トランプ・安倍共同記者会見:「ドナルド」、リニア新幹線、北朝鮮核、拉致問題、中国、米国の対北朝鮮政策模索中、「元帥様」と「ドナルド」 (2017年2月10日 「White House」)

    10日(現地時間)、トランプ・安倍共同記者会見がホワイトハウスでもたれた。

    WHITE HOUSE, Remarks by President Trump and Prime Minister Abe of Japan in Joint Press Conference, https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/02/10/remarks-president-trump-and-prime-minister-abe-japan-joint-press

    トランプ発言:
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    我々は共に、航行の自由と航行からの自由(筆者:?)、北朝鮮のミサイルと核の脅威からの防衛といった、いずれも、大変、大変高い優先的問題と考えられる、地域内における多くの両国の共通の利益を共に促進する。
    We will work together to promote our shared interests, of which we have many in the region, including freedom from navigation and of navigation, and defending against the North Korean missile and nuclear threat, both of which I consider a very, very high priority.
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    翻訳が不適切なのかもしれないが「freedom from navigation (航行からの自由)」の意味が分からない。「航行に対する脅威からの自由」、つまり「安全な航行」が言いたかったのだろうか。北朝鮮の「ミサイルと核脅威」からの防衛も上げているが、この表現も何も考えずに言っているのか、何か意図しているのかポイントとなる。日本語でも「ミサイル核問題」とは通常言わないように、オバマ政権が使ってきた用語も記憶とざっと検索した限りでは、「nuclear and missile」、つまり「核とミサイル」というように「核」が先に来ている。

    米国にとっての現段階での危機は、北朝鮮が米本土に到達する「ミサイル」の開発に成功することであり、その脅威を減らすために韓国へのTHAADを進めている。一方、「核」については、優先順位は低いとは言えないものの、「ミサイル」の後で言及されており、北朝鮮の核が未完成であるという認識を示している可能性もあるが、逆に「核」については「完成済み」あるいは「手遅れ」という認識なのかもしれない。だとすると、北朝鮮が「核保有国」であるという、暗黙の了解ともとれる。

    安倍発言(以下の安倍発言は、ホワイトハウスで英訳された英文からのリバース翻訳をしているので、本人が日本語で話している言葉とは異なる可能性がある):
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    ドナルド、大統領、あなたは優秀なビジネスマン・・・・
    Donald, President, you are excellent businessman・・・
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    「ドナルド」が優秀なビジネスマンであることは認めるが、突然、ファーストネームで呼びかけたのには驚いた。「親しさ」の演出であろうが、記者会見の中でトランプが安倍をファーストネームで呼びかけていないにもかかわらず、日本首相だけが親しげに使っている。ファーストネームで呼びかけるのであれば、せめてもゴルフの後だろう。日本首相の焦りが感じられる。

    安倍発言:
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    日本の新幹線に乗ったことがあれば、日本の最新リニア技術によりもたらされた、その速度、快適さ、安全さに驚くであろう。
    Those of you who have rode on the Japanese Shinkansen, I'm sure you would appreciate the speed, the comfort and safety with the latest maglev technology.
    *************

    営業運転もされていない建設中の「最新のリニア技術を使った新幹線」を持ち出しているが、試乗の抽選に当選したような特別の日本人でなければ「乗ったことが」ない。過大広告のような発言だ。過去記事に書いたように、トランプは「Chinaの高速列車」を先に出しているので、日本の首相は躍起になっているのであろう。しかし中国であれば、上海浦東空港から上海市内までわずか10分程度の区間ではあるが、リニア列車が営業運転されている。

    安倍発言:
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    我々(安倍とトランプ)は、安保環境が厳しくなっていると考えており、日米安保条約第5条が尖閣諸島に適用されることを確認した。
    As we see increasingly difficult security environment, we have confirmed that U.S.-Japan Security Pact Article 5 will be applied to Senkaku Islands.
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    オバマ政権の尖閣に対する安保条約第5条適用に変わりがないことを「確認」したわけである。しかしその前段として、これもまたオバマ政権を引き継いでいるだけであるが、ホワイトハウスの高官は、米国メディアとの9日(現地時間)の電話記者会見で、

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    領有権の問題については、(安倍)訪米中に触れられるとは思わない。
    As for the question of sovereignty, that is really something that I would not expect to see addressed in this visit.

    White House, Background Press Call on Prime Minister Abe's Visit to the White House, https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/02/09/background-press-call-prime-minister-abes-visit-white-house
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    と述べており、「施政権」と「領有権」を分離して考えるスタンスは変えていない。

    安倍発言:
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    北朝鮮に関して、我々(安倍とトランプ)は、北朝鮮に対して核と弾道ミサイル計画を放棄することと、いかなる挑発も行わないことをを強く要求する。そして我々は、航海の自由が維持され、国際法が適用されるべき、東シナ海、南シナ海そしてインド洋における、拉致問題解決の早急な解決の重要性について完全に合意した。こうした国際的な秩序は維持されなければならない。

    On North Korea, we would strongly demand North Korea to abandon nuclear and ballistic missile program, and not to make any more provocations. And we have completely agreed on the importance of the early solution for the abduction issue in East China Sea, South China Sea, and Indian Ocean -- everywhere we need to maintain the freedom of navigation and rule of law. And such international order there must be maintained.
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    2つのパラグラフを繋いでしまった結果、拉致問題と南シナ海問題等がゴチャゴチャになってしまっている。いくらなんでも、日本の首相はきちんと分けて話しているはずだが、上の英文はホワイトハウスのHPに「訳文」として掲載されているママである。単なる通訳、あるいはHP掲載時のエラーなのかも知れないが、米側の「拉致問題解決」に関する関心の低さの表れとも言える。そもそも、「拉致問題可決」など、米国を頼りにしても何も出てこない。安倍政権の重要外交課題の1つである「拉致問題解決」に真剣に取り組んでいる姿を日本国内向けにアピールしたかったのだろう。

    「米国第一主義」という点からすれば、トランプは北朝鮮に捕らわれている2名の米国人を米国に連れ戻すことが最優先課題のはずだ。オバマ政権では実現しなかったこの2人解放について、既に動いているのかも知れない。

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    「入国禁止大統領令」については、やはり

    安倍発言:
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    日米両国にはそれぞれ、入国管理計画と移民・難民政策がある。それらは、内政問題なので、私はこの場でコメントをすることは控える。
    And each of our country has immigration control scheme, as well as policy on immigration, as well as refugees. These are to do with domestic affairs of that country, so I would refrain from making any comments.
    *********************

    と逃げている。

    そして、『産経新聞』の記者の中国を問題視する質問に対し、

    トランプ発言:
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    皆さんもご存じの通り、私は昨日、中国主席ととても、とても良い会話をした。それは、とても、とても、温かい会話だった。私は、我々(トランプと習近平)が大変良い関係を構築するプロセスにあると思う。そして、私は、それが日本にとっても大変な利益となると思う。我々(トランプと習近平)は昨夜、様々な問題について、とても、とても良い話をした。とても長い話だった。そして、我々は言ったとおりに仕事を進めている。私は中国の様々な代表と会話をし、そうしたことが、中国、日本、米国、そして地域の全ての国々にとってとても良い結果をもたらすと信じている。

    PRESIDENT TRUMP: I had a very, very good conversation, as most of you know, yesterday with the President of China. It was a very, very warm conversation. I think we are on the process of getting along very well. And I think that will also be very much of a benefit to Japan. So we had a very, very good talk last night and discussed a lot of subjects. It was a long talk. And we are working on that as we speak. We have conversations with various representatives of China, I believe, that that will all work out very well for everybody -- China, Japan, the United States, and everybody in the region.
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    「very, very」と繰り返すのは、トランプの口癖であるが、分かりやすい人で、本当に「very,very」と思うときだけに、あるいはそう思わなくてもブラフを掛けるときに使っているようだ。その系では、習近平との電話会談に関する発言で、何回「very, very」が使われていることか。

    結局のところ、トランプ政権の対北朝鮮政策が核とミサイルの順序が逆転してはいるが、オバマ政権を引き継いだもの以上ではないというところが現状である。それは、前出の9日の電話記者会見でも述べられている。

    9日の電話記者会見におけるホワイトハウス高官発言:
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    六者会談についてであるが、トランプ政権の北朝鮮戦略の詳細を述べるには、現時点は時期尚早である。私たち(トランプ政権)は、近日中にそれを述べる準備ができると思う。日本と米国は北朝鮮に対して挑発的行動をとらぬよう強く要求する。そしてもちろん、彼らがそのようなことをすれば、そうした情報はトランプ政権の北朝鮮へのアプローチに反映されるであろう。

    To your second question about six-party talks and the like, I'd say that it's right now premature to detail a North Korea strategy on the part of the Trump administration. And in time we'll have more that we'll be prepared to say about that. Japan and the United States both strongly urge North Korea not to take provocative acts. And, of course, were they to do so, that would be information that would feed into and inform a Trump administration approach to the DPRK.
    ****************

    どう読んだらいいのか今一つよく分からないが、北朝鮮が自制的に行動すれば、トランプ政権の対北朝鮮政策は、融和的な方向へとシフトする可能性があるということなのだろうか。オバマ政権は、「ボールは北朝鮮のコートにある」と繰り返してきたが、現状はまさにそうした状況ではないだろうか。上のホワイトハウス高官発言からすると、上記の米国人服役囚に関する問題も含め、トランプ政権と北朝鮮は水面下で何らかの交渉をしている可能性もあるし、昨日の習近平との電話会談では、その話題が「長時間」取り上げられていた可能性すらある。

    「元帥様」と「ドナルド」の最大の共通点は、滅茶苦茶でありながらもしたたかだという点ではないだろうか。それだけではない。「元帥様」は、「米帝とその追従勢力の孤立圧殺策動を粉砕」した「鋼鉄の霊将」、「ドナルド」は巨額の富を築き、ついには大統領になった「優秀なビジネスマン」、そして李雪主「同志」とメラニア夫人・・・共通点は色々ある。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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