「米国公民釈放」、<追記>米国務省定例記者会見 (2017年6月15日 「朝鮮中央通信」)

    15日、「朝鮮中央通信」が、ウァムビア釈放に関する記事を配信した。

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    米国公民釈放
    미국공민 석방

    (平壌6月15日 朝鮮中央通信)
    (평양 6월 15일발 조선중앙통신)

    朝鮮民主主義人民共和国中央裁判所の13日付け判定により、労働教化中であった米国公民ウァムビア・オットー・フレデリックを13日、人道主義的見地から釈放した。
    조선민주주의인민공화국 중앙재판소의 13일부 판정에 따라 로동교화중에 있던 미국공민 왐비어 오토 프레데리크를 13일 인도주의적견지에서 돌려보냈다.(끝)
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    昏睡状態に陥っているウァムビアは、「脳に広範囲にわたる損傷がみられる」と報じられている。

    『時事』、「釈放の米学生、脳に深刻な損傷 父親が北朝鮮非難」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170616-00000002-jij_afp-int

    いずれ米国に送還する米国人に暴行を加えれば、送還後に「非人道的だ」と米国から非難されることは北朝鮮も十分に承知しているはずである。したがって、単に彼を虐待するために看守などが暴行を加えたとは考えにくい。北朝鮮は、これまでの例を見ても、「北朝鮮で人道的な待遇を受けた」とされる形になるよう、米国人などを釈放している。彼が看守に激しく抵抗したり、脱走を試みたか、壁に頭をぶつけるなどして自殺を図った可能性があるのではないだろうか。

    <追記1:2017/06/17>
    ウァムビア帰国に至る経緯を米国務省報道官が北朝鮮を訪問したユン大使と話した後、15日に発表した。

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    大統領の指示で、国務省はオットー・ウァムビアを釈放させるための静かな外交を行った。北朝鮮には、あと3人のアメリカ人が捕らえられている。彼らも早く帰国できることを望んでいる。国際的な協力国、特に利益保護国のスウェーデンには、ウァムビアの釈放に努力してくれたことについて感謝する。米国務省は、米国市民に北朝鮮へ渡航しないよう強く警告する。

    At the direction of the President, the State Department conducted quiet diplomacy to obtain the release of Otto Warmbier. There are three other Americans currently being held in North Korea. We hope that they will soon be able to return home. We’d like to thank our international partners, especially our protecting power Sweden, for their tireless efforts to assist Mr. Warmbier. The Department of State strongly warns U.S. citizens against travel to the DPRK.

    2017年2月、ティラーソン国務長官がトランプ大統領に状況について説明した。大統領は国務長官に対し、北朝鮮に拘束されている米国市民の安全確保のための適切な措置を取るよう指示した。国務長官は、事態の進捗状況を随時大統領に報告した。2017年5月、米国務省北朝鮮特別代表ジョー・ユンが、ノルウェーで行われた拘束されている米国市民について話し合うトラック2対話の中で北朝鮮外務省の高官と会談した。
    And here’s the timeline: February 2017, Secretary Tillerson briefed President Trump on the situation. The President directed the Secretary to take all appropriate measures to secure the release of American citizens detained in North Korea. The Secretary began the effort and routinely updated the President. In May of 2017, U.S. State Department Special Representative for North Korea Policy Joe Yun met with high-level representatives from the North Korean ministry of foreign affairs on the margins of separate track-two discussions in Norway to talk about detained American citizens. Again, that took place in Norway.

    2017年6月6日、ニューヨークでユン特別代表は、北朝鮮外交官と会談した。会談で、ユンはウァムビアの健康状態について初めて説明され、国務省は彼の健康状態について完全に認識することになった。もちろん、米国人医師が彼を診察するまで、それが完全なものであったとはいえないが。2016年3月、米国の利益代表であるスウェーデン大使館の誰かがウァムビアと会った。
    Then on June 6, 2017 in New York, Special Representative Yun met in New York City with North Korean diplomats. During the meeting, Mr. Yun was told about Mr. Warmbier’s medical condition for the first time, so we were made fully aware of his medical – let me back up. We were made aware of his medical condition. The extent of it, I’m not sure that we had the full extent until our doctors were on the ground. Now, just as a reminder, the last time that someone representing the United States, the Swedish protecting power, saw Mr. Warmbier was March of 2016, okay? So now we’re back to June 2017.

    2017年6月6日から11日、大統領に相談した後、ティラーソン国務長官はユン特別代表に北朝鮮に渡航し、ウァムビアを釈放させる交渉を行うよう命じた。ユン大使は、医療チームと共にプライベート・ジェットで北朝鮮と交渉するために渡航した。6月12日に平壌到着後、ユン特別代表と2人の医師はウァムビアを訪問した。これは、2016年3月に米国がウァムビアの健康状態を確認できて以来初めてのものであった。
    During the week of June 6 to the 11th, after consulting the President, Secretary of State Tillerson instructed Special Representative Yun to travel to North Korea to negotiate the release of Mr. Warmbier from North Korea. Ambassador Yun traveled to North Korea with a medical team and a private aircraft to begin the negotiation. On June the 12th after arriving in Pyongyang, Special Representative Yun and two doctors visited Mr. Warmbier. The visit was the first since his sentencing in March 2016 that the United States was able to confirm, in person, Mr. Warmbier’s condition.

    数時間にわたる協議後、北朝鮮は彼の釈放に同意した。即時、ウァムビアを帰国させる手続きが行われた。6月13日、ウァムビアはオハイオ州シンシナティに戻り、空港で両親と対面した。
    After several hours of discussions, the North Koreans agreed to his release. Immediate arrangements were made for Mr. Warmbier to leave North Korea and return home. On June 13th, Mr. Warmbier touched down at his home in Cincinnati, Ohio and was met by his parents at the airport.

    ウァムビアは、北朝鮮の病院に収容されていた。
    Yes, it was in a hospital.

    ユンは、捕らえられている3人の米国人とも会った。
    Yun did make contact with the three Americans who are being held there.

    US Dept. of State, Department Press Briefing - June 15, 2017, https://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2017/06/271956.htm#DPRK
    *****************

    その後、質疑応答が行われ、オバマ政権下でウァムビアの帰国が実現しなかったにもかかわらず、トランプ政権下でなぜ帰国が実現したのかなどについて質問が出されたが、報道官は「国務省はずっと努力してきた」という曖昧な答弁をするに留まっている。

    また、今回のウァムビアの帰国「交渉」は、何かと引き替えの「交渉」ではないとも報道官は述べている。この答弁は実に重要で、一方で米国の北朝鮮に対する「交渉には応じない」という強い姿勢をアピールしているが、もう一方では、北朝鮮の「人道的見地から」という立場もバックアップする形となっている。しかし実際には、「静かな外交」の中で、何からの取引が行われたことは充分に考えられる。それを公開しないことが、米朝双方にとって国家的体面を保つことになる。

    過去記事に、「アメリカ第一主義」のトランプは、北朝鮮に捕らえられている米国人を解放することを重要課題とし、その他の点で北朝鮮に妥協するのではないかと書いたが、やはり「静かな外交」でそれが進行していたのかもしれない。この辺り、バーゲニングパワーが欠如した安倍政権(と言いたいが、公平には「日本」)の拉致被害者帰国交渉とは格段の差がある。

    ウァムビアが昏睡状態に陥った理由については、報道官は「医師の発表を待つ」としているが、ウァムビアが昏睡状態に陥っていなければ、他の3人を残して1人だけ帰国することはできなかったであろう。北朝鮮が「人道的見地」と主張は、残りの3人は健康状態に異常がないので北朝鮮に残し、病気のウァムビアだけを帰国させることで初めて説明できるからである。

    すると、5月のノルウェー交渉で全員帰国交渉が決裂、6月にニューヨークで北朝鮮外交官がウァムビアの健康状態についてユン大使に伝え、交渉再開となったとすると、北朝鮮は、5月のノルウェー交渉が決裂したので、米国を再び交渉のテーブルに着かせるためにウァムビアを昏睡状態にしたとも考えられる。

    しかし、もし米国務省報道官の説明が嘘(北朝鮮の報道と同じで、強調しすぎているところに嘘がある)で、5月のノルウェー交渉の時点でウァムビアの健康状態を米国側が把握していたとすると、北朝鮮は4月の危機的状況を乗り切るためにウァムビアを使った可能性もある。

    ウァムビアは、東北アジアでの戦争回避寄与した尊い犠牲者だったのだろうか。

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