中国の対北朝鮮ジェット燃料輸出、人道と非人道の境目、米政権内での対北朝鮮政策の齟齬、GSOMIA (2016年10月26日 「US Department of State」)

    26日の米国務省定例記者会見は、なかなかおもしろい。

    まず、記者が韓国貿易協会(KITA)のデータを引用しながら、「中国の対北朝鮮ジェット燃料輸出が対前年比で9月に400パーセント増加し、970万ドルに達している。・・・赤ん坊がジェット燃料を飲むはずはないので、人道援助とは言えないのではないか」と質問している。

    これに対し米国務省報道官は、「中国の官僚は、制裁決議2270を履行する意志を表明している」と応じているが、記者は「それだけではない。中国の北朝鮮からの石炭輸入も増加している」とたたみかけている。

    これに対して報道官はついに次のような本音を吐いている。

    **************
    歴史的にある国(複数)の安保理決議履行に関する問題がある。そして、私はこの場で公に、これまで中国は完全に履行していないと述べた。私は、その履行に関する憂慮を表明することを躊躇しない。我々は、中国とこれまでの決議履行とその履行義務に関する話し合いを続ける。
    There’s been a historic issue with the – with some nations meeting all their obligations under UNSCR resolutions, and I’ve talked about it here publicly, that in the past we’ve not seen China completely comply. And when we have concerns about compliance, we’re not going to be bashful about expressing them. We continue to have discussions with the Chinese about their obligations and their commitments under this particular resolution and every other one before it. And we’re going – and we’ll continue to have those conversations.
    ***************

    続けて記者は、「輸出収入が(北朝鮮で)人民生活に使われる石炭輸出は許されているのか?」と質問し、報道官は「私はそう理解している」と答えている。確かに、安保理決議2270にはそう書かれ記されているが、米国務省報道官が前提条件を付けることなく、このように答えいることには注目しておくべきであろう(報道官は、自分は「特定のる専門家ではないので、特定の取引については分からないが」と述べているが)。

    記者は、再び「中国による対北朝鮮ジェット燃料輸出はどうなのか?」と元の質問を繰り返すと、報道官は「確認はしてみるが、今は分からない」と述べるに留まっている。

    記者は、「米国は中国と北朝鮮間にある貿易の通路(回廊、corridor)を監視すると言っていたではないか」とたたみかけると、報道官は「そのような要請があったとは認識していない」と応じている。

    話しがしばらくパキスタン問題になり、再び北朝鮮問題に戻る。

    記者は、米情報長官のクリッパーと米国務省の北朝鮮核問題への対応認識の齟齬を指摘しながら「同じ政権内で、1人が北朝鮮の核問題解決に望みがないといい、その数分後には別の人が我々は核問題解決に取り組むと言っているが、国民はどちらを信じればよいのか」と冗談交じりの質問をする。

    報道官は「国際社会は北朝鮮に対する圧力をかけ続ける」とした上で、「だから米国は朝鮮半島における強力な軍事的プレゼンスを堅持しており、同盟国韓国と地域の安全を担保している。そして、必要となれば軍事的な対応にも出ることは可能である」と「軍事的な対応」をちらつかせている。

    And what’s why we continue to work inside the international community to put more pressure – to apply more pressure on the North. And that’s why we’re having an active conversation in the UN about the possibility for additional sanctions. And that’s why we maintain a robust military presence on the peninsula, because we have real security commitments to our South Korean allies and to the region to be able to respond militarily if that’s required.

    さらに報道官は、「我々は共に北朝鮮の核問題を憂慮しており、それに至急対応しなければならないことについては、情報長官と我々間に深い溝はない。その上で、「北朝鮮の非核化を諦めるのかであるが、それはない。これは米国務省の考えでもなく、ある一つの米政府機関の考えでもない。これは、米国政府総体としての考えであり、政策は同じである。我々は、朝鮮半島の確認可能な非核化を目指している」と答えている。

    So I think everybody has – everybody shares the same sense of urgency here. I didn’t see a big gulf between what the director said and what we’ve been saying all along. The question that was posed to me was: Is that U.S. policy, that we’re just – that we’re going to give up on trying to achieve a verifiable denuclearization of the peninsula. And the answer is very simple: No, it’s not. And that’s not just the State Department, it’s not just one agency; it’s the entire U.S. Government. Our policy is the same. We want to see a verifiable denuclearization on the peninsula.

    そして続けて、「各人がその達成可能性について異なる見解を持つことは驚きに値しない。しかしそれは、我々が追求するゴールではない。最善の方法は、六者会談を再開することである。我々にはその準備ができている。しかし、北朝鮮側のコートにボールがあるにもかかわらず、彼らは非核化に向けた努力をする能力と意思を未だに示していない」と述べている。

    Now, it is – I don’t think it should come as a shock to anybody that people may have different views about the odds of achieving that, but that is the goal, and that’s what we’re after. And the best way to do that is a return to the Six-Party Talk process. And we’ve said all along we’re ready to do that. The onus is on the North to prove that they’re able and willing, and thus far they have not proven willing to do that.

    それでも記者は、米次期政権と関連させながら、「一方は北朝鮮の非核化は不可能だと言い、あなたは非核化の努力を続けると言っている。普通は、そのような意見の不一致は公にしないものではないのか?」と質問する。

    これに対し報道官は、「この問題について実際に大きな違いがある」と認めた上で、「北朝鮮問題への対応は、米国の政治日程に左右されるものではないが・・・米国の新大統領は北朝鮮問題に関する決定をすることになるであろう」とした上で、「しかしながら、北朝鮮の非核化こそが、米国はさておき、南北両方の朝鮮半島の人々、地域の人々にとって最善の利益だと考える」と答えている。

    Well, again, I take issue with the fact that there’s some big disagreement here. But let’s put that aside for a second.

    I – the concerns about what’s going on in North Korea are not set by, established by, affected by the political calendar here in the United States. I’m well aware we have an election coming up, and I think we’re all well aware that in January we’re going to have a new president. And that new president will have to make decisions about where things are going with respect to North Korea.

    But what we’re focused on is what has been, not just on this Administration but administrations past, is a consistent policy of applying pressure to the North and trying to achieve a verifiable, complete denuclearization of the peninsula, which we think is in the best interest not only of the people who live on the peninsula, North and South, but everybody in the region, if not here in the United States.

    話題は日韓関係に移り、「日韓がGSOMIA締結を巡る話し合いをしているようだが」という記者の質問に対し「我々は、北東アジアの最も近い2つの同盟国がGSOMIA締結で合意することは、北朝鮮による脅威が高まる中、協力を強化することに繋がる。米国は、こうした協議が行われていることを歓迎する」と答えている。「北朝鮮の脅威」云々は、昨日、「追従勢力」筆頭首相も言っていた。

    We believe that this potential agreement would strengthen cooperation between our two closest allies in Northeast Asia, particularly in light of the growing threat posed by North Korea. So we welcome the fact that they’re having those discussions.

    US Department of State, Daily Press Briefing, http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2016/10/263730.htm#CHINA

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    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
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