「中朝条約は時代遅れか」:「中国を危険に晒す北朝鮮は中朝条約違反国」 (2017年5月3日 「Global Times」)

    3日夜22時48分(北京時間)のタイムスタンプが付けられた「中朝条約は時代遅れか」と題す「社説」が、Global Timesに掲載された。「朝鮮中央通信」HPでは、タイムスタンプを確認できないので、同通信の中国批判「論評」が何時に掲載されたのかは不明であるが、通常、夜掲載する記事は、「朝鮮中央TV」でアナウンスをする場合は放送が終わる直前、そうでなければ放送終了後になっているので、後者であるとすれば北京時間の22時から22時30分ぐらいであろう。

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    朝鮮半島周辺の緊張が高まる中、中朝友好協力相互援助条約がどのように機能し、北京はそれをどう考えているのかについて、中国の内外で熱い議論が交わされている。
    With tensions around the Korean Peninsula escalating, how the Sino-North Korean Mutual Aid and Cooperation Friendship Treaty functions and what Beijing's attitude is toward it have triggered heated discussions both within and outside China.

    条約は1961年に両国で調印され、1981年と2001年に更新された。最も最近の更新での効力は2021年までである。同条薬大2条では「両国は、どちらか一方に対する侵略を防止するための全ての方策を採用することを約束する」と書かれており、また「どちらか一方の国が、一国あるいは複数の国により軍事攻撃を受け、戦争状態に突入した場合、一方の国は直ちに軍事及びその他の援助を全力で講じる」とも書かれている。
    The treaty was signed by the two governments in 1961 and renewed in 1981 and 2001. The most recent renewal will remain in effect until 2021. Article 2 of the treaty says: "The two parties undertake jointly to adopt all measures to prevent aggression against either party by any state." It also provides that "in the event of one of the parties being subjected to armed attack by any state or several states together and thus being involved in a state of war, the other party shall immediately render military and other assistance by all means at its disposal."

    この条約は、朝鮮半島の平和を保障することで不可欠な役割を何年間も担ってきた。韓国には、朝鮮半島統一過程での支配的役割が期待されている。米国と韓国はこれまで、北朝鮮に対するいくつかの軍事作戦実施を計画した。同条約は、緩衝材としてソウルとワシントンを冷静にさせることに役立った。
    The treaty has played an indispensable role in ensuring peace on the Korean Peninsula over the years. South Korea had expected to dominate the process of unifying the peninsula. The US and South Korea had made several plans to launch military attacks on North Korea. The treaty has served as a buffer to prompt Seoul and Washington to cool down.

    同条約が最後に更新されてから、北朝鮮の核開発により、両国間の意見の相違が際立った。中国と国際世論で、同条約が時代遅れなのかという議論が行われてきた。
    Since the treaty was renewed last time, the divergences between China and North Korea over the latter's nuclear development have sharpened. There have been debates over whether the treaty is outdated in the Chinese and international opinion sphere.

    しかし、条約締結55周年を迎えた2016年、中国と北朝鮮の指導者はメッセージを交換し、それに世界は注目した。
    But upon the 55th anniversary of the signing of the treaty in 2016, Chinese and North Korean leaders exchanged messages, which caught world attention.

    火曜日、中国外交部報道官は、この条約に関する質問に対し、条約は「両国の各分野における親善協力を促進することと、地域の平和と安全を守る」ことを目的としていると答えている。
    On Tuesday, foreign ministry spokesperson Geng Shuang responded to questions concerning the treaty, saying the treaty aims to "promote friendly cooperation between the two countries in various fields and safeguard regional peace and security."

    平和の前提条件は地政学的構造の安定である。近年、韓国、日本、米国が、北東アジアで地政学的ゲームを再開した。中朝条約は、北東アジアの構造的安定に何らかの貢献をした。韓国と米国は、繰り返し、平壌政権崩壊の可能性を宣伝した。誰それは、朝鮮半島の将来における中国の利益を除外しようとさえしたが、中朝条約は、こうした考えは壁に突き当たるということだけを示している。
    The precondition of peace is a stable geopolitical structure. In recent years, South Korea, Japan and the US have re-engaged in the geopolitical game in Northeast Asia. The treaty has somewhat supported structural stability in Northeast Asia. South Korea and the US have repeatedly hyped up the prospect of the collapse of Pyongyang's regime. Some have tried to exclude China's interests from the future landscape of the peninsula, while the treaty indicates that such thinking only leads to a dead end.

    平壌は、条約を大切にし、それを自国の安全の基礎の一つにするべきである。北朝鮮の核開発は、自国と地域の安全の障害となっており、中国の安保も危険に晒している。これは、中朝条約の原則に反するものである。
    Pyongyang should cherish the treaty and make it one of the foundations for its national security. North Korea's pursuit of nuclear technology has impaired its own security as well as the region's, and it has also jeopardized China's national security. This has violated the principles of the treaty.

    中朝条約は、侵略に断固として反対している。しかし、北朝鮮が核開発に固執し、安保理決議に違反するミサイル発射をすることで、北朝鮮と米国との衝突の危険性を高めている。状況は、2001年に条約が更新されたときと大きく変わっている。
    The treaty firmly opposes aggression. But North Korea insists on developing nuclear weapons and conducting missile launches in violation of UN Security Council resolutions, which increases the risks of military clashes with the US. The situation has changed a lot compared with that of 2001 when the treaty was renewed.

    北朝鮮は核実験を止めるべきである。米国と韓国は、平壌に対する挑発的な軍事威嚇を止めるべきである。双方が、朝鮮半島の平和と安定に寄与すべきである。中国は、地理的に朝鮮半島に隣接している。戦争が勃発すれば、中国も危険に直面する。
    North Korea needs to end its nuclear tests. South Korea and the US should stop their aggressive military threats against Pyongyang. Both sides should contribute to peace and stability on the peninsula. China is geographically adjacent to the peninsula. If there is war, China will face the risk as well.

    中国は、北東アジア地域を北朝鮮の核活動で汚染させることを許さない。また、非平和的な方法で、朝鮮半島の構造を変えることも許さない。
    China will not allow its northeastern region to be contaminated by North Korea's nuclear activities. Nor will it allow changes to the peninsula structure through non-peaceful means.

    中国はこれまで、フル・スケール(最強)の制裁をいかなる国にも科したことはないし、中国人民は長年、戦争を避けている。世界は、中国が力を付けていることを見ている。中国は全ての国を尊重するが、中国の決意を過小評価する国はその限りではない。
    China has not imposed full-scale sanctions on any country and the Chinese people have stayed away from war for years. The world has seen China's strength gaining momentum. China respects all countries, but no country should underestimate China's determination.

    Global Times
    , Is China-North Korea friendship treaty outdated?, http://www.globaltimes.cn/content/1045251.shtml
    ****************

    中国は、「金チョル」の「論評」に対し、

    1.「米国と韓国はこれまで、北朝鮮に対するいくつかの軍事作戦実施を計画した。同条約は、緩衝材としてソウルとワシントンを冷静にさせることに役立った」のだから、「ありがとう」と言えとは何事だ。

    2.「しかし、条約締結55周年を迎えた2016年、中国と北朝鮮の指導者はメッセージを交換し」たのだから、「首領様」ではなく、現世代が、中朝条約の精神を確認しているのだから、つべこべ言うな。

    3.「誰それ(北朝鮮)は、朝鮮半島の将来における中国の利益を除外しようとさえしたが」、そんなことを言うなら、中朝条約を破棄しても構わない。

    4.「平壌は、条約を大切にし、それを自国の安全の基礎の一つにするべきである。北朝鮮の核開発は、自国と地域の安全の障害となっており、中国の安保も危険に晒している。これは、中朝条約の原則に反するものである」のだから、中国を危険に晒す間接的な敵は北朝鮮だ。

    5.「中国はこれまで、フル・スケール(最強)の制裁をいかなる国にも科したことはない」が、言うことを聞かないのなら、もっと厳しい制裁を科してやる。

    6.「中国は全ての国を尊重するが、中国の決意を過小評価する国はその限りではない」のだから、「図体が大きい」だけではなく、その実力を世界が認める大国中国を見下げるような言動をする北朝鮮は許さない。

    こう、返しているように受け止められる。

    ただ、これもレトリック対レトリックなので、中国が具体的な行動に出るのかどうかまで、「茶番」かどうかは見極められない。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「副部長同志」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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