「<TV連続劇>ある女党員の追憶 第4部」 (2013年1月29日 「朝鮮中央TV」)

    金正恩「演説」の記事を書いていて、こちらの続きを書くのが遅れてしまったが、「ある女党員の追憶 第4部」のストーリーである。

    第4部は、党細胞秘書の兄の恋人(フィアンセ)の作業班員と彼女の母との関係を修復する部分から話が展開する。

    女性作業班員の母(左)が見合い相手の男性の家を訪問し、娘と引き合わせる約束をする。
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    その様子を見ていた、別の作業班員の女性は見合い相手の男性に全ての事情を話す。この男性は作業班員の母に手紙で「そんなに立派なフィアンセがいるのならば、自分は遠慮をする」と伝える。

    この問題は解決し、作業班ではこの話で盛り上がっている。そこに党細胞秘書の兄との問題のために作業班を離れた女性作業班員が「手続きが終了した」と戻ってくる。さて作業に取りかかるのかと思いきや、「サークルの発表会」があるのでその練習をすることになる。これが何時なのかということはドラマでは分からないが、雰囲気からして勤務時間中のようである。

    「サークル発表会」の指導をする党細胞秘書
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    実に、これこそが金正恩さんが「演説」で言った「細胞秘書は歌も踊りも」ということのようだ。

    そこに技術指導員がやってきて、旋盤の出来具合を見ている。党細胞秘書がやってきて、技術指導員が党細胞秘書たちを冒涜したことについて「そのことは忘れましょう」と言う(これも金正恩「演説」の精神にかなう)。
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    旋盤製作の作業は進むが、歯の欠けたギアが3つも出てて来てしまう。元小資本家の作業班員は手工業者的な方法でギアを補修しようとするが、技術指導員は大きな工場で補修してもらおう主張する。しかし、作業班長と党細胞秘書の提案で「自分の力で」なんとかすることになる。

    折れたギア
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    元小資本家が提案した「手工業者」的な補修をするためには、火をおこすための薪が必要ということになり、党細胞秘書以下作業班員の半数が山に木を切りに行く。これも燃料不足を補うために裏山の木を何も考えずに伐採してしまう北朝鮮の現実の一端を表しているのかもしれない。
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    この共同作業の過程で技術指導員は細胞秘書に接近し「話があるから今夜会いたい」と話す。

    技術指導員は党細胞秘書を約束した場所で待っているが、細胞秘書はやってこない。細胞秘書も伐採のために設営したテントの中で行くべきかどうか悩みながらなかなか寝付けないでいる。
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    党細胞秘書の兄が退院して村に戻ってくる。作業班員の女性の母が兄の家を訪れ、それまでの無礼について謝罪をする。その間、作業班員の女性とフィアンセの母は食事の準備をしている。
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    党細胞秘書が技術指導員を通して道党委員会に依頼したお陰で、孤児の作業班員は大学に進学できることになった。進学できるといっても入学試験を受ける必要があるので、昼間は勉強をして夜作業をするという生活を送っている。勉強をしていると党員ではない作業班員がやってくる。この作業班員はこれまでのストーリー展開の中で、何か問題がある作業班員ということになっている。この作業班員は、河原で資材倉庫を作るための石を集めなければならないのだが、この仕事を若者に押しつける。理由は、白血病に効く秘薬(牛の角)を受け取りに行く約束があるからだという。
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    問題のある作業班員は、病気を治すために牛の角を手に入れるのではなく、転売をして利益を得ようとする。つまり、牛の角の所有者を騙して角を預かり、それを高く人に売り、販売金額の一部をかすめ取るという方法である。
    この場面では、こそこそと牛の角の取引をしている。
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    このドラマでは牛の角が取引品目となっているが、北朝鮮ではこのような脱法的商行為が社会問題となっているために、この役柄を登場させているのであろう。ストーリーは、この後、党細胞委員長がこの人をどう「再生」させるかを中心に展開することになる。

    孤児の作業班員が川で作業をしているところに党細胞秘書たちがやってくる。勉強もしないで何をしているのかと叱られると、この若い作業班員は「みんなが旋盤を作っているのに、自分だけ特別扱いで大学など行くわけにはいかない」と答える。党細胞秘書は「今は技術が必要だということを分かっているのか。首領様も祖国解放戦争という厳しい時期に、輝かしい祖国の未来のために軍人を大学に行かせたということを知っているでしょう」と諭す。若者は「考えが浅かった」と大学に行く決意を固くする。
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    党細胞秘書は、問題のある作業班員の家にやってくる。若者に仕事をやらせたこと、勤務時間中に不急不要の薬を取りに行ったこと、これまでも勤務時間中に抜け出して戻ってこないことが何回もあったこと、そしてさらにこの作業班員の「経済生活がきれいではない」という話があるということについて注意する。この作業班員は表向きは「これからは気をつける」というが、内心では不満を持つ。
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    若い作業班員は、他の作業班員に見送られて大学入試に向かう。後ろに止まっているトラックに乗って行くが、トラックが北朝鮮農村地域では主たる交通手段のようだ(80年代以降、どうなっているのかは分からない)。このトラックは色々な場面で登場する。
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    若者を見送って帰る途中で技術指導員と偶然出会う。技術指導員は党細胞秘書に「なぜそんなに僕を避けるんだ」と言い、「今日の夜、映画館の前で会おう」とせまる。党細胞秘書は「話があるならばここでして下さい」というが、技術指導員は「こんな場所でできる話ではない」と断る。そして、「前のように、また待ちぼうけを食わせないでくれ。待っている」というが、党細胞秘書は無言で立ち去る。
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    その夜、技術指導員は待ちきれずに党細胞秘書の家まで行ってしまう。党細胞秘書も寝付かれずに門の所まで行き、技術指導員に懇願されて外に出る。党細胞秘書は「なぜあなたが私と会いたいというのか、私は分かっています」と言うと、技術指導員は党細胞秘書の手を握り「ずっと前から愛していました」と告白をする。
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    さて、ここからがなかなかおもしろい。党細胞秘書は「私には独身の兄もいるし、家庭状況も問題がある」という。技術指導員は「あなたが望むのなら、自分はあなたの家に入るつもりだ」と答える。すると党細胞秘書は、「あなたは私をまだ理解していません。理解がない愛は遊びです」となかなか意味深いことを言う。すると技術指導員は「そうではない。僕はあなたを理解している」と大声で話す。
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    2人が話している現場を酔っ払って歩いていた例の問題のある作業班員に見られてしまう。この作業班員は、これをうまく利用して自分の立場を有利にしようと考える。
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    見られていることに気がつかない技術指導員は「火のように燃える僕の心を理解してくれないのか」とせまるが、党細胞秘書は「私は、今まで誰も愛したことがありません。しかし、愛はお互いが白い雪のようにきれいでなければならず、その感情は時間を掛けて花咲くと思っています」(一部声が小さくなり聞き取れない部分は想像訳)、と答える。続けて党細胞秘書は「あなたが人を愛するのであれば、自分のきれいな心を輝かせて下さい」、「愛は受けるものではなく、与えるものだというじゃないですか」と言って家に入ってしまう。党細胞秘書が言った最後の言葉は80年代の韓国でもしばしば聞いた。文学や哲学の素養がない私には、この言葉を元々どこの誰が言ったのかは分からないが、懐かしい言葉だ。

    第4部はここで終わる。

    「<録画実況>我が党と人民の最高指導者金正恩同志をお迎えし開催された朝鮮労働党第4回細胞秘書大会が閉幕した」 (2013年1月30日 「朝鮮中央TV」)

    第4回細胞秘書大会で金正恩さんが行った2つの演説を収録した番組を「朝鮮中央TV」が昨夜放送した。

    同演説の内容については既に別記事に書いたが、動画で彼の演説の様子を見ていて思ったことは、昨年4月15日の太陽節(金日成誕生日)に初めて体を揺すりながら演説を行ってから、随分演説も上手になり、また自信を付けたものだということだ。

    一部語句がナレーションで置き換えられた金日成軍事総合大学での演説以外の演説の文字数をカウント(スペースを含む)してみると、今回の党細胞大会演説が11342文字、新年の辞が9318文字、8.25慶祝大会が1960文字、6.6青年団記念式典が3894文字、4.15太陽節が6416文字である。新年の辞も比較的長いが、これは大衆を前に行った演説ではないのでそれを除けば、今回の演説は群を抜いて長い。これには開会の辞と閉会の辞の文字数は加えていないが、これを加えればさらに文字数は増加する。

    細胞大会「演説」は実に堂々と行っており、原稿には終始目を落としているものの、その雰囲気からはこの原稿にはゴーストライターではなく、彼のメッセージが込められているような気がする。だからこそ、自信もあるのであろう。細胞秘書たちもそれを読み取っているのか、「演説」終了後の拍手や「閉会の辞」の後の拍手喝采も気のせいかいつもと違う感じがした。もしかすると、丸2日間、自分たちと共に細胞秘書大会に出席していた金正恩さんにある意味「親近感」を感じているのかもしれない。そうだとすれば、今回の大会を通じて、彼を称える歌にあるような「親近なる金正恩同志」に一歩近づけたということになる。

    もちろん、これからは「演説」で発言したように「経済強国」を建設し「人民生活に一大転換」をもたらすことに邁進しなければならない。細胞秘書たちにそうするための「党の政策」を実践するよう求めたのだから、「形式的なスローガン」に終わらないような「党の政策」を提示しなければ、彼の言葉通り、民心は労働党から離れてしまうだろう。そうなれば「細胞が死ぬ」どころか「有機的生命体」が脳死したということになりかねない。是非とも頑張って欲しいものである。

    「閉会の辞」を読み終わり参加者の拍手喝采に答える金正恩
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    韓国の羅老号ロケット打ち上げ成功 (2013年1月30日 U.S. Department of State)

    1月30日、韓国の羅老号ロケットが打ち上げられ、衛星の軌道進入、衛星との交信に成功した。この点について、北朝鮮は今のところ一切のコメントを出していないが、彼らの主張通りであれば「同じ民族がロケットの打ち上げに成功したのだから、祝賀」すべきところであるが、「南朝鮮」が祝賀どころか非難をしたのだから、我々もしないというスタンスであろう。

    しかし、北朝鮮としては、このタイミングで韓国にロケットを打ち上げられ、そしてそれが成功してしまったということについて相当に神経を苛立たせているはずである(北朝鮮が同じことをやれば、米国はprovocative act、つまり挑発的行為と非難するであろう)。特に、自国の発射について新しい安保理制裁決議まで出されているのに、韓国の発射については誰も何も言わない、彼らの主張からすればダブルスタンダードについて、腹立たしく思っているに違いない。

    この問題について、米国務省の定例記者会見で興味深いやりとりが行われた。

    U.S. State Department, "Daily Press Briefing",
    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/01/203538.htm#ROK

    質問者は「日韓を含む全ての国が北朝鮮の弾道ミサイル技術を脅威と感じているのに、北朝鮮は韓国の弾道ミサイル技術を脅威と感じていないのだろうか」と質問している。これに対しヌーランド報道官は韓国と北朝鮮を比較しながら「韓国は完全に国際的な(大量破壊兵器)非拡散活動に参加しているので、皆、韓国がその技術を使って何をしているのか知っているし、韓国は拡散防止ための明確なプロトコルに従い、拡散させないことを保障し、それが軍事目的ではないということを世界に確信させている。この点において、北朝鮮の行動とは全く異なっている」と答弁している。

    記者が「だからこそ北朝鮮は脅威と感じるのではないか」とたたみかけると、報道官は「北朝鮮はそれを脅威と感じるべきではない。それは、北朝鮮も我々と同じような透明性をこの計画について確保すれば、ロケット発射の自由を享受できるからである。今の北朝鮮の行動はそれと全く違っている」と応じている。報道官は北朝鮮が核開発に関する「透明性」を確保すれば、つまり核開発をやめれば、韓国のようにロケット発射の自由を享受できると言いたいのであろう。

    さらに記者は、北朝鮮の衛星は結局死んだのではないかとした上で、「そうであれば、北朝鮮によるロケット発射による脅威は減少したのではないのか」とたたみかけている。これに対し報道官は「北朝鮮はそれを完成させるための制裁で禁止された努力を続けているので、その見方には反対である」と応じている。

    この質問をしている記者は、いつも執拗に食い下がるMattという記者であるが、やはり北朝鮮に対する制裁のダブルスタンダード的な側面に疑問を感じているのかもしれない。果たして米国は、北朝鮮が核放棄をしたとき、ロケット発射を認めるのであろうか。それとも、また別の理由を引き出して、それをさせないのであろうか。

    これと関連して、日本の対応も実に奇妙である。北朝鮮のロケット発射に際しては、自衛隊のパトリオットPAC3を沖縄に配備して厳重な警戒態勢を取ったにもかかわらず、韓国のロケット発射に対しては、少なくとも公には、このような体制は全くとっていない。警戒態勢をとった理由は「国民の安全と財産を守るため」であったはずだが、その前段にあるのは「北朝鮮のミサイルの部品等が日本の領域に落下する可能性」があったからのはずだ。

    今回、韓国が発射したロケットの飛行コースを調べようと、色々検索してみたが、信頼しうるデータは見つけることができなかった(韓国のロケット発射を総括する韓国教育科学技術部のホームページにも掲載されていないようだ。一方で、北朝鮮の飛行コースは同国が公開した図面を中心に山ほど出てくる)。そのため、韓国のロケットが日本の領域を通過したのどうかは分からないが、北に向かって発射はしていないので、日本の領域は通過しているはずである。韓国とて、過去に数回ロケット発射に失敗している国である。韓国が相対的に友好的な国であるかにかかわらず、同国のロケットが日本の領域を通過するのであれば「国民の安全と財産を守るため」に何らかの措置を講ずるべきではないのだろうか。これは、北朝鮮に対してではなく日本国民に対するダブルスタンダードであるといわざるを得ない。そうでないというのであれば、北朝鮮のロケット発射であれだけの警戒態勢を敷いたのは空騒ぎであり、無用に国民の不安を煽った責任は政府にある。それとも、韓国のロケット発射に対して警戒措置を講じなかったのは、韓国を刺激しないための外交的な判断だったとでも釈明するのであろうか。

    安保理決議に反した北朝鮮のロケット発射を正当化するつもりはないが、何かが変な気がする。

    ちなみに、種子島からのロケット発射は特に外国の領域を通過していないようだが(あるとすれば、米国の諸島地域か)。

    JAXA, 「H-IIBロケット試験機 ロケットの飛行計画」
    http://www.jaxa.jp/projects/rockets/h2b/zoom2_j.html

    「敬愛する金正恩同志が朝鮮労働党第4回細胞秘書大会でなさった演説」 (2013年1月30日 「労働新聞」)

    別記事にも書いたが、金正恩さんは細胞秘書大会で、「開会の辞」、「演説」、「閉会の辞」と3回の演説を行っている。大会半ばで行ったと思われる「演説」はその他の演説と比べると長く、中身もある。「演説」の要点と思われる部分を抜き出していくと以下のとおりである。

    1.「演説」の趣旨について「大会報告と討論を通じて過去、党細胞事業で達成された成果と経験、欠陥が正しく総括されたと考え、我が党と革命発展の要求に合うように党細胞の機能と役割を決定的に高めることにおいて提起されるいくつかの問題について話そうと思います(대회보고와 토론들을 통하여 지난 시기 당세포사업에서 이룩된 성과와 경험,결함들이 옳게 총화되였다고 보면서 우리 당과 혁명발전의 요구에 맞게 당세포의 기능과 역할을 결정적으로 높이는데서 나서는 몇가지 문제에 대하여 말하려고 합니다)」としている。

    2.「人民生活の向上」についての認識を示し「今、我々の帝国主義者との対決における主導権はさらに確固としたものとなり、経済強国建設と人民生活で転換を引き起こすのは時間の問題となりました(이제는 우리가 제국주의자들과의 대결에서 주도권을 더욱 확고히 틀어쥐게 되였으며 경제강국건설과 인민생활에서 전환을 일으키는것은 시간문제로 되였습니다)」と「帝国主義者」に対しては核抑止力を手にすることで「主導権はさらに確固としたものにな」っただけではなく、「経済強国建設と人民生活の転換」は「時間の問題」としている。前者は、これまでの「金正日大元帥様が我が国を核保有国にすることで軍事強国を建設した」という主張を基本的に沿ったものであるが、後者の「経済強国」が「時間の問題」というのはどのような認識に基づいたものなのだろうか。「軍事・政治強国」になったのだから、残るは「経済強国」で「軍事・政治」の気迫で取り組めばそうなる日も遠くないという期待と党細胞秘書に対する鼓舞なのかもしれない。

    3.続いて「党細胞を強化することが全党を強化するための第一歩とし、基本的作業とするために、党中央は朝鮮労働党第4回代表者会があった後、党事業を改善するための初めての大会として細胞秘書の大会を招集し、今回の大会を党大会と党代表者会同様に重視しています(당세포를 강화하는것이 전당을 강화하기 위한 첫걸음으로,기본고리로 되기때문에 당중앙은 조선로동당 제4차 대표자회가 있은 다음 당사업을 개선하기 위한 첫 대회로 세포비서들의 대회를 소집하였으며 이번 대회를 당대회와 당대표자회에 못지 않게 중시하고있습니다)」と党細胞秘書大会の重要性を強調している。

    4.こうした前提の上に、党細胞秘書の姿勢について「権力争いと官僚主義に反対する闘争は、全ての党組織と党員が全て立ち向かわなければならない全党的な事業です(세도와 관료주의를 반대하는 투쟁은 모든 당조직들과 당원들이 다 떨쳐나서야 할 전당적인 사업입니다)」とし、末端の党細胞秘書から党中央の幹部に至るまで、権力争いと官僚主義を排除することが必要であるという認識を示している。このような発言をしているのは「権力争いと官僚主義」が北朝鮮における現実の問題であり、これが社会主義体制の基本的欠陥であるにもかかわらず、彼としてはこうした問題を解決して経済・行政の効率化を図りたいと考えているのではないだろうか。さらに踏み込んで考えれば、仮に中国のように部分的にせよ市場経済を導入した場合に予想される、そして中国で現実の問題となっている、官僚の腐敗(の増加・蔓延)の問題にも考えを及ばせているのかもしれない。

    5.これと関連して、「事業では職級があっても、党生活では党員に高低はあり得ず、党内では二重規律は認められない(사업에서는 직급이 있어도 당생활에서는 높고낮은 당원이 있을수 없으며 당안에서는 이중규률이 허용될수 없습니다)」と発言し、「党内では二重規律は認められない」、つまり党内での地位を利用した不正を律したいと思っているのかもしれない。

    6.この演説の中で使われる「核」関連の発言は、「我々は、核兵器よりも威力のある母なる党の愛と信用が生み出す偉大な力で全ての人々を思想と信念の強者に育て、党中央委員会の周りに何千何万もの城塞を築かなければならない(우리는 핵무기보다 더 위력한 어머니당의 사랑과 믿음이 낳는 위대한 힘으로 모든 사람들을 사상과 신념의 강자로 키워 당중앙위원회두리에 천겹만겹의 성새를 쌓아야 합니다)」だけである。

    7.党細胞が群衆と接する際に注意する点として、「党細胞が群衆との事業を党の意図に合致するようにうまく行うためには、人々に対する評価を革命の利益の見地から正しく行わなければなりません(당세포가 군중과의 사업을 당의 의도에 맞게 잘하자면 사람들에 대한 평가를 혁명의 리익의 견지에서 바로하여야 합니다)」と発言しているが、「革命の利益の見地」というのは形式主義的な評価ではなく、どれだけ実利に貢献したのかという点で人々を評価しろということであろうか。

    8.そして「人は感情を持っており、性格により自己の感情を表現する方法もそれぞれ異なります(사람은 감정을 가지고있으며 성격에 따라 자기 감정을 표현하는것도 서로 다릅니다)」と述べた上で、「各自異なる性格を持った人に対する正しい教養方法を研究し、それを実践で具現して、一人でも多くの党の支持者を作らなければならなりません(각이한 성격을 가진 사람들에 대한 옳바른 교양방법을 연구하고 그것을 실천에 구현하여 한사람이라도 더 많이 당의 지지자로 만들어야 합니다)」と述べている。「一人でも多くの党の支持者を作らなければなりません」というは、実に興味深い表現である。北朝鮮は、表面的には「党の周りに人々が堅く一新団結」した社会であるといつも宣伝している。それにもかかわらず、この期に及んで「一人でも多くの党の支持者」が必要であるというのはどういうことであろうか。もしかすると、北朝鮮の宣伝スローガンとは裏腹に積極的に党を支持する人々が減ってきているという現状認識に基づき、これまでのように形式的あるいは強制的に「党の支持者」を作り出すのではなく、色々な「性格」、つまり考え(思想ではない)を持った人々に党の政策をきちんと説明をした上でそれを「支持」してもらうようにしなければならないということを言いたいのかもしれない。

    9.それだけではなく、「たとえ、党の思想をうまく受け入れない人だとしても、そのまま切り捨ててしまってはいけません(설사 당의 사상을 잘 받아들이지 않는 사람이라고 하여도 그저 떼버릴내기만 하여서는 안됩니다)」、「そうすれば、党の周りに集結する群衆がだんだん減ってしまうでしょう(그렇게 되면 당의 두리에 묶어세울 군중이 점점 줄어들게 될것입니다)」とも述べ、労働党の思想を受け入れられない人が現実的に存在し、そのような層が増加しているという現状認識をしているともとれる発言もしている。

    10.さらに「たとえ、厳重な過誤や罪を犯した人であっても、その人に99%の悪い点があり、たった1%の良い点、良心があれば、我々はその良心を大切にしなければならず、大胆に信じて包摂することで、再生の道に導いていかなければなりません(설사 엄중한 과오나 죄를 지은 사람이라고 하여도 그에게 99%의 나쁜 점이 있고 단 1%의 좋은 점,량심이 있다면 우리는 그 량심을 귀중히 여겨야 하며 대담하게 믿고 포섭하여 재생의 길로 이끌어주어야 합니다)」と人徳政治も強調している。これ自体は良いことだと思うが、それを金正恩さん自身が周囲にいる幹部に対しても実行しているのかは疑問である。

    11.「経済強国建設と人民生活で画期的な転換をもたらそうとするならば、各級の党組織、特に党細胞が党の政策貫徹の決死隊、斥候隊としての役割をりっぱに遂行しなければなりません(경제강국건설과 인민생활에서 획기적인 전환을 가져오자면 각급 당조직들,특히 당세포들이 당정책관철의 결사대,척후대로서의 역할을 훌륭히 수행하여야 합니다)」と党細胞を党の政策実現のための実働部隊、そしてそれを率先して行う部隊としての性格を党細胞秘書に求めている。

    12.党細胞の問題点として「今、少なからぬ党細胞では、党の方針と指示を伝達し、それを貫徹しようというスローガンを叫ぶだけの事業をしています(지금 적지 않은 당세포들에서는 당의 방침과 지시를 전달이나 하고 그것을 관철하자고 호소나 하는 식으로 사업하고있습니다)」という指摘をし、「そんなことをしていては、党でいくら正しい政策を出しても、それがきちんと貫徹されず、いつまでたっても人民生活の問題を解決することはできません(이렇게 해가지고서는 당에서 아무리 옳은 정책을 내놓아도 그것이 제대로 관철될수 없고 언제 가도 인민생활문제를 풀수 없습니다)」と「人民生活の問題が解決」できない理由を党細胞に押しつけている。党の「正しい政策」というのが一体何なのかは分からないし、これまで出した「正しい政策」なのかこれから出す「正しい政策」なのかについても明確ではない。しかし、この発言を肯定的に捉えるのであれば、これからは「正しい政策」を出すから、党細胞が先頭に立ってそれを実践して欲しいという意味ともとれる。そして、「党細胞は、党の政策が人民生活で実るときまで、根気よく貫徹しなければなりません(당세포들은 당정책이 인민생활에서 은이 날 때까지 근기있게 관철해나가야 합니다)」と続けている。

    13.また「群衆を党の政策貫徹に組織動員する場合、青年との事業に特別に力を入れなければなりません(군중을 당정책관철에로 조직동원하는데서 청년들과의 사업에 특별히 힘을 넣어야 합니다)」とも述べ、若者を「政策貫徹」の原動力とすることを求めている。この下りでは、金日成時代に青年が革命建設の先頭に立ったというような話も引用しているが、新しい科学技術に精通し柔軟な発想を持つ若者の活用を提案しているのではないだろうか。

    14.最後で再び「党細胞秘書は、党の権威や看板を持って自分の発言権を確保しようとするのではなく、実力で事業上の権威を打ち立てて大衆の信望を得なければなりません(세포비서들은 당권이나 간판을 가지고 자기의 발언권을 세우려고 할것이 아니라 실력으로 사업상권위를 세우고 대중의 신망을 얻어야 합니다)」と党細胞秘書に求め、「細胞秘書は、熟練した群衆工作方法を持っていなければならず、群衆の前では踊りも踊り、歌も歌いながら扇動演説をすることができる八方美人(朝鮮語では何でもできる万能の人という肯定的な意)にならなければなりません(세포비서들은 능숙한 군중공작방법을 지녀야 하며 군중앞에서 춤도 추고 노래도 부르며 선동연설도 할줄 아는 팔방미인이 되여야 합니다)」と実に具体的に党細胞秘書のありようにも触れている。

    15.そして「当面、今回の大会が終わった後で実施される講習を実際の細胞秘書の事業に役立つようにしなければなりません(당면하여 이번 대회가 끝난 다음에 진행하는 강습을 실지 세포비서들의 사업에 도움을 줄수 있게 잘하여야 합니다)」と党細胞秘書大会後の党細胞秘書に対する講習が形式的なものではなく、実用的なものになるよう求めている。この「講習」で新たな「党の政策」が伝達されるのであろうか。

    金正恩さんの党細胞秘書大会での演説を読み、ここでまとめていたら、何となくテレビドラマ「ある女党員の追憶」のストーリーと重複する部分が多々ある。もしかすると、金正恩さんのこの小難しい話を分かりやすくドラマ化したのが「ある女党員の追憶」なのかもしれない。

    「演説」をする金正恩
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    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-30-0001

    『労働新聞』、「경애하는 김 정 은동지께서 조선로동당 제4차 세포비서대회에서 하신 연설」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-30-0001

    「敬愛する金正恩同志がなさった閉会の辞」:党細胞秘書大会で3回演説 (2013年1月30日 「労働新聞」)

    本日の「労働新聞」も党細胞秘書大会関連の報道で埋め尽くされている。党細胞秘書大会では、金正恩さんはなんと3回も演説をしている。その中心となる長い演説については別記事とするが、彼が一つの行事の中で複数回の演説を行ったのはこれが初めてであろう。それほど、党細胞秘書大会に力を入れているということの表れであると思うが、そのことについては別記事に書くことにする。

    閉会の辞を述べる金正恩
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    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-30-0003

    『労働新聞』、「경애하는 김 정 은동지께서 하신 페회사」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-30-0003

    「<TV連続劇>ある女党員の追憶 第3部」 (2013年1月28日 「朝鮮中央TV」)

    「<TV連続劇>ある女党員の追憶」を3部から5部まで一気に見た。3部と4部は昨日夜にuriminzokkiriにアップロードされ、5部が今朝見たらアップロードされていた。放送日程を確認していないが、28日に3と4部が放送され、29日に5部が放送されたのであろう。ドラマの内容からして、党細胞秘書大会に合わせたものであることは間違いないが、タイミング良く最終回を迎えるように作られている。

    では、3部からのストーリーを紹介していく。

    第3部でまず問題となるのは、元小資本家のせいで父親を失った作業班員と元小資本家の確執である。確執といっても元小資本家は何も言わないのだが、父を失った作業班員がこの元小資本家に対し怨念を抱いている。

    できあがった旋盤の図面を見ながら相談をする作業班員。手前に立っているのが元小資本家、その正面で横を向いているのが父を失った作業班員。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-22.flv

    この会議室のような場所はしばしばこのドラマに登場するが、興味深いのは後ろに貼られている「日課表」である。それによると、「朝の出勤」は7時30分、7時30分から8時までが「朝の読報」、8時から12時までが「午前作業」、12時から1時が「昼食」、12時から5時までが「午後作業」、5時から5時30分が「作業総話」となっている。括弧内は「日課表」に書かれているとおりの言葉である。昼食時間1時間を除いた実動8時間労働と「作業総話」1時間が勤務時間ということになるが、「作業総話」というのが何を指すのかは分からない。「朝の読報」は「労働新聞」を読み学習をする時間であろうが、「作業総話」という名称からはどちらかというと仕事についての打ち合わせのような響きである。このドラマの中でも旋盤製作に関する打ち合わせの中で、「偉大な首領様が・・・」と彼の「教示」を引用する場面がいくつかあるので、業務打ち合わせ兼政治学習といったところなのだろうか。

    北朝鮮には恋愛結婚と見合い結婚があるようだ。韓国でも見合い結婚はあるので別に不思議なことではないが、このドラマの中でも母親が娘に見合いの相手の写真を見せる場面がある。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-22.flv

    母親が持っているのが見合い相手の写真で、何でも「父親が大幹部で、本人は大きな機関に配置された次男」で「養子に来ても良い」という男性だそうだ。母親は、娘の写真を相手に見せたいと言っている。しかし、娘はこの申し出を拒否する。第1部の記事にも書いたはずだが、この女性は党細胞秘書の兄を愛しており、家出をした娘である。母親は、党細胞秘書の兄が足を怪我しており、仕事もできない身になってしまったので結婚に反対している。娘は「私は嫁に行きません」と母親に話す。

    この娘の家を訪ねてきた党細胞秘書は、この話を外で聞いてしまう。その後、2人は川辺で色々な話をする。党細胞秘書は、最後に「私の兄を愛さなくてもいい。だけど、どこに行っても自分の良心を失わず、我々の時代の青年らしく生きることを望むわ」とこの娘に話してその場を去る。なかなか意味深い言葉である。「我々の時代の青年らしく」というのは、封建時代的な打算的見合い結婚ではなく、本当に愛する人と結婚して欲しいという意味だろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-22.flv

    第2部のところで「こんなくず鉄から旋盤ができるのか」と書いたが、どうやらくず鉄を集めてそれを鋳造することで旋盤を作ろうとしたらしい。しかし鋳造の過程で水分が混入して鋳造に失敗してしまう。鋳造の責任者は元小資本家なのだが、これを契機に父を失った作業班員との間でトラブルが拡大する。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-22.flv

    元小資本家の密告により作業班員の父親が日本人につかまったという話が、工場の中に拡がる。小資本家は酒を飲んで荒れて娘を殴り、その場にやってきた党細胞秘書が止めに入る。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-22.flv

    その時の様子を思い出す元小資本家。立っているのは日本人官憲。日本人は「ここに悪者が来たんじゃなおのか。そいつをかくまったら、一家皆殺しにしてやるからな」と言ってその場を去る。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-22.flv

    その後、日本人官憲が探している「悪者(朝鮮人)」がやってきて、「逃げている身だが、薬でも米でもくれ」とこの小資本家に頼むが・・・でこの場面は終わる。南北朝鮮を問わず、「親日派」は悪人扱いである。この問題はここで深く掘り下げるつもりはないが、やはり36年という長い期間に色々なことがあったのであろう。

    党細胞秘書は党委員長とこの問題について話をする。そして、父を失った作業班員の父の友人がある炭鉱で働いているということが判明し、党細胞秘書はこの人に手紙を書く。

    一方、党細胞秘書の兄は道病院に入院しているが、怪我をした足の状態が悪化し、切断手術を受けなければならないことになる。党細胞秘書は、兄の手術も顧みずに自らの任務(人間関係の調整)に没頭している。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-22.flv

    ところで、下の写真左に座っている作業班員の老人は、しばしばトラブルになった状況の中で仲裁に入ったり叱ったりしている。この老人は、一応「党員」ということにはなっているが、それ以上の肩書きは何もない。しかし、作業班ばかりかその他の場面でも一目置かれており、この場面では党細胞秘書に暴言を吐いた技術指導員に党細胞秘書の辛い立場について話をしている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-22.flv

    北朝鮮というのは、無機的な階級社会というイメージがあるが、韓国と同様に年長者は尊敬の対象とされ、職場でもそのような扱いを受けているというのは、なかなか興味深い発見である。そう考えると、やはり若い金正恩さんというのは、周りの高齢者との関係で相当に苦労をしている可能性がある。もちろん、全てを超越する「白頭の血統」が最終的な拠り所となるのだろうが、それでも非公式的な場所で周囲の長老たちにどのように接しているのかを見てみたい。

    年長の作業班員は、技術指導員に一緒に旋盤を作ろうと話してその場を去る。

    党細胞秘書が鉱山で働く作業班員の父の友人に書いた手紙の返事が来た。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-22.flv

    手紙には、元小資本家の密告により作業班員の父が日本人につかまったのではないという事実が書かれている。党細胞秘書は、党委員長の命で1週間休暇を取って兄の病院に行くことになっていたが、この手紙を持って元小資本家の家に走っていく。

    妹(党細胞秘書)がいないまま、兄の手術は始まる。手術には党細胞秘書の兄を愛する作業班員の女性が立ち会う。2人は心中で語り合い、この場で結婚することを決意する。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-22.flv

    その日の夜、党細胞秘書がやってきて兄が足を切断したことを知り悲しむ。党委員長に休暇をもらったのでしばらく一緒にいると兄に話すが、兄は恋人がいるから大丈夫だ、早く作業班に戻り旋盤を作れと妹を送り返す。

    第3回の最後の場面では、元小資本家と彼を恨んでいた作業班員が和解する。党細胞秘書の苦労の結果である。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-22.flv

    「敬愛する金正恩同志がされた開会の辞」 (2013年1月29日 「労働新聞」)

    既に頂いたコメントへのお返事として若干書いたのだが、金正恩さんが党細胞秘書大会で開会の辞を読んだ。「朝鮮中央TV」の番組としてはまだアップロードされていないが、開会の辞を今日の「労働新聞」が掲載した。

    『労働新聞』、「경애하는 김 정 은동지께서 하신 개회사」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-29-0001

    開会の辞は比較的短いものであるが、金日成・金正日さんがいかに党細胞秘書の役割を重視したのかと言うことを述べ、党事業に「一大転換」を引き起こす必要があると述べている。

    注目される点は、コメントにも書いたとおり、党細胞秘書大会を金正日時代には1度しか開催していないにもかかわらず「今後、党細胞秘書大会を1万人規模で大きく組織(앞으로 당세포비서대회를 1만명규모로 크게 조직)」するよう、金正日さんが「教えてくださった」と今回開催された細胞秘書大会を金正日さんの教示によるものであるとしている。

    一方、演説の終わりの部分で「党中央委員会は、今回の細胞秘書大会を過去に達成された成果と経験、欠陥を総括し、党細胞事業を根本的に改善強化して党事業全般で一大転換を引き起こす決定的な契機にしようと決意しました(당중앙위원회는 이번 세포비서대회를 지난 시기에 이룩된 성과와 경험,결함을 총화하고 당세포사업을 근본적으로 개선강화하여 당사업전반에서 일대 전환을 일으키는 결정적인 계기로 만들것을 결심하였습니다)」と、これまでの党細胞組織に「欠陥」があったという認識を示した上で、「根本的に改善強化して」「一大転換を引き起こす」決意をしたとも述べている。

    この「転換」や「決意」の内容を知るべく、「労働新聞」記者による記事や同新聞に掲載された党中央委員会秘書金己男さんの演説を読んでみたが、具体的な内容を見いだすことはできなかった。

    『労働新聞』、「조선로동당 제4차 세포비서대회 개막 조선로동당 제1비서이신 경애하는 김 정 은동지께서 대회를 지도하시였다」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-29-0003

    『労働新聞』、「당세포의 역할을 높여 전당을 강화하고 강성국가건설을 힘있게 다그쳐나가자 조선로동당 제4차 세포비서대회에서 한 조선로동당 중앙위원회 정치국 위원이며 당중앙위원회 비서인 김기남동지의 보고」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-29-0005

    党細胞秘書大会で、核実験に触れられることはないと思っていたが、やはり金正恩さんの「開会の辞」ではそのことに全く触れていないし、金己男報告でも「我々の合法的で平和的な人工地球衛星発射を巡り、米国とその追従勢力の悪辣な敵対行為により、今日、我が国には厳しい情勢が造り出された(우리의 합법적이며 평화적인 인공지구위성발사를 걸고드는 미국과 그 추종세력들의 악랄한 적대행위로 하여 오늘 우리 나라에는 엄중한 정세가 조성되였습니다)」という現状認識に留まっている。

    「開会の辞」を読む金正恩
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    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-29-0001

    「20時報道」:農家で堆肥生産、新しいフォントを開発、放射線遮断タイルとブロック (2013年1月29日 「朝鮮中央TV」)

    「20時報道」では、シンチョン郡ソウォン共同農場で「農業資材と農機具を十分に準備しながら、質の良い堆肥をたくさん作っている」と伝えている。

    農業資材を作っているところであろうか。プラスチックを作る原料が不足しているからなのだろうが、エコというか天然材料のみ使っている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13335

    作業班で作る堆肥だけではなく、自分の家でも20トンの堆肥を生産したと語る農場員の金ミョンスクさん。「ある女党員の追憶」を見てから、「作業班」のイメージがかなりはっきりと分かってきた。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13335

    農家で生産している堆肥。報道では言っていないが、農家が作る堆肥やいわゆる「都市堆肥」というのは、生ゴミを原料としているのであろう。日本ではエコという観点から生ゴミを利用した堆肥作りが行われている一方で、北朝鮮では化学肥料が不足しているので生ゴミのリサイクルを行っているのであろう。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13335

    共同で堆肥を生産する農場員
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13335

    「20時報道」ではまた、平壌印刷工業大学で新たなフォントを開発したというニュースも伝えている。

    フォントが収録されたCD
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13335

    新しく開発されたフォントの例
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13335

    「フォントの数はその国の文化水準のバロメーターである」と話す朴クァンイル副教授
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13335

    最近の核実験騒ぎとは無関係だと思うが、医学科学院放射線研究所で放射線を遮断するタイルやブロックを開発したというニュースも伝えている。

    ガイガーカウンターのような測定器を使って実験をする研究員
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13335

    放射線遮断タイル
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13335

    放射線遮断ブロック
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13335

    北朝鮮で産出される原料(フラスコに入った粉末)を使って作ったタイルやブロックは「放射線を発する建物」や「医療機関」で使われると話す李ソンジュン副教授。当然、核関連施設への転用も可能なはずだが、医療科学院の研究者なのでそれには触れていない。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13335

    それにしても北朝鮮というのは20世紀前半の農機具・農業資材と新しいフォントや放射線遮断タイルを同時に生産するという実に不思議な国なのだが、これこそが北朝鮮の問題でもあり現実でもあるのではなかろうか。

    uriminzokkiriに中国のdating serviceのポップが付いた (2013年1月29日)

    uriminzokkiriにポップが付いた。ポップは普段ブロックしているのだが、許可してみたら、Jiayuan.comという中国のdating serviceのサイトのポップが付いた。どうやら、いわゆる怪しいサイトではなく、中国企業が公式に運営する異性紹介サービスのようだ。uriminzokkiriサーバーは、中国東北部にあるといわれているが、サーバー運営が経済的に厳しくなってきたのであろうか。それとも、誰かがuriminzokkiriをハッキングしてポップアップを入れてしまったのだろうか。

    Jiyuan.com story: 英文でJiyuan.com を紹介している。
    http://ir.jiayuan.com/story.cfm

    <追記>
    ポップアップ広告、随時変わるようで、今度はショッピング関連のサイトが出てきた。

    「<特集>朝鮮労働党第4次細胞秘書大会に栄光を捧げる」 (2013年1月28日 「朝鮮中央TV」)

    党細胞秘書が平壌の工場やイルカ水族館を訪問する様子を伝える特集を「朝鮮中央TV」が昨日放送した。その中にいくつか興味深い場面があったので紹介しておく。

    「<特集>朝鮮労働党第4次細胞秘書大会に栄光を捧げる」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13332

    昨日、「20時報道」関連の記事の中で紹介したが、3.26電線工場を訪問した党細胞秘書は、電線製造設備を真剣に眺めている(後ろの男性に注目)。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13332

    3.26電線工場には、排水を利用した池があるのだが、そこで飼われている魚は従業員に「供給」されるという。下の写真にあるように、魚は緋鯉のように見えるのだが、朝鮮人民が大きな鯉を自宅で観賞用に飼育するとは考えにくいので、やはり食料用としての供給であろう。

    排水を利用した池(養魚場)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13332

    池で泳ぐ鯉のような魚
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13332

    細胞秘書一行は、いるか水族館も訪問した。遊園地はさすがに寒いので、室内でということだろうか。イルカ館自体は既に新しい話ではないのだが、イルカの演技の背景で流されている音楽がおもしろい。もしかすると、過去記事に書いたのかもしれないが、イルカショーのバックミュージックは、ディズニー映画「リトル・マーメード」の「Under the Sea」や聞き覚えのある洋楽である。演奏しているのは、私の耳では判断できないが、モランボン楽団なのかもしれない。北朝鮮「公認」の洋楽のレパートリーが増えてきているのかもしれない。

    洋楽が流れる中で進行するイルカショー
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13332

    イルカでもできるフラフープがうまくできず、会場を沸かせる党細胞秘書
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13332

    イルカ水族館に来て「地下宮殿に来たのか、深海に来たような気分だ」と興奮気味に話す党細胞秘書。80年代の韓国にもこういう雰囲気のアジュモニ(おばさん)はたくさんいた。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13332

    「<TV連続劇>ある女党員の追憶 第2部」 (2013年1月27日 「朝鮮中央TV」)

    「ある女党員の追憶 第2部」を見た。

    第1部の記事には書かなかったが、実は、この女性党細胞秘書が勤める作業班の旋盤がある女性労働者のミスで壊れてしまった。実は、男女問題で故郷を離れた女性(この女性は、結局、旅館の受付をしていることが判明)が、男女問題の考え事をしながら仕事をしてこのを壊したのである。

    第2部はこの旋盤を何とかするところからストーリーが展開する。

    作業班長と話をする党細胞秘書
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13320

    旋盤を修理するためには、修理工が必要であるということで、この旋盤の元所有者を作業班のメンバーとすることを作業班長と党細胞秘書が決める。しかし、この年老いた修理工は、日本の植民地時代に小工場を経営した小資本家で、作業班のメンバーの中にはこの修理工に父親をいじめられた若者もいる。この若者は、未だにこの老修理工を憎んでいる。さらに、この修理工は解放直後に、この旋盤を5万ウォンでこの工場に売ったという。ドラマでは「敵性財産を国家に売りつけるとは」という彼を批判する言葉も聞かれる。

    この場面でおもしろかったのは、作業班長が「敵性用語」を使っていることである。少なくとも私が韓国にいた80年代半ばはしばしば使われていた「段取り」という言葉であるが、この作業班長が、この老修理工を作業班に連れてくることについて「仕方がない」ということを言う場面で「段取り(단도리)は、ないな」と言っている。北朝鮮でも「敵性用語」が未だに生きており、それが80年代を背景としたドラマにせよ放送の中で使われるのは実におもしろい。また、80年代に植民地時代の旋盤が北朝鮮で使われていたというのもおもしろい。

    老修理工は党細胞秘書の依頼を受けて作業班の事業所に来て旋盤を直そうとするが、やはりこの修理工に父をいじめられた若者との確執が生まれ、工場を出て行ってしまう。困り果てた党細胞秘書は、この老修理工の家を訪ね、作業班に戻ってきてくれることを頼むが拒否され、党細胞秘書は「来てくれるまでは帰りません」と家の外に座り込む。

    外に座り込み修理を懇願する党細胞秘書
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13320

    そもそも、この老修理工の立場がよく分からない。つまり、植民地時代の小資本家であるから、成分は「敵性」であろう。しかし、党細胞秘書は「XXX勤労者になったのだから」(XXX部分は不明)と、成分が見直されたようなことも言っている。また、よくは分からないが、この修理工はフリーランスのような形で機械修理をしているような感じの話もある。ともあれ、この場面で思ったのは、北朝鮮も「自由」な世界なのかということである。イメージとしては、朝鮮人民は党の決定には無条件従わなければならず、それを伝える党細胞秘書の命には無条件服従するのかと思っていたが、どうやらそうではないようである。これがドラマだからなのか、若い女性党細胞秘書だからなのかもしれないが、現実がそうであるとすればちょっとした驚きである。

    結局、老修理工は党細胞秘書に説得され、作業班に戻り夜を徹して旋盤を修理する。

    徹夜で旋盤を修理した老修理工と朝、出勤した作業班長。党細胞秘書は手伝っているうちに部品を抱えたまま寝込んでしまう。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13320

    旋盤は動き出したが、植民地時代から使われている古い旋盤なので、遅かれ早かれ壊れてしまうということが判明する。党細胞秘書はその事実を知り、鉄道修理工場の知人に頼んである新しい旋盤製作を催促に行く。

    お土産を持って鉄道修理工場を訪れた党細胞秘書
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13320

    しかし、鉄道修理工場は忙しく、そもそも機械工場ではないので、なかなか旋盤を作ることができないでいることが判明する。北朝鮮では、社会主義計画経済のもと、体系的に物資調達が行われているものと思いきや、案外柔軟に人脈を使って調達を依頼しているような側面があるようだ。ドラマではまだ明らかになっていないが、この鉄道修理工場の担当者は、党細胞秘書に好意を抱いているようである。また、2人の会話の中で「この工場の食事はまずいから、食堂に行こう」などとも言っている。党細胞秘書は「お忙しいでしょうから」と断るが、朝鮮人民も何かうまいものを食べるときに「食堂に行く」というのはおもしろい発見である。

    党細胞秘書は、旋盤調達がうまくいかずにがっかりする。家に帰って家族と共に食事をしているとラジオから「XX工場で自分の力でトラクターを作った。前に進むはずのトラクターが後ろに進んでしまったが、偉大な首領様は笑いながらそれでも良いと仰った」というようなニュースが流れる。実はこれ、ラジオではなく、噂では聞いていたが実物は見たことがないいわゆる「第三放送」、つまり有線ラジオである。

    壁に付けられたスピーカーの音量を調整する党細胞秘書の妹
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13320

    党細胞秘書は、この放送を聞いて自分の作業班でも自らの手で旋盤を作ろうと考える。作業班長に相談すると、初めは技術も資材もないと断られるが、作業班長も結局、党細胞秘書の熱意に押し切られてしまう。早速、作業班党員会議、とはいっても4名だけであるが、この問題について討議され全員賛成でこの案が採択される。党中央から降りてきたような事項には反対のしようもないはずだが、自らが決めるこうした小さな問題については、北朝鮮とはいえ、案外民主的に議論されて処理されているのかもしれない。

    早速、旋盤製作が資材集めから始まった。

    くず鉄を回収する作業班員
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13320

    どうみてもこんなくず鉄から旋盤ができるとは思えないが、これもまた北朝鮮の現実なのであろう。韓国が回収した銀河3号ロケットの1段目に使われた技術がほぼ国産化されていたということからすると、くず鉄から作る旋盤も侮れないのかもしれないが。

    第1部で書いた「党員ではない作業班員」が、自分が家で使う資材提供を頼むために鉄道修理工場の担当者の所に酒を持って頼みに来る。話をしているうちに、自力更生の旋盤のことに話が及び、鉄道修理工場の担当者は「自分がもう2台も調達したのに恥をかかせた」と怒り出す。

    怒って酒を一気飲みする鉄道工場担当者
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13320

    その夜、この鉄道工場担当者は党細胞秘書の所にやってきて、酔っ払ったまま「俺に恥をかかせた」、「党細胞秘書が何様のつもりだ」、「お前のいるような作業班で何ができる」と侮辱する。党細胞秘書は、自分を侮辱することは構わないが、作業班員や党員を侮辱することは許せないと怒り、立ち去ってしまう。

    党細胞秘書の工場に若い労働者がいる。この労働者が無断欠勤をし数日工場に来ない。党細胞秘書は心配をするが、他の作業員は彼を非難する。

    「あんた(당신:タンシン)」と若者に言われて怒る先輩作業班員
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13320

    目下が目上に向かって「あんた(당신:タンシン)」と言ってはならないというのは、北朝鮮でも韓国と同じようだ。また、この先輩作業班員は、「お前など、どうせ不良仲間とどこかでふらふらしていたのだろう」と言っている。「不良」の存在が「朝鮮中央TV」に出てくるのはこれが初めてではないが、社会主義北朝鮮でもやはり不良の存在が隠すことのできない問題となっているのであろう。

    2人のケンカは、党細胞秘書によって止められる。党細胞秘書は、この若者を自宅に招いて誕生会を開いてやるが、その場で、この若者が孤児であること、無断欠勤をしたのはお姉さんの居場所が分かり会いに行ったからであること、しかしそのお姉さんは朝鮮戦争で負った傷のために結婚もできずに死んでしまったこと、などが判明し、党細胞秘書が「私の家を自分の家だと思いいつでも来なさい」と優しく声を掛ける。

    その他にも若干の展開があるが、それは第3部のところで書くことにする。

    「朝鮮の答え」:反米と核武装を正当化 (2013年1月27日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」が「朝鮮の答え」という第2次朝鮮半島核危機最中の2003年に制作された記録映画を放映した。

    「<記録映画>朝鮮の答え」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13307

    記録映画の内容は、米国が北朝鮮に対する敵対視政策を継続し、朝鮮戦争、プエブロ号事件、第1次核危機などのオケージョンのたびに北朝鮮に「降伏、惨敗」し、それでも悪辣に北朝鮮圧殺政策を継続する子ブッシュ政権を非難し、「米国の核から祖国を守るためには、核で対応するしかない」ということを主張する宣伝映画である。

    このタイミングでこの「記録映画」を再放映しているのは、やはり今回の事態の責任を全て米国にかぶせ、第3次核実験につなげる考えを北朝鮮が持っていることの表明であろう。

    若き頃の李春姫アナウンサーが対米非難声明をラジオで読み上げる場面で登場する。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13307

    「20時報道」:党細胞秘書、工場を見学 (2013年1月27日 「朝鮮中央TV」)

    「20時報道」が党細胞秘書たちが平壌市内の工場を見学する様子を伝えた。

    党細胞秘書たちは、これに先だち恒例の金日成総合大学にある金正日・金日成銅像参拝、金ファミリー先祖の墓参りなどをし、万景台革命史跡館などを訪問している。

    万景台革命史跡館で講師の説明を聞く党細胞秘書
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13316

    万景台訪問も彼らにとっては一生に一度できるかできないかという話なので、それなりに「感銘深い」のであろうが、講師の話はそれなりに聞き流しているような感じがする。そもそも、大元帥様(金日成・金正日)たちの偉大さに関する話は、万景台に来なくても地元で十分に学習しているはずで、今更ということなのかもしれない。

    ここまでであれば、特段記事にすべき報道でもないのだが、おもしろかったのは、彼らが平壌の工場を訪問したときの様子である。

    3.26電線工場にて
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13316

    インタビューに応じている人は、この工場を大元帥様が現地指導したときの「偉大な教え」について語っているが、背景の人々に注目すると電線に触りながら何か話している。彼らの声は聞こえないが、「偉大な教え」について語っているのではなく、電線の品質について語っているのであろう。

    平壌紡績工場にて
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13316

    彼らは平壌紡績工場も訪問したが、インタビューされた女性が将軍様の偉大さについて語る中、党細胞秘書たちの関心は、むしろこの工場の設備のようだ。上の写真にも見られるように、真剣なまなざしで設備を見学している。金正恩さんは、現地指導でこの工場も訪問しているが、彼もそうだし、彼に随行した党幹部たちが工場設備を見るまなざしとは全く違う。自分が勤務する事業所とこの工場に設置された設備の違いに驚いているのか、何かを学び取ろうとしているのかは分からないが、やはり現場の責任者にとっては「偉大さ」などはどうでもよく、設備の方が喫緊の課題なのであろう。

    党細胞秘書たちを平壌に招待し、「大会」でどのような話をするのかは分からないが、彼らに対して「忠誠心」だけを鼓舞するのではなく、彼らの事業所の正常稼働を保証する体制を構築することこそが、重要である。昨夜から見始めた連続テレビドラマ「ある女党員の追憶」に影響されているのかもしれないが、機械設備を見る党細胞秘書のまなざしに、ぼんやりとではあるが北朝鮮の経済再生に向けた可能性が見えた気がした。

    「<TV連続劇>ある女党員の追憶」 (2013年1月26日 「朝鮮中央TV」)

    こちらも核実験騒ぎで見落としそうになったが、「朝鮮中央TV」が昨夜から新しい「テレビ連続劇」を放送し始めた。「ある女党員の追憶」というシリーズであるが、第1回を見た限りでは「女性党細胞秘書」が主人公のドラマのようだ。

    「ある女党員の追憶 第1部」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-26-18.flv

    第1部は、ある女性の嫁が党細胞秘書になったというところからストーリーが始まる。しかし、主人公はこの嫁ではなく義理の母の方である。この母も30年前、若くしてある工場の党細胞秘書に選出された。ストーリーは、若い未婚のこの女性が工場の党細胞秘書として苦労をするというストーリーのようだ。

    過去記事にも、実態としての党細胞秘書が何をするのかよく分からないと書いたが、このドラマを見ているとだんだんとその役割や地位が分かりそうだ。第1回を見た限りでは、党細胞秘書は当該単位(事業所)の党員選挙で選出され、党細胞秘書はあくまでも労働者の1人として一緒に工場で働きながら、党細胞秘書としての任務を遂行するようだ。身分的には作業班長と同等か若干下で、事業所の運営にについて作業班長と相談しながら決めていくということのようだ。また、年齢による上下関係は党細胞秘書にも通用するようで、ある男性老党員との会話では、男性老党員は党細胞秘書に目下に対する言葉遣いで話している。この老党員、女性党細胞秘書を周りとの関係で支えていくという役回りのようだ。

    このドラマでは、中年の作業班長は、若い未婚の党細胞秘書に対して嫉妬しているという設定である。また、おもしろかったのは、北朝鮮で「党員」という資格が重要であるということが、番組の節々に出てくる。例えば、あるずる賢そうな労働者は「どうせ俺は党員じゃないから」というような発言もしている。また、党員と非党員の間の「ミンチョン(民青:民主青年同盟?)」という立場の人も出てくる。

    ドラマの背景は今から30年前、つまり80年代初めということになるが、工作機械(旋盤)故障したり、調達に苦労したりと北朝鮮の苦しい事情が描かれている。このドラマは、カンソン郡という地方にある「3月13日工場」というところで撮影されているようであるが、今、つまり2013年の地方都市の小規模事業所の状況をうかがい知ることができる。

    また、民家の様子も出てくるが、これも地方都市の民家での撮影であろうから、その様子が分かっておもしろい。いずれも80年代という設定でどれほど小道具類でカバーされているのかは分からないが、現時点の北朝鮮地方都市も80年代より悪くなっていることこそあれ、良くなっている可能性は低いので、ほぼそのままではないかと思われる。

    北朝鮮では、住居や職場の異動が難しいようにいわれているが、ドラマの中では男女間のトラブルで、ある女性が町を出て行こうとするシーンもある(結局出て行ったのかは、第1回では分からない)。つまり、職場も変わるわけだが、それについては「労働委員会」に相談・申告すれば比較的すんなりできそうな様子だ。北朝鮮国内向けのドラマなので、この辺りは現実の手続きをそのまま反映しているのであろう。

    と、久しぶりにおもしろそうなドラマシリーズが始まった。明日から楽しみだ。

    「朝鮮労働党第1秘書、朝鮮民主主義人民共和国国防委員会第1委員長であられ朝鮮人民軍最高司令官であられる敬愛する金正恩元帥様が造成された情勢と関連した国家安全及び対外部門関係者の協議会を指導された」(2013年1月27日 「労働新聞」)

    標記のようなタイトルの記事が「労働新聞」に掲載された。

    『労働新聞』、「조선로동당 제1비서이시며 조선민주주의인민공화국 국방위원회 제1위원장이시며 조선인민군 최고사령관이신 경애하는 김 정 은원수님께서 조성된 정세와 관련한 국가안전 및 대외부문 일군협의회를 지도하시였다」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-27-0001

    記事では、北朝鮮の4月と12月のロケット発射の権利と国際法上の正当性を強調した上で、それらを「乱暴に蹂躙した米国とその追従勢力の暴悪無道な敵対行為は、我が人民が選択した思想と制度に対する体質的な拒否感と敵意を今に至るも捨てることができておらず、我々と最後まで対決しようという米国の対朝鮮敵対視戦略が絶頂に達したことを示している」という現状認識をしている。

    そして、このような状態に対処するためには「金正日同志が生涯を掛けて達成された自衛的戦争抑止力に基づき、人民がこれ以上腹を減らさないような経済建設に集中しようとした我々の努力には厳しい難関が作られた」と、金正日さんが北朝鮮を「核保有国」にしたので、核開発は一端止揚し、経済開発に国力を傾注しようとしていたときに米国をはじめとする敵対勢力が情勢を悪化させ、再び核開発に着手せざるを得なくなったという認識を示している。朝鮮人民に対しては、核開発が人民の「腹をへら」す要因の一つであったことを認め、再び「腹がへ」る状況が発生したとしても、その責任は米国にあるということであろう。これが、今年の収穫減(収穫量については不明ながら)に伴う食料事情の悪化の責任転嫁であるのか、核実験に伴う中国からの援助停止を予想したものであるのかは分からないが、後者であるとすれば、核実験による中朝関係悪化も読み込み済みということであろうか。

    さらに、「様々な関係者(国)が問題の公正な解決と事態の激化を防ぐ努力をしたが、自らが認めるように、彼らの努力にも限界があるということが明白になった以上、我々の自主権は自らの力によってのみ守らなければならないという哲理が再び確証された」と述べている。この部分に関して「様々な関係者の・・・努力」というのが、何を示しているのかは分からない。「(国)」と書いたが、関係国を示しているのか個人を示しているのかもよくわからない。もしかすると「様々な関係者」というのは、事実上、中国を指しており、中国も結局米国に説得され、米国の追従勢力の一部となってしまったので、頼るべきは「自らの力」しかないということなのかもしれない。

    続いて「世界の非核化が実現する前には、朝鮮半島非核化はあり得ないということも明白になった」と諸「声明」の内容を再確認した上で、「金正恩同志は、協議会で既に国防委員会と外務省声明を通して民族の尊厳と国家の自主権を守護するための強力な物理的対応措置が今後とられるだろうという立場を明らかにしたように、造成された情勢に対処して実質的で強度の高い国家的重大措置を執る断固たる決心を表明され、当該部門の関係者に具体的な課題を提示した」としている。

    この「国家的重大措置」の内容については具体的に述べていないが、上記文脈からして核実験を指していることは間違いない。ジョンホプキンス大が分析した衛星写真の資料によれば、既に実験に向けた準備が進んでいるようである。

    「労働新聞」に掲載された協議会の様子。元帥様も同じ椅子に座っているのが印象的である。通常、元帥様には特大の椅子が準備されるのであるが。
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    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-27-0001

    <追記>
    同「協議会」の模様を伝える「朝鮮中央TV」の報道を見ていて気付いたのだが、張成沢さんはこの会議に出席していない。中国との関係改善の必要が出たときに使うために控えさせたのか、それとも彼が核実験に反対したのかは分からないが、このような重要な会議に出席していないことは記録しておく必要がある。

    同タイトルの「<録画報道>」
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-27-11-y.flv

    「朝鮮労働党中央委員会政治局報道」:細胞会議招集について (2013年1月26日 「労働新聞」)

    安保理決議を受けた核実験騒ぎで見落としそうになったが、労働党政治局が細胞会議ついて規定を発表した。

    『労働新聞』、「조선로동당 중앙위원회 정치국 보도」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-26-0001&chAction=L

    以下がその主要内容:

    당중앙위원회 정치국은 주체혁명위업수행을 위한 투쟁이 새로운 높은 단계에서 힘있게 벌어지고있는 오늘 우리 당의 기층조직이며 당을 받들고있는 초석인 당세포를 강화하여 전당을 강화하고 사회주의강성국가건설에서 획기적인 전환을 일으키도록 하기 위하여 다음과 같이 결정한다.

    (党中央委員会政治局は、主体革命偉業遂行のための闘争が新たな高い段階で力強く展開されている今日、我が党の基層組織であり党を支えている礎石である党細胞を強化して全党を強化し、社会主義強盛国家建設において画期的な転換を引き起こすために次のように決定する。)

    1.조선로동당 세포비서대회를 제도화하고 필요한 시기마다 소집할것이다.
    (1.朝鮮労働党細胞秘書会議を制度化し、必要な時期毎に招集する。)

    2.주체102(2013)년 1월 28일에 소집하는 전당당세포비서대회를 조선로동당 제4차 세포비서대회로 할것이다.
    (2.2013年1月28日に招集する全党党細胞秘書大会を朝鮮労働党第4回細胞秘書大会とする。)

    이와 관련하여 주체80(1991)년 5월에 진행한 전국당세포비서강습회를 조선로동당 제1차 세포비서대회로,주체83(1994)년 3월에 진행한 전당당세포비서대회를 조선로동당 제2차 세포비서대회로,주체96(2007)년 10월에 진행한 전국당세포비서대회를 조선로동당 제3차 세포비서대회로 할것이다.
    (これと関連し、1991年5月に開催された全国党細胞秘書講習会を朝鮮労働党第1回細胞秘書大会に、1994年3月に開催された全党党細胞秘書大会を朝鮮労働党第2回細胞秘書大会に、2007年10月に開催された全国党細胞秘書大会を朝鮮労働党第3回細胞秘書大会とする。)

    「第4回細胞秘書大会」が1月28日に開催されるという日程報道は初めてのような気がする。今回、北朝鮮は党細胞会議を「制度化」するといっているが、これも含めてこれまで「気まぐれで」行ってきた党代表者会も含む諸会議を党規で定めるように規則的に運用していこうということであろう。これは、労働党の機能を正常化・強化するための措置であろう。また、労働党の機能を正常化することで、一方では綱紀を粛正し、もう一方では経済改革も含む党の方針を末端まで浸透させようとする意図があるように思われる。

    「祖国平和統一委員会声明」:中国の動きと北朝鮮の苛立ち、朝鮮半島非核化宣言の白紙化、制裁荷担は宣戦布告 (2013年1月26日 「労働新聞」) 

    国連安保理決議2087と関連して出された「朝鮮外務省声明」などを受け、「祖国平和統一委員会」が韓国向けの声明を出した。

    「祖国平和統一委員会声明」を読み上げるアナウンサー
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-25-13.flv

    『労働新聞』:「우리의 정의의 위업에 감히 맞서는자들은 무서운 보복과 철추를 면치 못할것이다 조국평화통일위원회 성명」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-26-0004&chAction=L

    「声明」では、韓国が北朝鮮の衛星発射に反対し、今回の国連安保理決議を「周辺国」に働きかけたことにまず反発している。周辺国というのは、いわずもがな中国のことであるが、中国が米国の要請を受け入れたことに加え、韓国の要請も受け入れたことに強く反発していることの表れである。特に、習近平総書記が朴槿恵次期大統領の「特使」と会談し、間接的にではあるが韓国を支持する発言をしたことは、相当衝撃的であったと考えられる。思えば、金正恩さんの特使ともいえる張成沢さんが訪中した際、少なくとも公式的には、習近平さんとは会談をしていない。北朝鮮からすれば、これはある意味同盟国に対する侮辱と映ったであろうし、中国にすればそれだけ北朝鮮に対して自制するよう強いメッセージを発したということであろう。

    「北朝鮮が中国に対して核実験を予告した」という報道が韓国のメディアを中心になされ、後日、中国外務省がそれを否定するということがあった。実際に、「予告された」とする期間には核実験はなされなかったわけであるが、もしかすると、予告期間は限定しなかったものの、北朝鮮は実際に核実験を示唆し、中国の中止要請を受け入れなかったことが、今回の安保理決議や習近平・朴槿恵特使会談に繋がった可能性がある。

    中国としては、北朝鮮が仮に核実験を強行したとしても、国際社会には取りあえず顔は立てられるということになる。では、中国は核実験が強行された場合、どう動くのであろうか。

    1月25日の米国務省定例記者会見でヌーランド報道官は、米国のグリン・デービス対北朝鮮政策特別代表が中国を訪問し「今日(1月25日)、中国外交部副部長の傅瑩(Fu Ying)氏、朝鮮半島問題特別代表の武大偉(Wu Dawei)氏を含む中国政府の関係者と建設的な会見を行った」と述べている。

    この定例記者会見のやりとりの中で、記者が「北朝鮮が核実験に踏み切った場合、中国は援助中断などの措置を執るという中国の報道があるが、それについて何かコメントはあるか」と質問たのに対し、報道官は同報道に対する直接的な言及は避けながらも、「中国は、北朝鮮に対する援助などは、北朝鮮が正しい行動をするのかどうかにかかっているということを何回も表明する機会があった」とした上で、「中国が安保理決議2087に合意したことは重要であり、グリン・デービス氏の訪中が今後の対応という点で有益であった」と述べている。具体的な言及はないが、米国は何らかの具体的な約束を中国から取り付けた可能性はある。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefing,
    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/01/203286.htm#NORTHKOREA

    この記者会見の中で出された「中国の報道」についてChina Daily.comで確認をしようと思ったが、検索サーバーにアクセスできず、今のところ見つけることはできていない。

    こうした中国の姿勢に対し、北朝鮮は相当に苛立っているようである。このことは、既に「朝鮮外務省声明」の記事にも書いたが、昨夜、「朝鮮中央TV」で放送された「20時報道」にもそのことが鮮明に表れている。昨夜の「20時報道」は、「外務省声明」、「国防委員会声明」、「平和統一委員会声明」を受け、朝鮮人民がどう思っているのかをインタビュー形式で伝えている。少なくともuriminzokkiriにアップロードされた「20時報道」は、冒頭でアナウンサーがこれらの声明に触れた朝鮮人民は憤怒しているというようなことを述べた後、全編、朝鮮人民に対するインタビューである。

    インタビューの主たるターゲットは、下のキャプチャーからも分かるように、もちろん米国であるが、「大国」が米国に追従したという表現が5~6回インタビューの中で言われており、朝鮮人民にも「中国の裏切り」が宣伝されていることが伺える。

    「高水準の核実験も米国をターゲットとしたものだという話を聞き、気持ちがはれた」、「南朝鮮傀儡共など我々の相手ではない」と語る軍官。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-25-17.flv

    「最高司令官の命令さえあれば、米国という汚い国を叩きつぶし、米国のない平和な世界を作ります」と語る軍官。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-25-17.flv

    「金日成社会主義同盟中央委員会」にて。背景の地球儀に注目。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-25-17.flv

    また、「朝鮮中央通信」は、中国発の「金正恩整形説」に関して不快感を表明する「朝鮮中央通信社、客観性に欠けた言論は恥を知らなければならないと強調」という報道をした。

    『朝鮮中央通信』、「조선중앙통신사 객관성을 저버린 언론들은 수치를 느껴야 한다고 강조」

    この報道で、「我々は、今回、中国の一部の言論が対朝鮮敵対勢力の政治的謀略宣伝に引っかかり、我々の最高尊厳を誹謗する不快な言説を広めたことについて、中国の官営新華社通信がそれに反駁する記事を迅速に掲載し、事件を収拾しようとしたことについて、留意している」と、「官営」通信が「公式的否定」をしたことを認めながらもこの事実について不快感を表明しているのも中国に対する苛立ちの表れの一つであろう。なお、検索をしたが、この記事は「労働新聞」には今のところ掲載されていない。金正恩さんの「整形疑惑」という言葉は、朝鮮人民にとっては衝撃的すぎるので、「朝鮮中央通信」を通じての対外報道だけとなる可能性が高い。

    話が「平和統一委員会声明」からずれてしまったが、この声明の中で注目されるのは、「朝鮮半島非核化宣言の白紙化」という部分である。当該部分を全訳すると以下のとおりである。

    「1.南朝鮮傀儡保守一味が米国と共に反共和国核・ミサイル騒動に一層激しく続けるという条件下で、今後、北南間にこれ以上非核化論議はないであろう。これと関連し、1992年に採択された『朝鮮半島の非核化に関する共同宣言』の完全白紙化、前面無効化を宣言する。」

    (1.남조선괴뢰보수패당이 미국과 함께 반공화국 핵,미싸일소동에 더욱더 엄중히 매달리는 조건에서 앞으로 북남사이에 더이상 비핵화론의는 없을것이다. 이와 관련하여 1992년에 채택된 《조선반도의 비핵화에 관한 공동선언》의 완전백지화,전면무효화를 선포한다.)

    としている。実に、この部分には驚かされた。というのは、92年の宣言は宣言の署名者こそ異なれど、事実上、韓国の盧泰愚大統領と金日成主席が出した共同宣言である。金日成さんが出した「宣言」を如何なる理由があるにせよ「白紙化」するということは、彼を否定することに繋がる重大な行為である。私も含めて、北朝鮮研究者は、金日成さんの約束である「非核化宣言」を長期的に見た場合の朝鮮半島非核化可能性への一つの拠り所としていたので、この声明にはとても驚かされた。

    「平和統一委員会声明」では、また、韓国が制裁に荷担した場合、それを「『制裁は』つまり戦争であり、我々に対する宣戦布告である(《제재》는 곧 전쟁이며 우리에 대한 선전포고이다.)」としている。北朝鮮の「宣戦布告と見なす」という言動は、ことある毎に繰り返されてきたのでそれ自体にはあまり驚かない。また、この「平和統一委員会声明」では、「南朝鮮保守一味」というように韓国政府全体を非難する表現は使われているが、朴槿恵次期大統領を誹謗する表現は慎重に避けられている。習近平さんと会談された韓国特使が朴槿恵さんの特使だったにもかかわらずである。北朝鮮としては、今回の事態を収拾し、何かを引き出すために韓国の次期政権に期待をしているのではないだろうか。

    では、北朝鮮は核実験を強行するのであろうか。昨日出席したあるシンポジウムで、私が尊敬する先生が「核実験は行うであろう」と発言しておられたが、上記のように中国の説得が事実上失敗に終わっているのであれば、強行する可能性はある。しかし一方で、過去記事で「北朝鮮が核実験を行う意味はない」と書いたとおり、依然としてその「意味」を正確に把握することができない(その尊敬する先生に伺いたかったのだが、シンポジウムのテーマから外れていたので質問できなかった)。

    ただ、「20時報道」の朝鮮人民のインタビューを聞いていて感じたことは、金正日さんの誕生日である「光明星節」を前にして、米国との対決を強調しながら「先軍政治」の正当性を主張するために核実験を行うという可能性はある。それにしても、国内的にはロケット発射で遺訓貫徹の面でも実力の面でも金正恩さんの評価は上がっているはずなので、核実験までする必要はないのではないだろうか。

    これまで、北朝鮮はロケット発射と核実験をセットで行ってきたという前歴はさておき、今回、核実験を強行する意味はよく分からない。

    「朝鮮国防委員会 国の自主権を守護するための全面対決戦に突入すると声明」 (2013年1月24日 「朝鮮中央通信」)

    国連安保理決議2087が公表され、それについての記事を書こうと思っていたところで、北朝鮮の国防委員会が「朝鮮中央通信」を通じて声明を発表した。「声明」の内容に触れる前に書いておきたいことは、この「声明」に関する類似した記事がほぼ同時に「朝鮮中央通信」に掲載されたことだ。少なくとも「朝鮮中央通信」がインターネットで記事を配信し始めてから、このような重複記事をほぼ同時にいくつも配信することはなかったのだが、これは何を意味するのであろうか。

    私も過去記事では、今回のロケット発射については中国の反対で「報道声明」だけで終わるのではないかと書いたが、もしかすると、北朝鮮も同じ期待を抱いており、国防委員会声明で直接的には米国を攻撃しているものの、実質的には前記事にも書いた中国の「説得」を無視することで中国に対する不快感を表明しているのかもしれない。北朝鮮が中国の後ろ盾なしでは存在し得ないことは明白であるが、一方で、中国にとっても北朝鮮に問題を引き起こされては、ただでさえ複雑な国際関係情勢の中で負担が加重されるという悩みがある。北朝鮮は、それをうまく利用しようとしているのかもしれない。

    公開された国連安保理決議2087には、前記事で書いた通り中国の「できる限りの配慮」が多く盛り込まれている。例えば、ロケット発射についてもChina Dailyの記事に書かれたように「宇宙開発の自由は認めるが、国際法と共に安保理決議にも従わなければならない」こと(前文冒頭)、「外交と対話をつうじての解決を求め、情勢を悪化させるような行動を避ける」こと(14)、「(安保理は)六者会談を支持することを確認し、その再開を求める」こと(9.19合意の迅速な履行は「要求」しているが、それを六者会談再開の「条件」とはしていない。15)、「2006年と2009年の安保理決議は、北朝鮮国民の生活に悪影響を及ぼすことを目的としていない」こと(18)などが含まれている。

    UNSC, Resolution 2087 (2013)
    http://www.un.org/ga/search/view_doc.asp?symbol=S/RES/2087%282013%29

    話を「朝鮮中央通信」の記事に戻すと、本記事のタイトルになっているものの他に「国家の自主権を守護するための全面対決戦に踏み切ることになるであろう(떨쳐나서게 될것이다)-朝鮮民主主義人民共和国国防委員会声明-」、「朝鮮国防委員会国連決議に対処し自主権守護のための全面対決戦に踏み切るであろうと明らかにする(천명)」と3つの記事を配信している。

    これらの記事は、冒頭部分で米国やその「追随勢力」非難し、国防委員会の声明を転載しているが、基本的には「外務省声明」を強化したような内容である。例えば、「我々の平和的な人工衛星は宇宙空間でさらにたゆまず力強く打ち上げられることになるであろう」、「この全面対決戦で我々が継続して発射するであろう様々な衛星と長距離弾道弾も、我々が進める高い水準の核実験も、我が人民の宿敵である米国をターゲットとしたものであることは隠さない」などである。

    時間の関係で、詳細は追って書く。

    <追記>
    「朝鮮中央TV」が報じた国防委員会関連の番組を見た。内容は既に「朝鮮中央通信」で配信された記事を読み上げているだけであるが、聞いていると「世界に公正な秩序を確立することにおいて前面に立たなければならない大国までも」と安保理決議に賛成した「大国」を非難している。非難の対象が中国であることは明白である。この内容が、既に「朝鮮中央通信」で報じられた記事に含まれているのかどうか確認する余裕(元気)はないが、この報道を聞いて、再び北朝鮮が中国に対して相当に苛立っているのではないかという気がした。

    いつもと違う背景を用いて「国防委員会声明」を読み上げるアナウンサー
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13272

    日中間の尖閣諸島を巡る対立は、特に中国側が航空機による領空侵犯を繰り返し、それに自衛隊機が対処しているという段階で非常に危険な状態にある。米国が、中国側に航空機による侵犯を中止するように求め、万が一の場合には尖閣を日米安保条約の適用地域とするいうことを明言したのも、日本支持というメッセージ以上に、中国に「不測の事態」を引き起こさないためにも航空機の使用をやめるよう求めたものであろう。

    と、北朝鮮と無関係の話を書いたが、北朝鮮もこうした中国が自国の権益のためには危ないことをしながら、北朝鮮に対しては「自制」を求めているという矛盾を突いて、ギリギリの瀬戸際戦術に出た可能性はある。中国の歯止めがきかなくなった北朝鮮というのは、実に危険である。今後、北朝鮮が核実験に踏み切るのかどうかと言うことも含めて、予断を許さない状況といえよう。

    「 UN resolution on DPRK」:安保理制裁決議に関する中国の立場表明 (2013年1月24日 China Daily)

    中国が国連安保理決議2087、それに対する北朝鮮の反発に対する立場を表明した。以下、China Dailyに掲載された記事を見ていくことにする。

    China Daily.com.cn, "UN resolution on DPRK"
    http://www.chinadaily.com.cn/cndy/2013-01/24/content_16167777.htm

    報道ではまず、安保理決議2087は「国際社会が北朝鮮の衛星発射について一貫した立場を示す」ものであるとした上で、北朝鮮は「北朝鮮は安保理の関連決議に従う必要があり、弾道ミサイル技術を使った発射は控えなければならない」とし、中国が国際社会の一員として責任のある行動を取るために、安保理決議2087に賛成した理由について述べている。

    そして、「朝鮮半島の緊張を包括的に緩和するためには、その症状と根本的原因の両方について対処しなければならない」としているが、中国が「根本的原因」をどう捉えているのかは明らかにされていない。つまり、「根本的原因」が核・ミサイルを指しているのか、それともより根本的な米朝関係を指しているのか分からないのであるが、恐らくは、北朝鮮が求めるように「米朝関係改善が、非核化の条件」とするのではなく、「根本的原因=米朝関係」と「症状=核・ミサイル問題」は分けて考えなければならないという主張なのであろう。またこれは、中国が米朝直接交渉を望んでおらず、中国の北朝鮮権益を確保し、国際社会での威信を高めるために、中国が主導する形での核・ミサイル問題解決を望んでいるということの表れでもある。

    北朝鮮のロケット発射について中国は、「北朝鮮は他国同様に宇宙の平和利用の権利は有するが、それは安保理決議により制限されている」という立場を表明している。

    北朝鮮の「外務省声明」については、「このような敏感な時期に北朝鮮が衛星計画推進を表明することは賢明ではな」く、こうした行為は「全ての関係国の利益にかなわない新たな緊張を生むだけだ」と警告している。

    一方で、中国が安保理決議の内容について北朝鮮に対して配慮したことについて述べることも忘れてはいない。「中国は安保理協議の中で建設的な姿勢を打ち出」し、「安保理決議のオリジナル草稿の中にあった北朝鮮と他国との関係を危険にし、朝鮮人民の生活を害するいくつかの要素や(制裁)手段は、採択された決議からは除外された」と中国がより厳しい制裁を主張する米国との協議の中で北朝鮮に配慮したことを主張している。北朝鮮にとっては、決議内容それ自体よりも中国が決議に賛成したことがより大きな痛手であろう。中国としては、北朝鮮がそれに反発して、かつて中国とソ連を天秤に掛けたように、中国と米国を天秤に掛けるようなことをするのではないかという警戒感がこうした「配慮」の強調に繋がっているのであろう。

    これを前提に、北朝鮮に対しては「安保理決議が北朝鮮をより孤立させるためのシグナルと受け取るのは間違い」であるとし、「安保理決議に含まれる肯定的な側面に注目しなければならない」と注意を喚起している。

    北朝鮮は「外務省声明」を通じて「六者会談は死滅した」と宣言したが、これに対して中国は「関係国は関与政策、交渉、接触などを通じて敵意と不信感を段階的に減少させ、六者会談再開に向けた道筋を付けなければなら」ず、六者会談こそが「中国共産党指導者の習近平(総書記)が求めたようにもっとも現実的対話のプラットフォームである」と習近平さんが韓国の朴槿恵次期大統領の特使として中国を訪問した金武星さんとの会談で語った内容を引用しながら、北朝鮮に対して六者会談への復帰を強く求めた。これも、中国が中国の頭越しに行われる米朝直接協議に対する警戒感を表したものであり、形式的には「現実的対話のプラットフォームである」六者協議への復帰を北朝鮮の復帰を求めている形を取っているが、中国指導者の言葉として北朝鮮に対して「中国抜きは容認しない」という立場の表明ととらえることもできる。

    China Daily.com.cn, "Xi calls to restart peninsula talks"
    http://www.chinadaily.com.cn/cndy/2013-01/24/content_16167747.htm

    「<訪問記>恩情の中で一新された人民奉仕基地 - 万寿橋清涼飲料店を尋ねて -」 (2013年1月23日 「朝鮮中央TV」)

    国連安保理決議に抗議する北朝鮮外務省声明の記事を書いた後で、清涼飲料店の記事を書くのも何とも異様な感じがするが、北朝鮮といえど色々な側面があるのだとつくづく思う。

    2013年に改装された万寿橋清涼飲料店
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    改装前の万寿橋清涼飲料店
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    万寿橋清涼飲料店には、昨年、金正恩さんが何回か現地指導に来たが、今年に入り完工したようである。この番組では、階段部分が車椅子でも利用できるようにユニバーサルデザイン化されている所も映し出している。過去の現地指導で彼がユニバーサルデザインについて触れたという話はなかったと思うが、こうした発想はどこから出てきたのであろうか。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    番組によると、清涼飲料店は、パン・飲料コーナー、ビールコーナー、コーヒーコーナーの3ホールに分けられているとのことである。これは、ただ、飲料は副食により厳密に区別されているのではなく、どのコーナーにいっても同じようなものは飲めるように見えた。

    パンの厨房の係員
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    ここでは、食パン、コッペパン、カステラなどを作っている。係員によると、万寿橋飲料店はかつてはコッペパンで有名であったが、今は、その他の種類のパンも作っており、提供する食べ物も増えたという。

    サンドウィッチ
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    ホットドッグ
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    ハンバーガー
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    ロスティもある(右上)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    係員は、これら世界的に有名な食べ物を提供していると話している。

    他のカットにも映っていたのだが、女性が黒ビールを飲んでいる。北朝鮮では、女性に対する飲酒や喫煙の規制が厳しいと聞いているが、ビールは例外なのだろうか。それとも、女性がビールを公共の場で飲めるようになったのは、国際化を進める金正恩さんの施策なのであろうか。(黒ビールのジョッキを持つ女性。左)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    ビールの種類を示す看板。主原料が書かれており、1が麦100%、2が麦70%、米30%という具合に書かれている。6と7は黒ビールで下に度数が書かれている。原料表示もよいが、値段はどこに書かれているのだろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    大同江ビールの看板。こちらには原エキスとアルコール度数が書かれている。この飲料店には大同江ビールだけを取り扱っているのか、それとも複数の銘柄を取り扱っているのかは分からない。北朝鮮では、一店舗に対して契約をした工場から供給される一銘柄というシステムなので、ここもそうかもしれない。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    家族連れか。手前の女性はビールを飲んでいる。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    コーヒーコーナーでコーヒーを飲む女性。左後ろの木の柵には温泉マークのようなデザインがあるが、何だろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-21-21.flv

    万寿橋清涼飲料店は外国人に開放されているのかどうか分からないが、平壌を訪れる機会があれば、一度訪問して、ビール全種を飲んでみたいものである。

    「朝鮮民主主義人民共和国 外務省声明」:国連制裁決議に対して (2013年1月23日 「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮外務省が、昨年12月のロケット発射を非難する国連安保理制裁強化決議に対するコメントを「朝鮮中央通信」を通じて発表した。この記事は、決議の具体的内容を確認してから書こうと思っていたのだが、国連安保理HPに未だに文書がアップロードされていないので、その具体的内容を読むことができない。安保理米代表部などのHPもチェックしたが、そちらにもないようである。決議の内容については、既に各国のマスコミが伝えているが、いずれもその概要であり詳細な内容は分からない。ある国に対して安保理決議が出された場合、何らかの形でその国に伝達されるのであろうが、そうであったとしても北朝鮮の反応は早かった。恐らく、先週、米中間で決議の骨子が決まった段階で中国側から北朝鮮に決議内容は伝えられていたのであろう。

    伝えられているところの制裁強化決議の内容は、
    1.現行の制裁対象を4人と6団体に拡大する。
    2.新たな発射や核実験を強行すれば、安保理として「重大な行動を取る」と強く警告する。
    である。

    『朝日新聞デジタル』、「北朝鮮への制裁強化決議、全会一致で採択 国連安保理」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130123-00000008-asahi-int

    これに対して、北朝鮮外務省は声明を通じて反発しているが、その骨子は以下のとおりである。
    1.米国とその追随勢力は、我々の前進を妨害するために1月22日、我が共和国の神聖な自主権を乱暴に侵害する国連安保理「決議」をでっち上げた。
    2.我々の平和的な衛星発射を非合法化し、我が国の経済発展と国防力強化を阻害するための「制裁」強化は我々に対する敵対的措置の一環である。
    3.米国は衛星発射ロケットが彼らの脅威となる長距離弾道ミサイルに転換できるという理由で平和的な衛星発射もできないという論理で国連安保理を操っている。
    4.我々の衛星発射を問題視する方便として利用されている「(複数の)決議」も、国連安保理が普遍的な国際法に反し、我々の武装解除と制度転覆を追求する米国の敵対視政策に盲従していることを表している。
    5.米国が誤った行動を改めようとしないので、朝鮮半島と地域の平和と安定が日々損なわれている。
    6.米国の我々に対する敵対視政策に対しては、言葉ではなく力で対応しなければならない。
    7.朝鮮民主種主義人民共和国外務省は、このような状況に対処するために、次のように宣言する。
     ①我が国の自主権を乱暴に侵害し、我々の平和的衛星発射の権利を抹殺しようとする国連安保理の不当千万な動きを断固として糾弾する。国連安保理は、国際法を踏みにじり、米国の対朝鮮敵対視政策に追従して主権国家の自主権を厳重に蹂躙した自らの罪行について謝罪し、不当にでっち上げた全ての「決議」を直ちに撤回しなければならない。
     ②我々は、宇宙の平和的利用に関する普遍的な国際法に従い、自主的で合法的な平和的衛星発射の権利を継続して堂々と行使するであろう。我々の科学者は、通信衛星をはじめとした様々な実用衛星とより強力な運搬ロケットを開発・発射するであろう。
     ③米国の敵対視政策が今でも変化していないということが明白になった条件下で、世界の非核化が実現される前には、朝鮮半島の非核化も不可能であるという最終結論を出した。米国の積み重なる対朝鮮敵対視政策により、自主権尊重と平等の原則に基づく6者会談の9.19共同声明は死滅し、朝鮮半島の非核化は終末を告げた。今後、朝鮮半島と地域の平和と安定を保障するための対話はあっても、朝鮮半島非核化を議論する対話はないであろう。
     ④我々は、日々露骨になる米国の制裁圧迫策動に対処し、核抑止力を含む自衛的な軍事力を質量共に拡大強化する任意の物理的対応措置をとるであろう。我々は、敵対勢力の挑発が継続されるのであれば、その根源を根こそぎなくす重大な措置を執る確固不動の決意に満ちている。

    以上であるが、注目すべき点は7-③と7-④である。北朝鮮は「世界の非核化が実現される前には」と言っているが、これは現実的に不可能であり、自らが核を放棄しないと宣言しているのと同じである。しかし、「米国の敵対視政策が変化しない」ということを前提条件としているので、基本的にはこれまでどおり米国との関係改善が核放棄の条件であるという姿勢には変わりがないのであろう。また、「9.19共同声明は死滅し、朝鮮半島の非核化は終末を告げた」と主張し、6者会談を一端リセットし米国との直接協議をより強く求めている。加えて、「朝鮮半島と地域の平和と安定を保障するための対話」、つまり北朝鮮の政権維持を保障しなければ、核放棄はしないと強調している。

    そして7-④では、「核抑止力も含む・・・任意の物理的対応措置をとるであろう」としているが、これは3回目の核実験のことを意味しているのであろう。また、「敵対勢力の根源を根こそぎなくす重大な措置を採る」として、対南攻撃も臭わせている。しかし、これらは米国の反応を確かめるためのブラフであろう。依然として安保理決議の全文はアップロードされていないので読めないが、「重大な措置」というのは安保理決議に含まれる「重大な行動」に対するお返しであることは間違いない。

    「20時報道」:党細胞代表会議招集、くず鉄収集支援、直流溶接機新開発 (2013年1月19日 「朝鮮中央TV」)

    この日の「20時報道」では、全党党細胞秘書大会が平壌で開催されることになったことをトップニュースで伝えている。しかし、開催日については明確にしていない。「朝鮮中央TV」は、この日「我々の党細胞」という「記録映画」を放映した。この1994年に制作された映画は、昨年10月初旬にも放映されている。94年の制作なので、内容的にも古いが、朝鮮人民に「党細胞」の意味や意義を「教養」するための映画と思われる。

    「<記録映画>我々の党細胞」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13195

    「20時報道」の報道内容と同じ『労働新聞』の記事「전당당세포비서대회가 혁명의 수도 평양에서 진행된다」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-18-0002&chAction=D

    党細胞秘書大会をこの時期に開催する意義は、全国各地の末端労働党組織の代表を平壌に招き金正恩さんの「恩情」を施すという意味と、彼らに労働党の新しい政策や方針について伝えるためであろう。党細胞の代表がどれほどの地位にある人なのかは分からないが、代表とはいえ自由に平壌に行くことができないような立場であれば、平壌行きは大きな「楽しみ」であるはずだ。

    地方の朝鮮人民にとって平壌行きがどれほど大きなことであるのかということは、1月11日に放送された「<短幕劇>愛の島」を見ていても分かる。この「短幕劇」は、西海最前線に位置するソン島が舞台になっており、この島を視察に訪れた金正恩さんがこの島の学生たちを平壌に招いたという話が背景にある。ただし、ストーリーは自分のアコーディオン演奏能力を向上させるためにソン島を離れて本土(地名を行っているのだがよく分からない。平壌ではなく、本土の少し大きな学校のように思われる)の学校に行ったが、再びこの島に戻ってきた女子学生の故郷を捨てた苦悩と友人や家族との関係の中で進んでいく。アコーディオンの演奏能力を上げるために本土の学校に行ったというのは、別に悪いことではないはずなのだが、やはり表面的には郷土である島を愛する、内心ではこの学生に対して嫉妬する学友たちとこの学生のやりとりがおもしろい。

    話がそれたが、ソン島の学生で平壌に招待された学生たちは、平壌に行ってやりたいことを色々という。しばらく前に見たので全ての希望は忘れてしまったが、「テレビで見た遊園地に行って遊具に乗ってみたい」というようなことも言っていた。そして、平壌に行くに際してどんな靴を履いていくのかという話もし、「普段履いている運動靴ではかっこわるいから、革靴を履いていくことにする」というようなことも言っていた。

    ソン島に戻ってきた女子学生も招待されているのだが、自分は金正恩さんがソン島を訪問した時に島にいなかったばかりか、島を捨てた人間なので平壌に行く資格はないと言い、自分の革靴を平壌に招待された友達(だったか妹だったかは失念した)に貸してやるようなことも話している。

    結末は、島を離れた学生が植樹した松の木に友達がこの学生の名前を書いた名札をぶら下げておいてくれ、それを金正恩さんが見て云々という話であったが、ともかくもみんな仲良く平壌旅行に出発することになったというストーリーである。

    長々と書いたが、地方の朝鮮人民にとっては、平壌訪問というのがそれほど大きな意味があるものだと言うことをこの劇を見て感じた(で、記事にしようと思っていて今日に至った)。

    花を持った島を離れた学生、島の学校の先生、島を離れた学生に嫉妬した学生。2人が仲直りする場面。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-11-21.flv

    この「短幕劇」は、12月27日に放送され、1月11日に再放送された。ストーリーは、北朝鮮の劇としては教条的ではなく、なかなかおもしろいので、朝鮮人民から再放送を求めるリクエストが多かったのだろうか。この作品には、平壌演劇映画大学の学生たちが出演している。

    話を「20時報道」に戻す。このところ、セポ台地の牧草地造成作業のニュースと並んで多いのが、くず鉄収集のニュースである。昨年、この時期のニュースをざっと眺めてみたが、この時期にくず鉄を収集するということは、特に年間行事ではないようである。

    くず鉄を収集して製鉄所に運ぶトラック
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13197

    鴨緑江にかかる中朝友誼橋を行き交うトラックの積み荷を見ていると、北朝鮮側からは石炭など鉱物を積んだトラック、中国側からは消費財を運ぶトラックと共にくず鉄を運ぶトラックが北朝鮮に向かって走っていく。

    北朝鮮で鉄が不足していることの表れであるが、国内にも相当に使われていない鉄、つまりくず鉄が眠っておりそれを掘り起こしているようだ。恐らくは、様々な理由で事実上稼働していない企業所の老朽化した機械類などを全部回収して製鉄所に運んでいるようである。そうだとすると、こうした形ばかりの工場を潰してくず鉄を回収し、その鉄を用いて実用可能な機械を製作し新たな工場に設置するという経済改革の一環なのかもしれない。潰された工場の身の処し方が問題となるが、当面は突撃隊員にでもして建設工事に当たらせるのではないだろうか。もしかすると、工場を放置して「革新者」の気風を持てなかった工場のイルクン(幹部)たちも一緒に突撃隊送りになっているのかもしれない。

    続いて、電子技術製品研究所が直流溶接機を新たに開発したというニュースを伝えている。

    新型直流溶接機
    2013-01-18-1lv_000799083.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13197

    製造現場
    2013-01-18-16flv_000765208.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13197

    溶接機など作業を見たことこそあれ、自分では触ったこともない。しかし、このニュースでおもしろかったのは、新型溶接機自体の話よりも、北朝鮮の電力供給事情が分かったことである。研究所所長の崔デソンさんが新型溶接機の特性についていろいろと述べているが、その中で「この溶接機は家庭で使う単三220Vを使えば、三相をを使う一般の溶接機よりも効果的に溶接できる」と述べていることである。北朝鮮の家庭用電源の電圧が220Vであることは知っていたが、三相交流電源、いわゆる動力線があるというのが、当たり前の話かもしれないが、初めて聞いたのでおもしろかった。

    家庭用の単三220Vでも効率的に稼働する
    2013-01-18-16flv_000803708.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13197

    「20時報道」:海に流された住民を46時間後に救助 (2013年1月16日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央通信」や「労働新聞」には昨日掲載されていたが、貝を採りに海に出かけた住民4名が遭難し、46時間後に救助されたという話を「20時報道」がインタビュー形式で伝えた。

    その時の状況を説明する水産協同組合の労働者、李ジョンイさん
    2013-01-16-18flv_000264083.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13175

    「20時報道」のインタビューはリハーサルをしてから撮影しているのか、非常に整然と行われるのだが、この報道では横にいた「部員」の李ウォンチョルさんが途中で割り込んでくる。
    2013-01-16-18flv_000285417.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13175

    以下、インタビューの要約である。

    この日は天気が良かったのだが、突然濃い霧が発生し、1月12日午後2時頃、干潮時に貝を採りに出かけた住民の一部が霧のために方向感覚を失った。そうしているうちに潮が満ちてきて4名は遭難したと。

    遭難現場の様子。海というよりも泥が凍っているように見える。こんな所で貝が採れるのだろうか。
    2013-01-16-18flv_000309000.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13175

    潮が満ちてきたので氷が浮き始めた。夜9時頃に貝を採りに行った人の数を確認してみると、4名が帰ってきていなかった。

    郡党委員会の部長、朴チャンソンさん。朴さんは報告を受けて党委員会で緊急会議を開いたという。
    2013-01-16-18flv_000339375.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13175

    会議の結果、党の「イルクン(幹部・関係者)」が現場に出向き労働者と一緒に捜索をしたが、濃い霧が立ちこめていたので捜索は難航した。

    翌朝、人民軍将校がやってきて「金正恩最高司令官の命令で駆けつけた」と言ったが、軍人でも探すのは難しいと朴さんは思った。しかし、そう思っていると、人民軍機と軍艦が捜索している様子が見えた。飛行機と船を使った捜索は2日間続いたが、濃い霧が立ちこめており捜索は難航した。

    朴さんはもう駄目だと諦め掛けたが、軍人は「最高司令官の命令を貫徹」するために捜索を続けた。2日間にわたる捜索の結果、氷につかまり浮いていた4名を全員無事救助した。

    朴さんは、「国のために特別な貢献をした人でもないのに、飛行機や船を動員して捜索をするというのは、我が国でしか見られないことでしょう」と話す。

    救助され郡人民病院に入院した住民。医師によると入院時は重体であったが、回復に向かっているという。
    2013-01-16-18flv_000503958.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13175

    アナウンサーは、「もう一つの人民を愛する伝説は長く語り継がれるでしょう」とこのニュースをまとめている。

    このニュースからも北朝鮮の現実が分かる。住民が遭難して救助体制が確立するまでに一晩かかったこと、また「国のために特別な貢献をしていない人」に大がかりな捜索をすることが極めて異例であること、そしてそれが「(党や最高指導者が)人民を愛する伝説」となることなど、日本の常識からはとても考えられないが、それがニュースになってしまうのが北朝鮮の現実であろう。

    『労働新聞』、「망망대해에 새겨진 또 하나의 인민사랑의 전설 은정어린 비행기에 의해 서해상에 표류되였던 증산군 주민들 46시간만에 구원」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-16-0004&chAction=D

    「20時報道」:画質向上、金曜労働、蒼光院 (2012年1月11日 「朝鮮中央TV」)

    uriminzokkiriが配信する「朝鮮中央TV」の動画ファイルのエンコード時の画質を高めたようだ。今朝、「20時報道」のファイルをダウンロードしようとしたら235MBあり、記念日でもないのにやたらと長いニュースであり何事かと思った。ファイルを再生したら時間的には13分という普通の時間枠のニュースで、特別行事などの報道は特になかった。画質は確かに向上しており、特に動きが激しい場面、例えば画面下を流れるキャプションなどがはっきりと見えるようになり、フルスクリーンでの視聴にも耐えられるようになった。念のために、ダウンロードしたflvファイルを分析してみたところ、下記のような変更が見られた。比較のために1月10日に配信された「20時報道」と比べている。

    [ About file ]
    Name: 2013-01-10-14.flv(1月10日の「20時報道」)
    Date: Fri, 11 Jan 2013 06:48:30 +0900
    Size: 69,774,911 bytes (66.542541 MiB)(ファイルサイズは70MB)
    Duration: 00:11:33 (692.708008 s)(番組の時間11分33秒)

    Name: 2013-01-11-19.flv(1月11日の「20時報道」)
    Date: Sat, 12 Jan 2013 07:53:41 +0900
    Size: 246,199,753 bytes (234.794381 MiB)(ファイルサイズは235MB)
    Duration: 00:13:08 (788.47998 s)(番組の時間13分8秒)

    今日の「20時報道」が2分ほど長いが、ファイルのサイズは3倍以上になっている。

    1月10日の「20時報道」flv
    Resolution: 640 x 480
    Frame aspect ratio: 4:3 = 1.333333
    Pixel aspect ratio: 1:1 = 1
    Display aspect ratio: 4:3 = 1.333333
    Framerate: 24 fps
    Bitrate: 685.546875 kbps

    1月11日の「20時報道」flv
    Resolution: 720 x 480
    Frame aspect ratio: 3:2 = 1.5
    Pixel aspect ratio: 1:1 = 1
    Display aspect ratio: 3:2 = 1.5
    Framerate: 25 fps
    Bitrate: 2337.890625 kbps


    (分析に使ったソフトウェア:AVInaptic (18-12-2011))

    上の2つを比較すると解像度が向上しており、さらにビットレートも早くなっている。これらが、大画面表示での画質向上と動きが速い場面での残映を減少させているのだと思う。耳で聞いた限りは、オーディオの変化は分からないが、データを見ると、

    Frames (bs): 26,513 → Frames (bs): 30,181 と向上している。このオーディオにフレームはないと思うのだが、各フレームに貼り付けられたビット数のことであろうか。

    以上、技術的な根拠もない説明なので、全く間違っているのかもしれないが、数字を見ても画質を見ても向上していることだけは間違いない。

    現在、画質向上が確認されたファイルは「20時報道」のみであるが、今、ダウンロード中である「<短幕劇>愛の島」も約900MBある大きなファイルである。モランボン楽団公演などの1時間半近いファイルもここまで大きくはなかったので、この「短幕劇」も画質を向上させた設定でエンコードされているのかもしれない。現在、110~190KB/sでダウンロードしているが、まだ45分ぐらいかかりそうだ。

    uriminzokkiriが画質を向上してくれたのは良いのだが、配信サーバーの性能がそのままでは、接続集中時のダウンロードが厳しくなる。昨日だったか、「[기록영화] 백두의 선군혁명위업을 계승하시여」という、290MBの昨年10月末に放映された「金正日→金正恩権力継承ストーリー」をダウンロードしていたら、途中で何回か切断されていたし、著しい速度低下があった。もしかすると、サーバーに関しても何か作業をしていたのかもしれない。(「[기록영화] 백두의 선군혁명위업을 계승하시여」は、記事にしたのかどうかよく覚えていないが、内容的にはなかなかおもしろい。後で調べて、記事にしていなかったら、記事にしようと思う。)

    <追記>
    uriminzookiriでの配信であるが、翌日からまた元の設定に戻った。担当者がflv作成時に設定を間違ったのか、画質を向上させた状況で配信サーバーの負荷テストをしたのか分からないが、ともかく戻っている。しかし、高画質配信のお陰で、金正日訪中の記録映画など、いくつかは高画質バージョンをダウンロードできた。

    画質向上の話はこのぐらいにして、「20時報道」の中身である。まず、「金曜労働」なる話が出てくる。

    「金曜労働」でリヒョン野菜専門共同農場を支援しに来た国家計画委員会、教育委員会、国家検疫委員会、文化省、鉄道省、水産省など、省・中央機関の幹部と職員たち。(この静止画キャプチャーからも画質が向上していることが確認できると思う。)
    2013-01-11-19flv_000344840.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-11-19.flv

    「金曜労働」もやはり「金正恩新年の辞」を受けてのもので、人民軍や青年団が行っている農村支援の一環である。しかし今回の農村支援はそうであったとしても、「金曜労働」という活動はそれ以前から存在したようだ。ただしそれがなぜ「金曜」なのかというのはよく分からないし、休日でもない日に本務をほっぽらかして農村支援に出かけていては、本務がよほど暇でない限りは、そちらに支障を及ぼすことになる。動画を見る限りでは、周囲もまだ明るいので、本務終了後に支援に出かけている様子はなく、周辺に大型バスも止まっており、幹部たちは形式的にバスに乗ってやってきたのであろう。例によって「口先だけ」の表象であるが、それでも昨年よりは農業再建に対する「意識」は高まっているようである。ともあれ、問題は「実質的」な支援がどれほど行われるのかということである。

    『労働新聞』、「성,중앙기관 정무원들 새해 첫 금요로동 협동벌에서 진행」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-12-0007&chAction=D

    昨年の今頃から拙ブログを書き始めたのだが、その時「蒼光院(チャンガンウォン)」という施設の話が出て、何のことだか分からなかったので、朝鮮大学校にメールで質問したところ、丁寧に教えて頂いた。1月12日は1980年に金正日さんが完工間近の「蒼光院」を現地指導した日ということで、この日の「20時報道」でも「蒼光院」のその話の紹介を兼ねて紹介している。

    「蒼光院」全景
    2013-01-11-19flv_000556200.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-11-19.flv

    野外プールについて説明する支配人
    2013-01-11-19flv_000576680.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-11-19.flv

    支配人の説明では、金正日さんが「野外プールの水温を30度以上に保てば、冬にでも使える」と述べたそうである。箱根の小涌園ユネッサンの野外温泉の水温がどれぐらいなのかは分からないが、このインタビューを受けているときの気温は零下13度ということである。スキーに行ったときに露天風呂に入るが、30度では出たときに寒すぎるような気がする。ともあれ、子供たちは寒さも忘れて楽しそうに遊んでいるので良いのだが。しかし、燃料供給が「緊張状態(不足状態)」にある北朝鮮で、立派な屋内プールがあるにもかかわらず「将軍様」のお言葉に忠実に野外プールの運用を続けるというのは、非合理的な話である。

    室内プール
    2013-01-11-19flv_000564040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-11-19.flv

    「蒼光院」の作業班長は、30年余りの間の「蒼光院」延べ利用者は6000万人といっているので、年間200万人、平壌市民が年に1度は訪れているという計算になろうか。

    こんなことを書いていたら、「<短幕劇>愛の島」のダウンロードが終わっていた。flvファイルを分析すると、やはり高画質化されている。これからはこの画質でのアップロードとなるのかもしれないが、取りあえず内容を知りたいときなどは、ダウンロードに時間がかかるので苦労しそうである。

    「20時報道」:農村支援、中朝経済協力調印、グーグル一行動向 (2012年1月9日 「朝鮮中央TV」)

    「20時報道」では、相変わらず青年同盟や人民軍が農村支援のために堆肥や農機具を提供しているという報道が多い。金正恩さんの農業を建て直し、穀物を増産するというアイディアは基本的に良いと思うが、「口先だけ・形だけ」ではない実質的な穀物増産ための施策を考案して欲しいものである。

    しばしば、韓国のメディアが「ロケット発射をしなければ、その費用でどれだけの穀物を確保できたはずだ」という報道をし、それに北朝鮮が「祖国平和統一委員会スポークスマン声明」などの形で反発するというパターンはあるが、費用もさることながら、「英雄的な科学者・技術者」を農業部門にも、もっと投入して欲しいものである。また、何回も書いているように「主体式・我々式」にこだわることなく、WFPやFAOなどの国際機関のコンサルテーションを受けながら、合理的な増産作を確立して欲しいものだ。

    過去記事で紹介したような記憶があるが、金正日さんのアイディアで始められたという「ジャガイモ革命」すら、これら国際機関からのコンサルテーションの結果である。北朝鮮で食べたジャガイモは、日本のそれと比べるとかなり小さかったが、それでもカロリーベースでの食料不足が深刻な北朝鮮で小粒ながらもジャガイモの生産が拡大すれば、それはよいことである。

    部隊で製造した農機具を農場に提供する人民軍兵士
    2013-01-09-16flv_000359083.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-09-16.flv

    この日の「20時報道」では、初めて中国からの経済ミッションの動向が報道された。

    万景台の金日成生家を訪問し記念撮影をする中国からの経済ミッション一行
    2013-01-09-16flv_000566500.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-09-16.flv

    「労働新聞」は、中国経済ミッションの北朝鮮訪問と関連し「中朝両国政府間の経済・貿易・科学技術協力委員会第7回会議開催」、「中朝両国政府間の経済技術協力に関する協定調印」という2つの記事を掲載している。しかし、前者では「2国間の経済貿易関係を拡大発展させるための事業で達成した成果と経験を活かし、今後の相互協力をさらに強化していくことについて話し合われた」、また後者では「経済技術協力に関する協定に9日、平壌で調印した」、「羅先経済貿易地帯と黄金坪経済管理委員会事務調査建設と関連する文献に調印した」とだけ伝えており、その具体的内容については言及していない。

    『労働新聞』、「조중 두 나라 정부사이의 경제,무역,과학기술협조위원회 제7차회의 진행」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-10-0026&chAction=T

    『労働新聞』、「조중 두 나라 정부사이의 경제기술협조에 관한 협정 조인」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-10-0028&chAction=T

    調印書を交換する朝中代表
    MM00012651flv_000020118.jpg
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf

    これと関連し、昨日の記事に書いた米国務省報道官が予告した「ライス米国連大使のコメント」は今に至るも出てきていない。これは、ロケット発射を受けた制裁強化についての協議が難航していることの表れであろう。そもそも、中国は、北朝鮮との間で経済協力に調印しながら、一方で国連安保理の制裁強化に賛成するなどということはあり得ない。この様子からすると、今回のロケット発射については12月12日に出された「報道談話」以上のものは出てこなそうだ。

    「20時報道」はまた、グーグル一行の動向についても伝えている。

    人民大学習堂を視察するグーグル一行
    2013-01-09-16flv_000670333.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-09-16.flv

    私も平壌で人民大学習堂は訪問したが、どうやらグーグル一行も同じ視察コースを見学したようだ。上の写真は、本の貸し出しコーナーで、カウンターの女性がPCで何かを入力すると、ベルトコンベアに乗って希望した本が流れてくる。私が訪問したときは、日本で出版された自然科学の本などが流れ来たはずだ。カウンターの女性がPCに何かを打ち込んでから本が流れてくるまで、30秒とかからなかった。回転寿司の注文より早い。今思えば、何か本をリクエストしてみれば良かった。

    ベルトコンベアに乗って流れてきた本(2010年7月撮影)
    IMGP8260.jpg

    自ら人民大学習堂に設置されたPCを操作するグーグル会長。グーグルに接続できるか確かめているのか?
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-09-16.flv

    人民大学習堂の展望台
    2013-01-09-16flv_000680167.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-09-16.flv

    この展望台も見学コースに含まれている。この展望台からは平壌中心部が確かによく見えるが、それよりも記憶に残っているのは、人民大学習堂の案内員ドンムのことである。学習堂内部は、ずっと朝鮮語で案内をしてくれたのだが、この展望台に上がったときに出身大学について尋ねてみたら平壌外大の英語科卒だと答えた。ではということで、英語で話をしてみたら、実に流暢な英語を話した(平壌外大は、日本でいえば東京外大。そこの英語科の実力であれば当然なのかもしれないが。)

    ピンクの朝鮮服を着た女性が人民大学習堂の案内員ドンム(2010年7月撮影)
    IMGP8257.jpg

    グーグル一行の訪朝に関して、米国務省定例記者会見で再び質問が出されているが、米国務省報道官は彼らが帰国後に話を聞く可能性を示唆しながらも、彼らの訪朝が「不適切な時期」であるという見解は崩していない。上に書いた、安保理制裁強化の難航もあり、米国務省も苛立っているのであろう。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefing
    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/01/202616.htm#NORTHKOREA

    「労働新聞」は、「偉大な金日成同志と金正日同志に錦繍山太陽宮殿を訪れた米国・グーグル会社代表団が敬意を表す」という記事を配信している。

    『労働新聞』、「위대한 김 일 성동지께와 김 정 일동지께 금수산태양궁전을 찾아 미국 구글회사대표단 경의 표시」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-01-10-0024&chAction=T

    グーグル一行の北朝鮮訪問の詳細は、平壌に支局を持つ唯一の米国メディアであるAP通信が詳細を伝えている。それによると、彼らは北朝鮮当局者に北朝鮮に抑留されている韓国系米国人への適切な待遇、朝鮮人民がインターネットへ接続することの許可などを求めたという。この記事でおもしろいのは、金日成総合大学の一部の学生は「研究目的で」インターネットへの接続を許可されているという記述と、人民大学習堂の「暖房されていない」部屋に「インターネットにアクセスできるコンピュータ」があったという記述である。しかし、後者については大いに疑問で、北朝鮮国内限定のインターネットということであろう。この記事では、World Wide WebとInternetが混用されており、その違いが今一つ不明確な部分がある。しかして、平壌からの西側報道機関のレポートは非常に興味深い。

    npr, "Tech Delegation Pressing NKorea Internet Openness",
    http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=168915897

    「<現地放送>決死貫徹の精神が 洗浦台地に響き渡る - 洗浦台地開墾 咸鏡北道旅団 -」 (2012年1月8日 「朝鮮中央TV」)

    「現地放送」が1月8日に2編放映(もう一つは「<現地放送>総進軍の心意気を響き渡らせる動力基地 - 東平壌火力発電所 -」)された。両方とも5分程度の短い番組である。

    この記事のタイトルにした「セポ・トゥンパン(洗浦台地)」とは何なのかさっぱり分からなかった。「セポ」というのは地名なのか社会主義組織の最小単位であるのかも分からなかった。また、「トゥンパン」もいつも使う「NAVER(韓)国語辞典」で調べてもそれらしい意味が出てこなかった。しかし、過去記事にしたように「朝鮮中央通信」のサイトが模様替えしたお陰で、見ている記事を英・中・スペイン・日本語に即時切り替えることができる。もちろん、翻訳されていない記事もたくさんあるが、昨年11月24日の「洗浦台地」関連の記事は日本語に翻訳されていたので、これを見て「セポ・トゥンパン」の謎が解けた。

    地面を掘るをする突撃隊員と人民軍兵士
    2013-01-08-16flv_000095625.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-08-16.flv

    「洗浦台地」開墾については、これまでもたびたび報道されている。過去記事にも書いたように、この地を開墾して牧場にしようという金正恩さんのアイディアのようだが、この寒い最中に凍り付いた地面を掘り起こすことが必要なのかということは私には分からない。土の掘り起こしは開墾のためだけではなく、堆肥として使うためにトラックに乗せて農場に運んでいる。

    土をトラックに積むブルドーザー
    2013-01-08-16flv_000164833.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-08-16.flv

    それで、「洗浦台地」と「東平壌発電所」を記事にしようと思ったのは、両方の番組で「言葉ではなく行動で」ということを強調しているからである。これ、昨日書いた記事の「金正日愛国主義を唱えるだけでは駄目だ」という話に繋がっている。金正恩さんの「新年の辞」以降の番組を見ていると、「新年の辞を受けて」何それをするという話が多くなっている。特に、堆肥を積んだトラックが列を作り農機具(スコップや鍬)などと一緒にどこそこの農場に届けたという話が多い。

    「新年の辞」を受けて、慌てて堆肥を準備したり農機具を準備することもできないだろうから、予めそのような体制を作っておいた上で「新年の辞」があったのであろう。もしそうではなく、「新年の辞」で言われたから慌てて準備したとなると、「言葉だけ」ではないにせよ計画性に欠けた薄っぺらい「金正日愛国主義」の表出といわざるを得ない。

    咸鏡南道の農場に堆肥を届けるトラック(1月8日「20時報道」より)
    2013-01-08-15flv_000494333.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-08-15.flv

    「20時報道」:グーグル社訪朝団が金日成総合大学を視察 (2012年1月8日 「朝鮮中央TV」)

    「20時報道」が米国グーグル社訪朝団が金日成総合大学を視察したことを伝えた。7日の「労働新聞」も一行が平壌に到着したことを写真入り(印刷版は未確認)で紹介している。北朝鮮が、彼らの訪朝をどのように扱っているのかは未だによく分からないが、この時期、中国の「経済貿易代表団」も訪朝中であるにもかかわらず、「労働新聞」ではしょうかいされたものの、「20時報道」では報じられていない。こうしたことからすると、北朝鮮にとっては、グーグル一行の訪朝の方が重要ということになるのかもしれない。

    金日成総合大学を視察するビル・リーチャードソン前知事(左)とグーグル会長(右)
    2013-01-08-15flv_000540208.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13083

    一行は、「コンピュータ講義室」や「遠隔講義室」を視察したという。

    「遠隔講義室」を視察する一行
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13083

    米国務省定例記者会見では、金正恩さんが30才の誕生日を迎えたことに際して記者から報道官のヌーランドさんに「あなたは、金正恩に誕生日を祝うメッセージか何かを送る予定があるのか」という冗談のような質問が出され、どう報道官は「個人的にそのような予定はない」と答えている。続けて、グーグル一行が平壌到着後に国務省とコンタクトしたのかという質問が出され、報道官は「ない」と答えている。一方、ロケット発射を受けた制裁強化については「常任理事国の間で話し合われており、今日遅くにはライス国連大使から何らかの発表があるだろう」と答えている。ざっと検索をしてみたが、現時点ではライス国連大使の最新のコメントは掲載されていないようである。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefing,
    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/01/202591.htm#DPRK

    クリスマス休みと正月が開け、再び外交が始動したという感がある。同ブリーフィングでは、クリントン国務長官が日本と韓国の新外務大臣と電話で話をしたことも話題になっている。そして、キャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が今週末に日本と韓国(順は不明)を訪問し、日韓と地域の懸案について話し合うとも述べている。地域の懸案の中には、当然、北朝鮮問題も含まれるであろう。その後、日本の岸田外相が18日に訪米してクリントン長官と会談するという。

    北朝鮮も、日米韓の新政権がどのような対北朝鮮政策を打ち出しているのかに関心を抱いているところであろう。

    「<短幕劇>熱い泉の水」 (2013年1月2日 「朝鮮中央TV」)

    1月の初めに「朝鮮中央TV」で放映された「話術小品舞台」シリーズの「短幕劇」である。これも、金正恩時代に作られた作品で、なかなかおもしろいので紹介しておく。

    水タンクを持った女性が2人登場する。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    右の女性は自分の息子の結婚式のために、左の女性は自分の子供に飲ませるために、タンクを持って「泉の水」(日本流にいえばミネラルウォーターか)を「恩情泉の水供給所」に「買いに」来た。

    しかし、「水はない」の看板。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    「泉の水なしではやってけないわ」などと話しているところに、泉の水供給関連部門の副委員長がやってくる。2人の女性は、遠慮がちに「昨日から水の供給がない」と副委員長に話す。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    副委員長は、「泉の水供給所」の「供給員」であるチョンシルを呼び、なぜ水の供給がないのか尋ねる。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    供給員チョンシルは「泉の水を運ぶ車が故障した。産業管理局に報告をしたのだが・・・」と答える。それを聞いた話が「この泉の水は、どんな泉の水なのか(知ってのことか・・・)」とクローズアップされるところから劇がスタートする。

    「熱い泉の水」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    劇は、クムオクという女性がリュックサックを持って帰ってくるところから始まる。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    クムオクは、大学を卒業し、産業管理局部員となり、さらに選抜されて平壌で開催される「産業幹部熱誠者会」に出席できる恵まれた身分の若い女性だ。

    そんな話をチョンシルとしていると、副委員長が泉の水を運ぶトラックの音と共に再び登場する。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    クムオクは副委員長の娘だが、彼女は産業管理部員として泉の水供給車が故障したという電話連絡を受けたにもかかわらず、他の用事があったのでそれを(修理部門)に伝えるのを忘れてしまったという。その話を聞いて、副委員長は「お前のせいで、昨日1日中、住民に水が供給できなかったという非常事故が起こったではないか」というと、クムオクは「1日ぐらい水が供給されないだけで、何が非常事故なの」と笑う。

    それを聞いた父親の副委員長は怒り出す。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    副委員長は「お前は、空の水タンクを持って歩く住民の心情を考えたことがあるのか」と言い、次のように続ける。「今年がどんな年なのか知っているのか。敬愛する金正恩元帥様は首領様誕生100周年の意味深い今年を人民のための年だとお決めになり、人民の利益と便宜を最重要視しなければならないと何十回も言われたのに。お前は何を考えているのか」と怒鳴る。そして、「もう党委員会で話し合ったのだが、お前は今日から(管理局の)奉仕員ではなく、ここで供給員をやれ」とクムオクに降格を告げる。

    クムオクは「お父さん・・」というが、父親に「副委員長と呼べ」と叱られ、泣いて掛けだしてしまう。
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    副委員長は、自分の娘(クムオク)の誕生日に辛い仕打ちをしたことを悩む。しかし「靴がきちんと履けていなければ、遠くには行けないのだ」と言い、自分を慰める。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    そこに水タンクを持った女性(ミョンムン)がやってくる。産業管理局員のようで、前の日に水を供給できなかった家に水を届けるという。副委員長も彼女に同行するといい、なぜ副委員長のような偉い人が一緒に行くと怪訝な顔をするミョンムンと共に水タンクを持ってその場を去る。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    2人が去って行くと、クムオクのお母さんがクムオクを探しに来る。供給員チョンシルは、クムオクが「処罰を受けて」供給員になったことを伝える。
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    その女性は続けて「クムオクはお父さんのために薬を買いに遠くまで出かけ、車が故障したという連絡をするのを忘れただけなのに」と事情を母親に説明する。

    そんな話をしているところに産業管理局員が副委員長の決裁をもらいにやってくる。決済をもらった彼は続けて、「市の泉の水事業所の支配人(社長)から電話が入り、最近、世界的に原油価格が上がっているので泉の水の値段を上げてはどうかと言っていました」と報告する。それを聞いた副委員長は「それは絶対駄目だ。我々のような奉仕部門で社会主義システムを守るためには、必ず同じ価格で奉仕(提供)するのが原則だということを忘れるな」と反対する。そして、「泉の水配送車の燃料問題は、既に討論済みだ」と語る。

    副委員長と話をする産業管理局員
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    産業管理局員が去って行くと、クムオクの母親(副委員長の妻)が父親がクムオクに与えた「処罰」について不満を言いにやってくる。
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    妻は「クムオクは、あなたの関節炎の治療薬を70里も離れた温泉まで夜中に取りに行ってきたのよ」と事情を話す。そして、子供のクムオクをかわいがった父親がなぜここまで変わってしまったのかと泣きながら話す。

    すると、副委員長は「お前こそ俺を理解してくれなくては」と言い、次のように続ける。「最近、一部の幹部は、クムオクのように一日ぐらい水が供給されないのを何とも思わないのだが、幹部たちがそんな態度で仕事をしていては、住民生活への支障が積み重なり、結局、党に対する不信感が生まれる。 口先だけで『金正日愛国主義』や『最優先絶対視』を唱えるようなクムオクのような幹部がたくさんいたところで、そんな人たちは必要ない。だから、俺はクムオクに厳しい罰を与えたのだ」と言うが、妻は「とにかく、私は納得できないわ」とその場を立ち去る。恐らくこの部分が、この演劇で最も重要な部分だと思う。つまり、党幹部たちが形式主義に陥り、やるべき仕事をきちんとしていないということを訴えているのであろう。これは、金正恩さんが万景台遊技場においてであったか、「仕事をしない幹部がいくらいても意味がない」というような発言をしたことに通じる。この劇ではそれをより具体的に、「金正日愛国主義」などと口先だけでいくら言っても意味がないとまで言い切っている。

    副委員長は妻が去った後、部員を呼んで再び水タンクを住民宅に運ぼうとするが、部員は「副委員長同志がそこまでしなくてはならないのですか」と行こうとしない。しかし、副委員長は「これは、私がやるべき仕事だ」と言い、タンクを部員の手から奪い一人で行こうとする。部員は副委員長の後に続く。ここで、「そこまでしなくてはならない」というのが、自らの娘に懲罰を与えることを指しているのか、住民宅に水を運ぶことなのか、それともその両方を指しているのかは、文学的な素養がない私には分からない。
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    二人が立ち去ると、供給員チョンシルのおじさんが登場する。
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    チョンシルはおじさんに「私たちの市には、このような泉の水供給所が18カ所もあり、今さらに2カ所建設中なのよ」と話す。

    おじさんは泉の水が飲みたいといい、チョンシルに持ってこさせる。
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    おじさんが泉の水を飲んで「こんなことなら、重たい水を持って歩かなくても良かったなぁ」と言うと、チョンシルは「私たちの市に出張に来る人は水筒なんて持ってきませんよ」と言い「おじさんがいる間は、私がおじさんに水を供給してあげるわ」と続ける。。おじさんは「酒をもらうのよりもっとありがたい」と喜ぶ。
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    おじさんの話によると、この市では水質が悪く水が飲めなかったが、シンドク泉水が供給されるようになり、住民が水を飲めるようになったとのことである。

    そんな話をして、おじさんはチョンシルに化粧品セットのお土産を渡す。そして、もう一つをクムオクに渡すようにチョンシルにいうと、チョンシルはクムオクが供給員に降格されたことを話す。
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    それを聞いたおじさんは、「実の娘ではないから、情が薄れたのか」とうっかり口にしてしまう。それを聞いたチョンシルに本当の話をしてくれるようにせがまれ、本当の話を始める。

    おじさんの話によると、クムオクのお父さんはシンドク泉の水工事現場で事故に遭い20年前に死に、市人民委員会が孤児院に送ろうとしたが、クムオクを副委員長夫妻が引き取ったとのことである。クムオクもその話を後ろで聞いてしまう。
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    そこに劇の初めで出てきた年寄りの女性が再び登場し、副委員長を探しているとチョンシルに伝える。この女性によると、副委員長がこの女性が家を空けている間に水タンクを届け、謝罪をしていったという。
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    そして、おじさんも副委員長に会う用事があるということで、この年寄り女性と副委員長を探しに行ってしまう。

    水タンクを持った女性部員と副委員長が戻ってくる。女性部員は「副委員長同志が住民に謝罪して回るのをこれ以上見ていられない」と話す。副委員長はそれを聞いて笑いながら「人々はなぜ我々を『イルクン(仕事をする人々)』と呼ぶのか分かるか。それは我々が人民の小間使いだからだ」と話す。「イルクン」という言葉は、実に翻訳が難しい言葉である。確かにこの副委員長が言うように「イルクン」の本来の意味は「仕事をする人(々)」である。しかし、北朝鮮ではこの副委員長のような労働党幹部も「イルクン」と呼んでいる。したがって、事実上の職責としての「イルクン」は人民(労働者)に命じて仕事をさせる人々のはずである。しかし、社会主義体制という形式上の理解では、「労働者」に命じて仕事をさせる「資本家」のような人はいないはずなので、「イルクン」という言葉を使うようになったのであろう。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    木の陰で話を聞いていたクムオクが登場し「これからは私が謝罪をして回ります」と話す。父親は「心からしていない反省など、しないのと同じだ」と突き放す。それを聞いたクムオクは「たかが水供給ができなかったぐらいで」と言うと、父親(副委員長)はさらに怒る。

    そこに母親がクムオクに食べさせる弁当を持って再び登場する。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv


    クムオクに弁当を勧めるが、クムオクは食べたくないという。副委員長はタンクの水を家に持って帰れと妻に命じる。そのタンクの水は、泉の水が供給できなかった間、住民たちが飲んだ「井戸水」だという。委員長は住民たち同様、自分たちも井戸水を飲まなければならないという。そして、クムオクにも「お前もこの水を飲め」と言う。すると母親は「苦難の時期にもこの子にこんな水を飲ませなかったじゃない。こんな水は絶対飲ませられません」というと、父親は声を荒げる。この辺り、何ともおもしろい。つまり、副委員長クラスが飲める水と一般住民が飲める水とはどうやら違っていたようだ。また、普通の井戸水の水質が悪く、飲用には必ずしも適さないというWHOなど国際機関の報告を裏打ちしているような台詞である。

    クムオクは母親の手から水タンクを奪い、「飲みます。私が本当の子供だったらこんなことまではしないでしょう」と言う。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    父親は母親の制止を聞かず「もう、お前も大きくなったから、本当の話を知っても良いだろう」とクムオクの本当の両親の話を始める。それは苦難の行軍の時期の話だが、電気事情が悪く水源地の水が涸れてしまったとき、人民の食べる問題よりも水の問題が深刻であった。その時、産業副委員長をしていたクムオクの本当の父親は、水を確保しようと井戸を掘り続けた。井戸を掘っても水質が悪く、何回埋めたか分からないほど掘った。そして、とうとう飲める水質の井戸を掘り出した。一緒に井戸掘りをしていた人々は万歳を唱えて喜び、その夜は寝てしまったが、クムオクのお父さんだけは満点の井戸を掘らなくてはと一人で井戸掘りを続けた。そんなある日、乳飲み子のクムオクを残して母親は死んでしまった。しかし、それでも井戸掘りを続けていた父親は、井戸の壁が崩れたときに同志を助けるために自分が犠牲になった。その時に副委員長は、クムオクのお父さんから言外に付託を受けた。つまり、人民のために自分の命もいとわぬ「イルクン」に娘を育てて欲しいという付託である。

    そんな話をしていると、おじさんが再び登場する。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    おじさんは、自分は水が合わないと自分の故郷を離れたが、副委員長は自分の故郷でもないのにこの地で水を供給するために苦労していると言う。それを聞いて副委員長は「これは、偉大な将軍様が私たちに抱かせて下さった熱い泉の水だ」と返す。

    すると、また年老いた女性が再び登場する。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    この女性は「以前は金持ち野郎だけが飲んでいたシンドク泉水を、今は私のような平凡な人が飲めるようになったのだから、一日その供給ができないのが何でそんなに悪いことなの」と副委員長に言う。すると委員長は「人民の利益と便宜を最優先絶対視しなければならないというのは、敬愛する金正恩元帥の意です」と答える。

    後に続くのは、金正日将軍様がこの市の水の問題に気遣いをして下さったという話である。いつの間にかオクスンの話は将軍様の話にすり替わるのであるが、オクスンは将軍様の話を聞いて父親に謝罪をする。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    そして、「人民に奉仕する私たち『イルクン』の気持ちが合わさり、この泉の水も熱くなるということが分かりました」と語ると、副委員長は「同志よ、私たちはもっと一生懸命仕事をして、金正日愛国主義の花を咲かせましょう」と言い、クムオクと抱擁して劇は終わる。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    という劇であるが、これは南浦市芸術団の作品である。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-02-14.flv

    思えば、私は記憶にある限りは、水道水で育ってきた。だから、未だにペットボトルに入っている水など飲む気にはならない。だから、日本国内で喉が渇いたときは、ウーロン茶など付加価値があるものを飲んでいる(海外ではこの限りではない)。韓国ではどうだったかというと、水道水は飲まなかった。今でもあるのかは分からないが、当時はDiamond Pure Waterというミネラルウォーターがあり、それを買って飲んでいた。とはいえ、この水は80年だの韓国では一般的ではなく、米軍基地内や外国人居住者がそのほとんどの購買者であった。では、当時、韓国人は何を飲んでいたのかというと、煮出した水、特にトウモロコシを入れて煮だした水「オクスス茶」を水の代わりに飲んでいた。だから「ムル(水)」と言えば、「オクスス茶」であったような記憶がある。

    しかし、「山水(サンス)」と呼んだか「生水(センス)」と呼んでいたかどうか忘れてしまったが(<追記>「薬水(ヤクス)」といっていたのを思いだした)、ソウルでも丘陵地帯に行くと湧き水があり、この北朝鮮の劇にあるような水タンクを持って、「直接飲用」にその水を汲みに来ていた。私もこのような場所に行ったときには、こうした水を飲んだが、それは冷たくて美味しいものであった。

    北朝鮮の「泉の水」というのが、いったいどのようなものなのかは分からない。「20時報道」でも、時々「泉の水」供給所の映像が紹介される。朝鮮人民は、「泉の水」の供給が受けられない場合、何を飲んでいるのであろうか。さほど清浄ではない井戸水を煮沸消毒して飲んでいるのであろうか。訪朝期間中、私は金剛山のミネラルウォーターを飲んでいた。それが本当に金剛山の水かどうかは確認するすべもないが、味は良かったし(というか、変な味はしなかった)、腹を下すこともなかった。

    そんなことも考えながらこの「短幕劇」を見た。

    「米国グーグル会社代表団到着」 (2012年1月7日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が米国からグーグル代表団が到着したという短い記事を配信した。記事は「ビル・リチャードソン前ニューメキシコ州知事を団長とする米国グーグル会社代表団が7日、飛行機で平壌に到着した」としており、訪問団の代表はグーグル会長ではなく、前ニューメキシコ州知事となっているところが興味深い。

    今回の訪問については、米国務省定例記者会見でも数回話題に上がっているが、国務省側は今回の訪問があくまでも「私的な訪問」であり、米国政府は直接的関与はしていないという説明を繰り返している。しかし、彼らが12月に平壌訪問を計画した際に、ロケット発射との関連で彼らに訪問時期を変更するよう要請したということも認めている。また、今回の訪問についても国務省として「我々の方針からすれば、必ずしも最善の時期ではない」とし、「私的訪問ではあるが、彼ら(グーグル会長ら)は、我々(国務省)のこの時期の訪問が最適ではないという見解はは認識している」と述べている。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefing,
    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/01/202492.htm#NORTHKOREA

    確かに、米国やオバマ新政権にとって1月は、安倍訪米が延期されるなど、忙しい時期であることは間違いない。この時期に、北朝鮮問題に深くコミットすることはできるだけ避けたいというのが本音であろう。特に、12月のロケット発射への制裁措置が、中国の反対で難航している中、米国が北朝鮮と直接対話をするということは、彼らにとっては外交的失敗を意味することにもなる。

    今回のグーグル会長一行の訪問が、北朝鮮に逮捕抑留されている韓国系米国人の問題と関連があるのではないかという質問も定例記者会見で出されたが、国務省報道官はその問題はスウェーデン大使館に一任してあるので、今回の「政府関係者が同行しない私的な」訪問とは無関係であるという立場を貫いている。

    一部報道では、今回の彼らの訪問は「核実験を思いとどまらせるため」とも報じているが、このタイミングで北朝鮮が核実験を敢えて実施する意味はあまりない。「核保有国」は憲法に書いてあるのだし、「宇宙を征服した衛星発射国」ということで金正恩さんには十分に箔が付いたのだから、核実験はもう少しとっておいてもよいはずである。もちろん、中国が今回のロケット発射に対して意外と甘い態度を取ったので、ついでに核実験もというパターンはあり得るが、そうだとしてもこのタイミングでの核実験の意味はあまりない。

    そう考えると、今回のグーグル会長一行の訪朝は、金正恩体制に探りを入れるのが最大の目的ではないだろうか。北朝鮮とパイプのあるリチャードソン知事といかにも金正恩さんが関心を持ちそうな米国インターネット最大手会社の会長をペアにして平壌に派遣するということからもそれが伺える。北朝鮮がこれを契機に朝鮮人民にインターネット接続を許可するなどいう可能性は非常に低い(どこかの記事で、CSISのビクター・チャさんもそうコメントしていたというのを読んだが)。しかし、グーグルは北朝鮮が開発を進めている教育用タブレットPCのOSとして使われているアンドロイドを製作・提供している企業であることも忘れてはならない。北朝鮮の実質的な関心は、どちらかというとそちらにあるのかもしれない。

    今回の訪朝が何日間で、誰と会うのかも伝えられていないが、北朝鮮側と米国側から伝わってくる情報に注目する必要がある。

    平壌空港でバスから降りるリチャードソン前知事ら
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf

    記念撮影をする一行
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcms

    「<話術小品舞台>短幕劇 明るい未来」 (2012年1月6日 「朝鮮中央TV」)

    昨年11月に放映された「明るい未来」という短幕劇が、昨夜「話術小品舞台」シリーズとして再放映された。11月に放映された時は、特に注目することなく見過ごしていたが、今回は「新年」ということもありダウンロードをして見てみた。古い作品ではなく、昨年6月の少年団創立66周年祝賀行事の前後に上演された演劇を録画した番組である。地方都市の少年団員である少女が代表として金正恩さんに平壌に招聘されるまでの紆余曲折を描いたストーリーであるが、北朝鮮の地方都市での生活などを垣間見ることができてなかなかおもしろいので紹介しておく。

    「短幕劇 明るい未来」
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-06-19.flv

    主人公の少女、金ボムスン(本名:金ボムヒャン、ナムジン中学校の生徒)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-06-19.flv

    この少女は、実名に近い名前で劇に出演しているので、本当に代表として平壌に招待されたのかもしれない。もしかすると、探してみると「労働新聞」の社会面辺りにこの少女の逸話が出ているかもしれない。

    また、背景に見える新聞箱らしきものも興味深い。箱には「平南日報」と書かれているが、これは平安南道の地方紙だと思う。この小道具が劇で使われたのは、この少女が平安南道出身の少女であることを示すためであろうが、それよりも我々にとっては、地方都市で地方紙が一般的に各世帯に配達されているという事実が興味深い(普通にないものを小道具には使わないはずだ)。

    少女ボムスンのおばあさん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-06-19.flv

    このおばあさんは、家の中からバケツを持って出てきて、外にある水道で水を汲んでいる。つまり、北朝鮮の地方都市では世帯別に水道の蛇口はなく、共同で水道を使っていることが分かる。この劇では井戸ではなく水道になっているが、農村部では井戸の所も多いのであろう。

    喜ぶ少女ボムスンとおばあさん
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    なぜ二人が喜んでいるのかというと、ボムスンの学業成績が1番であったからだけではなく、彼女が少年団の指導員先生に呼ばれて個人面談を行ったからである。ボムスンは、この面談は自分が平壌で開催される少年団行事に参加できるようになったからだと考えた。

    作業班長がやってきた。
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    ボムスンにはミョンチョルというお兄さんがいるのだが、市党部員がミョンチョルを探しているとのことで、作業班長はミョンチョルを探しに家に訪ねてきた。ミョンチョルは工場に出かけたまま、一晩中家に帰ってこなかったから、病院に行ったのではないかとおばあさんが話している。ボムスンのお母さんは、入院中である。

    同じ人民班(町内会)の女性がやってきた。
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    この女性は、洞事務所(町役場)に労働党秘書がやってきて、ボムスンが平壌に招かれる代表に決まったと話していたと伝える。この女性は、町内でもおしゃべりの女性という役柄である。

    お兄さんのミョンチョルが落胆して帰宅する。
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    落胆している理由は、工場で作業班長が全ての問題をミョンチョルに任せるからであるという。実は、この一家の父親は何かの罪を犯して服役中という設定である。ミョンチョルの作業班長は以前は職場長であったが、ミョンチョルの父親との連帯責任を取らされ作業班長に降格された。ミョンチョルは作業班長が彼にその仕返しをしているのだと思っている。

    ミョンチョルは、自分の家は「罪を犯した??の家」だから何も良いことはないと話している。「??」の部分は編集の段階で音声が消されている。何を言っていたのだろうか。言論統制が厳しい北朝鮮は数え切れないほどの放送禁止用語があることは間違いないが、演劇では使用が許されて放送では禁止されている言葉があるとすれば興味深い。

    家具工場の販売課長がやってくる。
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    販売課長の娘もこの家の娘と同姓同名の金ポムスンである。またこの女性は、上でミョンチョルが話していた作業班長の妹でもある。販売課長は、自分の娘が平壌に招待されたので、学校に出生証を持って行き確認しなければならないと話している。

    静止画では分かりにくいが、販売課長は出生証を手に持っている。
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    販売課長は鞄から出生証を取りだして、同姓同名の自分の娘の出生証とこの家のポムスンの出生証が小組員の選抜作業で間違って入れ替わってしまったから、交換して欲しいといっている。

    出生証を失ってしまった経緯を話すポムスン。
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    ポムスンは、間違って受け取った出生証を上着のポケットに入れておいたという。ところが、その日は暑かったので「XXX生(セム:泉?)みずXX(チョセンムルジョンネカ)」に行って沐浴(水浴び)をしたのだが、脱いだシャツが風に吹かれて飛んでいき、水に流されてしまったと話している。上の「XXX生みずXX」の部分の意味が分からない。また、この部分は編集の段階で音声を入れ替えているようで、突然、録音の音質が変わっている。想像ではあるが、元々は「川で水浴びをしていたら、シャツが風で飛ばされて流されてしまった」という設定であったのを、「女子学生が川で水浴び」では放送では耐えられないので「XX生みずXX」という言葉に差し替えた可能性がある。「XXX生みずXX」は何か分からないのだが、公衆浴場のような所なのだろうか。

    いずれにせよ、シャツのポケットに入れてあった出生証はシャツと一緒に流されてしまったと話している。

    ポムスンは、「名前も故郷も同じなので」これ(自分のもの)を持っていて登録してはどうかと話している。
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    販売課長は、「出生証にはポムスンのお父さん(罪人)の名前が書いてあるので、どこにも行けない」と拒絶するが、結局ポムスンの出生証を持って学校に向かう。

    ポムスンの顔を平手打ちにするミョンチョル。
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    その後、ポムスンがミョンチョルの態度がお母さんの病気を余計に悪くしているなどと言ったことにミョンチョルが激怒してポムスンの顔を平手打ちにする。

    おばあさんに家を追い出されるミョンチョル
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    おばあさんはミョンチョルがポムスンを殴ったことに対して怒り、「家を出て行きなさい」と叱る。ミョンチョルは出て行くが、その後をおばあさんが追う。

    そこに「突撃隊員」のお姉さん(実の姉ではなく、年上の女性の友達)がやってくる。
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    「突撃隊」は写真のように軍服らしき衣装であるし、名前も勇ましいが、軍事組織ではなく建設作業などに従事する労働者組織である(ただし、階級なども軍隊式であるので、有事には容易に後方支援にあたる軍事組織に編入できるような仕組みになっているのかもしれない)。この「お姉さん」という女性は昼夜、建設作業に当たっている突撃隊員という設定で、ポムスンは学校が終わった後で「突撃隊」の作業現場に出向き、手伝いをしたり隊員を励ます歌を歌ったりしているという。この日は、突撃隊員の手袋を家に持ち帰り、洗濯をしているところにこの「お姉さん」がやってきて、ポムスンと一緒に手袋の洗濯を始める。

    すると、おしゃべりの町内の女性と販売課長が話をしながら通り過ぎる。
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    2人は、こんな家のポンスンが少年団の代表に選ばれるはずがないと話しているが、それを手袋を洗っているポムスンと「お姉さん」が聞いてしまう。

    そこにミョンチョルが戻ってくる。
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    ミョンチョルは、自分の家はこんな家だが、「(労働)党は、我々を捨てなかった」といい、販売課長にポンスンの出生証を返すよう求めている。販売課長は「証拠として持っていただけ」といい、どこかに置いてきた出生証を取りに行く。

    手袋を投げつけるミョンチョル
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    ミョンチョルは、自分の父親が罪人であることを恨み、ポムスンが洗っていた手袋を「誰も分かってくれないんだから、そんなことをしても無駄だ。お前は勉強でもしていろ」と放り投げる。

    仲直りするポムスンとミョンチョル
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    「お姉さん」は、ポムスンが自分の父親の罪を償うために下校後に「突撃隊」の作業現場にやってきて手伝いをしたり歌を歌っているという事実をミョンチョルに話して、その場を去ってしまう。ポムスンは、お兄さんに「お父さんもいないし、お母さんも入院しているから、ご飯も食べたくないし、寝たくもない」と話す。ミョンチョルは自分の態度を反省し「二度と家を出てくようなことはしない」とポムスンに約束をする。

    そこに作業班長が戻ってくる。
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    作業班長は、ポムスンの善行を褒めた後で、「良い知らせがある」と伝える。その良い知らせとは、ミョンチョルが毎晩、工場で頑張って仕事をして技術を習得したので、「高級技能工」に昇格し、「新技術革新組突撃隊員」になったというものだ。この話を聞いて、二人は作業班長にお礼をしている。ポムスンは、この劇の中で年上の人が来るたびに挨拶をしているが、毎回、腰を90度曲げている。北朝鮮では、旧日本軍の挨拶の仕方にも似た腰を90度曲げるスタイルが礼節にかなうのであろうか。モランボン公演などでも、演奏者や歌手がこのスタイルの挨拶をしているのをよく見かけるが、これは金正恩さんに対する特別な挨拶だと思っていた。しかし、この劇を見ると、どうやらそうではないらしい。

    また、おもしろいのは、私の聞き逃しでなければ、この場面まで作業班長がポムスンの「叔父」であることは告げられなかった。上に出てきた「お姉さん」のように形式的に世話になっている人(この場合は、ミョンチョルを昇格させてくれた人)を「叔父」と呼ぶこともあるので何ともいえないが、どうやら父親の罪の連帯責任は、職場での監督責任というよりも、家族の連座制によるものだった可能性がある。我々にとっては、非常に理解し難い部分であるが、日常的に連帯責任が問われている北朝鮮では、このような事情もすんなりと理解されるのであろう。

    そこに販売課長(作業班長の妹)が戻ってくる
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    販売課長は「作業班の人々の道徳教養(道徳教育)をもっとしっかりしてくださいよ」と作業班長に不平を言う。作業班長は怒り、「出生証を早く出せ」という。販売課長は「自分の娘が代表に選ばれたのではないことを市青年同盟に行って知った」と語る。作業班長は、自分の立場を利用して娘を代表に仕立てようとした販売課長の行為を叱る。

    この後は、金正恩さんが平壌の少年団行事に「労働者や農民、勤労インテリ」の子供たちを招待するという「恩情」への感謝の言葉が続き、その「路線」に反するような販売課長の行為を責める。ここでも一部の音声が差し替えられているように変わる。

    販売課長は、自分の非を反省しポムスンに謝罪する。
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    すると、労働党責任秘書(男性)がやってくる。左の女性は紹介されないが、学校の先生か党部員のようだ。
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    責任秘書は、ポムスンが代表として平壌に行くことになったことを伝える。おばあさんが、「私たちのような家の子供が行くなんて、駄目です」というと、責任秘書は「敬愛する金正恩同志がポムスンを呼んでおられる」と答える。そして、「私たち市党委員会でも学校の少年団組織と学級から推薦を受けたとき、この子のお父さんの問題のために躊躇したのだが、その旨党に報告をした。資料を全て検討された敬愛する金正恩元帥様が、家庭に問題があったとしても、ポムスンのように党が求めるように学習と少年団組織で模範であり、良いことをたくさんする学生であれば、差別することなく慶祝行事の代表として迎えるべきだと、恩情深い愛の配慮をして下さった」と答える。

    話を聞いて感激するおばあさん
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    この話を聞いて感激したおばあさんは、「父なる首領様、将軍様、どうして首領様・将軍様と全く同じ敬愛する金正恩元帥様が私たちより素晴らしい人たちが想像もできないような大きな慶祝大会に呼んで下さり・・・」といっている。それに対し責任秘書は「敬愛する金正恩元帥様は、ポンスンのお父さんのように罪を犯した人が涙を流して反省をしたという話をお聞きになり、それは本当に良いことだ」と「大きな信用のお言葉を下さった」と話す。

    感激したミョンチョルは「私たちにはお父様がいらっしゃる」という。
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    しかし、「お父様」というのは実父ではなくて、「偉大な懐」のことである。

    責任秘書に言われて労働党中央委員会名義の代表招聘証を読むポムスン
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    そして感動の中「世の中に羨むものはない」の曲と共にこの劇は終わる。下の写真にあるように、この劇は「出演 平安南道芸術団」となっている。地方都市での公演を撮影したものなのか、この芸術団が平壌公演をしたのか分からないが、舞台設備の雰囲気は地方公演のようである。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-06-19.flv

    最後は、例によって金正恩さんの偉大さや恩情を強調して幕を閉じるこの劇であるが、劇で使用される小道具や登場人物の人間関係・権力関係から北朝鮮社会の現実を垣間見ることができるようでおもしろかった。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

          dprknow

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