「朝鮮民主主義人民共和国国防委員会政治局スポークスマン談話」:朴槿恵名指し非難 大統領就任後初? (2013年5月25日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が朴槿恵さんを「傀儡大統領朴槿恵」と名指しで非難する「国防委員会政治局スポークスマン談話」を伝えた。朴槿恵さんが大統領候補の時に北朝鮮との関係、記憶が正しければ「お父さん(朴正煕)の独裁は北朝鮮が南進戦争の準備を進めている中である程度やむを得ないことであった」というような発言をして北朝鮮を怒らせ、名指しで非難を受けたことはあったが、大統領就任後は今回が初めてのはずである。これまでは、「スカートの風」、「青瓦台の主人」という言葉を使って彼女を非難しているだけであった。

    今回、北朝鮮が名指しで彼女を非難しだしたのは、「談話」によると米国の「戦略問題研究所の所長」との会見の席で「経済建設と核武力建設の並進路線というのは新たな『賭博』を企図」と発言したからである。(コメントでご指摘を頂き「挑発」を「賭博」と訂正した。それにしても「賭博」とは・・・)

    「談話」では「そもそも知らないのであれば、知ったかぶりをしてはならず、口を開くべきではない」と非難し、「口を開けば、予想できない惨禍を引き起こすことになる」と警告している。

    そして、「経済建設と核武力建設の並進路線についていえば、60年代の厳しい環境に対処し、我々が出した経済、国防建設並進路線を米国により造り出された戦争前夜の現情勢の要求に合うように深化発展させた新たな高い段階の偉大な継承である」とし、「並進路線」は今更始まったものではないという事実も朴槿恵さんが知らないと述べている。

    その上で、「大統領のふりをするのであれば、当然、相手の政治的意図についてある程度吟味することも心得ていなければならず、スカートをズボンに履き替え、私服を軍服に着替えることを学ぶ前に、相手の軍事的準備がどのような状態であるかから把握することから始めなければならない」と、彼女が「対決」する相手実力を見極める必要があると警告している。「スカートをズボンに履き替え」というのは、明らかに女性大統領を意識しての表現だ。

    「談話」は、「我々は、朴槿恵をはじめとした南朝鮮の現傀儡執権者の今後の動きを注視する」と締めくくっている。

    今回、名指しでの非難はしたものの、未だに李明博非難のレベルと比較すれば、低い段階である。大統領候補の時に使った「あばずれ、くそ女」に値する表現は使っておらず、呼び捨てと「傀儡大統領」だけである。韓国の歴代大統領で彼らが「傀儡大統領」と呼ばなかったのは、恐らく金大中・盧武鉉大統領だけであろう(当時の報道を全て確認したわけではないのだが・・・)。朴槿恵さんが「経済・核並進路線」を非難したのは今回が初めてではないが、何が北朝鮮を苛立たせたのであろうか。

    実は、少し前に書いた「聯合通信」→「新華社」→Chinadaily.comで流れてきた「北朝鮮、6.15関連行事共同開催」について調べてみたのだが、どうやら北朝鮮は「朝鮮中央通信」でも「労働新聞」でもこの事実について報じていない。私が読んだChinadaily.comの記事では、韓国・統一部関係者の発言も伝えられているので、こうした提案があったことは事実だと思うが、私の調査不足でなければ、北朝鮮メディアがまったく伝えていないのはなぜであろうか。

    今回の朴槿恵名指し批判と結びつけて考えると、韓国側がそれに肯定的な反応を見せないことへの苛立ちであろうか。

    『中央日報日本語版』、「【取材日記】開城工業団地の門を閉じて6・15行事を共にしようという北朝鮮」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130524-00000022-cnippou-kr

    <追記: 5月27日>
    昨日「朝鮮中央TV」で放送された「<座談会>歴史は告発する、光州を血の海にした殺人鬼たちの罪悪を」という番組を見た。この番組は、光州事件が発生した5月18日前後から繰り返し放送されているようである。番組の内容はなぜ光州で「人民蜂起」が起こったのか、そしていかに悪辣・野蛮に「全斗煥傀儡ファッショ一味」がそれを弾圧したのかという話を韓国から北朝鮮に渡った2人から聞くというものである。

    この番組は、「今年は光州事件から33周年」と言っているので、今年制作されたものであろう。では、なぜこの番組について朴槿恵非難関連記事の「追記」としかたというと、「朴正煕」という名前が全て編集でカットされているからである。番組は、朴正煕が暗殺される辺りから話が始まるのだが、インタビューに答える2人は「軍事ファッショ独裁者朴正煕」などと言っていたはずである。ところが、数回ある彼の名前が入るべき部分でことごとく彼の名前は消されている。音声を聞いていると「軍事ファッショ独裁(プツ、切れている)が」という感じになっている。

    恐らく、「朴正煕」の名前をカットしているのは、朴槿恵さんに配慮したものであろう。北朝鮮らしからぬ配慮といえば配慮であるが、その北朝鮮が朴槿恵名指し非難を始めたというのは、やはり相当に意味があることではないだろうか。

    米国シンクタンクの所長とのインタビューで彼女が何を言ったのかは確認していない。後で映像メディアか文字メディアで彼女の言葉を調べてみようと思うが、「並進路線は駄目」という以上に北朝鮮を怒らせることを言ったのではないだろうか。もしかすると、金正恩さんを名指しで非難したのかも知れない。

    「中央階級教養館」にて撮影。中央が「朝鮮中央TV」にしばしば登場する解説委員。両横が北朝鮮に渡った韓国人、
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    Source: KCTV, 2013年5月26日放送

    <追記2: 5月27日>
    予想はしていたのだが、朴槿恵さんと会ったのはCSIS所長であった。青瓦台HPには会ったときの写真などは掲載されているものの、朴槿恵さんが金正恩さんを名指しにしたり「賭博」と発言していることは掲載されていない。しかし、韓国メディアを見ると彼女が「金正恩委員長が継続的に朝鮮半島の緊張を高める賭博をし、経済発展と核開発を同時に行うという新たな賭博をしようとしている」と語ったと伝えている。

    『chosun.com』、「朴대통령 "김정은 '도박' 시도, 결코 성공 못해"」、http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2013/05/23/2013052302223.html?news_Head1

    彼女が何語で語ったのかは分からないが、金正恩さんを呼び捨てにした訳ではなさそうだ。いずれにせよ、『朝鮮日報』が文言どおりを伝えているとすれば、「賭博」と2回発言しており、これが北朝鮮を怒らせたのであろう。私が初め間違えて書いたように「挑発」とでも言っておけば、毎度のことなので北朝鮮はこれほど怒らなかったのかもしれない。憲法にまで定めた「並進路線」を「賭博」と言われたので激怒したということのようだ。

    また、「私服を軍服に着替え」を示すような写真も青瓦台HPに出ていたので紹介しておく。

    韓国型機動ヘリ「スリオン」戦力化記念行事(5月22日)
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    Source: 青瓦台HP、http://www.president.go.kr/kr/president/photo/photo_list.php?req_uno=153#photoViewT

    「中国共産党中央委員会総書記であり中華人民共和国主席である習近平同志が崔龍海朝鮮人民軍総政治局長と会った」 (2013年5月25日 「労働新聞」)

    今日の『労働新聞』は、崔龍海訪中関連のニュースが1面を飾っている。習近平主席との会談について『労働新聞』が報じるところは以下のとおり。

    習近平主席が24日、人民大会堂で金正恩特使の崔龍海人民軍総政治局長と会った。北朝鮮側の同席者は、李ヨンギル人民軍上将、金ソンナム労働党中央委員会副部長、金ヒョンジュン外務省副相、金スギル人民軍中将、チ・ジェリョン北朝鮮特命全権大使である。

    中国側は、楊潔篪国務委員、王カソ中国人民政治協商会議全国委員会副主席、中国共産党中央委員会対外連絡部長、張オプス外交部副部長、鄭ソルサン党中央委員会辦公廳副主任、柳キョルイル党中央委員会対外連絡部副部長、ヤン・ヨンイ部長助理と関係部門幹部(中国人名の漢字表記は、未調査。カタカナは朝鮮語の音訳)。

    崔龍海特使が金正恩さんからの挨拶を伝達したのに対し、習近平さんは深い謝意を示し、「暖かい挨拶を伝えてくれるよう」付託した。金正恩さんの親書を習近平さんに伝達。習近平さんは、特使派遣と親書伝達に深い謝意を表明した。

    習近平さんは、金正恩さんが親書で「2国の老世代革命家たちが作り、花開かせた伝統的な中朝親善を継承し、強固に発展させることについて指摘し」、「中国党と政府は、戦略的な高さと長期的な見地から中朝親善関係を発展させることを非常に重視しており、伝統継承、未来志向、協力強化は中国党と政府の一貫した方針であると強調」し、「中国党と政府は、朝鮮党と政府と共に親善的な交流と協力を拡大することを望むと」語った。また、「中国党と政府は、終始一貫して朝鮮式社会主義強盛国家建設を支持して」おり、「朝鮮が経済発展と人民生活向上で成果を出すことを祈願した」。

    これに対し崔龍海さんは「朝中両国は山河で続く親善的な隣国であり、朝中親善は長い歴史と伝統を持って」おり、「世紀と年代を超えて続いてきた伝統的な朝中親善を強化発展させていくことは、我が党と政府の変わらぬ立場であると強調」し、「両国の老世代革命家の労苦と心血が注がれている朝中親善がなにものとも変えることができない貴重なものであることを両国の軍隊と人民はしっており」、「両国の党、最高指導者の特別な関心の中で伝統的な朝中親善が今後さらに開花発展するという確信を表明」した。そして、「中国人民が習近平同志を総書記とする中国共産党の指導の下『中国の夢』を実現し、中国特色の社会主義偉業遂行でより大きな成果を出すことを祈願」した。

    『労働新聞』、「중국공산당 중앙위원회 총서기이며 중화인민공화국 주석인 습근평동지가 최룡해 조선인민군 총정치국장을 만났다」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-05-25-0004

    『労働新聞』の報道では、中朝関係は過去も現在も変わりなく「親善的」なものであることが強調されており、それは「老世代革命家」の「労苦と心血」によって築かれたものなので「変えることができない」としている。習近平さんが「戦略的な高さと長期的な見地から」両国関係を発展させる必要があると述べている点も注目される。この辺りに「朝鮮半島の安定と非核化」の意味合いが含まれているのだろうが、『労働新聞』の記事には「非核化」という言葉は出てこない。

    一方、Chinadaily.comで報じられている中国側の関心を見ると、ほぼ「非核化」に集中していることが分かる。

    Chinadaily.com, "Xi gets letter from DPRK's top leader", http://africa.chinadaily.com.cn/china/2013-05/25/content_16530548.htm

    崔龍海さんが習近平さんに手渡した「親書」の内容については公開されていないが、崔龍海さんは習近平さんに「朝鮮半島と東北アジアの平和は複雑な情勢のために保障されていない」と述べたとのことである。この発言を「威嚇」と解釈する向きもあるようだが、上の記事で清華大学の陳教授が述べているように、「米国の敵対視政策」により北朝鮮が危険の晒されているというこれまで繰り返してきた北朝鮮が置かれている情勢についての解釈であろう。彼は中国共産党中央軍事委員会副委員長との会談で「朝鮮人民は、国家建設のために平和で安定した環境を必要としている」とも述べているので、やはり「米国を何とかしてくれ」ということであろう。

    また、同記事によると、崔龍海さんは、「北朝鮮は対話を通じて問題を解決するために『前向きの行動(positive actions)』をする意思がある」とも述べているという。「前向きの行動」が何を示すのかは明らかにされていないが、対話の条件として米国が挙げている「コース変更に向けた誠意のある態度」のことを示しているのであれば、米国との対話の糸口になる可能性はある。もちろん、北朝鮮が「非核化をする」などと言い出すはずはないので、「誠意ある態度」をどのような条件で提示するのかが重要な問題となるが、「親書」にそれが記されていたのか、それを中国がどのように捉え、中国の「対北影響力」と合わせて米国に提示するのかが問題となってくる。

    習近平さんは「朝鮮半島の非核化は全ての人々の熱望であるし、避けられない流れである」とし、「中国は緊張を緩和するために、全ての関係国が自制しながら冷静に行動し、六者会談を再開し(非核化に向けて)たゆまぬ努力をし・・・長期的な平和と安定を希望する」と崔龍海さんに言ったという。

    これに対し崔龍海さんは「北朝鮮は全ての関係国と、問題を適切に解決するために、多国間対話と協議をとおして共同努力をする意思がある」と述べている。「多国間対話」というのが二国間対話を複数国を対象に行うという意味で使っているのか、六者会談のように一つのテーブルに他国が座って行う協議のことを言っているのか分からないが、前者であれば北朝鮮は既に対日、対中で始めているので、今後、状況次第で六者会談を再開する準備があるという意思の表れであろう。

    『労働新聞』など、北朝鮮メディアが「非核化」についてまったく伝えていないのは、崔龍海さんがこの問題を平壌に持ち帰り検討する必要があるからである。一方、中国側が「親善関係」についてはほとんど報じないで「非核化」を伝えているのは、北朝鮮に対して圧力を加えるのと同時に、米国に対して中国の影響力を誇示する目的があるはずである。中国側が「多国間対話の意思」という崔龍海発言を伝えているものの、彼が「非核化」と言ったと伝えていないことは、この点については北朝鮮側から明確な妥協を得ることができなかったことの表れであろう。

    今回の崔龍海訪中が、どのような経緯で行われたのかは明らかではない。過去記事にも書いたように、北朝鮮が経済建設モードに入ったことや飯島訪朝報告があることは間違いないであろうが、一方で、中国の対北朝鮮経済が効いてきた可能性も排除できない。

    6月に朴槿恵訪中があることも発表された。

    『読売新聞オンライン』、「韓国大統領、来月訪中へ…慣例破り日本より先に」、http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130522-OYT1T00976.htm

    日本より先に中国を訪問するのが「慣例破り」というが、これは彼女の就任演説で「米国、中国、日本」と日本を3番目にしたことからしても予測されたことである。これは、竹島や慰安婦問題を巡る日韓関係の悪化を反映したものというよりも、韓日よりも韓中が政治的にも経済的にも重要になってきているという時代的な趨勢を反映しているはずである。こうした流れを変えるためには、日本が能動的に動くしかない。安倍政権にはそうした意思があるとは思えないが、この問題は中・長期的なの東アジアの国際関係を考えて方針を決定をする必要がある。

    話が日韓関係にそれてしまったが、朴槿恵訪中で「特使の親書」の内容は中国の答えと共に韓国側に伝えられるはずである。中朝のトップが会う前に韓国大統領が中国主席と会うというのも北朝鮮にとっては痛いはずだ。金正恩訪中は今年後半という報道もあるが、そんなにのんびりしている余裕はないはずである。中国が朴槿恵訪中をこれほど崔龍海訪中直後に入れてきたのも、習近平さんから金正恩さんへのメッセージ(「親書」があるのかもしれない)に対する「結論」を早く出すように促すためなのかもしれない。

    『朝鮮日報日本語版』、「(朝鮮日報日本語版) 金正恩氏、今年下半期に訪中の可能性も」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130525-00000626-chosun-kr

    「北朝鮮、6月15日に韓国と共同行事提案」 (2013年5月23に日 Chinadaily.com)

    北朝鮮が韓国に対して「南北共同宣言」が発表された6月15日に共同祝賀行事を行おうと提案していると、Chinadaily.comが聯合通信を引用したソウル発の「新華社電」を引用しながら報道した。北朝鮮メディアがこれについて報じているのかどうかはまだ確認していない(こんな時に「朝鮮中央通信」のサイトの挙動がおかしくなっている。昨日ぐらいからか)。

    北朝鮮は、開城工団問題を巡り韓国からの対話呼びかけを無視するなど、韓国との対決姿勢は崩していなかったが、北朝鮮側から「別件で」韓国側との交流を求めたとすると、この対話の枠組みの中で開城工団問題も解決していこうということであろう。「別件で」と書いたが、開城工団は6.15南北共同宣言の落とし子である訳だから、別件どころか直接的な案件といった方が適切なのかも知れない。それを示すかのように、北朝鮮は行事を開催する場所を金剛山か開城としている。両方とも、6.15以降、南北関係が好調な中で共同事業が行われ、現在は諸般の事情で事業が中断し、北朝鮮が管理している地域である。

    同報道によると、韓国・統一部関係者は「提案を検討する」としているというが、北朝鮮提案の詳細は分からないが、韓国側はこの提案を拒否すれば、開城問題解決の糸口を失うことになろう。

    崔龍海訪中は別記事にしようと思っているが、習近平さんとも会談した。習近平さんは、崔龍海訪中に合わせたかのように四川省の震災被災地を訪問したので、これは逃げられたと思ったのだが、さすがにそこまではしなかったようだ。北朝鮮側が発表した会談内容は読んだが、中国側の発表はまだ見ていない。米国務省は、中朝接触について「中国から事前に報告を受けている」と北朝鮮問題を巡る米中協調関係をアピールしている。

    日朝、中朝、韓国が対話提案を受け入れれば南北朝鮮、そして6月の習近平訪米に際して北朝鮮のメッセージを中国が米国に伝え、米国がそれを受け入れれば米朝と、いろいろな動きが一斉に始まりそうだ。6者会談の枠組みで行うのか、それともスタートの流れをそのまま受け継いでバイラテラルな交渉をそれぞれ行うのか。

    目が離せない。

    Chinadaily.com,"DPRK proposes joint event with ROK",http://usa.chinadaily.com.cn/world/2013-05/23/content_16525673.htm

    「金正恩同志の特使、中国訪問のために平壌出発(速報)」 (2013年5月22日 「朝鮮中央通信」)

    別記事のコメントで教えていただき、早速「朝鮮中央通信」を見たら、表題のような記事が出ていた。「速報」として報じているので、最重要記事の扱いである。「速報」なので、記事は「金正恩同志の特使として崔龍海朝鮮人民軍総政治局長が中国を訪問するために22日、飛行機で平壌を出発した」というものである。

    実は、昨日の「朝鮮中央TV」は、平日であるにもかかわらず朝9時頃から放送をしていた(もしかしたら、私の知らない休日だったのかも知れないが)。なので、これは「重大発表」があるのではないかと注目していたのであるが、金正恩さんの現地指導を伝えたり、別記事にも書いた映画を放映するなど普通の番組編成であった。

    もしかすると、崔龍海さんの渡航予定日は21日であったが、今日にずれ込んだのかも知れない。金正恩さんではなく、彼の中国訪問を国内向けの重大ニュースとして伝えるかどうかというのは疑問であるが、「金正恩特使」なので格としては金正恩関連重大ニュースの扱いになるのかも知れない。もう一つの可能性は、放送時間帯を拡大してまでこのニュースを大々的に伝え、「中朝関係を重視していますよ」というメッセージを訪問を前にして中国に伝える意図があったのかも知れない。

    以上、全て北朝鮮が昨日休日でなかったという前提ではある。

    <追記>
    コメントで毎月21日は「農民の日」なので番組は9時からと教えていただいた。韓国・統一部の「朝鮮中央TV」番組表を見ると、毎月21日は確かに9時から放送している。したがって、上に書いた「重大ニュース」とは関係なかった。

    しかして、日朝が動き出す中で中朝も動き出したとすれば興味深い。実は、一つ前の記事に「中朝関係がなかなか上手くいかないので、経済的な手詰まりを日本との関係で解決しようとしているのでは」と書こうとしていた。北朝鮮系の口座閉鎖や同国との取引停止については、1~2週間前のChina Daily.comに事実であるという記事が出ていた。中国系メディアが認めているので、実施されていることであろう。日本への接近がそのためであったとすれば、このタイミングでの特使派遣は考えられない。それに、日本との話し合いが破綻したからと考えるのは時期尚早である。

    金正恩さんが崔龍海特使にどのようなメッセージを託したのかは分からないが、取りあえずは、彼が「戦勝節」までに中国訪問できるような下地作りをするのではないだろうか。もし日朝交渉を本気でやり、安倍訪朝というような事態に発展すれば、彼が初めて会う指導者が日本の指導者となってしまう。これでは中国の面目は完全に失われてしまう。そんなこともあり、日朝交渉の説明も兼ね、金正恩訪朝が実現するよう話し合いに行ったのであろう。もちろん、中国は訪中を許す条件を提示するであろう。それが何なのか。考えられるのは、当面は核・ミサイルのモラトリアム、つまり2.29米朝合意レベルの約束である。中国が北朝鮮からその約束を取り付け米国に伝え、米国は「非核化に向けた誠意」を認めて北朝鮮と対話を始める、楽観的にはそのような流れになるのかもしれない。

    今日夕方、小さな研究会で北朝鮮について報告をしなければならないのであるが、あまりにも多くのことが短期間に同時多発的に起こっており、与えられた時間で話しきれなさそうなので頭が痛い(なので、未だにレジメができていない、こんな記事を書いている場合ではない)。

    「政権、日朝協議再開で調整 飯島氏が首相に訪朝報告」 (2103年5月21日 「朝日新聞デジタル」)

    飯島さんの訪朝報告を受け、「安倍晋三首相は対話を通じた日本人拉致問題の解決に強い意欲を示している。ほかに核開発やミサイル問題の包括的な解決を目指す」ことにしたと21日付けの「朝日新聞デジタル」が報じた。

    『朝日新聞デジタル』、「政権、日朝協議再開で調整 飯島氏が首相に訪朝報告」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130521-00000039-asahi-pol

    内閣官房長官は、20日午前の記者会見で飯島さんから訪朝報告を受けた上で記者の質問に答えている。北朝鮮とのやりとりの内容については相変わらず「事柄の性質上」を理由に明らかにしていないが、今後の展開に結びつくような発言はしている。

    まず、安倍政権の対北朝鮮政策基本方針として「我が国の対北朝鮮政策は、日朝平壌宣言に基づいて包括的に取り組んでいく」、「拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はない」、「対話と圧力の方針を貫き、国家の責任として、全ての拉致被害者の安全確保、即時帰国、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引き渡しに全力を尽くす」という3点を挙げている。これは、従来の政権と変わることはない。

    ところが、21日午前の記者会見では「拉致・核・ミサイルの包括的解決」と「拉致問題」を分けて北朝鮮と交渉を進めていくと受け止められるような発言をしている。「包括的解決」と「拉致問題だけを個別に解決」するという立場の表明は、言い替えれば「先に拉致問題を解決し、後で核・ミサイルを解決する」、つまり「包括的解決」を行うにしてもそれをパッケージにして一度にではなく、優先順位を付けて解決していくという考えの表明であろう。

    官房長官は「対話と圧力」を繰り返し強調したが、「圧力」では拉致問題解決に結びつかなかったので「対話」に転じようということであろう。しかし、このタイミングで「対話」に転じる理由は国際的には説明が難しいはずである。官房長官は「我が国は対話のドアは常にオープンにしている」ともいっているが、同じことは米国もいっており、その条件は北朝鮮が「非核化に向けて誠実な姿勢を示す」ことであったはずである。これは、安倍政権も対北朝鮮政策は「日米連携」あるいは「国際社会との連携」の中で行うとしながら同調してきたはずである。

    北朝鮮は連続3日「短距離ミサイル発射」といわれていたが、先ほど「朝鮮日報日本語版」が「韓国政府は21日、短距離地対地ミサイルではなく、口径300ミリ以上の新型放射砲(多連装ロケット)という結論を下したという」と報じた。

    『朝鮮日報日本語版』、「北朝鮮の飛翔体は新型ロケット、最大射程200キロ」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130522-00000404-chosun-kr

    実は、私はこの記事に「北朝鮮は、連続3日短距離『ミサイル』を発射しながら日本と国際社会を試している」と書こうとしていたのだが、これが「ミサイル」ではなくて「ロケット砲」であるとすると、「弾道ミサイル技術を使った発射」には該当しなくなる。短距離「ミサイル」発射が安保理決議違反になるのかについては、20日の米国務省定例記者会見でも質問が出され、報道官は「そうは認識していない(not aware of)」と発言している。「朝鮮日報の記事」では、米国防省報道官も類似した発言をしているが、この時点で米国が発射されたものがミサイルではなくロケット砲であると確認できていたのかどうかは分からない。

    北朝鮮が発射した「飛翔体」が「ミサイル」ではないとすると、安倍政権にとっては都合がよい。つまり、「挑発的な行為」であれ、北朝鮮が発射したものはミサイルではないのだから、安保理決議には反しない。私は依然として北朝鮮が国際社会を試すためにミサイルを発射したと思っているが、発射された「飛翔体」がミサイルであったのかロケット砲であったのかという真実は、軍事情報なので当分の間は分からない。北朝鮮は、20日に発表した「祖国平和統一委員会書記局報道第1038号」で「ロケット発射訓練」をしたと述べている。北朝鮮がこれまでミサイルやロケット砲をどのように表記してきたかについての確認をする余裕はないが、北朝鮮には「戦略ロケット軍」が存在するということからすれば、いわゆる「ミサイル」もロケットと呼んでいる可能性は高い。

    もし、米韓の両政府がミサイルをロケット砲と言ったのであれば、これは明らかに安倍政権の対北朝鮮外交に配慮したものである。単純に両国のインテリジェンス能力の違いによるものなのかも知れないが、米韓で「ロケット砲」とするタイミングが微妙にずれている。安倍政権が米国には迅速に、あるいは事前に説明したものの、韓国への説明は遅れたのか。それとも、同時に説明はあったものの、韓国政府が日本の北朝鮮接触についての態度を決めかねていたのかは分からない。韓国はこれについて「不快感」を表明して以降、何ら変化は見られていないが、今後の動向に注目する必要はある。

    私の推測通りに北朝鮮が発射したものがミサイルであったとすれば、ロケット砲と言い替えて米韓は安保理決議違反で北朝鮮を非難する道を選ばなかったということになる。すると、日本が対話を始めようとしていることを評価する、逆に言えば日本との対話に北朝鮮が乗りだしたことを評価するというシグナルを北朝鮮に送ったことになる。米韓は「核・ミサイル放棄」を対話の前提条件としつつも、「拉致という人道問題」について「核・ミサイルと切り離して」日本が北朝鮮と対話をすることをどこかで認めることになるであろう。もちろん、「人道問題」といっても、北朝鮮で有罪判決を受けた韓国系米国人の釈放交渉とはまったく重さの違う問題である。

    日本政府もいっているように「拉致・核・ミサイルは包括的」問題であり、「日朝平壌宣言」に基づいて解決していくべき問題である。米韓両国が日本の北朝鮮との交渉を公式に歓迎する立場を取るとすれば、当然それが「核・ミサイル」に繋がるという認識に立ってのはずである。

    国際社会が日本にそれだけの期待をしているとすれば、安倍政権は参院選挙の点数稼ぎ程度の安易な考えで北朝鮮との交渉に臨むべきではない。残念ながら、官房長官は「安倍政権は拉致問題を自らの手で解決しようという強い責任感と決意を持っている」を繰り返し強調しているが、政権として上に書いたような国際的な責務まで強く認識している様子はあまり感じられない。また、国際交渉が双務的であるということも忘れてはならない。特に「日朝平壌宣言」に基づいてというのであれば、同宣言の冒頭に記されている「過去の清算」についても真剣に考えておかなければならない。同宣言の2には「国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施」すると記されているので、実際にお金が出ていくのは「国交正常化後」であり、日本政府の「拉致問題解決なくして国交正常化はあり得ない」という立場からすれば、まず拉致問題を解決する順序でよいことになるが、そんなことで北朝鮮との交渉がまとまるはずがない。

    ともかくも、国際社会を巻き込んで安倍政権が動き出したのであれば、是非とも成果を出してもらいたいものである。その成果は、小さくは小泉訪朝で実現した「拉致被害者の一部帰国」でもよいが、究極的には「核・ミサイル問題解決い向けた糸口」になって欲しいと考えている。

    金正恩体制発足後、金正日の遺訓を引き継いだ米朝接触(2.29合意)を除けば、金正恩体制として初めての国際交渉となる。繰り返すが、日本(安倍政権ではない)の責務は重い。

    「朝鮮中央TV」は、昨日、「追憶に残る映画<朝鮮芸術映画>私が見た国」という映画を昼12時少し前から放映していた。この映画は、日本の新聞記者が北朝鮮を訪問し「北朝鮮の真実を知る」という内容の映画であるが、このタイミングでこうした映画を放映するのも実に意味ありげである。また、「朝鮮中央通信」は21日、福島県沖で発生した震度5強の地震について報じている。「朝鮮中央通信」は各国の自然災害についてのニュースはしばしば流しているので、これが特別な話ということではないが、タイミングとしては気になる。

    「朝鮮人民軍最高司令官金正恩同志がリョンムン酒工場を現地指導された」 (2013年5月19日 「労働新聞」)

    コメントに経済関連の記事を書くと書いておきながら、なかなか書けなかった。コメントにも書いたとおり、「朝鮮新報」に非常に興味深い記事が出ていたので、それを紹介するつもりであったのだが、その後も北朝鮮は完全に人民生活向上モードに入っており、金正恩さんは工場の現地指導を精力的に行っている。先月は戦争モードだったのが信じられないほどだ。

    「朝鮮新報」の記事であるが、「最高領導者の関心の中で内閣と生産現場が緊密に連携『我々式経済管理方法』研究完成を」という記事である。この記事自体は、「我々式経済管理方法」は、「労働党中央委員会2013年3月全員会議の報告の中」で「研究完成の重要課題」として提示され、「朝鮮国内では昨年から一部の工場、企業所、合同農場が内閣の指導の下に独自的に、創発的に経営管理をする新たな措置を試している」とし、「こうした措置は、勤労者の労働意欲を高め、増産成果に結びついている」としている。「独自的、創発的」経営管理を行い、労働成果に応じた配分を行えば、「労働意欲を高め、増産成果」を出すことは理にかなっている。

    そして、「我々式経済管理方法」は、「金正日将軍の意を具現する事業である」とした上で、「朝鮮では2002年以降、社会主義原則を守りながら、最大の実利を実現する方向で経済管理を改善する事業が推進されてきた」とし、今回の措置が2002年7月から行われている「経済管理改善措置」の延長線上にあるものであるとしている。これは、今回の措置が「将軍様の意」であるとして導入を容易にし、仮に失敗しても「将軍様の意」を実現しようとしたが今回は上手くいかなかったということにして、継続事業として放置できるからであろう。

    また、「我々式経済管理方法」を定着させるためには、「生産計画、価格調整、貨幣流通など、様々な問題を解決していかなければならず、それに合った法と制度を整備しなければならない」とし、「生産計画、価格決定、貨幣経済」を活性化させるという事実上の市場経済化のための制度作りを進めていくとも述べている。

    『朝鮮新報』、「 최고령도자의 관심속에 내각과 생산현장이 긴밀히 련계 《우리 식의 경제관리방법》 연구완성을」、http://chosonsinbo.com/2013/05/0510th-5/

    さらに興味深いのがこの記事からリンクが張られている「『我々式経済管理方法』の完成を、内閣関係者インタビュー、社会主義原則固守、国家の統一的指導」という同新聞の「内閣事務局、金ギチョル副部長と国家計画委員会李ヨンミン副局長」に対するインタビュー記事である。以下、その問答を抄訳しておく。

    1.「内閣責任制」、「内閣中心制」という言葉があるが、その意味は何か。
    内閣は、国家の全般経済事業について責任を持つ主人としての地位と役割を持っているという言葉である。一つは、経済事業において提起される全ての問題を内閣に集中させて統一的に指揮することにより、解決していくという規律と秩序を徹底して打ち立てるということである。もう一つは、内閣が国家の経済事業全般を統一的に掌握し、指導管理するための事業を主導的に推し進めていくということである。

    2.内閣総理がさまざまな経済単位に対して現地指導事業をする報道が多く出るようになった。
    内閣は、現場で提起される問題を随時把握することで、事前に防止することができることは防止し、解決しなければならないことは解決し、必要な対策を講ずる。人民生活向上と経済強国建設を推進する党の意図が正確に貫徹されるようにするため、経済事業に対する指導事業を随時行っている。

    3.金正恩元帥がたびたび強調している経済指導と管理を改善するために内閣で推進している事業とその現況についてはどうか。

    金正恩元帥が一貫して強調していることは、主体思想を具現した「我々式の経済管理方法」を研究・完成することである。この原則に従い、我々の当該部門では、生産者大衆が生産活動と管理の主人としての自覚を持ち、責任と役割を担うことができる方法を研究している。我々が初歩的に研究した内容が、一部の農場、工場などで適用段階に張っているが、反応は良い。

    経済管理方法を改善することにおいて、我々が堅持しなければならないことは、第一に、社会主義原則を徹底して守ることであり、第二に、国家の統一的指導の下に全ての事業を執行しなければならないということである。集団主義に基づいた工場、企業所に責任と権限を正しく与え、彼らが主人としての立場で仕事ができるようにする方法を探求している。

    現場では、社会主義経済分配原則の要求に合うように、各自が働いて稼いだ分だけ正確に分配するような体系をきちんと確立しようとしている。特に、労働者が機械の主人として、農業勤労者が田畑の主人としての自覚を持って生産活動に参与できるよう指導している。

    特に、国家計画を担う農場において現物分配を実施し、工場、企業所などでは稼いだだけ、仕事をした分だけ、分配が行われるようにする方法を研究し、一部の単位に導入している。計画を超過する部分が多くなれば、多くなるほど生産隊に与えられる取り分が多くなり、国家に入る部分も多くなる。全般的に見れば、国家と生産単位の利害関係を一致させるということである。

    農業現場では、現物分配が行われており、工場現場では独自的な販売権、貿易権を与えるという問題が出てきているが、こうした内容には勤労者、生産者の要求が反映されている。一定の成果が出れば広く宣伝することができるが、もう少し状況を見なければならないようだ。

    4.対外経済戦略についてはどうか。
    対外経済戦略は、特に研究を深くしなければならない問題である。米国と追従勢力が「国連制裁」を云々しながら、我々と対外的に取引をする国と地域、企業に対する圧迫攻勢まで行っているが、これに我々がどのように主導的に対処するのかということが重要な研究内容であり、これについての一定の成果も出ている。

    情勢に左右されないように対外経済事業を多角化、多様化しなければならず、世界的な経済力を持てるよう商品の質も向上させなければならない。

    様々な内容があるが、この問題もやはり対外部門が研究過程にあるので、今後、自信を持って話すことができるようになるであろう。

    5.企業経営管理について現場の幹部の知識と水準がさらに求められているようだがどうか。
    工場、企業所が独自に経営をし、生産を活性化しようとする場合、工場、企業所に責任を持った幹部が大いに研究しなければならない。これまでは、生産計画を達成さえすれば評価されたが、これからは生産をより活性化し、拡大する責任と役割を担わなければならない。したがって、幹部の実力が落ちれば、他の企業所より後退するすることになり、幹部が勤労者の前で厳格に評価されるようになる。現場幹部は、経済知識を持続的に収得し、生産を活性化する方法を常に模索しなければならない。

    朝鮮では、人民経済大学で支配人など、責任幹部に対する再教育を実施している。金ボヒョン大学では、農場管理委員長、経営委員長たちに対して再教育を行っている。

    国家的には、内閣から省、中央機関、工場、企業所に出向するというやり方で企業戦略や方法を教える立場から指導することが求められている。

    科学技術の時代、情報産業時代なので、不合理な機構を簡素化し、知識部門生産労力、技術サービスを増加する方向で労力配置、調整事業が行われている。そうしてこそ工場、企業所が現実発展に対応しながら、企業所に損失を出さず、実利が出るように運営している。

    6.展望について
    平壌市内を見れば分かるとおり、国家の面貌、都市の様相が日々違ってきており、人民が活気に満ちている。勤労者も経済強国建設をするために奮発している。金正恩元帥の構想が実現し、結実を見る日も遠くない。その日を早く迎えるために奮闘する。

    『朝鮮新報』、「 《우리 식의 경제관리방법》의 완성을/내각 관계자 인터뷰 사회주의원칙 고수, 국가의 통일적지도」、http://chosonsinbo.com/2013/05/0510th-4/

    タイトルの記事が書けなかったが、追記することとし、一度ここで打ち切る。

    「<北朝鮮>短距離ミサイル3発を日本海に発射」 (5月18日 「毎日新聞」)

    韓国・国防部の発表を受け、日本のメディアが「北朝鮮が日本海に向け短距離ミサイル3発を発射したと明らかにした」と伝えている。発射されたミサイルは「地対地ミサイル「KN02」(射程約120キロ)の改良型か、新型の地対艦ミサイルとみられる」とのことである。

    『毎日新聞』、「<北朝鮮>短距離ミサイル3発を日本海に発射」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130518-00000074-mai-kr

    調べてみた限りでは、韓国国防部の発表以外、日本も米国も北朝鮮の短距離ミサイル発射が「あった」という事実確認以上のことは今のところしていないようだ。米国が週明けの国務省定例記者会見で何かコメントを出す可能性はあるので、これに注目する必要がある。日本政府は、どうやら「北朝鮮の領海に落ちたから」ということであまり気にしていないようだし、せっかく飯島訪朝で日朝関係が動き出しているときに不要に騒ぎ立てるのはマイナスという判断が働いている可能性も十分にある(そういうコメントを読んだか聞いたかしたのだが、ソースを見つけることができなかった)。

    飯島訪朝で北朝鮮は既に2ポイント得たと過去記事に書いたが、今回のミサイル発射は3ポイント目になる可能性がある。国際社会は中距離弾道ミサイル「ムスダン」ではなかったので、ホッとしているという雰囲気があるが、今回の北朝鮮による短距離ミサイル発射は明白な安保理決議2094違反である。拙ブログでは何回も書いてきたが、安保理決議が禁止しているのは「launches that use ballistic missile technology(弾道ミサイル技術を使った発射)」であり、その到達距離は問題にしていない。今回発射されたKN02なる短距離ミサイルに「弾道ミサイル技術」が使われているのか否かは私の持ち合わせの知識では正しく判断できないが、米国の研究機関のホームページでは、このミサイルは「弾道ミサイル」のカテゴリーに入っている。

    MISSILE THREAT, "Ballistic Missiles, KN-02", http://missilethreat.com/missiles/kn-02/

    つまり、米国の研究機関のページにあるようにこのミサイルが「弾道ミサイル」であるならば、「弾道ミサイル技術を使った発射」を北朝鮮はした、しかも3発(3回)もしたわけで、このミサイルが北朝鮮の領海に落ちようが日本の領海に落ちようが、安保理決議違反であることには変わりない。この点について、国際社会は北朝鮮を非難しなければ、これまで北朝鮮が主張してきたロジックの正しさを証明してしまうことになる。つまり、「衛星ロケットの発射をミサイル発射だと非難しておきながら、ミサイル発射をミサイル発射だとなぜ非難しないのか」ということである。

    北朝鮮が飯島さんが帰国した翌日にミサイル発射をしたということは、当然このことを意識しているはずである。もっと言えば、日米韓の北朝鮮問題への連携に打ち込んだ楔に、さらにもう一発ハンマーを加えたということである。北朝鮮は、米韓がこの発射を非難し、日本が「飯島訪朝の成果」を意識しながら非難に回らない、少なくとも過去の「衛星ロケット発射」の時のように積極的に動かないであろうと計算しているはずである。これが上に書いた「飯島訪朝」から得た3ポイント目に当たる。

    北朝鮮は既に2ポイント得ているので、日本が北朝鮮のミサイル発射を積極的に非難しても、表面的、つまり対内的・対外的宣伝という意味では失うものはない。過去記事に書いたように「やはり日本には誠実さが欠ける」とでも「朝鮮中央通信」に論評を出しておけばよい。もちろん、日朝関係の好転から得られる「利得」を得られないという損失は大きいはずだが、それは未知数である上、表面には見えてこない。

    翻って日本はどうすべきか。「独自の外交の何が悪いか」と言い切ったその意気込みを最後まで貫徹するのか、ここで折れるのか。北朝鮮に3ポイント目を与えても、逆転を前提に「独自の外交」を推し進めるのか。北朝鮮は、今回の飯島訪朝が安倍政権の参院選へ向けた点数稼ぎであることは見抜いているはずである。安倍政権としては「極秘訪問」にしたかったものを敢えて大々的に報道したのは、日本国民にそういう事実を公表し、「拉致問題」解決への期待を抱かせ、さらにそれに失敗すれば安倍政権の失点、成功すれば得点となることまで計算しているからである。そうであるとすれば、参院選に一番効く「拉致問題」関連の大きな手土産を飯島さんに託した可能性がある。

    米韓が「不快感」を示しているのは、表面的には「協力関係に悪影響を与える」といっているが、いずれの国もそれぞれ異なった思惑から日本が抜け駆けするのを好ましく思っていないからである。つまり、両国とも北朝鮮との対話のチャンスを狙っているわけで、韓国は開城工業団地関連で対話を呼びかけているものの北朝鮮に無視され、米国はハードルを少しずつ下げつつ対話を呼びかけているものの北朝鮮が乗ってこないことに焦燥感を抱いている中、日本が独走したことについて快く思っていないのである。

    走り出した日本はどうするべきか、実に悩ましい問題である。飯島さんがどういう「手土産」を持ち帰ったのかまったく分からないので何とも言えないが、短距離ミサイルの発射に目をつぶっても、慎重に北朝鮮との対話の糸口を活用していくというやり方はあり得る。当然、その際、米韓と水面下で十分な調整を行いながらということになる。実は、内閣官房長官は「色々なルートで米韓とは接触している」というようなことも言っていたので、もしかすると、こちら側が一枚上手で米韓とは十分に調整を行った上で「茶番」を演じている可能性もありそうな気がする。

    いずれにせよ、色々なことが動き出すのは週明けだと思うので、各国政府の動きに注目したい。

    「日本の安倍内閣危機管理特別担当参与一行、平壌市内の各所を参観」 (2013年5月17日 「労働新聞」)

    下の記事の追記にしても良いのだが、「労働新聞」に表題のような記事が掲載された。内容は以下の通り。

    日本の安倍内閣危機管理特別担当参与の飯島勲一行が、平壌民俗公園を参観した。彼らは、朝鮮民族の悠久な歴史と文化を生々しく見せる公園のあちこちを回った。また一行は、ルンラ・イルカ館、人民野外スケート場を参観した。

    2013-05-17-04-03.jpg
    Source: 『労働新聞』、「일본 아베내각 위기관리특별담당 참여일행 평양시내 여러곳 참관」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-05-17-0022&chAction=T

    <追記>
    頂いたコメントへのお返事として書き始めたのだが、追記としてこちらに書き加えておく。

    今回の飯島訪問は「極秘訪問」どころか、北朝鮮側では公式訪問以上の扱いだと思う。金正恩体制成立後、北朝鮮の高官と会見したのは、料理人殿が金正恩さんと会ったのを除けば、日本人としては張成沢さんと会った日体大理事長の松浪さん、今回金永南さんと会った飯島さんだけであろう。料理人殿の訪朝は北朝鮮では報じられず、猪木・松浪訪朝は報じられはしたものの、張成沢さんは国家体育発展委員会委員長として登場し、スポーツ交流という扱いであった。松浪さんが訪朝した際も、松浪さんの肉声を「朝鮮中央TV」は一部動画で流していましたが、スポーツの話だけであった。今回は、別記事にも書いたたように、「朝鮮中央通信」が敢えて「金正恩、若き指導者」、「非常に重要な使命」、「目的・・・日朝関係」などという部分を切り取って伝えていることからは、北朝鮮としては飯島さんを「日朝関係改善のための特使」との宣伝の目的が伝わってくる。今後、「朝鮮中央TV」が会見の様子や肉声を国内向けに流すかどうかに注目する必要がある。

    別記事に北朝鮮は既に「日本の危機管理特別担当参与が訪朝した」と対内・対外的に宣伝することでポイントを稼いだと書いたが、韓国と米国に飯島訪朝に対する不快感を表明させ、日米韓の対北朝鮮封じ込め共同戦線にひびを入れたことで、さらにポイントを追加した。

    一方、日本政府は内閣官房長官記者会見を見ても、相変わらず「ことの性格上」を繰り返すばかりである。さらに、韓国外務省長官が「不快感」を表明したことについて、「常識的に理解できない」と逆に不快感を表明している。日本が独自の外交を展開することに私は反対ではないが、さんざん「米韓と協力しながら」北朝鮮問題を解決するといってきたのだがから、もう少し何とかならなかったのであろうか。官房長官は「拉致・核・ミサイルは一括して」とも言っているが、「核・ミサイル」まで含めるのであるならば、なおさら米韓との協力は欠かせないはずである。まだ、飯島氏が帰国し、その後の展開を見なければ飯島訪朝の成果についての評価はできないが、何も成果を出せなかったとすれば、上に書いたように北朝鮮に宣伝材料として使われただけではなく、米韓との協力関係にひびを入れただけに終わってしまう。

    飯島さんはテレビのインタビューで「拉致被害者が帰ってくるということではなく」とも発言しているので、焦ることなく着実に進めていこうと考えているのであろう。これまで、北朝鮮とは核問題で大バーゲン(大きな取引)をやって、いずれも失敗してきた。「拉致問題」については、完全に解決したわけではないものの、一部でも拉致被害者の帰国を実現させたのだから、核問題よりもこちら側が得たポイントは高いといえる。その経験を飯島さんは活かそうとしているのかもしれない。

    「日本の安倍内閣、危機管理特別担当参与一行到着」:金永南最高人民会議常任委員会委員長との会見での発言 (2013年5月15日 「労働新聞」)

    昨夜、「今日の主要な報道から」という「朝鮮中央TV」の番組で飯島危機管理特別参与が平壌に到着したと報じていたと書いたが、今日の「労働新聞」でも写真入りで報道されている。

    「日本の安倍内閣の危機管理特別担当参与飯島勲一行が、14日、平壌に到着した。飛行場で関係部門の幹部が出迎えた。」

    という短い記事であるが、実に早い報道である。北朝鮮としては、米韓は当然として、中国からも政府高官の訪朝がなくなっている状況の中で、日本から「危機管理特別担当」という肩書きの政府高官が訪朝したという事実は、対国民向けにも日本が北朝鮮の軍事力(核とミサイル)を「危機」と認識して、話し合いのために特使を派遣したという宣伝に使えるのでいち早く報道したのであろう。日本メディアの報道では「内閣参与」という肩書きの飯島さんに北朝鮮が「危機管理特別担当」という肩書きを付けていることから分かる。

    実際、日本で飯島さんにそのような肩書きが付けられているのか首相官邸のホームページなどで調べてみたが、よく分からなかった。12月16日午後の内閣官房長官による記者会見で内閣官房参与が発表されたが、官房長官は「次に内閣官房参与について、お手元の資料のとおり任命することとし」と発言しているものの、メディアに配布されたと思われる「お手元の資料」なるものを首相官邸HP内で見つけることが出来なかった。この資料にもしかすると「XX担当」という表記がされているのかも知れないが見つからないので分からない。

    首相官邸HP、「内閣官房長官記者会見 平成24年12月26日(水)午後」、http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201212/26_p2.html

    では、「危機特別担当」という根拠はどこにあるのかと検索を続けたら、内閣官房長官記者会見当日の「J-CASTニュース」に「橋下市長と飯島氏は不倶戴天の敵なのか 内閣参与就任で二人の関係に微妙な変化が…」という記事が出ていた。この記事の中に「小泉政権時代に実績を重ねた飯島氏から、安倍首相は主に危機管理や広報に関する助言を得たい考えという」という記述があるので、もしかしたら、安倍さんがどこかでそのような発言をしていたのかもしれない。

    『J-CASTニュース』、「橋下市長と飯島氏は不倶戴天の敵なのか 内閣参与就任で二人の関係に微妙な変化が…」、http://www.j-cast.com/2012/12/26159756.html

    それとも、飯島さんの訪朝について北朝鮮と詰める過程の中で、彼の立場を「危機管理特別担当」としていたのであろうか。任命権は首相にあるので如何なる「担当」にも任命できるとは思うが、北朝鮮との調整の中、安倍さんも了解した上でこうした肩書きが付けられたのであれば、それは記録しておく必要がある。

    今回の飯島訪朝は、米韓との事前調整なく行われたと韓国メディアは報道しているが、昨年8月の第二次大戦終了時北朝鮮残留日本人の遺骨収集問題を赤十字協議から政府間協議に格上げする際にも、あまり米韓との調整は行われていなかった。特に、韓国とは李明博さんの竹島上陸で関係が複雑になっていたので、韓国に対して頭越しに北朝鮮カードを使うことで、不快感を表明したのではないかと拙ブログの記事にも書いた。今回は、閣僚の靖国参拝問題で日韓関係が良好であるとはいえないものの、昨年8月とは逆で日本がやった靖国参拝に韓国が怒っているので、こちらから北朝鮮カードを使って不快感を示す必要まではない。

    すると、韓国とは関係なく飯島さんを訪朝させたということになるわけだが、北朝鮮との協議の中で何をどうしようとしているのであろうか。「拉致問題」について話し合われる(正確には、日本側が発言する)ことは確かであるが、順序としてはある程度協議が進展していた「遺骨収集問題」から入る方がスムーズに協議を進めることが出来るであろう。「遺骨収集問題」であれば、人道的問題であるので、「核・ミサイル問題は置いといて」ということで国際的な理解もえら得るであろう。もちろん、北朝鮮がその見返りに何を要求してくるのかにもよるのだが。

    今朝の内閣官房長官による記者会見の模様はまだ内閣HPに掲載されていないので分からないが、この問題について記者とのやりとりがあり、詳細が明らかになってくるのではないだろうか。

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    『労働新聞』、「일본 아베내각 위기관리특별담당 참여일행 도착」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-05-15-0023&chAction=L

    <追記>
    「朝鮮中央通信」が動画を配信していた。

    飯島さんは高麗航空機で平壌入りした。時間の関係だけだったのかも知れないが、中国国際航空を使わず高麗航空を使ったということは、高い国賓待遇の表れかもしれない。
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf

    バッジを付けたイルクンが鞄を運びながら案内をしている。北朝鮮報道では「一行」となっているが、単独訪朝のように見える。左側の人物が総連関係者のような報道もある。
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf

    北朝鮮側の記事には名前は出ていない。笑顔で出迎えているが。
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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf

    <追記2>
    今、首相官邸HPで内閣官房長官の記者会見の様子を見た。飯島訪朝については「ことの性格上ノーコメント」と繰り返すばかりで、記者の質問にほとんど答えていない。ただし、飯島さんの肩書きについては、「危機管理特別担当参与」ではなく「内閣官房参与」だとしており、北朝鮮がなぜそのような肩書きを付けたのかは「分からない」としている。この「分からない」すら、「ことの性格上」「分からない」なのかも知れないが。

    官房長官が「ノーコメント」を繰り返したのは、やはり余計なことを言って、飯島訪朝期間中に北朝鮮を刺激したくないということであろう。北朝鮮が韓国のマスコミ報道に難癖を付けてくることからすれば、内閣官房長官が記者会見でよけいなことを言い、難癖を付けられないように慎重になることは理解できる。

    しかし、北朝鮮の即時、しかも対内・対外に対する動画付きでの報道については、やはり驚いている様子であった。政府としては、やはり「極秘訪問」としたかったようである。北朝鮮が日本と彼の訪問についてどのように扱うのか約束をしていたのかは分からないが、いずれにしても「国際制裁といっている中、日本から危機管理特別担当参与が話し合いにやってきた」と対内・対外に宣伝できただけでもポイントである。

    飯島訪朝のニュースが4面に掲載されている『労働新聞』の6面に「日本の罪悪の歴史を覆い隠すことは出来ない」という記事が出ている。同記事は、日本の第二次大戦中の罪悪を糾弾した上で、「今でも、理性を持って過去清算の歩みに踏み出すことが、日本にとっては賢明な選択である。日本の良心と誠実さが国際社会で検証されるときにこそ、政治奇形児の汚名から抜け出すことができる」と締めくくっている。これも実に良く出来た予防線で、「過去の清算をしなさい」と言っておいて、日本がそれを断れば「やはり日本には理性も良心もなかった」と締めくくることができる。

    外面的には、今回の交渉、北朝鮮が先制点を取っている感じがするが、これからのことの運び方ではまだまだ勝負はどうなるか分からない。勝ち負けではなく、お互いに宣伝や選挙対策ではない、実のある結果を出してもらいたい。

    『労働新聞』、「일본의 죄악의 력사는 덮어버릴수 없다」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-05-15-0034&chAction=L

    <追記3 5月17日>
    「朝鮮中央通信」が飯島さんと金永南最高人民会議常任委員会委員長との会見の模様を静止画像と動画像で配信した。

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    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf

    動画像に収録されている音声は以下の通り(聞き取れる日本語及び朝鮮語を日本語に翻訳)。

    飯島(通訳が朝鮮語で):「飯島と言います。お目にかかれて光栄です。」
    金永南:「歓迎します。」
    飯島:「ああどうも・・・」(金永南さんに同行した人物と握手しながら)
    飯島:「日本の映像では、金正恩、若き指導者」(下の写真の場面で)

    MM00015529flv_000012118.jpg
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf

    金永南:「久しい前から誠意のある努力をしてこられたことについてはよく知っており、高く評価しているということを申し上げます。」
    金永南の通訳:「飯島先生が、非常に重要な使命を持って平壌を再訪問され・・・」
    同通訳(飯島発言を朝鮮語で):「宋日昊大使にとても具体的にお話をされました。」
    飯島:「私の目的は、・・・大変な隔たりのある日朝関係の・・・諸事案」

    <追記>
    コメントで聞き取れなかった部分を教えていただいたので、加筆しておいた。

    MM00015529flv_000026118.jpg
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf

    他の出席者たち。
    MM00015529flv_000043438.jpg
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf

    「<録画報道>朝鮮人民軍最高司令官金正恩同志が朝鮮人民内務軍協奏団の公演を観覧された」 (2013年5月13日 「朝鮮中央TV」)

    タイトルは「録画報道」としたが、今、「朝鮮中央TV」の生放送で「実況録画」を見終わったところだ。「朝鮮中央TV」が予告した今日の放送予定にこの番組が入っていたのかは分からないが、韓国・統一部の番組表とは時間が異なっている。この番組は途中から見たので、実際に何時に始まったのかは分からない。

    「録画報道」は見てたので、演奏曲目は大体分かっていたが、やはりクライマックスでは金正恩称賛ソングが続いた。特に、「パルコルム」をバックグランドに朗読をしてからの盛り上がりは凄かった。

    詳しい方に教えていただきたいのだが、どうも、全体の曲のテンポが速い。「1号歓迎曲」すら、非常に速いテンポで演奏されているように聞こえるのだが、何か理由があるのだろうか。YouTubeにアップロードされている、朝鮮大学校の「パルコルム」もやたらと速く聞こえたのだが、本場の演奏でもテンポが速いものがあるようだ。

    この内務軍演奏会では、コメントで頂いた新人民武力部長がデビューしている。「録画報道」の写真にも写っていたが、やはりかなり若い人である。

    また、李キョンシムさんも最前列で聞いていたようで、映っている。

    urimonzokkiriに動画がアップロードされれば、質の良い画像を紹介しようと思う。

    <追記>
    「今日の報道から」という最後のニュースを見ていたら、飯島勲内閣官房参与が平壌に到着したと写真入りで紹介していた。

    「<録画報道>敬愛する金正恩元帥様が万寿台創作社を訪れ祖国解放戦争戦争勝利記念館に掲げる偉大な首領様の映像作品創作事業を指導された」 (2013年5月13日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」が、こう題する「録画報道」を放送した。4月の戦争モードが終わり、金正恩さんの視察も対米・対韓国戦を担う軍部隊から国内治安を担当する内務軍や総合娯楽施設(ヘダンファ館)、そして今回話題にする万寿台創作社にシフトしてきている。北朝鮮というのは、自ら厭戦ムードを醸しだし、突然それを中断する。彼らにいわせれば、とりあえず「トクスリ訓練が終わったから」ということになるのだろうが、依然としてニミッツを動員した米韓海軍の合同演習を非難している。ともかくも、戦争モードを切り替えてくれることは、彼ら自身に取ってだけではなく、周辺国にとっても望ましいことなので、歓迎したい。

    万寿台創作社のニュースは生放送で見ていたのであるが、やはり画質が悪く、音質も今ひとつなので集中できない。幸い、uriminzokkiriが復活し前日の放送ファイルをアップロードしてくれるので、落ち着いてそれを見ていると、いろいろなことが分かってくる。解像度や音質はこちらの方がずっと良い。

    金日成さんの絵は、既にたくさんあるはずなので、戦勝60周年のためにわざわざ描く必要もなさそうだ。たとえ描いたとしても、記念に数枚描けば良さそうなものだが、報道で見ていても多くの絵画が描かれている。それを見ていて思ったのは、狙いはお祖父さんにあるのではなく金正恩さん自身にあるということのようだ。

    下の写真を見ると分かるが、絵に描かれているのは金日成さんよりも金正恩さんである。金正恩さんは、確かに意識的にお祖父さんの真似をしている(彼が、視察中に右手を人民服の胸の辺りに入れる行為は、記録映画に登場するお祖父さん(金日成)もしばしばやっている。お父さん(金正日)はしなかったようだが)し、また血も繋がっているから若い頃の金日成さんと顔や風貌が似ているということも事実ではあるが、この絵はどう見ても金正恩さんである。さらに言えば、紹介されている写真のポーズからしても鏡に映したような関係になっている(手は逆であるが)。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=14730

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=14730

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=14730

    番組で紹介される絵を見る限りでは、金日成さんは全て金正恩さんが着用している黒っぽい人民服を着ている。これまでに描かれた朝鮮戦争当時の彼をモデルにした絵をきちんと確認はしていないが、少なくとも記録映画に登場する金日成さんは、人民服だけではなく、軍服を着ていたりスーツを着ていたりしている。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=14730

    こうしたことからすると、「金日成=金正恩」化を促進し、さらにそれを戦勝60周年に被せることで、対米全面対決戦の勝利を飾ろうとしているのではないだろうか。そうだとして、金正恩さんは朝鮮人民に戦利品を示さなければならないはずである。94年の核危機の時はクリントンさんが金正日さんに「信書」を送ったが、北朝鮮ではこの信書は北朝鮮が米国から戦利品として原子力発電施設や原料を獲得したという扱いになっている。今回は、今のところ北朝鮮は何も戦利品を獲ていないが、それを得るためにはどうしても米国との対話をしなければならない。

    もちろん、米国も前回の轍を踏まないように対話のハードルをなかなか下げてこない。しかし、「北朝鮮の挑発的言動が減った」と評価もしているので、何かのきっかけをつかむことを模索しているはずである。このとき、中国を米国がどのように使うのか。制裁強化に協力するようより強く求めるのか、それとも対話の再開をするための仲裁を求めるのか、あるいはその両方を同時に進めるのか。

    中国が北朝鮮との金融取引により強力な規制を加えているという報道がある。一方で、北朝鮮のメディアには、過去記事にも書いた通り、中国の主張を支持する尖閣領有権に関する記事も出ている。今朝から「労働新聞」も「中央通信」も見られなくなっているので確認できないが、今日か昨日の「労働新聞」にも尖閣関連の記事が出ていたような記憶がある。

    今後の展開に注目したい。

    「セクハラ行脚」 (2013年5月12日 「労働新聞」)

    青瓦台の尹昶重報道官がセクハラ疑惑で解任され、朴槿恵大統領の訪米日程終了前に急遽帰国させられたという報道は既に韓国や日本では伝えられている。これに、北朝鮮がどのように反応するのかと見ていたのだが、今日の「労働新聞」に関連記事が出ている。

    朴槿恵さんは、オバマさんとの共同記者会見や米下院での演説で、朝鮮戦争のベテランや代を継いで軍人として韓国防衛に従事している家族を紹介しながら、歴史的な米韓軍事同盟関係の重要性や米国に対する謝意をを強調した。しかし、「疑惑」であれ大統領報道官たる人物がセクハラをしたということは、韓国の威信を大きく傷つけた。特に、「韓国初の女性大統領」を売りにしている朴槿恵さんが、初の外遊先である米国で自分の報道官が「女性を陵辱」し、しかもその報道官を自ら率先して採用したということになれば、彼女自身だけではなく韓国社会全体への国際的な評価を落としてしまうことになる。尹昶重さんは、帰国後に「頑張れという意味で腰を叩くという軽率な行動はあったが、セクハラではない」というコメントを出しているが、そうであるならば、なぜ逃げるようにソウルに帰ったのであろうか。堂々と米国警察当局の捜査に応じ、自分の無実を証明することこそが、彼の名誉だけではなく、大統領の名誉、さらには韓国の名誉を回復することになると考えなかったのだろうか。今後、米国の警察がどのような捜査結果を出し、それに韓国がどのように応じるのかに注目する必要がある。

    本題の「セクハラ行脚」の記事であるが、短い記事なので全訳しておく。

    *******************
    数日前、米国行脚に出かけた南朝鮮執権者が、人に顔向けできなくなるような有名な事件が一つ発生した。執権者について米国に行った青瓦台首席報道官である尹昶重がことを起こした。この者が、あるホテルで現地女性と飲み食いをしている時にセクハラをし、米国警察の捜査まで受けることになった。青瓦台の部屋の主人の海外行脚の途中、高位随行員が口にすることすら恥ずかしい醜態を演じたのだから、こんな赤っ恥をかかせるようなことは他のどこにもない。

    尹昶重についていえば、これまでの言行や怪しい過去の経歴のため、任命当初から「不実人事云々」の主人公として世論に叩かれた人物である。南朝鮮執権者が、こんな醜い人間のどこが良くて気に入ったのか、率先して登用したのだから、ついにその代価を支払うことになってしまった。

    「家で漏る桶は、田畑でも漏る」というように、親分の国に行ってまで自分の溜まった欲望を抑制することが出来ない尹昶重の醜態により、傀儡共はまさに世界の前で自らの道徳的醜悪さを晒したのである。

    結局、米議会で演説をしただの何だのと威張り散らしていた青瓦台の部屋の主人の今回の米国行脚は、傀儡共のいわゆる「国威」を地に落としたセクハラ行脚と言わなければならない。それが、よほど恥ずかしかったのか、尹昶重を現地で即時罷免し、慌ただしくソウルに帰らせた。

    道徳的にさえ腐るところまで腐り、親分にまでにらみつけられた南朝鮮執権者の今回の米国行脚は、完全に失敗した行脚である。
    ***********************

    完全に北朝鮮に言われてしまっているが、今回の事態に関しては、青瓦台も北朝鮮の指弾を受け入れざるを得ないであろう。

    『労働新聞』、「성추행행각」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-05-12-0041&chAction=T

    「地方工業の発展は人民生活向上の重要な問題」 (2013年5月11日 「労働新聞」)

    5月11日の「労働新聞」に表題の記事が掲載された。地方の軽工業を発展させるための、地方政府の裁量権拡大も含むいくつかの方途が具体的に書かれている興味深い記事である。

    記事は、金正恩さんの「人民消費品生産を増やすことにおいて、地方工業を発展させることが非常に重要です」という言葉の引用から始まる。

    まず、北朝鮮の地方工業について「地方の原料源泉を動員し、主に人民消費財に対する地方の需要を充足し、人民の物質的文化生活を向上させることを目的に創設され」たとし、「地方にある原料を利用し、国に大きな利益をもたらすもの」であると規定している。そして、「中央工業と地方工業を正しく組み合わせ、発展させることは社会主義経済建設における重要な課題」であるとし、「国家規模の大工場と中小規模の工場を上手く組み合わせて建設・運営すれば、原料輸送と製品供給に要する費用を削減できるだけではなく、全ての地域で調和のある発展が可能」であるとその意義を示している。

    地方工業を発展させることが「消費財の生産量を増やし、人民生活の問題を解決する鍵である」とした上で、そのためには「全ての地域で生産潜在力を最大限に動員・利用しなければならない」とし、「原料・源泉の積極的な動員・利用」を求めている。そして、「予算と可能性はどこにでもある」とし、「中央工業から出る副産物と地方の遊休労働力、遊休資材、各地方にある原料源泉は、消費財生産を早く増やすための貴重な資源である」であると指摘している。「中央工業から出る副産物」は後述するとし、地方に十分に活用されていない労働力や資材が存在していることを指摘し、その活用を求めている点は興味深い。

    「中央工業から出る副産物」については、「地方工業を中央工業と有機的に結合させて現代化を進めれば、中央工業の副産物と地方にある原料源泉、労働力資源を積極的に動員して生産を高」めることが出来るとしている。すると、「中央工業の副産物」というのは、中央工業で達成された技術的成果を地方工業にも拡散させることで、地方工業を近代化させるということのようだ。

    次に、地方工業の発展により「人民消費財の品種を拡大し質を高める」ことができるとし、「人民の物質的需要は固定不変ではなく、男女別、年齢別、嗜好や趣味などにより、人ごとに様々である。常に造り出される人民の多種多様な需要を円満に充足させるためには、生産物が量的に多いということだけではなく、質が良く消費財の種類が多くなければならない」と述べている。我々の社会であれば実に当たり前であるが、北朝鮮のような画一的な社会で「個性」を認めるような発想が出てきたというのは興味深い。そして、「地方工業の発展は、消費財の品種拡大と質的な向上・改善をする重要な鍵」であるとしている。これが、一工場における多品種生産をいっているのか、工場を増やして多品種生産を可能にしろというのかははっきりとしないが、北朝鮮の現状からすれば後者ではないかと思われる。

    また、「各地域は、それぞれの地域的特性を持って」いるので、「地方の具体的実情に合うように、自然原料基地と栽培原料基地を強固にし」、「地方固有の特産物の種類を十分に増やすことが出来る」と述べている。これは、地産地消を推奨しているのであろうが、「地域固有の特産物」の生産が拡大し、当該地域での消費を上回る生産ができるようになれば、多の地域との交易も可能になってくるというところまで考えているのかもしれない。

    次に「生産の専門化」という言葉が登場する。「専門化」とは、生産の特化なのか専門経営者の育成なのかと思ったのだが、後に続く事例を読むと、どうやら「生産工程を情報産業時代の要求に合うよう現代化、科学化し」と出てくるので、上にも書いた「近代化」の脈絡の上の話のようだ。しかし、「現代化、科学化」するためには当然特化や専門経営者が必要となってくるわけで、そのことも意識した表現なのかも知れない。事例として「チョンソン食料工場」や「チョンソン織物工場」が紹介されているので、これら工場の実態が分かれば、その中身も見えてくるであろう。

    次に、「地方工業の発展は、軽工業発展のための国家の追加的支出を減らし、人民経済の先行部門、基礎工業部門へのより多くの投資を可能にする」と述べている。これについては、少し疑わしい。つまり、「全人民的運動で消費財生産を発展させることで、人民経済の先行部門、基礎工業部門と中央軽工業発展により多くの国家投資を集中できる」としているが、「全人民的運動」だけで地方工業が発展するとは考えられない。上に出てきた遊休労働力を活用するにしても、活用できる職場や資材、そして彼らに支払う賃金は絶対に必要となる。やはり、国家予算が潤沢ではないというのが北朝鮮にとって一番辛いところなのであろう(それを、核・ミサイルに回すなという話はさておき)。

    そのためか、「規模が大きくなく、生産技術工程も比較的単純な地方産業工場の現代化は、大きな費用を投入しなくても短期間で解決できる」とし、「一つ一つ現代化していけば、国家的支援がなくても地方自体の力でいくらでも地方工業を高い水準に持ち上げることが出来る」とかなり無理な要求をしている。

    上で地産地消と書いたが、読み進むと「原料原産地と消費地に生産を接近させ、不合理な輸送をなくすことにおいて、地方工業は重要な役割を果たす」と書いてあった。そして、地方工業を発展させれば「都市と農村の差異を少なくすることができる」とも書かれており、北朝鮮としても都市と農村の格差を問題視していることが分かる。いずれの途上国でも直面する問題を直視している点は評価できる。

    さらに興味深いのは、地方工業を発展させれば、「女性を社会主義建設に積極的に参加させて、彼女らを家事の重たい負担から解放する事業を力強く進めることができる」と述べている点である。北朝鮮の女性も「家事の重たい負担」を担っていることなのであろうが、地方工業が発展し彼女らに職場が与えられたら「家事」は誰がやることになるのであろうか。党の方針とはいえ、朝鮮男子はあまり嬉しく思わないはずなのだが。90年代初めに調査をしたある中国人家庭では、夫が国有企業、妻が外資企業で働いていた。この家では、家事ほぼ全般を夫が担っていたが、理由は単純明快で「国有企業は暇だし給料も少ないから」であった。北朝鮮の地方工業ではなかなかこうはならないであろう。

    地味な記事ではあるが、おもしろかった。

    『労働新聞』、「지방공업의 발전은 인민생활향상의 중요고리」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-05-11-0015

    「朝鮮最高裁判所スポークスマン、米国公民ペ・ジュンホの罪状を暴露」 (2013年5月9日 「朝鮮中央通信」)

    米国務省報道官が、ペ・ジュンホ裁判についてその不透明性などを批判したのに対し、北朝鮮が同国最高裁スポークスマンが「朝鮮中央通信」の記者の質問に答える形で、詳細を公表した。

    「記事」ではまず、「米国公民ペ・ジュンホは、朝鮮民主主義人民共和国に対する不信と敵対感を持ち、2006年から2012年10月までの期間、共和国政権を崩壊させる目的で中国各所に謀略拠点を設け、海外にいる共和国公民と外国人に悪辣な反共和国宣伝をし、政権崩壊へと煽る敵対犯罪行為を行い、昨年11月3日、謀略宣伝物を持って共和国羅先市に入国し、現行法で逮捕・起訴された」と逮捕・起訴に至る概略を述べている。

    続けて、「ペ・ジュンホは、これまで米国と南朝鮮の様々な教会を回りながら、我が共和国政権を崩壊させる必要性と緊迫性を説教し、2006年4月、国際イエス伝道団の宣教師として中国に長期派遣され、過去6年間、中国の様々な場所に公安機関の目を避け、いろいろと偽装した謀略拠点を作り、海外にいる我々の公民と中国人、外国人、1500人余りを連れ込んで、自分が直接反共和国講義に出演しただけではなく、同族対決策道に狂奔している南朝鮮牧師まで講義に出演させ、我が党の主体思想と社会主義制度を悪辣に非難しながら、政権崩壊へと積極的に煽る犯罪行為を行った」としている。

    そして、「2010年12月から2012年3月までの期間、反共和国的な宗教活動で我々の制度を崩壊させるという、いわゆる『エリコ作戦』を直接計画し、その実現のために自身が運営する謀略拠点で教育を受けた学生250名あまりを観光の目的で羅先市に入国させ、羅先市にある羅先ホテルに謀略拠点を作ろうとしたが、実現できなかった。ペ・ジュンホは、謀略作戦に信憑性を付加するために『ディエクの密着取材、北朝鮮を行く』、「15億中国、そして地球最後の閉鎖国、北韓』をはじめとした何編もの反共和国ビデオ・ドキュメンタリーを収集、制作し、多くの人々に見せて共和国政権崩壊に立ちあがるよう積極的に煽った。ペ・ジュンホは、ソン・ジェスクをはじめとした海外にいる我々公民を買収し、政権転覆の陰謀に荷担させようと悪辣に策動し、我々の最高尊厳を冒涜する特大の犯罪行為まで行った」と、北朝鮮が主張する彼の「犯罪行為」列挙している。

    続けて裁判について「朝鮮民主主義人民共和国最高裁判所は、起訴されたペ・ジュンホに対する裁判を2013年4月30日に最高裁判所法廷で本人の希望と共和国刑事訴訟法第270条に従い非公開で行った」としている。北朝鮮の「刑事訴訟法」は手元にないが、同法では「本人の希望により非公開裁判」が可能と規定されているのであろう。そうだとすると、米国がいくら望んでもスウェーデン大使館関係者は、裁判を傍聴することは許されなかったということになる。

    また弁護人についても「ペ・ジュンホ本人が弁護を拒絶したので、共和国刑事訴訟法第275条により弁護人は参加させなかった」としている。

    裁判結果については既報の通りであるが、その法的根拠が今回明らかにされた。「彼の犯罪は、共和国刑法第60条(国家転覆陰謀罪)により、死刑または無期労働教化刑に該当する重大な犯罪であるが、本人が自分の犯罪を正直に告白し、認めていることを考慮し、朝鮮民主主義人民共和国最高裁判所は、15年の労働教化刑を言い渡した」とのことであるが、手元にある『朝鮮民主主義人民居和国法典』の日本語訳版(在日朝鮮人人権協会、朝鮮大学校朝鮮法研究会編・訳、『朝鮮民主主義人民共和国主用法令集』、日本加除出版、2006年)によると、刑法第60条(2005年7月26日修正補充)は「テロ罪」と訳されている。ちなみに、「国家転覆陰謀罪」は第59条である。その後、刑法の改定があったのかもしれないが、2005年刑法とは条項の内容が異なっている。

    また、ペ受刑者が北朝鮮領内で行った「犯罪行為」は、記事を読む限り「謀略宣伝物を持って共和国羅先市に入国し」たことだけである。これだけで「国家転覆陰謀罪」はないだろうと思って上記「法令集」を調べてみると、刑法は領域外にも適用されるという規定があった。

    (刑法適用の原則)
    第8条③
    他国において、朝鮮民主主義人民共和国に反対したり、共和国公民を侵害した他国の者に対しても本法を適用する。

    これにより、主として中国でぺ受刑者が行った行為が「国家転覆陰謀罪」ということになるということであろう。また、北朝鮮の裁判制度について、過去記事で日本の三審制度のようなものがあるか分からないと書いたが、同「法令集」の「裁判所構成法」によると、

    第15条
    中央裁判所以外のすべての裁判所において確定された判決、判定に対する非常上訴事件及び再審事件を審理する裁判所は、中央裁判所の判事3名により構成する。

    となっており、「上訴」や「再審」制度は一応存在するようである。

    記事は「判決を受けたペ・ジュンホは、労働教化期間、共和国法により教化人としての権利を十分に保障される」と結んでいる。

    <追記: 5月11日>
    10日の米国務省定例記者会見でのやりとりを読んでいたら、この問題に触れていた。記者が「ロッドマン選手が8月1日に北朝鮮を再度訪問し、ペさんの釈放について話し合うと言ったが」と質問したのに対し、報道官は「我々はロッドマンと彼の北朝鮮への関与について過去に話をしたことがある」と述べている。私が見落としていたのでなければ、米国務省がロッドマンの北朝鮮旅行について当人と話をしたという事実を公表したのは初めてである。米国務省はこれまで「国務省は米国民の個人的な旅行には関与しないし、ロッドマン側から接触がなければ話を聞くつもりもない。ただし、現況下で米国民、しかも著名人が北朝鮮を訪問することは好ましくないと考える」と国務省の立場を表明していた。ただ、米国務省がロッドマンと8月訪問について話をしたのかどうかについては明確にしていない。

    ロッドマンが「キムと呼ばせてくれ」と言いながら、金正恩さんに米国人の釈放を呼びかけた記事は読んだが、8月訪問については知らなかった。帰国後色々なことをしゃべったロッドマンが、8月の再訪朝でビザを申請した際に、料理人に対してされたような冷たい待遇を受けるのか、それとも再び歓迎されるのかは見物である。これは、個人的な観点というよりも、米国と日本という国に対して北朝鮮がどのような評価をしているかを示すものとなろう。

    北朝鮮としては米国を引っ張り出すのが目的のはずなので、「我々は誰も招請していない」といいつつ、別件でスポーツ選手を招待し、バスケットボールの指導でもさせ、「ついでに」米国人受刑者について話し合うということは十分にあり得る。しかし、ロッドマン個人から引き出せるものは何もないので、ロッドマンの背後に米国政府がいるのかどうかということを当然彼らは考える。米国務省がロッドマンとの接触を認めた背景には、ロッドマン訪朝に米国政府が関心を持っているというメッセージを北朝鮮に対して発するためだったのかも知れない。

    米国務省はペ受刑者の問題について、中国チャンネルを通じても話をしているかについては「関知していない」としているが、デービス特使の中・韓・日訪問では「この問題についても協議されるであろう」と答えている。

    朴槿恵訪米に関する記事に書こうと思っているのだが、なかなか対話に繋がる糸口が見つからない状況である。しかし、両者とも意地を張り合いながらも、対話を意識しているというのは良い傾向だと思う。

    U.S. Department of State, "Daily Press Briefing", http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/05/209258.htm#DPRK

    「祖国平和統一委員会スポークスマン、米国行脚で行った南朝鮮当局者の反共和国妄言を断罪」 (2013年5月10日 「朝鮮中央通信」)

    朴槿恵さんの訪米日程が終わったところで、記事を書こうと思っていた。昨日も彼女の米下院でのスピーチを見ていたが、なかなか立派なものだった。彼女は中国語が堪能であるということは過去記事にも書いたと思うが、英語もなかなかなものだ。オバマ大統領との共同記者会見では韓国で答えてはいるものの、記者の質問はイヤフォンを外して英語で聞いていた。「世界の韓国の大統領」としてのパフォーマンスという側面もあるのだろうが、それでもきちんと答えられるのだから立派なものだ。彼女の中国バージョンは見たことないが、是非、中国首脳との記者会見でその実力を見せてもらいたいものだ。日本の政治家も英語はできるようになり、このところ国際会議等で英語での演説をしている様子はしばしば目にするようになったが、外国語を2つ操れる人はまだいないのではないだろうか。それにしても、かつて宮沢首相が英語に堪能であったとか、櫻内義雄外務大臣が米国外遊中に「アイ・アム・チェリー」と発言して物議を醸したことなど、隔世の感がある。

    肝心の「妄言断罪」については、追記するが、記事では朴槿恵さんを「漠然とした独裁者の娘」呼ばわりしたり、「鉄の女」と呼んだり、なかなか興味深い。しかし、「鉄の女」とは、最近亡くなったサッチャーさんでも想起したのであろうか。

    「我々の党が愛し、祖国が愛する交差点の英雄哨兵 平壌市人民保安局交通指揮隊隊員の共和国英雄・李キョンシムさんについての話」:金正恩元帥の恩情、交通秩序確立 (2013年5月8日 「労働新聞」)

    最高人民会議常任委員会が李キョンシムさんに「共和国英雄」の称号を与えるという「政令」が5月5日の「労働新聞」に掲載された。

    『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 최고인민회의 상임위원회 정령 리경심동지에게 조선민주주의인민공화국 영웅칭호를 수여함에 대하여」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-05-05-0002&chAction=D

    その後、「朝鮮中央TV」の「20時報道」などでも、英雄称号伝達式、李キョンシムさんのインタビュー、家族・知人のインタビューなどが放送されている。「共和国英雄」といえば、北朝鮮最高の勲章なので大きく報道されても不思議ではないが、なぜ一介の「交通保安員(交通警察官)」に「共和国証英雄」称号が与えられたのかよく分からなかった。

    「政令」では授与の理由を「首都の交通秩序を確立するために献身的な闘争をした」からだとしている。過去記事にも書いたように、「20時報道」に映り込む通りの乗用車の数は増えてきている。北朝鮮では報道されないが、交通量の増大につれ交通事故も増えているのであろう。そんな事情がタイトルの記事に見え隠れしている。

    李キョンシムさんは、2008年4月30日生まれの22才の女性である。

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    Source: 『労働新聞』、「우리 당이 사랑하고 조국이 자랑하는 네거리의 영웅초병 평양시인민보안국 교통지휘대 지구대 대원인 공화국영웅 리경심동무에 대한 이야기」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-05-08-0016&chAction=D

    記事にはまず、彼女の金正日・金正恩さんに対する敬慕の情が詩と共に書かれている。つまり、彼女が道路に立っていると、彼女の目の前を「野戦車(金正恩が乗ったベンツ)」が通り過ぎ、それを見るたびに敬慕の情が涙と共にこみ上げてきたというよくある話である。また、彼女の夢に金正恩元帥が登場し「ご苦労さん」と言ったという話も紹介されている。

    記事を読み進むと彼女がどのような「交通保安員」かが分かる記述がある。記事には「数多くの運転手が彼女を名前の代わりに『原則』と呼ぶ。ある運転手は『不通』とも呼ぶ。これらの言葉には、交通秩序を確立するために、厳格で融通を利かさず、国の財産と人民の生命安全のために苦労する李キョンシムさんに対する尊敬と愛が込められている」と書かれている。

    交通量が増えると共に、自分の地位を利用して「原則」を曲げようとする輩もいるのであろう。しかし、彼女は「不通」(何を言っても聞かない)ので、こうした輩には手強い「交通保安員」ということなのだろう。そんな彼女に「共和国英雄」というお墨付きを与えたということは、如何なる地位の者も法に従うように、特に道交法のような下位の法律にも従うようにというメッセージなのかもしれない。

    李キョンシムさんは、「ファソン入党」、つまり党員候補をスキップして労働党に入党したという。

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    Source: 『労働新聞』、「우리 당이 사랑하고 조국이 자랑하는 네거리의 영웅초병 평양시인민보안국 교통지휘대 지구대 대원인 공화국영웅 리경심동무에 대한 이야기」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-05-08-0016&chAction=D

    <追記:5月11日>
    「20時報道」で紹介される李さんの褒賞に関する朝鮮人民のインタビューを聞いていると、色々なことが想像できる。上の記事でも紹介したが、「夢の中で」として紹介している金正恩さんに「ご苦労さん」と言われた話は、そういわれたかどうかは別とし、夢ではなく現実だったのであろう。「元帥様に会うという夢のような話が、実現した」という意味合いで書かれているのではないだろうか。

    授与式で感激する李キョンシム交通保安員
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-07-18.flv

    李さんの家族。それぞれの紹介はないが、左から父、キョンシム、母、弟か兄
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-07-18.flv

    李さんについてのインタビューに答える李キョンホ交通保安員。車の後部座席に誰かが乗っているのであろう。顔が見えないように画像処理されている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-10-17.flv

    「報道を見て、これから交通規則を守りことが、我々人民の生命や財産を守るということがとてもよく分かった」と語るユン・チョルウィさん。運転手であろう。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-10-17.flv

    この女性(朴オクジュさん)の話は興味深い。「私は同じ女性ですが、あのような状況でどのような行動ができたのかと考えてしまいます。普段は何となく見ていた交通保安員ですが、本当に今回の李キョンシムさんの行動を見て、彼らを見直し、彼らの苦労について改めて考えるようになりました」と語っている。北朝鮮の報道では「不意の情況」と具体的な状況について述べていないが、朝鮮人民の間では意図的にか噂話としてか、もっと具体的な状況について話が広まっているのであろう。そうでなければ、朴さんは「同じ女性として、あのような状況で」というようなことは言わないであろう。また、今回の褒賞は、北朝鮮における「交通保安員」の社会的地位を高める目的もあったような発言もしている。確かに、前戦で服務する軍人については金正恩さんが視察した際に称賛しているが、平壌で交通整理をする交通保安員についてはあまり語られなかった。しかし、彼らにも「恩情」を振り向けることで、金正恩さんに対する忠誠心を高め、同時に運転手の遵法意識を高め、それを執行するための交通保安員に実質的執行権力を付与し、交通秩序を維持するという多面的な目的があったのであろう。本当に「不意の情況」からこうした複合的な効果を狙った措置を取ることができたとすれば、金正恩さんもなかなかの優れものである。

    朴オクジュさん
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-10-17.flv

    日本では、平壌で撮影された女性の交通保安員の写真が多く出回っているが、男性もいる。「報道」ではちゃんと男性も登場させている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-10-17.flv

    「敬愛する元帥様にお目にかかるという夢の話は、私たち青年大学生に大きな衝撃を与えています」と語る金ヒョンジク師範大学学生の朴ウンジョンさん。やはり「夢の話」かなり意味ありげだ。dream come trueということであろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-10-17.flv

    「思想精神的な高さは、年齢や地位によって決まるのではないということを私は改めて感じました」と語る平川区域人民保安所の金ヨンフィ保安員。「年齢や地位で決まるのではない」という部分が意味深長だ。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-09-18.flv

    「敬愛する金正恩元帥様が各階層勤労者たちと共に5.1節記念銀河水音楽会を観覧された」 (2013年5月4日 「労働新聞」)

    昨日、金正恩観覧なしバージョンの「5.1節記念銀河水音楽会」の記事を書いたが、まだ観覧バージョンの「記録映画」は出てきていない。前記事に「アンコール」について書いたが、金正恩観覧バージョンでは、彼自身がアンコールをしていたようだ。

    金正恩さんは、「音楽会が始まるのを待っていた観覧者たちは、余りにも意外に敬愛する金正恩元帥様が観覧席に出てこられると」と金正恩観覧はサプライズであったということになっている。灰皿台が置かれているのを見れば、誰が来るのかは大体想像できるはずだが、深く追求しないでおこう。

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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김 정 은원수님께서 각계층 근로자들과 함께 5.1절기념 은하수음악회를 관람하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-05-04-0001

    演奏曲目についてはきちんと比べていないが、ざっと見た感じでは同じ曲が演奏されており、またオリンピック参加選手や「労働階級」のステージ登場も同じようにあったようだ。最後の曲目もやはり「首領様と将軍様、共におられ」であったが、その後の展開が少し異なる。

    記事によると「激情を抑えられない観覧者の気持ちを推し量り、敬愛する金正恩元帥様が管弦楽と混声大重唱『私の故郷の情のこもった家』、女性独唱と混声大重唱『我々の銃槍の上に平和がある』を再びアンコールして下さった」となっている。その前に「観覧者の繰り返させるアンコールに応え、出演者はこれらの曲目を舞台で再び演奏した」と書かれているので、観客のアンコール、そして金正恩のアンコールと2回のアンコールがあったのかもしれない。

    興味深いのは、金正恩さんがこららの曲目について評価している点である。「私の故郷の情のこもった家」については「哲学性が強く愛国心が溢れる戦時歌謡」であるとし「時代精神に合うように立派に形成されており」、「我々の軍隊と人民は、この地に再び第2の6.25(朝鮮戦争)が勃発しても、この歌のような戦時歌謡を歌いながら激戦の道を歩むであろう」と評している。この曲も「朝鮮中央TV」でしばしば流されている。一方、「我々の銃槍の上に平和がある」については、「聞けば聞くほど、また聞きたくなるとても良い歌」で、「この歌には社会主義祖国を圧殺しようとする凶心を捨てていない敵に対する我々の原則的立場がそのまま盛り込まれている」と評している。「原則的立場」という表現を偶然使ったのか事前に検討して使ったのかは分からないが興味深い。今後の対米交渉で「銃槍(核兵器)保有は『原則』であるが・・・」という論を展開するための布石なのかもしれない。金正恩さんは、これらの「革命的で戦闘的な歌があるので、我々の軍隊と人民は的との最後の対決戦で勝利しかない」と語ったという。

    金正恩観覧バージョンの「記録映画」は出てくるのであろうか。

    <追記:5月7日>
    「記録映画」は出てきたが、アナウンスが入り公演の様子を紹介するバージョンであった。やはり、一般観覧者のアンコール後、「1号歓迎曲」が鳴り響き金正恩さんが退場する場面で、彼が楽団長を呼びつけてアンコールを催促したようだ。

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    Source: KCTV、5月6日放送。

    その後、会場の外で銀河水楽団の関係者を賞賛した。

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    Source: KCTV、5月6日放送。

    「朝鮮外務省スポークスマン人道主義的寛容では米国人たちの違法行為を根絶できないと強調」 (2013年5月5日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が同通信記者にの質問に北朝鮮外務省スポークスマンが回答したとして、北朝鮮で懲役(労働教化)15年を言い渡された米国人について伝えた。

    記事ではまず韓国系米国人ペ・ジュンホ受刑者の罪状について、「反共和国敵対勢力に背後で操縦され、目的意識的に(故意に)我が国に偽装入国し、国家転覆を図る様々な犯罪行為を行い、逮捕、起訴された」としている。過去の報道では「反共和国勢力に背後で操縦された」という表現はなく、同受刑者の行為が個人の意思に基づく者ではなく、国家的な意思による行為であったと主張している。また、有罪判決に至った経緯は、自白と証拠物件による罪状の証明によるとしている。

    そして、「過去に米国公民たち(複数)が、我が共和国の法に違反して抑留されるたびに、米国の前職、現職高位官吏が平壌に直接来て謝罪し、再発防止を約束したので、我々は人道主義的見地から寛容な措置を取ってやった。しかし、今回再び発生したペ・ジュンホ事件は、米国の対朝鮮敵対視政策が残っている限り、人道主義的寛容では米国人たちの違法行為が根絶できないということを示している。米国の対朝鮮敵対視政策が存在する限り、米国人たちの違法行為に対しては、厳格な法的制裁により逮捕しなければならないというのが我々が出した結論である」とし、「ペ・ジュンホ事件」と「米国の対朝鮮敵対視政策」を再び結びつけている。

    記事は「米国の一部メディアは、我々がペ・ジュンホ問題をいわゆる政治的取引材料に使おうとしているとしていると書き立てているのは、まったく間違った憶測である。我々はペ・ジュンホ問題と関連し、米国から誰も招請する計画はない」と結んでいる。

    記事の表面だけ読めば、北朝鮮は過去のように米国との取引でペ受刑者を釈放しないと強気の主張をしているようにも見えるが、繰り返し「米国の敵対視政策」と言っていることや「ペ・ジュンホ問題と関連し」と言っていることからして、彼を助けたいのならば「ペ・ジュンホ個人の話ではなく、敵対視政策を見直す」話し合いをしに北朝鮮に人をよこせという話である。そのなかで、米国が敵対視政策をやめるのであれば、「反共和国敵対勢力(米国)に操縦され(命じられ)」罪を犯したペ受刑者も釈放するということを言いたいのであろう。

    この「回答」が出される前であるが、米国務省報道官は、ペ受刑者の罪状について「北朝鮮の裁判制度では透明性が確保されていないので確認できていない」とした上で、彼を即時釈放するよう求めている。ただし、「恩赦」という言葉を使っているので、米国務省としては北朝鮮の裁判制度がどうであれ、また彼が本当に有罪であるのかどうかはさておき、ペ受刑者が「有罪判決を受けた」という事実は認めている。

    U.S. Department of State, "Daily Press Briefing", http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/05/208885.htm#NORTHKOREA

    北朝鮮とて、北朝鮮に観光目的で入国した米国人を片っ端から逮捕して刑に処すということはしないであろうから、ペ受刑者は何かをしたのであろう。それが脱北希望者を手助けしようとしたのか、布教活動をしようとしたのかは分からないが、実に悪いタイミングで逮捕された。私は「死刑判決」を出して米国に即決取引を求めてくるものと予想していたが、「懲役15年」ということで北朝鮮としては、彼を長い間生かしておいて米国との取引材料に使えるようにしたのであろう。

    金曜日の米国務省定例記者会見では、冒頭でケリー国務長官が中国の外務大臣に電話をするも相手がつかまらなかったという問題について、記者から「避けられたのではないか」と国務省報道官が突かれていた。電話での主要なトピックは中国の人権活動家・陳光誠逮捕に関する話であったはずだが、北朝鮮問題も含まれることは間違いない。

    U.S. Department of State, "Daily Press Briefing", http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/05/208958.htm

    「<録画実況>5.1節記念 銀河水音楽会」 (2013年5月4日 「朝鮮中央TV」)

    「録画報道」によると、金正恩さんも別の「5.1節記念 銀河水音楽会」を観覧したようであるが、こちらは彼の出席なしの音楽会の方である。いずれ、金正恩さんが観覧した音楽会の「記録映画」も出てくるであろうが、なぜ労働党幹部の一部が出席しただけのバージョンと、金正恩出席バージョンと2つに分けて番組を編成した(まだ、「記録映画」は出てきていないので、何とも言えないのであるが)のであろうか。演奏曲目を比較してみるとおもしろいが、その作業はまだやっていない。

    今回の音楽会の舞台装飾用大道具もなかなか凝っており、北朝鮮の「経済開発・核開発並進路線」を表現している。左側壁にはラザーフォードの原子模型、その下には、CNC旋盤や機関車、「経済強国」の文字、そして舞台の右側には銀河「9号」ロケットと人共旗たなびく統一朝鮮がある地球上空を飛ぶ光明星衛星などが展示されている。大道具に関しては、軍事色はない。ラザフォードの原子模型は、「経済強国」のグループに入れてあるので、核の平和利用(原子力発電)を象徴しているのであろう。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-04-17.flv

    演奏曲目で注目されるものは、まず「体育熱風」である。「朝鮮中央TV」がこれまでスポーツ中継をどれほど編成してきたのかは分からないが、私がストリーミングで見だしてからはかなりの頻度で放送している。これが、「国家体育指導委員会」創設後のできごとなのか、それ以前からのことなのかは、韓国・統一部の「朝鮮中央TV」番組DBで調べてみる必要がある。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-04-17.flv

    この曲終了後、第30回オリンピックでメダルを獲得した選手が紹介され、歌を歌う。それぞれの競技では大活躍をした選手たちではあるが、お世辞にも歌は上手だとは言いがたい。

    「<芸術映画>3番目の金メダル」から「心臓に深く刻まれたものは何だったのか」という曲を他の選手たちと共に歌う北京オリンピック・ウエイトリフティング女子63キロ級で金メダルを取ったパク・ヒョンスク選手
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-04-17.flv

    胸に輝く金日成・金正日バッジと勲章(種類は失念)
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-04-17.flv

    しばらく、戦争・戦闘系の曲目が続いた後、平壌子供食料品工場の「労働階級」が登場する。そして、平壌子供食料品工場は、「苦難の行軍」の時期もトラックで豆乳を配給したという逸話が紹介される。背景の絵が、豆乳を配給するトラックの隊列。運転手は右側に乗っているように見える。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-04-17.flv

    「(将軍様に対する)思いは絶えない」を歌う「労働階級」。彼らはオリンピック選手と異なり、歌がとても上手いので、「公演小組員」(正確ではないが、そんなような音楽サークルがあるはず)であろう。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-04-17.flv

    涙を流しながら歌う女性。歌詞をきちんと聞いてはいないが「将軍様が・・」という部分なので、彼らの工場を現地視察した金正日さんを思い出して泣いているのであろう。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-04-17.flv

    公演がどのようにクライマックスを迎えるのかと思ってみていたら、「我々の銃槍の上に平和がある」でクライマックスを迎えた。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-04-17.flv

    「ソウルに爆弾が落ちる現実的な想像」と背景画面には出ている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-05-04-17.flv

    曲が終了すると拍手喝采がおき、「アンコール」(朝鮮語ではなんと言っているのか聞き取れない。「앙코르」と言っているようにも聞こえるが)がわき起こる。「アンコール」を煽ったのはサクラであろうが、銀河水公演でこうしたアンコールは通常あるのだろうか。いつも、飛ばして見てしまっているのでよく分からない。詳しい方にコメントでフォローをお願いしておく。

    過去記事にこの曲が「朝鮮中央TV」でしばしば流されると書いたが、やはり今の北朝鮮のムードを象徴している曲なのであろう。「労働新聞」の記事もそうだが、対米対話に関心を示しつつも、「核放棄などとんでもない」という姿勢を崩していない。これがまさに「銃槍の上に」の部分なのであるが、この歌は「平和が貴重」、「平和を愛する」とも言っているので、「銃槍」と「平和」のバランスを上手く「平和」にシフトさせていくことを狙っていくのかもしれない。そのシフトがどのような形で行おうとしているのかは、現段階ではまだよく見えてこないが、敢えて寧辺の原子炉を再稼働させ原子力発電をすると言ったり、「経済強国」の上にあるラザフォードの原子模型を置いているように、「平和利用の核」を認めさせながら「交渉」に入るということを考えているのではないだろうか。

    そうなると94年の再来ということになるが、今回の挑発のパターンはどうも94年を意識しているような気がしてならない。94年当時、私は北朝鮮メディアを直接目にする手段は持ち得ていなかったので、日本メディアを通じてみていただけであるが、「朝鮮中央TV」で放送している当時の様子を振り返る「記録映画」と現在の状況を重ねて考えると、重複するところがたくさんあるような気がしてならない。

    話がそれたが、銀河水公演は「我々の銃槍の上に平和がある」の盛り上がりを受けたまま、「首領様と将軍様、共におられる」で閉幕を迎える。

    <追記>
    飛ばしてみたのでそうでないのかもしれないが、背景画面に金正恩さんが映し出されなかったような気がする。冒頭に書いた金正恩観覧バージョンでうんと映し出すのかもしれない。

    「中国海洋監視船編隊、魚釣島(尖閣)領海で巡察航行を行う」 (2013年5月2日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が久しぶりに尖閣関連の記事を掲載した。12月のロケット発射で中朝関係が悪化する前までは、「魚釣島」に対する中国の領有権主張を支持する記事をしばしば掲載していたが、その後、しばらくそうした記事は出ていなかった。

    今回の中国の尖閣領有権を支持する記事は久しぶりであるが、中朝関係が水面下で好転しつつある表れであろうか。

    記事の内容は以下のとおりである。

    「中国海洋監視船編隊が最近、魚釣島領海で巡察航海を行った。航海過程で海洋監視編隊は、魚釣島領海で活動している日本漁船を発見し、日本の主権侵害行為に対する監視及び証拠収集活動を行った。日本の漁船は、主権守護のための海洋監視船の法執行圧力を受けて、魚釣島領海を離れた。」

    番組と番組の間の映像:平壌の桜 (2013年5月1日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」は、次の番組が始まるまでの数分間、繋ぎのための短いビデオを音楽と共に流す。日本の放送局のように、番組の時間枠がきっちりとしていないので、その調整用に流しているのであろう。この時間調整用のビデオとしては、よくツツジの花を「朝鮮中央TV」は流している。党や軍の幹部向けの宣伝映画の中で、高英姫さんがツツジの花を見て金正日さんに何かを言ったという逸話が紹介されていたが、「チョルチュク・オモニ(ツツジのお母さん)」と関係があるのかは別とし、ツツジの花は良く出てくる。

    ところが、録画ファイルを回していたら、桜の花(多分)が出てきた。チャンジョン通りの労働者住宅が背景に映り込んでいるので、この春に撮影したものであろう。日本では青森辺りまで桜前線が北上しているのであろうか。平壌の今日(5月2日)の気温は最高気温19度、最低気温7度と予想されており、桜が開花しても良さそうな気温である。

    韓国にも桜の木は残っており、特に「鎮海(チンヘ)軍港祭」の頃に開花する桜は有名で、私も何回か見に行ったことがある。なので、平壌に日本人が植えた桜が残っていても不思議ではないが、平壌は朝鮮戦争中に米軍の爆撃で徹底的に破壊されたので、ビデオに出てくる桜が植民地時代に植えられたものなのか、その後に植えられたものなのかは分からない。北朝鮮にとって日本の象徴である桜が「樹種が良い木」なのかどうかは分からないが、朝鮮戦争後に植えられたものであるとすれば、なかなか興味深い。以下、番組に出た桜の花を紹介する。映っている花が桜でなければ、ご勘弁を。

    桜の向こうにチャンジョン通りの労働者住宅が見える
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    主体塔と桜
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    5月1日の天気予報
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    「<朝鮮記録映画>父なる将軍様、労働階級と共におられ」 :金正日、若き日の肉声(2013年5月1日 「朝鮮中央TV」)

    引き続き5月1日の「朝鮮中央TV」の放送を眺めていたら興味深い場面があった。金正日さんの肉声は、韓国メディアが金大中さんとの会見報道の中で報じたもの以外では、人民軍創建60周年の閲兵式で「英雄的人民軍将兵に栄光あれ!」しかないとばかりこれまで思っていた。数日前の記事にもそんなことを書いたはずである。

    ところが、タイトルの番組を見ていたら、金正日肉声と思われる場面が出てきた。なお、韓国・統一部の資料によると、この番組は2012年12月1日に放送された番組の再放送ということである。

    「偉大な金正日将軍様は、永久不滅の主体思想を金日成主義と正式化なされ、全社会の金日成主義化を我が党の最高綱領として宣布されことは、労働階級の革命的党である朝鮮労働を永遠に金日成同志の党として強化・発展させることにおいて、特記すべき歴史的事変でした」というアナウンスの後で、比較的小さなホールで壇上に金正日さんが鞄を持ってきて座り、演説を始める動画が入る。

    会場で拍手をする人々
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送

    鞄を持って来て、壇上に立つ金正日
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送

    拍手をする金正日
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送

    続いて、金正日さんが演説をする場面となるのだが、若干、口の動きと映像はずれているように見えるものの、彼の肉声をそのまま使っているようだ。声の質も金日成さんと何となく似ている気がする。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送

    金正日演説:
    「金日成主義は、我々の時代の労働階級と人民が社会主義と共産主義の建設を偏向することなく正しく遂行していくようにする、最も正確な指針と方途、戦略と戦術を提示しています。したがって、金日成主義を指針として闘争し、金日成主義を徹底して具現していけば、一番正しい道にしがたい早く闘争していけると言えます。その時、我々の最高綱領である全社会の金日成主義化を堅持しながら進まなければならず、革命偉業の全面的勝利のために積極的に献身的闘争をしなければならないと考えています。」

    メモを取る参加者たち
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送

    その後、「全社会を社会主義化するための党思想事業の当面するいくつかの課題について 全国党宣伝幹部会議でした演説 1974年2月19日」という文書が映し出され、この演説が何であるかが明らかになる。金正日さんは同年2月14日に「後継者」として推戴されているので、これはその直後の映像であろう。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送

    ネット検索をすると、この肉声については昨年12月の放映直後に日本や韓国のメディアで報じられていたが、私は見過ごしていた。

    『読売新聞』、「金正日氏の肉声、異例の放映…北が神格化加速?」、http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20121202-OYT1T00547.htm

    uriminzokkiriにこの動画が掲載されたことがあるかどうかはわからないが、現在では見当たらない。世の中ではもう古い話になっているかもしれないが、私にとっては新鮮かつ驚きのニュースであった。それにしても、金正日さんのせかせかした動きは、何となく金正恩さんに似ている。

    「朝鮮で米国公民に教化刑宣告」 (2013年5月2日 「朝鮮中央通信」)

    11月3日羅先市で逮捕された韓国系米国人ペ・ジュンホさんに対して4月30日、北朝鮮の最高裁判所は「反共和国敵対犯罪行為を行った」として15年の労働教化系を言い渡した。

    「児童向け放送の時間 昔話お爺さん」 (2013年5月1日 「朝鮮中央TV」)

    今日は「朝鮮中央TV」の放送開始が17時なので、昨日の放送を見ている。最近作られた、金正日記録映画の記事を書こうと早回ししていたら、「児童向け放送の時間」でおもしろい番組が見つかったので紹介しておく。

    「児童向け放送の時間」
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    「昔話お爺さん」
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    このタイトルを見たところで、飛ばそうと思ったのだが、少し見ていたら戦争ごっこをする子供たちが出てきた。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    子供たちはお爺さんに「僕たち子供軍隊は、米帝オオカミ共を撃退し、高地を占領しました」と報告する。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    続いて子供たちは、お爺さんに自分たちが描いた絵を見せる。この子は、「米帝と金寛鎮(韓国国防部長官)をやっつける」絵を見せている。
    20130501-2 kctvasf_005248286
    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    お爺さんはこの子の絵を見ながら「絵を描くときも、敵をやっつける絵を描くんだね」と言っている。絵には「朝鮮は勝つ」と書いてある。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    その後、子供たちはお爺さんに「おもしろい話をして下さい。戦闘の話を聞かせて下さい」とせがむと、お爺さんは「最近、戦闘の話ばかり聞きたがるんだなぁ」と答える。「最近」と言っているが、やはり2月の核実験以降、北朝鮮が戦争モードで来たことを示している。「いつでも」ではないことに注意しておく必要がある。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    お爺さんは「百発百中の若い女性名射手」という話をする。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    話の背景は「1951年12月、金日成元帥が狙撃部隊を組織したときの話」だという。この狙撃部隊は「1952年に16800名あまりの米兵を打ち殺した」とお爺さんは言っている。そして、オク・シミという短髪の女性狙撃手の話を始める。この狙撃手はとても腕が良く、「1発撃てば1人、2発撃てば2人」というように敵を倒したという。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    「ある日、米兵が片手でヘルメット持ち上げて歩いていた」
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    「この様子を見ていたオク・シミお姉さんは、銃を発射した。」銃は見事に米兵の腕を撃ち抜いた。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    「本当に変なのです。オク・シミお姉さんが撃った玉が当たった米兵は、痛がって泣くのではなく、喜んで笑っていました。」
    20130501-2 kctvasf_005401003
    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    子供たちがお爺さんに「撃たれて頭がおかしくなって笑ったのですか」と尋ねるとお爺さんは、「ディア・ジュリー、俺はお前のところに戻れる。ワハハハハ」
    20130501-2 kctvasf_005435570
    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    米兵の上官がやってきて「何の騒ぎだ」と言うと、部下が「わざと怪我をして国に帰るためにやった意図的な行為です」と答える。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    上官は「それが事実なら、銃殺しなければなりません」、「こいつ、これは何だ」と兵士が持っていた手紙を取り上げて読み始め「ジャクソン、死なないで生きて帰ってきて下さい。生きて帰ってくれば、お父さんの財産を受け取ることができるのよ。何か上手い方法はないの?人民軍狙撃手の前に左腕を出して撃たれなさい。そうすれば、死なずに帰ってこられるでしょ。」
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    上官は「こいつめ、お前は米国の恥だ。殺してやる」と怒る。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    「バーン」(銃声)
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    他の部下たちは「狙撃手の銃弾に・・・将校殿(原文、将校「様」)・・・」
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    子供たちは、お爺さんにオク・シミお姉さんが「米帝オオカミをやっつける話」をもっとしてくれとせがむ。お爺さんは「オク・シミお姉さんが、1発の銃弾で数百台のタンクや装甲車を走れなくした話をしよう」と次の話を始める。

    この話は、米軍がトンネルに貯蔵した燃料を女性狙撃手が1発の銃弾で爆発させるというストーリーである。

    「STOP 接近する者は予告なく銃殺する」
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    「オク・シムお姉さんは、トンネルの中の燃料ドラム缶を狙って銃を発射する」
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    米兵は「おい、早く鉄門を閉じろ!」
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    オク・シムお姉さんは「復讐の銃弾を受けてみろ」と銃を発射して、燃料を爆発させる。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    「ドカーン」(爆発音)、子供たち「ワーーーァ」

    子供たちはまた話をせがみ、お爺さんは「じゃ、」と、オク・シムお姉さんが銃弾1発で米軍のタンクを撃退した話を始める。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    オク・シムお姉さんは、戦車の大砲の穴を狙って銃を撃ち、戦車を爆発させる。(穴に命中したとして、こんなことで戦車は爆発するのだろうか?)
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    子供たちがさらにお爺さんに話をせがむので、お爺さんは「これが最後だよ」と、この「番組」のオチとなる話を始める。

    「オク・シムお姉さんの銃弾に倒れたり、大怪我をする米帝オオカミ共はたくさんいました。腕を吹き飛ばされた奴、足を吹き飛ばされた奴、目玉が飛び出した奴、そして鼻を削られた奴もいました。」
    「戦争が我々の勝利で終わった後、米国でこんなことがありました。」

    「ジャクソン、生きて帰ってきたのね。だけど、何で鼻に包帯なんてしているの?」
    「人民軍の若い女性狙撃兵の銃弾が、俺の鼻の頭を削ったんだ。」
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    「なんですって?私は、あなたのアルプス山脈のような鼻に惚れたのに。鼻がないジャクソンなんていらないわ。」
    「このくそアマ(女)、人民軍の銃弾で俺の鼻だけが削られたと思っているのか。米国の鼻が折られたんだ、米国の鼻が・・・」(「くそアマ」原文を忠実に翻訳)
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    子供たちは一斉に笑う。お爺さんは子供たちに「今日、お爺さんの話を聞いてみんなどう思った?」と尋ねる。子供たちは「敵と戦うときが来れば、銃を持って戦わなければならないと思いました」、「僕は早く大きくなって人民軍人になり、米帝オオカミ共をやっつけて英雄になります」、「私は人民軍のおじさんたちのお手伝いをもっとしたいと思いました」などと答えている。

    最後の場面では、この子たちが通っている「平壌赤い星小学校」の先生も登場して番組は終わる。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    「児童向け放送」の時間は、過去記事でも何回か紹介しているが、決してこのような「好戦的」な番組ばかり放送しているわけではない。韓国・統一部のページを見ても、この番組が再放送かどうかは確認できないが、いずれにせよここ数ヶ月の戦争モードを反映した番組であるには違いない。もしかすると、番組で紹介された絵は、紙芝居のように学校や幼稚園で使われているのかもしれない。

    「<録画実況>朝鮮人民軍最高司令官金正恩同志をお迎えし開催された朝鮮人民軍創建81周年慶祝モランボン楽団公演」 (2013年4月28日 「朝鮮中央TV」)

    既に人民軍創建81周年モランボン楽団公演については他の記事で触れたが、静止画と共に紹介しておくことにする。紹介する静止画はuriminzokkiriからダウンロードした動画よりキャプチャーしたものであるが、uriminzokkiriも含め、北朝鮮系のサイトは皆正常に戻っている。これらのサイトに攻撃を加えていたのがハッカー集団だとすると、何を根拠に攻撃をやめたのか分からない。どこか他の攻撃目標を見つけてそちらに移っていったのかもしれないが、もう戻ってこないで欲しい。

    しかし、北朝鮮系サイトへの攻撃が「トクスリ」訓練終了とほぼ時を同じくして終了しているという点も興味深い。北朝鮮系サイトへの攻撃が「トクスリ」訓練の一環であったのか、それとも北朝鮮がそれを口実に米韓を非難するために自作自演をしていたのかは分からないが、今後の展開とも関連し記録しておく必要がある。

    モランボン公演は「愛国歌(北朝鮮国歌)」の演奏から始まる。例によってドラムを途中で挿入するなどモランボン楽団らしいアレンジの愛国歌である。写真のように、楽団員は軍服のようなものを着用している。去年の軍関係の公演(建軍節か(朝鮮戦争)戦勝記念日)の公演では白色の軍服のような服を着用していたと記憶しているが、今回は半袖の迷彩服である。また、敬礼をしているので「軍人」なのかもしれないが、他の公演で国歌演奏の際に敬礼はしていなかったような記憶があるので(振り返って確認はしていない)、単なる演出なのであろう。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    ステージ上には、連射砲、上陸用ボート、戦車のモデルが置かれている。「銀河3-2号」は宇宙開発用のロケットなので当然置くことはしないが、北朝鮮の誇る「長距離弾道ミサイル」も軍事パレードの様子が背景画面で映し出されたものの、モデルを置くことはしなかった。下の写真のようにバイオリンの弓をバトンのように扱う演出もあった。

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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    今回見てて思ったのは、他の奏者と演奏中に微笑みながら目を合わす演出が加えられたことである。西側のバンドでもこの演出はよく見られるが、モランボン公演ではこれまでなかったと思う。金正恩最高司令官を前にしても、奏者が演奏を楽しむということなのであろうが、そうだとすると音楽表現に対する自由度の裁量が上がったのかもしれない。

    リーダーの視線の先には(キャプチャーのタイミングが悪く、怖い顔に映っているが、彼女は微笑んでいる)・・・
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    ベースの女性がおり、リーダーと視線を合わせて微笑んでいる。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    アイススケート場についての過去記事の中で、「凄いベースの効いた曲がかかっていた」というようなことを書いたが、どうやら「私たちは愛する」というこの曲であったようだ。イントロでベースを使っている。何を愛するのかというと、将軍様や元帥様ではなく、平壌である。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    今回の公演では、比較的新しいと思われる曲も含めて演奏された。「我々の銃槍の上に平和がある」というこの曲も「朝鮮中央TV」の番組間でしばしば流されている。「どんなに平和が貴重でも、絶対に物乞いはしない。我々の銃槍の上に平和がある」というこの歌は、「米国からの援助を受けるために核放棄はしない。抑止力たる核兵器によってのみ平和が維持される」という核抑止論の基本のような歌である。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    今回の公演を見ていて気になったのだが、下の女性と男性のツーショットが、飛ばしながら見ただけでも、3回映し出されていることである(全部見直せば、まだあるのかもしれない)。カットからしてどうやら男性よりも女性を中心に据えているのだが、誰だろうか。ご存じの方がいたら、教えていただきたい。

    謎の女性カット1
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    謎の女性カット2
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    謎の女性カット3
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    この2人以外でしばしば映し出されたのは、軍服からして「航空及び反航空軍」所属と思われる軍人である。理由は分からないが、ステージ上に空軍関係のモデルがないことに対する配慮であろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    会場は盛り上がっており、左端の軍人などは嬉しそうに手を叩いている。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    一方、張成沢さんは今一つ盛り上がりに欠けるように見えた。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    会場の関係であろうが、今回の公演では金正恩さんを背後から撮影するカットも何回か出てくる(最前列、白い軍服を着た4人の左隣)。基本的には、指導者は正面から撮影することになっていると思うのだが、これまでもそうであったのだろうか。
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    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-04-28-12-y.flv

    「朝鮮半島緊張激化と核戦争危機をもたらした張本人は米国と南朝鮮傀儡共である -祖国統一研究院白書-」 (2013年5月1日 「朝鮮中央通信」)

    寝る前に「朝鮮中央通信」を見たら、こんな記事が出ていた。非常に長い記事だが、これまで北朝鮮がしてきた主張、つまり昨今の朝鮮半島の緊張激化の原因は北朝鮮のロケット発射に対する安保理決議であり、それを受けて北朝鮮は核実験を実施した。また、米国と韓国は北侵を企図した合同演習を行っているという内容である(斜め読みしただけだが)。

    また、「キーリゾルブ」と「トクスリ」訓練が終了したことについては、米国と韓国は「北侵戦争演習が終了したように宣伝し、情勢が緩和局面に入ったように騒ぎ立てているが、それは奴らの挑発的正体を隠し、世論をミスリードするための茶番に過ぎない」と演習が一応終了したという認識を示しつつも、対北朝鮮敵対視政策や北侵計画は依然として変わっていないと主張している。

    そして、「我々と米国の鋭敏な核対決戦と祖国統一聖戦の基本的性格と構図、打撃目標において変わったものなど何もなく、我が軍隊と人民は、高度な激動状態を維持している」と威嚇している。

    「20時報道」:大同江と普通江のボート、錦繍山太陽宮殿広場公園、米国対話のハードルを下げる? (2013年5月1日 「朝鮮中央TV」)

    今日は、「5.1節」、メーデーで北朝鮮は休日である。休日なので、「朝鮮中央TV」も朝9時から放送をしている。「20時報道」では、「5.1節慶祝特集」として、労働党幹部が各地の企業所などを訪ね、従業員と運動会をする姿などを紹介していた。平壌については、大同江と普通江でボートに乗る朝鮮人民の姿を紹介している。

    大同江でボートに乗る子供
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    普通江でボートに乗る人々
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    ボートに乗る人々を見て「えっ!」と驚いた。それは、彼らがすべからく救命胴衣を着用していることである。過去記事で平壌の新設アイススケートリンクを紹介しながら、「手袋も着用せずに危ない」と書いたことがあるが、なんと今度はボート利用者が皆救命胴衣を着用しているではないか。そしたら案の定、インタビューで「救命胴衣を着用しているから、安心してボートに乗れる」という話が出てきた。やはり、北朝鮮にとっても「救命胴衣」を着用させて人民の安全を守るという「新しい」施策がこの報道のポイントであったようだ。

    今日の「労働新聞」のトップには、「感謝文 錦繍山太陽宮殿広場公園を立派に造成することに誠意を尽くした党幹部と労働者と人民軍将兵に 金正恩」という記事が出ていた。この「感謝文」伝達式の様子を報じる「録画実況」が今朝放送されていた。番組自体は、ほぼ全編、金永南さんが「感謝文」を読み上げる場面が続くだけなのであまりおもしろくはないのだが、人民軍創建81周年礼式を見ながら、宮殿前の広場が随分きれいになったと思っていた謎が解けた。過去に、この事業についてどこかで報じられていたのかもしれないが、本当にきれいになっている。春だから花が咲いているのだろうという程度に思っていたが、やはり相当に手を入れたようだ。思えば、地方出身の朝鮮人民が、地方特産の木を持って来て、宮殿前に植えている様子を伝える報道もあった。その時は、緑化運動の一環だと思ってみていたのだが、これに繋がっていたということのようだ。

    錦繍山太陽宮殿広場公園
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    公園建設に貢献した人々。この種の屋外集会は立って参加するものと思っていたが、椅子が準備されている。
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    Source: KCTV, 2013.05.01放送。

    「朝鮮中央TV」の番組中での金永南演説を聞いていたら、「対米全面対決戦」の勝利宣言らしきことを言っていたので「労働新聞」の記事を読んでみた。大した話ではないのだが、「我々の一心団結を崩そうと狂奔している敵対勢力に鉄槌を下した」と言っている。公園広場を造成し「鉄槌を下した」というのであれば、平和で良い話だ。

    『労働新聞』、「감 사 문 금수산태양궁전광장공원을 훌륭히 꾸리는데 온갖 지성을 다 바친
    일군들과 근로자들과 인민군장병들에게」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-05-01-0001

    米国務省定例記者会見では、同省報道官が「北朝鮮が挑発的な発言をしなくなったことは良いことだ」と評価し、ケリー国務長官が中韓日歴訪で北朝鮮に突きつけた要求事項の「半分」あるいは「一部」は履行したという認識を示した。しかし、北朝鮮との対話に「近づいたのか」という質問に対しては明確な回答は避け、「米国は、北朝鮮が国際的義務を履行するという目的についての真剣さを示すことを求めている」とした上で「我々は一歩ずつ進める」と述べている。報道官の発言を私が正しく理解しているとすれば、北朝鮮が「国際的義務を履行」する前であっても、履行に向けた誠意を示せば米国は対話を開始しても良いと言っているようにも読み取れる。もしそうだあるとすれば、これまでの対話開始条件のハードルを下げたことになる。

    U.S. Department of State, "Daily Press Briefing", http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/04/208639.htm#NORTHKOREA
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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