「北朝鮮核問題の現実的解決策が必要である」:中国の立場表明 (2017年4月22日 「Global Times」)

    22日のGlobal Timesに「北朝鮮核問題の現実的解決策が必要である」と題する「社説」が掲載された。これまでも、Global Timesでは、中国の立場について表明をしていたが、この「社説」では、「この場合はどうする」という形式で、今後の状況に中国がどのように対応するかが書かれている。以下、関連部分を抜き出して訳しておく。

    Global Times, Realistic solution needed for NK nuke issue, http://www.globaltimes.cn/content/1043646.shtml

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    北朝鮮核問題の現実的解決策が必要である
    Realistic solution needed for NK nuke issue

    北朝鮮の核問題は、基本的に北朝鮮と米国・韓国との問題であるが、平壌の核活動は中国を危険に晒してはならない。北朝鮮の核実験場は中国東北部に近いので、平壌は核実験により放射能漏れや放射能汚染を引き起こし、中国東北部に住む中国人に健康被害を出さないことを保障しなければならない。万が一、この一線を越えれば(中国人に健康被害が出たら)、北京はいかなる対応もするであろうし、北朝鮮の核野望に対処することに中国は関与せざるを得なくなるであろう。
    The nuclear issue is essentially one that exists between North Korea and US / South Korea, but Pyongyang's nuclear activities must not jeopardize China. As North Korea's nuclear test site sits close to Northeastern China, Pyongyang must make sure its nuclear endeavors will not result in leakage or pollution that could jeopardize the health of the Chinese living in the region. If this line is crossed, any reaction from Beijing could be possible, and would inevitably alter China's involvement in handling North Korea's nuclear ambitions.
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    北朝鮮の核実験の結果、中国人に健康被害が出るという中国による想定はこれまであまり聞かなかった。もちろん、東北部の人々からはそのような話は聞いたことがあるが、「公式メディア」にそのようなことが書かれたことはあったのだろうか。これまで、北朝鮮は、核実験をやるたびに「周囲への影響は一切なかった」という事後報告を出しており、中国もそれを否定するようなことはしなかった。ただ、2016年の核実験の際、延吉の学校の校庭にひび割れができたとか、陥没したという話は、地元の延辺大学の先生から伝わってきている。恐らく、そうした小規模な物的被害は北朝鮮の核実験のたびに発生しており、場合によっては潜在的な健康被害も発生しているのかもしれない。恐らく中国は、北朝鮮が6回目の核実験をやれば、健康被害が出ても出なくても、健康被害が出たとして、北朝鮮を強く非難することになろう。これは、その警告と受け止められる。

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    次回の核実験には中国東北部に対する潜在的危険性が存在するので、安保理の枠組み内で科されている中国の制裁は強化され、北朝鮮に対する石油輸出は劇的に削減されるであろう。
    As the upcoming nuclear test could potentially be hazardous to Northeastern China, sanctions imposed by Beijing within the United Nations framework will increase, thus dramatically decreasing the amount of petroleum exported to North Korea.

    中国の石油輸出削減は、輸出を完全に停止するものではないということを認識しておくことは重要である。北京は、朝鮮人民が人道的な災難を経験すべきではないということを確認するであろう。北朝鮮への石油供給の削減量は、国連安保理で決定されるべき問題である。
    It is important here to keep in mind that a heavy reduction in petroleum export does not mean completely turning off the supply. Beijing will make sure the people of North Korea will not have to experience a humanitarian disaster. What the reduced amount of petroleum to North Korea should be is a question to be decided by the UN Security Council.
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    過去記事にも書いたが、北朝鮮が6回目の核実験を実施すれば、中国が北朝鮮に対する石油供給を最低でも「削減」することは規定の路線となっていることが分かる。中国も、北朝鮮への石油供給を完全に遮断すれば、北朝鮮の人民生活に大きな影響が出ることは知っているので、完全遮断は考えていないようだ。それにもかかわらず、削減量については「安保理で決定されるべき問題」としており、中国は独自の基準で削減量(逆に言えば供給量)を定めるのではなく、安保理の決定に従うことを明示している。安保理の議論の過程で、削減量について中国は独自の設定値を主張すると考えられるが、それでも国際的に容認される、特に米国に容認される削減量となるはずなので、北朝鮮にとって厳しい数値となることは間違いない。

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    平壌の妥協のない核計画が続き、結果としてワシントンが北朝鮮の核施設に対する軍事攻撃をする場合、中国はそうした行動に対して外交チャンネルを通じて反対するが、軍事行動で関与することはない。
    Pyongyang's unwavering pursuit of its nuclear program continues and Washington launches a military attack on North Korea's nuclear facilities as a result, Beijing should oppose the move by diplomatic channels, rather than get involved through military action.
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    この一文中国は、米国による北朝鮮の核施設に対する限定攻撃が、中朝友好協力相互援助条約で定めるところのトリップ・ワイヤー(自動関与)には繋がらないことを明言している。つまり、2国間協定よりも、行動としては米国の単独行動であっても、中国も含む北朝鮮の核活動に反対するという国際的合意を優先するという立場の表明である。北朝鮮は、米国が単独行動で北朝鮮を攻撃した場合、少なからず中朝友好協力相互援助条約が機能することを考えているであろうが、中国は米国の行動を事実上、黙認すると言っているのと同じである。トランプ政権にとっては、中国との軍事的衝突を心配することなく、北朝鮮を攻撃できるお墨付きを得られたといえる。

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    しかし、米国と韓国の軍隊が軍事分解線を越えて、平壌政権を全滅させることを直接的な目的として地上侵攻するならば、中国は独自の警鐘を鳴らし、直ちに軍事的対応を備える。北京は、平壌政権が外国軍により転覆させられるのを絶対に座視することはしない。また、それが行われていない時点で、北京はワシントンとソウルに明確に中国の総体的立場を迅速に表明する。

    However, if US and South Korea armed forces cross the Korean Demilitarized Line in a ground invasion for the direct purpose of annihilating the Pyongyang regime, China will sound its own alarms and ramp up their military immediately. Beijing would never sit back and watch foreign military forces overthrow the Pyongyang regime. If it has not done so already, Beijing will rather quickly illustrate their overall position in a clear fashion to both Washington and Seoul.
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    しかしながら、中国は米軍が鴨緑江まで北上するという朝鮮戦争の悪夢は決して望んでいない。その悪夢が再発しないようにするためには、北朝鮮政権は必要で、米韓がその悪夢を再現しようとすれば、中国は朝鮮戦争の時のように北朝鮮と共に米韓と戦い、38度線まで米韓両軍を押し戻すことを想定していることを示している。中国的に「平壌政権」がなんであっても必要なわけで、現政権である必要はないはずだし、もっと中国が扱いやすい政権になって欲しいと考えているはずであるが、現実的に「白頭の血統」政権以外は考えられないので、それを転覆させることには明確に反対していることが分かる。

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    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
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