぬ前にもがくように泳いだ。なんの超常現象だったのだろうか。

    「(哀悼期間である)12月27日早朝の4時、金正淑平壌紡織工場のある事務室に飛んできて、(金日成・金正日の)肖像画の前の椅子に29時間座っていたヒヨドリ(写真左)」
    「南浦市にあるある企業所の弔意式場の軒の下に飛んできて長時間留まっていたチゴハヤブサ(写真右)」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-07-14.flv

    「偉大な将軍様がカンソンの地にいらっしゃった日時に合わせて、白頭山偉人のお姿を描いたモザイク壁画横の松林に飛んできて、哀悼の意を示すように長い間動かなかった雄のキジ」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-07-14.flv

    本記事を書くに際して、鳥の名前を調べるのに苦労した。韓国と北朝鮮では、方言に由来すると思われる呼称の違いがあるようだ。そんな時、「NAVER(韓)国語辞典」(http://krdic.naver.com/)は北朝鮮語彙や関連語の検索ができるのでとても重宝する。

    さて、1周忌を迎えるにあたり、さらなる超常現象は起こるのであろうか。

    「偉大な金正日大元帥様は革命生涯の全期間に1647回、39万8千キロに達する列車強行軍」(2012年12月6日 「労働新聞」)

    金正日さん死去1周年が近づき、金正日さんを称える報道が増えている。今日の『労働新聞』には「後世万代に伝え続けられる絶世の偉人の不滅の献身 偉大な金正日大元帥様が革命生涯の全期間に1647回にわたり39万8千キロに達する列車強行軍で祖国の富強繁栄と世界自主化偉業実現のために大きな貢献をなさった」という長いタイトルの記事が1面トップを飾っている。この記事を読んで、くだらない計算をしてみた。

    総移動距離を回数で割った1回の列車強行軍の平均距離:242km
    北朝鮮の列車の平均速度は、40km/h(アンドレイ・ランコフ、『民衆の北朝鮮 知られざる日常生活』、花伝社、2009、p.174)
    1回の列車強行軍の平均乗車時間:6時間

    金正日さんが党中央委員に選出された1972年から死去した2011年まで39年間、何らかの形で列車強行軍をしたとして、1年間の平均移動距離:約1万キロ

    1998年、国防委員長就任後に主に列車強行軍をしたとして、年間移動距離:30700キロ
    1日平均:84km
    1日の乗車時間:2時間

    『労働新聞』には、2009年から死去する2011までの数字も書かれている。それによると、列車強行軍の回数は424回、移動距離は7万5千キロだそうだ。

    2009年から死去までの年平均移動距離:2万5000km
    1回の列車強行軍の平均移動距離:177km
    1日平均:68km
    年平均列車強行軍回数:141回
    平均移動時間:約4時間

    単純計算をするとこういうことになる。

    では、比較のために某国のリゲイン片手に24時間戦う「突撃隊員」について考えてみる。

    22歳で就職して60歳で定年退職をする平均的「突撃隊員」について計算してみる。

    東京~大宮間の電車での移動は約40分、距離は往復で約60キロである。何の根拠もないが、これを平均的「突撃隊員」の通勤状況とする。

    年間勤務日数を250日とすると、1年間の「列車強強軍」の距離は15000kmとなる。通勤の他に出張なども加えると、17000kmというところだろうか。そして、このリゲイン「突撃隊員」が定年退職までの38年間、同じ「列車強行軍」を続けると、646000kmを移動することになり、金正日さんの1.6倍となる。しかも、リゲイン「突撃隊員」が乗る「野戦列車」は、金正日さんが使ったような高級家具や寝台があつらえられた「野戦列車」ではなく、ギュウギュウ詰めの「野戦列車」である。

    どうやら、金正日さんの「列車強行軍」よりも、某国のリゲイン「突撃隊員」の「列車強行軍」の方がよほど「超強度」のようである。もちろん、指導者と「突撃隊員」を同列で比較することはできないが、それでも「超強度」であることは間違いない。

    以上、『労働新聞』に書かれていることは「書かれている内容として」は事実であるが、それ以外は荒唐無稽な計算であるので、深く追求しないでほしい。

    『労働新聞』、「후손만대에 길이 전해갈 절세위인의 불멸의 헌신 위대한 김 정 일대원수님께서 혁명생애의 전기간 1 647회에 걸쳐 39만 8천여km에 달하는 렬차강행군으로 조국의 부강번영과 세계자주화위업실현을 위해 커다란 공헌을 하시였다」:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-12-06-0001

    「20時報道」:国際ニュースの間違った画像 (2012年12月5日 「朝鮮中央TV」)

    「20時報道」を見ていると、北朝鮮では既に雪が積もっている地域がある。朝鮮人民にとって厳しい冬がまたやってきた。

    過去記事にも書いたとおり、「20時報道」では番組の最後の部分で海外のニュースを伝えている。そこで伝えられるニュースは3種類に分けられ、海外で発生した自然災害や大事故、海外の新しい科学技術の紹介、資本主義国の問題である。昨夜の報道では自然災害や大事故に関するニュースはなかったが、少し前、11月22日に米国のテキサス州の高速道路で発生した多重衝突事故のニュースを伝えていた。その系で、遅かれ早かれ、中央道笹子トンネルの事故も紹介されるであろう。科学技術に関しては、中国が砂漠に設置した大規模太陽光発電施設について紹介している。そして、資本主義国の問題ではスペインの大規模ストライキと英国の失業問題を伝えている。

    海外報道でおもしろいのは、国名を明らかにする場合としない場合があることである。自然災害や大事故、資本主義国の問題については国名を明らかにしているが、科学技術の紹介については、昨夜のように「中国」と紹介する場合もあるが、そのほとんどは「ある国」と紹介している。大体において科学技術は資本主義国で開発されるので、資本主義の優位性を宣伝しないために「ある国」としているのであろうが、背景に映し出される文字が中国語であっても「ある国」と紹介していることがある。簡体字か繁体字なのか判別はできないが、もしかすると「台湾」の出来事は「ある国」としているのかもしれない。

    それで、昨夜の報道でおもしろかったのは、「英国の失業率増加」を紹介するニュースで使われた画像が、英国の画像ではなかったことである。看板などの文字が全てスペイン語なので、スペインのテレビ局の番組の画像だと思われる。

    字幕には「英国の深刻な失業危機」と書かれているが、この建物の看板にはOFICINA DE EMPLOとスペイン語で書かれている(ウェブサイトで英訳するとJob Center、日本のハローワークといったところだろう)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-12-05-16.flv

    よいのだが、「足は朝鮮の地につけながらも、目は世界を見ている」朝鮮人民は、看板の文字が英語ではないことなど、私よりも鋭く見抜いてしまうはずだがどうなのだろうか。スペインも英国も所詮資本主義国だから良いのかもしれないが、それでは悪名高き資本主義発祥の地、英国に失礼というものである。外交関係もある国なのだし。

    北朝鮮による光明星3-2号発射予告:中国とロシアの反応 (2012年12月5日 諸メディアより)

    北朝鮮のロケット発射準備は進行中のようだ。『読売新聞』は「北ミサイル2段目の設置完了、3段目も進行中」という記事の中で、韓国政府関係者の発言を引用しながら「長距離弾道ミサイルのブースター(噴射装置)が、2段目まで設置された」とした上で、『聯合ニュース』の「準備は予想より早く進んでおり、予告期間中の早い時期に発射が強行される」という観測を伝えた。

    『読売新聞』、「北ミサイル2段目の設置完了、3段目も進行中」:
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121204-00001072-yom-int

    一方、ネット上で確認できる北朝鮮メディアは、12月1日に『朝鮮中央通信』で「조선우주공간기술위원회 대변인담화(朝鮮宇宙空間技術委員会スポークスマン談話)」を報じた後、ロケット発射に関して一切の言及をしていない。唯一、『労働新聞』の「과학이 없으면 미래도 없다(科学がなければ未来もない)」という記事の中で「우리 조국을 핵보유국으로!인공지구위성제작국,발사국으로!CNC기술의 명맥을 틀어쥔 나라로!(我が祖国を核保有国に!人工地球衛星製作国、発射国に!CNC技術の命脈を確実につかんだ国に!)」で「人工地球衛星」について触れているが、今回の発射予告とは直接的な関係はない。話題はそれるが、「科学がなければ未来もない!」という言葉は、記事によれば金正恩さんの言葉ということだ。金正日さんを称えるかの有名な「あなたがいなければ祖国もない」という歌があったが、「あなた」よりも「科学」が「祖国」に貢献することは間違いない。

    『労働新聞』、「과학이 없으면 미래도 없다」:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-12-03-0018&chAction=D

    話題を戻して続けると、4月のロケット発射の時には、3月16日に『朝鮮中央通信』が「宇宙空間技術委員会スポークスマン談話」を報じた翌日、『労働新聞』がこれを伝えている。ところが、今回はそれがない。2009年のロケット発射に際して、『労働新聞』がどのように報じたかを確認するすべを私は今持ち合わせていないが、4月の発射とは様相が異なることは明らかである。朝鮮人民には、何らかの形でロケット発射計画が伝えられているのであろうか。過去記事にも書いたように、今回、北朝鮮が発射に踏み切り、例え4月のような結果となってしまっても、朝鮮人民には「成功」と報じるであろう。そうでなければ、このタイミングで敢えて発射する意味がないということは過去記事に書いたとおりである(しかも4月のように、北朝鮮は国際的な「透明性」を強調していない)。しかし一方で、朝鮮人民に発射予告が伝わっていないとすれば、今回の発射を断念しても金正恩さんへの対内的なダメージはさほど大きくない。4月に北朝鮮がロケット発射を強行した背景には、遺訓と軍部の強硬派の影響力があげられている。李英鎬を中心とした軍部が、ロケット発射を金正恩指導部に強く迫った結果の発射であったという説であるが、そうであったとして、もし今回の発射決定を覆すようなことができたとすれば、金正恩さんが軍部も含む全権を事実上、確実に掌握したということを国際的に示すことはできる。指導部内からは「弱腰」という批判も出ようが、それをも気にせず撤回できるとすればである。

    3月17日の『労働新聞』、「조선우주공간기술위원회 대변인담화」:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-17-0002&chAction=L

    一方周辺国、特に中国とロシアが今回の発射については4月以上に強く自制を求めている。

    まず中国であるが、China Dailyは、「国連安保理がロケット発射に対して再考を求めていることもあるので、『自制した行動を取るように』と北京が平壌に要求した」と伝えている。また、中国はこの問題について「複数回」北朝鮮と協議していることを中国外務省報道官が明らかにしたとし、「主権国家たる北朝鮮は、宇宙の平和利用の権利は保有するが、朝鮮半島情勢と国連安保理決議に基づく制限を勘案し、中国は北朝鮮に対し朝鮮半島の平和と安定という大局的な局面から今回の事態に対処し、自制した行動を取ることを望んでいる」という中国外務省報道官談話を伝えている。過去記事では、中国共産党訪朝団と金正恩会談の席で既に発射についての合意が得られたのではないかと書いたが、この報道に見られる「複数回」という表現には平壌での会談も含まれており、現状では北朝鮮が中国の求めに反した行動を取っているといえるであろう。また、同記事の中では復旦大学朝鮮研究センターの研究員の言葉を引用しながら「北朝鮮は中国の自制の求めにもかかわらず、計画は変更しないであろう」とも伝えている。中国は北朝鮮を説得することができなかったことを示唆しているのであろうか。

    China Daily, "China calls on DPRK to proceed prudently":http://europe.chinadaily.com.cn/world/2012-12/05/content_15985947.htm

    実は、中国は12月4日の上記記事に見られる外務省報道官談話に先だち、12月3日により弱い調子の談話を出している。12月3日の談話は、これまでの北朝鮮による「挑発」に際して出された談話と同質で、「現状からして、全ての関係国に対して、冷静かつ自制した行動をし、状況を悪化させるような如何なる行動も取らぬことを中国は望んでいる。中国は全ての関係国と接触しながら調整を続ける」としていた。この談話の中では、北朝鮮を名指しすることなく「全ての関係国」という表現を使っていたが、翌日4日の談話では「北朝鮮」と名指しして自制を求めている。こうした点からも中国政府の北朝鮮に対する苛立ちが伺える。

    China Daily, "DPRK urged to halt satellite launch plan": http://usa.chinadaily.com.cn/world/2012-12/04/content_15982389.htm

    また、ロシアもロシア外務省談話を通じて北朝鮮に自制を求めている。ロシア外務省談話は「我々は、北朝鮮が宇宙空間を平和的に開発する権利を有するということに何ら疑問を抱いていない。しかし、それは今回の決定が一度撤回された上で行われるべきである。したがって我々は、北朝鮮政府に対してロケット発射を再考することを要求する」とし、「北朝鮮は国連加盟国として、全ての加盟国が拘束されている国連安保理の決定に従うべきであることをロシアは強調」すると述べている。

    Radio The Voice of Russia, "Moscow warns Pyongyang against rocket launch": http://english.ruvr.ru/2012_12_03/Moscow-warns-Pyongyang-against-rocket-launch/

    また、ロシア防衛省の高官は「ロシア軍は、北朝鮮のロケットが軌道を脱した場合は撃墜する」と発表した。

    Radio The Voice of Russia, "Russia vows to intercept stray N Korean rocket": http://english.ruvr.ru/2012_12_03/Russia-vows-to-intercept-stray-N-Korean-rocket/

    北朝鮮は、国際海事機関(IMO)にロケットの軌道と残骸の落下位置について通告してきたとのことである。それによると、「ロケットの1段目は釜山の西方140kmの全羅北道の上空で切り離されて落下し、2段目はフィリピンの東136kmの地点で切り離し落下する。その他の残骸は、済州島の西88kmの地点に落下する」としているという。フィリピンと済州島については海上であろうが、「釜山の西方140km」というのは陸地の上である。地図で見ると、その付近には全羅北道の道庁所在地である全州が位置している。私はまだ、ロシアの報道以上の確認作業はしていないのだが、韓国の陸地に1段目を落下させるということであれば、これは大変なことである。

    Radio The Voice of Russia, "N.Korea notifies IMO where its long-range rocket debris could fall":
    http://english.ruvr.ru/2012_12_04/N-Korea-tells-IMO-where-its-long-range-rocket-debris-could-fall/

    北朝鮮の通告どおりの軌道であれば、ロシアにロケットやその残骸が落ちる可能性はきわめて低いが、「飛んでくれば撃墜する」というロシア国防省の見解も北朝鮮に対する強い自制要求と苛立ちの表れとみてよいであろう。

    ところで米国であるが、北朝鮮が『朝鮮中央通信』を通じて発射予告をする以前に北朝鮮から通告を受けていたことを米国務省報道官が明らかにしている。ただ、この事前通告がどのようなルートで行われ、それが何を意味するのかについては分からない。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefing, :http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/12/201364.htm#NORTHKOREA

    <追記:2012年12月6日>
    上記、北朝鮮がIMOに通告した軌道であるが、やはり韓国の陸地上空は通過しない。1段目のロケットが落下するのは全羅北道沖140km地点というのが正しいようだ。

    詳細は、下記を参照されたい。北朝鮮の在英国大使館よりIMOに宛てられた文書の写真などが掲載されていて、興味深い。

    NORTH KOREA TECH, "Exclusive: More on DPRK rocket trajectory and launch plans": http://www.northkoreatech.org/2012/12/04/exclusive-more-on-dprk-rocket-trajectory-and-launch-plans/

    「朝鮮でAIDS予防のための相談と監視活動」(2012年12月3日 「朝鮮中央通信」)

    12月1日は、世界エイズ・デーである。これを受けて、北朝鮮でも国際機関関係者を招いて、エイズ関連の国際会議が開かれたようだ。

    「朝鮮中央通信」の記事によると、保健省国家衛生検疫院院長の朴ミョンスさんが「今後も北朝鮮でのエイズ予防のために女性と定期的な相談と検診をはじめとしたエイズ予防統制活動をさらに強化する」と語ったとのことである。

    STD研究所のHPによると、エイズは輸血などによる血液感染、性的接触による感染、そして母子感染がその感染原因としてあげられている。

    STD研究所、「HIV感染/エイズ」:
    http://www.std-lab.jp/stddatabase/db003.php

    だとすると、輸血用血液を輸入しておらず、朝鮮人民がエイズフリーでエイズ感染国においてやそうした国から北朝鮮に訪れた外国人と性的接触がなければ、朝鮮人民はエイズフリーの状態を維持できるということになる。この報道では国家エイズ委員会と保健省が緊密な協力をしながら「住民と海外旅行者たち、出張者たちに対する相談及び検査を強化している」としている。北朝鮮から一歩も出たことがない朝鮮人民がエイズに感染する可能性はきわめて低い。ここで「海外旅行者」と言っているのが外国人「海外旅行者」なのか自国民「海外旅行者」なのかはっきりしないが、海外「旅行」ができる朝鮮人民など限られているので、北朝鮮に入国する外国人旅行者を指しているのかもしれない。しかし、出張者となると中国に出張する人を中心にたくさんおり、これらの人々がエイズを北朝鮮に持ち込む可能性は排除できない。

    「朝鮮中央通信」では、世界エイズ・デー関連の国際会議の参加者に、エイズ予防広報用と思わしきビデオを見せているが、一瞬ではあるが、その中に朝鮮人民と思わしき手を繋いだ若い男女が映し出されている。国際的にだけではなく、国内的にも人の移動が強く制限されている北朝鮮では、海外からエイズが持ち込まれる可能性は相対的に低いが、「エイズ感染者ゼロを維持するための予防」と謳いながらも、このような運動を展開するのは、北朝鮮でもエイズ感染者が確認されたということなのであろうか。

    「朝鮮宇宙空間技術委員会スポークスマン談話」(2012年12月1日 「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮にロケット発射の兆候があるという報道が、米国の研究機関による衛星写真分析などに基づき伝えられていた。これについて沈黙してきた北朝鮮は、「朝鮮中央通信」を通じて今日、ロケット発射を予告する報道を出した。

    同報道によると、今回発射されるのは「光明星-3号の2号機衛星」で、4月に打ち上げを失敗した衛星同様「極軌道を回る地球観測衛星」であり、「銀河-3運搬ロケット」により「平安北道のチョルサン郡西海衛星発射場から南方に向け12月10日から22日の間に発射する」とし、運搬ロケットの残骸については「周辺国に影響を与えないように飛行軌道を安全に設定した」としている。

    そして、「我々は去る4月にあった衛星発射過程を通じて我々の平和的な科学技術衛星発射の透明性を最大限保障し、宇宙科学研究と衛星発射分野で国際的信頼を増進させ、今回進められる衛星発射と関連しても該当する国際的規定と慣例を遵守している」と主張している。

    さらに「今回の衛星発射は、強盛国家建設を推し進める我が人民を力強く鼓舞し、我が共和国の平和的宇宙利用技術を新たな段階に引き上げる重要な契機となるであろう」と述べている。

    実は、北朝鮮のロケット発射の「兆候」について、何か記事を書こうと思っていたのだが、北朝鮮がなぜこのタイミングでロケットを発射する必要があるのかについて考えがまとまらなかった。この報道を受けてそれがまとまったわけではないが、少なくとも北朝鮮がそれを認めたのであるから、何かの意図を見いだす必要がある。

    これまでいわれていたのは、韓国の羅老ロケット打ち上げを理由に、北朝鮮によるロケット打ち上げの正当性を主張する目的があるということである。韓国の羅老ロケットは、報道によれば29日に発射することができず、予定期間である12月5日までの発射は、事実上不可能になったということである。

    『中央日報』、「韓国ロケット「羅老」 予定期間内の打ち上げは不可能に…分離作業に着手」:
    http://japanese.joins.com/article/126/164126.html?servcode=300§code=330

    このことは、北朝鮮にとってロケット打ち上げの正当性を主張することに加え、今年4月の空中爆発のような事態を招かなければ、それ以前の衛星のように「パルコルム」でも何でも良いので、宇宙から発信された電波を受信した、つまり、衛星は軌道に乗り打ち上げは成功と発表することで、特に対内的に対韓優位を宣伝することができる。特に、韓国の打ち上げ中止が発表された直後にロケット発射を発表したことからすれば、韓国の打ち上げ中止決定が北朝鮮のロケット打ち上げ決定に影響を与えた可能性は十分にある。

    現段階で北朝鮮は、4月のように打ち上げの様子を海外メディア等に公開するとは言っていない。これは、前回同様失敗した場合でも、「成功した」と言い張るために非公開とすることにしたからかもしれない。メディアがいようがいまいが、北朝鮮のロケット発射は米国によりくまなく監視されているので、成功か失敗かは分かってしまうが、それにしても、米国政府あるいは米軍の発表であれば「でっち上げ」と一蹴することができる。しかし、海外メディア、しかも友好国も含む複数メディアではそうはいかない。

    北朝鮮は、金正日さんの命日を発射期間に含んでいる。このことは、失念したが少し前の何かの報道で、「金正日大元帥様の逝去後1年を迎える」という話を聞いて、何か関連があるのではないかと思っていた。つまり、ロケット打ち上げは金正日さんの遺訓で、4月には遺訓は貫徹したが失敗した。そのため、彼の命日を機にその遺訓を再び貫徹しようとするということはあり得るのではないだろうか。ただし、4月と違うのは、4月の発射が金正恩政権の意図というよりも、金正日遺訓であったので、無条件実行せざるを得なかったのに対し、今回の発射は、実行されるとすれば、明らかに金正恩政権の決定によるものである、あるいは完全にそうではないにしても、その性格が非常に強いということである。対韓優位性と遺訓貫徹を同時に示すことができれば、金正恩政権にとって非常に有効な対内向け宣伝となり、そのまま新年を迎える、つまり「新年共同社説」を飾ることができるということになる。

    一方対外的には、ミャンマーにおける演説で北朝鮮に対して発せられたオバマ新政権からのメッセージには背を向けることになる。もちろん、北朝鮮があのメッセージを受けて「この程度のことは」という読みをしているのかもしれない。確かに、オバマさんは文字面だけ見れば「核兵器を放棄し」としか言っておらず、「ミサイル」には触れていない。米大統領の演説と米朝間での話し合いの結果を直接的に比較することはできないが、何か2.29合意の時と意図の読み違いも含めて似ているような気がしないでもない。いずれにせよ、北朝鮮がロケットを発射すれば、オバマさんによるプロポーザルは無視されたことになり、米朝関係は冷え込むことになる。北朝鮮は、オバマ新政権を見限ってこのような行動に出るのか、それともロケット発射をカードに「瀬戸際戦術」に出るのかまだ判断することは難しい。

    The White House, Remarks by President Obama at the University of Yangon:
    http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2012/11/19/remarks-president-obama-university-yangon

    もう一つは、対中関係である。別記事のコメントにも書いたが、中国新政権は北朝鮮の新たなロケット発射に対して非常に敏感になっているはずである。しかし、このロケット発射発表があった直前、金正恩さんは北朝鮮を訪問中の中国共産党代表団と会談をしている。

    『労働新聞』、「경애하는 김 정 은동지께서 중국공산당대표단을 접견하시였다」:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-12-01-0001

    問題はこの席で中国共産党代表団との間で今回のロケット発射について話し合われたのかということである。発射決定発表のタイミングからすれば、話し合われたとみるべきであろうが、過去にもあったように北朝鮮が中国の説得を無視して発射を決定した可能性も排除できない。しかし、新体制が発足した(決定した)ばかりの中国を敢えて怒らせることを北朝鮮が選択する妥当性はない。だとすると、ロケット発射に関する何らかの合意が中国側から得られたということなのだろうか。

    対日関係では、ウランバートルで決まった「継続協議」が、ロケット発射を受けて中断することはほぼ明らかである。こと、次期選挙で安倍自民党政権が誕生でもすれば、現民主党政権以上に強力な対応が北朝鮮になされるであろう(とはいえ、もう日本ができる制裁はほとんどないであろうが)。そもそも、北朝鮮が日本と接触を始めたのは、日本側の事情もさることながら、北朝鮮側にもそうする強い理由があったからである。それをロケット発射で敢えて中断させる理由があるのだろうか。

    対韓国関係では、12月19日に大統領選挙を控えている。現状では、過去記事にも書いたように、朴槿惠さんが当選するであろうというのが私の予想である。北朝鮮は、朴正煕を攻撃しつつ*朴槿惠を牽制しているが、ロケットを発射したところで、この趨勢を変えることはできないであろう。つまりこの「北風」は有効ではないということである。

    *例えば、「朝鮮中央TV」の「[화술소품무대] 독연극 -《박사》감투-(<話術小品舞台>独演劇-<博士>の地位-)」:http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-11-23-18.flv

    このように見てくると、対内的にはロケット発射がポジティブな要因となっても、対外的にはネガティブな要因となり、その影響は一時的なものではなく、中・米・韓・日(北朝鮮に対する影響が大きい順)の新政権との関係に中長期的に影響する。また、金正恩政権が、そこまで対内的な支持を失い(あるいは、軍部からの突き上げを受け)、対内的な支持と対外的な関係をトレードオフにするような状況に追い込まれているとも考えられない。

    それで初めの話に戻るのだが、やはりなぜ金正恩政権がこのタイミングでロケット発射をする必要性があるのかということが分からない。可能性としては、足下が固まっていない周辺諸国の新政権を相手に「瀬戸際戦術」を展開する可能性はあり得る。しかしである。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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