「偉人を頂き、民族の言語も輝きます」:朝鮮語の源流は新羅ではなく高句麗、高句麗の首都平壌方言が基本、1960年10月29日の「将軍様」の「教示」 (2016年10月28日 「朝鮮中央TV」)

    28日、「朝鮮中央TV」で放送されたドキュメンタリー番組。朝鮮語の優秀さについて、金日成総合大学で朝鮮語学を研究する先生が、自分の生涯と関連させながら話しをする。

    この先生、朝鮮語の歴史を調べる過程で、「新羅末期起源説」に基づいて著書を書いていたが、1960年、当時、「金日成総合大学で革命活動を展開してた将軍様」の「教示」により、この考えを捨て、「高句麗起源説」に基づく『朝鮮言語発展歴史研究』という著書をゼロから書き直したという。しかし、当時の「将軍様」は、番組の中にも絵が出てくるように、たかが大学生。映画のシナリオに手を入れたような紙切れで研究者の研究を否定してしまう「教示」など、どれだけ「偉人」でもできるはずがない。

    もちろん、その背景には「首領様」がいたからであるが、やはり南朝鮮、しかも当時から南朝鮮の政治権力を握っていた慶尚道地域(新羅地域)を朝鮮語の起源とするのは、どうしても抵抗があったのであろう。

    番組でも「高句麗の言語に基づいて研究せよ」という「将軍様」の「教示」を受けたにもかかわらず、高句麗のどの地域の方言を基本とするのかに悩んだと、この先生の言葉で語っている。

    そこで、「首領様」が登場、「平壌文化語を基準にせよ」と「教示」。理由は、平壌は高句麗の首都だったから。まあ、確かにそうではあるが、そんな単純なことならば、大学生の「将軍様」でも言えたはず。深くは追求しないが、はじめからそういう設定になっていたのかもしれない。

    この先生、北南離散家族交流でソウルに行ったとき、「看板が外来語だらけだった」と述べているが、過去記事に書いた北朝鮮の大学の先生の「弁当(べんとう)」発言からも分かるように、どうやら南朝鮮以上に「日帝時代」の言葉が残っているようだ。それについては、過去、北朝鮮のドラマや芸術映画の中でいくつも発見し、記事にした。

    色々書いたが、先入観なく見て頂きたい。日本語字幕付き。

    Source: KCTV, 2016/10/27

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    教示

     「首領様」「将軍様」の「教示」には、研究者も「転向」(良心に恥じて)せざるを得ない。と見るべきでしょう。
    我々も、「もって他山の石」とすべきでしょう。

    Re: 教示

    コメントありがとうございます。記事には書き忘れましたが、言語以上に「外国勢力の力を借りた三国統一」が気に入らなかったのかもしれません。韓国内では、今日に至るまで、選挙結果にも明確に表れるように、地域感情が残っているわけですが、南北統一が仮に実現しても、高句麗勢力対新羅勢力は、そう簡単に「統一」できるとは思えません。

    >  「首領様」「将軍様」の「教示」には、研究者も「転向」(良心に恥じて)せざるを得ない。と見るべきでしょう。
    > 我々も、「もって他山の石」とすべきでしょう。

    金栄晃先生

    金栄晃先生

     始めまして。tsheringと申します。ある大学で中国語を教えております。
     仕事の息抜きに何気なく「満稼働満負荷」で検索していたら貴ブログが唯一ヒットし、興味深く拝見しておりましたところ、この記事が目に留まった次第です。この朝鮮中央テレビの映像は私も10日ほど前にYouTubeでたまたま見たのですが、出演されていたのが金栄晃先生だったのでびっくり仰天しました。私は北京大学に留学していた2002年当時、中国に来ておられた金先生の朝鮮語方言学と朝鮮語史の授業を半年間聴講しておりました。授業に出ていたのは朝鮮族や漢族の北京大学生、韓国からの留学生など数人で、日本人は私だけでした。金先生は授業で、朝鮮戦争のころの蓄音機を担いでの方言調査の話や、咸鏡道の山奥に女真族の末裔がまだ住んでいる話など、いろいろな話をされていました。当時日韓ワールドカップサッカーが開催されていて、サッカーの話もされました。私に「日本チームはどうか」と尋ねられ、私はサッカーに全く関心がなかったので「知りません」と答えると、「何だ、お前には愛国心がないのか」と言われ答えに窮したことが思い出されます。授業が始まる前の短い時間、教室の建物の入り口に張り出された人民日報を一生懸命読んでおられました。私が留学期間を終えて帰国する前、大学内の食堂で他の北朝鮮の先生方といっしょに昼食を食べておられた金先生を偶然お見掛けし、別れの挨拶をしました。「日本と北朝鮮は今は行き来するのが難しいが、いつの日か学術交流ができることを望んでいます」と日本語で申し上げたところ、「それは私たちもそう思っています」と日本語で返答してくださいました。それ以後もちろん、何の連絡も取っておりませんが…。

     かの地で言語の史的研究をするのは、いろいろな意味で実に厳しいものがあると思います。北朝鮮の言語研究のおそらくは第一人者である金先生が、例の歴史観に積極的に賛同する論著を発表しないことは、立場上許されないのだろうと、私は理解しています。

     北朝鮮の言葉に「日帝の残滓」が却って残っているのは興味深いことだと私も思います。おそらく、南は日本とのやり取りが常にあるため、何が朝鮮固有で何が日本由来のものかについて確かめる機会があるのに、北は日本との交流が杜絶して久しいため、何が日本の残りかすであるのかがよくわからなくなっているのではないかと考えます。以前北朝鮮の小説を読んでいて「伝馬船」「入墨」のような語が朝鮮漢字音読みされてそのまま使われているのに出くわしたことがありますし、外来語の読まれ方も、韓国と比べるとあからさまに日本語寄りですね。

     初めてなのに長々と、大変失礼いたしました。日本語のネット空間においてこのような北朝鮮関連の文章を見つけることは、実に砂漠の中にオアシスを見出すようで、とてもうれしく、コメントさせていただきました。どうもありがとうございます。

    Re: 金栄晃先生

    大変興味深いコメントありがとうございます。コメントにメールアドレスが入っていましたので、内容等をコピーして私が再投稿しておきました。特にメールアドレスを公開される意図がおありでしたらオリジナルを掲載いたしますので、コメントでご連絡下さい。そうでなければ、今後、投稿頂く場合、メルアドはご記入頂かなくても大丈夫です。

    金栄晃先生は、北京におられたのですね。番組の「海外の大学での招聘講演」場面で「XX人民大学」という看板が背景に写っているので、中国の大学であろうとは思っていました。金先生は、年齢的には日本語がおできになると思いましたが、やはりおできになるようですね。北朝鮮の先生とは、連絡を取るのがとても難しいです。別の記事にも書いたように、総合大などの先生と中国の学術会議でお話をしても、名刺を渡されるケースはこれまでありません。所属大学学部までは、会議の日程表で分かるので、大学に手紙を送っても、返信は来ません。

    北朝鮮では、やはり研究以前に思想の問題があり、それに反する研究成果は出せないというのが現状なのだと思います。なので、一大学生の「将軍様」の「教示」が、長年研究を続けてきた研究者の成果よりも尊重されてしまうのでしょうね。これも記事に書いたと思いますが、北朝鮮の論文では冒頭で「偉大な首領金日成同志は、次のように仰った」と、まず指導者の言葉を提示しておき、その範囲内で論を展開するパターンが多いようです。

    「何が日本の残りかすであるのかがよくわからなくなっている」というのは、可能性としては充分にあると思います。特に、外来語に関しては「文化語政策」の中でも日本語と同じ発音が残っているようで、北朝鮮の辞書にもその発音で書いてあります。当該語彙の原音を使うからなのか、ロシア語(あるいはドイツ語)の発音に準じている可能性はありますが、「コップ」を「コップ」と言うところなど、音的には日本語と同じです。

    中国語はよく分からずいつも困っているのですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

    > 金栄晃先生
    >
    >  始めまして。tsheringと申します。ある大学で中国語を教えております。
    >  仕事の息抜きに何気なく「満稼働満負荷」で検索していたら貴ブログが唯一ヒットし、興味深く拝見しておりましたところ、この記事が目に留まった次第です。この朝鮮中央テレビの映像は私も10日ほど前にYouTubeでたまたま見たのですが、出演されていたのが金栄晃先生だったのでびっくり仰天しました。私は北京大学に留学していた2002年当時、中国に来ておられた金先生の朝鮮語方言学と朝鮮語史の授業を半年間聴講しておりました。授業に出ていたのは朝鮮族や漢族の北京大学生、韓国からの留学生など数人で、日本人は私だけでした。金先生は授業で、朝鮮戦争のころの蓄音機を担いでの方言調査の話や、咸鏡道の山奥に女真族の末裔がまだ住んでいる話など、いろいろな話をされていました。当時日韓ワールドカップサッカーが開催されていて、サッカーの話もされました。私に「日本チームはどうか」と尋ねられ、私はサッカーに全く関心がなかったので「知りません」と答えると、「何だ、お前には愛国心がないのか」と言われ答えに窮したことが思い出されます。授業が始まる前の短い時間、教室の建物の入り口に張り出された人民日報を一生懸命読んでおられました。私が留学期間を終えて帰国する前、大学内の食堂で他の北朝鮮の先生方といっしょに昼食を食べておられた金先生を偶然お見掛けし、別れの挨拶をしました。「日本と北朝鮮は今は行き来するのが難しいが、いつの日か学術交流ができることを望んでいます」と日本語で申し上げたところ、「それは私たちもそう思っています」と日本語で返答してくださいました。それ以後もちろん、何の連絡も取っておりませんが…。
    >
    >  かの地で言語の史的研究をするのは、いろいろな意味で実に厳しいものがあると思います。北朝鮮の言語研究のおそらくは第一人者である金先生が、例の歴史観に積極的に賛同する論著を発表しないことは、立場上許されないのだろうと、私は理解しています。
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    >  北朝鮮の言葉に「日帝の残滓」が却って残っているのは興味深いことだと私も思います。おそらく、南は日本とのやり取りが常にあるため、何が朝鮮固有で何が日本由来のものかについて確かめる機会があるのに、北は日本との交流が杜絶して久しいため、何が日本の残りかすであるのかがよくわからなくなっているのではないかと考えます。以前北朝鮮の小説を読んでいて「伝馬船」「入墨」のような語が朝鮮漢字音読みされてそのまま使われているのに出くわしたことがありますし、外来語の読まれ方も、韓国と比べるとあからさまに日本語寄りですね。
    >
    >  初めてなのに長々と、大変失礼いたしました。日本語のネット空間においてこのような北朝鮮関連の文章を見つけることは、実に砂漠の中にオアシスを見出すようで、とてもうれしく、コメントさせていただきました。どうもありがとうございます。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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